JP2011197233A - 光偏向装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁駆動型の光偏向装置の可動部の傾き角を検出する磁気センサの検出信号から、駆動用の電磁石に由来するノイズを除去する。
【解決手段】光偏向装置は、可撓梁によって基板に揺動可能に支持されている可動部と、可動部に固定されているミラーと永久磁石を備えている。可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向とし、それに直交する方向を第2、第3方向としたときに、第2方向において永久磁石を挟んで対向している第1磁極と第2磁極とを有している電磁石と、磁気センサを備えている。とともに、第3方向の磁束密度成分を検出する磁気センサは、電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向成分がゼロとなる位置におかれている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電磁力によってミラーを揺動させることによって光ビームの反射方向を変化させる光偏向装置に関する。
この種の光偏向装置は、基板と可撓梁と可動部を備えており、可動部が可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている。可動部にはミラーが固定されており、可動部を基板に対して揺動させることによって、ミラーを所定の角度に傾けることができる。この種の光偏向装置には、基板に対する可動部の傾き角を検出するための傾き角検出センサを組み込んだものがある。
特許文献1に、電磁力を利用する光偏向装置が開示されている。この光偏向装置では、基板上に一対の永久磁石を設置し、可動板に電磁石を設置している。電磁石に通電すると、永久磁石と電磁石の間に電磁力が作用し、可動板を揺動させることができる。この光偏向装置では、可動板にホール素子が設置されている。ホール素子は、一対の永久磁石の間に発生している磁束の可動板の厚み方向の成分を検出する。厚み方向の磁束密度成分は、可動板の傾き角によって変化する。ホール素子の出力電圧から可動板ないしミラーの傾き角を検出することができる。
特許文献1には電磁石に通電することで発生する磁束がホール素子の出力電圧に影響を及ぼすことを排除するために、電磁石を構成するコイル線の直上にホール素子を設置する技術を開示している。また、複数のホール素子を設置し、複数のホール素子の出力電圧の差分を得ることによって、光偏向装置の外部から作用する磁束の影響を相殺する技術が開示されている。
特開2000−81589号公報
可動部に電磁石と磁気センサを配置すると、電磁石と磁気センサに接続する配線を可撓梁に沿って配設する必要が生じる。可撓梁は繰り返し変形する部材であり、従って、配線も繰り返しねじられる。可動部に電磁石と磁気センサを配置すると、配線が断線しやすくなり、光偏向装置の信頼性が低下する。
したがって、電磁石と磁気センサを基板側に配置し、永久磁石を可動部側に配置することが好ましい。永久磁石に対する配線は不要であり、可撓梁に沿って配線する必要をなくすことができる。
磁気センサを基板側に配置する場合、その磁気センサで可動部の傾き角を検出するためには、いくつかの方式が考えられる。一つの方式は、電磁石に対する通電量が大きいほど可動部の傾き角が大きくなる現象を利用し、電磁石が発生する磁束の大きさを磁気センサで検出することであろう。他の一つの方式は、可動部の傾き角に依存して磁気センサと永久磁石の位置関係が変わることを利用し、永久磁石が発生する磁束の大きさを磁気センサで検出することであろう。しかしながら、実際にはいずれの方式も、実現困難である。すなわち、可動部が傾いている状態では電磁石に通電しており、電磁石が発生する磁束と永久磁石が発生する磁束が相互に影響し合っている。電磁石が発生する磁束の大きさと、永久磁石が発生する磁束の大きさを分離して検出することが難しい。
特許文献1が開示するように、電磁石を構成するコイル線の直上に磁気センサを配置する等の工夫を導入することによって、磁気センサが電磁石による磁束を検出しないようすることは可能であろう。しかしながら、この方式によると、磁気センサの永久磁石による磁束の検出感度まで低下してしまう。それでは、可動部の傾き角に依存して磁気センサと永久磁石の位置関係が変わることを利用して傾き角を検出する感度が低下してしまう。
本発明は、下記の要求を満たすべく創作された。
1)電磁石と磁気センサを基板側に配置し、永久磁石を可動部側に配置することによって可撓梁に沿って配線する必要をなくし、
2)磁気センサの電磁石による磁束の検出感度を低くし、
3)磁気センサの永久磁石による磁束の検出感度を高くする。
本出願で開示する第1の光偏向装置は、可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、可動部に固定されているミラーと、可動部に固定されている永久磁石と、電磁石と、磁気センサを備えている。
可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する第2方向としたときに、電磁石は、第2方向において永久磁石を挟んで対向している第1磁極と第2磁極を有している。第1方向と前記第2方向に直交する方向を第3方向としたときに、磁気センサは、電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向成分がゼロとなる位置において基板に固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する。
上記の光偏向装置では、可動部が揺動すると、基板から可動部までの第3方向に沿った距離が変化する。磁気センサが磁束の第3方向成分を検出するものであるため、磁気センサの出力電圧は可動部の傾き角に依存して変化する。磁気センサの出力電圧から傾き角を検出することが可能である。
第1磁極と第2磁極とのギャップにおける電磁石に起因する磁束の密度と方向は場所によって変化する。実際に、電磁石に起因する磁束の第3方向成分がゼロである位置が存在する。
本発明では、この位置を選んで磁気センサを配置することから、電磁石から発生する磁束が検出結果に影響することを防止できる。磁気センサの出力電圧と傾き角の関係を安定させることができ、磁気センサの検出精度を向上させることができる。
上記の光偏向装置では、電磁石の第1磁極と第2磁極とのギャップの第3方向の中央位置に磁気センサが固定されており、その中央位置からオフセットされた位置に永久磁石が配置されている構造とすることができる。
前記ギャップの第3方向の中央位置では、電磁石に起因する磁束の第3方向成分がゼロである。
あるいは、電磁石の第1磁極と第2磁極とのギャップの第2方向の中央位置に磁気センサが固定されており、その中央位置からオフセットされた位置に永久磁石が配置されている構造とすることができる。
前記ギャップの第2方向の中央位置でも、電磁石に起因する磁束の第3方向成分がゼロとなる。
1つの電磁石に対して配置する磁気センサの個数は特に制限されず、1個の磁気センサを配置してもよいし、複数の磁気センサを配置してもよい。
本願で開示する第2の光偏向装置も、可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、可動部に固定されているミラーと、可動部に固定されている永久磁石と、電磁石と、複数の磁気センサを備えている。可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向とし、第1方向に直交する第2方向としたときに、電磁石は、第2方向において永久磁石を挟んで対向している第1磁極と第2磁極を有している。第1方向と前記第2方向に直交する方向を第3方向としたときに、複数の磁気センサは、電磁石に通電したときに発生する磁束の複数の磁気センサの存在位置における第3方向成分の総和がゼロとなる位置に配置されている。
上記の光偏向装置では、個々の磁気センサが検出する電磁石に起因する第3方向の磁束成分はゼロではないが、それらの総和を算出すると、ゼロである。このため、複数の磁気センサの検出信号の総和を算出することによって、電磁石が発生する磁束に由来して検出結果がずれてしまう現象の発生を防止することができる。すなわち、磁気センサの検出精度を向上させることが可能である。
2つの磁気センサを用いる場合、その2つの磁気センサを、第1磁極と第2磁極とのギャップの第2方向の中央位置に対して対称となる位置に設置することができる。2つの磁気センサの存在位置における、電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向成分の総和がゼロとなる。
