JP2011235451A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、機械強度が高く、停戦膨張率特性を持つ繊維複合材料を提供することにある。
【解決手段】樹脂基材上に、平均短軸径が2nm以上、200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶からなるセルロース結晶構造体を含む層が形成されてなることを特徴とする積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂基材上に、セルロース結晶からなるセルロース結晶構造体の層、またはセルロース結晶構造体と樹脂を含有する層を有する積層体に関する。
樹脂に各種繊維状強化材を配合することで、その強度、剛性を大幅に向上させた繊維強化複合材料は、電気・電子、機械、自動車、建材等の産業分野で広く用いられている。
近年、カーボンニュートラルの観点から植物由来材料が注目されるなか、軽量であることや、サーマルリサイクル性の観点から、竹、ケナフ、サトウキビ、木材等の植物繊維を添加した強化樹脂が検討されており(特許文献1、2)、また、この植物繊維を解繊してミクロフィブリル化したセルロース繊維を樹脂に混合した繊維複合材料が提案されている。
このようなミクロフィブリル化したセルロース繊維を樹脂の強化材として用いた繊維複合材料について、機械的強度を向上させるほか、線膨張係数についても低減できることが報告されている(例えば特許文献3、4)。また、軽量であり、サーマルリサイクル性も確保できる。
特許文献3には、繊維複合材料の作成方法として、ミクロフィブリル状のセルロース繊維の分散液から、乾燥工程を経て、シートやブロック状等に賦形し繊維集合体とした後、これに硬化性モノマーを含浸・硬化させる方法が開示されている。
また、特許文献4では、繊維をミクロフィブリル化してマトリクス樹脂中に均一に分散させる方法として、二軸混練機を用いてパルプを溶融樹脂に添加し、溶融混練して解繊する方法について開示されている。
特開平5−92527号公報 特開2002−69208号公報 特開2007−51266号公報 特開2005−42283号公報
従来の繊維複合材料は、一旦フィブリル化した繊維が再度凝集した状態で成形されるため、マトリックス樹脂中への分散状態が不均一であったり(凝集部位の形成)、得られる複合材料に強度斑が発生する等の問題があり、また、樹脂中への分散についても不十分であり、引張り強度、曲げ強度などの機械強度や低線膨張特性が不十分であった。従って、本発明の目的は、機械強度が高く、低線膨張率特性を持つ繊維複合材料を提供することにある。
本発明の課題は、以下の構成により達成される。
1.樹脂基材上に、平均短軸径が2nm以上、200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶からなるセルロース結晶構造体を含む層が形成されてなることを特徴とする積層体。
2.前記セルロース結晶が表面修飾されていることを特徴とする前記1に記載の積層体。
3.前記セルロース結晶の結晶化度が70%以上であることを特徴とする前記1または2に記載の積層体。
4.前記セルロース結晶構造体を含む層に樹脂が充填されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
本発明によれば、セルロース結晶から形成された、セルロース結晶構造体を含む層を有することで、引張り強度、曲げ強度などの力学特性や、線膨張係数等の熱特性に優れ、適用範囲の広い基板材料が得られる。また、用いられる樹脂の選択範囲が広く、家電品の筺体や電子デバイスの基板材料、自動車用部品、住宅内装材料、包装・容器材料等の広範囲な用途に適用できるセルロース複合材料が得られる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明は、樹脂基材上に、平均短軸径が2nm以上、200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶から形成されたセルロース結晶構造体の層を有する積層体であることを特徴としている。
本発明者らは、上記課題に対し、樹脂基材上に、平均短軸径が2nm以上、200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶から形成されたセルロース結晶構造体の層を有することで、機械的強度、熱特性(耐熱性、線膨張率)を大幅に改善した樹脂基板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、前記セルロース結晶を予め表面修飾することで樹脂への相溶性が向上し、力学特性、熱特性を大幅に改善できることが判明し、適用用途範囲の広い基板材料を得ることができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明するが、以下の実施態様に限定されるものではない。
(積層体の構成)
本発明の積層体は、樹脂基材上に平均短軸径が2nm以上200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶から形成されたセルロース結晶構造体、及び/又は樹脂を含むセルロース結晶構造体の層が形成されたことを特徴とする積層体である。本発明のセルロース結晶構造体は、前記セルロース結晶が結晶間の結合、例えば水素結合や共有結合、イオン結合等の結合を伴って多孔性の構造体を形成したものであって、この構造体は、従来の繊維を分散した複合材料や、セルロース繊維の分散液からシートやブロック状等に賦形して得られた繊維集合体を複合化した材料と比較して強固な構造体となるため補強効果が大きく、この層を樹脂基材上に積層することで、該構造体の補強効果に基づき積層体の機械的強度、熱特性等の大幅な物性向上が得られる。
