JP2011251329A - 高温鉛フリーはんだペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い熱伝導性を有すると同時に高い接合信頼性を確保でき、パワー半導体素子のダイボンディング等に好適な、Bi系の高温鉛フリーはんだペーストを提供する。
【解決手段】 Bi粉及びBi合金粉から選ばれた少なくとも1種のBiはんだ粉と、Cu金属粉と、残部のフラックスとからなるBi系の高温鉛フリーはんだペーストであり、該Cu金属粉は純度97.5質量%以上、平均粒径1〜80μmのCu粉及びCu粉表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる膜厚1μm以下の皮膜を設けた被覆Cu粉の少なくとも1種からなり、Cu金属粉とBiはんだ粉の合計を100質量%としたとき、Cu金属粉の合計が8〜60質量%である。
【選択図】 なし
【解決手段】 Bi粉及びBi合金粉から選ばれた少なくとも1種のBiはんだ粉と、Cu金属粉と、残部のフラックスとからなるBi系の高温鉛フリーはんだペーストであり、該Cu金属粉は純度97.5質量%以上、平均粒径1〜80μmのCu粉及びCu粉表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる膜厚1μm以下の皮膜を設けた被覆Cu粉の少なくとも1種からなり、Cu金属粉とBiはんだ粉の合計を100質量%としたとき、Cu金属粉の合計が8〜60質量%である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、パワー半導体素子のダイボンディング等に用いられる高温鉛フリーはんだペーストに関する。
パワー半導体素子のダイボンディングや各種電子部品の組立て等に用いるはんだ材料には、被接合材に対する濡れ性等の通常のはんだ材料に要求される特性に加えて、1)380℃程度以下の温度ではんだ付けが可能なこと、2)はんだ付けした部品をプリント基板へ実装する際に240℃程度の温度で再溶融しないこと、3)はんだ接合部の信頼性が確保できること、即ち比較的高温の使用環境下において接合部の劣化が生じないこと等の性能が要求される。
これらの性能を有するはんだ材料として、パワー半導体素子のダイボンディング等の用途には、従来からPb−5質量%Snに代表される高温はんだが使用されている。しかし、近年では環境汚染防止への配慮から、はんだ材料で使用されている鉛を排除しようとする活動がなされ、鉛を含まない、いわゆる鉛フリーはんだの開発が進められている。
その結果、プリント基板への実装に用いられるSn−40質量%Pbはんだについては、Sn−Ag−Cuはんだに代表される低温鉛フリーはんだが開発され、既に代替が進みつつある。一方、高温はんだの領域においては、上記1)〜3)の全ての条件を満足するような好適な材料が見出されておらず、鉛系はんだから鉛フリーはんだへの代替がほとんど進んでいないのが現状である。
例えば、特許文献1には、高温鉛フリーはんだとしてBi合金を用いることが提案されている。しかし、Bi合金には、(イ)加工性が低く、ワイヤーやシート等の形状に加工することが難しい、(ロ)脆いため、接合部に発生する熱応力等の影響で接合部の信頼性が確保しにくい、(ハ)熱伝導性が低いため、特にパワー半導体のダイボンディングに用いる場合、素子から発生する熱を十分に放熱できず、素子自身や接合部の信頼性が確保できない等の課題があり、そのため特許文献1のBi合金も必ずしも満足できるものではない。
上記(イ)の課題に対しては、はんだを粉末化してペーストにするという方法で対応が可能であり、例えば特許文献2には、Bi系はんだ合金粉末とエポキシ樹脂を含むフラックスとからなるはんだペーストが提案されている。また、(ロ)の課題に対しては、例えば特許文献3に、応力緩和相として熱弾性型マルテンサイト変態を起こすCu合金を分散させる方法が提案されている。
