JP2011246671A - 成形体および成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、熱膨張係数が小さく、かつ、成形性、耐熱性および誘電特性に優れる成形体を提供すること、また、かかる成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の成形体は、基材と、基材に含浸され、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含む。また、本発明の成形体では、周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下であり、周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満であり、熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下であり、環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度が200℃以上である。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の成形体は、基材と、基材に含浸され、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含む。また、本発明の成形体では、周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下であり、周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満であり、熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下であり、環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度が200℃以上である。
【選択図】図2
Description
本発明は、成形体および成形体の製造方法に関する。
環状オレフィン系樹脂を用いて形成された成形体は、様々な分野において広く用いられている。
このような成形体としては、環状オレフィン系樹脂にフィラーを添加したり、繊維基材に環状オレフィンを含浸させたりしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来では、例えば、特許文献1に開示されているように、ノルボルネン系モノマーをメタセシス系触媒の存在下で開環塊状重合することにより、環状オレフィン系樹脂としてノルボルネンポリマーを得る。その際、ノルボルネン系モノマーには、メタセシス系触媒の他に、成形体の各種特性を改質する目的で、フィラーが添加されている。そして、フィラーを添加したノルボルネン系モノマーを補強用繊維に含浸させ、その状態で、ノルボルネン系モノマーを開環塊状重合させることにより、成形体を得る。
このような成形体は、熱膨張係数が小さく、また、成形性に優れる。
このような成形体は、熱膨張係数が小さく、また、成形性に優れる。
しかし、開環塊状重合により得られるノルボルネンポリマーは、比較的高いガラス転移温度を有しているものの、そのままではガラス転移温度が十分に高いものとは言えない場合があった。そのため、前述した特許文献1にかかる成形体では、耐熱性が十分でなかったり、ガラス転移温度を高める処理を重合後に別途施さなければならず、生産性の低下や高コスト化等を招いたりするという問題があった。
さらに、近年、例えば電子機器の高速化、高性能化に伴い、誘電率および誘電正接(特に高周波における誘電率および誘電正接)が低い成形体が求められている。
本発明の目的は、熱膨張係数が小さく、かつ、成形性、耐熱性および誘電特性に優れる成形体を提供すること、また、かかる成形体の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(46)に記載の本発明により達成される。
(1) 基材と、
前記基材に含浸され、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含むことを特徴とする成形体。
(1) 基材と、
前記基材に含浸され、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含むことを特徴とする成形体。
(2) 周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下である上記(1)に記載の成形体。
(3) 周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満である上記(1)または(2)に記載の成形体。
(4) 熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成形体。
(5) 前記環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度は、200℃以上である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の成形体。
(6) 前記環状オレフィン系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1万以上1000万以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の成形体。
(7) 前記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の成形体。
(8) 前記ノルボルネン系樹脂は、極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の成形体。
(9) 前記ノルボルネン系樹脂は、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン構造、または、無置換のノルボルネン構造を繰り返し単位として有する上記(8)に記載の成形体。
(10) 前記ノルボルネン系樹脂は、ヘキシルノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである上記(9)に記載の成形体。
(11) 前記基材の45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の成形体。
(12) 前記基材は、ガラス繊維からなる上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の成形体。
(13) 前記ガラス繊維は、無極性シラン化合物で処理されたものである上記(12)に記載の成形体。
(14) 前記ガラス繊維は、ビニルシランで処理されたものである上記(13)に記載の成形体。
(15) フィラーを含む上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の成形体。
(16) 前記フィラーは、無機フィラーである上記(15)に記載の成形体。
(16) 前記フィラーは、無機フィラーである上記(15)に記載の成形体。
(17) 前記無機フィラーは、シリカフィラーである上記(16)に記載の成形体。
(18) 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである上記(17)に記載の成形体。
(18) 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである上記(17)に記載の成形体。
(19) 前記フィラーは、無極性シラン化合物で処理されたものである上記(15)ないし(18)のいずれかに記載の成形体。
(20) 環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂と、
フィラーとを含んで構成されていることを特徴とする成形体。
フィラーとを含んで構成されていることを特徴とする成形体。
(21) 周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下である上記(20)に記載の成形体。
(22) 周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満である上記(20)または(21)に記載の成形体。
(23) 熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下である上記(20)ないし(22)のいずれかに記載の成形体。
(24) 前記環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度は、200℃以上である上記(20)ないし(23)のいずれかに記載の成形体。
(25) 前記環状オレフィン系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1万以上1000万以下である上記(20)ないし(24)のいずれかに記載の成形体。
(26) 前記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂である上記(20)ないし(25)のいずれかに記載の成形体。
(27) 前記ノルボルネン系樹脂は、極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである上記(20)ないし(26)のいずれかに記載の成形体。
(28) 前記ノルボルネン系樹脂は、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン構造、または、無置換のノルボルネン構造を繰り返し単位として有する上記(27)に記載の成形体。
(29) 前記ノルボルネン系樹脂は、ヘキシルノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである上記(28)に記載の成形体。
(30) 前記フィラーの45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満である上記(20)ないし(29)のいずれかに記載の成形体。
(31) 前記フィラーは、無機フィラーである上記(20)ないし(30)のいずれかに記載の成形体。
(32) 前記無機フィラーは、シリカフィラーである上記(31)に記載の成形体。
(33) 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである上記(32)に記載の成形体。
(33) 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである上記(32)に記載の成形体。
(34) 前記フィラーは、無極性シラン化合物で処理されたものである上記(20)ないし(33)のいずれかに記載の成形体。
(35) 環状オレフィン系の低分子量化合物を含む組成物を基材に含浸させ、その状態で前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより、前記組成物を硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂が前記基材に含浸して構成された成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
(36) 環状オレフィン系の低分子量化合物と、フィラーとを含む組成物を、前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂および前記フィラーを含んで構成された成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
(37) 前記低分子量化合物は、モノマーである上記(35)または(36)に記載の成形体の製造方法。
(38) 前記モノマーは、ノルボルネン系モノマーである上記(37)に記載の成形体の製造方法。
(39) 前記ノルボルネン系モノマーは、極性置換基を有さないノルボルネン系モノマーである上記(38)に記載の成形体の製造方法。
(40) 前記ノルボルネン系モノマーは、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン系モノマー、または、無置換のノルボルネン系モノマーである上記(39)に記載の成形体の製造方法。
