図1は、本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例1を示すブロック図である。実施例1は車両のナビゲーションシ装置(以下カーナビ装置)2を構成しており、装置全体を制御するコンピュータからなる制御部4を有し、運転者による操作部6の操作に応じて、カーナビ装置2を制御する。この制御部4の機能は記憶部8に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部8は、またカーナビ装置2の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。また、制御部4は表示ドライバ10を介して抵抗膜式タッチパネル表示部12の表示を制御し、操作部6の操作に必要なGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。
抵抗膜式タッチパネル表示部12は表示部であるとともにタッチパネル入力装置となっていて、表示に直接タッチすることにより入力操作を行うGUI操作部となっている。また、抵抗膜式タッチパネル表示部12は、上下左右のタッチ位置情報を出力する4線の出力線(図1では、簡単のため情報伝達方向を示す一本の線で図示)によって制御部4に接続されており、制御部4はこの4線の出力を分析処理することにより、2点のタッチ位置およびその移動を検知することが可能である。この2点のタッチ位置検知による入力の詳細については、後述する。
GPS部18は、GPSシステムに基づいて衛星および最寄の放送局よりカーナビ装置2の搭載された車両の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て制御部4に送る。制御部4は、GPS部14からの絶対位置情報を処理し、地図記憶部16の提供する地図上での車両の位置を抵抗膜式タッチパネル表示部12に表示する。
カーナビ装置2は、地図記憶部16に記憶する地図情報の更新等のために無線で外部と通信するため、無線通信部18およびケーブル経由の入出力部20を備えている。なお、無線通信部は、通常の電話回線によるものであってもよいし、専用の近距離無線通信部であってもよい。これらの無線通信部18および入出力部20は地図情報の入手の他、カーナビシステムまたはGPSシステムについて機能のバージョンアップやメンテナンスデータが発生したとき、外部と通信してこれらの情報を入手することができる。なお、制御部4への操作情報入力は、操作部6または抵抗膜式タッチパネル表示部12からの操作に加え、マイク19から音声によっても行うことができる。また、運転者等への情報出力は抵抗膜式タッチパネル表示部12での表示に加え、スピーカ21により音声によっても行うことができる。
図2から図9は、図1の抵抗膜式タッチパネル表示部(以下、「表示部」と略称)12における表示および2点タッチ検知に関連する種々の機能を説明するための表示画面図である。なお、カーナビ装置において、表示部12は車両の中央部付近に配置されるのが常であるが、右ハンドル車の場合を例にとり、運転者または助手席乗車者が表示部12におけるタッチパネルを利用して種々のGUI操作をどのように行うかについて説明する。
まず、図2は、表示部12上に表示されるメニューにタッチしてメニュー選択を行うGUI操作を行う場合を示す。図2は、運転者が操作している場合であって、この場合、操作する手は左手22となる。2点にタッチするには親指とそれ以外の任意の指のいずれか(例えば中指)を用いるのが種々の操作において最も自由度が大きいが、運転席に座った運転者が左手22を自然に表示部12においた場合、図2(A)に示すように親指の指先は他の指の指先よりも低い位置になる。従って親指のタッチ位置24とはそれ以外の任意の指のいずれか(例えば中指であり、以下中指を例にとって説明する)のタッチ位置26を結んだ線は通常、右下がりとなる。
制御部4は、表示部12からの情報に基づき右下がりの2点が同時タッチ状態にあることを検知すると、表示ドライバ10に指示して図2のような左手用メニューレイアウトを表示部12に表示させる。具体的に述べると、左手用メニューレイアウトでは、左手22の親指以外のタッチが予定される行先メニュー28、オーディオメニュー30およびエアコンメニュー32が表示部12の左上寄りに配置されるとともに、親指のタッチが予定される決定エリア34は、表示部12の右下寄りに配置される。なお、制御部4が左手用メニュー表示を指示する段階では、親指のタッチ位置24と中指のタッチ位置26の絶対位置はどこでもよく、同時タッチ状態の2点を結んだ線が相対的に右下がりであることだけが判定の情報となる。
次に、このような左手用レイアウトにおけるメニュー選択について説明する。例えば中指がメニューの一つ(例えば行先メニュー28)にタッチされ、同時に親指が決定エリア34にタッチされていると判断されると、親指のタッチ位置24と中指のタッチ位置26の絶対位置が検出され、それに応答して図2(A)のようにタッチが検知された行先メニュー28および決定エリア34が太枠で表示される。この状態で、親指の決定エリア34へのタッチを継続したまま中指のタッチ位置をずらすことによって他のメニューを選択することも可能であり、これに応答して太枠表示が行先メニュー28からオーディオメニュー30またはエアコンメニュー32に移動する。このようなメニュー選択の移動は、白矢印36に示すように左手22を上下に平行移動することによって可能である。そしてこのような左手22の平行移動によって親指が白矢印38に示すように上下に平行移動してもそのタッチ状態が保持されるよう、決定エリア34は上下に長く設定されている。
なお、メニュー選択の変更は、上記のように左手22を上下に平行移動する場合に限らず、左手の自然な動きに応じて任意の2点タッチを行うことが可能である。手の他の動きの例については後述する。また、必ずしも上記のように2点のタッチ状態を保ったままで手の移動を行う必要はなく、一度指を表示部12から完全に離し、その後、新たな選択のために中指および親指のタッチを行ってもよい。また、2点のタッチは完全に同時に行う必要はなく、まず中指でメニューのいずれかにタッチしてから親指で決定エリア34にタッチしてもよい。逆に、先に親指で決定エリア34にタッチしてからこれを支点として中指でメニューのいずれかにタッチしてもよい。図2のように左手用レイアウトが表示されてからのメニュー選択画面では、メニューのいずれかおよび決定エリア34の2点の同時タッチ状態が検出されない限り、これに反応してメニューおよび決定エリアが太枠表示に変わることはない。
メニュー選択を確定させるためには、例えば、図2(A)のように行先メニュー28および決定メニュー34が太枠表示となっている状態において、中指および親指のタッチを継続したまま黒矢印40で示すように親指を中指に向かってスライドさせる。この親指の動きによって決定エリア34が行先メニュー24に向かってドラグされ、例えば両者が重なるまでドラグされた状態になると行先メニュー28の選択が確定される。そして左手22を表示部12から離すと図2(B)に示すように選択が確定された行先メニュー28の表示色が変わり、メニューの選択が確定されたことを表示する。
図3は、表示部12を右ハンドル車の助手席側から操作する場合の表示画面図であり、この場合、操作する手は右手42となる。助手席に座った同乗者が右手42を自然に表示部12においた場合、図3(A)に示すように右手42の親指の指先は他の指の指先よりも低い位置になる。従って親指のタッチ位置44と中指のタッチ位置46を結んだ線は通常、左下がりとなる。
この場合、制御部4は、表示部12からの情報に基づき左下がりの2点が同時タッチ状態にあることを検知すると、表示ドライバ10に指示して図3のような右手用メニューレイアウトを表示部12に表示させる。具体的に述べると、右手用メニューレイアウトでは、行先メニュー48、オーディオメニュー50およびエアコンメニュー52は表示部12の右上寄りに配置されるとともに、親指のタッチが予定される決定エリア54は、表示部12の左下寄りに配置される。このように図3において表示部12の左側から右手で操作する際のレイアウトは、図2のように表示部12の右側から左手で操作する場合と左右対称なので、感覚的に同様の操作となり、混乱することがない。なお、左手レイアウト決定の場合と同様、制御部4が右手用メニュー表示を指示する段階では、同時タッチ状態の2点を結んだ線が相対的に左下がりであることだけが判定の情報となる。
次に、図3の右手用レイアウトにおけるメニュー選択について説明する。基本的には図2の右手用レイアウトと同様なので、異なるところを中心に簡略に説明する。例えば中指がメニューの一つ(例えばオーディオメニュー50)にタッチされ、同時に親指が決定エリア54にタッチされていると判断されると、図2と同様にして親指のタッチ位置44と中指のタッチ位置46の絶対位置が検出され、それに応答して図3(A)のようにタッチが検知されたオーディオメニュー50および決定エリア54が太枠で表示される。以下、図3では、図2とは手の異なった動きによる2点タッチの例を示すが、図2や図3に限ることなく、自然な手の動きによる2点タッチが可能であることはいうまでもない。
図3では、親指の決定エリア34へのタッチを支点としてこれを中心に右手42を白矢印56のように回転させることにより中指のタッチ位置をずらし、他のメニューを選択することが可能である。また、親指は必ずしも固定している必要はなく、決定エリア54の中で自然な移動を伴ってもよい。このような中指のタッチ位置の移動に応答して太枠表示がオーディオメニュー50から行先メニュー48またはエアコンメニュー52に移動する。
なお、このようなメニュー選択の変更は、必ずしも上記のように2点のタッチ状態を保ったまま行う必要はなく、一度指を表示部12から完全に離し、その後新たな選択のために中指および親指のタッチを行ってもよいことは図2(A)の場合と同様である。また、2点のタッチは完全に同時に行う必要がないことも図2(A)の場合と同様である。図3のように右手用レイアウトにおいても、このレイアウトが表示されてからのメニュー選択画面では、メニューのいずれかおよび決定エリア54の2点の同時タッチ状態が検出されない限り、これに反応してメニューおよび決定エリアが太枠表示に変わることはないからである。
メニュー選択の確定は、図3(A)と同様にして、例えば、図3(A)のようにオーディオメニュー50および決定メニュー54が太枠表示となっている状態において、中指および親指のタッチを継続したまま黒矢印58で示すように親指を中指に向かってスライドさせ、決定エリア54をオーディオメニュー50に向かってドラグすれば、両者が重なる時点でオーディオメニュー50の選択が確定される。そして右手42を表示部12から離すと図3(B)に示すように選択が確定されたオーディオメニュー50の表示色が変わり、メニューの選択が確定されたことを表示する
なお、制御部4は、右下がりの2点同時タッチ状態が検知されたときであっても車両が走行中の場合は図2の左手用レイアウトを表示せず、代わりに「走行中は運転者によるメニュー変更操作禁止」の旨を表示部12上の表示またはスピーカ21のアナウンスにより運転者に告知する。これは、走行中の運転者の操作による事故を防止するためである。なお、制御部4が左下がりの2点同時タッチ状態が検知されたときは車両が停止中であっても走行中であっても図3の左手用レイアウトが表示されるので、走行中であれば助手席の同乗者にメニューの変更を依頼することができる。ここで、右手用レイアウトが表示されているとき、運転者の右手または左手の不自然な姿勢により右下がりの2点タッチをすることも不可能ではないが、運転者がこのような危険な行動を取らないよう、事前に使用説明書において告知徹底を行う。
図4は、図2(B)のようにして行先メニューの選択が決定することにより自動的に表示される行先入力用の表示画面図を示す。図4(A)は左手用レイアウトであり、図2(A)と同様にしてタッチされた2点を結んだ線が相対的に右下がりであることが検知されることにより表示される。図4では、親指のタッチ位置60と親指以外の指(図4では例として人差指)のタッチ位置62の2点の相対位置を検知している。
図4(A)に示した行先入力用の表示画面の左手用レイアウトでは、左手22の親指以外のタッチが予定される「あかさたなはまやらわ」の「あ」以外の各行をそれぞれ意味する「K」、「S」、「T」、「N」、「H」、「M」、「Y」、「R」、「W」の子音ボタン群64(簡単のため代表として「K」のみに番号付与)が表示部12の画面上端近傍に配置されるとともに、親指のタッチが予定される「あいうえお」の各段をそれぞれ意味する「a」、「i」、「u」、「e」、「o」の母音ボタン群66(簡単のため代表として「a」のみに番号付与)が表示部12の画面右端近傍に配置される。
次に、上記のような左手用レイアウトにおける仮名文字入力について説明する。例えば人差指が子音ボタン群64の一つ(例えば「T」)にタッチされ、同時に親指が母音ボタン群66の一つ(例えば「u」)にタッチされていると判断されると、親指のタッチ位置60と人差指のタッチ位置62の絶対位置が検出され、それに応答して図4(A)のようにタッチが検知された子音ボタン「T」および母音ボタン「u」が太枠で表示される。これらの組み合わせはローマ字の「Tu」、すなわち仮名の「つ」を意味する。このようにして、親指以外の指による子音ボタンのいずれかおよび親指による母音ボタンの2点タッチにより任意の子音と母音の組合せを指定することができる。なお、「あ」行の仮名については、親指以外の指によるブランクボタン68へのタッチと親指による母音ボタンの2点タッチにより指定することができる。さらに「ん」の指定については、親指以外の指によるブランクボタン68へのタッチと親指による「n」ボタン70の2点タッチにより指定することができる。
なお、上記の入力では濁音、半濁音、撥音、促音、拗音などの入力はできないが、行先入力は新規入力ではなく、元々地図上に登録されている地名などを検索するための情報なので、入力される文字列が増えることによってその配列からソフトウエアで推測することにより該当部分を濁音、半濁音、撥音、促音、拗音に自動修正する。なお、表示部において「G」、「P」、「Ky」などの子音ボタンの数を増やせば、濁音、半濁音、撥音、促音、拗音を直接入力することも可能である。
仮名入力においても、2点のタッチは完全に同時に行う必要はなく、まず人差指でまず子音ボタン群64またはブランクボタン68のいずれかにタッチしてから親指で母音ボタン群66または「n」ボタン70のいずれかにタッチしてもよいし、その逆でもよい。2点の組合せより指定された仮名の入力を確定させるためには、例えば、図4(A)のように子音ボタン群64の「T」ボタンおよび母音ボタン群66の「u」ボタンが太枠表示となっている状態において、人差指および親指のタッチを継続したまま黒矢印72で示すように親指を人差指に向かってスライドさせる。この親指の動きによって母音ボタン群66の「u」ボタンが子音ボタン群64の決定エリア34が行先メニュー24に向かってドラグされ、例えば所定以上両者が接近すると子音と母音の組合せによる仮名の入力が確定する。そして入力が新規確定した仮名は、入力ウインドウ74に「つ」のごとく確定済みの文字に続けて大文字で表示される。上記のような子音ボタンに母音ボタンをドラグしてくっつけることにより、仮名を確定させる操作は、仮名のローマ字書きに準じた感覚での操作となり、違和感が少ない。これは日本語のローマ字入力に適するが、類似した子音および母音の組合せ文字構造を持つハングル文字の入力にも適する。なお、ハングル文字の場合、パッチムの付加は文字の基本構成を入力したあと図4の「n」ボタン70または80のように母音ボタン群の列に配置されるパッチムボタンおよび子音ボタンの組合せを続けて追加指定することにより入力する。