しかしながら、これら特許文献2及び特許文献3のいずれも、上記(ハ)の熱伝導性に関する課題に対して満足すべき結果が得られていない。即ち、熱伝導率が低く、素子が発生する熱の放散が十分ではないため、素子自身や接合部の信頼性を確保することができず、特にパワー半導体素子のダイボンディングに用いるには不適切であった。
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、パワー半導体素子のダイボンディングや各種電子部品の組立て等に好適な鉛フリーのはんだ材料を提供すること、更に具体的には、高い熱伝導性を有すると同時に高い接合信頼性を確保できる、Bi系の高温鉛フリーはんだペーストを提供することを目的とする。
本発明は、高温鉛フリーはんだとしてのBiないしBi合金に熱伝導性の高いCu粉を混入させることで、BiないしBi合金の熱伝導性が低いという欠点を解決したものである。ただし、Cu粉を均質に分散させる必要があり、またBiないしBi合金の加工性が低いという問題の解決を図るために、はんだペーストの形態をとることで工業的に利用可能なものとなった。
即ち、本発明の高温鉛フリーはんだペーストは、Bi粉及びBi合金粉から選ばれた少なくとも1種のBiはんだ粉と、Cu金属粉と、残部のフラックスとからなり、Cu金属粉が純度97.5質量%以上、平均粒径1〜80μmのCu粉及び該Cu粉表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる膜厚1μm以下の皮膜を設けた被覆Cu粉から選ばれた少なくとも1種であって、前記Cu金属粉と前記Biはんだ粉の合計を100質量%としたとき、前記Cu金属粉の合計が8〜60質量%であることを特徴とする。
上記本発明の高温鉛フリーはんだペーストにおいて、前記Bi合金粉としては、(1)Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金、(2)Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金、(3)Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有すると共に、Alを2.5質量%以下及び/又はPを0.5質量%以下含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金、(4)Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有すると共に、Sn、Zn、Al、Pの少なくとも1種を合計で0.1〜16.0質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金のいずれかが好ましい。
本発明によれば、高い熱伝導性を有すると同時に、高温の使用環境下において接合部の劣化が生じず、高い接合信頼性を確保できる高温鉛フリーはんだペーストを提供することができる。従って、本発明の高温鉛フリーはんだペーストは、各種電子部品の組立て等において用いられているPb系高温はんだの鉛フリー化を達成し、特にパワー半導体素子のダイボンディングに好適に使用することができる。
本発明の高温鉛フリーはんだペーストは、Cu粉又はCu粉の表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる皮膜を設けた被覆Cu粉から選ばれた少なくとも1種のCu金属粉と、Bi粉及びBi合金粉から選ばれた少なくとも1種のBiはんだ粉と、残部のフラックスとで構成されている。
Cu金属粉(Cu粉及び/又は被覆Cu粉)は、Bi粉及びBi合金粉からなるBiはんだ粉の熱伝導性を補って、高温鉛フリーはんだペーストに高い熱伝導率を付与する。Cu金属粉としては、Cu粉をそのまま用いてもよいが、Cu粉の表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる皮膜を施した被覆Cu粉を用いることが好ましい。Ag、Au又はNiの皮膜を設けることで、Cu粉の酸化が防止されると同時にBiとの濡れ性が高くなり、溶融したBiないしBi合金中にCu粉を均一に分散させる効果を高めることができる。
