JP2011228572A - テラヘルツ電磁波発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属板33の上に第1基板31と第2基板32とが横方向に配列されて設けられている。第1基板の表面に光伝導層30が形成されており、第2基板の表面に第1エレメント34a、第2エレメント34bからなるダイポールアンテナ34が形成されている。ダイポールアンテナ34の給電点から引き出された第1ライン35aおよび第2ライン35bは、第2基板32の表面から第1基板31の光伝導層30上に形成されており、第1ライン35aの中途が切断されてバイアス電源Ecが印加されている。第1ライン35aの端部と第2ライン35bの端部とが対向する対向部35cにパルス状の光を照射することにより、ダイポールアンテナ34からテラヘルツ電磁波が放射される。
【選択図】 図15
Description
図17に示す光伝導アンテナ100は、GaAs(Gallium Arsenide)基板とされる第1基板111の一面に光伝導膜110とされる低温成長GaAs膜を形成し、光伝導膜110の上に平行伝送線路からなる導電性の第1ライン112aおよび第2ライン112bを蒸着等により形成している。GaAsは、Ga(ガリウム)とAs(砒素)の化合物からなる化合物半導体である。第1ライン112aおよび第2ライン112bのほぼ中央には、対向部112cで対向する導電性の第1エレメント113aおよび第2エレメント113bが形成されている。対向部112cの間隔は、例えば数μm程度とされる。このような構成の光伝導アンテナ100において、第1ライン112aと第2ライン112bとの間に直流のバイアス電圧Ecを印加する。この状態では、第1ライン112aと第2ライン112bとの間は対向部112cにより絶縁されているため電流は流れない。そこで、光源114から10-15秒程度のフェムト秒パルスレーザ光を対向部112cに照射する。パルスレーザ光を対向部112cに照射すると、対向部112cにおける光伝導膜110中に光導電効果により自由キャリアが生じ、この自由キャリアがバイアス電圧Ecにより加速されることにより、第1エレメント113aおよび第2エレメント113bを介して第1ライン112aと第2ライン112b間にサブピコ秒(10-12秒)程度のパルス状の電流が流れる。このパルス状の電流によって第1エレメント113aおよび第2エレメント113bが励振されて、テラヘルツ電磁波が第1エレメント113aおよび第2エレメント113bから放射される。なお、第1エレメント113aおよび第2エレメント113bはダイポールアンテナ113として作用する。
そこで、本発明は、光伝導膜を有していてもアンテナ性能を向上することができるテラヘルツ電磁波発生装置を提供することを目的としている。
これらの図に示す第1実施例の光伝導アンテナ1は、絶縁性あるいは半絶縁性の所定厚みの第1基板11の一面に光伝導層10が形成され、第1基板11の他面に金属層12が蒸着等により形成されている。第1基板11は、例えばGaAs(Gallium Arsenide)基板とされ、光伝導層10の材料は、例えば低温成長GaAs(比誘電率εr1は約13)とされ、金属層12の材料は金、銀、アルミニウムや銅等とされる。GaAsは、Ga(ガリウム)とAs(砒素)の化合物からなる化合物半導体である。金属層12の上面には所定厚みの絶縁性の第2基板13が貼着されて一体化されている。第2基板13の材料は、例えばフッ素樹脂(比誘電率εr2は約3)とされる。この第2基板13の上面に、第1エレメント15aおよび第2エレメント15bからなるダイポールアンテナ15が蒸着等により形成されている。第1エレメント15aと第2エレメント15bとが対向する給電点となる端部から、第1ライン16aおよび第2ライン16bがそれぞれ内部に向かってほぼ平行に引き出されて、第2基板13、金属層12、第1基板11および光伝導層10を貫通して光伝導層10の外表面上にわたり形成されている。このように、第1ライン16aおよび第2ライン16bはL字状に屈曲されて形成されている。そして、光伝導層10上に形成されている第2ライン16bには切欠部16cが形成されている。この場合、金属層12と第1ライン16aおよび第2ライン16bとが短絡しないように、金属層12にはライン16a、16bの外形寸法より大きな寸法の孔部が形成される。また、切欠部16cの間隔は、例えば数μm程度とされると共に、第1ライン16aおよび第2ライン16bとでコプレーナラインを形成することができる。第1エレメント15aおよび第2エレメント15bからなるダイポールアンテナ15が形成されている第2基板13の上面には、レンズ14が貼着されている。