図4の行先入力行先入力用の表示画面には、さらに数字入力用のテンキーボタン76が表示部12の画面中央部近傍に表示される。このようなテンキーボタン76の配置は、子音ボタン群64を表示部12の画面上端近傍に配置するとともに母音ボタン群66を表示部12の画面右端近傍に配置し、画面中央部に空きスペースを確保したことにより可能となる。テンキーボタン76による数字入力は通常通りテンキーボタンのいずれかをタッチする1点タッチにより行う。この場合、左手用レイアウト決定における任意位置の2点タッチのうちの1点目のタッチとの混同を避けるため、テンキーの1点タッチが検知されてから、所定時間(例えば1秒)待って、2点目が続けてタッチされないことを確認してから数字入力を確定する。逆に言えば、2点タッチを行う場合は、同時である必要はないものの、2点目のタッチを1点目のタッチから所定時間以内に続けて行うべきことがユーザに要請されることになる。このようにして、所定時間の設定により、1点タッチか2点タッチかの識別が行われる。
図4(B)は、行先入力のための右手用レイアウトであり、図3(A)と同様にしてタッチされた2点を結んだ線が相対的に左下がりであることが検知されることにより表示される。図4(B)に示した右手用レイアウトでは、右手42の親指以外のタッチが予定される子音ボタン群64およびブランクボタン68が図4(A)と同様にして表示部12の画面上端近傍に配置される。このとき操作上の便のために図4(B)のようにその位置を若干右側にシフトしてレイアウトされる。しかしながら、子音の配置順自体は混乱を避けるため図4(A)と同様となっている。また、レイアウトの余裕があれば、子音ボタン群64およびブランクボタン68のレイアウトは図4(A)の左手用レイアウトと図4(B)の右手用レイアウトで全く共通としてもよい。
これに対し、図4(B)における右手用レイアウトでは、右手42の親指のタッチが予定される母音ボタン群78および「n」ボタン80が、図4(A)の左手用レイアウトとは異なり、表示部12の画面左端近傍に配置される。但し、縦方向のボタンの配列自体は混乱を避けるため図4(A)と同じである。右手用レイアウトでは、このようなレイアウトにより、図3(A)と同様にして右手の自然な姿勢により仮名入力が行えるようにしている。図4(B)の右手用レイアウトにおける子音ボタンと母音ボタンの組合せによる仮名の指定および母音ボタンのドラグによる仮名入力の確定については図4(A)の左手用レイアウトの場合と同様なので説明は省略する。但し、入力ウインドウ82は手の影にならないよう、図4(B)では画面左寄りにシフトされている。なお、図4(B)の右手用レイアウトにおけるテンキーボタン76の配置は、図4(A)の左手用レイアウトにおけるものと共通である。
図4による行先入力の結果、入力ウインドウ78または82に所望の行先が表示されたとき、入力ウインドウ78または82をタッチすると表示部12には自車位置を含む地図が表示され、ナビゲーションが開始される。なお、図2と同様にして制御部4は、右下がりの2点同時タッチ状態が検知されたときであっても車両が走行中の場合は図4(A)の左手用レイアウトを表示せず、代わりに「走行中は運転者によるメニュー変更操作禁止」の旨を表示部12上の表示またはスピーカ21のアナウンスにより運転者に告知する。
図5から図9は、自車の位置84を含む地図86が表示部12に表示され、ナビゲーションが行われている状態における地図の拡大縮小操作を説明する画面図である。まず、図5は、走行中における左手操作と右手操作の違いを説明する画面図である。上記で説明したように右ハンドル車の場合、左手操作は運転者によって行われ、右手操作は助手席の同乗者によって行われる。この違いにより、本発明では右手操作と左手操作が異なるよう構成し、運転者に負担をかけないようにして危険を防止するとともに、助手席の同乗者からはその意図をより反映した操作が行えるよう構成している。
図5(A)は、親指のタッチ位置88および人差指のタッチ位置90の2点を結んだ線が相対的に右下がりであることが検知されており、その結果として左手操作であることを認識する。この場合は、2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらずその相対位置のみを情報として以後の処理を行うので、運転者に正確なタッチ位置を要求することなく、左手の自然なタッチのみに基づいて処理が行われる。これに対し、図5(B)は、親指のタッチ位置92と人差指のタッチ位置94の2点を結んだ線が相対的に左下がりであることが検知されており、その結果として右手操作であることを認識する。この場合は、親指のタッチ位置92と人差指のタッチ位置94の2点の絶対位置を検知し、その2点を結ぶ線を対角線とする矩形領域96を認識して以後の処理を行うので、情報量が多くなる。そしてこの認識のため同乗者による右手操作の場合は、正確な2点のタッチを期待する。
図6は、図5(B)のようにして地図86に矩形領域96が認識された場合、その領域を表示部12いっぱいに拡大する操作を示す画面図である。矩形領域96を拡大するためには、図6(A)に示すように、親指および人差指をそれぞれのタッチ位置92および94から黒矢印98および100で示すように互いに離間するようスライドさせ、その後、右手42を表示部12から離す。制御部4は、この動きを拡大操作として認識し、図6(A)の矩形領域96内の地図部分を図(6(B)の地図102のように表示部12いっぱいに拡大する。このようにして、走行中の右手操作では、表示されている地図の所望の部分を切り取って表示部12いっぱいに拡大することができる。
図7は、図6の経過を経て地図が拡大された履歴がある場合において、その地図を所望の点を中心に所定の縮小率にて広域側に縮小する操作を示す画面図である。つまり、それ以前に右手により操作された履歴がある場合がこの縮小操作に該当する。図7(A)は、右手42の人差指のタッチ点104を検知することにより、縮小後の地図の中心位置106を決定する。この場合は1点タッチとなるので、2点タッチの1点目タッチと区別するため所定時間(例えば1秒)待って、その後2点目のタッチがないと1点タッチと認識する。そして中心位置106が決定されたあと右手42を表示部12から離すと、図7(B)に示すように中心位置106が地図の中央に来るように縮小地図108が表示される。このときの縮小率は1点タッチが行われる毎に所定率で縮小が行われるのでさらに縮小したい場合は、人差指による1点タッチを繰り返すことになる。それらの操作の途中で拡大の中心点を変更するのは任意である。
なお、図6および図7は、左下がりの2点タッチが検知された場合の右手操作として説明したが、車両が停止している場合は、右下がりの2点タッチが検知された場合においても、図5(B)のような矩形領域の設定が行われる。これは、運転中でない場合、危険なしに運転者に正確な操作を要求してもよいからであり、運転者は車両を停止させることによって、地図における所望の領域の拡大および所望の1点を中心とする地図の縮小を行うことができる。
図8は、図5(A)のようにして、2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらず、親指のタッチ位置88および人差指のタッチ位置90の2点を結んだ線が相対的に右下がりであることだけを検知する場合において、地図の拡大操作を行う際の画面図である。この状態において地図を拡大するためには、図8(A)のように親指および人差指をそれぞれのタッチ位置88および90から白矢印110および112で示すように互いに離間するようスライドさせ、その後、左手22を表示部12から離す。制御部4は、この動きを拡大操作として認識し、図8(B)に示すように地図の中心部を固定して所定倍率で拡大した地図114を表示部12に表示する。このようにして、走行中の左手操作では、地図の位置の指定なしに、拡大操作が行われたことのみを検知して地図の中心を固定して拡大を行う。また、拡大率の指定もないので、地図は一回の拡大操作を検知する毎に所定率で拡大される。従ってさらに拡大したい場合は、2点タッチ位置の離間操作を繰り返すことになる。
図9は、図5(A)のようにして、2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらず、親指のタッチ位置88および人差指のタッチ位置90の2点を結んだ線が相対的に右下がりであることだけを検知する場合において、図8とは逆に地図の縮小操作を行う際の画面図である。この状態において地図114を縮小するためには、図9(A)のように親指および人差指をそれぞれのタッチ位置116および118から白矢印120および122で示すように互いに接近するようスライドさせ、その後、左手22を表示部12から離す。制御部4は、この動きを縮小操作として認識し、図9(B)に示すように地図の中心部を固定して所定倍率で縮小した地図124を表示部12に表示する。このようにして、走行中の左手操作では、縮小操作の場合に縮小を行う。縮小率についても指定はなく、地図は一回の縮小操作を検知する毎に所定率で縮小される。従ってさらに縮小したい場合は、2点タッチ位置の接近操作を繰り返すことになる。
図10は、図1の実施例1における制御部4の動作のフローチャートである。入出力部20から車両のエンジン(または電気自動車の場合は「モーター」、以下「エンジン」で代表)のがオンとなったことが伝えられるとフローがスタートし、ステップS2において表示すべき地図の初期縮尺が設定される。この初期縮尺は前回エンジンがオフになったときのものを記憶しておいてこれを採用してもよいし、毎回エンジンがオンになるたびに所定縮尺を採用するようにしてもよい。次いで、ステップSS4でGPS部14からの自車位置を示すGPS情報が取得されるとともに、ステップS6に至って自車位置を中心とする地図がステップS2で設定された倍率にて表示部12に表示される。
次いで、ステップS8では、操作部6によってメニュー表示を求める操作が行われたかどうかチェックする。ステップS8でメニュー表示操作が行われたことが検知されるとステップS10のメニュー選択処理に進む。これは、図2および図3で説明した操作を実行する処理であるがその詳細は後述する。メニュー処理が完了すると、ステップS12では、メニュー選択が確定したかどうかチェックし、確定していればステップS14に進んで行先入力メニューが選択されたかどうかチェックする。そして行先入力メニューの選択が確認された場合はステップS16の行先入力処理を実行し、その結果に基づいてステップS18の地図表示に移行する。行先入力処理の詳細は後述する。
一方、ステップS14で行先入力メニューの選択でないと判断されるとステップS20に進み、オーディオ処理またはエアコン処理等の他メニューの処理を行ってステップS18の地図表示に移行する。またステップS12でメニュー選択の確定が確認されない場合は、直ちにステップS18の地図表示に移行する。
ステップS18で地図が表示されるとステップS22で地図へのタッチが検知されたかどうかチェックする。また、ステップS8でメニュー表示操作が検知されない時はステップS6の地図表示を継続してステップS22の地図タッチ検知に移行する。ステップS22で地図タッチが検知されるとステップS24の地図タッチ処理に入る。その詳細は後述する。地図タッチ処理が完了すると、ステップS26に移行する。一方、ステップS22で地図タッチが検知されない時は直接ステップS26に移行する。ステップS26では、でエンジンがオフになったかどうかチェックし、エンジンオフが検知されないときはステップS4に戻る。以下、ステップS26でエンジンオフが検知されない限り、ステップS2からステップS26を繰り返し、各操作が検知されないときはステップS4で取得されるGPS情報を更新しながら地図表示を継続してナビゲーションを行うとともに、各操作が行われたときはそれに対応する。一方、ステップS26でエンジンオフが検知された時はフローを終了する。
図11は、図10のステップS10におけるメニュー選択処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS32で右ハンドル車であるかどうかチェックする。右ハンドル車でなければステップS34で以下の処理における「右」、「左」をそれぞれ「左」、「右」に逆転させて読替え処理する旨の処理を行ってステップS36に移行する。一方、右ハンドル車であることが確認された場合は直接ステップS36に移行する。これらの左右逆転処理は、カーナビ装置2が車両に設置された時に必要となるもので、右ハンドル車であるか左ハンドル車であるかの情報は無線通信部18または入出力部20による車両との情報交換によって取得する。左右逆転読替えを行うかどうかの判断は、カーナビ装置2が一度車両に設置されたあとは答えが同じになるが、カーナビ装置2が持ち出し可能なポータブルのもので、その後右ハンドル車にも左ハンドル車にも持ち込まれる可能性がある場合は、処理の混乱による事故を自動的に避ける意義のあるものである。
ステップS16以降は、ステップS34における左右逆転読替えが行われない場合の右ハンドル車の場合についての処理を示す。まず、ステップS36では、右手レイアウトの表示が行われるとともに所定時間のカウントが開始される。そしてステップS38で右手レイアウト表示後所定時間が経過したかどうかのチェックが行われ、所定時間経過がなければステップS40で2点同時タッチ状態が検知されるかどうかチェックする。2点同時タッチ状態が検知されるとステップ42に移行し、検知された2点が右下がりかどうかチェックする。そして、右下がり2点であることが検知されると、運転者による左手操作がなされたものと看做し、ステップS44に進んで走行中かどうかチェックする。そして走行中でないことが確認されるとステップS46に進み、右手レイアウト表示に代えて左手レイアウト表示を行い、運転者による左手操作を可能としてステップS48に移行する。
一方ステップS44で走行中であることが検知されるとステップS50に進み、走行中は運転者によるメニュー選択操作は禁止されていることを告知し、ステップS52で右手レイアウト表示を行ってステップS48に移行する。なお、ステップS52は左手レイアウト表示がなされている場合にステップS52に至った時にこれに代えて右手レイアウト表示をおこなうためのものであり、はじめから右手レイアウトが表示されている時はステップS52では何も行わず、右手レイアウト表示を継続する。なお、ステップ42において検知された2点が右下がりであることが検知されない場合は左下がりの2点が検知されたことに相当し、これは助手席の同乗者による右手操作であることを意味するので、ステップS54で右手レイアウト表示を行ってステップS48に移行する。なお、ステップS54も左手レイアウト表示がなされている場合にステップS54に至った時にこれに代えて右手レイアウト表示をおこなうためのものであり、はじめから右手レイアウトが表示されている時はステップS54では何も行わず、右手レイアウトを継続してステップS48に移行する。
