JP2011249780A - 半導体基板の作製方法及び光電変換装置の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温での固相エピタキシャル成長法を用いて、結晶性の高いシリコン層を厚く形成した半導体基板を提供することを課題の一とする。その際、従来の気相エピタキシャル成長法と比べ、結晶成長速度を大きくすることを課題の一とする。
【解決手段】絶縁層を介してベース基板に設けられた単結晶シリコン層上に、堆積初期の一部で、単結晶シリコン層と結晶面の配列の揃った針状シリコン層が気相エピタキシャル成長するようにシリコン層を形成し、針状シリコン層を種結晶として、シリコン層の他部を固相エピタキシャル成長させて、単結晶及び前記結晶シリコン層の厚さが厚い半導体基板を作製する。
【選択図】図2

Description

絶縁表面に単結晶シリコン層が設けられた半導体基板の作製方法及び光電変換装置の作製方法に関する。
単結晶シリコンのインゴットを薄くスライスして作製される単結晶シリコン基板とともに、絶縁表面に薄い単結晶シリコン層を設けたシリコン・オン・インシュレータ(Silicon on Insulator、以下、「SOI」ともいう。)と呼ばれる半導体基板を使った集積回路が開発されている。SOI基板を使った集積回路は、トランジスタのドレインと基板間における寄生容量を低減し、半導体集積回路の性能を向上させるものとして注目を集めている。
SOI基板を作製する方法としては、水素イオン注入剥離法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。水素イオン添加剥離法は、単結晶シリコン基板に水素イオンを添加することによって表面から所定の深さに微小気泡層を形成し、該微小気泡層を劈開面とし、ベース基板に薄い単結晶シリコン層を接合するSOI基板の作製方法である。
上述のような方法で形成される単結晶シリコン層は、通常、50nm乃至300nm程度であって、非常に薄い。このため、上述のような方法で形成される単結晶シリコン層は、高集積、高速駆動、低消費電力が要求されるトランジスタの用途には極めて適している。一方で、パワーデバイスや光電変換装置などの用途を考える場合、耐圧の向上、光電変換効率の向上などの観点から、単結晶シリコン層に対して一定の厚さが要求される。
水素イオン注入剥離法を用いて形成される単結晶シリコン層の厚さは、主として、イオン注入の際の加速電圧に依存する。加速電圧を小さくすればイオン注入層は浅い領域に形成されるため、単結晶シリコン層は薄くなる。反対に、加速電圧を大きくすれば、単結晶シリコン層は厚くなる。
このことから、単結晶シリコン層を厚くするためには、単純に加速電圧を大きくすればよいことが分かる。しかしながら、現実には、加速電圧を大きくして厚い単結晶シリコン層を形成することは容易ではない。これは、量産に適したイオンの注入装置(大電流が実現可能な装置)を用いる場合、装置上の制限から、加速電圧を一定以上に大きくすることができないためである。電流が小さいイオン注入装置を用いる場合には加速電圧を高めることが可能だが、所定の注入量を得るためには時間を要することになり、生産性の面で好ましくない。また、100kVを超える高電圧でイオンを加速させる場合には、有害な放射線が発生することもあり、安全性の面で問題がある。
上述のような問題を解消するため、イオン注入の際の加速電圧によってではなく、エピタキシャル成長によって単結晶シリコン層を厚膜化する方法が検討されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1では、CVD(Chemical Vapor Deposition)法の気相成長(気相エピタキシャル成長)によって、シラン系ガスを水素還元させ、1100〜1200℃で単結晶シリコン層上にエピタキシャル成長させる。あるいは、分子線エピタキシー法により、600〜900℃でエピタキシャル成長させている。
特許文献2では、プラズマ励起CVD(PECVD)法などで単結晶半導体層の表面にアモルファスシリコン層を設ける。その後、1100℃以上、60分の熱処理により、単結晶半導体層を核としてアモルファスシリコン層を固相成長(固相エピタキシャル成長)させている。
特許文献3では、単結晶シリコン層上に結晶性の高いシリコン層を形成している。結晶性の高いシリコン層上に結晶性の低いシリコン層を形成し、熱処理をすることで単結晶を固相エピタキシャル成長させている。結晶性の高いシリコン層の形成は、シラン系ガスに対する水素ガスの流量比を50倍以上とするPECVD法により行う。このため、成長速度が小さい傾向にある。この方法で、単結晶シリコン層上に新たに500nmの結晶層が形成でき、ラマンスペクトルのピーク値519.1cm−1、半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)5.33cm−1が得られている。
特開2000−30995号公報 特開平11−74209号公報 特開2009−283923号公報
水素イオン注入剥離法では、低温で均一な単結晶シリコン薄膜を形成できる。また、単結晶シリコン薄膜を分離した後の単結晶シリコン基板を再利用することが可能であり、資源の有効活用を図ることができる。
水素イオン注入剥離法を用いる場合、イオンの加速電圧により単結晶シリコン基板に対するイオンの侵入深さが決まり、得られる単結晶シリコン層の厚さが決定されることになる。単結晶シリコン層は、光電変換装置の光電変換効率を高める厚さとすることが望ましい。
一方で、イオン注入装置の加速電圧には装置上の制限があり、また、加速電圧を高めることで安全上問題となる放射線の発生が懸念される。このため、加速電圧を高めて単結晶シリコン基板中の所望の深さまでイオンを侵入させることは容易ではない。また、従来の装置では、加速電圧を高めつつ大量のイオンを照射することは困難であり、所定の注入量を得るためには長時間を要するためタクトタイムが悪化するという懸念もある。
また、従来の作製方法では、エピタキシャル成長による成長速度を一定以上に高めることが難しいという問題がある。また、成長速度を高めるためには、高温で熱処理を行わなければならず、耐熱性の低い基板に応用することが不可能である。
上述のような課題を鑑み、厚膜化した結晶性の高いシリコン層を有する半導体基板を生産性高く提供することを課題の一とする。
また、限りある資源を有効活用しつつ、優れた光電変換特性を有する光電変換装置を提供することを課題の一とする。
本発明の一様態は、絶縁層を介してベース基板上に設けられた単結晶シリコン層を用意し、基板温度280℃超過ベース基板の歪み点未満で、かつシリコンを含む堆積性ガスを希釈しないで用いるPECVD法により、単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、その後の熱処理で前記針状結晶領域を種結晶として、前記シリコン層の他部を固相成長させて、前記シリコン層を結晶シリコン層とすることである。ここでシリコンを含む堆積性ガスとは、SiHやSiなどのシラン系ガスに加えSiFなども含まれる。
また、本発明の一様態は、絶縁層を介してベース基板上に設けられた単結晶シリコン層を用意し、レーザービーム照射で単結晶シリコン層の一部、または全部を溶融し、再結晶化し、平坦化と欠陥の回復を行い、基板温度280℃超過ベース基板の歪み点未満で、電力密度は612mW/cm未満、好ましくは102mW/cm以上255mW/cm以下、かつシラン系ガスを希釈しないで用いるPECVD法により、単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、その後の熱処理で前記針状結晶領域を種結晶として、前記シリコン層の他部を固相成長させて、前記シリコン層を結晶シリコン層とすることである。
また、本発明の一様態は、単結晶シリコン基板に水素イオンを照射することによって表面から所定の深さに脆化領域を形成し、該脆化領域を劈開面とし、単結晶シリコン基板を劈開することで、ベース基板に薄い単結晶シリコン層を接合するものである。次に、半導体基板を構成する薄膜の単結晶シリコン層上に、単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、その後の熱処理で前記針状結晶領域を種結晶として、前記シリコン層の他部を固相成長させて、前記シリコン層を結晶シリコン層とすることである。当該シリコン層の形成方法は、シラン系ガスを希釈せずに用い、基板温度280℃超過ベース基板の歪み点未満とし、かつ電力密度が612mW/cm未満のPECVD法により形成することができる。基板温度を280℃超過とすることで、基板表面での成膜種のマイグレーションが起こりやすくなり、下地である単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を形成することができる。一方、電力密度が612mW/cm以上のとき、基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間を堆積速度が上回り、針状結晶領域を形成することができなくなる。また、シリコン層中の平均水素濃度を2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満とすることができ、シリコン層の歪みが小さくなり、シリコン層の剥離を抑制することができる。なお、単位がatoms/cmである濃度は二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)によって測定可能である。
なお、本明細書において、水素イオン照射工程は、イオン注入法、もしくはイオンドーピング法を用いることができる。また、シリコンを含む堆積性ガスを希釈せずに用いるとは、シリコンを含む堆積性ガスが希釈されるような意図的な他のガス等の混合を除くという意味である。例えば水素等をシラン系ガスと共にCVD装置のチャンバーに加えるような、他のガス等の混合を除くものである。換言すれば、本明細書でのシリコンを含む堆積性ガスを希釈せずに用いるとは、チャンバー内の雰囲気をシリコンを含む堆積性ガスのみとすることを指すものである。しかし、シリコンを含む堆積性ガスに対して制御不能な他成分の含有をも排除するものではない。
なお、本明細書において、単結晶とは、結晶構造が一定の規則性を持って形成されており、どの部分においても結晶軸が一定の方向を向いているものをいう。もっとも、本明細書においては、欠陥や格子歪みなどの規則性の乱れを除外するものではない。また、同じ結晶方位である、とは、結晶の面方位がプラスマイナス10度の範囲の角度揺らぎを持つものを含む。
本発明の一様態では、単結晶シリコン層上に針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、その後の熱処理を行うことによって、結晶性の高い結晶シリコン層を有する半導体基板を生産性高く作製できる。また、本発明の一様態により、単結晶シリコン層上に形成されるシリコン層は剥離しにくいため、半導体基板の歩留まりを向上することができる。また、上記半導体基板を用いることで、資源を有効活用し、生産性よく、かつ歩留まりよく、優れた光電変換特性を有する光電変換装置を提供することができる。
半導体基板の作製方法の一例を示す断面図。 半導体基板の作製方法の一例を示す断面図。 半導体基板の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の一例を示す平面図及び断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置のユニットセルの断面図と対応するエネルギーバンド図。 実施例における観察結果を示す図。 実施例における観察結果を示す図。 実施例における観察結果を示す図。 実施例における観察結果を示す図。 比較例における観察結果を示す図。 比較例における観察結果を示す図。 比較例における観察結果を示す図。 比較例における観察結果を示す図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の作製方法の一例を示す断面図。 光電変換装置の一例を示す断面図。 タンデム型の光電変換装置の一例を示す断面図。 タンデム型の光電変換装置の一例を示す断面図。 タンデム型の光電変換装置のユニットセルの断面図と対応するエネルギーバンド図。 スタック型の光電変換装置の一例を示す断面図。 スタック型の光電変換装置のユニットセルの断面図と対応するエネルギーバンド図。 太陽光発電モジュールの構成を説明する概念図である。 太陽光発電システムの例を説明する概念図である。
本発明の一態様に係る実施の形態及び実施例について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。従って、実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の一態様において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
また、以下に説明する実施の形態において、特に断りがない限り、本明細書に記載されている他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態1)
図1を用いて、半導体層が設けられた基板の作製方法の一例について説明する。具体的には、絶縁層を介して単結晶シリコン層が設けられた基板の作製方法(半導体基板の作製方法)について説明する。
はじめに、ベース基板上に単結晶シリコン層を設ける方法について説明する。
まず、単結晶シリコン基板100を準備する(図1(A)参照。)。
市販の単結晶シリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的であり、いずれのサイズの単結晶シリコン基板も用いることができる。なお、単結晶シリコン基板100の形状は円形に限られず、矩形状等に加工して用いることも可能である。
次に、単結晶シリコン基板100の表面に絶縁層101を形成する(図1(B)参照。)
絶縁層101は単層構造でも2層以上の積層構造でもよいが、その表面は一定の平坦性を有していることが好ましい。一定の平坦性を有することにより、強固な貼り合わせが実現されるためである。例えば、平均面粗さ(Ra)が、0.5nm以下となるように絶縁層101を形成する。より好ましくは0.3nm以下である。なお、本明細書における平均面粗さ(Ra)とは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを、面に対して適用できるよう拡張したものである。また、最表面は、親水性を有していることが望ましい。上記絶縁層101としては、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層などを形成することができる。絶縁層101の形成方法としては、PECVD法、光CVD法、熱CVD法などのCVD法を挙げることができる。特に、PECVD法を適用することで、平均面粗さ(Ra)が0.5nm以下(好ましくは0.3nm以下)の平坦な絶縁層101を形成することができる。