(41) 前記ノルボルネン系モノマーは、ヘキシルノルボルネン系モノマーである上記(40)に記載の成形体の製造方法。
(42) 前記組成物は、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒を含む上記(35)ないし(41)のいずれかに記載の成形体の製造方法。
(43) 前記組成物は、パラジウムを含有する触媒を含む上記(42)に記載の成形体の製造方法。
(44) 前記組成物中における前記触媒の含有量は、前記低分子量化合物100000molに対して、0.3mol以上10mol以下である上記(43)に記載の成形体の製造方法。
(45) 前記組成物は、助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含む上記(43)または(44)に記載の成形体の製造方法。
(46) 前記組成物中における前記助触媒の含有量は、前記低分子量化合物100000molに対して、0.15mol以上15mol以下である上記(45)に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方と、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを複合化することにより、熱膨張係数が小さく、かつ、成形性、耐熱性および誘電特性に優れる成形体を提供することができる。また、このような熱膨張係数が小さく、かつ、成形性、耐熱性および誘電特性に優れる成形体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の成形体および成形体の製造方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(本発明の成形体)
本発明の成形体は、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方と、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含んで構成されている。
本発明の成形体は、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方と、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含んで構成されている。
このように構成された成形体によれば、環状オレフィン系樹脂が環状オレフィン系の低分子量化合物同士を付加重合したもの(すなわち単独付加重合により得られたもの)であるので、ガラス転移温度が比較的高く、耐熱性に優れ、また、誘電率および誘電正接が低く、誘電特性に優れる。
また、このように構成された成形体によれば、塊状重合により得られる環状オレフィン系樹脂を用いることにより、様々な寸法、形状等に容易に成形でき、また、得られた成形体は、寸法精度に優れる。例えば、厚板化された成形体や、ブロック状をなす成形体等を優れた寸法精度で成形することができる。
さらに、このように構成された成形体によれば、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方を含むので、熱膨張係数を小さくすることができ、また、機械的強度および寸法精度を向上させることができる。
特に、本発明の成形体は、周波数45GHzにおける誘電率(比誘電率)が4.0以下であり、周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満である。これにより、例えばミリ波のような高周波域の搬送波を送信・受信するアンテナ装置や高周波伝送用の回路基板等の電子部品のように低誘電率および低誘電正接が要求される成形体に本発明を適用することができる。このような本発明を適用した高周波用のアンテナ装置や回路基板は、搬送波の伝送速度が速く、また、伝送ロスが少ない。
なお、ここで、上記の比誘電率および誘電正接の測定方法は、JIS1660−1、IEC61338−1−4に準ずるものである。また、上記の誘電率および誘電正接は、厳密に45GHzでの値ではなく、その周辺の周波数においても同様である。
また、本発明の成形体は、熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下である。これにより、低熱膨張係数であることが要求される様々な成形体に本発明を適用することができる。なお、前記熱膨張係数は熱機械分析により測定することができる。
さらに、本発明の成形体は、前記環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度は、200℃以上である。これにより、高い耐熱性が要求される様々な成形体に本発明を適用することができる。
以下、本発明の成形体について詳述する。
本発明の成形体は、環状オレフィン系樹脂と、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方とを含んで構成されている。なお、本発明の成形体は、環状オレフィン系樹脂、基材およびフィラー以外の成分(例えば、後述する触媒や助触媒等)を含み得るが、かかる成分については、後述する本発明の成形体の製造方法の説明とともに詳述する。
本発明の成形体は、環状オレフィン系樹脂と、基材およびフィラーのうちの少なくとも一方とを含んで構成されている。なお、本発明の成形体は、環状オレフィン系樹脂、基材およびフィラー以外の成分(例えば、後述する触媒や助触媒等)を含み得るが、かかる成分については、後述する本発明の成形体の製造方法の説明とともに詳述する。
(環状オレフィン系樹脂)
環状オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、ベンゾシクロブテン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、誘電特性および耐熱性が特に優れるという理由から、ノルボルネン系樹脂が好ましく、付加型ノルボルネン系樹脂がより好ましい。
環状オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、ベンゾシクロブテン樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、誘電特性および耐熱性が特に優れるという理由から、ノルボルネン系樹脂が好ましく、付加型ノルボルネン系樹脂がより好ましい。
ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系の低分子量化合物同士を塊状重合させることにより比較的容易に得ることができる。ノルボルネン系の低分子量化合物は、重合のための触媒や助触媒等の反応剤を比較的少なくしても、例えば加熱により比較的容易に塊状重合させることができる。そのため、成形体中における前記反応剤の含有量を比較的少なくすることができ、その結果、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。
また、前記ノルボルネン系樹脂は、極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものであるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。なお、極性置換基とは、水素結合をしうる基、または、イオン性解離基を言い、このような極性置換基としては、特に限定されないが、例えば、−OH、−COOH、−COOM、−NH3、−NR4 +A−、−CONH2等が挙げられる。ここで、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム塩等のカチオンであり、Rは、Hまたは炭素数8以下の炭化水素基、A−はハロゲン原子等のアニオンである。
また、前記ノルボルネン系樹脂は、前述したような極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有する場合において、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン構造、または、無置換のノルボルネン構造を繰り返し単位として有するのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性をより優れたものとすることができる。
また、前記ノルボルネン系樹脂は、ヘキシルノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものであるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性をさらに優れたものとすることができる。
より具体的に説明すると、環状オレフィン系樹脂は、下記式(1)に示す構造(ノルボルネン構造)を含むことが好ましい。
また、上記式(1)中の線状または炭素数1〜20の線状または分岐状のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、をはじめ、線状または分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられるが、これらの中でも、成形体の脆性を低めるとともに剛性を高めることができるという理由から、線状または分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
また、上記式(1)中のアラルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル、およびフェニルエチル(例えば、−CH2CH2Ph)、などの芳香族部分が1個の単環式芳香族で構成され、アルキレン部分がメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基のような基が結合しているものや、さらには芳香族部分がナフチルなどの縮合単環式芳香族やビフェニルなどの多環式芳香族を有し、前記のようなアルキレン部分が結合しているもの等が挙げられる。
また、上記式(1)中の芳香族基としては、特に限定されるものではないが、フェニル基などの単環式芳香族、ナフチル基などの縮合多環式芳香族、ビフェニルなどの多環式芳香族等が挙げられる。
また、上記式(1)中の脂環族としては、特に限定されるものではないが、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ジヒドロジシクロペンタジエチル基、テトラシクロドデシル基、メチルテトラシクロドデシル基、テトラシクロドデカジエチル基、ジメチルテトラシクロドデシル基、エチルテトラシクロドデシル基、エチリデニルテトラシクロドデシル基、フエニルテトラシクロドデシル基、シクロペンタジエチル基の三量体等の脂環族基等が挙げられる。
また、上記式(1)中のmは、0〜4の整数であればよく、特に限定されるわけではないが、0または1が好ましい。
また、上記式(1)中のR1〜R4の少なくとも1つは、炭素数1〜12のアルキル基または脂肪族炭化水素基が好ましい。これにより、環状オレフィン系樹脂の45GHzにおける誘電率を2.7以下にするとともに、環状オレフィン系樹脂の誘電正接を1×10−3未満にすることができる。なお、ここで、環状オレフィン系樹脂の誘電率および誘電正接とは、後述する組成物12(フィラーを除く)を硬化または固化したものにおける誘電率および誘電正接をいう。
上記式(2)の置換基中のR6、R7およびR8は、独立に、線状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、線状または分岐状の炭素数1〜20のアルコキシ基、線状または分岐状の炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ基、線状または分岐状の炭素数1〜20のアルキルペルオキシ基そして置換もしくは未置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基であれば、特に限定されるわけではないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基、アセトキシ基、プロピオキシ基、ブチロキシ基、メチルペルオキシ基、イソプロピルペルオキシ基、t−ブチルペルオキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基、ナフチロキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基、ナフチロキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、環状オレフィン系樹脂と基材やフィラー等との密着性を優れたものとすることができるという理由から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