被覆Cu粉の表面に設ける皮膜の膜厚は1μm以下とする。皮膜の膜厚が1μmを超えて厚くなっても、上記した皮膜の効果が飽和するだけでなく、皮膜材料が増えてコストが上昇するからである。また、被覆Cu粉は、Cu粉の表面に電解メッキや無電解メッキを施すことで得られるほか、湿式法によるCu粉製造の最終工程でAg、Au又はNiの塩を含む溶液を添加し、ヒドラジンなどの還元剤を用いて還元する方法により製造することも可能である。
上記したCu粉あるいは被覆Cu粉の核となるCu粉は、熱伝導性を大きく下げなければ他の元素が含まれていても問題はないが、望ましい熱伝導率を得るために97.5質量%以上の純度とする。純度が97.5質量%よりも低い場合、添加元素によるものの、一般的には熱伝導性が純Cuよりも良くなることはないので、出来る限り純Cuに近いものが好ましい。
上記Cu粉の平均粒径は、1〜80μmの範囲とする。平均粒径が1μm未満では、BiないしはBi合金中でCu粉や被覆Cu粉が均一に分散しにくくなるからであり、逆に80μmを超えるとBiないしBi合金からなる接合層の破壊起点として働き、接合部の信頼性が低下するからである。尚、本発明では、粒径として粉末の最大径を用いる。また、Cu粉や被覆Cu粉の形状については、アトマイズ粉の様な真球状、電解粉の様な不規則状、フレーク粉の様な平板状のいずれでもよい。
一方、Biはんだ粉(Bi粉及び/又はBi合金粉)は、溶融してCu金属粉(Cu粉及び/又は被覆Cu粉)同士を接合すると同時に、通常のはんだとしての働きをする。熱伝導性を優先する場合を考えると不純物を含まないBi粉を用いることが好ましいが、接合部の信頼性を優先する場合にはBi合金粉を用いることが好ましい。Bi合金粉としては、従来から使用され又は提案されているBi系Pbフリーはんだ材料の粉末を用いることができる。また、好ましいBi合金粉には、例えば下記する(1)〜(4)の各Bi合金からなるものがある。
Bi合金(1)は、Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物からなる。添加元素のCu、Ni、TeはBiの靭性を向上させ、接合部の信頼性を高める作用がある。Cu、Ni、Teの含有量を合計で0.1〜3質量%としたのは、0.1質量%未満では添加効果が不十分で満足すべき接合部の信頼性が得られず、3質量%を超えると粗大な金属間化合物が合金中に晶出するようになり、接合部の信頼性が低下するからである。
Bi合金(2)は、Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物からなる。添加元素のSnとZnは、電子部品等に形成されているNiメタライズ層とBiの反応を抑制し、Bi−Niの脆い層の生成を抑制する効果がある。SnとZnの含有量を合計で0.1〜13.5質量%の範囲とした理由は、0.1質量%未までは添加効果が得られず、13.5質量%を超えると濡れ性が低下しやすくなるからである。
Bi合金(3)は、上記Bi合金(2)のSnやZnの添加による濡れ性の低下を補うためAlあるいはPを添加したものであって、Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有すると共に、Alを2.5質量%以下及び/又はPを0.5質量%以下含有し、残部がBi及び不可避不純物からなる。Alの含有量が2.5質量%を超えると、融点の高いAlが偏析して良好な接合性を得られなくなり、またPの含有量が0.5質量%を超えると、ボイドが多量に発生したり、脆いP化合物を生成し信頼性を大きく低下させてしまうことがあるため好ましくない。
更に、Bi合金(4)は、Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有すると共に、Sn、Zn、Al、Pの少なくとも1種を合計で0.1〜16.0質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物からなる。Sn、Zn、Al、Pの含有量が合計で0.1質量%未満では添加効果が不十分であり、逆に13.5質量%を超えると添加効果が飽和すると共に、添加元素によって融点の低下が大きくなったり、濡れ性が低下したり、ボイドが多く発生するなどの不都合が生じるからである。
