JP2011228364A - 2剤型半導体基板用洗浄剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体基板の洗浄時に混合して使用する、発泡剤成分と発泡助剤成分とを有する2剤型半導体基板用洗浄剤であって、前記発泡剤成分が炭酸塩を含有し、前記発泡助剤成分が酸性化合物を含有し、さらに、前記発泡剤成分および/または前記発泡助剤成分が界面活性剤を含有し、前記発泡剤成分と前記発泡助剤成分との混合液のpHが7.5未満となる、2剤型半導体基板用洗浄剤。
【選択図】なし
Description
そのため、ゲート絶縁膜や基板などへの影響が少なく、より安全性に優れた洗浄技術が求められており、その一つとして、例えば、炭酸ガス雰囲気下で、炭酸アンモニウムを含有し、pHが7以上8.6未満である水溶液を用いる、アッシング残渣の洗浄方法が提案されていた(特許文献1)。
半導体デバイスに対する高信頼性化の要望が高まる中、基板表面の清浄化への要望はますます厳しいものになっており、上記のようなイオン注入されたレジストを含めた不純物のより効率的な除去のための洗浄液の開発が望まれている。
即ち、本発明者らは、上記課題が下記構成により解決されることを見出した。
前記発泡剤成分が炭酸塩を含有し、
前記発泡助剤成分が酸性化合物を含有し、
さらに、前記発泡剤成分および/または前記発泡助剤成分が界面活性剤を含有し、
前記発泡剤成分と前記発泡助剤成分との混合液のpHが7.5未満となる、2剤型半導体基板用洗浄剤。
<2> 前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である、<1>に記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<3> 前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、およびグアニジン炭酸塩からなる群から選ばれる炭酸塩である、<1>または<2>に記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<5> 前記混合液中の前記炭酸塩の濃度が、0.1〜30質量%である、<1>〜<4>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<6> さらに、前記発泡剤成分および/または前記発泡助剤成分が酸化剤を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<8> 前記混合液のpHが7未満である、<1>〜<7>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<9> 前記発泡剤成分または前記発泡助剤成分中における前記界面活性剤の含有量が0.0001〜10質量%である、<1>〜<8>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<10> 前記発泡剤成分または前記発泡助剤成分中における前記酸化剤の含有量が0.01〜20質量%である、<6>〜<9>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
<11> 前記発泡剤成分のpHが7.5〜12である、<1>〜<10>のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤は、炭酸塩が含有される発泡剤成分と、酸性化合物が含有される発泡助剤成分とを有し、両者を半導体基板の洗浄時に混合して使用する洗浄剤である。なお、該発泡剤成分および/または該発泡助剤成分には界面活性剤が含有され、発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHは7.5未満を示す。該洗浄剤においては、発泡剤成分と発泡剤助剤成分とを混合して得られる混合液中にて炭酸塩より炭酸ガス(CO2)が生じ、主にこの炭酸ガスと酸性化合物との作用によって基板表面に付着する不純物(付着物)が剥離・除去される。
CO3 2- + H+ → HCO3 - (1) pKa2
HCO3 - + H+ → H2CO3 (2) pKa1
更に、(2)より、H2CO3→H2O+CO2(g)↑といった反応を経て炭酸ガスが発生する。一般にpKaとは、化学反応式における両辺の化学種が1:1で存在するpHを示している。また、pHがpKaより1ずれることは、右辺と左辺の化学種の存在比が10倍異なることを意味する事が知られている。上記の(2)で言えば、pH=6.3〜6.5ではHCO3 -とH2CO3は等量で存在し、pH=5.3〜5.5(pKa1−1)ではHCO3 -とH2CO3は1:10の割合で存在し、pH=7.3〜7.5(pKa1+1)ではHCO3 -とH2CO3は10:1の割合で存在する事を意味している。発泡に寄与する炭酸塩の存在を加味すると、pHが7.5以上では我々が期待する発泡反応は効果的に起こりえない。
以下に、2剤型半導体基板用洗浄剤を構成する成分について詳述する。なお、以下で詳述される材料は、市販品を使用してもよいし、公知の方法で合成してもよい。
(炭酸塩)
本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤を構成する発泡剤成分は、炭酸塩を含有する。該炭酸塩は、後述する酸性化合物の作用により、炭酸ガスを生じる化合物であって、いわゆる分解性発泡剤として作用する。