本発明は、樹脂基材上に少なくともセルロース結晶構造体の層、あるいは該セルロース結晶構造体に樹脂が含まれる層が形成される構成であって、例えば、
1.樹脂基材上にセルロース結晶構造体の層が形成された形態、
2.樹脂基材上にセルロース結晶構造体と樹脂とを含む層が形成された形態、
3.樹脂基材上に前記セルロース結晶構造体層と、セルロース結晶構造体と樹脂を含む層が形成された形態、
等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、これら層は樹脂基板の片面だけでなく、両面に形成されたものであっても差し支えない。これらの構成の中で、機械的強度や耐熱性をより大きく改善できる構成として、樹脂基板上に少なくともセルロース繊維と樹脂を含む層が形成された形態がより好ましい。
(セルロース結晶)
本発明に用いられる原料セルロースとしては、植物由来のパルプ、木材、コットン、麻、竹、綿、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナツ、海草等の植物繊維から分離した繊維、海産動物であるホヤが産生する動物繊維から分離した繊維、あるいは酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。これらの中で、植物繊維から分離した繊維が好ましく用いることができるが、より好ましくはパルプ、コットン等の植物繊維から得られる繊維である。これらの繊維内には結晶部と非晶部が共存して存在する。
本発明のセルロース結晶は、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、リファイナー、グラインダー、石臼などの物理的方法によりによりセルロースの解繊や微細化を行った後、硫酸や塩酸などの酸を用いたセルロース繊維の酸加水分解をおこなって、セルロースの非晶部を除去して結晶化度を高めるとともに、セルロース繊維の長軸径を調整して、2000nm以下と解繊のみの場合よりもサイズを小さくして、より剛直なセルロース結晶としたことを特徴とする。また、同時に非晶部の酸加水分解によりセルロース結晶を小径化し結晶化度についても高めた。より結晶質、また短い長軸径のセルロース結晶は、互いにセルロース結晶間で架橋したとき、結合距離が短縮されるので、構造体の強度が向上する。
セルロース繊維の非晶部の除去による長軸径の調整や小径化方法、また、結晶化度を上げる方法についてはこれらの酸を用いた加水分解による方法に限定されるものではない。
具体例として、パルプ等のセルロース繊維を、水を入れた分散容器に0.1〜3質量%となるように投入し、これを高圧ホモジナイザーで解繊処理して、平均繊維径0.1〜10μm程度のミクロフィブリルに解繊されたセルロース繊維の水分散液を得る。さらにグラインダー等で繰り返し磨砕処理することで、平均繊維径(短軸径)が、2〜500nm程度のナノオーダーのセルロース繊維を得ることができる。上記磨砕処理に用いられるグラインダーとしては、例えば、ピュアファインミル(栗田機械製作所社製)等が挙げられる。
また、別の方法として、セルロース繊維の分散液を一対のノズルから250MPa程度の高圧でそれぞれ噴射させ、その噴射流を互いに高速で衝突させることによってセルロース繊維を粉砕する高圧式ホモジナイザーを用いる方法が知られている。用いられる装置としては、例えば、三和機械社製の「ホモジナイザー」、スギノマシン(株)製の「アルテマイザーシステム」、等が挙げられる。
更に、上記の機械的な解繊方法の他、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル(TEMPO)を触媒としてセルロース非晶領域の一級水酸基を酸化してカルボキシルを導入し、フィブリル相互の静電反発を利用して化学的に解繊する方法を用いてもよい。
このようにしてセルロース繊維を解繊した後、セルロース繊維の分散液に硫酸や塩酸などの酸を添加してセルロースの酸加水分解によりセルロースの非晶部を除去して結晶化度を高めるとともに長軸径を調整して平均長軸径が500nm以上、2000nm以下と、ナノオーダーの平均長軸径をもつセルロース結晶が得られるのである。
本発明で用いるセルロース結晶とは、セルロースのミクロフィブリルで、セルロース分子鎖が数十本水素結合で結合した結晶性の繊維(繊維径2〜4nmのものが最小単位)の単位がさらに束ねられた形態で繊維の階層構造を形成しているものである。ここで示される平均短軸径はセルロース結晶の短軸径の平均値、また、平均長軸径はセルロース結晶の長軸径の平均値であり、透過型電子顕微鏡等による画像観察結果より求められる。
このようにして得られるセルロース結晶の平均短軸径としては、好ましくは2nm以上、200nm以下であり、より好ましくは2nm以上、150nm以下、さらに好ましくは4nm以上、100nm以下である。セルロース結晶の平均短軸径が200nmを超えると、積層体の強度が不十分となる恐れがある。また、セルロース結晶の平均短軸径が2nm未満のものは前記高圧ホモジナイザーによる解繊処理、グラインダー等による磨砕処理、あるいは酸による加水分解処理では得ることが困難となる。
また、本発明において、セルロース結晶の平均長軸径は2000nm以下が好ましく、さらに好ましくは1500nm以下である。この平均長軸径が500nmより短い、あるいは2000nmより長いと、積層体の強度が不十分となる恐れがある。
また、本発明で用いられるセルロース結晶の結晶化度は70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。結晶化度が70%より小さいとセルロース結晶中の非晶部が多くなる為、積層体の強度が不十分となる恐れがある。