なお、上記絶縁層101としては、特に、有機シランを用いてCVD法により作製される酸化シリコン層を用いるとよい。有機シランとしては、珪酸エチル(TEOS:Si(OC)、トリメチルシラン(TMS:(CHSiH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等を用いることができる。もちろん、モノシラン、ジシラン、またはトリシラン等の無機シランを用いて、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを形成してもよい。
ここで、酸化窒化シリコンとは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上25原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計が100原子%を超えない値をとる。
本実施の形態では、熱酸化法を用いて絶縁層101(ここでは、SiO)を形成する方法を示す。この場合には、主成分のガスを酸素(O)として、ハロゲンを含む酸化性雰囲気中で熱酸化することが好ましい。例えば、塩素(Cl)を含む酸化性雰囲気中で単結晶シリコン基板100に熱酸化処理を行うことにより、塩素酸化された絶縁層101を形成する。この場合、絶縁層101は、塩素原子を含有する絶縁層となる。絶縁層101中に含有された塩素原子は、歪みを形成する。その結果、絶縁層101の水分吸収割合が向上し、拡散速度が増大する。つまり、絶縁層101表面に水分が存在する場合に、当該表面に存在する水分を絶縁層101中が素早く吸収し、拡散させることができる。
熱酸化処理の一例としては、酸素に対し塩化水素(HCl)を0.5〜10体積%(代表的には3体積%)の割合で含む酸化性雰囲気中で、900℃〜1150℃の温度(代表的には1000℃)で行うことができる。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。熱酸化処理により形成される酸化膜の厚さは、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜300nm)、例えば100nmとすればよい。
次に、絶縁層101を介して運動エネルギーを有する水素イオン103を単結晶シリコン基板100全面に照射する(図1(C)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板100の表面から所定の深さに結晶構造が損傷された脆化領域105を形成することができる(図1(D)参照。)。
水素イオン照射工程は、イオンドーピング装置によるイオンドーピング法、またはイオン注入装置によるイオン注入法で行うことができる。
本実施の形態においては、イオンドーピング装置を用いることで、質量分離されていないイオンを単結晶シリコン基板100に照射する例を示す。イオンドーピング装置としては、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全てのイオン種をチャンバー内に配置された被処理体に照射する非質量分離型の装置である。本明細書においては、イオンドーピング装置を用いて、ソースガス(原料ガス)から生成されるイオンを質量分離せず対象物に照射する方法を「イオンドーピング法」と呼ぶ。
イオンドーピング装置の主要な構成は、被処理物を配置するチャンバーと、所望のイオンを発生させるイオン源と、イオンを加速し、照射するための加速機構である。イオン源は、所望のイオン種を生成するためのソースガスを供給するガス供給装置、ソースガスを励起して、プラズマを生成させるための電極等で構成される。プラズマを形成するための電極としては、フィラメント型の電極や容量結合高周波放電用の電極等が用いられる。加速機構は、引出電極、加速電極、減速電極、接地電極等の電極、及びこれらの電極に電力を供給するための電源等で構成される。加速機構を構成する電極には複数の開口やスリットが設けられており、イオン源で生成されたイオンは電極に設けられた開口やスリットを通過して加速される。なお、イオンドーピング装置の構成は上述したものに限定されず、必要に応じた機構が設けられる。
なお、イオンを照射する装置としては、イオンドーピング装置の他にイオン注入装置がある。イオン注入装置は、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に照射する装置(質量分離型の装置)であり、この点でイオンドーピング装置とは大きく異なるものである。
続いて、ベース基板130を準備する(図1(E)参照。)。ベース基板130を用いるに際し、ベース基板130の表面を予め洗浄しておくことが好ましい。具体的には、ベース基板130の表面を、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ化水素酸(DHF)等を用いて超音波洗浄を行う。このような洗浄処理を行うことによって、ベース基板130表面の平坦化の実現や残存する研磨粒子を除去することができる。
ベース基板130としては、絶縁基板を用いることが好ましい。絶縁基板の具体例としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種のガラス基板や、石英基板、セラミック基板、サファイア基板、プラスチック基板がある。また、ベース基板130として単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基板)や多結晶半導体基板(例えば、多結晶シリコン基板)を用いることも可能であるが、量産性やコストの面を考慮すると、大面積化が可能で安価な絶縁基板を用いることが好ましい。本実施の形態では、ベース基板130として絶縁基板の一つであるガラス基板を用いる。
なお、ベース基板130上に窒化シリコン層や窒化酸化シリコン層などの窒素を含有するシリコン絶縁層を形成し、これを絶縁層101と密着させる構成としてもよい。この場合、ベース基板130からのアルカリ金属やアルカリ土類金属などによる半導体の汚染を防止できる。
次に、絶縁層101を介して単結晶シリコン基板100とベース基板130とを貼り合わせる(図1(F)参照。)。
なお、上記貼り合わせを行う前に、ベース基板130の表面を酸素プラズマ処理またはオゾン処理して、その表面を親水性にしてもよい。この処理によって、ベース基板130の表面に水酸基が付加するため、貼り合わせに係る界面に水素結合を形成することができる。
次に、熱処理を行い、脆化領域105において単結晶シリコン基板100を分離することにより、ベース基板130上に単結晶シリコン層131を設ける(図1(G)参照。)。熱処理を行うことにより、脆化領域105に微小な孔が形成され、この微小な孔の中にイオンの照射により添加された元素が析出し、微小な孔の内部の圧力が上昇する。当該圧力の上昇によって脆化領域105の微小な孔に体積変化が起こり、脆化領域105に亀裂が生じるため、脆化領域105に沿って単結晶シリコン基板100が分離する。この結果、単結晶シリコン基板100から分離された単結晶シリコン層131が、絶縁層101を介してベース基板130上に形成される。分離後に形成される単結晶シリコン層131の厚さは、例えば10nm以上500nm以下とすればよく、好ましくは50nm以上200nm以下とする。なお、熱処理を行うための加熱手段としては、抵抗加熱炉等の加熱炉、RTA(瞬間熱アニール、Rapid Thermal Anneal)装置、マイクロ波加熱装置等を用いることができる。例えば、RTA装置を用いる場合、加熱温度550℃以上730℃以下、処理時間0.5分以上60分以内で加熱すればよい。
なお、ベース基板上に単結晶シリコン層を設ける方法として、上記方法の代わりに以下の方法を用いることができる。単結晶シリコン基板の表面を陽極化成して多孔質シリコン層を形成する。次に、当該多孔質シリコン層上に単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる。次に、単結晶シリコン層上に酸化シリコン層を形成する。次に、ベース基板及び酸化シリコン層を貼り合わせた後、ウォータージェットなどで単結晶基板から単結晶シリコン層を分離する方法を用いて、ベース基板上に単結晶シリコン層131を形成してもよい。
上述のようにして得られた半導体基板上に、結晶シリコン層をエピタキシャル成長する方法を図2を用いて説明する。
図1(G)で作製した半導体基板を用意する(図2(A)参照。)。
次に、単結晶シリコン層131上にPECVD法によりシリコン層136を形成する(図2(B)参照。)。シリコン層136は堆積初期の針状結晶領域132及び、非晶質シリコン層133で構成される。針状結晶領域132は、シリコン層136を形成する際に、下地である単結晶シリコン層131と同じ結晶方位である結晶シリコンが気相エピタキシャル成長することで形成される。つまり、シリコン層136を構成する針状結晶領域132と非晶質シリコン層133は一度に形成される。なお、ここで発生させるプラズマは、例えばRF(3〜30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHz)プラズマ、VHFプラズマ(30MHz〜300MHz、代表的には60MHz)、マイクロ波(1Ghz以上、代表的には2.45GHz)プラズマを用いることができる。また、プラズマはパルス発振により発生させることが好ましい。
シリコン層136は、原料ガスとして、シリコンを含む堆積性ガス、例えばSiHのみを用いて形成する。ここでシリコンを含む堆積性ガスは、SiやSiFなども含まれる。このとき、電力密度は612mW/cm未満とする。好ましくは102mW/cm以上255mW/cm以下とする。例えば、60MHzの高周波電源を用いることができる。このとき、基板温度を280℃超過ベース基板の歪み点未満、好ましくは400℃以上ベース基板の歪み点未満とすることで、ベース基板130表面で成膜種のマイグレーションが起きやすくなり、下地である単結晶シリコン層131と同じ結晶方位である針状結晶領域132を形成することができる。一方、電力密度が612mW/cm以上のとき、基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間を堆積速度が上回り、針状結晶領域を形成することができなくなる。そのため、電力密度は基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間に対し、十分堆積速度が遅くなるようにする。ただし、電力密度が小さすぎると、厚さを十分厚くするための時間が長くなるため、電力密度を制御することが望ましい。
なお、シリコン層中に含有させた水素の存在により、固相エピタキシャル成長時のシリコンの再配列を円滑に進行させることができる。シリコンを含む堆積性ガスを水素希釈すると、シリコンに結合された水素原子が脱離しやすくなり、シリコン層中の水素量が少なくなってしまう。したがって、水素希釈またはその他のガスでシリコンを含む堆積性ガスを希釈しないことで、形成した非晶質シリコン層中に水素を含有させるとよい。シリコンを含む堆積性ガスとしては、上記のSiHを用いることに限定されず、SiやSiFを用いてもよい。
このとき、非晶質シリコン層133中の平均水素濃度を2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満とすると、固相エピタキシャル成長が進行しやすくなり、かつ非晶質シリコン層133の歪みを低減し、剥離を抑制することができて好ましい。
PECVD法を用いて、シリコン層136を形成する際のその他の条件は、チャンバー内圧力が150Pa、電極間隔が10mm、SiHガス流量が800sccmである。なお、上記の形成条件は一例に過ぎず、本実施の形態はこれに限定して解釈されるものではない。
なお、シリコン層136の形成を行う前に、単結晶シリコン層131の表面に形成されている自然酸化層などの酸化層は除去しておくことが好ましい。これは、単結晶シリコン層131の表面に酸化層が存在する場合には、単結晶シリコン層131の直上からエピタキシャル成長を進行させることができず、結晶性が低下してしまうためである。ここで、上記の酸化層の除去は、フッ化水素酸系の溶液または水素プラズマなどの暴露により行うことができる。
その後、窒素などの不活性雰囲気中で500℃超過ベース基板歪み点未満で熱処理を行う。熱処理は抵抗加熱炉、RTA装置やマイクロ波加熱装置を用いることができる。なお、最大温度に上昇させる前に、シリコン層形成時の基板温度以上シリコン層の固相エピタキシャル成長が起こる温度未満で1時間から2時間程度保持しておくと好ましい。こうすることで、シリコン層中で緩やかな脱水素化が起こり、急熱した場合と比べシリコン層の剥離を抑制することができる。また、脱水素化により欠陥が生じるため、固相エピタキシャル成長に係るシリコン原子の再配列が助長されることで、より結晶性の高いシリコン層をエピタキシャル成長させることができる。本実施の形態では抵抗加熱炉を用いて600℃の温度で1時間の熱処理を行う。これにより、非晶質シリコン層133が固相エピタキシャル成長する。本実施の形態により、厚さの厚い結晶シリコン層134を形成することができる(図2(C)参照。)。この際、針状結晶領域132は種結晶として機能し、上層の非晶質シリコン層133をエピタキシャル成長させることができる。
当該エピタキシャル成長させるための熱処理により、同時に単結晶シリコン層131において、水素イオン照射時に生じた欠陥などの回復が起こり、より結晶性の高い単結晶シリコン層135とすることができる。
以上により、厚膜化された結晶シリコン層を有する半導体基板を得ることができる。本実施の形態では、従来の固相エピタキシャル成長を用いた手法と比較すると、非常に低温で固相エピタキシャル成長させることができる。これは、固相エピタキシャル成長させるシリコン層の形成方法によるものである。シリコン層中に水素を多く含有させ、固相エピタキシャル成長時に、層中の水素を放出することでシリコン結合の再配列が助長されることに加え、種結晶として針状結晶領域が存在することにより、低温の熱処理でも良好に固相エピタキシャル成長を行うことができる。