図3を参照すると、光伝導アンテナ1の放射方向とされるx−z面の0°方向(z軸方向)にB点で示す約5.6dBiの高い放射利得のビームが放射されている。また、光伝導アンテナ1の下面方向には非常に小さいサイドローブしか放射されていないことが分かる。また、図4を参照すると光伝導アンテナ1の放射方向とされるy−z面の0°方向(z軸方向)にB点で示す約5.6dBiの高い放射利得のビームが放射されている。また、光伝導アンテナ1の下面方向にはわずかしか放射されていないことが分かる。このように、本発明の第1実施例の光伝導アンテナ1において、高い放射利得が得られるのは、図17に示す従来の光伝導アンテナ100のようにテラヘルツ電磁波が比誘電率が高く損失の多い光伝導膜110を透過することなく直接自由空間に放射される構成とされると共に、比誘電率εr2が約3と低く損失の少ない第2基板13を透過して金属層12で反射された反射波が、直接波にほぼ同相で合成されるからと考えられる。
本発明の第1実施例にかかる光伝導アンテナ1においては、テラヘルツ電磁波は金属層12で反射されて金属層12より下方へは放射されないため、第2基板13の上面に第1エレメント15aおよび第2エレメント15bが形成され、下面に金属層12が配置された図5,図6に示す構成を解析モデル1’の構成とすることができる。この図5,図6に示す解析モデル1’において、設計周波数fを500GHzとし、その自由空間の波長をλで表すとλは約0.6mmとなる。そして、解析モデル1’において設計した寸法を波長λを用いて表すと、第2基板13の長さL1と幅L2とは約1.41λとされ、第2基板13の高さHは約0.17λとされ、ダイポールアンテナ15の長さELの電気長は約0.5λとされ、第1エレメント15aと第2エレメント15bとが対向する給電点の間隔Dは約0.03λとされる。なお、第2基板13の比誘電率εr2は約3.0とされている。
このようにスケーリングすることにより、解析モデル1’を500GHzで共振するよう設計することができる。このことから、スケーリングをすることにより、400GHzや600GHzなどの周波数に共振するよう設計することができるようになる。
図11を参照すると、解析モデル1’の放射方向とされるy−z面の0°方向(z軸方向)にC点で示す約5.8dBiの高い放射利得のビームが放射されている。また、解析モデル1’の下面方向には非常に小さいサイドローブしか放射されていないことが分かる。また、図12を参照すると解析モデル1’の放射方向とされるx−z面の0°方向(z軸方向)にC点で示す約5.8dBiの高い放射利得のビームが放射されている。また、解析モデル1’の下面方向にはわずかしか放射されていないことが分かる。また、周波数を490GHzにした場合は、解析モデル1’におけるy−z面およびx−z面の放射特性はほぼ同様となり、0°方向(z軸方向)の放射利得として若干増加した約5.9dBiが得られ、反射損失としては約−19.3dBが得られる。さらに、周波数を510GHzとした場合は、解析モデル1’におけるy−z面およびx−z面の放射特性はほぼ同様となり、0°方向(z軸方向)の放射利得として若干低下した約5.7dBiが得られ、反射損失としては約−20.8dBが得られる。
第2基板13の高さHを0.1λから0.2λまで変化した際の入力インピーダンスの実部と虚部の変化が図13に示されている。図13を参照すると、入力インピーダンスの実部は高さHが0.1λの時に約30Ωとなり、高さHが0.125λ、0.15λと高くなるにつれて次第に上昇していく。そして、高さHが0.15λを超えると緩やかに上昇していき、高さHが0.2λとなると約68Ωになる。また、入力インピーダンスの虚部は高さHが0.1λの時に約0Ωとなり、高さHが0.125λを超えるまではほぼ0オームとなる。高さHが0.125λを超えていくと次第に虚部の絶対値が大きくなっていき、高さHが0.2λになると約−35Ωとなる。図13を参照すると、高さHを約0.13λとすることにより、50Ωの特性インピーダンスに整合することのできる入力インピーダンスが得られることが分かる。