本発明において、セルロース結晶の平均短軸径、平均長軸径の測定は、得られたセルロース結晶について透過型電子顕微鏡、H−1700FA型(日立製作所社製)を用いて10,000倍の倍率で観察した後、得られた画像について無作為に結晶を100本選び、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて一本毎の短軸径、及び長軸径を解析し、それらの単純な数平均値を求めた。また、セルロース結晶の結晶化度の測定は、X線回折装置(Rigaku製 RINT2200)を用いて測定し、得られた強度曲線よりSegalらによって提案された下式より求めた。
結晶化度χc(X)=(I(002)−Iam)/I(002)×100(%)
ここでI(002)およびIamはそれぞれ(002)面の回折ピーク強度およびアモルファスセルロース部分の回折強度である。
(セルロース結晶の表面修飾)
本発明のセルロース結晶としては、表面修飾されたセルロース結晶が好ましく用いられ、セルロース結晶の水酸基を、酸、アルコール類、ハロゲン化試薬、酸無水物、イソシアナート類、シランカップリング剤等の修飾剤を用いて化学修飾させることが好ましい。また、化学的に小径化したセルロース結晶に関しては、導入されたカルボキシル基を利用して化学修飾してもよい。化学修飾する方法は公知の方法に従って行うことができ、例えば、小径化したセルロース結晶を水、あるいは適当な溶媒に添加して分散させた後、これに化学修飾剤を添加して適当な反応条件下で反応させればよい。
この場合、化学修飾剤のほかに、必要に応じて反応触媒を添加することができ、例えば、ピリジンやN,N−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム等の塩基性触媒や酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることができるが、反応速度や重合度の低下を防止するため、ピリジン等の塩基性触媒を用いることが好ましい。反応温度としては、セルロース結晶の黄変や重合度の低下等の変質を抑制し、反応速度を確保する観点で、40〜100℃程度が好ましい。反応時間については用いる修飾剤や処理条件により適宜選定すればよい。
化学修飾によりセルロース結晶に導入する官能基としては、例えば、アセチル基、メタクリロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
反応性基を導入する場合は、例えば反応性基を導入できるシランカップリング剤が好ましく用いられ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基を末端に有するシランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を末端に有するシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中で、末端にエポキシ基、あるいはビニル基を有するものが好ましく用いられる。
これらの官能基は一種、あるいは二種以上が導入されていても良い。特に、セルロース結晶構造体に混合される樹脂(マトリクス樹脂)が有する官能基と同一、あるいは同種の官能基、または樹脂に対して反応性を有する官能基を導入することで、セルロース結晶と樹脂との親和性を向上させたり、セルロース結晶と樹脂の間で共有結合を形成させることが可能となるため、セルロース結晶の樹脂中への親和性が確保でき、良好な機械的強度や耐熱性、低線膨張係数等の物性向上効果が得られる。
(樹脂)
本発明で用いられる樹脂としては、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられるがこれらの樹脂種に限定されるものではない。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れかに限定されるものでもなく、これらの一種、あるいは複数種をブレンドして用いても差し支えない。
前記ビニル系樹脂としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソブチレン、イソプレン等の単独重合体または共重合体、あるいはノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記アミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸またはその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲンまたはフェニルジカーボネートとの反応物等が挙げられる。
上記セルロース系樹脂としては、セルロースエステルが好ましく、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースピバレート、セルロースカプロエート、セルロースアセテートカプロエート等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸との共重合体によって得られる芳香族ポリエステル系樹脂、ジオール類とコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体や、グリコール酸や乳酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体または共重合体、上記ジオール類、上記脂肪族ジカルボン酸及び上記ヒドロキシカルボン酸の共重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。
上記シリコーン系樹脂としては、構成単位としてアルキル基、芳香族基等の有機基を有するものが好ましく、特にメチル基、フェニル基等の有機基を有するものが好ましい。かかる有機基を有するシリコーン系樹脂の具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、これらの変性体等を挙げることができる。