また、本実施の形態では、エピタキシャル成長するシリコン層の成長速度を大きくすることができるため、半導体基板作製におけるスループットを向上することができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、さらに、結晶性の高い結晶シリコン層を有する半導体基板の作製方法について、図1及び図3を用いて説明する。本実施の形態では、実施の形態1において、単結晶シリコン層131をベース基板130へ転載した後、レーザービーム照射により、単結晶シリコン層131を再結晶化し、同時に平坦化、欠陥の回復を行う形態を示す。従って、実施の形態1と同一部分または同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態1と同様に、図1(A)乃至図1(G)の工程を経て、単結晶シリコン層131をベース基板130に転載する。なお、ベース基板上に単結晶シリコン層を設ける方法として、上記方法の代わりに以下の方法を用いることができる。単結晶シリコン基板の表面を陽極化成して多孔質シリコン層を形成する。次に、当該多孔質シリコン層上に単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる。次に、単結晶シリコン層上に酸化シリコン層を形成する。次に、ベース基板及び酸化シリコン層を貼り合わせた後、ウォータージェットなどで単結晶基板から単結晶シリコン層を分離する方法を用いて、ベース基板上に単結晶シリコン層131を形成してもよい。
次に、単結晶シリコン層131に対し、レーザービーム140を照射する(図3(A)参照。)。レーザービーム140を単結晶シリコン層131に照射して、単結晶シリコン層131の一部または全部を溶融し、再結晶化させることで、単結晶シリコン層131の結晶欠陥を回復することができる。レーザービームの照射による単結晶シリコン層の溶融は、部分溶融とすることが好ましい。単結晶シリコン層を完全溶融させた場合は、液相となった後の単結晶シリコンが無秩序な核発生により微結晶化し、結晶性が低下するおそれがあるからである。これに対し、単結晶シリコン層を部分溶融させた場合は、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行するため、結晶性を低下させることなく、結晶欠陥を回復することができる。なお、本明細書において、完全溶融とは、単結晶シリコン層が下部界面付近まで溶融されて、液相状態になることをいう。部分溶融とは、単結晶シリコン層の一部(例えば上層部)は溶融されて液相となるが、その他(例えば下層部)は溶融せずに固相のままであることをいう。
例えば、単結晶シリコン層131に対し、レーザービーム140を照射することで、単結晶シリコン層131の少なくとも表面側は溶融し、固相状態の下層部をシード層として、その後の冷却過程で再結晶化する。その過程で表面が平坦化し結晶欠陥が回復した単結晶シリコン層141が形成される(図3(B)参照。)。レーザービーム140としては、例えば、XeClエキシマレーザーやYAGレーザーの第2高調波を適用することが好ましい。
単結晶シリコン層131の結晶欠陥を低減する方法としてレーザービーム処理を適用すると、ベース基板130が直接加熱されず、該ベース基板130の温度上昇を抑えることができるため好ましい。特に、ベース基板130として耐熱性の低いガラス基板を適用する場合には、レーザービーム処理による結晶欠陥回復が好適である。
また、上記レーザービーム処理のとき、少なくともレーザービーム140の照射領域は250℃乃至600℃の温度に加熱されていることが好ましい。照射領域を加熱しておくことで、レーザービーム140の照射による溶融時間を長くすることができ、欠陥の回復を効果的に行うことができる。レーザービーム140は単結晶シリコン層131の表面側を溶融させるものの、ベース基板130はほとんど加熱しないので、ガラス基板のような耐熱性の低いベース基板を用いることが可能になる。
次に、単結晶シリコン層141上にPECVD法によりシリコン層146を形成する(図3(C)参照。)。シリコン層146は膜成長初期の針状結晶領域142、及び非晶質シリコン層143で構成される。シリコン層146を構成する針状結晶領域142と非晶質シリコン層143は一度に形成される。なお、ここで発生させるプラズマは、例えばRF(3〜30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHz)プラズマ、VHFプラズマ(30MHz〜300MHz、代表的には60MHz)、マイクロ波(1Ghz以上、代表的には2.45GHz)プラズマを用いることができる。また、プラズマはパルス発振により発生させることが好ましい。
シリコン層146は、シリコンを含む堆積性ガス、例えばSiHのみで形成する。このとき、電力密度は612mW/cm未満とする。好ましくは102mW/cm以上255mW/cm以下とする。例えば、60MHzの高周波電源を用いることができる。このとき、基板温度を280℃超過ベース基板の歪み点未満、好ましくは400℃以上ベース基板の歪み点未満とすることで、ベース基板130表面で成膜種のマイグレーションが起きやすくなり、単結晶シリコン層141と同じ結晶方位である針状結晶領域142を形成することができる。一方、電力密度が612mW/cm以上のとき、基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間を堆積速度が上回り、針状結晶領域を形成することができなくなる。そのため、電力密度は基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間に対し、十分堆積速度が遅くなるようにする。ただし、電力密度が小さすぎると、厚さを十分厚くするための時間が長くなるため、電力密度を制御することが望ましい。
このとき、非晶質シリコン層143中の平均水素濃度を2×1018以上3.5×1021未満とすると、固相エピタキシャル成長が進行しやすく、かつ非晶質シリコン層143の歪みを低減し、剥離を抑制することができて好ましい。
PECVD法を用いて、シリコン層146を形成する際のその他の条件は、チャンバー内圧力が150Pa、電極間隔が10mm、SiHガス流量が800sccmである。なお、上記の形成条件は一例に過ぎず、本実施の形態はこれに限定して解釈されるものではない。
なお、シリコン層146の形成を行う前に、単結晶シリコン層141表面に形成されている自然酸化層などの酸化層は除去しておくことが好ましい。これは、単結晶シリコン層141の表面に酸化層が存在する場合には、単結晶シリコン層141からエピタキシャル成長を進行させることができず、結晶性が低下してしまうためである。ここで、上記の酸化層の除去は、フッ化水素酸系の溶液または水素プラズマなどを用いて行うことができる。
その後、窒素などの不活性雰囲気中で500℃超過ベース基板歪み点未満で熱処理を行う。熱処理は抵抗加熱炉、RTA装置やマイクロ波加熱装置を用いることができる。なお、最大温度に上昇させる前に、成膜時の基板温度以上固相エピタキシャル成長が起こる温度未満で1時間から2時間程度保持しておくと好ましい。本実施の形態では抵抗加熱炉を用いて600℃の温度で1時間の熱処理を行う。これにより、非晶質シリコン層143が固相エピタキシャル成長する。本実施の形態により、厚さの厚い結晶シリコン層144を形成することができる(図3(D)参照。)。この際、針状結晶領域142は種結晶として機能し、上層の非晶質シリコン層143をエピタキシャル成長させることができる。
当該レーザービーム照射により、単結晶シリコン層131の分離時に生じた表面凹凸を低減し、さらには水素イオン照射時に生じた結晶欠陥の回復ができる。そのため、結晶シリコン層144は平坦で結晶欠陥を少なくすることができる。本実施の形態で作製する半導体基板の結晶性について、実施例1にて後述する。
以上により、平坦化かつ厚膜化された単結晶シリコン層を有する半導体基板を得ることができる。また、本実施の形態では、エピタキシャル成長するシリコン層の成長速度を大きくすることができる。また、表面の凹凸が少ないため、改めての表面研磨等の平坦化処理を行う必要がなく、半導体基板作製におけるスループットを向上することができる。
本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1及び実施の形態2の方法で作製した半導体基板を用いて光電変換装置を作製する形態を示す。従って、実施の形態1、実施の形態2と同一部分または同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図4(A)に、本実施の形態に係る光電変換装置200の上面の模式図(平面図)を示す。また、図4(B)に、本実施の形態に係る光電変換装置200の断面の模式図を示す。なお、図4(B)は、図4(A)中のO−P切断線に対応する断面図の一形態である。
本実施の形態で示す光電変換装置200は、ベース基板202上に、絶縁層204、第1の電極206、ユニットセル220が順に積層された構造を有している。ここで、ユニットセル220は、一導電型の第1の不純物半導体層208、単結晶シリコン層251、結晶シリコン層253、及び前記一導電型とは異なる導電型である第2の不純物半導体層214の積層構造となっている。
上記第1の電極206のユニットセル220が形成されていない領域には、補助電極216が形成されており、これにより、電気エネルギーの外部への取り出しを可能としている。また、ユニットセル220上には第2の電極218が形成されている。つまり、電気エネルギーを外部に取り出すための電極は、ベース基板202の一方の面に露出するように形成されていることになる。なお、第2の電極218は、格子状(櫛状、櫛形、櫛歯状)になっている。このような形状とすることにより、ユニットセル220の受光面積を十分に大きくすることができる。
ベース基板202は、実施の形態1に示すベース基板130に列挙する絶縁表面を有する基板または絶縁基板を用いることができる。
絶縁層204はベース基板202と第1の電極206とを接着する機能を有している。この意味において、絶縁層204を接合層と呼ぶことができる。また、第1の電極206はユニットセル220と接して形成されているため、ユニットセル220は絶縁層204によってベース基板202に固定されることになる。
なお、絶縁層204のベース基板202(または第1の電極206)との貼り合わせに係る表面は、一定の平坦性を有していることが好ましい。一定の平坦性を有することにより、強固な貼り合わせが実現されるためである。例えば、平均面粗さ(Ra)が、0.5nm以下となるように絶縁層204を形成する。より好ましくは0.3nm以下である。
ユニットセル220において、第1の不純物半導体層208と、第2の不純物半導体層214は、所定の導電型を付与する不純物元素が添加されたシリコン層である。ここで、第1の不純物半導体層208と、第2の不純物半導体層214とは、異なる導電型が付与されている。つまり、第1の不純物半導体層208をp型とする場合には、第2の不純物半導体層214はn型となり、第1の不純物半導体層208をn型とする場合には、第2の不純物半導体層214はp型となる。p型を付与する不純物元素としてはホウ素、アルミニウムなどの第13族元素を用いることができ、n型を付与する不純物元素としてはリン、ヒ素などの第15族元素を用いることができる。
単結晶シリコン層251は、単結晶シリコン基板を分割して形成することができる。例えば、単結晶シリコン基板中に水素などのイオンを高濃度に導入することで脆化領域を形成し、単結晶基板とベース基板とを貼り合わせた後で、該脆化領域において単結晶シリコン基板を分割しベース基板に転写する。その後レーザービーム照射を行うことで単結晶シリコン層251を形成することができる。上記の単結晶シリコン基板としては、単結晶シリコンウエハを用いればよい。なお、ベース基板上に単結晶シリコン層を設ける方法として、上記方法の代わりに以下の方法を用いることができる。単結晶シリコン基板の表面を陽極化成して多孔質シリコン層を形成する。次に、当該多孔質シリコン層上に単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させる。次に、単結晶シリコン層上に酸化シリコン層を形成する。次に、ベース基板及び酸化シリコン層を貼り合わせた後、ウォータージェットなどで単結晶基板から単結晶シリコン層を分離する方法を用いて、ベース基板上に単結晶シリコン層251を形成してもよい。レーザービームとしては、例えば、XeClエキシマレーザーやYAGレーザーの第2高調波を適用することが好ましい。
結晶シリコン層253は、単結晶シリコン層251上に形成したシリコン層を元に形成する。具体的には、該シリコン層に加熱処理を施して、単結晶シリコン層251を種結晶とするエピタキシャル成長を進行させて結晶シリコン層253を形成する。
ここで、結晶シリコン層253となるシリコン層は、実施の形態1で、図2(C)に示した結晶シリコン層134と同様の方法で形成する。
光電変換効率を考慮すると、単結晶シリコン層251と結晶シリコン層253とを合わせた厚さは800nm以上とし、好ましくは10μm以上とする。単結晶シリコン層251の厚さは、10nm以上500nm以下とすればよく、好ましくは50nm以上200nm以下程度とし、結晶シリコン層253の厚さは300nm以上、好ましくは10μm以上とする。
なお、上記単結晶シリコン層251と結晶シリコン層253の導電型は異なる場合がある。例えば、p型の単結晶シリコン基板を用いて作製した単結晶シリコン層251はp型となり、n型の単結晶シリコン基板を用いて作製した単結晶シリコン層251はn型となる。一方で、結晶シリコン層253は、形成の際の原料ガスに導電型を付与する不純物を含まない場合にはi型(真性半導体)となる。
次に、本実施の形態に係る光電変換装置200の製造方法の一例について、図5乃至図7を参照して説明する。
はじめに、単結晶シリコン基板203を準備する。該単結晶シリコン基板203は、その一表面から所定の深さの領域に脆化領域205が形成され、一表面付近には第1の不純物半導体層208が形成されている。また、単結晶シリコン基板203の一表面上(第1の不純物半導体層208上)には第1の電極206と絶縁層204が順に形成されている(図5(E)参照。)。
脆化領域205、第1の不純物半導体層208、第1の電極206、絶縁層204の形成順序は特に限定されず、例えば、以下の(1)乃至(4)に示す順序を採用することができる。
(1)単結晶シリコン基板の一表面上に保護層を形成し、該保護層の表面から一導電型を付与する不純物元素を照射して単結晶シリコン基板の一表面側に第1の不純物半導体層を形成した後、保護層の表面からイオンを照射して単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に脆化領域を形成する。保護層を除去した後、第1の不純物半導体層上に第1の電極を形成し、該第1の電極上に絶縁層を形成する。