使用される炭酸塩は、炭酸を生じる塩化合物であれば特に限定されないが、主に、正塩、酸性塩(炭酸水素塩)、塩基性塩(炭酸水酸化物塩)などが挙げられる。例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や炭酸水素塩、または炭酸アンモニウム塩などが挙げられる。より具体的に、炭酸塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、または、グアニジン炭酸塩などが挙げられる。また、無水塩、水和塩、またはこれらの混合物などを用いることもできる。なかでも、付着物の剥離性に優れ、かつ、取扱い性が容易である点から、炭酸水素アンモニウムまたは炭酸アンモニウムが好ましく、炭酸アンモニウムがより好ましい。
なお、炭酸塩は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、後述する発泡剤成分と発泡助剤成分の混合物中の炭酸塩の含有量は、付着物の剥離性がより優れる点より、混合液全量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
発泡剤成分は必要に応じて溶媒を含有していてもよい。使用される溶媒は炭酸塩が溶解すれば特に制限されないが、通常、水が使用される。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶媒(例えば、極性溶媒であるDMSO、DMF、NMP等)を含有していてもよい。
発泡剤成分中における溶媒の含有量は特に限定されないが、通常、発泡剤成分全量に対して、1〜99.5質量%が好ましく、10〜99.0質量%がより好ましい。
(酸性化合物)
本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤を構成する発泡助剤成分は、酸性化合物を含有する。酸性化合物とは、そのままで、またはその水溶液が酸性を示す化合物を意味する。該化合物が上述した炭酸塩に作用して、炭酸ガスが生じさせると共に、付着物の剥離性にも寄与する。
使用される酸性化合物は特に制限はされないが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、またはスルファミン酸などが挙げられる。
なお、酸性化合物は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
該水溶性カルボン酸の具体例としては、例えば、プロピオン酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。
なお、後述する発泡剤成分と発泡助剤成分との混合物中の酸性化合物の含有量は、付着物の剥離性がより優れる点より、混合液全量に対して、0.01〜30質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。
発泡助剤成分は必要に応じて溶媒を含んでいてもよい。使用される溶媒は酸性化合物が溶解すれば特に制限されないが、通常、水が使用される。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶媒(例えば、極性溶媒であるDMSO、DMF、NMP等)を含有していてもよい。
発泡助剤成分中における溶媒の含有量は特に限定されないが、通常、発泡助剤成分全量に対して、1〜99.5質量%が好ましく、10〜99.0質量がより好ましい。
上記発泡剤成分および/または発泡助剤成分には、界面活性剤が含有される。界面活性剤が含まれることにより、後述する発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液中で発生する炭酸ガスによって生じる気泡の大きさがより制御され、結果としてレジストなどの付着物の剥離性能が向上する。
使用される界面活性剤は特に限定されないが、例えば、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが例示される。特に、付着物の剥離性能がより優れ、かつ、基板表面から剥離した不純物の基板表面への再付着などが抑制される点で、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤がより好ましく、効果がより優れる点でノニオン性界面活性剤が特に好ましい。なお、界面活性剤は、直鎖状、分岐状のいずれも使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
なかでも、付着物の剥離性能がより優れる点で、ポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤が好ましい。具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミドなどが挙げられる。より具体的には、アルキレン部が、エチレンまたはプロピレンである、界面活性剤が挙げられる。
R2O−(R1O)p−H 一般式(1)
一般式(1)中、R1は、エチレン基、またはプロピレン基を表し、pは2以上の整数を表す(なお、好ましくは30以下、より好ましくは10以下の整数である)。複数のR1は、同一であっても異なっていてもよい。
R2は、水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜20)を表し、本発明の効果がより優れる点で、水素原子が好ましい。なお、アルキル基は、アミノ基などの置換基を有していてもよいが、フェニル基を置換基として含まないことが好ましい。
HO−(EO)x−(PO)y−(EO)z−H 一般式(2)
HO−(PO)x−(EO)y−(PO)z−H 一般式(3)
一般式(2)および一般式(3)中、EOはオキシエチレン基を、POはオキシプロピレン基を表す。x、y、zは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す(なお、好ましくは10以下の整数である)。