上記フッ素樹脂としては、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン、フッ化ビリニデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の重合体又は共重合体樹脂が挙げられる。また、これらは必要に応じて一種、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(安定剤)
本発明の積層体では、セルロース結晶構造体層にフェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた一種以上の安定剤を追加して添加してもよい。これら安定剤を適宜選択し、添加することで、積層体の劣化、あるいは使用環境における積層体の耐熱性、耐光性等の物性変動を高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[即ち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されるものであれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデンビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
これらの安定剤の配合量は本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、セルロース結晶構造体層を形成する組成物100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
(樹脂基材)
本発明で用いられる樹脂基材としてはロール状に巻き取りが可能な可撓性のある樹脂製のシートやフィルムが好適である。樹脂基材に用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。樹脂基材の厚みとしては50〜300μm、好ましくは70〜180μmである。
(積層体の製造方法)
次に本発明のセルロース結晶構造体、および樹脂を含有する層を有する積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体は、樹脂基材上に平均短軸径が2nm以上200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶から形成されたセルロース結晶構造体の層、あるいはセルロース結晶構造体と樹脂を含む層を形成してなるものである。このセルロース結晶構造体は、前記セルロース結晶が結晶間の結合、例えば水素結合や共有結合、イオン結合等の結合を伴って多孔性の構造体を形成したものであって、この層を樹脂基材上に積層することで該構造体の強度に基づく積層体の機械的強度、熱特性等の物性向上が得られる。このセルロース結晶構造体層は単独で、又は複数積層して形成してもよく、樹脂基材の片面、あるいは両面に形成されたものであってもよい。セルロース結晶構造体層の厚みとしては5〜100μm、好ましくは10〜80μmである。
樹脂基材上にセルロース結晶構造体層を形成するには、セルロース結晶を含む分散液を樹脂基材上に均一に付着させた後、結晶の付着面をプレスして結晶間を水素結合させたり、セルロースの水酸基と反応する架橋剤を塗布、含浸して結晶面をプレスし、結晶間を架橋反応するなどしてセルロース結晶同士が架橋(結合)した構造体を形成すればよい。
具体的には、前記方法で得られたセルロース結晶を水、あるいは適当な有機溶剤といった分散媒中に分散させたスラリー状の塗工液を調製し、これを樹脂基板上に塗布、流延後、分散媒を除去して層を形成する方法、セルロース結晶の分散液を樹脂基板上に噴霧塗布と同時に乾燥させてセルロース結晶を付着させる方法等が挙げられるが、塗布されるセルロース結晶間で結合を伴う架橋構造が形成され、多孔性の構造体が得られる方法であればこれらに限定されるものではない。
また、セルロース結晶構造体層に、樹脂を含浸させて充填した複合化層として積層することで、機械的強度、耐熱性を更に向上させることができより好ましい。セルロース結晶構造体層に樹脂を充填する方法としては、セルロース結晶と樹脂を含む塗工液を塗布して複合化層を形成したり、予め樹脂基板上にセルロース結晶構造体層を形成しておき、これに樹脂を含浸させて充填した複合化層とする方法等が挙げられるが、より強度の高いセルロース結晶構造体が得られる点で、予めセルロース結晶構造体を形成して樹脂を含浸する方法が好ましい。
セルロース結晶構造体層に樹脂を充填する方法としては、熱可塑性樹脂を適当な溶媒で溶解した塗工液を調製し、予め形成されたセルロース結晶構造体層上に塗布、含浸後、溶媒を除去して複合化層を形成する方法や、硬化性樹脂を用いる場合は、樹脂は紫外線及び電子線照射、あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、必要に応じて溶剤、安定剤、界面活性剤等の添加剤を加えた塗工液を調製し、セルロース結晶構造体層上に塗布、含浸後、硬化させる方法等によって複合化層を形成することができるがこれらに限定されるものではない。
前記硬化性樹脂を硬化させる方法としては、樹脂が紫外線硬化性の場合は、光重合開始剤を添加した塗工液を樹脂基材上に塗布、流延後、紫外線を照射して硬化させればよい。
ここで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の光ラジカル開始剤等が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。一方、樹脂が熱硬化性の場合は、必要に応じて熱ラジカル発生剤等の熱重合開始剤を添加した塗工液を調製後、セルロース結晶構造体層上に塗布、含浸後、加熱硬化させればよい。