なお、上記説明した図7ないし図13の特性は、第2基板13の誘電体損(tanδ)がないものとした時の特性である。
図14に示す第2実施例の光伝導アンテナ2は、絶縁性あるいは半絶縁性の所定厚みの第1基板21の一面に光伝導層20が形成され、第1基板21の他面に金属層22が蒸着等により形成されている。第1基板21は、例えばGaAs基板とされ、光伝導層20の材料は、例えば低温成長GaAs(比誘電率εr1は約13)とされ、金属層22の材料は金、銀、アルミニウムや銅等とされる。金属層22の上面には所定厚みの絶縁性の第2基板23が貼着されている。第2基板23の材料は、例えばフッ素樹脂(比誘電率εr2は約3)とされる。この第2基板23の上面に、第1エレメント25a1および第2エレメント25b1からなる第1ダイポールアンテナ25−1と、第1エレメント25a2および第2エレメント25b2からなる第2ダイポールアンテナ25−2と、第1エレメント25a3および第2エレメント25b3からなる第3ダイポールアンテナ25−3の3つのダイポールアンテナが蒸着等により形成されている。
図15に示す第3実施例の光伝導アンテナ3は、金属板33の上に絶縁性あるいは半絶縁性の所定厚みの第1基板31と、所定厚みの絶縁性の第2基板32とが横方向に密着するよう接着されて一体になるよう配置されている。第1基板31の表面には光伝導層30が形成されている。第1基板31は、例えばGaAs基板とされ、光伝導層30の材料は、例えば低温成長GaAs(比誘電率εr1は約13)とされ、第2基板32の材料は、例えばフッ素樹脂(比誘電率εr2は約3)とされ金属板33の材料は金、銀、アルミニウムや銅等とされる。この第2基板32の表面に、第1エレメント34aおよび第2エレメント34bからなるダイポールアンテナ34が蒸着等により形成されている。第1エレメント34aと第2エレメント34bとが対向するダイポールアンテナ34の給電点から、第1ライン35aおよび第2ライン35bがほぼ平行に第2基板32の表面に形成されている。
このような構成の第3実施例の光伝導アンテナ3において、第1ライン35aの中途に形成されたL字状に折曲された端部間に直流のバイアス電圧Ecを印加する。この状態では、第1ライン35aおよび第2ライン35bの間は対向部35cにより絶縁されて電流は流れず、第1エレメント34aおよび第2エレメント34bからなるダイポールアンテナ34からの放射はない。
第3実施例の光伝導アンテナ3は、テラヘルツ電磁波が比誘電率が高く損失の多い光伝導膜を透過することなく直接自由空間に放射される構成とされると共に、比誘電率εr2が約3と低く損失の少ない第2基板32を透過して金属板33で反射された反射波が、直接波にほぼ同相で合成されることから、高い放射利得を得ることができる。
図16に示す第4実施例の光伝導アンテナ4は、金属板43の上に絶縁性あるいは半絶縁性の所定厚みの第1基板41と、所定厚みの絶縁性の第2基板42とが横方向に密着するよう接着されて一体になるよう配置されている。第1基板41の表面には光伝導層40が形成されている。第1基板41は、例えばGaAs基板とされ、光伝導層40の材料は、例えば低温成長GaAs(比誘電率εr1は約13)とされ、第2基板42の材料は、例えばフッ素樹脂(比誘電率εr2は約3)とされ金属板43の材料は金、銀、アルミニウムや銅等とされる。この第2基板42の表面に、第1エレメント44a1および第2エレメント44b1からなる第1ダイポールアンテナ44−1と、第1エレメント44a2および第2エレメント44b2からなる第2ダイポールアンテナ44−2と、第1エレメント44a3および第2エレメント44b3からなる第3ダイポールアンテナ44−3の3つのダイポールアンテナが蒸着等により形成されている。
第1ライン45aおよび第2ライン45bは第1基板41側へ延伸されて、第1基板41の表面の光伝導層40上にも形成されている。光伝導層40上に形成されている第1ライン45aの中途は切断されてL字状に折曲されて外部へ引き出されるように形成されている。また、第1ライン45aおよび第2ライン45bの先端部は対向部45cを介して対向するように形成されている。この場合、対向部45cの間隔は、例えば数μm程度とされると共に、第1ライン45aおよび第2ライン45bは金属板43がグランドプレーンとされてマイクロストリップラインを形成することができる。また、3つのダイポールアンテナ44−1〜44−3が形成されている第2基板42の上面にレンズを設けるようにしてもよい。