上記式(2)の置換基中のnは、0〜5の整数であればよく、特に限定されるわけではないが、nは0〜3であることが好ましい。これにより、環状オレフィン系樹脂の誘電特性(誘電率、誘電正接)および機械特性(260℃における弾性率、ガラス転移温度)の双方を優れたものとすることができる。
また、上記ノルボルネン系樹脂は、特に限定されるわけではなく、上記一般式(1)で示される単一の構造(単一のノルボルネン構造)で構成されていてもよく、また、互いに異なる複数の構造(異なる複数種のノルボルネン構造)で構成されていても良い。
また、上記式(1)で表される構造を有する環状オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)は、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5−フェニルエチルノルボルネン、5−トリメトキシシリルノルボルネン、5-トリメトキシシリルエチルノルボルネンに由来する構造を繰り返し単位とするものが好ましく、さらに好ましくは、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5−フェニルエチルノルボルネンに由来する構造を繰り返し単位とするものであり、5−ヘキシルノルボルネンに由来する構造を繰り返し単位とするのが特に好ましい。
また、このような環状オレフィン系樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1万以上1000万以下であることが好ましく、10万以上800万以下であることがより好ましく、100万以上500万以下であることがさらに好ましい。かかる重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、成形体の脆性を低くして、割れ難い成形体を提供することができる。
ここで、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラム)装置を用い、溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、カラム温度:140℃にて、ポリスチレン換算値として算出することができる。
なお、このような環状オレフィン系樹脂は、後述するような環状オレフィン系の低分子量成分を塊状重合することにより得ることができる。
(基材)
本発明の成形体に含まれる基材としては、特に限定されないが、前述した環状オレフィン系樹脂よりも熱膨張係数が小さいものが好適に用いられる。
本発明の成形体に含まれる基材としては、特に限定されないが、前述した環状オレフィン系樹脂よりも熱膨張係数が小さいものが好適に用いられる。
このような基材としては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布、マット類等が挙げられる。
また、前記基材の45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満であるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。
また、前記基材としては、ガラス繊維からなるもの(ガラス繊維基材)が好ましい。これにより、成形体の熱膨張係数を小さくするとともに、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。また、成形体の耐熱性を優れたものとすることができる。また、成形体の強度を向上させることもできる。
このようなガラス繊維基材を構成するガラスとしては、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス、UNガラス、石英ガラス等が挙げられる。これらの中でもNEガラス、UNガラス、石英ガラスが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の誘電率および誘電正接を小さくすることができ、成形体の誘電率および誘電正接を小さくすることができる。
また、前記基材は、1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基、スチリル基、等の有機官能基を有するシラン化合物で処理されたものであるのが好ましく、かかるシラン化合物としては、例えば、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシランなどのアルキル基を有するシラン(アルキルシラン)、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランなどのフェニル基を有するシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン等のスチリル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン(ビニルシラン)、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、前記基材としてガラス繊維を用いる場合、前記ガラス繊維は、アルキルシラン、ビニルシラン、等の無極性シラン化合物で処理されたものであるのが好ましく、ビニルシランで処理されたものあるのが特に好ましい。これにより、環状オレフィン系樹脂とガラス繊維との密着性を向上させることができる。その結果、成形体の機械的特性を向上させることができる。
なお、ここで、「無極性シラン化合物」とは、極性置換基を有さない(含まない)シラン化合物を言う。また、「極性置換基」とは、水素結合をしうる基、または、イオン性解離基を言い、このような極性置換基としては、特に限定されないが、例えば、−OH、−COOH、−COOM、−NH3、−NR4 +A−、−CONH2等が挙げられる。ここで、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム塩等のカチオンであり、Rは、Hまたは炭素数8以下の炭化水素基、A−はハロゲン原子等のアニオンである。
また、前記基材の平均厚さは、成形体の形状や大きさ等によっても異なり、特に限定されないが、1μm以上10mm以下程度である。
また、成形体中における基材の含有量は、0質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上60質量%以下であるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとしつつ、成形体の熱膨張係数を低めるという効果を好適に発揮させることができる。ただし、かかる含有量が0質量%である場合、このような効果を得るためには、成形体に後述するようなフィラーが含まれている必要がある。
また、成形体が基材および/またはフィラーを含む場合、成形体中における基材、フィラーおよび環状オレフィン系樹脂(前述した付加型の環状オレフィン系樹脂)の合計量に対する、基材とフィラーの合計量の割合が、10質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましい。これにより、成形体の熱膨張係数を低めるという効果と、成形体の誘電率および誘電正接を低めるという効果とをバランスよく発揮させることができる。
(フィラー)
本発明の成形体に含まれるフィラーとしては、特に限定されないが、前述した環状オレフィン系樹脂よりも熱膨張係数が小さいものが好適に用いられる。なお、かかるフィラーは、後述する成形体の製造方法において用いる組成物12に含まれるものである。
本発明の成形体に含まれるフィラーとしては、特に限定されないが、前述した環状オレフィン系樹脂よりも熱膨張係数が小さいものが好適に用いられる。なお、かかるフィラーは、後述する成形体の製造方法において用いる組成物12に含まれるものである。
このようなフィラーを含む成形体は、その熱膨張係数を低くすることができる。特に、フィラーおよび基材を併用することにより、成形体の低熱膨張係数、低誘電率および低誘電正接をバランスよく実現することができる。
このようなフィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーが挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。
また、有機フィラーとしては、合成樹脂粉末が挙げられる。この合成樹脂粉末としては、例えば、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の粉末、またはこれらの樹脂の共重合体の粉末が挙げられる。また、有機フィラーの他の例としては、芳香族または脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
また、前記フィラーの45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満であるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。
特に、前記フィラーは、無機フィラーであるのが好ましい。これにより、成形体の熱膨張係数を効果的に低めることができる。また、成形体の耐熱性を優れたものとすることができる。
また、前記無機フィラーは、シリカフィラーであるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとしつつ、成形体の熱膨張係数を低めることができる。
前記シリカフィラーとしては、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカ等が挙げられるが、溶融シリカフィラーを用いるのが好ましく、さらには最大充填量が大きくできるので球状シリカがより好ましい。これにより、成形体の誘電特性を特に優れたものとすることができる。
また、前記フィラーは、1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基、スチリル基、等の有機官能基を有するシラン化合物で処理されたものであるのが好ましく、かかるシラン化合物としては、例えば、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシランなどのアルキル基を有するシラン(アルキルシラン)、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランなどのフェニル基を有するシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン等のスチリル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン(ビニルシラン)、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、前記フィラーとして無機フィラーを用いる場合、前記フィラーは、無極性シラン化合物で処理されたものであるのが好ましい。これにより、環状オレフィン系樹脂とフィラーとの密着性を向上させることができる。その結果、成形体の機械的特性を向上させることができる。
なお、ここで、「無極性シラン化合物」とは、極性置換基を有さない(含まない)シラン化合物を言い、極性置換基とは、水素結合をしうる基、または、イオン性解離基を言い、このような極性置換基としては、特に限定されないが、例えば、−OH、−COOH、−COOM、−NH3、−NR4 +A−、−CONH2等が挙げられる。ここで、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム塩等のカチオンであり、Rは、Hまたは炭素数8以下の炭化水素基、A−はハロゲン原子等のアニオンである。
また、前記フィラーの平均粒径は、特に限定されないが、1nm以上50μm以下が好ましく、さらに10nm以上20μm以下がより好ましく、100nm以上1μm以下が特に好ましい。また、前記の各範囲の粒径の異なる複数種のフィラーを適宜混合・組み合わせても良い。かかる平均粒径が前記範囲内であることにより、前述したような成形体の熱膨張係数を低めるという効果を好適に発揮させるとともに、成形体を製造する際において、硬化前(固化前)の組成物の流動性(粘度)を良好なものとし、成形性を優れたものとすることができる。また、成形体を製造する際において、フィラーの取り扱い性を良好なものとすることもできる。さらに、成形体を均質なものとすることができる。