ここで用いられる熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1′−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
これらの塗工液をセルロース結晶構造体層上に塗布する方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この複合化層におけるセルロース結晶と樹脂の量は、複合化層100質量部に対してセルロース結晶構造体が3〜90質量部とすることが好ましく、10〜70質量部とすることがさらに好ましい。また、必要に応じて各種安定剤、界面活性剤等の添加剤を添加することができる。
(積層体の物性評価方法)
以下、積層体の物性評価方法について記す。実施例にて作成した積層体の評価はこれに従って行った。
(1)曲げ弾性率及び曲げ強度
成形した繊維複合材料をオートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行った。
(2)線膨張係数
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツル)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。
(3)セルロース結晶の結晶化度
セルロース結晶について、X線回折装置(Rigaku製 RINT2200)を用いて測定し、得られた強度曲線から下式を用いて求めた。
結晶化度χc(X)=(I(002)−Iam)/I(002)×100(%)
ここでI(002)およびIamはそれぞれ(002)面の回折ピーク強度およびアモルファスセルロース部分の回折強度を表す。
(4)セルロース結晶の分散性
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価した。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを純水に0.1質量%となるように添加した懸濁液を、石臼式粉砕機(ピュアファインミルKMG1−10;栗田機械製作所社製)を用いて回転するディスク間を中央から外に向かって通過させる磨砕処理(回転数:1500回転/分)を50回(50パス)行いセルロース繊維を解繊後、これを濾過、純水で洗浄してセルロース繊維(結晶)Mの水分散液を得た。得られたセルロース繊維(結晶)は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径4nm、平均長軸長は10μm<であった。
次に、国際公開第02/02643A1号パンフレットの実施例2に従って、結晶セルロースを調製した。前記水分散液に4mol/Lの濃度となるように塩酸を加え、攪拌機で、10rpmで撹拌しながら、40℃、48時間加水分解した。得られた酸に不溶のセルロース結晶をヌッチェを使用して濾取し、これを純水に再分散して濾過するという洗浄操作を4回繰り返した後、中和のためのアンモニア水を加え、更に純水を用いて前記と同様の洗浄操作を2回行い、10質量%のセルロース結晶水分散液を得た。これを凍結乾燥してセルロース結晶Aを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径4nm、平均長軸径550nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は90%であった。
(製造例2)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を30回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊後、加水分解処理してセルロース結晶Bを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径800nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
(製造例3)
製造例2において、塩酸を加えた加水分解処理の時間を20時間とすること以外は同様の操作にてセルロース結晶Cを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は68%であった。
(製造例4)
無水酢酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、製造例3で得られたセルロース結晶Cの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、70℃にて乾燥させ、表面修飾したセルロース繊維Dを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は68%であった。
(製造例5)
製造例2において、塩酸を加えた加水分解処理の時間を24時間とすること以外は同様の操作にてセルロース結晶Eを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は73%であった。
(製造例6)
製造例2において、塩酸を加えた加水分解処理の時間を48時間とすること以外は同様の操作にてセルロース結晶Fを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は93%であった。
(製造例7)