第4実施例の光伝導アンテナ4は、テラヘルツ電磁波が比誘電率が高く損失の多い光伝導膜を透過することなく直接自由空間に放射される構成とされると共に、比誘電率εr2が約3と低く損失の少ない第2基板42を透過して金属板43で反射された反射波が、直接波にほぼ同相で合成されると共にアレーアンテナとされていることから、高い放射利得を得ることができる。
ここで、本発明の第1実施例の光伝導アンテナ1の製造方法の概略を説明すると、GaAsの第1基板11の一面にGaAsを低温成長させることにより光伝導層10を作成する。次いで、第1基板11の他面に金属層12を蒸着等により形成する。フッ素樹脂からなる第2基板13の上面に金属層を蒸着等により形成し、次いで、金属層をエッチングすることにより第1エレメント15aおよび第2エレメント15bからなるダイポールアンテナ15を形成する。光伝導層10の上面に金属層を蒸着等により形成して、金属層をエッチングすることにより第1ライン16aと、切欠部16cを備える第2ライン16bとを形成する。ここで、第1基板11の金属層12の上面に第2基板13の下面を貼着することにより、第1基板11上に第2基板13を一体化する。そして、ダイポールアンテナ15の給電点の位置からエッチングすることにより、第2基板13と金属層12と第1基板11と光伝導層10までスルーホールを形成する。次いで、スルーホール内を金属メッキしてスルーホールと第1ライン16aおよび第2ライン16bとに電気的に接続する。これにより、第1実施例の光伝導アンテナ1を製造することができる。
Claims (5)
- 金属板と、
該金属板上に配置され、光が照射された際に自由電子が生じる比誘電率εr1の光伝導層が表面に形成された絶縁性の第1基板と、
前記金属板上に前記第1基板の横に隣接して密着するよう配置された比誘電率εr2の絶縁性の第2基板と、
該第2基板の表面に形成された導電性のダイポール素子と、
該ダイポール素子の給電点から引き出され、前記第2基板の表面から前記第1基板における前記光伝導層上にわたって形成された第1ラインおよび第2ラインと、
前記光伝導層上に形成されている前記第1ラインと前記第2ラインの端部が所定の間隔で対向している対向部と、
該対向部にパルス状の光を照射する光源と、
前記第1ラインと前記第2ラインとの間に電源を印加するバイアス電源とを備え、
比誘電率εr1>比誘電率εr2とされていることを特徴とするテラヘルツ電磁波発生装置。 - 光が照射された際に自由電子が生じる光伝導層が一面に形成され、他面に金属層が形成された比誘電率εr1の絶縁性の第1基板と、
前記金属層上に配置された比誘電率εr2の絶縁性の第2基板と、
該第2基板の表面に形成された導電性のダイポール素子と、
該ダイポール素子の給電点から引き出され、前記第2の基板、前記金属層、前記第1の基板および前記光伝導層を貫通して、前記光伝導層上に形成された第1ラインおよび第2ラインと、
前記光伝導層上に形成されている前記第2ラインに形成された切欠部と、
該切欠部にパルス状の光を照射する光源と、
前記第1ラインの端部と、前記第2ラインの端部との間に印加されたバイアス電源とを備え、
比誘電率εr1>比誘電率εr2とされていることを特徴とするテラヘルツ電磁波発生装置。 - 前記ダイポール素子が形成されている前記第2基板の表面に、前記ダイポール素子から発生されたテラヘルツ電磁波を収束するレンズが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
- 前記第2基板の表面に複数のダイポール素子が配列されて形成され、各ダイポール素子の給電点が前記第1ラインおよび前記第2ラインに並列に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
- 前記第1基板における比誘電率εr1と前記第2基板における比誘電率εr2との比であるεr1/εr2が、約4以上とされていることを特徴とする請求項1または2記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
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