ステップS48では、図2(A)または図3(A)のように、メニューの一つと決定エリア34の両者へのタッチが検知されたかどうかチェックし、検知があればその検知情報に基づいてステップS56でその2点を更新記憶するとともに2点に対応するエリアを太枠表示する。なお、タッチ位置に変更がなく検知された2点の記憶に変更がなければ同じ情報が上書き更新され、太枠表示されるエリアも変わらない。そしてステップS58に進み、ステップS36で開始された所定時間カウントをリセットし、改めて時間カウントをスタートさせ、ステップS60に移行する。
ステップS60では、図2(A)の黒矢印40または図3(A)の黒矢印58で示すような決定エリア34または54のメニューへの接近ドラグが行われたかどうかチェックする。そして接近ドラグが検知されるとステップS62に進み、メニュー選択を確定してフローを終了する。また、ステップS38で所定時間の経過が検知されたときは直ちにフローを終了する。一方、ステップS60で接近ドラグが検知されなかったときはステップS38に戻り、以下、ステップS60で接近ドラグが検知されるかステップS38で所定時間の経過が検知されない限り、ステップS38からステップS60を繰り返し、走行と停止の状況変化やメニューへのタッチ変更に対応する。なお、ステップS40で2点の同時タッチ状態が検知されないとき、またはステップS54でメニューの一つと決定エリアとの2点タッチを検知されないときは、ステップS38に戻る。
なお、図11のフローにおいてステップS60での接近ドラグの検知をもってメニュー選択を確定しているのは、誤って2点タッチしたとしても直ちにメニュー選択を確定せず、もうワンステップの確認操作を入れる安全策を意味する。しかし、このような安全策よりも操作をシンプルにすることを優先する場合は、ステップS58およびステップS60を省略し、ステップS48でメニューの一つと決定エリアとの2点タッチが検知されてステップS54からステップ56に移行した後、直ちにステップS62に進み、メニュー選択を確定するよう構成してもよい。このように構成した場合は、図2(A)または図3(A)において、メニューの一つと決定エリア34の両者へのタッチが検知され、タッチされた領域が太枠のように変わった時点でメニュー選択が確定する。
図12は、図10のステップS16における行先入力処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS72で左右逆転処理を行う。これは、図11のステップS32およびステップS34と同じものである。ステップS72の左右逆転処理が終わるとフローはステップS74以下に進む。図11と同様にして、ステップS74以下では、左右逆転処理において左右逆転読替えが行われない場合の右ハンドル車の場合についての処理を示す。
まず、ステップS76では、右手レイアウトの表示が行われるとともに所定時間のカウントが開始される。そしてステップS76で右手レイアウト表示後、所定時間が経過したかどうかのチェックが行われ、所定時間経過がなければステップS78で1点タッチが検知されるかどうかチェックする。そして、1点タッチ状態が検知されるとステップ80に移行し、所定の識別時間が経過したかどうかチェックする。この識別時間は、2点タッチが厳密に同時には行われないことを前提とし、ステップS78で検知された1点タッチが、2点タッチを意図している場合の1点タッチか、それとも意図しての1点タッチかを識別するためのものである。そして、ステップS80で識別時間が経過したことが検知されない場合はステップS82に進み、2点同時タッチ状態の検知の有無をチェックする。この検知ができない場合はステップS80に戻り、以下、識別時間が経過するか2点同時タッチ状態が検知されるかしない限りステップS80およびステップS82を繰り返す。
ステップS82で2点同時タッチ状態が検知されるとステップS84の左右レイアウト切換処理に入る。この処理は、図11のステップS42からステップS46およびステップS50からステップS54と同じ処理であり、右手レイアウトと左手レイアウトの切換および走行中の左手レイアウトを禁止するためのものである。そしてステップS84の左右レイアウト切換処理が終わるとステップS86に移行する。
ステップS86では、図4のように、子音ボタン群64またはブランクボタン68の一つと母音ボタン群66(または78)または「n」ボタン70(または80)の一つの両者へのタッチが検知されたかどうかチェックし、検知があればその検知情報に基づいてステップS88でその2点を更新記憶するとともに2点に対応するエリアを太枠表示してステップS90に移行する。なお、図11のフローと同様、タッチ位置に変更がなく検知された2点の記憶に変更がなければ同じ情報が上書き更新され、太枠表示されるエリアも変わらない。
ステップS90では、図4(A)の黒矢印72または図4(B)の黒矢印82で示すような母音ボタン(または「N」ボタン)の子音ボタン(またはブランクボタン)への接近ドラグが行われたかどうかチェックする。そして接近ドラグが検知されるとステップS92に進み、一字分の仮名文字入力を確定記憶してステップS94に移行する。一方、ステップで識別時間の経過が検知された時は1点タッチであったと看做してステップS96に移行し、これが図4のテンキー76の一つへのタッチであるかどうかチェックする。そしてテンキータッチであった場合はステップS98に進み、数字入力を確定してステップS94に移行する。このように数字入力については1点タッチと識別時間の経過のみで一文字分の数字入力を確定する。
ステップS94で所定時間カウントをリセットし、改めてカウントをスタートさせてステップS100に移行する。ここでの所定時間リセットスタートは次の文字入力操作を末意義があるので、ステップS74でスタートさせた所定時間とは異なった文字入力待ちに好適な時間に設定することも可能である。なお、ステップS96でテンキーの一つへのタッチであることが検知できない場合は、意味のない1点タッチであったと看做して何も入力を確定せず直ちにステップS100に移行する。
ステップS100では、ステップS92で新たに確定記憶した一文字分を含め、記憶されている仮名文字列から行先を推定可能かどうかチェックする。そして文字数が少なく推定ができないときはさらに文字を入力することを可能にするためステップS76に戻る。また、ステップS78で1点タッチが検知されないとき、またはステップS86で子音ボタン群等の一つと母音ボタン群等の一つの両者へのタッチが検知されなかったとき、またはステップS90で所定時間内の母音ボタンドラグが検知できなかったときもステップS76に戻る。以下、ステップS100で行先が推定可能であると判断されるかまたはステップS76で所定時間の経過が検知されるかしない限り、ステップS76からステップS100を繰り返し、新たな文字入力を可能とするとともに走行と停止の状況変化や右手/左手レイアウト変更に対応する。
一方、ステップS100において行先推定が可能と判断されたときはステップS102に進み、入力された文字列に基づいて行先を推定しフローを終了する。なお、ステップS76で所定時間の経過が検知されたときは直ちにフローを終了する。なお、図12のフローにおいてステップS90での接近ドラグの検知をもって仮名入力を確定しているのは、図11の場合と同様、誤って2点タッチしたとしても直ちに仮名入力を確定せず、もうワンステップの確認操作を入れる安全策を意味する。しかし、このような安全策よりも操作をシンプルにすることを優先する場合は、図11の場合と同様、ステップS90を省略し、ステップS86で子音ボタン群等の一つと母音ボタン群等の一つの2点タッチが検知されれば直ちにステップS92に進み、仮名入力を確定するよう構成してもよい。このように構成した場合は、図4において、子音ボタン群等の一つと母音ボタン群等の一つの2点タッチが検知され、タッチされた領域が太枠のように変わった時点でメニュー選択が確定する。
図13は、図10のステップS24における地図タッチ処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS112で左右逆転処理を行う。これは、図12のステップS72と同様、図11のステップS32およびステップS34と同じものである。ステップS112の左右逆転処理が終わるとフローはステップS114以下に進む。図11および図12と同様にして、ステップS114以下では、左右逆転処理において左右逆転読替えが行われない場合の右ハンドル車の場合についての処理を示す。
まず、ステップS114では、図10のステップS22で地図タッチが検知されてから所定時間内に2点同時タッチ状態が検知されるかどうかチェックする。2点同時タッチ状態が検知されるとステップ116に移行し、検知された2点が右下がりかどうかチェックする。そして、右下がり2点であることが検知されると、運転者による左手操作がなされたものと看做し、ステップS118に進んで走行中かどうかチェックする。そして走行中であることが検知されるとステップS120に移行する。
ステップS120からステップS126は、図8および図9の操作に該当するものである。まずステップS120では、ステップS114で2点同時タッチ状態が検知されてから所定時間内にその2点が相対的に接近するドラグが行われたかどうかチェックする。そして接近ドラグが検知されるとステップS122に進み、表示されている地図の中心を固定して所定比率で地図を縮小し、ステップS124に移行する。これは、図9の操作に該当する。一方、ステップS120において所定時間内の接近ドラグが検知できなかったときは、直接ステップS124に移行する。
ステップS124では、ステップS114で2点同時タッチ状態が検知されてから所定時間内にその2点が相対的に離間するドラグが行われたかどうかチェックする。そして離間ドラグが検知されるとステップS126に進み、表示されている地図の中心を固定して所定比率で地図を拡大し、フローを終了する。これは、図8の操作に該当する。一方、ステップS124において所定時間内の離間ドラグが検知できなかったときは、直ちにフローを終了する。この場合は地図の縮尺に変化は生じない。なお、図13においては、ステップS120およびステップS122の位置とステップS124およびステップS126の位置を差替えてもよい。
一方、ステップS116で右下がり2点が検知されなかったときは、検知された2点が左下がりであることを意味するのでステップS128に移行し、検知された2点の絶対位置が決定する領域を記憶する。これは、図5(B)における操作の状態に該当する。次いでステップS130において所定時間が経過したかどうかチェックし、経過が検知されない場合はステップS132に進んで検知された2点を相対的に離間するドラグが行われたかどうかチェックする。そして離間ドラグが検知されなければステップS130に戻り、以下、ステップS130とステップS132を繰り返して所定時間内の2点間ドラグを待つ。そしてステップS132で2点間ドラグが検知されるとステップS134に進み、ステップS128で決定記憶された領域内の地図を表示部12いっぱいに拡大し、フローを終了する。これは、図6の操作の状態に該当する。一方、ステップS130で所定時間経過が検知された時は直ちにフローを終了する。この場合は地図の拡大は行われない。
また、ステップS114において、図10のステップS22で地図タッチが検知されてから所定時間内の2点同時タッチ状態が検知されないときは、図10のステップS22で1点タッチが検知されたことを意味するから、ステップS136に移行する。ステップS136では、図10のステップS22で地図タッチが検知される直前に2点タッチ位置で決定された領域内の地図が拡大された履歴があるかどうかチェックする。そしてこのような履歴があればステップS138に進み、図10のステップS22で検知されたタッチ位置を中心に地図を所定比率で縮小してフローを終了する。これは、図7の操作に該当する。一方、ステップS136で拡大履歴が検知されない場合は直ちにフローを終了する。この場合は地図の拡大は行われない。
上記実施例1に示した種々の特徴は、その具体的な実施に限るものではなく、開示した利点を享受できる限り種々の実施において活用可能である。例えば、上記実施例1では右手用レイアウトと左手レイアウトの切換を走行中かどうかの検知と関連づけており、これは、走行中であっても比較的危険の少ない一定の操作を運転者に許すとともに、助手席の同乗者からは走行中であっても複雑な総祖や正確さを要する操作を可能とするものであって、一律に走行中の操作を制限する場合よりもフレキシブルな操作を可能とする点で有用である。また、実施例1では、運転者による操作であるか同乗者による操作であるかを右下がり2点が検知されるか左下がり2点が検知されるかによって判断しており、この構成は運転者か同乗者かを識別する他の手段を要しない点で有用である。しかしながら、右手用レイアウトを運転者が無理な姿勢で操作することによる事故を絶対に防止することを重視する場合は、運転者か同乗者かを識別する赤外線検知等を別途設け、これによって右手用レイアウトと左手用レイアウトを切り換えるよう攻勢してもよい。また、構成を簡単にしてカーナビ操作による事故を防止することを優先する場合は、右手用レイアウトであるか左手用レイアウトであるかにかかわらず、走行中の複雑な操作を禁止するように構成してもよい。以上いずれの場合においても、手の構造に合わせた右手用レイアウトと左手用レイアウトの切り換えは、手による2点操作を容易にする上で有用である。
また、上記実施例1はカーナビにおける実施を示したが、開示された種々の特徴のいくつかはカーナビにおける実施に限るものではなく、開示した利点を享受できる限り種々の機器において実施可能である。例えば、デジタルスチルカメラやデジタルムービーカメラにおけるタッチパネル表示部、携帯電話などのモバイル機器におけるタッチパネル表示部において広く活用が可能である。さらには、上記において開示された右手による2点タッチ操作と左手による2点タッチ操作の切り換えなど種々の特徴のいくつかは表示機能を有さないタッチパネルにおいても活用可能なものである。
図14は、本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例2を示すブロック図である。実施例2はデジタルカメラ202を構成しており、装置全体を制御するコンピュータからなる制御部204を有し、デジタルカメラ操作者による操作部206の操作に応じて、デジタルカメラ202を制御する。この制御部204の機能は記憶部208に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部208は、またデジタルカメラ202の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。また、制御部204は表示ドライバ210を介して抵抗膜式タッチパネル表示部212の表示を制御し、操作部206の操作に必要なGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。