なお、発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液中における界面活性剤の含有量は特に制限されないが、付着物の剥離性がより優れる点から、混合液全量に対して、0.00005〜5質量%が好ましく、0.0005〜0.5質量%がより好ましい。
発泡剤成分および/または発泡助剤成分は、酸化剤を含有していてもよい。酸化剤が含まれることにより、付着物の剥離性がより向上する。
使用される酸化剤は特に制限されないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素)、硝酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩などが挙げられる。なかでも、付着物の剥離性に優れ、かつ、取扱いが容易である点から、過酸化水素が好ましい。
また、発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液中における酸化剤の含有量は特に制限されないが、付着物の剥離性がより優れる点から、混合液全量に対して、0.005〜10質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。
発泡剤成分は、アルカリ性化合物を含有していてもよい。アルカリ性化合物が含まれることにより、pHの調整が容易となり、混合液中の安定した発泡が達成され、不純物の剥離性がより向上する。
使用されるアルカリ性化合物は特に限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。発泡剤成分中におけるアルカリ性化合物の含有量は特に制限されず、上記のpHとなるように使用されることが好ましい。具体的には、該含有量は、発泡剤成分全量に対して、0.0001〜10質量%が好ましく、0.0001〜5質量%がより好ましい。
本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤は、発泡剤成分と発泡助剤成分とから構成され、半導体基板の洗浄時に両者を混合して使用する。
混合液のpHは、7.5未満となるように調整される。混合液のpHが7.5以上であると、炭酸ガスの発泡が十分に進行せず、付着物の剥離性に劣る。
混合液のpHは、付着物の剥離性がより優れる点で、7.0未満が好ましく、6.5以下がより好ましく、2.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。なお、混合液のpHは発泡に伴って変化する場合があるが、処理中にわたって上記範囲内にpHを保つことが好ましい。
本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤を用いて半導体基板を洗浄する方法は特に限定されないが、発泡剤成分および発泡助剤成分を半導体基板に供給して、pH7.5未満を示す、発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液中で半導体基板を洗浄する方法が好ましい。一般的に、イオン注入後のレジスト(フォトレジスト)は炭化するため、薬品では剥離・除去しづらくなるが、上記洗浄剤を使用することにより、炭化したレジスト残渣を半導体基板から容易に剥離・除去することが可能となる。
より具体的には、表面上に被エッチング層(ゲート絶縁膜および/またはゲート電極層)が形成された半導体基板(例えば、p型またはn型シリコン基板)を準備する工程(被エッチング層形成工程)と、該被エッチング層の上部にフォトレジストパターンを形成する工程(レジスト形成工程)と、フォトレジストパターンをエッチングマスクに用いて被エッチング層を選択的にエッチングする工程(エッチング工程)と、イオン注入を行う工程(イオン注入工程)を経て得られる半導体基板に、本発明の洗浄剤を適用することが好ましい。
なお、イオン注入工程は公知の方法で実施することができ、アルゴン、炭素、ネオン、砒素などのイオンを利用して、1015〜1018atoms/cm2のドーズ量で行うことができる。
上記のようにアッシング処理を行った後、本発明の洗浄剤を使用する洗浄方法を実施する場合は、発泡剤成分および発泡助剤成分中に酸化剤を含まなくとも、十分な洗浄効果を生じる。洗浄方法において、酸化剤を使用しない場合、基板上での酸化膜の発生がより抑制される結果となり好ましい。アッシング処理は周知の手法で行うことができ、例えば、プラズマガスを用いる手法などが挙げられる。
また、上記の洗浄方法は、同一基板に対して繰り返し実施してもよい。例えば、洗浄回数を2回以上行う(例えば、2回、3回)などの処理によって、1度での洗浄以上の効果が得られる。
上記洗浄処理の洗浄対象物である半導体基板(半導体素子用基板)としては、上記製造工程におけるいずれの段階の半導体基板も用いることができる。洗浄対象物として好適には、その表面上にレジスト(特に、イオンインプランテーション(イオン注入)が施されたレジスト)を備える半導体基板が挙げられる。なお、本発明の洗浄剤を使用することにより、上記レジスト(またはパターンレジスト)以外にも、アッシング時に生じる残渣(アッシング残渣)や、エッチング時に生じる残渣(エッチング残渣)、その他不純物を表面に有する基板から、これらを剥離・除去することができる。
本発明で使用される半導体基板は、レジスト以外にも、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜や、窒化タンタル層(TaN)、窒化チタン層(TiN)、酸化ハフニウム層(HfO2)、酸化ランタン層(La2O3)、酸化アルミニウム層(Al2O3)、ポリシリコン、ドープ(アルゴン、炭素、ネオン、砒素等)シリコンなどをその表面の一部または全面に有していてもよい。