第1と第2の光偏向装置では、1つの揺動軸に対して複数の電磁石が設置されていてもよい。この場合、1つの電磁石に対して少なくとも1つの永久磁石と少なくとも1つの磁気センサが設置されていればよい。
基板は、可撓梁と可動部と一体に形成されている部分を含んでいてもよい。この場合、磁気センサが基板の前記部分に設置されていてもよい。
本発明によれば、可動部に永久磁石を配置することで可撓梁に配線する必要をなくすことができ、電磁石に起因する磁束の第3方向成分がゼロである位置に磁気センサを配置することから電磁石に対する通電によって検出結果がずれることがなく、可動部の傾き角を精度よく検出することが可能となる。長期にわたって信頼性が高く、傾き角の検出精度がよい光偏向装置を提供することができる。
実施例1の光偏向装置の斜視図である。 図1の光偏向装置のミラー部の上面と電磁石の磁極部近傍を示す図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 実施例1の磁気センサについて説明する図である。 実施例1の永久磁石と磁気センサの位置関係を示す図である。 実施例1の永久磁石と磁気センサの位置関係を示す図である。 変形例の永久磁石と磁気センサの位置関係を示す図である。 実施例2の光偏向装置のミラー部の上面と電磁石の磁極部近傍を示す図である。 図9のX−X線断面図である。 図9のXI−XI線断面図である。 実施例3の光偏向装置の断面図であって、電磁石の磁極部近傍を示している。 実施例3の光偏向装置の断面図であって、電磁石の磁極部近傍を示している。 実施例4の光偏向装置のミラー部の上面と電磁石の磁極部近傍を示す図である。 図14のXV−XV線断面図である。 図14のXVI−XVI線断面図である。 永久磁石が発生させる磁束について説明する図である。 永久磁石が発生させる磁束について説明する図である。
下記に記載する実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1)可動部に設置される永久磁石は、ネオジム磁石(NdFe14B)、サマリウムコバルト磁石(SmCo(1−5系)、SmCo17(2−17系)等)または、フェライト磁石である。
(特徴2)第1方向および第2方向は、可撓梁が捩れていない状態で基板に対して静止している場合の可動部およびミラーに平行な面内で直交している。
図1は、実施例1の光偏向装置10の各構成要素の配置を概念的に示す斜視図である。図1に示すように、光偏向装置10は、第1電磁石20と、第2電磁石40と、ミラー部30とを備えている。尚、図1では、ミラー部30の詳細な構造は図示を省略している。
図1に示すように、第1電磁石20は、C字形状の鉄心201と、鉄心201に巻き付けられている第1コイル203a,203bを備えている。鉄心201は、x軸方向においてミラー部30を挟んで対向する第1磁極部201aと第2磁極部201bとを備えている。第1磁極部201aの面と第2磁極部201bの面とは同じ面積であり、y軸に平行な2辺とz軸に平行な2辺によって囲まれた長方形状であり、x軸方向に垂直である。
第2電磁石40は、C字形状の鉄心401と、鉄心401に巻き付けられている第2コイル403a,403bを備えている。鉄心401は、y軸方向においてミラー部30を挟んで対向する第1磁極部401aと第2磁極部401bとを備えている。第1磁極部401aの面と第2磁極部401bの面とは同じ面積であり、x軸に平行な2辺とz軸に平行な2辺によって囲まれた長方形状であり、y軸方向に垂直である。
第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に、主としてx軸方向に伸びる磁束が発生する。第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に、主としてy軸方向に伸びる磁束が発生する。
図2は、図1に示す光偏向装置10のミラー部30の近傍を示す平面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図であり、図4は、図2のIV−IV線断面図である。図2〜図4に示すように、ミラー部30は、上部基板301と、上部基板301から伸びている1対の第1可撓梁303a,303bと、1対の第1可撓梁303a,303bによって支持されている第1可動部305と、第1可動部305から伸びている1対の第2可撓梁309a,309bと、1対の第2可撓梁309a,309bによって支持されている第2可動部311と、第2可動部311の上面に固定されているミラー315とを備えている。図2に図示されているミラー部30の構造は、例えば半導体基板を材料として、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって一体に形成することができる。ミラー部30は、図1に示す第1電磁石20および第2電磁石40に対して、ミラー315の形成されている方向がz軸の正方向となるように配置される。ミラー部30は、上部基板301に固定されている下部基板302と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ510,第2磁気センサ520を備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。上部基板301と延在部302cとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302aは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ510,第2磁気センサ520は、延在部302cに設置されている。第1磁気センサ510,第2磁気センサ520は、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bを検出し、Bに比例する電圧を外部回路(図示しない)に出力する。第1磁気センサ510、第2磁気センサ520は、MEMS技術を用いて、延在部302cに形成したものであってもよい。
図2に示すように、上部基板301と第1可撓梁303aの接続点と、上部基板301と第1可撓梁303bの接続点を結ぶ線がy軸方向と一致し、第1可動部305と第2可撓梁309aの接続点と,第1可動部305と第2可撓梁309bの接続点を結ぶ線がx軸方向と一致するように、設置されている。xy平面に直交する方向はz軸方向と一致しており、第2可動部311のz軸が正となる上面側にミラー315が設置されている。
第1可撓梁303a,303bは、上部基板301からy軸方向に伸びているとともに、第1可動部305に連接している。第2可撓梁309a,309bは、第1可動部305からx軸方向に伸びているとともに、第2可動部311に連接している。y軸とx軸は基板に平行な面内で直交している。第1可撓梁303a,303bおよび第2可撓梁309a,309bが捩れていない状態であって、第1可動部305、第2可動部311、ミラー315が上部基板301および下部基板302に対して傾いていない場合に、y軸とx軸が直交する面と、第1可動部305、第2可動部311、ミラー315とは平行となる。
第1可動部305は、第1可撓梁303a,303bによって、上部基板301に対してy軸(第1軸)を中心に揺動可能に支持されており、第2可動部311は、第2可撓梁309a,309bによって、第1可動部305に対してx軸(第2軸)を中心に揺動可能に支持されている。これによって、第2可動部311は、上部基板301に対して、y軸(第1軸)とx軸(第2軸)の周りに独立に揺動することが可能となっている。
第1可動部305には、x軸について互いに対称となる位置に第1磁石307a,307bが固定されており、第2可動部311には、y軸について互いに対称となる位置に第2磁石313a,313bが固定されている。第1磁石307a,307b、第2磁石313a,313bは、ネオジム磁石(NdFe14B)等を材料とする永久磁石で構成されている。ネオジム磁石に代えて、サマリウムコバルト磁石(SmCo(1−5系)、SmCo17(2−17系)等)や、フェライト磁石を用いることもできる。第1磁石307aと307bは、同一の大きさで、同一形状である。第2磁石313aと313bは、同一の大きさで、同一形状である。第1磁石307a,307bおよび第1磁気センサ510は、第1電磁石20の第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に位置している。第2磁石313a,313bおよび第2磁気センサ520は、第2電磁石40の第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に位置している。