これに対し、かかる平均粒径が前記下限値未満であると、成形体を製造する際において、フィラーの取り扱い性が悪化する傾向を示す。一方、かかる平均粒径が前記上限値を超えると、成形体を製造する際において、硬化前(固化前)の組成物の流動性(粘度)が高くなり、成形体の寸法や形状等によっては、成形性が悪化する場合がある。
また、成形体に含まれるフィラーの含有量は、0質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上80質量%以下であるのがより好ましく、さらに20質量%以上60質量%以下であるのが好ましい。これにより、成形体の誘電特性を優れたものとしつつ、成形体の熱膨張係数を低めるという効果を好適に発揮させることができる。ただし、かかる含有量が0質量%である場合、このような効果を得るためには、成形体に前述したような基材が含まれている必要がある。
これに対し、かかる含有量が前記下限値未満であると、フィラーによる効果が望めない。一方、かかる含有量が前記上限値を超えると、誘電特性に優れた成形体を得ることが難しく、また、用いる環状オレフィン系樹脂の種類や含有量等によっては、成形体が脆くなる傾向を示す。また、成形体を製造する際において、硬化前(固化前)の組成物の流動性(粘度)が高くなり、成形体の寸法や形状等によっては、成形性が悪化する場合がある。
(その他)
また、本発明の成形体は、上述したものの他に、基材やフィラーの処理に用いる前述したカップリング剤以外のカップリング剤、難燃剤、離型剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
また、本発明の成形体は、上述したものの他に、基材やフィラーの処理に用いる前述したカップリング剤以外のカップリング剤、難燃剤、離型剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
前記シランカップリング剤としては、特に限定されるわけではなく、ビニルシラン類、(メタ)アクリルシラン類、スチリルシラン類、イソシアネートシラン類等を挙げることができ、樹脂組成物と銅箔等の金属箔との密着性を向上させることができる。
前記難燃剤としては、特に限定されるわけではないが、トリキシレニルホスフェート、ジキシレニルホスフェート、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンー10−オキシドなどのリン系難燃剤、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤等を挙げることができ、成形体の難燃性を向上させることができる。
(成形体の製造方法)
次に、本発明の成形体の製造方法について説明する。
次に、本発明の成形体の製造方法について説明する。
本発明の成形体の製造方法は、付加型の環状オレフィン系樹脂と前記基材および/またはフィラーを含んで構成された成形体を得ることができれば、特に限定されないが、好ましくは環状オレフィン系の低分子量化合物を含む組成物を基材に含浸させ、その状態で前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより、前記組成物を硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂が前記基材に含浸して構成された成形体を得ることを特徴とする。
また、本発明の成形体の製造方法の他の好ましい態様は、環状オレフィン系の低分子量化合物と、フィラーとを含む組成物を、前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂および前記フィラーを含んで構成された成形体を得ることを特徴とする。
このような成形体の製造方法によれば、前述したような熱膨張係数が小さく、かつ、成形性、耐熱性および誘電特性に優れる成形体を得ることができる。
特に、このような成形体の製造方法によれば、環状オレフィン系樹脂が環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合させるだけで、別途処理を施さなくても、前述したような優れた成形性、耐熱性および誘電特性を有する成形体を得ることができる。
図1および図2は、それぞれ、本発明の成形体の製造方法の一例を説明するための図である。
なお、以下の説明では、基材、フィラーおよび環状オレフィン系樹脂を含んで構成された成形体を製造する場合を例に説明するが、基材またはフィラーのいずれか一方を省略してもよい。また、以下の説明では、型を用いて成形体を得る場合を例に説明するが、これに限定されず、当業者に公知の基材に樹脂を含浸したプリプレグを積層しプレス成形する方法等のプリント回路基板等に用いる積層板の作製方法やインジェクション成形、コンプレッション成形、トランスファー成形等の成形方法を採用してもよく、さらには例えば、銅、アルミニウム、銅等の金属のシートまたは板、あるいは、公知のフレキシブル基板やリジット基板の上に、後述する組成物を塗布し、これを硬化または固化させることにより、所定の形状をなす成形体を得ることもできる。また、成形体の形状は、図示のものに限定されず、任意である。
図1および図2に示す成形体の製造方法の例は、[1]低分子量化合物を含む組成物を型内に供給する工程と、[2]組成物を硬化または固化させる工程と、[3]成形体を型から取り外す工程とを有する。
以下、各工程を順次詳細に説明する。
[1]
1−1
まず、図1(a)に示すように、収納部C(キャビティ)を備える型100を用意する。
[1]
1−1
まず、図1(a)に示すように、収納部C(キャビティ)を備える型100を用意する。
図1の図示では、収納部Cは、上方に開口している。また、この型100は、収納部Cの下面が平坦面で構成されている。
なお、型100および収納部Cの形状は、説明の便宜上、簡略的に示した一例であり、これに限定されるものではない。また、図1の図示では、型100が1部材で構成されているが、型100を分割可能な複数の部材で構成(例えば、底板と枠体とで構成)してもよい。これにより、後述する工程[3]において、型100から成形体1を容易に取出すことができる。
また、型100の内周面には、離型処理が施されていてもよい。これにより、後述する工程[3]において、成形体1を型100から簡単に取り出すことができる。かかる離型処理としては、特に限定されないが、例えば、型100の内周面にフッ素系やシリコーン系の離型剤を塗布する処理等が挙げられる。
1−2
そして、図1(b)に示すように、型100の底面上に、基材11を設置する。
この基材11は、前述した基材を用いることができる。
そして、図1(b)に示すように、型100の底面上に、基材11を設置する。
この基材11は、前述した基材を用いることができる。
なお、基材11は、後述する組成物12を型100内に供給した後に、型100内に設置してもよいし、型100内に、組成物12の供給と基材11の設置とを交互に複数回行ってもよい。また、成形体の用途、環状オレフィン系の低分子量化合物の種類、フィラーの種類および含有量等によっては、基材11を省略してもよい。
1−3
次に、図1(c)に示すように、型100の収納部C内に、液状の組成物12を充填(供給)する。
これにより、型100内において、組成物12は、基材11に含浸される。すなわち、基材11に組成物12を含浸してなる複合体10を得る。
次に、図1(c)に示すように、型100の収納部C内に、液状の組成物12を充填(供給)する。
これにより、型100内において、組成物12は、基材11に含浸される。すなわち、基材11に組成物12を含浸してなる複合体10を得る。
この液状の組成物12は、後述する工程[2]において、基材11に含浸した状態で硬化または固化する。これにより、本発明の成形体1が得られる。
したがって、収納部Cへの組成物12の供給量は、成形体1が所望の寸法となるように調整される。その際、後述する工程[2]における組成物12の硬化または重合に伴う収縮量等を考慮して、かかる供給量を設定される。
また、組成物12を型100内に供給した後、後述する工程[2]の前に、必要に応じて、例えば、温度:20〜80℃、時間:1分〜10時間で、組成物12を放置または加熱し、組成物12の粘度を向上させる。これにより、組成物12の取り扱い性が増すとともに、後述するように組成物12を加圧して、得られる成形体1の寸法を制御することができる。
また、型100内に供給された組成物12は、必要に応じて、型100の開口側から他の型を用いて加圧してもよい。
このような液状の組成物(重合性反応液)12は、環状オレフィン系の低分子量化合物と、必要に応じてフィラーとを含んで構成されている。また、組成物12には、必要に応じて、触媒、助触媒等が添加される。
以下、組成物12の構成を詳細に説明する。
(低分子量化合物)
組成物12に含まれる低分子量化合物は、塊状重合により、前述した環状オレフィン系樹脂となるものである。
(低分子量化合物)
組成物12に含まれる低分子量化合物は、塊状重合により、前述した環状オレフィン系樹脂となるものである。
なお、「塊状重合」とは、一般に、実質的無溶媒で行なわれる重合反応を意味するが、場合によっては、少ない割合の溶媒を低分子量化合物に添加してもよい。また、後述する重合のための触媒を低分子量化合物に加える前に、その触媒を溶媒中に予め溶解することが望ましい場合には、酢酸エチル、THF等の溶媒を用いてもよい。その際、組成物12中の溶媒の含有量は、5質量%以下であるのが好ましい。
かかる低分子量化合物は、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、10量体程度のプレポリマーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。少なくとも1種の低分子量化合物としては、モノマーまたはダイマーを用いるのが好ましく、モノマーを用いるのがより好ましい。
前記低分子量化合物としてモノマーを用いることにより、所望の特性を有する環状オレフィン系樹脂を容易に得ることができる。
また、かかるモノマーは、ノルボルネン系モノマーであるのが好ましい。すなわち、前述した成形体に環状オレフィン系樹脂として含まれるノルボルネン系樹脂の繰り返し単位に対応するモノマーを前記低分子量化合物として用いるのが好ましい。
これにより、ノルボルネン系モノマー同士を塊状重合させることにより、前述したようなノルボルネン系樹脂を得ることができる。また、ノルボルネン系モノマーは、重合のための触媒や助触媒等の添加剤を少なくしても、加熱により比較的容易に塊状重合させることができる。そのため、得られる成形体中における添加剤の含有量を比較的少なくすることができ、その結果、成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。
具体的には、かかるノルボルネン系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−ペンチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−へプチルノルボルネン、5−オクチルノルボルネン、5−ノニルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5−フェネチルノルボルネン、5−トリエトキシシリルノルボルネン、5−トリメチルシリルノルボルネン、5−トリメトキシシリルノルボルネン、5−メチルジメトキシシリルノルボルネン等が挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーを重合する際は、単一(同種)のノルボルネン系モノマー同士を重合しても良いし、複数(異なる複数種)のノルボルネン系モノマーを共重合しても良い。
前記ノルボルネン系モノマーは、極性置換基を有さないノルボルネン系モノマーであるのが好ましい。これにより、得られる成形体の誘電特性を優れたものとすることができる。
また、前記ノルボルネン系モノマーは、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン系モノマー、または、無置換のノルボルネン系モノマーであるのが好ましい。これにより、得られる成形体の誘電特性をより優れたものとすることができる。