(2)単結晶シリコン基板の一表面上に保護層を形成し、該保護層の表面にイオン照射して単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に脆化領域を形成した後、保護層の表面から一導電型を付与する不純物元素を照射して単結晶シリコン基板の一表面側に第1の不純物半導体層を形成する。保護層を除去した後、第1の不純物半導体層上に第1の電極を形成し、該第1の電極上に絶縁層を形成する。
(3)単結晶シリコン基板の一表面上に第1の電極を形成する。該第1の電極の表面にイオンを照射して単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に脆化領域を形成する。さらに、第1の電極の表面に一導電型を付与する不純物元素を照射して、単結晶シリコン基板の一表面側に第1の不純物半導体層を形成する。その後、第1の電極上に絶縁層を形成する。
(4)単結晶シリコン基板の一表面上に第1の電極を形成する。該第1の電極の表面に一導電型を付与する不純物元素を照射して、単結晶シリコン基板の一表面側に第1の不純物半導体層を形成する。さらに、第1の電極の表面にイオンを照射して単結晶シリコン基板の所定の深さの領域に脆化領域を形成した後、第1の電極上に絶縁層を形成する。
なお、本実施の形態では、上記(1)の場合について、図5を用いて説明する。
まず、単結晶シリコン基板203の一表面上に保護層207を形成する。そして、保護層207の表面に一導電型を付与する不純物元素230を照射する(図5(A)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板203に不純物元素230を添加して、第1の不純物半導体層208を形成することができる(図5(B)参照。)。
単結晶シリコン基板203の平面形状は特に限定されないが、後に固定するベース基板が矩形の場合には、単結晶シリコン基板203も矩形とすることが望ましい。また、単結晶シリコン基板203の表面は、鏡面研磨されていることが望ましい。
保護層207としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることが好ましい。作製方法としては、例えば、PECVD法やスパッタリング法などを用いればよい。また、酸化性の薬液や酸素ラジカルにより単結晶シリコン基板203の表面を酸化処理することで、保護層207を形成することができる。または、熱酸化法により単結晶シリコン基板203の表面を酸化して保護層207を形成してもよい。保護層207を形成することで、単結晶シリコン基板203に脆化領域を形成する際、または単結晶シリコン基板203に一導電型を付与する不純物元素230を添加する際に、単結晶シリコン基板203の表面が損傷することを防ぐことができる。
第1の不純物半導体層208は、単結晶シリコン基板203に一導電型を付与する不純物元素230を添加することで形成される。なお、単結晶シリコン基板203上には保護層207が形成されているため、一導電型を付与する不純物元素230は保護層207を通過して単結晶シリコン基板203に添加されることになる。ここで、第1の不純物半導体層208の厚さは、10nm乃至150nm、好ましくは10nm乃至50nmとする。
上記一導電型を付与する不純物元素230としては、例えば、ホウ素を用いる。これにより、p型の第1の不純物半導体層208を形成することができる。なお、第1の不純物半導体層208は、熱拡散法により形成することもできる。ただし、熱拡散法では、900℃程度またはそれ以上の高温処理が行われるため、脆化領域を形成する前に行うことが必要となる。
上記の方法で形成される第1の不純物半導体層208は、光入射面とは反対側の面に配置されることになる。ここで、単結晶シリコン基板203としてp型基板を用いる場合には、第1の不純物半導体層208は、高濃度のp型領域となる。これにより、光入射面とは反対側から、高濃度p型領域と低濃度p型領域が順に配置されることになり、裏面電界(BSF;Back Surface Field)が形成される。すなわち、高濃度p型領域には電子が入り込むことができず、光励起により生じたキャリアの再結合を低減することができる。
次に、保護層207の表面にイオン240を照射する(図5(C)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板203中に脆化領域205を形成することができる(図5(D)参照。)。ここで、イオン240としては、水素を含む原料ガスを用いて生成するイオン(特に、H、H 、H など)を用いることが好ましい。なお、脆化領域205が形成される深さは、イオン240を照射する際の加速電圧によって制御される。また、脆化領域205を形成する深さによって単結晶シリコン基板203から分離される単結晶シリコン層の厚さが決定される。
脆化領域205は、単結晶シリコン基板203の表面(正確には、第1の不純物半導体層208の表面)から500nm以下の深さ、好ましくは400nm以下の深さ、より好ましくは50nm以上300nm以下の深さに形成する。脆化領域205を浅い領域に形成することで、分離後の単結晶シリコン基板が厚く残存するため、単結晶シリコン基板の繰り返し利用回数を増加させることができる。ただし、脆化領域205を浅い領域に形成する場合には、加速電圧を低くすることになるため、生産性などについての考慮が必要となる。
上記イオン240の照射は、イオンドーピング装置やイオン注入装置を用いて行うことができる。イオンドーピング装置は通常、質量分離を伴わないため、単結晶シリコン基板203が大型化しても、単結晶シリコン基板203の全面に均一にイオン240を照射することができる。
なお、第1の不純物半導体層208を通じて上記のイオン240を照射することになるため、第1の不純物半導体層208の水素化を兼ねることもできる。
上記脆化領域205の形成後、保護層207を除去して、第1の不純物半導体層208上に第1の電極206及び絶縁層204を形成する(図5(E)参照。)。
ここで、第1の電極206は、後の工程における熱処理に耐え得るものとする必要がある。このため、第1の電極206は、高融点金属材料を用いて形成することが好ましい。例えば、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、クロム、ニッケルなどを用いることができる。また、前述の金属材料と、前述の金属材料の窒化物との積層構造としてもよい。例えば、窒化チタン層とチタン層の積層構造、窒化タンタル層とタンタル層の積層構造、窒化タングステン層とタングステン層の積層構造などを用いることができる。上記のような窒化物との積層構造とする場合には、第1の不純物半導体層208と接するように窒化物を形成するとよい。このように窒化物を形成することで、第1の電極206と第1の不純物半導体層208との密着性を向上させることができる。なお、第1の電極206は、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成することができる。また、その厚さは30nm以上とすることが好ましい。
絶縁層204は実施の形態1に示す絶縁層101と同様に形成することができる。
なお、第1の電極206の表面が一定の平坦性を有する場合、具体的には、平均面粗さ(Ra)が0.5nm以下(好ましくは0.3nm以下)である場合には、絶縁層204を形成しなくとも貼り合わせ可能な場合がある。この場合には、絶縁層204を形成しない構成としてもよい。
次に、上記絶縁層204の一表面とベース基板202の一表面を密着させて加圧することで、単結晶シリコン基板203を含む積層構造と、ベース基板202とを貼り合わせる(図6(A)参照。)。
この際、貼り合わせに係る面(ここでは、絶縁層204の一表面とベース基板202の一表面)は十分に清浄化しておく。貼り合わせに係る面に微小なゴミや有機汚染などが存在すると、貼り合わせ不良の発生確率が高まるためである。
なお、ベース基板202上に窒化シリコン層や窒化酸化シリコン層などの窒素を含有するシリコン絶縁層を形成し、これを絶縁層204と密着させる構成としてもよい。この場合にも、ベース基板202からのアルカリ金属やアルカリ土類金属などによる半導体の汚染を防止できる。
次に、熱処理を施して、貼り合わせ強度を高める。この際の温度は、脆化領域205における分離が進行しない条件とする必要がある。例えば、400℃未満、好ましくは300℃以下とすることができる。熱処理時間については特に限定されず、処理速度と貼り合わせ強度との関係から最適な条件を適宜設定すればよい。一例としては、200℃、2時間の程度の熱処理条件を採用することができる。ここで、貼り合わせに係る領域のみにマイクロ波を照射して、局所的な熱処理を行うことも可能である。なお、貼り合わせ強度に問題がない場合は、上記加熱処理を省略してもよい。
次に、脆化領域205にて、単結晶シリコン基板203から単結晶シリコン層210を分離する(図6(B)参照。)。単結晶シリコン基板203の分離は、熱処理により行う。該熱処理の温度は、ベース基板202の耐熱温度を目安にすることができる。例えば、ベース基板202としてガラス基板を用いる場合には、熱処理温度は400℃以上650℃以下とすることが好ましい。ただし、短時間であれば、400℃以上700℃以下の熱処理を行ってもよい。もちろん、ガラス基板の耐熱温度が700℃より高い場合には、熱処理温度を700℃より高く設定してもよい。
上述のような熱処理を行うことで、脆化領域205に形成された微小な空孔の体積変化が生じ、脆化領域205に亀裂が生ずる。その結果、脆化領域205に沿って単結晶シリコン基板203が分割される。絶縁層204はベース基板202と貼り合わせられているので、ベース基板202上には単結晶シリコン基板203から分離された単結晶シリコン層210が残存することになる。また、この熱処理で、ベース基板202と絶縁層204の貼り合わせに係る界面が加熱されるため、貼り合わせに係る界面に共有結合が形成され、ベース基板202と絶縁層204の結合力が一層向上する。
なお、単結晶シリコン層210と第1の不純物半導体層208を合わせた厚さは、脆化領域205が形成される深さにほぼ対応しており、500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは50nm以上300nm以下となる。
以上の工程により、ベース基板202上に固定された単結晶シリコン層210を得ることができる。なお、分離した単結晶シリコン基板203は、再生処理を行った後、再利用することができる。再生処理後の単結晶シリコン基板203は、単結晶シリコン層を得るための基板として用いてもよいし、その他の用途に用いてもよい。単結晶シリコン層を得るための基板として用いる場合には、1枚の単結晶シリコン基板から複数の光電変換装置を製造できることになる。
次に、単結晶シリコン層210に対し、レーザービーム250を照射する(図6(C)参照。)この結果、単結晶シリコン層210の少なくとも表面側は溶融し、固相状態の下層部をシード層として、その後の冷却過程で再結晶化する(図6(D)参照。)。その過程で、単結晶シリコン層210を平坦化し結晶欠陥を回復した単結晶シリコン層251を形成することができる。レーザービーム250としては、例えば、XeClエキシマレーザーやYAGレーザーの第2高調波を適用することが好ましい。
単結晶シリコン層210の結晶欠陥を低減する方法としてレーザービーム処理を適用すると、ベース基板202が直接加熱されず、該ベース基板202の温度上昇を抑えることができるため好ましい。特に、ベース基板202として耐熱性の低いガラス基板を適用する場合には、レーザービーム処理による結晶欠陥回復が好適である。
また、上記レーザービーム処理のとき、少なくともレーザービームの照射領域は250℃乃至600℃の温度に加熱されていることが好ましい。照射領域を加熱しておくことで、レーザービームの照射による溶融時間を長くすることができ、欠陥の回復を効果的に行うことができる。レーザービーム250は単結晶シリコン層210の表面側を溶融させるものの、ベース基板202はほとんど加熱されないので、ガラス基板のような耐熱性の低いベース基板を用いることが可能になる。
次に、単結晶シリコン層251上に針状結晶領域252及び非晶質シリコン層211から成るシリコン層256を形成する(図6(E)参照。)。シリコン層256を形成する際、気相エピタキシャル成長にて単結晶シリコン層251上に針状結晶領域252が形成される。針状結晶領域252は、成長途中で気相エピタキシャル成長が止まり、途中から非晶質シリコン層211が成長する。これは、ベース基板に耐熱性の低いガラス基板などを用いた場合、完全に気相成長させるほどの高温成膜ができないためである。この場合、針状結晶領域252は、単結晶シリコン層251と同じ結晶方位であるシリコン層となる。なお、ここで発生させるプラズマは、例えばRF(3〜30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHz)プラズマ、VHFプラズマ(30MHz〜300MHz、代表的には60MHz)、マイクロ波(1Ghz以上、代表的には2.45GHz)プラズマを用いることができる。また、プラズマはパルス発振により発生させることが好ましい。
シリコン層256は、シリコンを含む堆積性ガス、例えばSiHのみで形成する。このとき、電力密度は612mW/cm未満とする。好ましくは102mW/cm以上255mW/cm以下とする。例えば、60MHzの高周波電源を用いることができる。このとき、基板温度を280℃超過ベース基板の歪み点未満、好ましくは400℃以上ベース基板の歪み点未満とすることで、ベース基板202表面で成膜種のマイグレーションが起きやすくなり、単結晶シリコン層251と同じ結晶方位である針状結晶領域252を形成することができる。一方、電力密度が612mW/cm以上のとき、基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間を堆積速度が上回り、針状結晶領域を形成することができなくなる。そのため、電力密度は基板表面での成膜種のマイグレーションによって結晶領域の形成されるまでの時間に対し、十分堆積速度が遅くなるようにする。ただし、電力密度が小さすぎると、厚さを十分厚くするための時間が長くなるため、電力密度を制御することが望ましい。
なお、非晶質シリコン層中に含有させた水素の存在により、固相エピタキシャル成長時のシリコンの再配列を円滑に進行させることができる。シリコンを含む堆積性ガスを水素希釈すると、シリコンに結合された水素原子が脱離しやすくなり、非晶質シリコン層中の水素量が少なくなってしまう。したがって、水素希釈またはその他のガスで希釈しないことで、形成した非晶質シリコン層中に水素を含有させるとよい。シリコンを含む堆積性ガスとしては、上記のSiHを用いることに限定されず、SiやSiFを用いてもよい。