図3、図4に示すように、第1磁石307a,307bは、第1可動部305をz軸方向に貫通しており、第2磁石313a,313bは、第2可動部311をz軸方向に貫通している。図示しないが、第1磁石307a,307bの側面と第1可動部305との間には接着剤が塗布されており、接着剤の接着力によって、第1磁石307a,307bは第1可動部305に固定されている。同様に、第2磁石313a,313bは、接着剤によって第2可動部311に固定されている。第1磁石307a,307bおよび第2磁石313a,313bは、z軸の正方向(ミラー315が設置されている側であり、上部基板301の上面側)がN極であり、z軸の負方向(上部基板301の下面側)がS極となるように固定されている。
図1に示す第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に主としてx軸方向に伸びる磁界が発生し、この間に設置されているミラー部30の第1磁石307a、307bに対して、電磁力が作用する。これによって、第1可撓梁303a、303bがy軸の周りに捩れる。
第1磁極部201aと第2磁極部201bの間に発生するx軸方向の磁束は、第2磁石313a,313bにも、第2可動部311をy軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第2可撓梁309a,309bはx軸の周りには容易に捩れる一方で、y軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第2可動部311に生じるトルクによって第2可撓梁309a,309bが変形して第2可動部311が第1可動部305に対して傾くことがない。第1可動部305に生じるトルクと、第2可動部311に生じるトルクは同じ方向であるため、第1可動部305と第2可動部311の全体が一体となって、第1可撓梁303a、303bの周りに揺動する。第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315とが一体となってy軸の周りに揺動する。
例えば、第1磁極部201aがN極、第2磁極部201bがS極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁石307a,307bのN極は、第1磁極部201aから斥力を受け、第2磁極部201bから引力を受ける。第1磁石307a,307bのS極は、第1磁極部201aから引力を受け、第2磁極部201bから斥力を受ける。その結果、第1可撓梁303a、303bが捩れ、第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315は、第1磁極部201a側が上方に傾き、第2磁極部201b側が下方に傾く。逆に、第1磁極部201aがS極、第2磁極部201bがN極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1可動部305と、第2可撓梁309a,309bと、第2可動部311と、ミラー315は、第1磁極部201a側が下方に傾き、第2磁極部201b側が上方に傾く。
図1に示す第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に主としてy軸方向に伸びる磁束が発生し、この間に設置されている第2磁石313a、313bに対して、電磁力が作用する。これによって、第2可撓梁309a、309bが捩れ、第2可動部311と、ミラー315とが一体となってx軸の周りに揺動する。
第1磁極部401aと第2磁極部401bの間に発生するy軸方向の磁束は、第1磁石307a,307bにも、第1可動部305をx軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第1可撓梁303a,303bはy軸の周りには容易に捩れる一方で、x軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第1可動部305に生じるトルクによって、第1可撓梁303a,303bが変形して第1可動部305が上部基板301にx軸の周りに傾くことはない。
例えば、第2電磁石40の第1磁極部401aがN極、第2磁極部401bがS極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2磁石313a,313bのN極は、第1磁極部401aから斥力を受け、第2磁極部401bから引力を受ける。その結果、第2可撓梁309a、309bが捩れ、第2可動部311と、ミラー315は、第1磁極部401aの側が上方に傾き、第2磁極部401bの側が下方に傾く。逆に、第1磁極部401aがS極、第2磁極部401bがN極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2可動部311と、ミラー315とは、第1磁極部401aの側が下方に傾き、第2磁極部401bの側が上方に傾く。
第1磁気センサ510および第2磁気センサ520は、z軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ510、第2磁気センサ520には、x軸方向の定電流が流れており、z軸方向の磁界が作用すると、y軸方向に電圧が発生する。y軸方向に発生した電圧を検出することによって、z軸方向の磁束密度を検出することができる。
図5は、ホール素子の動作原理を説明する図である。ホール素子の厚さがdであり、ホール素子をx軸方向に流れる定電流がIである場合に、ホール素子の位置においてz軸方向の磁束密度成分がBである磁束が発生すると、ホール素子のy軸方向の両端に、下記の式(1)に示すホール電圧Vが発生する。
Figure 2011197233

ここで、Rはホール定数であり、電子の電荷e、ホール素子のキャリア濃度nによって、R=1/(en)と表すことができる。
第1可動部305がy軸の周りに傾くと、第1磁石307a,307bと、第1磁気センサ510の位置関係が変化し、第1磁石307a,307bによって発生する第1磁気センサ510の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分Bが変化し、第1磁気センサ510の出力電圧が変化する。
第2可動部311がx軸の周りに傾くと、第2磁石313a,313bと、第2磁気センサ520の位置関係が変化し、第2磁石313a,313bによって発生する第2磁気センサ520の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分Bが変化し、第2磁気センサ520の出力電圧が変化する。
図6は、第1磁気センサ510と、第1磁石307aと、第1電磁石20との位置関係を示すために、図3の断面を模式的に示す図である。図6において、破線で示す領域が第1電磁石20の第1ギャップ22であり、ミラー部30を挟んで対向する第1磁極部201aの面と第2磁極部201bの面との間の領域である。ミラー部30の第1磁石307aおよび第1磁気センサ510は、第1ギャップ22の内部に設置されている。図示していないが、第1磁石307bも同様に第1ギャップ22の内部に設置されている。
第1ギャップ22のz軸方向の中央位置の集合は、z軸方向に垂直な平面となり、この平面は、図6に示す断面において、線分221として表される。線分221は、第1ギャップ22のz軸方向の中央位置を示しており、その両端は、第1磁極部201aと第2磁極部201bに達している。第1磁極部201aおよび第2磁極部201bのz軸方向の長さをd1とすると、線分221の位置は第1ギャップ22のz軸方向の上端および下端から距離d1/2の位置である。また、第1ギャップ22のx軸方向の中央位置の集合は、x軸方向に垂直な平面となり、この平面は、図6に示す断面において、直線223として表される。直線223は、線分221の中点を通り、z軸方向に延びる直線である。第1磁極部201aと第2磁極部201bとの距離をd2とすると、線分221のx軸方向の長さは、d2に等しい。直線223と、第1磁極部201aまたは第2磁極部201bとの距離は、d2/2である。
図6に示すように、第1磁気センサ510は、線分221上であって、線分221の中央(線分221と直線223との交点)よりもx軸の正方向となる位置(第2磁極部201bに近い位置)に設置されている。第1磁石307aは、直線223上であって、線分221よりもz軸の正方向となる位置に設置されている。第1磁気センサ510と第1磁石307aとは、x軸方向に離間している。