なお、半導体基板は、半導体物質から成る部材(例えば、シリコン基板)をいうが、板形状の基板に限らず、どのような形状であっても半導体物質であれば「半導体基板」に含まれる。
本発明の洗浄剤を用いた洗浄方法においては、発泡剤成分および発泡助剤成分を半導体基板に供給する態様が好ましい。その供給方法は特に限定されないが、半導体基板に発泡剤成分と発泡助剤成分とを同時に供給してもよい(態様A)。また、半導体基板に発泡剤成分を供給した後、所定時間経過後に発泡助剤成分を供給してもよい(態様B)。さらに、半導体基板に発泡助剤成分を供給した後、所定時間経過後に発泡剤成分を供給してもよい(態様C)。
発泡剤成分または発泡助剤成分への半導体基板の浸漬時間は特に制限されないが、浸漬時間が長いほど含まれる成分が、半導体基板上のレジスト残渣などの付着物の周りに付着して、付着物の除去効率が向上する。付着物の剥離性の向上の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。なお、生産性および効果が飽和する点から、30分以内が好ましい。
浸漬時の発泡剤成分または発泡助剤成分の温度は特に限定されないが、付着物の剥離性がより優れ、安定した発泡が達成される点から、25〜80℃が好ましい。
なお、上記洗浄方法においては、発明の効果を損なわない範囲で、発泡剤成分および発泡助剤成分以外の成分(例えば、純水)を合わせて添加してもよい。
なお、上述したように半導体基板が浸漬された発泡剤成分(または発泡助剤成分)に、発泡助剤成分(または発泡剤成分)を加える際、混合液の温度が上記範囲内にとどまるように添加速度を制御することがより好ましい。
また、本発明の2剤型半導体基板用洗浄剤を用いた洗浄方法によれば、従来の洗浄薬品であるSPM溶液を使用した場合と異なり、半導体基板自体(例えば、シリコン基板)や、半導体基板の表面上に堆積されるアルミニウムなどの金属配線や、窒化チタン層(TiN)、酸化ハフニウム層(HfO2)、酸化ランタン層(La2O3)などのゲート絶縁膜に対する腐食などの影響を抑えることができる。
この洗浄方法は、従来の洗浄剤では適用できなかった配線幅が非常に微細な半導体基板の洗浄にも使用でき、かつHigh−k膜などへのダメージも小さいため、より小型で高性能なLCD、メモリ、CPU等の電子部品の製造に好適に使用できる。さらには、次世代の絶縁膜として開発が進められているUltra―low−k等のダメージを受けやすいポーラス材料を用いた半導体基板の製造にも好適に使用することができる。
シリコンウエハ上に汎用レジスト(248nm KrFレジスト)をレジストの厚さが3000Åになるように塗布した。次に、このレジストが塗布された試料を、プリベークした(温度:200〜300℃)。その後、イオン注入操作を行った。イオンはAsイオンを用い、ドーズ量は1E15〜16atoms/cm2として試料を作製した。
Al2O3層、TiN層、HfO2層、またはLa2O3層を、シリコンウエハ上に厚さ50Åになるように成膜して、4種類のウエハを用意した。後述する各液を用いて、処理前後の膜厚差から各膜へのエッチング速度(EtchingRate:ER)を算出した。
実用上、上記エッチング速度が、5nm/min未満であることが好ましく、1nm/min未満であることが更に好ましい。
W1中のaは3、bは5、cは3の数値を表す。
W2中のaは4、bは2、cは4の数値を表す。
W8中のaは5、bは5、cは5、dは5、eは5、fは5の数値を表す。
また、表1〜表9中の「30%過酸化水素」は、濃度が30質量%の過酸化水素水を表す。
下記表1に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、レジスト剥離性、ハンドリング性、基板への影響について評価した。
まず、上記で用意した半導体基板(試料1、試料2、または未処理のシリコンウエハ)を、発泡剤成分中に所定時間(3分間)浸漬させた。使用された発泡剤成分のpH(初期pHと表す)を、表1に示す。
次に、該発泡剤成分中に、発泡助剤成分を加え、混合液中にて基板を2分間浸漬した。その後、基板を取り出し、下記の評価を実施した。なお、混合液中のpHは最終pHとして表1中に表す。得られた結果を表1に示す。
なお、表1中の処理温度は、混合液中の温度を意味し、後述する表2〜9においても同義である。
「◎◎◎:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が5%未満である場合」
「◎◎:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が5%以上10%未満である場合」
「◎:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が10%以上30%未満である場合」
「○:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が30%以上50%未満である場合」
「△:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が50%以上80%未満である場合」
「×:顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での、レジストが残存している部分が80%以上である場合」
ハンドリング性に関しては、以下の基準に沿って評価した。
「◎」:問題となる泡立ちはない
「○」:若干泡立つ
「△」:やや泡立ちが激しい
「×」:実用上使用が困難なレベルの激しい泡立ちが観測される。