尚、Bi合金粉を構成する上記Bi合金(1)〜(4)においては、それぞれ上記範囲の含有量となるようにSn、Zn、Al、Pなどが添加されているが、これらの元素はBiよりも熱伝導性が良好であるため、熱伝導性に悪影響を与えることはない。また、Bi粉及びBi合金粉の粒径については、特に限定されないが、製造のしやすさから平均粒径が10〜500μm程度の粉末を用いることが好ましい。
本発明の高温鉛フリーはんだペーストにおけるCu金属粉とBiはんだ粉の割合は、両者の合計を100質量%としたとき、Cu金属粉が合計で8〜60質量%の範囲とする。Cu金属粉の割合が8質量%未満では満足すべき熱伝導率を得ることができず、逆に60質量%を超えると良好な接合を得ることが難しくなり、また接合部の信頼性も著しく低下するからである。
本発明の高温鉛フリーはんだペーストは、上記したCu金属粉とBiはんだ粉に、液状フラックスを加えて混練することにより製造することができる。フラックスについては、Sn系やPb系のはんだペーストで用いられているものをそのまま使用することができる。好ましいフラックスとしては、例えば、ロジン化合物、有機酸、有機アミン化合物などを、アルコール類、エチレングリコール類、グリセリン類などの溶剤に溶かしたものを挙げることができる。
フラックスの添加量は、Cu金属粉とBiはんだ粉の合計を100質量%としたとき、7〜13質量%の範囲であることが好ましい。フラックスの添加量が7質量%未満では、フラックス量が不足して十分な還元性が得られないうえ、ペーストの粘性が高すぎるため接合時の取り扱いが困難となる。また、13質量%を超えると、ボイド率が高くなって必要な接合強度を得られなかったり、熱伝導性が極端に低下したり、更には粘性が低くなりすぎるため取り扱いが不便になる。
[実施例1]
純度99.9質量%以上のBi、Cu、Zn、Sn、Alと、純度99.95質量%以上のPを用い、Bi合金粉を製造した。即ち、これらの金属原料を、酸化を防ぐために金属原料1kgあたり700ml/分以上の流速で窒素を流しながら高周波溶解炉で溶解し、0.5質量%Cu−3.0質量%Zn−0.2質量%Sn−0.2質量%Al−0.005質量%P−残部Biの組成を有する合金鋳塊を得た。この合金鋳塊をスタンプミルで粉砕した後、篩い分けすることにより、平均粒径30μm程度のBi合金粉を得た。また、上記と同程度の平均粒径で、純度99.9質量%以上のBiのみからなるBi粉も製造した。
純度99.9質量%以上のBi、Cu、Zn、Sn、Alと、純度99.95質量%以上のPを用い、Bi合金粉を製造した。即ち、これらの金属原料を、酸化を防ぐために金属原料1kgあたり700ml/分以上の流速で窒素を流しながら高周波溶解炉で溶解し、0.5質量%Cu−3.0質量%Zn−0.2質量%Sn−0.2質量%Al−0.005質量%P−残部Biの組成を有する合金鋳塊を得た。この合金鋳塊をスタンプミルで粉砕した後、篩い分けすることにより、平均粒径30μm程度のBi合金粉を得た。また、上記と同程度の平均粒径で、純度99.9質量%以上のBiのみからなるBi粉も製造した。
上記Bi合金粉(0.5質量%Cu−3.0質量%Zn−0.2質量%Sn−0.2質量%Al−0.005質量%P−残部Bi)又はBi粉を、Biはんだ粉として使用した。一方、Cu金属粉については、純度99.9質量%以上のCuと、純度99.8質量%以上のAl及びMnを準備し、通常のアトマイズ法を用いて、下記表1に示す組成及び平均粒径を有するCu粉及びCu合金粉を製造した。
得られたCu金属粉(Cu粉又はCu合金粉)とBiはんだ粉(Bi合金粉又はBi粉)を下記表1に示す添加量で混合し、アルコールと還元性有機材料からなるフラックス(青木メタル(株)製)を加え、混合機((株)シンキー製SR−500)を用いて混合することにより、下記表1に示す試料1〜23の各はんだペーストを製造した。