抵抗膜式タッチパネル表示部212は表示部であるとともにタッチパネル入力装置となっていて、表示に直接タッチすることにより入力操作を行うGUI操作部となっている。また、抵抗膜式タッチパネル表示部212の構成は図1の実施例1と同様のものであり、制御部204は抵抗膜式タッチパネル表示部212の4線の出力を分析処理することにより、2点のタッチ位置およびその移動を検知することが可能である。
実施例2において実施例1の説明を準用して理解できる部分は10の位および1の位の数字が共通の200番台の番号を付して原則として説明を省略するとともに、以下デジタルカメラ特有の構成について説明する。まず、撮影モードにおいて、デジタルカメラ202は、焦点調節可能な光学系252によって結像する光学増を撮像部254によって電子画像に変換し、制御部204の画像処理部256によって圧縮を含む画像処理を行って画像記憶部258に格納する。画像記憶部258はデジタルカメラ202内蔵の画像メモリまたはデジタルカメラ202に着脱可能なメモリカードとして構成される。
上記の撮影モードにおいて、撮像部254によって撮像された画像は表示ドライバ210によって抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される。つまり、このような撮像モードにおいては、抵抗膜式タッチパネル表示部212は、撮像の構図決めのために被写体像を表示するファインダースクリーンの機能を果たす。このとき、抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体像の所望部分を例えば親指でタッチすることによりタッチ位置が記憶され、記憶された位置に対応する被写体部分に対しフォーカス機構260によりオートフォーカスが行われる。オートフォーカスの焦点調節判断は画像処理部256の情報に基づき制御部204が行う。また、記憶されたタッチ位置に対応する被写体部分を基準に露出制御部262が光学系252の絞りおよび撮像部254の露出時間およびゲインを制御することで露出制御を行う。露出制御の判断も、画像処理部の情報に基づき制御部204が行う。
なお、抵抗膜式タッチパネル表示部212から親指を一度離すとタッチ位置の記憶がキャンセルされ次にタッチした位置が新たに記憶される。このようにタッチが継続する限り最初にタッチした
位置を記憶することにより、タッチを継続する際に指が抵抗膜式タッチパネル表示部212上でずれることによりタッチ位置が所望の位置から不用意に変化することを防止できる。そしてタッチを継続しながら例えば人差指で抵抗膜式タッチパネル表示部212の任意の位置をタッチするとシャッタレリーズが行われ、撮影が完了する。
撮影モードによって画像記憶258に記憶された画像は、再生モードの設定により、抵抗膜式タッチパネル表示部212に再生表示することができる。このような再生画像については、拡大縮小が可能であり、その操作は実施例1において説明した操作を準用することができる。
ここで、上記において説明を省略した図14の構成について、若干の補足を行うと、まず、GPS部214の情報は、撮影場所情報として画像とともに画像記憶部に記憶される。また、スピーカ221は、デジタルカメラ202の操作案内に利用される。さらに、入出力部220および無線通信部218は、画像記憶部258に格納されている画像をデジタルカメラ202外部に送信するときに利用することができる。
図15は、実施例2に示したデジタルカメラ202の撮影モードにおいて抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体画像を示す画面図である。図15(A)は、右手264の親指で抵抗膜式タッチパネル表示部212の所望の位置をタッチした状態を示し、このタッチに応答してタッチ位置表示266が行われている。このタッチ位置表示はタッチされた位置を示すとともにタッチ位置が記憶されたことを示している。このような親指による1点タッチ状態で親指の位置がずれてもタッチ位置表示266が動くことはない。また、親指を抵抗膜式タッチパネル表示部212から離すとタッチ位置記憶がキャンセルされ、タッチ位置表示266消えるので新たなタッチで記憶位置を設定することが可能である。
撮影前の構図決めにおいては、デジタルカメラ202がぶれると抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体像も動く。このとき、画像と記憶されたタッチ位置の両者がともに動くと基準がなくなって画像の所望位置の指定がし難くなるが、上記のようにして最初のタッチ位置を記憶固定することにより、仮にその後画像が動いても、デジタルカメラ202を動かすことで容易にタッチ位置と当初の画像の所望位置を元通りに合わせることができる。
図15(B)は、右手264の親指のタッチを継続したまま抵抗膜式タッチパネル表示部212の任意の位置268をタッチした状態を示しており、制御部204はこのような2点タッチ状態の成立によりシャッタレリーズ操作が行われたものと判断してその状態における撮像部254の画像情報を画像処理部256で処理して画像記憶部258に記憶格納させる。
なお、実施例2では、シャッタレリーズボタン位置が抵抗膜式タッチパネル表示部212の任意の位置となるので、構図決めに専念でき、操作が簡単になる。しかしながら2点目のタッチによってシャッタレリーズを行う構成はこれに限られるものではなく、例えば図15(B)の位置268のように操作しやすい位置にシャッタボタンを表示するよう構成してもよい。このようなシャッタボタン位置表示は、最初のタッチ位置266の記憶が行われたのと同時に行う。このような構成によれば、任意位置の2点目タッチによりシャッタレリーズを行うことができないが、その反面、表示されたシャッタボタン位置以外を不用意にタッチすることで誤ってシャッタレリーズが行われるのを防止することができる。実施例2は、デジタルカメラ202の使用者のカスタム設定により、このようなシャッタレリーズボタン表示モードも選択できるよう構成してもよい。
図16は、図14の実施例2における制御部204の動作のフローチャートである。デジタルカメラ202の電源オン操作が行われるとフローがスタートし、ステップS142においてデジタルカメラの立上処理が行われ、ステップS144で初期状態として撮影モードを設定してステップS146に移行する。ステップS146では再生モード設定の手動操作が行われたかどうかチェックし操作がなければステップS148に進む。
ステップS148では、1点タッチが検知されるかどうかチェックする。そして1点タッチ状態が検知されるとステップ148に移行し、タッチが検知された位置を記憶する。一方、ステップS148で1点タッチが検知されない時はステップS146に進み、以下ステップS146とステップS148を繰り返して再生モード設定操作が行われない限り1点タッチの検知を待つ。ステップS150で検知位置が記憶されるとステップS152に進んで記憶位置を表示する。この表示は、図15(A)のタッチ位置表示266に該当する。
さらにステップS154では、記憶位置に撮像されている被写体部分に対する画像処理部256の情報に基づき制御部204がフォーカス機構260に指示を出して光学系252を駆動し、この部分のコントラストが最大になるようフォーカス調整を行う。この結果、図15(A)のタッチ位置表示266の部分の被写体にピントが合う状態となる。フォーカス指示のあとステップS156では、記憶位置に撮像されている被写体部分に対する画像処理部256の情報に基づき制御部204が露出制御部262に指示を出して光学系252の絞りおよび撮像部254の露出時間を制御する。この結果、図15(A)のタッチ位置表示266の部分の被写体が適正露出となる状態に露出制御が行われる。
次いで、ステップS158では、ステップS148で1点タッチが検知されてから所定時間が経過したかどうかチェックする。この所定時間は例えば2秒程度であり、1点目タッチにより関心のある被写体部分を決定してから2点目タッチ検知によるシャッタレリーズを待つための時間として設定される。後述のように、この所定時間内に2点目タッチが検知されない場合は1点目タッチの記憶がキャンセルされる。
ステップS158で所定時間経過が検知されないときはステップS160に進んで1点タッチが解除されたかどうかチェックする。1点タッチ解除が検知されない場合は、ステップS162に進み、1点目タッチを継続して2点目をタッチした結果として2点同時タッチ状態が生じたかどうかチェックする。そして、2点同時タッチ状態が検知されるとステップS164に進んでシャッタレリーズが行われ、ステップS166の撮像処理に移行する。一方、ステップS162で2点同時タッチ状態が検知されない場合はステップS158に戻り、以下、所定時間が経過するか1点タッチが解除されるかしない限りステップS158からステップS162を繰り返して2点目タッチを待つ。
ステップ166の撮像処理は画像処理部によって画像圧縮を行うとともに圧縮画像を画像記憶部258に記憶する処理である。撮像処理では、並行して記憶対象となる画像が所定時間抵抗膜式タッチパネル表示部212に静止画として表示される。ステップS166の撮像処理が終了するとステップS168に進み、デジタルカメラ202の電源オフ操作が行われたかどうかチェックする。そして、電源オフ操作が検知されたときはフローを終了する。
一方、ステップ158で所定時間経過が検知されたとき、またはステップS160で1点タッチ解除が検知されたときはステップS170に移行し、1点タッチの記憶をキャンセルするとともにステップS172で図15(A)に示すようなタッチ位置表示266位置表示をキャンセルしステップS168に移行する。このようなステップS170およびステップS172の機能により、新たな1点目タッチ位置の決定に入ることができる。
一方、ステップS146において再生モード設定操作が検知されたときはステップS174に移行して再生モード処理が行われる。再生モード処理では、最新画像等から始まる所定の順序による画像送りによる全画面再生、サムネイル画像による画像選択、スライドショー表示などが可能である。また、再生モード処理では定期的にステップS176に移行して撮影モード設定操作の有無をチェックし、操作がなければステップS174に戻って再生モードを継続する。ステップS176で撮影モード設定操作が検知されるとステップS178で撮影モードを設定してステップS168に進む。
前述のように、ステップS168で電源オフ操作が検知されるとフローは終了となるが、電源オフ操作の検知がない場合はステップS146に戻る。以下、ステップS168で電源オフ操作が検知されない限りステップS146からステップS168を繰り返し、基本的には撮影モードの種々の操作に対応するとともに適宜再生モードへの移行操作および撮影モードへの復帰操作に対応する。
以上説明した図16のフローから明らかなように、実施例2では、検知されるタッチが1点目か2点目かを識別し、それぞれに応答する機能が変えられる。その具体例として、1点目タッチにより画面位置の指定機能が応答し、2点目タッチによりシャッタレリーズ機能が応答するものを示した。しかし本発明のこの特徴は画面位置指定機能とシャッタレリーズ機能への使い分けに限るものではなく、種々の異なった機能に1点目タッチと2点目タッチ検知を割り当てることが可能である。
なお、図16のフローでは、1点目タッチ位置が記憶された後にデジタルカメラ202を振ると、記憶された画面上のタッチ位置の部分に表示される画像も移動することになる。従って、フォーカス調節および露出調節の対象となる被写体部分も変化する。従って、デジタルカメラ202を振って図15(A)のタッチ位置表示266に所望被写体を合わせることでその被写体部分に対するフォーカス調節および露出調節を行うことができる。これに対し、実施例2ではフォーカスロックおよび露出調節ロックモードも可能であって、このようなロックモードが選択された時は、タッチ位置の記憶およびタッチ位置266の表示とともにタッチ位置記憶時点の撮像部254の該当被写体部分の画像データも記憶され、その記憶画像データに基づいてフォーカス調節および露出調節が行われる。従ってこのようなロックモードでは、1点目タッチ後にデジタルカメラ202を振っても、1点目タッチ時にタッチ位置にあった被写体部分へのフォーカス調節および露出調節状態を維持することができる。
上記のロックモードを実施する場合を図16で説明すると、ステップSステップS152とステップS154の間にロックモード設定の有無をチェックするステップが挿入され、ロックモード設定が検知されるとタッチ位置検知時点の該当部分の画像データを記憶するステップを経てステップS154に移行する。従ってこの場合、ステップS154およびステップS156は、リアルタイムで撮像部254から取得される記憶タッチ位置に該当する被写体部分データではなく、上記のようにして記憶された被写体部分データに基づいて行われることになる。また、ロックモードにおいてステップS170に進んだときはステップS172の後に被写体画像データの記憶もキャンセルしてステップS168に移行する。
次に本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例3について説明する。実施例3は車両のカーナビ装置に関するもので、その構成の大半は実施例1と共通である。従って、基本的には図1から図13を流用するとともに同一部分については同じ番号を流用し、異なるところについてのみ説明する。実施例3は、実施例1と同様にして、運転中の運転者による操作の際、タッチした2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらず、2点結んだ線が相対的に右下がりであることだけを検知して、危険のない簡単なタッチ位置移動で地図の拡大操作を行うことができるよう構成される。しかしながら実施例1では図8および図9のように2点間の距離が離間するか接近するかによって拡大または縮小を決定していたのに対し、実施例3は別の操作方法により拡大縮小を行うよう構成される。他の点に関しては、実施例3は実施例1と共通なので説明は省略する。
図17は、上記のような実施例3において、図5(A)のような左手操作検知状態から、2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらず運転中の運転者による危険のない操作によって地図の拡大を行う際の画面図である。但し、図17では、タッチ位置の間隔を広く取るために親指と中指で2点タッチを行ったものとして説明する。なお、言うまでもないが、検知はタッチの位置が問題なのであって、自然なタッチが行えるならどの指で操作するかは任意である。図17(A)では、左手302の親指および中指でそれぞれのタッチ位置304および306にてタッチし、そこから白矢印308および310で示すように指の間隔は基本的には変えないまま平行移動的にスライドさせ、その後、左手302を表示部12から離した状態を示す。このとき、制御部4は、タッチされた2点の間隔312が基準間隔314より大きいかどうか判断する。