また、表1中の「Ox growth」欄に記載の値は、実施例Aで未処理のシリコンウエハを使用した場合のウエハ表面上に形成される酸化ケイ素層の厚みを、エリプソメトリー(J. A. Woollam社製、VASE)にて測定した値(nm)である。実用上、該値が1.0nm未満であることが好ましい。
下記表2に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表2中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
下記表3〜5に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表3〜5中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
下記表6に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表6中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
下記表7に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表7中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
なお、表7中の「再付着性」欄の評価は、以下の基準に従って、評価した。
「○」:処理後ウエハ表面を光学顕微鏡で観察した際、剥離物の再付着はない。
「△」:処理後ウエハ表面を光学顕微鏡で観察した際、僅かに剥離物の再付着を確認。
「×」:処理後ウエハ表面を光学顕微鏡で観察した際、多くの剥離物の再付着を確認。
特に、ポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤(特に、一般式(1)で表される界面活性剤)がハンドリング性において優れた効果を生じることが確認された。
下記表8に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表8中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
下記に示す発泡剤成分および発泡助剤成分を用いて、上記実施例Aと同様の手順で洗浄を行い、各種評価を行った。表9中、初期pHは発泡剤成分のpHを、最終pHは発泡剤成分と発泡助剤成分との混合液のpHを表す。
なお、今回、使用するシリコンウエハは、下記の条件で一旦処理したシリコンウエハを使用した。
実施例54:上記の方法でイオン注入されたレジストを備えるシリコンウエハをDMSO溶液によって処理して、バルク層を除去して、シリコンウエハ上に残った硬化膜に対して、下記発泡剤成分および発泡助剤成分を使用して洗浄処理を行った。
実施例55:酸素を紫外光によりプラズマガス化して、該プラズマガスを使用して上記の方法でイオン注入されたレジストを備えるシリコンウエハに対してアッシング処理を施して、残渣に対して下記発泡剤成分および発泡助剤成分を使用して洗浄処理を行った。
Claims (11)
- 半導体基板の洗浄時に混合して使用する、発泡剤成分と発泡助剤成分とを有する2剤型半導体基板用洗浄剤であって、
前記発泡剤成分が炭酸塩を含有し、
前記発泡助剤成分が酸性化合物を含有し、
さらに、前記発泡剤成分および/または前記発泡助剤成分が界面活性剤を含有し、
前記発泡剤成分と前記発泡助剤成分との混合液のpHが7.5未満となる、2剤型半導体基板用洗浄剤。 - 前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である、請求項1に記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、およびグアニジン炭酸塩からなる群から選ばれる炭酸塩である、請求項1または2に記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記酸性化合物が、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびスルファミン酸からなる群から選ばれる化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記混合液中の前記炭酸塩の濃度が、0.1〜30質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- さらに、前記発泡剤成分および/または前記発泡助剤成分が酸化剤を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記界面活性剤が、ポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記混合液のpHが7未満である、請求項1〜7のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記発泡剤成分または前記発泡助剤成分中における前記界面活性剤の含有量が0.0001〜10質量%である、請求項1〜8のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記発泡剤成分または前記発泡助剤成分中における前記酸化剤の含有量が0.01〜20質量%である、請求項6〜9のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
- 前記発泡剤成分のpHが7.5〜12である、請求項1〜10のいずれかに記載の2剤型半導体基板用洗浄剤。
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