また、試料24として、従来の5.0質量%Sn−残部Biの組成を有する高温はんだ合金のみを含むはんだペーストを用意した。更に、試料25として、Cu金属粉を含まずBi粉のみを含むはんだペーストを用意した。尚、試料1〜25の全ての試料において、フラックスの添加量はCu金属粉とBiはんだ粉の合計100質量%に対し8質量%とした。
次に、上記試料1〜25の各はんだペーストについて、以下に示す方法によって、ダイボンディング性、高温はんだ特性、熱伝導率、及び接合信頼性を評価した。得られた結果を、下記表2に示した。
(ダイボンディング性)
はんだダイボンダー(dage社製、EDB−200)を用いて、Agメッキを施したCu製リードフレームに、表面上に順番にNi、Zn、Agを蒸着したダミーチップを、350±3℃の温度範囲内において上記各試料のはんだペーストを使用して接合した。はんだペーストの供給は、リードフレームのAgメッキ上に予め適量のはんだペーストを滴下することで行った。得られたCu製リードフレームとダミーチップの接合部を、X線透過装置(東研X線検査(株)製、TUX−3000W)を用いて観察し、ボイド率が5%未満を「○」、5%以上8%未満を「△」、8%以上を「×」と評価した。尚、上記ボイド率は、X線透過装置によりはんだ接合部を接合面に対し垂直方向から観察し、ボイド面積と接合部面積を求め、下式により算出した。
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+接合部面積)×100
はんだダイボンダー(dage社製、EDB−200)を用いて、Agメッキを施したCu製リードフレームに、表面上に順番にNi、Zn、Agを蒸着したダミーチップを、350±3℃の温度範囲内において上記各試料のはんだペーストを使用して接合した。はんだペーストの供給は、リードフレームのAgメッキ上に予め適量のはんだペーストを滴下することで行った。得られたCu製リードフレームとダミーチップの接合部を、X線透過装置(東研X線検査(株)製、TUX−3000W)を用いて観察し、ボイド率が5%未満を「○」、5%以上8%未満を「△」、8%以上を「×」と評価した。尚、上記ボイド率は、X線透過装置によりはんだ接合部を接合面に対し垂直方向から観察し、ボイド面積と接合部面積を求め、下式により算出した。
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+接合部面積)×100
(高温はんだ特性)
高温はんだとしての使用適性を、JIS Z 3198−7:2003に準じる高温シェア試験により評価した。即ち、上記ダイボンディング後の試料を、ボンドテスタ(テクノアルファ(株)製)にセットし、窒素を流しながら240℃に再加熱し、その状態でチップとはんだ接合部にせん断力を加えた。詳しくは、シェア試験用冶具をはんだとダミーチップ接合面に水平方向にチップ引っかけ、90Nのせん断力を加えた。チップ部には割れが発生したが、接合部やはんだ部に割れや変形がなかった場合を「○」、チップが動いてずれたり、接合部やはんだ部で割れや変形があった場合を「×」と評価した。
高温はんだとしての使用適性を、JIS Z 3198−7:2003に準じる高温シェア試験により評価した。即ち、上記ダイボンディング後の試料を、ボンドテスタ(テクノアルファ(株)製)にセットし、窒素を流しながら240℃に再加熱し、その状態でチップとはんだ接合部にせん断力を加えた。詳しくは、シェア試験用冶具をはんだとダミーチップ接合面に水平方向にチップ引っかけ、90Nのせん断力を加えた。チップ部には割れが発生したが、接合部やはんだ部に割れや変形がなかった場合を「○」、チップが動いてずれたり、接合部やはんだ部で割れや変形があった場合を「×」と評価した。
(熱伝導率)
上記ダイボンディング後の試料を用い、レーザーフラッシュ法にて接合部の熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定は、熱伝導測定器(理学電気(株)製、型式:LF/TCM−FA8510B)を用いて、レーザービームをダミーチップ表面に当て、ダミーチップ接合部におけるのリードフレーム裏面の温度上昇を測定することで行った。