無水酢酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、製造例6で得られたセルロース結晶Fの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、70℃にて乾燥させ、表面修飾したセルロース結晶Gを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は90%であった。
(製造例8)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を20回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊後、加水分解処理してセルロース結晶Hを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径90nm、平均長軸径1200nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
(製造例9)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を15回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊後、加水分解処理してセルロース結晶Iを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径190nm、平均長軸径1950nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
(製造例10)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を12回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊後、加水分解処理してセルロース結晶Jを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径210nm、平均長軸径1980nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
(製造例11)
製造例5において、塩酸を加えた加水分解処理の時間を60時間とすること以外は同様の操作にてセルロース結晶Kを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径480nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
(製造例12)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を回転数800回転とすること以外は同様の操作にてセルロース結晶Lを得た。得られたセルロース結晶は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均短軸径40nm、平均長軸径2200nmであることを確認した。また、X線回折装置を用いて測定した結晶化度は92%であった。
〈実施例101〜111、比較例112〜117の積層体の作成〉
表1に示す配合組成(質量部)に従って各原料を混合し、塗工液A、Bを調製した。次に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシートに、先ずワイヤーバーコーターを用いてセルロース結晶を含む塗工液Aを100μmの厚さで塗工し、水分量が30%になるまで乾燥させた。
次に、この塗工シートを75μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレス板の間に設置し、ホットプレスにより70℃、1MPaで5分間プレス乾燥させて厚さ25μmのセルロース結晶層を形成した。この層を走査型電子顕微鏡で観察したところ、セルロース結晶が3次元の網目構造の骨格を形成した多孔性の構造体であることを確認した。
次に、この層に硬化性樹脂を含む塗工液Bを硬化後の膜厚を25μmに保つように塗布、含浸させた後、前記と同様の操作にて光照射装置を用いて硬化させ、積層体を得た。各塗工液の組成、層構成とともに、得られた各積層体の評価結果を表1、2に示す。
Figure 2011235451
Figure 2011235451
なお、表1、2中、モノマー、及び製造例に記載した成分以外の配合成分の詳細は以下の通りである。
重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
安定剤A:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラ カルボキシレート
安定剤B:2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチル ヘキシルホスファイト
表1、2の物性評価結果から明らかなように、本発明に係わる積層体101〜111は、機械的強度に優れ、且つ線膨張係数が大幅に低減していることがわかる。

Claims (4)

  1. 樹脂基材上に、平均短軸径が2nm以上、200nm以下、平均長軸径が500nm以上、2000nm以下であるセルロース結晶からなるセルロース結晶構造体を含む層が形成されてなることを特徴とする積層体。
  2. 前記セルロース結晶が表面修飾されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記セルロース結晶の結晶化度が70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記セルロース結晶構造体を含む層に樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
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