このとき、非晶質シリコン層211中の平均水素濃度を2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満とすると、固相エピタキシャル成長が進行しやすく、かつ非晶質シリコン層211の歪みを低減し、剥離を抑制することができて好ましい。
PECVD法を用いて、シリコン層256を形成する際のその他の条件は、チャンバー内圧力が150Pa、電極間隔が10mm、SiHガス流量が800sccmである。なお、上記の形成条件は一例に過ぎず、本実施の形態はこれに限定して解釈されるものではない。
なお、シリコン層256の形成を行う前に、単結晶シリコン層251の表面に形成されている自然酸化層などは除去しておくことが好ましい。
その後、窒素などの不活性雰囲気中で500℃超過ベース基板歪み点未満で熱処理を行う。熱処理は抵抗加熱炉、RTA装置やマイクロ波加熱装置を用いることができる。なお、最大温度に上昇させる前に、成膜時の基板温度以上固相エピタキシャル成長が起こる温度未満で1時間から2時間程度保持しておくと好ましい。本実施の形態では抵抗加熱炉を用いて600℃の温度で1時間熱処理を行う。これにより、非晶質シリコン層211が固相エピタキシャル成長する。本実施の形態により、厚さの厚い結晶シリコン層253を形成することができる(図7(A)参照。)。この際、針状結晶領域252は種結晶として機能し、上層の非晶質シリコン層211を固相エピタキシャル成長させることができる。
以上により、単結晶シリコン層251と結晶シリコン層253の積層構造が形成される。ここで、光電変換効率を考慮すると、光電変換装置には800nm以上の厚さの結晶性の高いシリコン層が要求される。このため、例えば、単結晶シリコン層251の厚さを300nmとする場合には、結晶シリコン層253を少なくとも500nm以上とすることが好ましい。ここで、500nm以上の厚さの結晶シリコン層253を形成するために、気相エピタキシャル成長法のみを用いることは、形成速度の点から好ましくない。一方で、固相エピタキシャル成長法のみを用いて結晶シリコン層253を形成する場合には、固相成長の際の熱処理などに起因して半導体層の剥離の問題が生じることになる。これは、形成直後のシリコン層(例えば、非晶質シリコン層)が多量の水素を含有することに起因する。
本実施の形態では、シリコン層256を形成する際に、気相エピタキシャル成長により針状結晶領域252が形成される。その後、固相エピタキシャル成長を行うことで、非晶質シリコン層211を結晶シリコン層253としている。このとき、シリコン層256の形成時基板温度を280℃超過とすることで、膜中の平均水素濃度を2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満としている。これにより、形成速度を確保しつつ、シリコン層の剥離の問題を解消することができる。つまり、生産性よく、かつ、歩留まりよく、結晶シリコン層を形成することができる。
次に、結晶シリコン層253の一表面側(単結晶シリコン層251と接しない面側)に第1の不純物半導体層208とは異なる導電型を付与する不純物元素260を添加する(図7(B)参照。)。この結果、第2の不純物半導体層214を形成することができる(図7(C)参照。)。例えば、不純物元素260としてリンまたはヒ素を添加し、n型の第2の不純物半導体層214を形成する。ベース基板202としてガラス基板を適用する場合、熱拡散法のプロセス温度には耐えられないため、イオン注入やイオンドーピングにより不純物元素を添加することになる。
また、第2の不純物半導体層214を、結晶シリコン層253上に非晶質シリコンにより形成してもよい。主に光電変換層として機能する領域は単結晶シリコン層で形成されているため、第2の不純物半導体層214を非晶質半導体で形成しても大きな問題とはならない。
なお、第2の不純物半導体層214の厚さは20nm以上200nm以下程度、好ましくは10nm以上100nm以下程度とすることが好ましい。第2の不純物半導体層214を薄く形成することにより、第2の不純物半導体層214でのキャリアの再結合を防止できる。
以上により、一導電型の第1の不純物半導体層208、単結晶シリコン層251、結晶シリコン層253、前記一導電型とは異なる導電型である第2の不純物半導体層214が順に積層されたユニットセル220を得ることができる。
その後、第1の電極206上に設けられた第1の不純物半導体層208、単結晶シリコン層251、結晶シリコン層253及び第2の不純物半導体層214をエッチングして、第1の電極206の一部(好ましくは第1の電極206の端部)を露出させる(図7(D)参照。)。
ここで、第1の電極206の一部を露出させるのは、後に補助電極(または補助配線)を形成するためである。光電変換装置として機能させるためには、正極と負極に対応する電極から電気エネルギーを取り出せることが必要となるが、第1の電極206の上部は単結晶シリコン層などに覆われており、第1の電極の下方にはベース基板202が設けられているため、そのままでは電気エネルギーを取り出しにくい。そこで、第1の電極206の上方に形成されている層の一部をエッチングし、第1の電極206の一部を露出させ、引き回すことができる補助電極(または補助配線)を形成できるようにする。
具体的には、第2の不純物半導体層214上にレジストや窒化シリコン層などの絶縁層を用いてマスクを形成し、該マスクを用いてエッチングを行えばよい。エッチングは、例えば、NF、SFなどのフッ素系ガスを用いたドライエッチングとすることができ、少なくとも第1の電極206と、第1の電極206の上方に形成されている層(第1の不純物半導体層208、単結晶シリコン層251、結晶シリコン層253、第2の不純物半導体層214)との選択比が充分に確保できる条件で行えばよい。なお、エッチング後、不要となったマスクは除去する。また、マスクを用いてエッチングする代わりに、レーザースクライブ法を用いてもよい。
本実施の形態では第2の不純物半導体層214を形成した後に第1の電極206を露出させる例を示したが、第1の電極206を露出させた後に第2の不純物半導体層214を形成してもよい。
次に、露出させた第1の電極206に接する補助電極216、及び、第2の不純物半導体層214上の第2の電極218を形成する(図7(E)参照。)。
補助電極216は、光電変換された電気エネルギーを取り出しやすくするために設けられている。すなわち、補助電極216は取り出し電極(集電極ともいう。)として機能する。
第2の電極218は、図4(A)に示すように上方から見て格子状(または櫛状、櫛形、櫛歯状)となるように形成する。このような形状とすることで、ユニットセル220に十分な光を入射することができ、ユニットセル220の光吸収効率を向上させることができる。第2の電極218の形状は特に限定されるものではないが、ユニットセル220(第2の不純物半導体層214)上における第2の電極218の面積が小さいほど、光吸収効率が向上することは言うまでもない。なお、第2の電極218は補助電極216と同じ工程で形成することができる。
補助電極216と第2の電極218は、アルミニウム、銀、鉛スズ(半田)などを用いて、印刷法などの方法で形成すればよい。例えば、銀ペーストを用いてスクリーン印刷法で形成することができる。
以上により、光電変換装置200を製造することができる。
なお、ユニットセル220の露出部及び第1の電極206の露出部には、反射防止機能を有するパッシベーション層219を形成することが好ましい(図8参照。)。
パッシベーション層219には、屈折率がユニットセル220の入射面(本実施の形態においては、第2の不純物半導体層214)と空気の中間である材料を用いる。また、ユニットセル220への光の入射を妨げないように、所定の波長の光に対する透過性を有する材料を用いる。このような材料を用いることで、ユニットセル220の入射面における反射を防ぐことができる。なお、このような材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ化マグネシウムなどを挙げることができる。また、パッシベーション層219があることにより、結晶シリコン表面におけるキャリアの再結合を低減することができ、光電変換効率を高めることができる。
パッシベーション層219は、ユニットセル220の露出部及び第1の電極206の露出部を覆うように設ける。例えば、ユニットセル220上及び第1の電極206上にパッシベーション層219を形成した後、第2の不純物半導体層214と第1の電極206の一部が露出するようにパッシベーション層219をエッチングする。そして、第1の電極206と接する補助電極216と、第2の不純物半導体層214と接する第2の電極218を形成する。なお、補助電極216及び第2の電極218を形成した後、パッシベーション層219を形成し、補助電極216及び第2の電極218の一部をエッチングにより露出させてもよい。
図9(A)には、光電変換装置のユニットセル220の断面模式図の一例を示す。ここでは、高濃度にp型不純物元素が添加された第1の不純物半導体層208(p層)と、p型の単結晶シリコン層251(p層)と、i型の結晶シリコン層253(i層)と、n型不純物元素が添加された第2の不純物半導体層214(n層、またはn層)が順に配置された構成を示しているが、開示する発明の一態様はこれに限定して解釈されない。なお、単結晶シリコン層の場合には、そのバンドギャップエネルギーは約1.12eVである。また、光(エネルギー:hν)は第2の不純物半導体層214側から入射する。
図9(B)は、図9(A)に示すユニットセル220のエネルギーバンド図である。ここで、Ecは伝導帯の底を、Evは価電子帯の頂上を示している。また、Efはフェルミ準位のエネルギーを示す。また、Egcは単結晶シリコン層251及び結晶シリコン層253におけるバンドギャップエネルギーである。
図9(B)に示されるバンド構造に起因して、光励起により生成された電子はn層(またはn層)の方向に流れ、光励起により生成された正孔はp層の方向に流れる。これが、光電変換の基本的な原理である。ここで、光電変換の効率を高めるためには、光励起により生じるキャリアの数を増大させることが重要である。光励起キャリアを増大させるためには、光吸収層(本実施の形態においては単結晶シリコン層)にある程度の厚みを持たせてやればよい。光吸収層として結晶シリコン層を用いる場合には、結晶シリコン層の光吸収係数や、太陽光のスペクトルから、その厚さを800nm以上とすればよい。
この点、本実施の形態では、エピタキシャル成長技術を利用して結晶シリコン層の厚膜化を図っており、単結晶シリコン層251と結晶シリコン層253を合わせて800nm以上の厚さとしている。このため、単結晶シリコン層において十分なキャリアを発生させることが可能であり、光電変換効率を向上させることができる。
以上、本実施の形態に示すエピタキシャル成長技術を用いることにより、光電変換層として機能する800nm以上の結晶性の高いシリコン層を得ることができる。これにより、バルクの単結晶シリコン基板を用いる場合と比較して、単結晶シリコンの消費量を抑えることができる。なお、従来では、光電変換装置を支持する構造体も単結晶シリコンで形成していたが、単結晶シリコン基板を薄片化した単結晶シリコン層を用いることで、単結晶シリコンの消費量を大幅に低減することができる。また、単結晶シリコン層を分離した後の単結晶シリコン基板は繰り返し利用することができるため、資源を有効に活用することができる。
さらに、本実施の形態では、平均水素濃度が2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満となるシリコン層を用いる。これにより、単結晶シリコン層を厚く形成する場合であっても、単結晶シリコン層の剥離を防止することができる。つまり、必要な厚さを有する光電変換層を、歩留まりよく、必要最小限の材料のみを用いて形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態と異なる光電変換装置の製造方法の例について説明する。具体的には、先の実施の形態では、脆化領域205、第1の不純物半導体層208、第1の電極206、絶縁層204の形成順序について、(1)を例に説明したが、本実施の形態では、(2)、(3)、(4)の例について説明する。なお、脆化領域205、第1の不純物半導体層208、第1の電極206、絶縁層204の形成順序以外については先の実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
以下、(2)の例について、図18を用いて説明する。
まず、単結晶シリコン基板203の一表面上に保護層207を形成する。そして、保護層207の表面にイオン240を照射する(図18(A)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板203中に脆化領域205が形成される(図18(B)参照。)。
次に、保護層207の表面に一導電型を付与する不純物元素230を照射する(図18(C)参照。)。この結果、不純物元素230の添加された単結晶シリコン基板203の領域を、第1不純物半導体層208とすることができる(図18(D)参照。)。なお、ここでは既に脆化領域205が形成されているため、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて不純物元素230を添加することが好ましい。これは、熱拡散法のような高温処理を必要とする方法を用いる場合、単結晶シリコン基板203が脆化領域205において分離してしまう可能性が高いためである。
その後、保護層207を除去し、第1の電極206を形成する。その後、第1の電極206上に絶縁層204を形成する(図18(E)参照。)。この後の工程は、先の実施の形態と同様である。
このように(2)においては、不純物元素230が添加されていない単結晶シリコン基板にイオン240を照射して脆化領域を形成することになる。
以下、(3)の例について、図19を用いて説明する。
まず、単結晶シリコン基板203の一表面上に第1の電極206を形成し、第1の電極206の表面にイオン240を照射する(図19(A)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板203中に脆化領域205を形成する(図19(B)参照。)。
その後、第1の電極206の表面に一導電型を付与する不純物元素230を照射する(図19(C)参照。)。この結果、不純物元素230の添加された単結晶シリコン基板203の領域を、第1の不純物半導体層208とすることができる(図19(D)参照。)。
そして、第1の電極206上に絶縁層204を形成する(図19(E)参照。)。この後の工程は、先の実施の形態と同様である。
このように(3)においては、第1の電極206が保護層として機能するため、保護層を別途設ける必要がなく、工程の短縮につながる。
