JP2011236703A - 壁装材用抗菌防汚フィルム及びそれを積層して成る壁装材 - Google Patents
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Abstract
即効的な抗菌性能並びに耐傷付き性及び防汚性を有し、壁装材に好適に用いることができる壁装材用抗菌防汚フィルム、及び該壁装材用抗菌防汚フィルムを積層して成る壁装材を提供する。
【解決手段】
少なくとも、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、銀を含む無機系抗菌剤1.5〜10重量部、エチレン系共重合体1〜50重量部、無機フィラー1〜60重量部及びを含有する上層と、
ポリプロピレン系樹脂を含む下層と、
塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体主剤及びイソシアネート系硬化剤を含む接着層と、を具備することを特徴とする壁装材用抗菌防汚フィルム。
【選択図】 図1
Description
そこで従来、ポリ塩化ビニル壁装材に耐傷付き性及び汚れ防止性を付与させる目的でフィルムを積層する手法が知られており、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムが特許文献1に開示されている。しかし、このようなフィルムを積層した壁装材は、そのフィルムが硬いと微細な凹凸を形成し難い場合があった。これに対して、微細な凹凸が形成し易くエンボス追従性を高める目的でポリプロピレンフィルムを用いたものが例えば特許文献2に開示されている。
さらに、100℃で24時間加熱した際における前記銀を含む無機系抗菌剤の質量減少率が0.10%以下であることがより好適であり(請求項2)、また、前記上層の厚みを4〜15μm(請求項3)とすることができる。
本発明によれば、JIS Z 2801に準じた試験に於いて、菌液接触3時間後の黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対する抗菌活性値が4.0以上であることを達成できる(請求項4)。
加えて、このようなフィルムを積層し、エンボス加工を施した壁装材は、本発明の好適な実施態様である(請求項5)。
また、100℃で24時間加熱した際における前記銀を含む無機系抗菌剤の質量減少率が0.10%以下とすることで、加工性に優れると云う効果を奏する。
さらに、本発明の壁装材用抗菌防汚フィルムを積層しエンボスを施すことで、耐傷付き性及び防汚性に優れ、微細な凹凸による意匠を容易に付与でき、さらに、即効的な抗菌性を有する壁装材を得ることができる。
ここで云う即効的な抗菌性とは、通常の抗菌性が菌による汚染後24時間で効力を発揮する性能に対し、より短い時間即ち即効的に効力を発現する性能のことを云う。本発明品では同3時間で効力を発現し得る。
無機系抗菌剤の質量減少率=100×(加熱前の無機系抗菌剤の質量−加熱後の無機系抗菌剤の質量)/加熱前の無機系抗菌剤の質量・・・・・・・・(式1)
質量減少率が0.10%より大きいものを用いると、脱気装置を搭載していない装置で加工した場合に該減量分即ち揮発分が間隙をフィルムに引き起こし、スジ状の外観欠陥や厚み斑が生じことがある。元来銀を含む無機系抗菌剤は、例えば結晶水や吸湿等によって水分を含んでいることが多い。こうした抗菌剤についても予め乾燥する等して、100℃で24時間加熱した際の質量減少率が0.10%以下になる様にすれば、加工装置を選ばずに好適に用いることができる。
さらに、接着層を備える壁装材用抗菌防汚フィルムが一旦、巻き取られた後で、壁装材基材と積層される場合には、壁装材用抗菌防汚フィルムの上層に接着層が接する形で巻き取られる。このため、本発明に係る接着層は、上層と接着層がブロッキングされないことを要するが、上記のような構成の接着層とすることでアンチブロッキング剤を用いることなく本発明に係る上層とのブロッキングを起こさず、ブロッキング性にも優れたものとなる。
表1〜4に示す如くポリプロピレン系樹脂、エチレン系共重合体、抗菌剤、及び無機フィラーを二軸押出機にて混合しペレット化することでフルコンパウンドペレットを得た。次いで、一軸多層押出機にて上記フルコンパウンドを溶融混練した上層及びポリプロピレン系樹脂を溶融混練した下層の二層構造からなるフィルムを得た。
表1〜3に示す如く接着剤主剤、硬化剤を室温にて均一分散させ得た接着剤を、上記フィルムの下層側に、グラビア印刷機で塗工した後、乾燥することで接着層を付与したフィルムを得た。この時の接着層の厚みは2μmであった。
(ポリプロピレン系樹脂)
BPP:プロピレン・エチレンブロック共重合体(MFR2.0、融点162℃)
RPP:プロピレン・エチレンランダム共重合体(MFR5.0、融点140℃)
HPP:プロピレン単独共重合体(MFR8.0、融点162℃)
(エチレン系重合体)
LDPE:低密度ポリエチレン(MFR1.0)
HDPE:高密度ポリエチレン(MFR1.0)
LLPE:直鎖低密度ポリエチレン(MFR1.0)
(抗菌剤)
AA1a:銀・亜鉛ゼオライト(100℃で24時間加熱した際の質量減少率が0.15%)
商品名:バクテキラー(富士ケミカル(株)製)
AA1b:銀・亜鉛ゼオライト(100℃で24時間加熱した際の質量減少率が0.05%)
商品名:バクテキラー(富士ケミカル(株)製)
AA2:銀ゼオライト
商品名:ゼオミック((株)シナネンゼオミック製)
AA3:銀リン酸ジルコニウム
商品名:ノバロン(東亞合成(株)製)
AA4:銀アパタイト
商品名:アパサイダー((株)サンギ製)
AA5:銀ガラス
商品名:イオンピュア(石塚硝子(株)製)
(無機フィラー)
M1:タルク(日東粉化工業(株)製)
M2:炭酸カルシウム(常陸砕石(株)製)
(接着剤主剤)