また、前記ノルボルネン系モノマーは、ヘキシルノルボルネン系モノマーであるのが好ましい。これにより、得られる成形体の誘電特性をさらに優れたものとすることができる。
(触媒)
組成物12では、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒を含むのが好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量成分同士を塊状重合させることができる。なお、組成物12には、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒に代えて、ラジカル開始剤を含んでいてもよい。
組成物12では、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒を含むのが好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量成分同士を塊状重合させることができる。なお、組成物12には、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒に代えて、ラジカル開始剤を含んでいてもよい。
特に、かかる触媒としては、パラジウムを含有する触媒を用いるのがより好ましい。すなわち、後述する成形体の製造方法に用いる組成物12は、パラジウムを含有する触媒を含むのがより好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量化合物同士の重合速度を高めることができる。
より具体的には、かかるパラジウム触媒としては特表2002−531648号公報、特表2007−521326号公報などに記載されている触媒を用いるのが好ましい。さらに、下記式Iで表されるパラジウム金属カチオンと弱配位性アニオンからなるものを用いるのが好ましい。
[R’xM(L’)y(L”)z]b[WCA]d (式I)
[上記式Iにおいて、Mは、Pdを表し、R’はカルボキシレート基、チオカルボキシレート基、ジチオカルボキシレート基、及びアニオンヒドロカルビル基から選択されるアニオン配位子を表し、L’は第15族の中性電子供与配位子を表し、L”は不安定中性電子供与配位子を表し、xは0〜2の整数であり、yは0〜2の整数であり、zは0〜2の整数であり、そして、bおよびdは、それぞれ、触媒錯体全体の電子電荷のバランスをとるためにカチオン錯体と弱配位カウンターアニオン錯体(WCA)とが用いられた数を表す数字である。]
[上記式Iにおいて、Mは、Pdを表し、R’はカルボキシレート基、チオカルボキシレート基、ジチオカルボキシレート基、及びアニオンヒドロカルビル基から選択されるアニオン配位子を表し、L’は第15族の中性電子供与配位子を表し、L”は不安定中性電子供与配位子を表し、xは0〜2の整数であり、yは0〜2の整数であり、zは0〜2の整数であり、そして、bおよびdは、それぞれ、触媒錯体全体の電子電荷のバランスをとるためにカチオン錯体と弱配位カウンターアニオン錯体(WCA)とが用いられた数を表す数字である。]
また、モノマーの触媒に対する比率(即ち、モノマー:パラジウム金属触媒)は、前記低分子量化合物(特にノルボルネン系モノマー)100000molに対して、0.3mol以上10mol以下であるのが好ましく、0.5mol以上5mol以下であるのがより好ましい。これにより、確実に環状オレフィン樹脂を構成するモノマーを重合することができる。
(助触媒)
前記組成物12は、助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含むのが好ましい。すなわち、前記環状オレフィン樹脂を合成する場合、前記触媒の他に助触媒を添加する方が好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量化合物同士の重合速度をより高めることができる。
前記組成物12は、助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含むのが好ましい。すなわち、前記環状オレフィン樹脂を合成する場合、前記触媒の他に助触媒を添加する方が好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量化合物同士の重合速度をより高めることができる。
前記助触媒の添加量は、特に限定されるわけではないが、モル比(触媒:助触媒)で1:0.1〜10が好ましく、1:0.3〜8がさらに好ましく、1:0.5〜5が特に好ましい。これにより、短時間で環状オレフィンを構成するモノマーを重合するという効果と重合反応が暴走することを抑制するという効果との両方を得ることができる。
前記助触媒としては、特に限定されるわけではないが、アルキルアルミニウム、ルイス酸又は、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体等を挙げることができ、それらの中でも、弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体が好ましい。
また、前記助触媒としては、特表2002−531648号公報、特表2007−521326号公報に記載されている下記式IIで表されるものが、さらに好ましい。
[C]e[WCA]d (式II)
[上記式において、Cは、プロトン(H+)、有機基含有カチオン、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは遷移金属のカチオンを表し、WCAは、上記で定義したとおりであり、eとdは、それぞれ、カチオン錯体(C)と弱配位性アニオン塩(WCA)の、総合塩錯体上の電子電荷を釣り合わせるように定められる数である。]
[上記式において、Cは、プロトン(H+)、有機基含有カチオン、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは遷移金属のカチオンを表し、WCAは、上記で定義したとおりであり、eとdは、それぞれ、カチオン錯体(C)と弱配位性アニオン塩(WCA)の、総合塩錯体上の電子電荷を釣り合わせるように定められる数である。]
前記弱配位性アニオン(WCA)塩を含むイオン錯体としては、特に限定されるわけではないが、リチウム(ジエチルエーテル)2.5テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウム・テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、H(OEt2)xテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(4−メチル)−α,α−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンメタノラト−κO]アルミネート、ナトリウム・テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリアルキル及びトリアリールホスホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、並びにトリチル・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
組成物12中における前記助触媒の含有量は、前記環状オレフィン系の低分子量化合物(特に前記ノルボルネン系モノマー)100000molに対して、0.15mol以上15mol以下であるのが好ましい。これにより、環状オレフィン系の低分子量化合物同士の重合速度をより高めつつ、過度な重合反応を防止することができる。
より具体的には、モノマー:パラジウム触媒:助触媒の配合比率は、モル比で100,000:0.3〜10:0.15〜20であることが好ましく、100,000:0.5〜5:0.3〜20の割合であることが特に好ましい。
(フィラー)
組成物12に含まれるフィラーは、前述したフィラーを用いることができる。
組成物12に含まれるフィラーは、前述したフィラーを用いることができる。
このようなフィラーは、前述した環状オレフィン系の低分子量化合物に分散される。その分散に際しては、液状成分とフィラーを分散させる方法として当業者に公知の方法であればよいが、例えば、2本ロールや3本ロール、単軸あるいは二軸ニーダー、ヘンシェルミキサー、ディスパーザ、ハンマーミル、ジェットミルなどの混合混練装置を用いることができる。このようにして得られた樹脂組成物は、複数種類の成分を物理的に混合しただけのものであってもよいし、樹脂組成物の調製時、混合(攪拌、混練など)に際して付与される機械的エネルギーおよびこれが変換された熱エネルギーにより、その一部を化学的に反応させたものであってもよい。具体的には、機械的エネルギーによるメカノケミカル的反応、熱エネルギーによる化学反応をさせてもよい。前記の方式を含む概念として、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式等の分散方式を用いることができる。また、フィラーを若干の溶媒に分散した後に、その分散液を環状オレフィン系の低分子量化合物に混合することにより、フィラーを環状オレフィン系の低分子量化合物に分散させてもよい。
(その他)
なお、成形体1に必要な機能を実現し得るものであれば、組成物12中には、前述したもの以外の成分を含んでいてもよい。かかる成分としては、例えば、重合開始剤、酸化防止剤等が挙げられる。また、低分子量化合物は、光、放射線等で硬化または重合するものであってもよい。
なお、成形体1に必要な機能を実現し得るものであれば、組成物12中には、前述したもの以外の成分を含んでいてもよい。かかる成分としては、例えば、重合開始剤、酸化防止剤等が挙げられる。また、低分子量化合物は、光、放射線等で硬化または重合するものであってもよい。
このような組成物12の粘度は、0.5mPa・s〜200Pa・sであるのが好ましく、1mPa・s〜100Pa・sであるのがより好ましい。これにより、液状の組成物12が所望の領域の全域に亘って容易に拡がるので、所望の形状をなす成形体1を得ることができる。なお、かかる粘度は、例えば常温(25℃)でブルックフィールド型粘度計、E型粘度計等を用いて、測定条件0.5〜100rpmで評価することができる。
また、組成物12は、塊状重合による硬化後または固化後において、DMS測定におけるガラス転移温度が200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることが特に好ましい。これにより、リフロー耐性が向上するという効果を奏することができる。
ここで、組成物12のガラス転移温度は、組成物12を塊状重合により硬化または固化させて形成された測定サンプルを準備し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製、型番:DMS6100)により、測定サンプルサイズ:4mm(幅)×20mm(長さ)×500μm(厚み)、周波数:1Hz、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/分により測定し、Tanδのピークが発現する温度を測定値とした。
なお、以上のように構成された組成物12を型100内に充填する前または後、かつ、後述する工程[2]の前に、組成物12に接するように(例えば、板状をなす場合はその少なくとも一方の面に接するように)、銅、アルミニウム、銅等の金属のシートまたは板、あるいは、公知のフレキシブル基板やリジット基板を配置してもよい。これにより、後述する工程[2]において、組成物12の硬化または固化と、成形体1と上記シート、基板等との貼り合わせを同時に行うことができる。
[2]
次に、図2(a)に示すように、液状の組成物12を硬化または重合させて、成形体1を形成する。
次に、図2(a)に示すように、液状の組成物12を硬化または重合させて、成形体1を形成する。
なお、図2(a)では、液状の組成物12が加熱により硬化または固化する場合を例として図示している。
また、本工程は、必要に応じて、型100の開口側から他の型を用いて組成物12(複合体10)を加圧した状態で行ってもよい。その際の加圧の圧力は、特に限定されないが、0.5〜8MPaが好ましく、1〜5MPaが特に好ましい。