ギャップ22内において、第1電磁石20によって発生する磁束は主としてx軸方向に伸びるものの、z軸方向成分がゼロではない。第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の密度成分は、z軸方向の位置およびx軸方向の位置に依存して変化する。しかしながら、線分221上または直線223上では、第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の密度成分がゼロになる。第1磁気センサ510は、線分221上に設置されているため、第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の密度成分を検出することがない。第1磁気センサ510には、第1可動部305がy軸の周りに傾くと、第1磁石307a,307bが発生する第1磁気センサ510の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分Bが変化して第1磁気センサ510の出力電圧が変化する現象のみが生じる。
また、第1磁気センサ510と第1磁石307aとは、x軸方向に離れて設置されているため、第1磁石307aがy軸の周りに傾くと、第1磁気センサ510の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分が敏感に変化し、第1磁気センサ510の出力電圧が大きく変化する。第1磁気センサ510の検出感度が高い。
もしも第1磁気センサ510と第1磁石307aがx軸方向において同一位置にあると、第1磁石307aがy軸の周りに傾いたときに第1磁気センサ510の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分は鈍感に変化することになり、第1磁気センサ510の検出感度が低下してしまう。
図7は、第2磁気センサ520と、第2磁石313aと、第2電磁石40との位置関係を示すために、図4の断面を模式的に示す図である。破線で示す領域が第2電磁石40の第2ギャップ42であり、ミラー部30を挟んで対向する第1磁極部401aの面と第2磁極部401bの面との間の領域である。第2ギャップ42のy軸方向に垂直な断面は、第1磁極部401aの面および第2磁極部401bの面と同一形状、同一面積の長方形となる。ミラー部30の第2磁石313aおよび第2磁気センサ520は、第2ギャップ42の内部に設置されている。図示していないが、第2磁石313bも同様に第2ギャップ42の内部に設置されている。
第2ギャップ42のz軸方向の中央位置の集合は、z軸方向に垂直な平面となり、この平面は、図7に示す断面において、線分421となる。線分421は、第2ギャップ42のz軸方向の中央位置を示しており、その両端は、第1磁極部401aと第2磁極部401bに達している。第1磁極部401aおよび第2磁極部401bのz軸方向の長さをd3とすると、線分421は第2ギャップ42のz軸方向の上端および下端から距離d3/2の位置である。また、第2ギャップ42のy軸方向の中央位置の集合は、y軸方向に垂直な平面となり、この平面は、図7に示す断面において、直線423として現される。直線423は、線分421の中点を通り、z軸方向に延びる直線である。第1磁極部401aと第2磁極部401bとの距離をd4とすると、線分421のy軸方向の長さは、d4に等しい。直線423と、第1磁極部401aまたは第2磁極部401bとの距離は、d4/2である。
図7に示すように、第2磁気センサ520は、線分421上であって、線分421の中央(線分421と直線423との交点)よりもy軸の負方向となる位置(第2磁極部401bに近い位置)に設置されている。第2磁石313aは、直線423上であって、線分421よりもz軸の正方向となる位置に設置されている。第2磁気センサ520と第2磁石313aとは、y軸方向に離間している。
ギャップ42内において、第2電磁石40によって発生する磁束は主としてy軸方向に伸びるものの、z軸方向成分がゼロではない。第2電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分は、z軸方向の位置およびy軸方向の位置に依存して変化する。しかしながら、線分421上または直線423上では、第2電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロになる。第2磁気センサ520は、線分421上に設置されているため、第2電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分を検出することがない。第2磁気センサ520には、第2可動部311がx軸の周りに傾くと、第2磁石313a,313bが発生する第2磁気センサ520の存在位置におけるz軸方向の磁束密度成分Bが変化して第2磁気センサ520の出力電圧が変化する現象のみが生じる。
実際には、線分221で現される面と、線分421で表される面は同一面である。そのため、第1磁気センサ510が、第2電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の密度成分を検出することもない。また、第2磁気センサ520が、第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分を検出することもない。
また、第2磁気センサ520と第2磁石313aとは、y軸方向に離れて設置されているため、第2磁石313aがx軸の周りに傾くと、第2磁気センサ520の存在位置のおけるz軸方向の磁束密度成分が敏感に変化し、第2磁気センサ520の出力電圧が大きく変化する。
上記のとおり、実施例1の光偏向装置は、可撓梁によって基板に揺動可能に支持されている可動部と、可動部に設置されている永久磁石と、可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向としたとき、第1方向に直交する第2方向において永久磁石を挟んで対向する第1磁極と第2磁極とを有する電磁石と、可動部の傾き角を検出するための磁気センサとを備えている。磁気センサは、電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向(第1方向と第2方向に直交する方向)の成分がゼロとなる位置において基板に固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する。実施例1の光偏向装置は2軸の光偏向装置であることから、上記構造を2重に備えているということもできる。
可動部の揺動軸に沿う方向である第1方向と、電磁石が発生させる磁界の方向であって、第1方向に直交する方向である第2方向と、第1方向および第2方向に直交する第3方向とは、可動部の揺動軸が複数である場合には、それぞれの揺動軸に対して設定される。
第1可動部とその揺動軸(第1揺動軸)について説明すると、第1揺動軸の方向に沿う第1方向はy軸方向である。第1電磁石20の第1磁極と第2磁極(第1磁極部201a,第2磁極部201b)が第1磁石307a,307bを挟んで対向する第2方向はx軸方向であり、y軸方向と直交している。y軸方向およびx軸方向に直交する第3方向はz軸方向である。
すなわち、光偏向装置10は、第1可撓梁303a,303bによって基板(上部基板301,下部基板302)に揺動可能に支持されている第1可動部305と、第1可動部305に設置されている永久磁石である、第1磁石307a,307bと、第1方向(y軸方向)に直交する第2方向(x軸方向)において第1磁石307a,307bを挟んで対向する、第1磁極部201aと第2磁極部201bとを有する第1電磁石20と、第1可動部305の傾き角を検出するための第1磁気センサ510とを備えている。第1磁気センサ510は、第1電磁石20に通電したときに発生する磁束の第3方向(z軸方向)の成分がゼロとなる位置において基板に固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する。
第2可動部とその揺動軸(第2揺動軸)について説明すると、第2揺動軸の方向に沿う第1方向はx軸方向である。第2電磁石20の第1磁極と第2磁極(第1磁極部401a,第2磁極部401b)が第2磁石313a,313bを挟んで対向する第2方向はy軸方向であり、x軸方向と直交している。x軸方向およびy軸方向に直交する第3方向はz軸方向である。