Ad1:塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
商品名:ディックシールA−100Z(DIC(株)製)
Ad2:アクリル系
商品名:ディックシールA−262(DIC(株)製)
Ad3:ポリエステル系
商品名:セイカボンドE−295NT(大日精化工業(株)製)
(接着剤硬化剤)
H1:イソシアネート系
商品名:KR−90(DIC(株)製)
H2:イソシアネート系
商品名:セイカボンドE−75N−1.5(大日精化工業(株)製)
<即効的な抗菌性>
JIS Z 2801に準拠した試験で菌液接触時間を3時間として評価した。以下の基準にて判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:黄色ブドウ球菌及び大腸菌共に抗菌活性値が4.0以上
△:黄色ブドウ球菌または大腸菌の何れかの抗菌活性値が4.0以上で、他方も3.0以上
×:上記を満たさない
<光沢度>
HORIBA, Ltd.製グロスチェッカーIG−320を用い、入射角度及び受光角度をフィルム面の法線方向から60°でフィルムの上層側の任意の20ヶ所を測定し、その平均値を各試料の光沢度とした。以下の基準にて判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:光沢度が10%未満
△:光沢度が10以上20%以下
×:光沢度が20%を超える
<加工性>
フィルムの製膜時の加工性を次の基準で判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:表面に特に欠陥が確認されない
△:僅かに表面に欠陥が確認される
×:表面に顕著な欠陥が確認される
<接着性>
フィルムをポリ塩化ビニル壁装材基材へ、梨地ロールにて130℃、1MPaの条件で積層し、得られた積層体の接着性を評価し以下の基準にて判定した。○であれば本発明を満足する。
○:フィルム面と塩化ビニル層間で剥離しない
×:フィルム面と塩化ビニル層間で剥離する部分がある
××:フィルム面と塩化ビニル層間で簡単に剥離する
<ブロッキング性>
フィルムに接着剤を塗工、70℃で乾燥した後、フィルム上層面と接着層面に於けるブロッキングの有無を評価し、以下の基準で判定した。○であれば本発明を満足する。
○:ブロッキングが確認されず、問題なく使用できる
×:ブロッキングが確認され、使用上問題を来す
<抗菌性>
JIS Z 2801に準拠した試験で菌液接触時間を3時間として評価した。以下の基準にて判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:黄色ブドウ球菌及び大腸菌共に抗菌活性値が4.0以上
△:黄色ブドウ球菌または大腸菌の何れかの抗菌活性値が4.0以上で、他方も3.0以上
×:上記を満たさない
<耐傷付き性>
日本壁装協会の表面強化壁紙性能規定に準拠した試験で評価し、以下の基準にて判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:表面に変化が見られない
△:表面に少し変化が見られるが使用上問題ない
×:表面が破け使用上問題がある
<防汚性>
日本壁装協会の汚れ防止壁紙性能規定に準拠した試験で評価し、汚染物は醤油とした。以下の基準にて判定した。○であれば本発明を満足する。
○:汚れが残らない
×:汚れが残る
<エンボス追従性>
壁装材に於けるエンボス模様の克明さ(彫の深さ)について目視にて評価し、以下の基準にて判定した。○及び△であれば本発明を満足する。
○:エンボス模様が克明
△:エンボス模様がほとんどぼやけない
×:エンボス模様がぼやけている
なお、フィルムが硬いと、フィルム表面側へのエンボスロールの模様パターンが入り難くなり、エンボス模様がぼやけ易くなる。
また、ポリプロピレン系樹脂やエチレン系共重合体、抗菌剤、及び無機フィラーは多種用いることができる(実施例8〜13)。
2 上層
3 下層
4 接着層
5 中間層
6 エンボス加工
7 壁装材
8 壁装材基材
8−1 壁装材基材の印刷層
8−2 壁装材基材の樹脂層
8−3 壁装材基材の紙層
Claims (5)
- 少なくとも、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、銀を含む無機系抗菌剤1.5〜10重量部、エチレン系共重合体1〜50重量部、無機フィラー1〜60重量部を含有する上層と、
ポリプロピレン系樹脂を含む下層と、
塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体主剤及びイソシアネート系硬化剤を含む接着層と、を備えることを特徴とする壁装材用抗菌防汚フィルム。 - 100℃で24時間加熱した際における前記銀を含む無機系抗菌剤の質量減少率が0.10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の壁装材用抗菌防汚フィルム。
- 前記上層の厚みが4〜15μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の壁装材用抗菌防汚フィルム。
- JIS Z 2801に準じた試験に於いて、菌液接触3時間後の黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対する抗菌活性値が4.0以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の壁装材用抗菌防汚フィルム。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の壁装材用抗菌防汚フィルムを積層し、前記壁装材用抗菌防汚フィルム面にエンボス加工が施されたことを特徴とする抗菌防汚壁装材。
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