図17(A)の場合は、タッチされた2点の間隔312の方が基準間隔314より大きいのでその判断および白矢印308および310の平行移動的スライドあったことをもって拡大操作と認識し、図17(B)に示すように地図の中心部を固定して図17(A)から拡大した地図114を表示部12に表示する。このようにして、実施例3においても、走行中に左手操作を行った場合には、地図の位置の指定なしに、拡大操作が行われたことのみを検知して地図の中心を固定して拡大を行う。制御部4は、さらにタッチ後平行移動を行って手302を表示部12から離すまでの操作、つまり白矢印308および310で示すスライド軌跡についてスライド量およびスライド速度を判定し、両者の積に基づいて拡大率を決定する。このようにして、操作者はスライド量および速度を大まかに変えることにより、拡大率の調節を行うことができる。そして図17(B)では、このようにして決定された拡大率に従って拡大された拡大地図114が表示される。なお、拡大率が所望のものより小さかった時は、図17に示すような幅広の2点タッチと平行スライドを繰り返すことになる。また、拡大しすぎた場合は、以下に説明する操作によって地図を縮小することができる。
図18は、実施例3において、図5(A)のような左手操作検知状態から、2点の絶対位置がどこにあるかにかかわらず運転中の運転者による危険のない操作によって地図の縮小を行う際の画面図である。図18では、間隔を狭めた親指と人差指で2点タッチを行ったものとして説明する。図18(A)では、左手302の親指および人差指でそれぞれのタッチ位置316および318にてタッチし、そこから白矢印320および322で示すように指の間隔は基本的には変えないまま平行移動的にスライドさせ、その後、左手302を表示部12から離した状態を示す。このとき、図17と同様にして制御部4は、タッチされた2点の間隔324が図17と同様の基準間隔314より大きいかどうか判断する。
図18(A)の場合は、タッチされた2点の間隔324の方が基準間隔314より小さいのでその判断および白矢印320および322の平行移動的スライドあったことをもって縮小操作と認識し、図18(B)に示すように地図の中心部を固定して図18(A)から縮小した地図124を表示部12に表示する。このようにして、実施例3においては、走行中に左手操作を行った場合、地図の位置の指定なしに縮小操作が行われたことのみを検知して地図の中心を固定して縮小を行う。制御部4は、図17の場合と同様にして、白矢印320および322で示すスライド軌跡についてスライド量およびスライド速度を判定し、両者の積に基づいて縮小率を決定する。このようにして、縮小の場合においても、操作者はスライド量および速度を大まかに変えることにより、縮小率の調節を行うことができる。そして図18(B)では、このようにして決定された縮小率に従って縮小された縮小地図124が表示される。なお、拡大の場合と同様、縮小率が所望のものより小さかった時は、図18に示すような幅狭の2点タッチと平行スライドを繰り返すことになる。また、縮小拡大しすぎた場合は、図17の幅広2点タッチと平行スライドによって地図を拡大することができる。
実施例3における図17(A)または図18(A)の基準間隔314は、幅広および幅狭の2点タッチを行う際において操作者によって操作しやすい指の間隔を元に、幅広か幅狭かの識別が適切に行える幅をトライアルアンドエラーによって予め設定しておくことができる。実施例3に示すように、本発明によれば、2点タッチにおいてタッチ位置間の幅を入力情報として利用することができる。また、2点タッチ状態を継続したタッチ位置変化を入力情報として利用することができる。
図19は、実施例3の場合における図10のステップS24の地図タッチ処理の詳細を示すフローチャートである。その大部分は実施例1に関する図13と共通なので、共通するステップには共通のステップ番号を付し、必要のない限り、説明を省略する。具体的に述べると、図19においてステップS112からステップS118、ステップS136およびステップS13は図13と共通である。上記のように実施例3は、運転中の運転者による左手操作に関するものなので、図19においてステップS118で走行中であることが検知されたあとの処理が図13と異なることになる。そしてこの部分の処理が、図17および図18に示した操作に関連する。
さて、図19において、ステップS118で走行中であることが検知されるとステップS182に進み、ステップS114で2点同時タッチ状態が検知されてから所定時間内にその2点がタッチを継続しながら平行スライドされたかどうかチェックする。そして平行スライドが検知されるとステップS184に進み、図17(A)の白矢印308、310または、図18(A)の白矢印320、322に該当するスライド量を判定する。さらにステップS86では、白矢印308、310または、白矢印320、322におけるスライド速度を判定する。
次いでステップS188では、ステップS184で判定されたスライド量およびステップS186で判定されたスライド速度を掛け算しその積の値に基づいて地図の拡大率または縮小率を決定する。つまり、ステップS188で決定される拡大率または縮小率は、例えば、スライド量が同じでスライド速度が2倍のとき、またはスライド量が2倍でスライド速度が同じのとき、それぞれ2倍となる。また、例えばスライド量およびスライド速度がともに2倍のとき、ステップS188で判定される拡大率または縮小率は、4倍となる。以上のように、スライド量およびスライド速度はいずれもスライド状態の情報であり、ステップS188では、感覚的に丁寧なスライドを行うほど判定される拡大または縮小の度合いは少なく微妙な調節が行われ、感覚的に激しいスライドを行うほど大幅な拡大または縮小が行われることになる。
ステップS188において拡大率または縮小率が決定されるとステップS190に進み、タッチされている2点間の距離が所定の基準以上かどうかがチェックされる。この所定基準は図17(A)または図18(A)の基準間隔214に該当する。そして、ステップS190において2点間距離が所定以上であることが確認されるとステップS192に進み、中心を固定するとともにステップS188で決定された拡大率に基づく地図の拡大を行ってフローを終了する。一方、ステップS190において2点間距離が所定以下であることが確認されるとステップS194に進み、中心を固定するとともにステップS188で決定された縮小率に基づく地図の縮小を行ってフローを終了する。
図19のステップS196は、図13のステップS128からステップS134をまとめて2点決定領域内地図拡大処理として図示したものであり、その内容は図13と同じである。つまり、図19のステップS196は、図13と同様にして、ステップS116において左下がり2点タッチが検知されたことによって実行されるものであり、タッチされる2点の絶対位置に基づきその2点によって決定される領域内の地図を表示部12いっぱいに拡大し、フローを終了するものである。
本発明の種々の特徴は上記の実施例に限らず広く活用可能である。例えば、実施例3では、図17および図18のように、タッチした2点の幅の判定および2点の平行移動的スライドにより情報を入力するよう構成している。これは、不用意に2点にタッチした際の誤入力を防止し、2点タッチの後のスライドを待って入力を実行するものであるが、迅速な入力を優先する場合は、2点タッチを検知した時点で直ちに入力を実行するよう構成してもよい。この場合、図19のフローにおいてステップS182からステップS188を省略し、ステップS118で走行中であることを検知した後、直ちにステップS190の2点間距離の判定に入るよう構成する。
図20は、本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例4を示すブロック図である。実施例4はデジタルカメラ402を構成しているが、その内容の大半は図14の実施例2におけるデジタルカメラ202と同様のものである。従って、共通の部分には共通の番号を付して説明を省略する。また、構成は若干異なるが実施例2に準じて理解できる部分には10の位および1の位の数字が共通の400番台の番号を付し、必要に応じ下記に説明を追加する。なお、これら追加説明部分は特に実施例4のみに特有のものではなく、実施例2においてもこのような構成を有するよう構成することは任意である。
なお、図14の実施例2でもそうであるが、図20の実施例4の抵抗膜式タッチパネル表示部212はデジタルカメラ402の背面のほぼ全域にわたって設けられている大型のものであり、光学系452を両手で構えて被写体に向けたとき、デジタルカメラ402の背面から被写体像を観察することができるとともに、デジタルカメラ402保持している両手の親指で自然に抵抗膜式タッチパネル表示部212にタッチすることができる構成となっている。
また、図20の実施例4では、光学系452がズームレンズ系となっており、制御部404の制御によりズーム機構470が光学系452のレンズ構成を駆動してその焦点距離を変えることにより光学ズームを行う。ズーミングは抵抗膜式タッチパネル表示部212へのタッチによって操作され、この操作に応じ、上記のような光学系452による光学ズームだけでなく画像処理部256による電子ズームも併用してズーミングが実行される。上記のように、ズーム操作は、デジタルカメラ402を両手で保持して被写体に向けて被写体を観察しながら、抵抗膜式タッチパネル表示部212上にくる両手の親指により自然に行うことができる。
さらに、加速度センサ472は、デジタルカメラ402の姿勢変化を検出するとともに静止状態でも重力加速度を検知することが可能となっており、抵抗膜式タッチパネル表示部212におけるズーミング操作がデジタルカメラ402を縦に構えて行われたか横に構えて行われたかを検出する。抵抗膜式タッチパネル表示部212によるズーム操作については、以下に詳述する。
図21は、実施例4のデジタルカメラ402を横にして両手で構えた状態において抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体画像を示す画面図であり、ズームアップにより被写体像を拡大するときの様子を示している。具体的に説明すると、図21(A)は、デジタルカメラを両手で保持した際の右手の親指474および左手の親指476で抵抗膜式タッチパネル表示部212にタッチすることで拡大したい範囲478の左右の辺を指定し、その後タッチを継続したまま矢印480および矢印482に示すように両親指を外側にスライドさせてタッチしている2点間の水平距離を増加させる状態を示す。
その後、スライド途中の任意の時点で抵抗膜式タッチパネル表示部212から両手親指を離すと、これに応答し、図21(A)の状態で指定されていた拡大範囲478が図21(B)のように抵抗膜式タッチパネル表示部212の画面一杯に拡大画像484として拡大表示される。ここで、デジタルカメラ402の裏面にタッチしたまま抵抗膜式タッチパネル表示部212の枠外に両親指を離間スライドさせた場合も抵抗膜式タッチパネル表示部212から両手親指を離したものと認識される。
なお、図21(A)の両手親指による2点同時タッチ後に2点間水平距離の増加させるスライド操作は任意の速度で行ってよい。すなわち、図21(A)から図21(B)への拡大率は、専ら図21(A)での拡大範囲478の大きさに依存し、親指のスライド速度にかかわらず、拡大範囲478が抵抗膜式タッチパネル表示部212の画面一杯に拡大されるまで処理可能な最高速度にてズームアップが行われる。このとき光学ズームで対処できなければ、電子ズームも動員される。但し、拡大範囲478が小さすぎて、これを画面一杯拡大するズーム能力範囲を超える時は、可能な最大拡大を行った時点でズームアップは停止する。
ところで、上記における図21(A)での拡大範囲478の指定はあくまで拡大率の目安であって、左手親指474および右手親指476で指定した絶対位置としての区画478そのものが図21(B)のように拡大されるわけではない。つまり、拡大は、区画478の絶対位置にかかわらずその左右辺の間の水平距離に基づいて同心的に行われる。これは光学ズームがその性質上画面中心について同心的に行われるためである。もともと左手親指474および右手親指476によって正確に画面中心部分を指定するのは困難であるが、これによって区画468の絶対位置にこだわらずに拡大率を感覚的に指定できる。従って、極端な場合、区画478が著しく左または右に偏っていたとしても、区画478情報は、その左右辺の間の水平距離が拡大倍率算出の情報として採用されるのであって、区画478を切り取って図21(B)のように拡大するための絶対位置情報として採用されるわけではない。このように、本発明のズーム操作における区画指定情報は、画像の一部の切り出し情報とは意味が異なる。なお、電子ズームにあっては、指定した区画478の絶対位置に基づいてその部分を切り取り拡大することは可能であるが、上記のような光学ズームとの整合性のため、実施例4では電子ズームにおいても、区画478の指定情報を、画面切り出しのための絶対情報ではなく拡大倍率算出のための相対情報として取り扱うよう構成している。従って電子ズームの拡大も、区画478の絶対位置にかかわらず、算出された拡大率に従って同心的に行われる。
図22は、図21と同様にして実施例4のデジタルカメラ402を横にして両手で構えた状態において抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体画像を示す画面図であるが、ズームダウンにより被写体像を縮小するときの様子を示している。具体的に説明すると、図22(A)は、デジタルカメラを両手で保持した際の右手の親指474および左手の親指476で抵抗膜式タッチパネル表示部212にタッチし、その後タッチを継続したまま矢印486および矢印488に示すように両親指を内側にスライドさせてタッチしている2点間の水平距離を減少させる状態を示す。
その後、スライド途中の任意の時点で抵抗膜式タッチパネル表示部212から両手親指を離すと、これに応答し、図22(A)で画面一杯に表示されていた部分が図22(B)の対応部分490に縮小されるとともに撮影範囲がワイドになった画像が抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される。なお、縮小の際には、図22(B)における対応部分490の外側の画像が縮小前の図22(A)の状態では見えず、縮小指定を画面上の区画として指定することは直感的意義が薄い。そこで縮小の場合の縮小倍率は、図22(A)の矢印486および矢印488の移動量および移動早さの積によって決定する。例えば、移動量が同じで移動早さが2倍のときまたは移動量が2倍で移動早さが同じときはいずれも縮小倍率を2倍にするとともに両者がともに2倍のときは縮小倍率の4倍にする。これによって、直感的に親指の動きに連動した縮小倍率の指定を行うことができる。