上記ダイボンディング後の試料を用い、レーザーフラッシュ法にて接合部の熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定は、熱伝導測定器(理学電気(株)製、型式:LF/TCM−FA8510B)を用いて、レーザービームをダミーチップ表面に当て、ダミーチップ接合部におけるのリードフレーム裏面の温度上昇を測定することで行った。
(接合信頼性)
上記ダイボンディングを行った後、トランスファーモールド型モールド機により、エポキシ樹脂(住友ベークライト(株)製、EME−6300)をモールドした試料について、温度80℃及び湿度80%にて1000時間保持の恒温恒湿試験を施した後、樹脂を開封して接合部の観察を行い、チップや接合部界面に割れや剥離の発生が無い場合を「○」、割れや剥離があった場合を「×」と評価した。
上記ダイボンディングを行った後、トランスファーモールド型モールド機により、エポキシ樹脂(住友ベークライト(株)製、EME−6300)をモールドした試料について、温度80℃及び湿度80%にて1000時間保持の恒温恒湿試験を施した後、樹脂を開封して接合部の観察を行い、チップや接合部界面に割れや剥離の発生が無い場合を「○」、割れや剥離があった場合を「×」と評価した。
これらの結果から明らかなように、本発明による高温鉛フリーはんだペーストは、熱伝導率を比較すると、純Biはんだペースト(試料25)の2倍以上の高い熱伝導率を有している。特に、Cu金属粉の添加量が35質量%以上の試料3〜6及び試料9〜12は、従来から用いられている5質量%Sn−残部Biペースト(試料24)を超える高い熱伝導率を有していることが分かる。
また、本発明による試料1〜12の各高温鉛フリーはんだペーストは、ダイボンディング性、高温はんだ特性、接合信頼性の全てに優れており、高温はんだとして極めて良好なものであることが分かる。一方、比較例の試料13〜25のはんだペーストは、ダイボンディング性、高温はんだ特性、接合信頼性の1つ以上の特性において悪い評価となっている。
[実施例2]
Biはんだ粉として、上記実施例1と同様の方法により、0.5質量%Cu−3.0質量%Zn−残部Biの組成を有するでBiはんだ合金を製造した。一方、Cu金属粉として、上記実施例1と同様に通常のアトマイズ法を用いて純度99.9質量%以上のCu粉を製造し、その表面に所定の金属塩水溶液とヒドラジンを用いた還元処理により、下記表3に示す膜厚のAu、Ag又はCuからなる皮膜を有する被覆Cu粉を製造した。このCu粉を樹脂に埋め込み、研磨機を用い粗い研磨紙から順に細かいものを用いて研磨し、最後にバフ研磨を行い、その後、EPMA(装置名:SHIMADZU EPMA−1600)を用いてライン分析を行い、皮膜の膜厚を測定した。
Biはんだ粉として、上記実施例1と同様の方法により、0.5質量%Cu−3.0質量%Zn−残部Biの組成を有するでBiはんだ合金を製造した。一方、Cu金属粉として、上記実施例1と同様に通常のアトマイズ法を用いて純度99.9質量%以上のCu粉を製造し、その表面に所定の金属塩水溶液とヒドラジンを用いた還元処理により、下記表3に示す膜厚のAu、Ag又はCuからなる皮膜を有する被覆Cu粉を製造した。このCu粉を樹脂に埋め込み、研磨機を用い粗い研磨紙から順に細かいものを用いて研磨し、最後にバフ研磨を行い、その後、EPMA(装置名:SHIMADZU EPMA−1600)を用いてライン分析を行い、皮膜の膜厚を測定した。
得られたCu金属粉(被覆Cu粉)とBiはんだ粉(Bi合金粉)を下記表3に示す添加量で混合し、上記実施例1と同様にアルコールと還元性有機材料からなるフラックスを加えて混合することにより、下記表3に示す本発明による試料26〜31の各はんだペーストを製造した。尚、試料26〜31の全ての試料において、フラックスの添加量はCu金属粉とBiはんだ粉の合計100質量%に対し8質量%とした。
次に、上記試料26〜31の本発明による各はんだペーストについて、上記実施例1と同様の方法により、ダイボンディング性、高温はんだ特性、熱伝導率、及び接合信頼性を評価した。得られた結果を、下記表4に示した。