すなわち、光偏向装置10は、第2可撓梁309a,309bによって基板(上部基板301,下部基板302)に揺動可能に支持されている第2可動部311と、第2可動部311に設置されている永久磁石である、第2磁石313a,313bと、第1方向(x軸方向)に直交する第2方向(y軸方向)において第2磁石313a,313bを挟んで対向する第1磁極部401aと第2磁極部401bとを有する第2電磁石40と、第2可動部311の傾き角を検出するための第2磁気センサ520とを備えている。第2磁気センサ520は、第2電磁石40に通電したときに発生する磁束の第3方向(第1方向と第2方向に直交するz軸方向)の成分がゼロとなる位置において基板に固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する。
前記したように、第1電磁石20の第1磁極部201aと第2磁極部201bと、第2電磁石40の第1磁極部401aと第2磁極部401bはz軸方向において同一面にあり、第1磁気センサ510と第2磁気センサ520は、いずれも、磁極部間のギャップのz軸方向の中心位置にあり、第1磁気センサ510が第2電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の密度成分を検出することもなければ、第2磁気センサ520が第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の密度成分を検出することもない。
第1磁石307a,307bは、第1電磁石の第1磁極部201aと第2磁極部201bとの第1ギャップ22の第3方向(z軸方向)の中央位置から第3方向にオフセットされた位置に配置されているのに対し、第1磁気センサ510は、第1ギャップ22の第3方向(z軸方向)の中央位置に配置されている。第2磁石313a,313bは、第2電磁石40の第1磁極部401aと第2磁極部401bとの第2ギャップ42の第3方向(z軸方向)の中央位置から第3方向にオフセットされた位置に配置されているのに対し、第2磁気センサ520は、第2ギャップ42の第3方向(z軸方向)の中央位置に配置されている。
また、実施例1に係る光偏向装置では、可動部には永久磁石が設置され、駆動用のコイルは設置されない。また、磁気センサは基板に設置されている。可動部に電流を流す必要がないから、細長く捩れ易い可撓梁に電流を流すための配線を設ける必要がない。このため、例えば、可撓梁が捩れることによって可撓梁の配線が断線して、駆動に必要な電流が可動部に供給されなくなるということがない。
また、実施例1の磁気センサは、電磁石のギャップの第3方向での中央位置にあればよく、第1方向と第2方向の設置位置を調整することができる。例えば、可動部に設置されている永久磁石と基板に設置されている磁気センサとの第1方向と第2方向の位置関係を調整して、可動部が所定の傾き角で基板に対して傾いた場合に、磁気センサの出力信号の絶対値が最大となるように調整し、検出感度を向上させることができる。尚、実施例1では、永久磁石を電磁石のギャップの第2方向の中央に配置したが、第2方向の中央でなくともよい。例えば、図6に示す線分221と直線223との交点に、第3方向(z軸方向)の磁束密度成分を検出する第1磁気センサを設置して、第1磁石は直線223よりも第1磁極部201aもしくは第2磁極部201b側にオフセットした位置に設置してもよい。
また、実施例1に係る光偏向装置では、可動部の第1揺動軸、第2揺動軸に対して、可動部を揺動させるための電磁石がそれぞれ1つずつ(第1電磁石、第2電磁石)備えられている。さらに、第1電磁石、第2電磁石に対して、それぞれ1つずつ磁気センサ(第1磁気センサ、第2磁気センサ)が設置されている。1つの揺動軸に対して、1つの磁気センサを設置するだけで、可動部を揺動させるための電磁石に由来するノイズの影響を除去することができる。
尚、実施例1に係る光偏向装置において、第1電磁石の第1コイルに流す電流の周波数と、第2電磁石に流す電流の周波数とが異なる場合には、1つの磁気センサを用いて、2つの揺動軸についての可動部の傾き角をそれぞれ検出することも可能である。例えば、第1コイルに1000〜2000Hz程度の電流を流し、第2コイルに10〜100Hz程度の電流を流す場合には、1つの磁気センサで2つの揺動軸についての可動部の傾き角を検知可能である。
(変形例)
実施例1においては、1つの電磁石に対して1つの磁気センサを設置したが、これに限定されない。例えば、図8に示すように、1つの電磁石に対して、2つの磁気センサが設置されていてもよい。この場合、2つの磁気センサは、第2方向において可動部に設置された永久磁石に対して対称となる位置に設置されていることが好ましい。
図8は、図6と同様の断面を模式的に示す図であって、光偏向装置の第1電磁石20と第1磁石307aに対して、第3方向(z軸方向)の磁束密度成分を検出する2つの第1磁気センサ511a,511bを設置した場合を示している。第1磁気センサ511a,511bは、同一の特性を有するホール素子であり、同一の磁束によって、同一のホール電圧が得られる。第1磁気センサ511a,511bは、線分221上であって、直線223について対称となる位置に設置されている。直線223上には第1磁石307aが存在しており、第1磁気センサ511aと第1磁気センサ511bとは、第1磁石307aについて対象となる位置に、同一方向の磁束密度成分を検知して同一方向のホール電圧を得るように、同一の向きで設置されており、同一の定電流が流れている。このため、第1磁気センサ511aの検出信号と第1磁気センサ512aの検出信号とは絶対値がほぼ同じで符号が逆である。第1磁気センサ511aの検出信号と第2磁気センサ511bの検出信号との差分を得れば、電磁石によって磁束が発生しない状態でも発生する光偏向装置の外部ノイズ等を除去するとともに、検出信号を2倍にすることができる。第1可動部が所定の傾き角で基板に対して傾いた場合に、2つの第1磁気センサの出力信号の絶対値が最大となるように調整し、検出感度を向上させることができる。
また、2つの第1磁気センサの出力の比をとり、温度の影響を受けることなく、可動部の傾き角を検知するようにしてもよい。以下、図17および図18を参照しながら、詳細に説明する。
図17および図18は、z軸の正方向に磁化された永久磁石333(x軸方向の長さ:a、y軸方向の長さ;b、z軸方向の長さ:c)についてx座標軸を設定した図である。x軸はx軸と平行であり、y軸はy軸と平行であり、z軸はz軸と平行である。永久磁石333のN極側の面の中心がx座標軸の原点Oであり、S極側の面のz座標は−cとなっている。永久磁石333が座標(x,y,z)の位置に発生させるz軸方向の磁束密度成分は、下記の式(2)によって表すことができる。
Figure 2011197233
ここで、f(x,y,z)は下記の式(3)に示す関数である。f(x,y,z)は、座標(x,y,z)と、永久磁石333の大きさにのみ依存する関数であり、温度に依存しない。Bは永久磁石333の残留磁束密度であり、温度に依存する。μは永久磁石333の周囲の領域の透磁率であり、温度に依存する。
Figure 2011197233
図17および図18と同様に、第2磁石313aについてのx座標軸を設定し、第2磁気センサ511aの座標(x,y,z)をとする。また同様に、第2磁石313bについてのx座標軸を設定し、第2磁気センサ512aの座標を(x,y,z)とする。この場合、式(1)〜(3)を用いると、第2磁気センサ511aの出力信号VH1と、第2磁気センサ512aの出力信号VH2とは、下記の式(4)(5)によって表すことができる。但し、f(x,y,z)は、式(3)で(x,y,z)を(x,y,z)に置き換えたものであり、f(x,y,z)は、式(3)で(x,y,z)を(x,y,z)に置き換えたものである。
Figure 2011197233
式(4)および式(5)より、VH1とVH2とを除算することによって、温度に依存して変化するBおよびRを消去することが可能となることがわかる。例えば、VH1/VH2=f(x,y,z)/f(x,y,z)となり、磁気センサの検知値から温度に依存する項を消去することができる。第2磁石313aに対する第2磁気センサ511aの位置は、第2磁石313bに対する第2磁気センサ512aの位置と逆方向であるから、VH1/VH2の値は、第2可動部311の傾き角に応じて変化する。
上記の実施例1の変形例では、磁気センサは、電磁石が発生させる磁束の第3方向の磁束密度成分がゼロとなる位置に設置されているため、可動部の傾き角の検出信号から電磁石に由来するノイズの影響を除去することができる。さらに、同一の特性を有する磁気センサを用いることによって、それぞれの磁気センサの検知値の比は、可動部の傾き角に応じて変化するように配置することができるため、この磁気センサの検知値の比を用いて、温度に影響を受けることなく、可動部の傾き角を検知することが可能となる。