以下、(4)の例について、図20を用いて説明する。
まず、単結晶シリコン基板203の一表面上に第1の電極206を形成し、次に、第1の電極206の表面に一導電型を付与する不純物元素230を照射する(図20(A)参照。)。この結果、不純物元素230の添加された単結晶シリコン基板203の領域を、第1の不純物半導体層208とすることができる(図20(B)参照。)。
その後、第1の電極206の表面にイオン240を照射する(図20(C)参照。)。この結果、単結晶シリコン基板203中に脆化領域205を形成する(図20(D)参照。)。
そして、第1の電極206上に絶縁層204を形成する(図20(E)参照。)。この後の工程は、先の実施の形態と同様である。
このように(4)においては、第1の電極206が保護層として機能するため、保護層を別途設ける必要がなく、工程の短縮につながる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、光電変換装置の作製方法の別の形態について説明する。
図21に、第1の電極206とベース基板202とを直接貼り合わせて形成した光電変換装置の形態を示す。第1の電極206の表面が平坦である場合、例えば、第1の電極206の表面の平均面粗さ(Ra)が0.5nm以下、好ましくは0.3nm以下である場合には、絶縁層204(図5等参照)を形成しなくとも、第1の電極206とベース基板202とを貼り合わせることができる。
上記の貼り合わせは、十分に清浄化された第1の電極206の表面と、ベース基板202の表面を密着させることで行われる。貼り合わせの前に、第1の電極206の表面やベース基板202の表面を活性化させておいてもよい。また、貼り合わせ後には、熱処理や加圧処理を行ってもよい。本実施の形態のように表面が平坦な第1の電極206を形成することで、絶縁層204を設ける必要がなくなり、工程が短縮されることになる。なお、上記の記載は、絶縁層204の形成を除外するものではない。例えば、ブロッキング層として機能する絶縁層などを形成することは、信頼性向上の点からも好ましいと言える。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、ユニットセルを複数積層した、いわゆるタンデム型の光電変換装置の例について説明する。なお、本実施の形態では、ユニットセルを2層積層する場合について説明する。
図22に、本実施の形態に係るタンデム型の光電変換装置300の断面の模式図を示す。光電変換装置300は、ベース基板202上にユニットセル220(第1のユニットセルと呼んでもよい)と、ユニットセル330(第2のユニットセルと呼んでもよい)が積層された構造を有する。ベース基板202とユニットセル220の間には第1の電極206が設けられ、第1の電極206とベース基板202との間には絶縁層204が設けられている。本実施の形態において、ベース基板202、絶縁層204、第1の電極206、ユニットセル220の構成及び作製方法は実施の形態3と同様であるから、重複する部分の説明は省略する。
光電変換装置300は、図中の上方(ユニットセル330の表面側)から光が入射する構成となっている。また、ユニットセル330を構成する半導体層のバンドギャップエネルギーはユニットセル220を構成する半導体層のバンドギャップエネルギーより大きい。例えば、ユニットセル330には非単結晶半導体層を用い、ユニットセル220には単結晶半導体層を用いることができる。バンドギャップの異なる光電変換層を積層することで、効率よく吸収できる波長帯域が広がり、光電変換効率を向上させることができる。特に、太陽光は、その波長帯域が短波長側から長波長側まで広範囲に渡っており、本実施の形態のような構成を採用することは、極めて有効である。また、光の入射側にバンドギャップの大きい光電変換層を配置することで、効率よく光を吸収することができるようになる。
ユニットセル330は、ユニットセル220上に、一導電型が付与された第3の不純物半導体層322と、非単結晶半導体層324と、第3の不純物半導体層322とは異なる導電型が付与された第4の不純物半導体層326とが、順に積層された構造を有する。ここで、第3の不純物半導体層322には、ユニットセル220の第2の不純物半導体層214とは逆の導電型が付与される。
ユニットセル330の非単結晶半導体層324には、非晶質シリコン、微結晶シリコンなどを用いることができる。第3の不純物半導体層322と第4の不純物半導体層326は、所定の導電型の不純物元素を含む非晶質半導体層または微結晶半導体層である。その他、非晶質シリコンカーバイドなどを用いてもよい。第3の不純物半導体層322をp型とする場合、第4の不純物半導体層326はn型となるが、第3の不純物半導体層322をn型として、第4の不純物半導体層326をp型としてもよい。
非単結晶半導体層324は、PECVD法により形成することができる。例えば、シリコンを含む堆積性ガスを用いて非晶質シリコン層を形成すればよい。なお、非単結晶半導体層324はスパッタリング法を用いて形成することもできる。非単結晶半導体層324は、厚さを50nm以上600nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下とする。非晶質シリコンのバンドギャップは約1.75eVであるから、このような厚さにすることで、600nmよりも短い波長帯域の光を十分に吸収させることができる。
また、非単結晶半導体層324には、微結晶半導体(代表的には微結晶シリコン)を用いてもよい。この場合には、ユニットセル220上に数nm程度のごく薄い非晶質半導体層を形成した後に微結晶半導体を形成するとよい。このようにすることで、単結晶半導体層からエピタキシャル成長が進行して単結晶半導体層が形成されてしまうことを防止できる。なお、第3の不純物半導体層322は単結晶半導体層で形成しても構わないため、この場合には、数nm程度の薄い非晶質半導体層は第2の不純物半導体層214上または第3の不純物半導体層322上に形成すればよい。
ユニットセル220のベース基板202側には第1の電極206が設けられ、ユニットセル330の表面側には第2の電極332が設けられている。また、第1の電極206に接続する補助電極317、及び第2の電極332に接続する補助電極319が設けられている。補助電極317と補助電極319は、光電変換層にて変換された電気エネルギーを取り出す取り出し電極(集電極ともいう。)として機能する。
ユニットセル330を非単結晶半導体で形成する場合にはキャリアのライフタイムが短くなる傾向にあり、これに起因して光電変換効率が低下するおそれがある。これを防ぐために、本実施の形態では第2の電極332を基板全面に形成している。ここで、ユニットセル330及びユニットセル220に十分な光を入射させるため、第2の電極332は太陽光の透過率が高い材料を用いて形成する。また、第2の電極332に接する補助電極319は格子状(または櫛状、櫛形、櫛歯状)としている。
次に、本実施の形態に係る光電変換装置300の作製方法の一例について、図23を参照して説明する。なお、第2の不純物半導体層214の作製方法までは、実施の形態3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
第2の不純物半導体層214を形成した後、該第2の不純物半導体層214上に、第3の不純物半導体層322、非単結晶半導体層324、第4の不純物半導体層326を順に形成する(図23(A)参照。)。
ここで、第3の不純物半導体層322は、第2の不純物半導体層214とは異なる導電型の非晶質半導体層または微結晶半導体層とする。例えば、第2の不純物半導体層214がn型である場合には、第3の不純物半導体層322をp型の非晶質半導体層(例えば、p型の非晶質シリコン層)またはp型の微結晶半導体層(例えば、p型の微結晶シリコン層)とする。第3の不純物半導体層322の厚さは、10nm以上100nm以下程度とすればよい。
また、非単結晶半導体層324は、導電型を付与する不純物元素を含まない真性半導体層(例えば、i型の非晶質シリコン層またはi型の微結晶シリコン層)とすることが好ましい。厚さは、50nm以上600nm以下、好ましくは100nm以上200nm以下とする。
また、第4の不純物半導体層326は、第3の不純物半導体層322とは異なる導電型の非晶質半導体層または微結晶半導体層とする。例えば、第3の不純物半導体層322がp型である場合には、第4の不純物半導体層326をn型の非晶質半導体層(例えば、n型の非晶質シリコン層)またはn型の微結晶半導体層(例えば、n型の微結晶シリコン層)とする。第4の不純物半導体層326の厚さは、10nm以上100nm以下程度とすればよい。
第3の不純物半導体層322、非単結晶半導体層324、第4の不純物半導体層326は、CVD法やスパッタリング法を用いて形成することができる。なお、PECVD法などの気相成長法を用いて非単結晶シリコン層を形成する場合には、原料ガスにジボランなどを添加することでp型を付与することができる。一方、n型を付与したい場合には、原料ガスにホスフィンなどを添加すればよい。
以上により、一導電型が付与された第3の不純物半導体層322、非単結晶半導体層324、第3の不純物半導体層322とは異なる導電型が付与された第4の不純物半導体層326が順に積層されたユニットセル330を得ることができる。
次に、第4の不純物半導体層326上に第2の電極332を形成する(図23(B)参照。)。第2の電極332はスパッタリング法や真空蒸着法を用いて形成することができる。また、第2の電極332は太陽光を十分に透過する材料を用いて形成することが好ましい。上記材料としてはインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、酸化スズ、などの導電性を有する金属酸化物を用いればよい。第2の電極332は、その厚さが40nm以上200nm以下程度(好ましくは50nm以上100nm以下程度)、シート抵抗が200Ω/sq.以下程度となるように形成すればよい。
本実施の形態では、第2の電極332は、ユニットセル330上に選択的に形成する。例えば、シャドーマスクを用いて第2の電極332を形成する。第2の電極332を選択的に形成することで、後に第1の電極206の一部(好ましくは端部)を露出させる際のエッチング用マスクとして用いることができる。
なお、第2の電極332は、導電性高分子材料(導電性ポリマーともいう。)を用いて形成してもよい。導電性高分子材料としては、π電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンやポリピロール、ポリチオフェンもしくはその誘導体、またはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体もしくはその誘導体などを用いればよい。
次に、第2の電極332をマスクとして、第4の不純物半導体層326、非単結晶半導体層324、第3の不純物半導体層322、第2の不純物半導体層214、結晶シリコン層253、単結晶シリコン層251及び第1の不純物半導体層208をエッチングして、第1の電極206の一部を露出させる(図23(C)参照。)。
上記のエッチングは、NF、SFなどのフッ素系ガスを用いたドライエッチングとすればよく、第1の電極206と、第1の電極206の上方に形成されている積層(ユニットセル220及びユニットセル330を構成する各層)との選択比が充分に確保できる条件で行えばよい。ここでは第2の電極332をマスクとして用いることができるため、エッチング用のマスクを新たに設ける必要がない。もちろん、レジストや絶縁層を用いてマスクを形成してもよい。また、マスクを用いてエッチングする代わりに、レーザースクライブ法を用いてもよい。
その後、第1の電極206に接続する補助電極317と、第2の電極332に接続する補助電極319を形成する(図23(D)参照。)。
補助電極319は、図4に示す第2の電極218ように、上方から見て格子状(または櫛状、櫛形、櫛歯状)となるように形成する。このような形状とすることで、ユニットセル330及びユニットセル220に十分な光を入射させることができ、光吸収効率を向上させることができる。また、補助電極317は、先のエッチングにより露出させた第1の電極206と接して形成する。
補助電極317、補助電極319は、アルミニウム、銀、鉛スズ(半田)などを用いて、印刷法などの方法で形成すればよい。例えば、銀ペーストを用いてスクリーン印刷法で形成することができる。
以上により、いわゆるタンデム型の光電変換装置300を作製することができる。
なお、本実施の形態においては図示していないが、上記タンデム型の光電変換装置300に関しても、反射防止機能を有する図8に示すパッシベーション層219と同様のパッシベーション層を形成することが好ましい。
図24(A)には、光電変換装置のユニットセル220とユニットセル330の断面模式図の一例を示す。ここでは、高濃度にp型不純物元素が添加された第1の不純物半導体層208(p層)と、p型の単結晶シリコン層251(p層)と、i型の結晶シリコン層253(i層)と、n型不純物元素が添加された第2の不純物半導体層214(n層、またはn層)が順に積層されたユニットセル220及び、p型の第3の不純物半導体層322(p層、またはp層)と、i型の非単結晶半導体層324(i層)と、n型の第4の不純物半導体層326(n層、またはn層)が順に配置されたユニットセル330について示しているが、開示する発明の一態様はこれに限定して解釈されない。なお、ユニットセル220中の単結晶半導体層を単結晶シリコンとする場合には、そのバンドギャップエネルギーは約1.12eVであり、ユニットセル330中の非単結晶半導体層を非晶質シリコンとする場合には、そのバンドギャップエネルギーは約1.75eVである。また、光(エネルギー:hν)は第4の不純物半導体層326側から入射する。
図24(B)は、図24(A)に示すユニットセル220とユニットセル330のエネルギーバンド図である。ここで、Ecは伝導帯の底を、Evは価電子帯の頂上を示している。また、Efはフェルミ準位のエネルギーを示す。また、Egcはユニットセル220におけるバンドギャップエネルギー(約1.12eV)であり、Egcはユニットセル330におけるバンドギャップエネルギー(約1.75eV)である。
図24(B)に示されるバンド構造に起因して、各ユニットセルで光励起により生成された電子は、各ユニットセルのn層(またはn層)の方向に流れ、また、正孔は、各ユニットセルのp層(またはp層)の方向に流れることになる。これが、光電変換の基本的な原理である。ユニットセル220とユニットセル330の接続部分では再結合電流が流れるため、外部に電流を取り出すことができる。