なお、上記のとおり実施例4では、操作者の直感に沿うよう、拡大倍率の指定にあたっては図21(A)のように拡大対象範囲を当初の指のタッチ位置によって画面内で指定することにより、また縮小倍率の指定に当たっては図22(A)のように指の動きの激しさ度合いによって指定を行うよう構成している。しかしながら、拡大縮小両者とも当初の指のタッチ位置によりその率を指定するか、または拡大縮小両者とも指の動きの激しさ度合いによって行うよう構成してもよい。いずれにしても、使用者は拡大率および縮小率の指定原理を知らなくても、直感的に両手親指をタッチ後離間または接近させることにより所望のズームを行うことができる。そしてズームが不足または過剰であれば逆の操作をしてこれを修正することができ、このような操作の習熟により適切な指の動きをつかむことが可能となる。
図23は、実施例4のデジタルカメラ402を縦にして両手で構えた状態において抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される被写体画像を示す画面図である。この場合も矢印492および矢印494でそれぞれ示される右手親指478および左手親指476の水平方向の動きによる抵抗膜式タッチパネル表示部212上のタッチ2点間の水平距離の増減に応じズームアップおよびズームダウンが可能となる。このとき、図20の加速度センサ472による重力加速度検知により、抵抗膜式タッチパネル表示部212の短辺に平行な方向水平方向であると判断さる。このようにして、加速度センサ472による縦横方向検知によって、図21および図22では抵抗膜式タッチパネル表示部212の長辺に平行な2点間距離の変化が、図23では抵抗膜式タッチパネル表示部212の短辺に平行な2点間距離の変化が、それぞれズーム操作として検出される。図23における縦位置保持状態でのズームアップおよびズームダウンの詳細は、図21および図22における横位置保持状態での操作と同様なのでせつめいを省略する。
図24は、図20の実施例4における制御部404の動作のフローチャートである。図24のフローチャートは、図16における実施例2デジタルカメラの制御部204の動作と同様の部分が多いので、共通するステップには同一のステップ番号を付して説明を省略するとともに、異なるステップを太字で明示する。
実施例4では、図24に示すように、ステップS148で1点タッチが検知されたときステップS202に移行し、1点タッチ検知の後所定時間内に2点目がタッチされて2点同時タッチ状態が検知されたかどうかチェックする。この所定時間は極めて短時間(例えば0.5秒)に設定されており、操作者としては2点同時タッチを意図したものに多少のずれがあってもこの所定時間内に収まり、それが2点同時タッチとして認識されるよう設計されている。つまり、操作者が意図して1点目タッチの後に2点目をタッチしたものと2点同時タッチを意図したものとを識別するのがステップS202設置の目的である。そしてステップS202で実質的な2点同時タッチが検知されるとステップS204のズーム処理に進み、これが完了するとステップS146に戻る。以上のステップS202およびステップS204は、図21から図23に説明した両手親指の同時タッチによるズーム機能に該当するものであり、ステップS204の詳細は後述する。
一方、ステップS202で所定時間内2点同地タッチが検知されない場合はステップS206に進み、ステップS148で検知された1点目のタッチ位置が所定時間不変かどうかチェックする。これは、ステップS148からステップS202を経てステップS206に至ったときは、被写体中のフォーカスおよび露出調節位置の指定操作であると想定し、その位置が所定時間ずれずに維持されているかどうかをチェックすることを意味する。ステップS206における所定時間は例えば1秒であり、操作者がフォーカスおよび露出調節位置の指定の意図をもってタッチ位置で指を止めている自然な時間幅として設定される。そして、ステップS206において1点目のタッチ位置が所定時間不変であることが確認されるとステップS208のフォーカスおよび露出調節処理に移行する。ステップS208の内容は、図16のステップS150から156と同じものである。一方、ステップS206で所定時間内に1点目タッチ位置のずれが生じたときは位置指定の誤操作と判断してステップS146に戻り、ステップS148での1点目再タッチを待つ。つまり、図16の実施例2では、ステップS148の1点タッチ検知後直ちにその位置についてフォーカスおよび露出調節に入っているところ、図24の実施例4では、ズーム操作との識別および誤操作のないことの確認を行った上で1点タッチ検知位置についてのフォーカスおよび露出調節に入るよう構成されている。
図25は、図24のステップS204におけるズーム処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まず、ステップS212で加速度センサ472による水平方向検知が行われ、この検知結果に基づいてタッチされている2点間の水平距離、すなわち抵抗膜式タッチパネル表示部212の短辺方向または長辺方向のいずれか一方に平行な方向成分における2点間の距離が算出される。これにより、タッチした2点が垂直方向にずれていても、その水平方向成分のみが2点間水平距離として算出される。そしてステップS216に進み、ステップS214で算出された値をタッチ開始時点の2点間水平距離として記憶するとともに、その時刻を記憶する。
次いでステップS218では所定時間(例えば1秒)の経過がチェックされ、未経過ならばステップS220に進んで、指のスライドの結果として2点間の距離に変化が生じたかどうかチェックする。そして変化が検知されるとステップS222に移行し、変化後の2点間水平距離およびその時刻を記憶してステップS224に移行する。ステップS224では2点タッチが解除されたかどうかチェックし、解除がなければステップS218に戻る。なお、ステップS220で2点間水平距離に変化がない場合もステップS218に戻る。以下、所定時間が経過するまでは2点タッチが解除されない限りステップS218からステップS224を繰り返し、2点間の水平距離に変化がある毎にステップS222でその距離および時刻を更新記憶する。
一方、ステップS224で2点タッチの解除が検知されたときはステップS226に進み、ステップS222での記憶更新結果の最新情報に基づいてタッチ解除時点の2点間水泳距離および時刻を確定する。そしてステップS228でタッチ開始時点およびタッチ終了時点の2点間水平距離の比較から2点間水平距離が増加しているかどうかチェックする。増加が確認されるとステップS230の拡大ズーム処理を行ってステップS232に移行し、2点間水平距離関連の全記憶を消去してフローを終了する。拡大ズーム処理の詳細は後述する。一方、ステップS228で2点間水平距離の増加が確認されない場合は2短観水平距離が減少したことを意味するからステップS234に進み、縮小ズーム処理を行ってステップS232に移行する。縮小ズーム処理の詳細についても後述する。なお、ステップS218において2点間水平距離に変化がないまま又は変化があっても2点タッチが解除されないまま所定時間が経過したことが確認された場合は直接ステップS232に移行し、ズーム操作を行わないまま記憶を消去してフローを終了する。
図26は、図25のステップS230における拡大ズーム処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まず、ステップS242においてタッチ開始時点2点水平距離を抵抗膜式タッチパネル表示部212の左右の辺の間の水平距離で割り、拡大倍率を求める。ここでタッチ開始時点2点水平距離は、図25のステップS216で記憶されたものであり、図21(A)における拡大希望範囲478の左右の辺の間の水平距離に該当する。
次いで、ステップS244では、デジタルカメラ402が現在電子ズーム領域にあるかどうかチェックする。ここで、電子ズーム領域にあるということは、光学ズームによってテレ端(最望遠側ズーム端)まで光学像をズームアップした上でさらに画像処理によりで画像を拡大した状態であることを意味する。電子ズーム領域でなければ、光学ズームによるテレ側へのズームアップが可能なのでステップS246に進み、ステップS242で算出した拡大倍率に到達しているかどうかをチェックする。ズームアップ開始当初は当然拡大倍率が未達なのでステップS248に進み、所定の速度(メカ上可能な最高速)でズーム機構470を駆動して所定量(可能な最小単位)のズームアップを行う。次いでステップS250で光学ズームがテレ端に達したかどうかチェックし、テレ端でなければステップS246に戻って拡大倍率に到達するか光学ズームがテレ端に達するまでステップS246からステップS250を繰り返す。
そして、ステップS246で拡大倍率への到達が確認されると、所望のズームアップが達成できたことになるので直ちにフローを終了する。一方、ステップS250で光学ズームがテレ端に達したことが確認されると光学ズームだけでは拡大倍率が達成できないのでステップS252に移行する。ステップS252では、ズームアップの減速補正分を差引いた拡大倍率が達成されているかどうかチェックする。ここで、減速補正分とは光学ズームと電子ズームの間の違和感をなくすためのものであり、電子ズームの終了近辺でズーム速度を減速させ、光学ズームによるメカ駆動停止を模倣するものである。減速補正分とは電子ズームのうちこの減速補正のための倍率変化分を意味する。
ステップS252でズームアップの減速補正分を差引いた拡大倍率の達成が確認されない場合はステップS254に進み、光学ズームの最高速度を模した所定の拡大速度および拡大量にてズームズームアップを行う。そしてこの場合の拡大は画像中心を基準として同心的に行われる。次いでステップS256で、電子ズームがズームアップの減速補正分を差引いて拡大限界(テレ端)に達したかどうかチェックし、テレ端でなければステップS252に戻って電子ズームが減速補正分を差し引いた上で拡大倍率に到達するかテレ端に達するまでステップS252からステップS256を繰り返す。そして、ステップS252で減速補正分を差引いた拡大倍率への到達が確認されると、ステップS258に進み、拡大電子ズーム減速停止処理により残余の拡大処理を行って拡大倍率を達成し、フローを終了する。一方ステップS256で、減速補正分を差引いた上で電子ズームがテレ端に達したことが確認された場合も、ステップS258に進み、拡大電子ズーム減速停止処理により残余の拡大処理を行って拡大倍率を達成し、フローを終了する。
また、ステップS244で現在電子ズーム領域であることが検知されたときはステップS260に進み、電子ズームが既にテレ端にあるかどうかのチェックが行われる。そしてテレ端でなければステップS252に進み、以下、上記において光学ズームを経由してステップS252に至ったと同様の処理を実行する。一方、ステップS260で電子ズームがテレ端に達していることが確認された場合は直ちにフローを終了する。
図27は、図25のステップS234における縮小ズーム処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まず、ステップS262において2点間水平距離の変化量が算出されるとともにステップS264において2点間水平距離の変化速度が算出される。これらは、図25のステップS216およびステップS222における記憶値に基づくものである。そしてステップS266において、これら2点間水平距離の変化量と変化速度の積に基づいて縮小倍率が求められる。
次いで、ステップS268では、デジタルカメラ402が現在電子ズーム領域にあるかどうかチェックする。現在電子ズーム領域であることが検知されたときはステップS270に進み、ステップS266で算出された縮小倍率が電子ズームで達成可能なものであるかどうかチェックされる。これは、縮小倍率が大きすぎて撮像されている画像情報では足りず、光学ズームによってもっと広角の画像情報を得なければ縮小倍率が達成できないような状態にないかどうかのチェックを意味する。
ステップS270で電子ズームだけでは達成可能な縮小倍率でないことが確認されるとステップS272に進み、光学ズームの最高速度を模した所定の縮小速度および縮小量にてズームダウンの画像処理を行う。この場合の縮小処理についても画像中心を基準として同心的な縮小処理が行われる。そしてステップS274に進み、電子ズームが撮像情報の限界であるワイド端にあるかどうかのチェックが行われる。そしてワイド端でなければステップS272に戻り、電子ズームがワイド端に達するまでステップS272およびステップS274を繰り返し、電子ズームを実行する。そして電子ズームがワイド端に達すると直ちにステップS276に移行する。このように、ステップS270で電子ズームだけでは達成可能な縮小倍率でないことが予め確認されている場合は、電子ズーム減速処理をおこなわず直ちにステップS276以下の光学ズームによるズームダウンに移行する。
ステップS276では、ステップS266で算出した縮小倍率に到達しているかどうかをチェックする。ステップS274からの移行当初では当然縮小倍率が未達なのでステップS278に進み、ズームアップの場合と同様にして、所定の速度(メカ上可能な最高速)でズーム機構470を駆動して所定量(可能な最小単位)のズームダウンを行う。次いでステップS280で光学ズームがワイド端に達したかどうかチェックし、ワイド端でなければステップS276に戻って縮小倍率に到達するか光学ズームがワイド端に達するまでステップS276からステップS280を繰り返す。
そして、ステップS276で拡大倍率への到達が確認されると、所望のズームダウンが達成できたことになるので直ちにフローを終了する。一方、ステップS280で光学ズームがワイド端に達したことが確認された場合もこれ以上のズームダウンは不可能なのでフロー祖終了する。なお、ステップS268で現在電子ズーム領域でないことが確認された場合は直ちにステップS276に移行し、以下ステップS274の電子ズーム経由の場合に説明したと同様の光学ズームによるズームダウンを実行する。
一方、ステップS266で算出された縮小倍率が電子ズームで達成可能なものであることがステップS270で確認されたときはステップS282に移行し、ステップS272と同様にして、光学ズームの最高速度を模した所定の縮小速度および縮小量にてズームダウンの画像処理を行う。この場合の縮小処理も画像中心を基準とした同心的な縮小処理である。そしてステップS284では、ズームダウンの減速補正分を差引いた縮小倍率が達成されているかどうかチェックする。ここで、の減速補正分はズームアップの場合と同様にして光学ズームと電子ズームの間の違和感をなくすためのものであり、電子ズームの終了近辺でズーム速度を減速させ、ステップS276やステップS280からフローを終了する場合における光学ズームによるメカ駆動停止を模倣するものである。