図9は、実施例2に係る光偏向装置12のミラー部32の近傍を示す平面図であり、図10は、図9のX−X線断面図であり、図11は、図9のXI−XI線断面図である。尚、図10、図11には、実施例1に係る図7,8において説明した、第1電磁石20のギャップ22のz軸方向の中央を示す線分221およびギャップ22のx軸方向の中央を示す直線223と、第2電磁石40のギャップ42の断面の中央を示す線分421およびギャップ42のx軸方向の中央を示す直線423とをそれぞれ記載している。
光偏向装置12は、第1電磁石20、第2電磁石40とミラー部32との位置関係において、実施例1に係る光偏向装置10と異なっている。ミラー部32は、第1電磁石20の第1磁極部201aとの距離が小さく、第2磁極部201bとの距離が大きい。同様に、ミラー部32は、第2電磁石40の第1磁極部401aとの距離が小さく、第2磁極部401bとの距離が大きい。ミラー部32の各構成については、ミラー部30と同様であるため、図2等と同一の参照番号を付して、重複説明を省略する。
光偏向装置12では、第1磁石307a,307bは、第1電磁石20の第1磁極部201a、第2磁極部201bとの第1ギャップ22のz軸方向の中央を示す線分221上に設置されている。z軸方向の磁束密度成分を検出する第1磁気センサ510は、第1ギャップ22のx軸方向の中央を示す直線223上であって、z軸の負方向に線分221と離れた位置に設置されている。第1電磁石20によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分は、第1磁気センサ510が設置されている直線223上ではゼロである。第1磁気センサ510を上部基板301に対する第1可動部305の傾き角を検出する傾き角検出センサとして用いれば、電磁石によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分の影響を受けることなく傾き角を検出することができ、検出信号のノイズを低減することができる。
第2磁石313a,313bは、第2電磁石40の第1磁極部401a、第2磁極部401bとの第2ギャップ42のz軸方向の中央を示す線分421上に設置されている。z軸方向の磁束密度成分を検出する第2磁気センサ520は、第2ギャップ42のy軸方向の中央を示す直線423上であって、z軸の負方向に線分421と離れた位置に設置されている。第1電磁石40によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分は、第2磁気センサ520が設置されている直線423上ではゼロである。第2磁気センサ520を上部基板301に対する第2可動部311の傾き角を検出する傾き角検出センサとして用いれば、第2電磁石によって発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分の影響を受けることなく傾き角を検出することができ、検出信号のノイズを低減することができる。
上記のとおり、実施例2に係る光偏向装置では、第1磁石は、第1電磁石の第1磁極と第2磁極との間の第1ギャップのx軸方向の中央から、x軸方向に離れた位置で第1可動部に設置されている。z軸方向の磁束密度成分を検出する第1磁気センサは、第1磁石とx軸方向に離間した位置に設置されている。また、第1磁気センサは、第1電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなる位置に設置されている。より具体的には、第1磁気センサは、第1ギャップのx軸方向の中央に設置されている。第1磁気センサは、第1可動部の傾き角を検出するために用いられる。第1磁気センサの設置位置では、第1電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなるため、第1磁気センサの検出信号から、第1電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分に由来するノイズの影響を除去することができる。第1磁気センサによれば、第1可動部の傾き角を検出する検出感度を向上させることができる。尚、このような第1電磁石と第1磁気センサの位置関係では、第1磁気センサの設置位置における第2電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分はゼロにならないため、第1磁気センサの検出信号には、第2電磁石からのノイズが入る。しかし、光偏向装置の第1揺動軸方向の駆動周波数と、第2揺動方向の駆動周波数が異なっていれば、出力信号の中から、周波数フィルタ回路などを用いて第1揺動軸方向の駆動周波数と同じ周波数の信号のみを検出することができる。
また、第2磁石は、第2磁石の第1磁極と第2磁極との間の第2ギャップのy軸方向の中央から、y軸方向に離れた位置で第2可動部に設置されている。z軸方向の磁束密度成分を検出する第2磁気センサは、第2磁石とx軸方向に離間した位置に設置されている。また、第2磁気センサは、第2電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなる位置に設置されている。より具体的には、第2磁気センサは、第2ギャップのy軸方向の中央に設置されている。第2磁気センサは、第2可動部の傾き角を検出するために用いられる。第2磁気センサの設置位置では、第2電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなるため、第2磁気センサの検出信号から、第2電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分に由来するノイズの影響を除去することができる。第2磁気センサによれば、第2可動部の傾き角を検出する検出感度を向上させることができる。実施例1と同様に、1つの揺動軸に対して、1つの磁気センサを設置するだけで、可動部を揺動させるための電磁石に由来するノイズの影響を除去することができる。尚、このような第2電磁石と第2磁気センサの位置関係では、第2磁気センサの設置位置における第1電磁石から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分はゼロにならないため、第2磁気センサの検出信号には、第2電磁石からのノイズが入る。しかし、光偏向装置の第1揺動軸方向の駆動周波数と、第2揺動方向の駆動周波数が異なっていれば、出力信号の中から、周波数フィルタ回路などを用いて第1揺動軸方向の駆動周波数と同じ周波数の信号のみを検出することができる。
また、実施例2に係る、可動部に設置する磁石は、電磁石のギャップの第2方向の中央となる位置で第1方向、第3方向の設置位置を調整することができる。例えば、磁石の設置位置を変えて可動部に設置されている磁石と磁気センサとの位置関係を調整して、可動部が所定の傾き角で基板に対して傾いた場合に、磁気センサの出力信号の絶対値が最大となるように調整し、検出感度を向上させることができる。
また、実施例2に係る、可動部に設置する磁石は電磁石のギャップの第3方向の中央となる位置で、第1方向、第2方向の設置位置を調整することができる。例えば、磁石の設置位置を変えて可動部に設置されている磁石と磁気センサとの位置関係を調整して、可動部を所望の角度に傾けるための電圧が最小になる位置に設置することが可能となる。
実施例3に係る光偏向装置14は、磁気センサの個数および設置位置について実施例2に係る光偏向装置12と異なっている。図12および図13は、実施例3に係る光偏向装置14のミラー部34の近傍を示す断面図である。図12は、実施例2に係る図10と同じ位置での断面を示しており、図13は、実施例2に係る図11と同じ位置での断面を示している。図10、図11と同様に、図12と図13にも、第1電磁石20の第1ギャップ22のz軸方向の中央を示す線分221および第1ギャップ22のx軸方向の中央を示す直線223と、第2電磁石40の第2ギャップ42のz軸方向の中央を示す線分421および第2ギャップ42のx軸方向の中央を示す直線423とを記載している。
光偏向装置14では、z軸方向の磁束密度成分を検出する2つの第1磁気センサ513a,514aがギャップ22の中央を示す線分223について対称となる位置に設置されており、同一の定電流が流れている。2つの第1磁気センサ513a,514aは、同一の特性を有するホール素子であり、同一の磁束によって、同一のホール電圧が得られる。2つの第1磁気センサ513a,514aは、同一方向の磁束密度成分を検知して同一方向のホール電圧を得るように、同一の向きで設置されており、同一の定電流が流れている。その他のミラー部34の各構成については、ミラー部32と同様であるため、図10等と同一の参照番号を付して、重複説明を省略する。