単結晶半導体層を有するユニットセル220をボトムセルとして用いることで、800nm以上の波長の光を吸収して光電変換することが可能となる。また、非単結晶半導体層を有するユニットセル330をトップセルとして用いることで、単結晶半導体層に比べて効率的にエネルギーが吸収されない800nm未満の波長の光を吸収して光電変換することが可能となる。このようなバンドギャップの異なるユニットセルを積層した構造(いわゆるタンデム型の構造)とすることで、光電変換効率を大きく向上させることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、ユニットセルを複数積層した光電変換装置の一例について説明する。具体的には、ユニットセルを3層積層した、いわゆるスタック型の光電変換装置400について説明する。
図25に、本実施の形態に係るスタック型の光電変換装置400の断面の模式図を示す。光電変換装置400は、ベース基板202上にユニットセル220(第1のユニットセルと呼んでも良い。)と、ユニットセル330(第2のユニットセルと呼んでも良い。)と、ユニットセル440(第3のユニットセルと呼んでも良い。)が積層された構造を有する。ベース基板202とユニットセル220の間には第1の電極206が設けられ、第1の電極206とベース基板202との間には絶縁層204が設けられている。本実施の形態において、ベース基板202、絶縁層204、第1の電極206、ユニットセル220の構成及び作製方法は実施の形態3と同様であるから、重複する部分の説明は省略する。また、ユニットセル330の構成及び作製方法は実施の形態6と同様であるから、重複する部分の説明は省略する。
光電変換装置400は、図中の上方(ユニットセル440の表面側)から光が入射する構成となっている。また、ユニットセル440、ユニットセル330、ユニットセル220を構成する半導体層のバンドギャップエネルギーは、光の入射側ほど大きくなっている。つまり、バンドギャップエネルギーは、大きい順にユニットセル440、ユニットセル330、ユニットセル220である。このように、各ユニットセルのバンドギャップエネルギーを異ならせ、バンドギャップエネルギーが大きい順に入射側から配置することで、効率よく光を吸収できるようになる。
例えば、ユニットセル220を構成する半導体層として、単結晶シリコンを用いる場合には、そのバンドギャップエネルギーは約1.12eVであるから、ユニットセル330及びユニットセル440には、バンドギャップエネルギーがより大きい材料を用いる。具体的には、例えば、ユニットセル330の半導体層としてバンドギャップエネルギーが1.45eV以上1.65eV以下程度の材料(非晶質シリコンゲルマニウムなど)を用い、また、ユニットセル440の半導体層としてバンドギャップエネルギーが1.7eV以上2.0eV以下程度の材料(非晶質シリコン、非晶質シリコンカーバイドなど)を用いればよい。
ユニットセル440は、ユニットセル330上に、一導電型が付与された第5の不純物半導体層442と、非単結晶半導体層444と、第5の不純物半導体層442とは異なる導電型が付与された第6の不純物半導体層446とが順に積層された構造を有する。ここで、第5の不純物半導体層442には、ユニットセル330の第4の不純物半導体層326とは逆の導電型が付与される。
ユニットセル220のベース基板202側には第1の電極206が設けられ、ユニットセル440の表面側には第2の電極452が設けられている。また、第1の電極206に接続する補助電極453、及び第2の電極452に接続する補助電極454が設けられている。補助電極453と補助電極454は、光電変換層にて変換された電気エネルギーを取り出す取り出し電極(集電極ともいう。)として機能する。
図26(A)に、光電変換装置のユニットセル220とユニットセル330とユニットセル440の断面模式図の一例を示す。ここでは、高濃度にp型不純物元素が添加された第1の不純物半導体層208(p層)と、p型の単結晶シリコン層251(p層)と、i型の結晶シリコン層253(i層)と、n型不純物元素が添加された第2の不純物半導体層214(n層、またはn層)が順に積層されたユニットセル220、p型の第3の不純物半導体層322(p層、またはp層)と、i型の非単結晶半導体層324(i層)と、n型の第4の不純物半導体層326(n層、またはn層)が順に配置されたユニットセル330、及びp型の第5の不純物半導体層442(p層、またはp層)と、i型の非単結晶半導体層444(i層)と、n型の第6の不純物半導体層446(n層、またはn層)が順に配置されたユニットセル440について示しているが、開示する発明の一態様はこれに限定して解釈されない。
図26(B)は、図26(A)に示すユニットセル220、ユニットセル330、ユニットセル440のエネルギーバンド図である。ここで、Ecは伝導帯の底を、Evは価電子帯の頂上を示している。また、Efはフェルミ準位のエネルギーを示す。また、Egcはユニットセル220のバンドギャップエネルギーであり、Egcはユニットセル330のバンドギャップエネルギーであり、Egcはユニットセル440のバンドギャップエネルギーである。
図26(B)に示されるバンド構造に起因して、各ユニットセルで光励起により生成された電子は、各ユニットセルのn層(またはn層)の方向に流れ、また、正孔は、各ユニットセルのp層(またはp層)の方向に流れることになる。これが、光電変換の基本的な原理である。ユニットセル220とユニットセル330の接続部分、ユニットセル330とユニットセル440の接続部分では再結合電流が流れるため、外部に電流を取り出すことができる。
以上のように、いわゆるスタック型の構造とすることで、効率のよい吸収波長帯域を広く採ることができるため、光電変換効率を大きく向上させることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
実施の形態3乃至7などにより得られる光電変換装置を用いて、太陽光発電モジュールを製造することができる。本実施の形態では、実施の形態3に示す光電変換装置を用いた太陽光発電モジュールの例を図27(A)に示す。太陽光発電モジュール1028は、ベース基板202上に設けられたユニットセル220により構成されている。ベース基板202とユニットセル220の間には、ベース基板202側から絶縁層204、第1の電極206が設けられている。また、第1の電極206は補助電極216と接続している。
補助電極216及び第2の電極218はベース基板202の一表面側(ユニットセル220が形成されている側)に形成され、ベース基板202の端部で外部端子コネクタ用の裏面電極1026及び裏面電極1027とそれぞれ接続する。図27(B)は、図27(A)のC−Dに対応する断面図であり、ベース基板202の貫通口を通じて、補助電極216が裏面電極1026と接続し、第2の電極218が裏面電極1027と接続する様子を示している。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
図28に、実施の形態7で示した太陽光発電モジュール1028を用いた太陽光発電システムの例を示す。充電制御回路1029は、一または複数の太陽光発電モジュール1028から供給される電力を用いて、蓄電池1030を充電する。また、蓄電池1030が十分に充電されている場合には、太陽光発電モジュール1028から供給される電力を負荷1031に直接出力する。
蓄電池1030として電気二重層キャパシタを用いると、充電に化学反応を必要としないため、急速な充電が可能である。また、化学反応を利用する鉛蓄電池などに比べ、寿命を8倍程度、充放電効率を1.5倍程度に高めることができる。本実施の形態において示す太陽光発電システムは、照明、電子機器など、電力を使用する様々な負荷1031に対して用いることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、開示する発明の一様態を用いてガラス基板上に形成された単結晶シリコン層について説明する。
まず、実施の形態2において説明した方法を用いて、ガラス基板上に単結晶シリコン層を形成する。本実施例では、厚さ0.7mmのガラス基板上に、厚さ100nmの酸化シリコン層と、厚さ150nmの単結晶シリコン層からなる積層構造を形成した。そして、上記単結晶シリコン層上に、針状結晶領域、非晶質シリコン層を一度の工程で形成した。
針状結晶領域及び非晶質シリコン層の形成条件は以下の通りである。
・成膜法:PECVD
・原料ガス:SiH(800sccm)
・電力密度(周波数):102mW/cm(60MHz)
・圧力:150Pa
・電極間隔:10mm
・基板温度:400℃
・厚さ:1μm
上記針状結晶領域及び非晶質シリコン層を形成した段階で、シリコン層の特性を調査した。具体的にはラマンスペクトル評価、断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)、SIMS分析を行った。なお、ラマンスペクトル評価には、ホリバ・ジョバンイボン社製ダブルラマン分光装置 U1000を用いた。STEMの評価には株式会社日立ハイテクノロジーズ製HD−2300形 超薄膜評価装置を用いた。SIMS分析には、アルバック・ファイ株式会社製四重極型二次イオン質量分析装置 PHI ADEPT1010を用いた。SIMS分析の際は、加速電圧1.0kVのCsを一次イオンとして照射した。
その後、固相エピタキシャル成長により、非晶質シリコン層を結晶化した。具体的には、抵抗加熱炉を用いて、窒素雰囲気中にて、600℃の温度で1時間の熱処理を行った。また、この段階で上記針状結晶領域及び非晶質シリコン層の剥離は発生しなかった。上記の熱処理後、ラマンスペクトル評価、断面STEM像観察、SIMS分析を行った。
図10(A)に、熱処理前の試料の断面STEM像を示す。試料は、ガラス基板1300、酸化シリコン層1301、単結晶シリコン層1302、針状結晶領域1303及び非晶質シリコン層1304で構成される。このときコーティング1305及びコーティング1306は断面STEM観察しやすさのために設けられる。図10(B)は、図10(A)よりも拡大された試料の断面STEM像である。ここで、DIFF1、DIFF2、DIFF3で示す箇所の電子線回折像を評価した。図10(A)の倍率は、50,000倍であり、図10(B)の倍率は200,000倍である。また、図10(B)のDIFF1、DIFF2、及びDIFF3における電子線回折像をそれぞれ、図10(C)、図10(D)、及び図10(E)に示す。図10(C)より、DIFF1は電子線回折が観測されず、非晶質であることがわかる。図10(D)及び図10(E)はほとんど同一の電子線回折像を示しており、DIFF2の針状結晶領域がDIFF3の単結晶シリコン層と同じ結晶方位であることがわかる。針状結晶領域が単結晶シリコン層と同じ結晶方位であることは、本発明において重要な特徴の一つである。
図11に上記試料のラマンスペクトル評価及び断面STEM像を示す。熱処理前の試料のラマンスペクトルを図11(A)に示し、熱処理前の試料の断面STEM像を図11(C)に示す。また、熱処理後の試料のラマンスペクトルを図11(B)に示し、熱処理後の試料の断面STEM像を図11(D)に示す。熱処理を行うことにより、針状結晶領域1303及び非晶質シリコン層1304が結晶シリコン層1310となる。これらの比較から、熱処理の前後において、シリコン層の特性が大きく変化していることがわかる。例えば、熱処理後の試料のラマンスペクトルのピーク波数は519.85cm−1であり、また、FWHMは3.20cm−1である。単結晶シリコンのラマンスペクトル評価におけるピーク波数が520cm−1であることから、エピタキシャル成長したシリコン層は、単結晶に極めて近い結晶性であることがわかる。
図12に熱処理前の試料のSIMS分析結果を示す。また、図13に熱処理後の試料のSIMS分析結果を示す。図12と図13を比較することにより、熱処理前の非晶質シリコン層と比べ、熱処理後の結晶シリコン層中の平均水素濃度が低減していることがわかる。固相エピタキシャル成長の熱処理により、Si−H結合が切れて非晶質シリコン層中の水素が脱離し、Si−Si結合の再配列が助長されたためと推測される。
このような結晶性の良好なシリコン層を用いることで、優れた特性の光電変換装置を作製することができる。
(比較例1)
比較のため、単結晶シリコン層上に、基板温度を210℃、280℃、400℃、電力密度を102mW/cm、612mW/cm、1633mW/cmとしてシリコン層を形成した例を示す。
なお、その他のシリコン層の形成条件は以下の通りである。
・成膜法:PECVD
・原料ガス:SiH(800sccm)
・電源周波数:60MHz
・圧力:150Pa
・電極間隔:10mm
・厚さ:1μm
図14に単結晶シリコン層上に異なる基板温度、電力密度でシリコン層を形成した試料の断面STEMを示す。図14(A)〜(C)は基板温度が210℃である。図14(D)〜(F)は基板温度が280℃である。図14(G)〜(I)は基板温度が400℃である。また、図14(A)、図14(D)、図14(G)は電力密度が102mW/cmである。図14(B)、図14(E)、図14(H)は電力密度が612mW/cmである。図14(C)、図14(F)、図14(I)は電力密度が1633mW/cmである。このとき、図14(G)のみ、針状結晶領域1303が観測された。また、抵抗加熱炉にて窒素雰囲気中で600℃、1時間の熱処理を行ったところ、図14(G)を除いて基板の一部もしくは全面で非晶質シリコン層1304の剥離が見られた。非晶質シリコン層1304の剥離は、基板温度が高いほど、ついで電力密度が小さいほど、程度が軽くなった。
図14において、非晶質シリコン層1304の剥離が起きた試料の一部及び剥離の起きなかった試料で非晶質シリコン層1304のSIMS分析を行った。このときの水素濃度を図15に示す。実線1401は図14(G)に示す試料の水素濃度を示し、実線1402は図14(H)に示す試料の水素濃度を示し、実線1403は図14(D)に示す試料の水素濃度を示し、実線1404は図14(A)に示す試料の水素濃度を示す。また、破線1405は水素濃度3.5×1021atoms/cmを示す。剥離の起きた条件は、いずれも膜中の平均水素濃度が3.5×1021atoms/cm以上と高く、非晶質シリコン層に歪みが生じていた可能性がある。
本比較例において、単結晶シリコン層上に結晶シリコン層をエピタキシャル成長させるためには、シリコン層の形成条件が重要であることがわかった。また、単結晶シリコン層上のシリコン層は膜中の水素濃度によっては剥離しやすいことがわかった。本比較例によって、開示する発明の一様態が歩留まり向上に有効であることが確認できる。
(比較例2)
比較のため、SiHをHで希釈した原料ガスを用いて、単結晶シリコン層上での結晶シリコン層のエピタキシャル成長を試みた例を示す(試料1)。
なお、試料1におけるシリコン層の形成条件は以下の通りである。