組成物12の加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱された熱盤上に型100を載置して組成物12を加熱する方法、加熱されたオーブン内に型100を載置して組成物12を加熱する方法、赤外線を組成物12に照射して加熱する方法等が挙げられる。
この加熱温度は、組成物12の組成や加熱時間等に応じて適宜設定されるものであり、前述した低分子量化合物同士が塊状重合することにより組成物12を硬化または固化させて成形体1を形成することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、低分子量化合物(重合性モノマー)としてノルボルネン系モノマーを用いた場合、20〜250℃程度である。
また、加熱時間は、組成物12の組成や加熱温度等に応じて適宜設定されるものであり、組成物12を硬化または固化させて成形体1を形成することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、低分子量化合物(重合性モノマー)としてノルボルネン系モノマーを用いた場合、10分〜24時間程度である。
また、本工程[2]は、減圧化で行うことが好ましい。これにより、得られる成形体1中にボイドが形成されるのを防止することができる。
なお、上記加熱後に、成形体1中の環状オレフィン系樹脂の重合度を高める目的で、さらに、加熱する工程を設けてもよい。具体的には、温度:100〜250℃、時間:30分〜10時間で行われることが好ましい。また、その加熱は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、環状オレフィン系樹脂の重合度を高めることができ、成形体1中に含まれる未反応の低分子量化合物の量を低減することができる。
[3]
次に、図2(b)に示すように、成形体1を型100から取出す。
以上のようにして成形体1を得ることができる。
次に、図2(b)に示すように、成形体1を型100から取出す。
以上のようにして成形体1を得ることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は、各実施例に限定されるものではない。
1.成形体の製造
<実施例1>
(組成物の調製)
下記モノマー1(低分子量化合物)に下記Pd触媒1(触媒)および下記助触媒1(助触媒)を加え、室温で5分間攪拌し、重合性反応液A(組成物)を得た。
<実施例1>
(組成物の調製)
下記モノマー1(低分子量化合物)に下記Pd触媒1(触媒)および下記助触媒1(助触媒)を加え、室温で5分間攪拌し、重合性反応液A(組成物)を得た。
・モノマー1:5−ヘキシルノルボルネン
・Pd触媒1:ビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウムアセテート(アセトニトリル)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
・助触媒1:N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
・Pd触媒1:ビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウムアセテート(アセトニトリル)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
・助触媒1:N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
この重合性反応液Aの調整に際しては、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=100,000:1:1の割合となるようにした。
(成形体の作製)
中心線平均粗さRa0.06μmの銅箔(三井金属箔製造株式会社製DFF−NA 12μm厚)上に、厚み0.5mm、200mm×200mmで、中央部が160mm×160mmに打ち抜かれたシリコーンゴムを敷き、水平になるようにセットした。
中心線平均粗さRa0.06μmの銅箔(三井金属箔製造株式会社製DFF−NA 12μm厚)上に、厚み0.5mm、200mm×200mmで、中央部が160mm×160mmに打ち抜かれたシリコーンゴムを敷き、水平になるようにセットした。
その打ち抜かれた中央部に、上記重合性反応液Aを15mL流し込み、続いて、ビニルシランで処理された基材(ガラス繊維)として150mm×150mmのNEガラスクロス(日東紡株式会社製:厚み100μm)を3枚浸漬した後、さらに上記重合性反応液Aを10mL流し込んだ。
これを、熱盤上(大気雰囲気下)で40℃にて20分間加熱した後、上記と同じ銅箔を被せ、真空プレスにて、120℃、圧力3MPaにて2時間保持した。
その後、210℃に昇温して、さらに2時間かけて重合した。室温に冷却した後、上下の銅箔を剥離して板状の成形体を作製した。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。この成形体の中心部を切り出して重量を測定し、成形体に対する基材の含有量(重量%)を基材の単位面積あたりの重量に基づいて算出した。結果は表1に示す。
<実施例2>
(組成物の調製)
まず、70質量部のモノマー1(低分子量化合物)と30質量部の下記フィラー1(フィラー)および8質量部の下記シラン化合物1(無極性シラン化合物)とを混合攪拌し、均一な分散液を得た。
(組成物の調製)
まず、70質量部のモノマー1(低分子量化合物)と30質量部の下記フィラー1(フィラー)および8質量部の下記シラン化合物1(無極性シラン化合物)とを混合攪拌し、均一な分散液を得た。
・フィラー1:シラン処理されていない溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E2:平均粒子径0.5μm)
・シラン化合物1:デシルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:KBM−3103)
・シラン化合物1:デシルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:KBM−3103)
そして、得られた分散液に、上記実施例1と同様のPd触媒1(触媒)および助触媒1(助触媒)を加え、室温で5分間攪拌し、重合性反応液B(組成物)を得た。
この重合性反応液Bの調整に際しては、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=100,000:1:1の割合となるようにした。
(成形体の作製)
中心線平均粗さRa0.06μmの銅箔(三井金属箔製造株式会社製DFF−NA 12μm厚)上に、厚み0.5mm、200mm×200mmで、中央部が160mm×160mmに打ち抜かれたシリコーンゴムを敷き、水平になるようにセットした。
中心線平均粗さRa0.06μmの銅箔(三井金属箔製造株式会社製DFF−NA 12μm厚)上に、厚み0.5mm、200mm×200mmで、中央部が160mm×160mmに打ち抜かれたシリコーンゴムを敷き、水平になるようにセットした。
その打ち抜かれた中央部に上記重合性反応液Bを25mL流し込み、熱盤上(大気雰囲気下)で40℃にて20分間加熱した後、上記と同じ銅箔を被せ、真空プレスにて、120℃、圧力3MPaにて2時間保持した。
その後、210℃に昇温して、さらに2時間かけて重合した。室温に冷却した後、上下の銅箔を剥離して板状の成形体を作製した。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
<実施例3>
前述した実施例2の重合性反応液Bを組成物として用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
前述した実施例2の重合性反応液Bを組成物として用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
<実施例4>
成形体の作製に際し、基材(ガラス繊維)として4枚のNEガラスクロスを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
成形体の作製に際し、基材(ガラス繊維)として4枚のNEガラスクロスを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
<実施例5>
成形体の作製に際し、基材(ガラス繊維)として2枚のNEガラスクロスを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
成形体の作製に際し、基材(ガラス繊維)として2枚のNEガラスクロスを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
<実施例6>
分散液の調整に際し、70質量部のフィラー1(フィラー)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
分散液の調整に際し、70質量部のフィラー1(フィラー)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
<実施例7>
分散液の調整に際し、12質量部のフィラー1(フィラー)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
分散液の調整に際し、12質量部のフィラー1(フィラー)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
<実施例8>
重合性反応液Aの調整に際して、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=50,000:1:1の割合となるようにした以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
重合性反応液Aの調整に際して、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=50,000:1:1の割合となるようにした以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
<実施例9>
重合性反応液Aの調整に際して、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=10,000:1:1の割合となるようにした以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
重合性反応液Aの調整に際して、モノマー1、Pd触媒1および助触媒1のモル比が(モノマー1):(Pd触媒1):(助触媒1)=10,000:1:1の割合となるようにした以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
<実施例10>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、フェニルエチルノルボルネン(PENB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、フェニルエチルノルボルネン(PENB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
<実施例11>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、低分子量化合物として、モノマー1に加えて、テトラシクロドデセン(TD)を用いるとともに、低分子量化合物、触媒および助触媒のモル比を変更した以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、低分子量化合物として、モノマー1に加えて、テトラシクロドデセン(TD)を用いるとともに、低分子量化合物、触媒および助触媒のモル比を変更した以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
ここで、モノマー1およびTDのモル比を50:50とした。また、低分子量化合物、触媒および助触媒のモル比を(低分子量化合物):(触媒):(助触媒)=10,000:1:1の割合とした。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