第1磁気センサ513a,514aは、線分221上にも直線223上にも設置されていないため、第1電磁石20が第1磁気センサ513a,514aの位置に発生させる磁束のz軸方向の磁束密度成分は、正または負の値であって、ゼロではない。さらに、第1磁気センサ513aと第1磁気センサ514aとは、線分223について対称となる位置に設置されているため、第1電磁石20が第1磁気センサ513aの位置に発生させる磁束のz軸方向の磁束密度成分と、第1電磁石20が第1磁気センサ514aの位置に発生させる磁束のz軸方向の磁束密度成分とは、絶対値が同じで向きが逆である。2つの第1磁気センサ513a,514aは、同一方向の磁束密度成分を検知して同一方向のホール電圧を得るように、同一の向きで設置されており、同一の定電流が流れているため、第1電磁石20による第1磁気センサ513aの検出信号の第1電磁石20に由来するノイズと第1磁気センサ514aの検出信号の第1電磁石20に由来するノイズとは、絶対値が同じで符号が逆である。第1磁気センサ513aの検出信号と第1磁気センサ514aの検出信号との和を用いれば、検出信号から第1電磁石20に由来するノイズを除去することができる。
また、第1磁石307aのx軸方向の中心線である直線225は、直線223とx軸方向に離れている。第1磁気センサ513aと、第1磁気センサ514aとは、直線225に対して、x軸方向に同じ側となるように設置されている。このため、第1磁気センサ513aの検出信号と第1磁気センサ514aの検出信号とは同じ符号である。第1磁気センサ513aの検出信号と第1磁気センサ514aの検出信号との和を用いることによって、検出信号を大きくすることができる。第1可動部が所定の傾き角で基板に対して傾いた場合に、2つの第1磁気センサの出力信号の絶対値が最大となるように、第1磁気センサの配置を調整し、検出感度を向上させることができる。
同様に、第2磁気センサ523aと第2磁気センサ524aとは、線分423について対称となる位置に設置されているため、第2電磁石40による第2磁気センサ523aの検出信号の第2電磁石40に由来するノイズと第2磁気センサ524aの検出信号の第2電磁石40に由来するノイズとは、絶対値が同じで符号が逆である。第2磁気センサ523aの検出信号と第2磁気センサ524aの検出信号との和を用いれば、検出信号から第2電磁石40に由来するノイズを除去することができる。
また、第2磁石313aのy軸方向の中心線である直線425は、直線423とy軸方向に離れている。第2磁気センサ523aと、第2磁気センサ524aとは、直線425に対して、y軸方向に同じ側となるように設置されている。このため、第2磁気センサ523aの検出信号と第2磁気センサ524aの検出信号とは同じ符号であり、第2磁気センサ523aの検出信号と第2磁気センサ524aの検出信号との和を用いることによって、検出信号を大きくすることができる。第2可動部が所定の傾き角で基板に対して傾いた場合に、2つの第2磁気センサの出力信号の絶対値が最大となるように調整し、検出感度を向上させることができる。
上記のとおり、実施例3に係る光偏向装置では、第3方向(z軸方向)の可動部の傾き角を検出するための複数の磁気センサが、電磁石から発生する磁束の第3方向の磁束密度成分が正または負である位置で基板に対して固定されている。この光偏向装置では、第1可動部の傾き角を検知するために設置された複数の磁気センサが受ける第2電磁石が発生する磁束の第3方向の磁束密度成分の総和はゼロである。同様に、第2可動部の傾き角を検知するために設置された複数の磁気センサが受ける第1電磁石が発生する磁束の第3方向の磁束密度成分の総和はゼロである。より具体的には、第1可動部に対して設置された2つの同一特性の磁気センサは、第1ギャップの第2方向の中央について対称となる位置に設置されており、第2可動部に対して設置された2つの同一特性の磁気センサは、第2ギャップの第2方向の中央について対称となる位置に設置されている。
尚、実施例3では、第3方向(z軸方向)の可動部の傾き角を検出するための複数の磁気センサを2つ設置した場合を例示して説明したが、設置する磁気センサの個数は、3つ以上であってもよい。
図14は、実施例4に係る光偏向装置16のミラー部36の近傍を示す平面図であり、図15は、図14のXV−XV線断面図であり、図16は、図14のXVI−XVI線断面図である。実施例4に係る光偏向装置16は、2つの第2電磁石41,43が設置されている。第2可動部311を第2揺動軸であるy軸を中心に揺動させるために、2つの第2電磁石41,43が設置されている。
光偏向装置16の第1磁石、第1電磁石、第1磁気センサの形態については、実施例1に係る光偏向装置10と同様であるため、重複説明を省略し、図14〜図16に示されるこれらの構成については、図2等と同一の参照番号を付している。
図14〜図16に示すように、光偏向装置16は、2つの第2電磁石41、43を備えている。第2電磁石41と第2電磁石43とは同一の形状、大きさ、材料およびコイル巻き数を有する、同一の電磁石である。y軸方向の磁界を発生させる第2電磁石41,43は、z軸方向の位置は同じであり、x軸方向およびy軸方向の位置が異なっている。第2電磁石41は、第2電磁石43に対してx軸方向に負の方向かつy軸方向に負の方向に設置されている。第2電磁石41は、C字形状の鉄心411と、鉄心411に巻き付けられている第2コイル413a,413bを備えており、鉄心411の第1磁極部411aと第2磁極部411bは、y軸方向にミラー部36を挟んで対向している。第2電磁石43は、C字形状の鉄心431と、鉄心431に巻き付けられている第2コイル433a,433bを備えており、鉄心431の第1磁極部431aと第2磁極部431bは、y軸方向にミラー部36を挟んで対向している。第1磁極部411a,431aおよび第2磁極部411b,431bの面は同じ面積であり、x軸に平行な2辺とz軸に平行な2辺によって囲まれた長方形状であり、y軸方向に垂直である。
第2電磁石41の第2ギャップ45内には、第2磁石313aと第2磁気センサ525が設置されている。第2磁石313aは、第2ギャップ45のz軸方向の中央を示す線分451上であって、第2ギャップ45のy軸方向の中央を示す直線453よりもy軸の正方向となる位置に設置されている。第2磁気センサ525は、線分451よりもz軸の負方向となる位置であって、直線453上に設置されている。このため、実施例2と同様に、第2磁気センサ525の設置位置では、第2電磁石41から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなり、第2磁気センサ525の検出信号から、第2電磁石41から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分に由来するノイズの影響を除去することができる。
第2電磁石43の第2ギャップ47内には、第2磁石313bと第2磁気センサ527が設置されている。第2磁石313bは、第2ギャップ47のz軸方向の中央を示す線分471上であって、第2ギャップのy軸方向の中心を示す直線473よりもy軸の負方向となる位置に設置されている。第2磁気センサ527は、線分471よりもz軸の負方向となる位置であって、直線473上に設置されている。このため、実施例2と同様に、第2磁気センサ527の設置位置では、第2電磁石43から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分がゼロとなり、第2磁気センサ525の検出信号から、第2電磁石41から発生する磁束のz軸方向の磁束密度成分に由来するノイズの影響を除去することができる。
第2磁気センサ525,527は、同一の特性を有するホール素子であり、同一の磁束によって、同一のホール電圧が得られる。第2磁気センサ525,527は、同一方向の磁束密度成分を検知して同一方向のホール電圧を得るように、それぞれの設置位置において同一の向きで設置されており、同一の定電流が流れている。
第2磁石313aと第2磁石313bは、y軸方向の位置が同じであり、そのy軸方向の中心は、第2揺動軸であるx軸と一致している。直線453は、直線473よりもy軸の負方向に位置しており、第2磁気センサ525と第2磁気センサ527のy軸方向の位置は、第2揺動軸であるx軸について対称である。第2磁気センサ525は、第2磁石313aよりもy軸の負方向に位置しており、第2磁気センサ527は、第2磁石313bよりもy軸の正方向に位置している。このため、第2可動部311が傾いた場合に、2つの第2磁気センサ525,527が検出するz軸方向の磁束密度成分は、互いに相違する。このため、実施例1の変形例と同様に、実施例4に係る光偏向装置16においても、検出信号から、温度に依存して変化するBおよびRの影響をなくすことができる。