ステップS282でズームダウンの減速補正分を差引いた縮小倍率の達成が確認されない場合はステップS282に戻り、以下、電子ズームが減速補正分を差し引いた上で縮小倍率に到達するまでステップS282とステップS284を繰り返す。そして、ステップS284で減速補正分を差引いた縮小倍率への到達が確認されると、ステップS286に進み、縮小電子ズーム減速停止処理により残余の縮小処理を行って縮小拡大倍率を達成し、フローを終了する。このように、縮小の場合は電子ズームだけで縮小倍率が達成できる場合は光学ズームを模した減速停止処理を行うとともに、光学ズームに縮小処理を引き継ぐ場合は、上記のように減速停止処理を行わずに光学ズームに移行する。
次に本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例5について説明する。実施例5は
デジタルカメラに関するもので、静止画撮影に加え動画撮影も可能なものとして構成されている。その基本構成は実施例4と同様なので図20を援用する。また、ズーミング操作についても図21や図22のようデジタルカメラを構えた両手の親指の離間および接近によってズームアップおよびダウンを行う。但し、動画撮影の場合は撮影前ではなく撮影中のズーミング操作となるとともに、ズーミングの到達点だけでなくズーム速度も含めたズーム途中経過の操作も重要となる。図28はこのような動画撮影モードを中心として図20の構成を援用した場合の制御部404の機能を説明するフローチャートである。
実施例5のデジタルカメラ404についても、電源オン操作が行われると図28のフローがスタートし、ステップS292でデジタルカメラの立上処理が行わるとともに、ステップS294で初期状態として静止画の撮影モードを設定してステップS294に移行する。ステップS294では動画撮影モードの手動操作が行われたかどうかチェックし、操作が検知されるとステップS298に移行する。
ステップS298では、動画撮影モードが設定されてから所定時間以内に1点タッチが検知されるかどうかチェックする。この所定時間は例えば10秒程度の比較的長い時間に設定されるが、ステップS298でこの時間の経過が検知されると動画撮影モードを一旦終了してステップS296に戻ることになる。そして、ステップS296で再度動画撮影モードの設定が確認されるとステップS298に移行し、1点タッチの検知を待つ。そしてステップS298で所定時間内の1点タッチ状態が検知されるとステップ300に移行し、タッチが検知された位置における被写体情報を記憶する。つまり、動画撮影モードにおける1点タッチの意義は主要被写体追尾情報の記憶のためであって、抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示されている被写体における1点タッチ部分の色、パターン、特徴点の配置などが主要被写体特定情報としてステップS300で記憶されることになる。
次いで、ステップS302では、ステップS300で記憶された情報に基づき動画撮影中の主要被写体に対する追尾フォーカスおよび追尾露出調整を準備する処理を行ってステップS304に移行する。ステップS302で準備された追尾フォーカスおよび追尾露出調整の実行は以後、録画の録画開始から停止まで継続されることになる。ステップS304では、ステップS298で1点タッチが検知されてから所定時間が経過したかどうかチェックする。この所定時間は例えば2秒程度であり、1点目タッチにより追尾対象の主要被写体を決定してから2点目タッチ検知による動画撮影開始を待つための時間として設定される。後述のように、この所定時間内に2点目タッチが検知されない場合は1点目タッチに基づく追尾情報の記憶がキャンセルされる。
ステップS304で所定時間経過が検知されないときはステップS306に進んで1点タッチが解除されたかどうかチェックする。1点タッチ解除が検知されない場合は、ステップS308に進み、1点目タッチを継続して2点目をタッチした結果として2点同時タッチ状態が生じたかどうかチェックする。そして、2点同時タッチ状態が検知されるとステップS310に進んで録画を開始する。これによって画像処理部256によって動画画像圧縮を行うとともに圧縮画像を画像記憶部258に記憶する処理が開始し、録画停止指示までこれが継続される。一方、ステップS308で2点同時タッチ状態が検知されない場合はステップS304に戻り、以下、所定時間が経過するか1点タッチが解除されるかしない限りステップS304からステップS308を繰り返して2点目タッチを待つ。
ステップS310で録画が開始されると、これと並行してステップS312では所定時間内の2点同時タッチおよびスライドがあったかどうかチェックする。ここでの所定時間は図24のステップS202におけるものと同様ものもので、両手親指によるズーミングのための意図的な2点タッチ操作を検知するためのものである。そしてこれが検知されるとステップS314の動画撮影ズーム処理が行われる。その詳細は後述する。ステップS312の動画撮影ズーム処理が完了するとステップS316で1点のダブルタッチが行われたどうかが検知される。これは2点同時タッチ状態が生じないようにして所定間隔で連続してタッチが行われたことの検知であって、ダブルタッチの位置はどこでもよくまた同じ場所でのタッチでなくてもよい。そしてダブルタッチが検知されるとステップS318に進み録画を停止してステップS320に移行する。また、ステップS316で1点ダブルタッチが検知されないときはステップS312に戻り、ズーミング操作を可能にしながら動画撮影を継続する。
一方、ステップS304で所定時間の経過が検知されたとき、またはステップS306で1点タッチ解除が検知されたときはステップS422に進み、ステップS302における追尾準備処理をキャンセルしてステップS320に移行する。また、ステップS296で動画撮影モードの設定が検知されなかったときは直ちにステップS324の静止画撮影モードおよび再生モード処理に移行する。このステップS324は図24における実施例4のステップS146からステップS148、ステップS202からステップS208、ステップS158からステップS166、およびステップS170からステップS178と同じ処理である。
また、図28のステップS320は図24のステップS168と同じものであって、デジタルカメラ202の電源オフ操作が行われたかどうかチェックする。そして、電源オフ操作が検知されたときはフローを終了する。一方、ステップS320で電源オフ操作の検知がない場合は静止画撮影モードに復帰してステップS296に戻る。以下、ステップS320で電源オフ操作が検知されない限りステップS296からステップS320を繰り返し、静止画撮影モードの動作を基本に、動画撮影モードが設定された場合における撮影開始と停止およびズーミングの操作に対応するとともに、再生モードへの移行操作および静止画撮影モードへの復帰操作に対応する。
図29は、図28のステップS314における動画撮影ズーム処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、まず、ステップS322において2点間の水平距離が所定量増加したかどうかのチェックが行われる。この所定量は検知および制御可能な最小単位である。2点間水平距離の所定量増加が検知されるとステップS334に移行し、光学ズームがテレ端にあるかどうかがチェックされる。そしてテレ端でなければステップS336に移行し、光学ズームによってステップS332の検知に対応した所定量だけズームアップを行ってステップS338に移行する。一方、ステップS332で2点間の水平距離所定量増加が検知されない場合、またはステップS334で光学ズームがテレ端にあることが検知された場合は直接ステップS338に移行する。
ステップS338では、2点間の水平距離が所定量減少したかどうかのチェックが行われる。この所定量も検知および制御可能な最小単位である。2点間水平距離の所定量減少が検知されるとステップS340に移行し、光学ズームがワイド端にあるかどうかがチェックされる。そしてワイド端でなければステップS342に移行し、光学ズームによってステップS338の検知に対応した所定量だけズームダウンを行ってステップS344に移行する。一方、ステップS338で2点間の水平距離所定量減少が検知されない場合、またはステップS340で光学ズームがワイド端にあることが検知された場合は直接ステップS344に移行する。
ステップS344では、2同時タッチ状態が解除されたかどうかのチェックが行われる。そして2点同時タッチ解除が検知されるとフローを終了する。一方、ステップS344で2点同時タッチ解除が検知されないときはステップS346に進み、所定時間2点間の距離が無変化である状態が続くかどうかチェックする。そして無変化状態が検知されるとフローを終了する。一方、ステップS346で無変化の検知がない場合はズーム操作が継続されているのでステップS332に戻り、以下、2点同時タッチの解除または所定時間以上の2点間距離無変化が検知されない限りステップS332からステップS346を繰り返し、動画撮影中のズーム操作に対応する。フローから理解されるとおり、ズーム操作はアップダウンが任意に可能である。またズーム速度は2点間水平距離を決める両手親指の動きにより任意に変えることができる。
図30は、図14に示す実施例2のデジタルカメラ、または図20に示す実施例4のデジタルカメラの再生モードにおいて抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される再生画像を示す画面図である。図30(A)は、再生画像502が全画面表示されている場合においてこれを編集のため矩形に切取り記憶する操作を示しており、右手504の親指のタッチ位置506と人差指のタッチ位置508の2点を結ぶ線を対角線とする矩形領域510を認識する。この認識は、誤操作を避けるため、2点タッチ位置が所定時間(例えば2秒)変化しないことを確認して行われる。つまり、操作側から見れば、矩形の対角となる2点を二つの指で所定時間意識的にタッチし続けることによって切取り部分の指定およびその記憶を実行させることができる。そして2点が認識されると図30(B)のように矩形領域510が切り取られ、その画像データが別途記憶される。
図31は、図30と同様にして、図14に示す実施例2のデジタルカメラ、または図20に示す実施例4のデジタルカメラの再生モードにおいて抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される再生画像を示す画面図である。図31(A)の場合は、全画面表示されている再生画像502の一部を編集のため円形に切取り記憶する操作を示しており、右手504の親指および人差指の当初のタッチ位置512および514がまず記憶される。そして当初のタッチから所定時間(例えば2秒)以内で右手512をスライド回転させた結果の矢印516および518に示す親指と人差指の移動状況が検知される。図31(A)の例では、右手504を時計回りに回転させているが、この結果、矢印520および522で示すように2点間の垂直間隔が減少し、一方、矢印524および526で示すように2点間の水平距離が拡大する。このようして、2点の水平間隔(X軸方向成分)と垂直間隔(Y軸方向成分)の変化方向が逆であることが検知されると、タッチしている親指および人差指がそれぞれ弧を描いて回転させられたものと判定し、当初記憶した親指のタッチ位置512および人差指のタッチ位置を直径とする円領域528を認識する。そして図31(B)のように、認識された円領域528が切り取られ、その画像データが別途記憶される。
図32は、実施例2のデジタルカメラの動作に関する図16のフローチャートまたは実施例4のデジタルカメラの動作に関する図24のフローチャートにおけるそれぞれステップS174の再生モードの詳細をステップS176とともに示すフローチャートである。フローがスタートすると、まずステップS352で最新撮影画像が抵抗膜式タッチパネル表示部212に全画面表示される。そしてステップS354でスライドショー操作が行われたかどうかチェックする。操作がなければステップS356で画像送り操作の有無をチェックする。操作があればステップS358に進んで操作に従って全画面表示画像を前後の画像に変更してステップS360に移行する。また、操作がなければステップS356かラ直接ステップS360に移行する。
ステップS360ではサムネイル表示を行うための操作があったかどうかチェックする。そして操作があればステップS362のサムネイル表示および選択処理に移行する。この処理はまず複数画像のサムネイルを一覧表示するとともに必要に応じその送り操作に応答し、さらにサムネイルのうちの一つを選択するものである。そしてサムネイルの選択が行われるとステップS464に移行して選択画像を全画面表示してステップS366に移行する。一方、ステップS360でサムネイル操作が検知されない場合は直接ステップS366に移行する。上記のようにして、ステップS366に至った時は、ステップS352による最新撮影画像の全画面表示、またはステップS358で画像送りにより変更された画像の全画面表示、またはステップS364においてサムネイル選択の結果表示された画像の全画面表示のいずれかが行われている状態となる。
ステップS366はこのような画像の全画面表示状態において1点タッチが検知されるかどうかチェックする。そして1点タッチ状態が検知されるとステップ368に移行し、1点タッチ検知の後所定時間内に2点目がタッチされて2点同時タッチ状態が検知されたかどうかチェックする。この所定時間は極めて短時間(例えば0.5秒)に設定されており、操作者としては2点同時タッチを意図したものに多少のずれがあってもこの所定時間内に収まり、それが2点同時タッチとして認識されるよう設計されている。つまり、操作者が意図して1点目タッチの後に2点目をタッチしたものと2点同時タッチを意図したものとを識別するのがステップS368設置の目的である。そしてステップS368で実質的な2点同時タッチが検知されるとステップS370に進み、2点のタッチ位置を記憶する。
次いで、ステップS372において記憶された2点位置を基準にその後の所定時間(例えば2秒)以上にわたってタッチされている2点の位置が不変に保たれているかどうかチェックする。そして2点位置に変化があればステップS374に進み、2点タッチ位置の変化の結果、2点の水平間隔(X軸方向成分)と垂直間隔(Y軸方向成分)の変化方向が逆であるかどうかチェックする。このチェックの結果2点間隔XY軸成分変化方向が逆であることが検知されると、ステップS376に進んで回転操作がなされたものと判断し、ステップS378に移行する。ステップS378では、ステップS370で記憶されている当の2点のタッチ位置を直径とする円領域を認識し、認識した円領域の画像を切り取って記憶するとともにステップS176に移行する。これは、図31で示した機能に該当する。
一方、ステップS372において記憶された2点位置を基準にその後の所定時間以上にわたってタッチされている2点の位置が不変に保たれていることが確認されると、ステップS380に移行し、ステップS370で記憶した2点を結ぶ線を対角線とする矩形領域を認識する。そして認識した矩形領域の画像を切り取って記憶するとともにステップS176に移行する。これは、図30で示した機能に該当する。