これらの結果から明らかなように、本発明による被覆Cu粉を含有した高温鉛フリーはんだペーストは、全て45W/mK以上の高い熱伝導率を有すると共に、ダイボンディング性、高温はんだ特性、接合性の全てにおいて優れており、高温はんだとして極めて良好なものであることが分かる。
[実施例3]
Biはんだ粉として、純度99.9質量%以上のBi、Cu、Ni、Te、Zn、Sn、Alと、純度99.95質量%以上のPとを用い、上記実施例1と同様の方法により、下記表5に示す組成を有する試料32〜43の各Bi合金粉を製造した。一方、Cu金属粉として、上記実施例1と同様にして、純度99.9質量%以上のCu粉の表面に膜厚0.2μmのAg皮膜を有する被覆Cu粉を製造した。
Biはんだ粉として、純度99.9質量%以上のBi、Cu、Ni、Te、Zn、Sn、Alと、純度99.95質量%以上のPとを用い、上記実施例1と同様の方法により、下記表5に示す組成を有する試料32〜43の各Bi合金粉を製造した。一方、Cu金属粉として、上記実施例1と同様にして、純度99.9質量%以上のCu粉の表面に膜厚0.2μmのAg皮膜を有する被覆Cu粉を製造した。
得られた被覆Cu粉とBi合金粉を、被覆Cu粉が35質量%及びBi合金粉が残部となるように混合し、上記実施例1と同様にアルコールと還元性有機材料からなるフラックスを加えて混合することにより、本発明による試料32〜43の各はんだペーストを製造した。尚、試料32〜43の全ての試料において、フラックスの添加量はCu金属粉とBiはんだ粉の合計100質量%に対し8質量%とした。
次に、上記本発明による試料32〜43の各はんだペーストについて、上記実施例1と同様の方法により、ダイボンディング性、高温はんだ特性、熱伝導率、及び接合信頼性を評価した。得られた結果を、下記表6に示した。
これらの結果から明らかなように、本発明による試料32〜43の各はんだペーストは、全て45W/m・K以上の高い熱伝導率を有すると共に、ダイボンディング性、高温はんだ特性及び接合信頼性の全てに優れており、高温はんだとして極めて良好なものであることが分かる。
Claims (2)
- Bi粉及びBi合金粉から選ばれた少なくとも1種のBiはんだ粉と、Cu金属粉と、残部のフラックスとからなり、Cu金属粉が純度97.5質量%以上、平均粒径1〜80μmのCu粉及び該Cu粉表面にAg、Au、Niの少なくとも1元素からなる膜厚1μm以下の皮膜を設けた被覆Cu粉から選ばれた少なくとも1種であって、Cu金属粉とBiはんだ粉の合計を100質量%としたとき、Cu金属粉の合計が8〜60質量%であることを特徴とする高温鉛フリーはんだペースト。
- 前記Bi合金粉が、次の(1)〜(4)のいずれかのBi合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の高温鉛フリーはんだペースト。
(1)Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金。
(2)Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金。
(3)Sn、Znの少なくとも1種を合計で0.1〜13.5質量%含有すると共に、Alを2.5質量%以下及び/又はPを0.5質量%以下含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金。
(4)Cu、Ni、Teの少なくとも1種を合計で0.1〜3質量%含有すると共に、Sn、Zn、Al、Pの少なくとも1種を合計で0.1〜16.0質量%含有し、残部がBi及び不可避不純物であるBi合金。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010128436A JP2011251329A (ja) | 2010-06-04 | 2010-06-04 | 高温鉛フリーはんだペースト |
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