第2磁石313aについてのx座標軸を設定し、第2磁気センサ525の座標(x,y,z)とすれば、式(4)によって、第2磁気センサ525が検出するホール電圧VH1を計算することができる。同様に、第2磁石313bについてのx座標軸を設定し、第2磁気センサ527の座標を(x,y,z)すれば、式(5)によって、第2磁気センサ527が検出するホール電圧VH2を計算することができる。VH1とVH2とを除算することによって、温度に依存して変化するBおよびRを消去することが可能となる。VH1/VH2=f(x,y,z)/f(x,y,z)となり、磁気センサの検知値から温度に依存する項を消去することができる。第2磁石313aに対する第2磁気センサ525の位置は、第2磁石313bに対する第2磁気センサ527の位置と逆方向であるから、VH1/VH2の値は、第2可動部311の傾き角に応じて変化する。
上記の実施例4では、可動部の1つの揺動軸に対して、電磁石が2つ設置されており、磁石と磁気センサは、1つの電磁石に対して1つずつ設置されている。より具体的には、磁石は、可動部の1つの揺動軸(x軸)上に沿って設置されており、第2方向(y軸方向)の設置位置が同じである。磁気センサは、対応する電磁石のギャップの第2方向の中央、すなわち、対応する電磁石が発生させる磁束の第3方向(磁気センサが検出する磁束密度成分の方向)の磁束密度成分がゼロとなる位置に設置されているため、可動部の傾き角の検出信号から電磁石に由来するノイズの影響を除去することができる。さらに、それぞれの電磁石に対して同一の磁石、同一の特性を有する磁気センサを用いることによって、それぞれ磁気センサの検知値の比が温度に依存しないようにすることができる。2つの電磁石のギャップの第2方向の中央が、その1つの揺動軸について第2方向に互いに逆となるように、2つの電磁石は、第2方向に異なる位置に設置されている。これによって、可動部がその1つの揺動軸の周りに傾いた場合に、2つの磁気センサの検出値を相違させることが可能となる。この場合、磁気センサの検知値の比は、可動部の傾き角に応じて変化するため、この磁気センサの検知値の比を用いて、温度に影響を受けることなく、可動部の傾き角を検知することが可能となる。このように、1つの揺動軸について、2つの電磁石を設置すれば、電磁石のギャップの位置を調整することが可能となるので、対応する磁石と磁気センサとを好ましい位置関係に設置することが可能となる。
尚、実施例1〜4および変形例では、可動部の揺動軸が2つである光偏向装置について説明したが、可動部の揺動軸が1つである光偏向装置であってもよい。1軸駆動型の光学装置においても、実施例1〜4および変形例において説明した、電磁石、磁石、磁気センサの位置関係を適用することによって、同様の作用効果を得ることができる。
また、磁石と磁気センサとは、第3方向(z軸方向)に離間して設置されてなくともよい。例えば、ミラー部の上部基板(基板のうち、可撓梁と可動部と一体に形成されている部分)に磁気センサが設置されていてもよい。上部基板、可撓梁、可動部等の構造を、MEMS技術を用いて半導体基板(例えばシリコン基板)に一体に形成する際に、ホール素子等の磁気センサを併せて形成することが可能となる。
尚、実施例1〜4および変形例では、磁気センサの一例としてホール素子を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、磁気抵抗素子等のホール素子以外の磁気センサを用いることも可能である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10,12,14,16 光偏向装置
20 第1電磁石
22 第1ギャップ
30,32,34,36 ミラー部
40,41,43 第2電磁石
42,45,47 第2ギャップ
201,401,411,431 鉄心
201a 第1電磁石の第1磁極部
201b 第1電磁石の第2磁極部
203a,203b コイル
221,421,451,471 線分
223,423,453,473 直線
225,425 直線
301 上部基板
302 下部基板
302a,302b 枠体部
302c 延在部
303a,303b 第1可撓梁
305 第1可動部
307a,307b 第1磁石
309a,309b 第2可撓梁
311 第2可動部
313a,313b 第2磁石
315 ミラー
333 永久磁石
401,411,431 鉄心
401a,411a,431a 第2電磁石の第1磁極部
401b,411b,431b 第2電磁石の第2磁極部
403a,403b、413a,413b,433a,433b 第2コイル
510,511a,511b,512a,513a,514a 第1磁気センサ
520,523a,524a,525,527 第2磁気センサ

Claims (9)

  1. 可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、
    前記可動部に固定されているミラーと、
    前記可動部に固定されている永久磁石と、
    前記可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向としたときに、第1方向に直交する第2方向において前記永久磁石を挟んで対向している第1磁極と第2磁極を有している電磁石と、
    前記第1方向と前記第2方向に直交する方向を第3方向としたときに、前記電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向成分がゼロとなる位置の前記基板に固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する磁気センサと、
    を備えている光偏向装置。
  2. 前記磁気センサが前記第1磁極と前記第2磁極とのギャップの前記第3方向の中央位置に固定されており、前記永久磁石が前記中央位置からオフセットされた位置に配置されている、請求項1に記載の光偏向装置。
  3. 前記磁気センサが前記第1磁極と前記第2磁極とのギャップの前記第2方向の中央位置に固定されており、前記永久磁石が前記中央位置からオフセットされた位置に配置されている、請求項1または2に記載の光偏向装置。
  4. 1つの電磁石に対して1つの磁気センサが設置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光偏向装置。
  5. 1つの電磁石に対して複数の磁気センサが設置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光偏向装置。
  6. 可撓梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、
    前記可動部に固定されているミラーと、
    前記可動部に固定されている永久磁石と、
    前記可動部の揺動軸に沿う方向を第1方向としたときに、第1方向に直交する第2方向において前記永久磁石を挟んで対向している第1磁極と第2磁極を有している電磁石と、
    前記基板に対して固定されているとともに、第3方向の磁束密度成分を検出する複数の磁気センサと、を備えており、
    前記第1方向と前記第2方向に直交する方向を第3方向としたときに、前記複数の磁気センサに存在位置における、前記電磁石に通電したときに発生する磁束の第3方向成分の総和がゼロである、光偏向装置。
  7. 1つの電磁石に対して2つの磁気センサが設置されており、
    前記2つの磁気センサが、前記第1磁極と前記第2磁極とのギャップの前記第2方向の中央位置に関して対称となる位置に設置されている、請求項6に記載の光偏向装置。
  8. 1つの揺動軸に対して複数の電磁石が設置されており、
    1つの電磁石に対して少なくとも1つの永久磁石と少なくとも1つの磁気センサが設置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光偏向装置。
  9. 前記基板は、前記可撓梁と前記可動部と一体に形成されている部分を含んでおり、
    前記磁気センサが前記基板の前記部分に設置されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光偏向装置。
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