ステップS176は、図32の機能を理解しやすくするために図16のフローチャートまたは図24のフローチャートのステップを記載したものであって、撮影モード設定操作が行われたかどうかをチェックするものである。そしてこの設定が検知されない場合、フローは図32の頭にあるステップS352に戻る。また、ステップS354においてスライドショー操作が行われたことが検知されるとステップS382のスライドショー処理に移行し、スライドショーを実行する。そしてスライドショー処理の中でスライドショーが完了させられるとステップS452に戻る。以下、ステップS167で再生モード終了操作が検知されない限りステップS352からステップS382およびステップS176を繰り返し、再生モードにおける種々の操作に対応する。そしてステップS176において撮影モード設定操作が検知されると図16または図24におけるステップS168に移行する。
図33は、実施例5に関する図28のフローチャートのステップS314における動画撮影ズーム処理の詳細の他の例を示すフローチャートである。その大部分は図29のフローチャートに示した例と共通なので、共通するステップには共通のステップ番号を付し、必要のない限り、説明を省略する。図29と図33の違いについて述べると、図29においては、ステップS336またはステップS342において所定量の光学ズームアップまたはダウンの駆動をそれぞれ行っているが、その速度は所定速度である。これに対し、図33では、光学ズームアップおよびダウンの駆動を行う際、両手親指タッチ位置間の水平距離の増加速度または減少速度に応じてズーム速度を変化させる構成をとっている。
具体的に述べると、図33においては、ステップS334で光学ズームがテレ端であることが検知されない場合、ステップS384に進み、ステップS332で判断された2点間水平距離の所定量増加の速度を検知する。そして検知された増加速度に基づきステップS386においてズーム速度を決定する。次いでステップS288では、決定されたズーム速度において光学ズームの所定量アップ駆動を行う。同様にして、ステップS340で光学ズームがワイド端であることが検知されない場合、ステップS390に進み、ステップS338で判断された2点間水平距離の所定量減少の速度を検知する。そして検知された減少速度に基づきステップS392においてズーム速度を決定する。次いでステップS294では、決定されたズーム速度において光学ズームの所定量ダウン駆動を行う。このようにして、図33のフローチャートに示した例では、指の移動速度に応答したズーミングが行われる。
図34は、本発明の実施の形態に係るタッチパネル入力装置の実施例6を示す外観斜視図である。実施例6はデジタルカメラ602を構成しており、その内部構成は、図20の実施例4と共通である。しかしながら、実施例4では、図21および図22に示すように、デジタルカメラ402を例えば両手で目前に構えたとき前方方向にある被写体像が抵抗膜式タッチパネル表示部212に表示される構成となっているのに対し、図34の実施例6では、デジタルカメラ602を例えば左手603で腰の位置に構えて見下ろした時、ズームレンズ光学系652の光軸653が被写体の方を向き、光軸652と平行に設けられた抵抗膜式タッチパネル表示部612に被写体像が上向きに表示される構成となっている。つまり、実施例4ではいわゆるアイレベルファインダのカメラとして構成されるのに対し、実施例6はウエストレベルファインダを有するカメラとして構成される。
デジタルカメラ602の操作は、手振れを防ぐため光軸653と平行な方向の指の動き、つまり抵抗膜式タッチパネル表示部612上をスライドする指の動きによって行われる。例として、ズーム操作は矢印605に示すように例えば人差指の1点タッチによるスライドによって行われる。このようなズーム操作は、例えば右手605の人差指を矢印607に沿って前方に押し出すことによりズームアップを行い、人差指を矢印605に沿って後方に引くことによってズームダウンを行うような光軸と平行な方向のスライドによれば直感的に分かりやすい操作となる。そして、例えば人差指の静止タッチを維持して親指を矢印609のように任意の方向にスライドさせることによってシャッタレリーズを行う。特にこのような光軸653と平行な平面上の指のスライドによるシャッタレリーズは手振れ防止の効果が大きい。また、ズームレンズ光学系652の光軸653が抵抗膜式タッチパネル表示部212と平行となる配置は比較的長いズームレンズ光学系652を薄型のデジタルカメラ602に配置する上でも有利である。
また、デジタルカメラ602は図20に示すような加速度センサ472によって重力加速度の方向を検知しているので、ウエストレベルファインダ特有の縦長画面撮影と横長画面撮影の検知を行う。まず、光軸653が上方45度以上または下方45度以上を向いているときは、いずれも抵抗膜式タッチパネル表示部612の上下方向と光軸653の方向は同じものとして横長画面撮影と判断する。また上方撮影か下方撮影であれば天地情報を逆転させる。これに対し、光軸653が水平に対し上下45度以内であるときは場合を二つにわけて判断がなされる。すなわち光軸653が水平に対し上下45度以内で且つ抵抗膜式タッチパネル表示部612もが水平に対し上下45度以内の場合(つまり図34に図示のような通常のウエストレベル撮影状態)では、横長画面撮影と判断する。一方、光軸653が水平に対し上下45以内で且つ抵抗膜式タッチパネル表示部612が水平に対し上下45度以上傾いている場合は、抵抗膜式タッチパネル表示部212の左方または右方の被写体を狙った縦長画面撮影と判断する。あわせて左方撮影か右方撮影かで天地情報を逆転さあせる。これらの検知結果は画像情報と併せて記録される。
図35は、上記実施例6に図20の構成を援用した場合の制御部404の機能を説明するフローチャートである。実施例6のデジタルカメラ604についても、電源オン操作が行われると図35のフローがスタートし、ステップS402でデジタルカメラの立上処理が行わるとともに、ステップS404で初期状態として静止画の撮影モードを設定してステップS406に移行する。ステップS406では再生モード設定の手動操作が行われたかどうかチェックし操作がなければステップS408に進む。
ステップS408では、1点タッチが検知されるかどうかチェックする。そして1点タッチ状態が検知されるとステップ410に移行し、タッチ位置が所定時間不変かどうかチェックする。所定時間内にタッチ位置に変化があればステップS412に進み、タッチ位置の変化がズームレンズの光軸方向かどうかチェックする。そして光軸方向のタッチ位置変化が検地されるとステップS414のズーム処理に移行する。このズーム処理は光軸方向の1点タッチ位置の変化が被写体側に近づく方向であったときにはその変化速度および変化量に応答してズームアップを行い、逆に光軸方向の1点タッチ位置の変化が被写体側から遠ざかる方向であったときにはその変化速度および変化量に応答してズームダウンを行うものである。そしてタッチが解除されるか所定時間タッチ位置の変化がないとズーム処理を終了しステップS406に戻る。
なお、ステップS408で一点タッチが検知されないときは、ステップS406に戻る。さらに、ステップS412でタッチ位置の変化が高軸方向でなかったときもタッチが意図のないご操作であったと看做してステップS406に戻る。以下、再生モード設定操作が検知されるか、または一点タッチが検知されてその位置が所定時間不変であることが検知されるか、または一点タッチ位置に光軸方向の変化が生じるかしない限り、ステップS406からステップ414を繰り返す。
一方、ステップS410において一点タッチ位置が所定時間不変であることが検知されるとステップS416に移行し、タッチが検知された位置を記憶してステップS418のフォーカス/露出調節処理に進む。この処理の内容は、基本的には図16のステップS154およびステップS156と同じものである。そしてステップS418のフォーカス/露出調節処理が終了すると、ステップS420に進み、ステップS408で1点タッチが検知されてから所定時間(例えば2秒)が経過したかどうかチェックする。
ステップS420で所定時間経過が検知されないときはステップS422に進んで1点タッチが解除されたかどうかチェックする。1点タッチ解除が検知されない場合は、ステップS424に進み、1点目タッチを継続して2点目をタッチした結果として2点同時タッチ状態が生じたかどうかチェックする。そして、ステップS424で2点同時タッチ状態が検知されるとステップS426に進み、2点目のタッチ位置が所定時間(例えばシャッタチャンスを待つための3秒)内に変化したかどうかチェックする。そして2点目のタッチ位置変化が検知されるとステップS428に進んでシャッタレリーズが行われ、ステップS430の撮像処理を経てステップS432に移行する。ステップS430の撮像処理の詳細は後述する。
一方、ステップS424で2点同時タッチ状態が検知されない場合はステップS420に戻り、以下、所定時間が経過するか1点タッチが解除されるかしない限りステップS420からステップS424を繰り返して2点目タッチを待つ。なお、ステップS426で所定時間内に2点目タッチ位置の変化がないときはシャッタレリーズの実行を見合わせたものとしてステップS432に移行する。このように、ステップS426により光軸に平行な抵抗膜式タッチパネル表示部612上をスライドする指の動きでシャッタレリーズを実行することにより手振れを防ぐとともに、シャッタレリーズの意図なく2点目タッチを行った瞬間に誤ってシャッタレリーズが実行されるのを防止する。ステップS432では、デジタルカメラ202の電源オフ操作が行われたかどうかチェックする。そして、電源オフ操作が検知されたときはフローを終了する。
一方、ステップ420で所定時間経過が検知されたとき、またはステップS422で1点タッチ解除が検知されたときはステップS434に移行し、1点タッチの記憶をキャンセルし、ステップS432に移行する。これによって、後述のように新たな1点目タッチ位置の決定に入ることを可能とする。
一方、ステップS406において再生モード設定操作が検知されたときはステップS436に移行して再生モード処理が行われる。その内容は、図32における実施例2または実施例4におけるものと同様である。また、実施例2または実施例4と同様にして再生モード処理では定期的にステップS438に移行して撮影モード設定操作の有無をチェックし、操作がなければステップS436に戻って再生モードを継続する。ステップS438で撮影モード設定操作が検知されるとステップS440で撮影モードを設定してステップS432に進む。前述のように、ステップS432で電源オフ操作が検知されるとフローは終了となるが、電源オフ操作の検知がない場合はステップS406に戻る。以下、ステップS432で電源オフ操作が検知されない限りステップS406からステップS432を繰り返し、基本的には撮影モードの種々の操作に対応するとともに適宜再生モードへの移行操作および撮影モードへの復帰操作に対応する。この点は、実施例2または実施例4と同様である。
図36は、図35のステップS340における撮像処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートするとステップS442で補間処理や輪郭強調処理等を含むカラー画像処理が行われる。次いでステップS444において処理後のカラー画像を所定時間抵抗膜式タッチパネル表示部212に静止画として表示する処理をして、ステップS446の画像圧縮処理に進む。そして画像圧縮が完了するとその記憶に先立ってステップS448に進み、加速度センサ472によって撮影時の重力加速度を検知する。
そして、ステップS450で、撮影時の光軸653の角度が上方に向けて45度以上傾いているかどうかチェックする。該当すれば、光学レンズ652配置側が画面上側となる上方撮影であると判断し、ステップS452で横長画面撮影情報を設定する。一方、ステップS450に該当しなければ、ステップS454に移行し、撮影時の光軸653の角度が下方に向けて45度以上傾いているかどうかチェックする。これに該当する場合は、光学レンズ652配置側が画面下側となる下方撮影であると判断し、まずステップS456で天地情報を逆転させた後ステップS452に移行して横長画面撮影情報を設定する。
これに対し、ステップS450およびステップS454のいずれにも該当しない場合は、光軸653が水平方向に近い通常の撮影と考えられるのでステップS458に移行し、今度は抵抗膜式タッチパネル表示部612が45度以上傾いているかどうかチェックする。そして該当しなければ抵抗膜式タッチパネル表示部612も水平に近く、図34に図示のような光学レンズ652配置側が画面上側となる通常のウエストレベル撮影状態と考えられるのでステップS452に移行して、横長画面撮影情報を設定する。
一方、ステップS458で抵抗膜式タッチパネル表示部612が45度以上傾いていることが検知された場合は、デジタルカメラ602を立てて抵抗膜式タッチパネル表示部212の左方または右方の被写体を狙った縦長画面撮影であると判断し、ステップS460で光軸方向が右方を向いているかどうか検知する。これは図34からわかるように光軸653が左方を向くようにしてデジタルカメラ604を立てたときは、光軸653の右側(図34の上方)が画面上側となる縦長画面撮影となるのに対し、光軸653が右方を向くようにしてデジタルカメラ604を立てたときは、光軸653の左側(図34の下方)が画面上側となる縦長画面撮影となるからである。以上の関係に基づき、ステップS460で光軸方向が右方を向いていることが検知された時はステップS462で天地情報を逆転させてステップS464に移行し、縦長画面撮影情報を設定する。一方、ステップS460で光軸方向が左方を向いていることが検知された時は直接ステップS464に移行し、縦長画面撮影情報を設定する。
以上のようにして縦長画面撮影か横長画面撮影かの別および天地上方逆転の有無が決定されるとステップS466に進み、決定された縦長画面撮影か横長画面撮影の情報をステップS446で得られた圧縮画像情報に付加する。さらに、ステップS468では、決定された天地情報を同様にして圧縮画像情報に付加し、ステップS470でこれら付加上方つきの圧縮画像を記憶する処理を行ってフローを終了する。
上記の縦長画面撮影か横長画面撮影かの別および天地上方逆転の有無の情報付加の特徴は、光軸653が抵抗膜式タッチパネル表示部212と平行に固定されている実施例6のようなデジタルカメラへの適用に限るものではなく、アングルファインダのようにファインダ表示面と光軸との関係が可変のデジタルカメラにも適用可能である。つまり、光軸がファインダ表示面に直角に固定されているカメラの場合には光軸回りに90度カメラを回転させることにより縦長画面撮影または横長画面撮影を行うことができるが、光軸がファインダ表示面に直角でない場合には種々の撮影状況が生じるので、縦長画面撮影か横長画面撮影かの別および天地上方逆転の有無の情報付加の特徴はきわめて有益である。さらに、光軸がファインダ表示面に直角に固定されているカメラの場合であっても、横長画面撮影の場合にはことさらにカメラを天地逆に構えることはないが、縦長画面撮影を行う場合はカメラを右に90度回転させる場合と左に90度回転させる場合が生じるので、縦長画面撮影か横長画面撮影かの別および天地上方逆転の有無の情報付加の特徴は有益である。