・成膜法:PECVD
・原料ガス:SiH(290sccm)+H(1740sccm)
・電力密度(周波数):60mW/cm(60MHz)
・基板温度:280℃
・圧力:140Pa
・電極間隔:15mm
・厚さ:500nm
開示する発明の一様態におけるシリコン層の形成条件を以下に示す。
・成膜法:PECVD
・原料ガス:SiH(800sccm)
・電力密度(周波数):102mW/cm(60MHz)
・基板温度:400℃
・圧力:150Pa
・電極間隔:10mm
・厚さ:1μm
図16に熱処理前の試料の断面STEMを比較して示す。開示する発明の一様態の試料の断面STEM像を図16(A)に示す。また、試料1の断面STEM像を図16(B)に示す。図16(A)が針状結晶領域1303及び非晶質シリコン層1304で構成されるのに対し、図16(B)は結晶シリコン層1307及び非晶質シリコン層1308から構成されることがわかる。図17に熱処理後の試料のラマンスペクトル及び断面STEM像を示す。ここで熱処理とは、抵抗加熱炉を用いて窒素雰囲気中で600℃、1時間の熱処理のことである。このとき、図17(A)は開示する発明の一様態の試料のラマンスペクトルを示し、図17(C)は開示する発明の一様態の試料の断面STEM像を示す。また、図17(B)は試料1のラマンスペクトルを示し、図17(D)は試料1の断面STEM像を示す。試料1は、形成後の熱処理で均一な固相エピタキシャル成長が進まず、多結晶シリコン領域1311が形成される。このシリコン層のラマンスペクトル評価の結果、ピーク波数が518.90cm−1、FWHMが5.18cm−1であった。また、開示する発明の一様態を用いた場合、ピーク波数は519.85cm−1であり、また、FWHMは3.20cm−1であった。開示する発明の一様態は、単結晶シリコンのピーク波数520cm−1に近く、FWHMも小さいことから結晶性が良好であることがわかる。
比較例に対して、開示する発明の一様態ではシリコン層の結晶性が優れることがわかった。結晶性の優れるシリコン層を用いることで、良好な特性の光電変換装置を作製することができる。
100 単結晶シリコン基板
101 絶縁層
103 水素イオン
105 脆化領域
130 ベース基板
131 単結晶シリコン層
132 針状結晶領域
133 非晶質シリコン層
134 結晶シリコン層
135 単結晶シリコン層
136 シリコン層
140 レーザービーム
141 単結晶シリコン層
142 針状結晶領域
143 非晶質シリコン層
144 結晶シリコン層
146 シリコン層
200 光電変換装置
202 ベース基板
203 単結晶シリコン基板
204 絶縁層
205 脆化領域
206 第1の電極
207 保護層
208 第1の不純物半導体層
210 単結晶シリコン層
211 非晶質シリコン層
212 結晶シリコン層
214 第2の不純物半導体層
216 補助電極
218 第2の電極
219 パッシベーション層
220 ユニットセル
230 不純物元素
240 イオン
250 レーザービーム
251 単結晶シリコン層
252 針状結晶領域
253 結晶シリコン層
256 シリコン層
260 不純物元素
280 基板温度
300 光電変換装置
317 補助電極
319 補助電極
322 第3の不純物半導体層
324 非単結晶半導体層
326 第4の不純物半導体層
330 ユニットセル
332 第2の電極
400 光電変換装置
440 ユニットセル
442 第5の不純物半導体層
444 非単結晶半導体層
446 第6の不純物半導体層
452 第2の電極
453 補助電極
454 補助電極
550 加熱温度
1026 裏面電極
1027 裏面電極
1028 太陽光発電モジュール
1029 充電制御回路
1030 蓄電池
1031 負荷
1300 ガラス基板
1301 酸化シリコン層
1302 単結晶シリコン層
1303 針状結晶領域
1304 非晶質シリコン層
1305 コーティング
1306 コーティング
1307 結晶シリコン層
1308 非晶質シリコン層
1310 結晶シリコン層
1401 実線
1402 実線
1403 実線
1404 実線
1405 破線

Claims (28)

  1. ベース基板上に単結晶シリコン層を設け、
    前記単結晶シリコン層上に、該単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、
    前記針状結晶領域を種結晶として、前記シリコン層の他部を固相成長させて、前記シリコン層を結晶シリコン層とすることを特徴とする半導体基板の作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記単結晶シリコン層に、レーザービーム照射することで、前記単結晶シリコン層の欠陥を回復させると共に、平坦化した後、
    前記レーザービーム照射された単結晶シリコン層上に前記シリコン層を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記単結晶シリコン層及び前記結晶シリコン層の厚さの合計が800nm以上となるように前記単結晶シリコン層及び前記結晶シリコン層を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、
    前記シリコン層は、シリコンを含む堆積性ガスを希釈せずに用いるプラズマ励起CVD法により形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  5. 請求項4において、
    前記シリコンを含む堆積性ガスは、SiH、Siに代表されるシラン系ガスまたはSiFであることを特徴とする半導体基板の作製方法。
  6. 請求項4または5において、
    前記プラズマ励起CVD法は、612mW/cm未満の高周波電源からの電力を供給し、基板温度を280℃超過前記ベース基板の歪み点未満で行うことを特徴とする半導体基板の作製方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一において、
    前記針状結晶領域は、前記単結晶シリコン層を種結晶として、気相成長により形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一において、
    前記シリコン層中の水素濃度が2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満であることを特徴とする半導体基板の作製方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一において、
    500℃超過前記ベース基板の歪み点未満の熱処理により前記結晶シリコン層を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一において、
    前記固相成長を行う前に、前記シリコン層形成時の基板温度以上前記シリコン層の固相成長が起こる温度未満で保持した後、500℃以上ベース基板の歪み点未満で前記固相成長を行うことを特徴とする半導体基板の作製方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一において、
    単結晶シリコン基板の一表面上に絶縁層を形成し、
    前記単結晶シリコン基板にイオンを照射して、前記単結晶シリコン基板中に脆化領域を形成し、
    前記絶縁層とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に単結晶シリコン層を設けることを特徴とする半導体基板の作製方法。
  12. 請求項11において、
    前記イオンとして、水素を含む原料ガスにより生成されるイオンを用いることを特徴とする半導体基板の作製方法。
  13. ベース基板上に第1の電極、第1の不純物半導体層、単結晶シリコン層を設け、
    前記単結晶シリコン層上に、該単結晶シリコン層と同じ結晶方位である針状結晶領域を一部に含むシリコン層を形成し、
    前記針状結晶領域を種結晶として、前記シリコン層の他部を固相成長させて、前記シリコン層を結晶シリコン層とし、
    前記結晶シリコン層上に、前記第1の不純物半導体層とは逆の導電型の第2の不純物半導体層を形成し、
    前記第2の不純物半導体層上に第2の電極を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  14. 請求項13において、
    前記単結晶シリコン層に、レーザービーム照射することで、前記単結晶シリコン層の欠陥を回復させると共に、平坦化した後、
    前記レーザービーム照射した単結晶シリコン層上に前記シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  15. 請求項13または14において、
    前記単結晶シリコン層及び前記結晶シリコン層の厚さの合計が800nm以上となるように前記単結晶シリコン層及び前記結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  16. 請求項13乃至15のいずれか一において、
    前記シリコン層は、シリコンを含む堆積性ガスを希釈せずに用いるプラズマ励起CVD法により形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  17. 請求項16において、
    前記シリコンを含む堆積性ガスは、SiH、Siに代表されるシラン系ガスまたはSiFであることを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  18. 請求項16または17において、
    前記プラズマ励起CVD法は、612mW/cm未満の高周波電源からの電力を供給し、基板温度280℃超過前記ベース基板の歪み点未満で行うことを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  19. 請求項13乃至18のいずれか一において、
    前記針状結晶領域は、前記単結晶シリコン層を種結晶として、気相成長により形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
  20. 請求項13乃至19のいずれか一において、
    前記シリコン層中の水素濃度が2×1018atoms/cm以上3.5×1021atoms/cm未満であることを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  21. 請求項13乃至20のいずれか一において、
    500℃超過前記ベース基板の歪み点未満の熱処理により前記結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  22. 請求項13乃至21のいずれか一において、
    前記固相成長を行う前に、前記シリコン層形成温度超過前記シリコン層の固相成長が起こる温度未満で保持した後、500℃超過ベース基板の歪み点未満で前記固相成長を行うことを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  23. 請求項13乃至22のいずれか一において、
    単結晶シリコン基板に保護層を形成し、
    前記単結晶シリコン基板の一表面上に第1の不純物半導体層を形成し、
    前記単結晶シリコン基板にイオンを照射して、前記単結晶シリコン基板中に脆化領域を形成し、
    前記保護層を除去し、
    前記第1の不純物半導体層上に第1の電極を形成し、
    前記第1の電極とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に前記第1の電極、前記第1の不純物半導体層及び単結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  24. 請求項13乃至22のいずれか一において、
    単結晶シリコン基板に保護層を形成し、
    前記単結晶シリコン基板上にイオンを照射して、前記単結晶シリコン基板中に脆化領域を形成し、
    前記単結晶シリコン基板の一表面上に第1の不純物半導体層を形成し、
    前記保護層を除去し、
    前記第1の不純物半導体層上に第1の電極を形成し、
    前記第1の電極とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に前記第1の電極、前記第1の不純物半導体層及び単結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  25. 請求項13乃至22のいずれか一において、
    単結晶シリコン基板上に第1の電極を形成し、
    前記単結晶シリコン基板の一表面上に第1の不純物半導体層を形成し、
    前記単結晶シリコン基板上にイオンを照射して、前記単結晶シリコン基板中に脆化領域を形成し、
    前記第1の電極とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に前記第1の電極、前記第1の不純物半導体層及び単結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  26. 請求項13乃至22のいずれか一において、
    単結晶シリコン基板上に第1の電極を形成し、
    前記単結晶シリコン基板上にイオンを照射して、前記単結晶シリコン基板中に脆化領域を形成し、
    前記単結晶シリコン基板の一表面上に第1の不純物半導体層を形成し、
    前記第1の電極とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に前記第1の電極、前記第1の不純物半導体層及び単結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  27. 請求項22乃至26のいずれか一において、
    前記単結晶シリコン基板上の前記ベース基板との貼り合わせ面に絶縁層を形成し、
    前記絶縁層とベース基板を密着させて前記単結晶シリコン基板と前記ベース基板を貼り合わせ、
    前記脆化領域において前記単結晶シリコン基板を分離させることにより、前記ベース基板上に前記絶縁層、前記第1の電極、前記第1の不純物半導体層及び単結晶シリコン層を形成することを特徴とする光電変換装置の作製方法。
  28. 請求項22乃至27のいずれか一において、
    前記イオンとして、水素を含む原料ガスにより生成されるイオンを用いることを特徴とする光電変換装置の作製方法。
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