<実施例12>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−ブチルノルボルネン(BuNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−ブチルノルボルネン(BuNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
<実施例13>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−デシルノルボルネン(DecNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−デシルノルボルネン(DecNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
<実施例14>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−デシルノルボルネン(DecNB)および5−トリメトキシシリルノルボルネン(TMSNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、モノマー1に代えて、5−デシルノルボルネン(DecNB)および5−トリメトキシシリルノルボルネン(TMSNB)を用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
ここで、DecNBおよびTMSNBのモル比を(DecNB)/(TMSNB)=8/2)とした。また、低分子量化合物、触媒および助触媒のモル比を(低分子量化合物):(触媒):(助触媒)=50,000:1:1の割合とした。
得られた成形体の平均厚さは、494μmであった。
得られた成形体の平均厚さは、494μmであった。
<実施例15>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのUNガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのUNガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
<実施例16>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
<実施例17>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、シラン処理されていない150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、493μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、シラン処理されていない150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、493μmであった。
<実施例18>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、150mm×150mmのデシルシラン処理(アルキルシラン処理)されたEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、150mm×150mmのデシルシラン処理(アルキルシラン処理)されたEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、499μmであった。
<実施例19>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み30μm)を10枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのEガラスクロス(ユニチカ株式会社製:厚み30μm)を10枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、495μmであった。
<実施例20>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのQガラスクロス(信越石英株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、ビニルシラン処理された150mm×150mmのQガラスクロス(信越石英株式会社製:厚み100μm)を3枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、497μmであった。
<実施例21>
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、有機材料で構成された150mm×150mmのテクノーラ製クロス(旭化成イーマテリアルズ株式会社製:厚み60μm)を5枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
成形体の作製に際し、基材として、NEガラスクロスに代えて、有機材料で構成された150mm×150mmのテクノーラ製クロス(旭化成イーマテリアルズ株式会社製:厚み60μm)を5枚用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
<実施例22>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、デシルシラン処理された溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E2:平均粒子径0.5μm)を用い、シラン化合物1を用いなかった以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、デシルシラン処理された溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E2:平均粒子径0.5μm)を用い、シラン化合物1を用いなかった以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、498μmであった。
<実施例23>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、ビニルシラン処理された溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E2:平均粒子径0.5μm)を用い、シラン化合物1を用いなかった以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、494μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、ビニルシラン処理された溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E2:平均粒子径0.5μm)を用い、シラン化合物1を用いなかった以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、494μmであった。
<実施例24>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、シラン処理されていない溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E1:平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、シラン処理されていない溶融シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO−E1:平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、496μmであった。
<実施例25>
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、シラン処理されていないアルミナ(株式会社アドマテックス製:アドマファインAO−802:平均粒子径0.7μm)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、492μmであった。
組成物(重合性反応液)の調整に際し、フィラーとして、フィラー1に代えて、シラン処理されていないアルミナ(株式会社アドマテックス製:アドマファインAO−802:平均粒子径0.7μm)を用いた以外は、前述した実施例2と同様にして、成形体を得た。
得られた成形体の平均厚さは、492μmであった。
<比較例1>
成形体の作製に際し、基材を省略した以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を製造した。
成形体の作製に際し、基材を省略した以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を製造した。
ここで、成形体を作成する際に、得られる成形体の平均厚さが500μmとなるように、組成物の使用量を調整した。
<比較例2>
(5−ヘキシルノルボルネンの開環メタセシス重合による塊状重合成形物の作製)
組成物(重合性反応液)の調整に際し、Pd触媒1に代えてベンジリデン(1,3−ジメチルイミダゾリジ−2−イリデン)(トリシクロゲキシルホスフィン)ルテニウムジクロライドを用い、助触媒1に代えてトリフェニルホスフィンを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
(5−ヘキシルノルボルネンの開環メタセシス重合による塊状重合成形物の作製)
組成物(重合性反応液)の調整に際し、Pd触媒1に代えてベンジリデン(1,3−ジメチルイミダゾリジ−2−イリデン)(トリシクロゲキシルホスフィン)ルテニウムジクロライドを用い、助触媒1に代えてトリフェニルホスフィンを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして、成形体を得た。
<比較例3>
(5−ヘキシルノルボルネンの溶液重合)
ステンレス鋼反応器において、ヘキシルノルボルネン(180.0g)と1−ヘキセン(12.2mL)とをトルエン(1170mL)と共に混合し、窒素雰囲気下、80℃において撹拌するようにセットした。トルエン(10mL)中のPd触媒1(0.038g)の溶液を加えて、この溶液を3時間撹拌した。得られた粘稠なポリマー溶液を次に、メタノールを徐々に加えることによって沈殿させた。得られた白色固体ポリマーをメタノールによって洗浄し、真空中で乾燥させた。収量:144.8g(80%)、Mw=477,000、PDI=3.2。
(5−ヘキシルノルボルネンの溶液重合)
ステンレス鋼反応器において、ヘキシルノルボルネン(180.0g)と1−ヘキセン(12.2mL)とをトルエン(1170mL)と共に混合し、窒素雰囲気下、80℃において撹拌するようにセットした。トルエン(10mL)中のPd触媒1(0.038g)の溶液を加えて、この溶液を3時間撹拌した。得られた粘稠なポリマー溶液を次に、メタノールを徐々に加えることによって沈殿させた。得られた白色固体ポリマーをメタノールによって洗浄し、真空中で乾燥させた。収量:144.8g(80%)、Mw=477,000、PDI=3.2。
(成形体の作製)
上記で得られた5−ヘキシルノルボルネンポリマー(30g)をメシチレン(70g)に溶解し、ポリマー溶液を調整した。
上記で得られた5−ヘキシルノルボルネンポリマー(30g)をメシチレン(70g)に溶解し、ポリマー溶液を調整した。
中心線平均粗さRa0.06μmの銅箔(三井金属箔製造株式会社製DFF−NA 12μm厚)上に、厚み1.7mm、200mm×200mmで、中央部が160mm×160mmに打ち抜かれたシリコーンゴムを敷き、水平になるようにセットした。
その打ち抜かれた中央部に、上記ポリマー溶液を25mL流し込み、続いて、ビニルシランで処理された基材(ガラス繊維)として150mm×150mmのNEガラスクロス(日東紡株式会社製:厚み100μm)を3枚浸漬した後、さらに上記ポリマー溶液を20mL流し込んだ。
これを、熱盤上(大気雰囲気下)で40℃にて3時間加熱した後、乾燥オーブン(大気雰囲気下)に投入し、80℃にて1時間、続いて150℃にて3時間乾燥させた。室温に冷却した後、下部の銅箔を剥離して板状の粗成形体を作製した。
この粗成形体に上記と同じ銅箔を被せ、真空プレスにて、120℃、圧力3MPaにて2時間保持した。その後、210℃に昇温して、さらに2時間保持した。室温に冷却した後、上下の銅箔を剥離して板状の成形体を作製した。
<比較例4>
シリカフィラーが添加されたエポキシ樹脂をガラスクロス基材に含浸させてなる成形体として、市販のFR−4基板(ELC−4765GF、住友ベークライト株式会社製:厚み500μm)を用い、評価を実施した。
シリカフィラーが添加されたエポキシ樹脂をガラスクロス基材に含浸させてなる成形体として、市販のFR−4基板(ELC−4765GF、住友ベークライト株式会社製:厚み500μm)を用い、評価を実施した。
以上のような各実施例および各比較例について、成形体の製造に用いた低分子量化合物の種類、フィラーおよび基材の種類および含有量、低分子量化合物と触媒と助触媒との配合比を表1にまとめた。なお、表1において、「HexNB」は、5−ヘキシル−2−ノルボルネンを示し、「PENB」は、フェニルエチルノルボルネンを示し、「TD」は、テトラシクロドデセンを示し、「BuNB」は、5−ブチルノルボルネンを示し、「DecNB」は、5−デシルノルボルネンを示し、「TMSNB」は、5−トリメトキシシリルノルボルネンを示している。
2.評価
以上のような各実施例および各比較例について、成形体の成形性、耐熱性、誘電特性および熱膨張係数の評価を以下のようにして行った。
以上のような各実施例および各比較例について、成形体の成形性、耐熱性、誘電特性および熱膨張係数の評価を以下のようにして行った。
2−1成形性
各実施例および各比較例について、得られた成形体のクラックの有無を電子顕微鏡を用いて観察することにより、成形性の評価を行った。
各実施例および各比較例について、得られた成形体のクラックの有無を電子顕微鏡を用いて観察することにより、成形性の評価を行った。
2−2耐熱性
各実施例および各比較例について、得られた成形体のガラス転移温度を測定し、耐熱性の評価を行った。
各実施例および各比較例について、得られた成形体のガラス転移温度を測定し、耐熱性の評価を行った。
ここで、ガラス転移温度の測定は、測定サンプルを準備し、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製、型番:DMS6100)により、測定サンプルサイズ:4mm(幅)×20mm(長さ)×500μm(厚み)、周波数:1Hz、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:5℃/分により測定し、Tanδのピークが発現する温度を測定値とした。
2−3誘電特性
各実施例および各比較例について、得られた成形体の比誘電率および誘電正接をそれぞれ測定し、誘電特性を評価した。
各実施例および各比較例について、得られた成形体の比誘電率および誘電正接をそれぞれ測定し、誘電特性を評価した。
ここで、上記の比誘電率および誘電正接の測定方法は、JIS1660−1、IEC61338−1−4に準ずる方法により行った。
具体的には、例えば、まず、φ20mm、厚さ0.35mmに切り出したものを測定サンプルとし、その測定サンプルを遮断円筒導波管の導体円筒の中央にセットして共振器を作成した。そして、先端に微小ループを持つ外径1.2mmのUT−47セミリジッド同軸線路を用い、その共振器の励振および検波を行った。比誘電率は共振周波数の測定値より求め、また、誘電正接はQ値より求めた。
2−4熱膨張係数
各実施例および各比較例について、得られた成形体の熱膨張係数(線膨張係数)を測定した。
各実施例および各比較例について、得られた成形体の熱膨張係数(線膨張係数)を測定した。
ここで、熱膨張係数の測定は、熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社製 TMASS6100)を用い、測定サンプルサイズ:3mm(幅)×10mm(長さ)×500μm(厚み)、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/分により測定し、50℃から200℃までの線膨張係数を測定値とした。
これらの結果を、表2に示した。
これらの結果を、表2に示した。
表2から明らかなように、本発明に係る各実施例の成形体は、成形体の成形性、耐熱性、誘電特性および熱膨張係数の評価に関し、各比較例の成形体に比し、優れていた。なお、比較例3では、厚いサンプルを得ることができないため、各測定において耐熱性、比誘電率、誘電正接および熱膨張係数の測定がそれぞれできなかった。
1 成形体
10 複合体
11 基材
12 組成物
100 型
C 収納部
10 複合体
11 基材
12 組成物
100 型
C 収納部
Claims (46)
- 基材と、
前記基材に含浸され、環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂とを含むことを特徴とする成形体。 - 周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下である請求項1に記載の成形体。
- 周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満である請求項1または2に記載の成形体。
- 熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度は、200℃以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1万以上1000万以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂である請求項1ないし6のいずれかに記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン構造、または、無置換のノルボルネン構造を繰り返し単位として有する請求項8に記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、ヘキシルノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである請求項9に記載の成形体。
- 前記基材の45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満である請求項1ないし10のいずれかに記載の成形体。
- 前記基材は、ガラス繊維からなる請求項1ないし11のいずれかに記載の成形体。
- 前記ガラス繊維は、無極性シラン化合物で処理されたものである請求項12に記載の成形体。
- 前記ガラス繊維は、ビニルシランで処理されたものである請求項13に記載の成形体。
- フィラーを含む請求項1ないし14のいずれかに記載の成形体。
- 前記フィラーは、無機フィラーである請求項15に記載の成形体。
- 前記無機フィラーは、シリカフィラーである請求項16に記載の成形体。
- 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである請求項17に記載の成形体。
- 前記フィラーは、無極性シラン化合物で処理されたものである請求項15ないし18のいずれかに記載の成形体。
- 環状オレフィン系の低分子量化合物同士を塊状重合して構成された付加型の環状オレフィン系樹脂と、
フィラーとを含んで構成されていることを特徴とする成形体。 - 周波数45GHzにおける誘電率が4.0以下である請求項20に記載の成形体。
- 周波数45GHzにおける誘電正接が5×10−3未満である請求項20または21に記載の成形体。
- 熱膨張係数が5ppm以上150ppm以下である請求項20ないし22のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂のDMS測定におけるガラス転移温度は、200℃以上である請求項20ないし23のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1万以上1000万以下である請求項20ないし24のいずれかに記載の成形体。
- 前記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂である請求項20ないし25のいずれかに記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、極性置換基を有さないノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである請求項20ないし26のいずれかに記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン構造、または、無置換のノルボルネン構造を繰り返し単位として有する請求項27に記載の成形体。
- 前記ノルボルネン系樹脂は、ヘキシルノルボルネン構造を繰り返し単位として有するものである請求項28に記載の成形体。
- 前記フィラーの45GHzにおける誘電正接が1×10−2未満である請求項20ないし29のいずれかに記載の成形体。
- 前記フィラーは、無機フィラーである請求項20ないし30のいずれかに記載の成形体。
- 前記無機フィラーは、シリカフィラーである請求項31に記載の成形体。
- 前記シリカフィラーは、溶融シリカフィラーである請求項32に記載の成形体。
- 前記フィラーは、無極性シラン化合物で処理されたものである請求項20ないし33のいずれかに記載の成形体。
- 環状オレフィン系の低分子量化合物を含む組成物を基材に含浸させ、その状態で前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより、前記組成物を硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂が前記基材に含浸して構成された成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
- 環状オレフィン系の低分子量化合物と、フィラーとを含む組成物を、前記低分子量化合物同士を塊状重合させることにより硬化または固化させて、付加型の環状オレフィン系樹脂および前記フィラーを含んで構成された成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
- 前記低分子量化合物は、モノマーである請求項35または36に記載の成形体の製造方法。
- 前記モノマーは、ノルボルネン系モノマーである請求項37に記載の成形体の製造方法。
- 前記ノルボルネン系モノマーは、極性置換基を有さないノルボルネン系モノマーである請求項38に記載の成形体の製造方法。
- 前記ノルボルネン系モノマーは、アラルキル置換基またはアルキル置換基を有するノルボルネン系モノマー、または、無置換のノルボルネン系モノマーである請求項39に記載の成形体の製造方法。
- 前記ノルボルネン系モノマーは、ヘキシルノルボルネン系モノマーである請求項40に記載の成形体の製造方法。
- 前記組成物は、パラジウム、ニッケルおよび白金のうちの少なくとも1つを含有する触媒を含む請求項35ないし41のいずれかに記載の成形体の製造方法。
- 前記組成物は、パラジウムを含有する触媒を含む請求項42に記載の成形体の製造方法。
- 前記組成物中における前記触媒の含有量は、前記低分子量化合物100000molに対して、0.3mol以上10mol以下である請求項43に記載の成形体の製造方法。
- 前記組成物は、助触媒として、弱配位性アニオン塩を含有するイオン錯体を含む請求項43または44に記載の成形体の製造方法。
- 前記組成物中における前記助触媒の含有量は、前記低分子量化合物100000molに対して、0.15mol以上15mol以下である請求項45に記載の成形体の製造方法。
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JP2010123898A JP2011246671A (ja) | 2010-05-31 | 2010-05-31 | 成形体および成形体の製造方法 |
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WO2014129396A1 (ja) * | 2013-02-25 | 2014-08-28 | 日本ゼオン株式会社 | 架橋環状オレフィン樹脂フィルム、積層体及びその製造方法 |
WO2023182464A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 東洋紡株式会社 | シンジオタクチックポリスチレン低誘電シート成形体 |
-
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