JP2011196500A - 電動オイルポンプの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動オイルポンプを駆動するモータの駆動回路の電源電流Ibが、再始動用油圧の発生に必要な駆動電力に基づいて設定された第1制限値Ib1または、再始動性確保のためバッテリ電圧低下を抑制する許容電流値として設定される第2制限値Ib2によって制限され、かつ、第1回転数閾値未満の状態が所定時間以上継続したときには、ポンプの運転を許容しつつ故障時ポンプ駆動制御を行い、第2回転数閾値未満となったときには、ポンプの運転を停止する。
【選択図】図6
Description
このため、変速機構において、無段変速機ではエンジンと変速機構入力軸とを接続する発進用のクラッチ機構、有段自動変速機では変速要素締結用のクラッチ機構が再始動時に締結されるときに、ショックを発生することがあった。
このため、電動オイルポンプに効率低下等の異常が生じても、油圧供給が可能であれば油圧供給を継続して締結ショックの低減を図ることが考えられる。
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、電動オイルポンプの異常時に、バッテリ電圧の低下を抑制して再始動性を確保しつつ、可能な範囲で再始動用油圧を確保して締結ショックを軽減できるようにした電動オイルポンプの制御装置を提供することを目的とする。
エンジンの自動運転停止制御中に、該エンジンに接続される変速機構の作動油圧を、電動オイルポンプからの供給油圧によって再始動用油圧以上に維持させる電動オイルポンプの制御装置であって、以下の各手段を含んで構成される。
A.前記電動オイルポンプの故障を診断するポンプ故障診断手段
B.前記電動オイルポンプの供給油圧に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出手段
C.前記電動オイルポンプが故障していると診断されたときに、前記パラメータの値に基づいて、前記再始動用油圧より低い所定油圧以上に前記供給油圧が維持されているかを判定する供給油圧判定手段
D.前記再始動用油圧より低い所定油圧以上に前記供給油圧が維持されていると判定したときには、前記電動オイルポンプの運転を許容し、前記供給油圧が前記所定油圧未満の状態と判定したときには、前記電動オイルポンプの運転を停止させるポンプ運転/停止制御手段
図1において、アイドルストップ機能付き車両に搭載されたエンジン(内燃機関)1には、トルクコンバータ2及び発進用クラッチ機構である前後進切換機構3を介して無段変速機4が接続されている。
前後進切換機構3は、例えば、エンジン出力軸と連結したリングギア、ピニオン及びピニオンキャリア、変速機入力軸と連結したサンギアからなる遊星歯車機構と、変速機入力軸とピニオンキャリアを連結する前進クラッチと、変速機ケースをピニオンキャリアに固定する後退ブレーキと、を含んで構成される。
無段変速機4は、プライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42と、これらプーリ間に掛けられたVベルト43と、を含んで構成され、プライマリプーリ41の回転は、Vベルト43を介してセカンダリプーリ42へ伝達され、セカンダリプーリ42の回転は、駆動車輪へ伝達されて車両が走行駆動される。
かかる前後進切換機構3及び無段変速機4を備えた変速機構20の制御は、以下のように行われる。
一方、前記機械式オイルポンプ7をバイパスする通路に電動オイルポンプ8を設ける。該電動オイルポンプは、車両のアイドルストップ後の再始動時における締結ショックを緩和するため、CVTコントロールユニット5からの制御信号によって駆動される。
また、上記の再始動用油圧供給制御と共に、電動オイルポンプ8の回転抵抗が許容レベル以上である故障、その他、モータ自体の劣化による出力や効率の悪化により、モータ回転数が上昇しにくく消費電力も増大するポンプ故障の診断を行い、該ポンプ故障の有無、故障レベルに応じた制御を行う。
図2は、上記再始動用油圧制御の制御ブロック図を示す。
目標値演算部51は、車両の各種センサからの検出信号(車速、ブレーキ、アクセル、シフト位置、油水温度、エンジン回転速度、バッテリ電圧、その他)を入力し、これら信号に基づいて検出された車両運転状態に応じて、電動オイルポンプ8を駆動するモータ81の回転数(またはモータ電流)の目標値を演算する。
電源電流Ibは、電流センサ53によって検出される。モータ81の実回転数は、センサによって直接計測する他、駆動回路82からモータの相電圧を入力して検出することも可能である。
そこで、通常のフィードバック制御で設定される操作量を修正し、電源電流が過剰となることを抑制する制御を行う。この制御については、後に詳述する。
図3は、再始動用油圧制御のフローチャートである。
ステップS1では、駆動回路82の電源電圧(バッテリ電圧)VBを読み込み、該電圧VBに基づいて、前記第1制限値Ib1と第2制限値Ib2を設定する。
より具体的には、再始動用油圧を得るのに必要なモータ回転数(又は該必要モータ回転数を得るのに必要なモータ電流)は、ポンプ個体差(ポンプ本体やモータの性能バラツキ)を有する。そこで、どの個体でも必要回転数(必要モータ電流)以上となって再始動用油圧を確保できる電力の下限値(下限電力)に、マージン(余裕分)を加えた要求電力に対し、該要求電力が得られる電源電流値として第1制限値Ib1を設定する。
本実施形態では、バッテリ電圧(駆動電圧)VBの変動に応じて第1制限値Ib1を以下のように可変に設定する。例えば要求電力が60Wの場合の第1制限値は、電圧VBが12Vのときには5A、電圧VBが10Vのときには6Aとして可変に設定される。
ただし、簡易的には電動オイルポンプの駆動を許容できるバッテリ電圧VBの許容下限値に対応する第1制限値Ib1を固定値として設定してもよい。
一方、第2制限値Ib2は、それ以上の電源電流Ibが流れると、バッテリ電圧の低下が大きく、再始動性を確保するのが難しくなる許容電流の限界値として設定される。
このように、第2制限値Ib2についてもバッテリ電圧VBに応じて可変に設定することにより、過不足のない適正な第2制限値Ib2を設定できる。
ステップS2では、電流センサ53で検出された実電源電流Ibが第2制限値Ib2以下であるかを判定する。
ステップS2で実電源電流Ibが第2制限値Ib2以下と判定されたときは、ステップS3へ進む。
次いで、ステップS4では、実電源電流Ibが第1制限値Ib1以下であるかを判定する。
これにより、適正な応答特性でモータの回転数が速やかに目標回転数(目標モータ電流)に収束され、電動オイルポンプ8から供給される作動油によって、前後進切換機構3の作動油圧が再始動用油圧以上に維持される。この結果、再始動時に前後進切換機構3の前進クラッチの締結ショックを十分に緩和しつつ、バッテリ電圧の低下も抑制されて再始動性が確保され、円滑な再発進を行える。
そして、操作量が増加したと判定されたときは、ステップS7へ進んで、最終的な操作量を前回演算した操作量に維持する設定とする。
このようにして、操作量の増加を禁止する。ステップS7またはステップS8で設定された操作量は、ステップS5で出力される。
このように、電源電流Ibが第1制限値Ib1を超えたときに操作量の増加を禁止することにより、電源電流Ibが増大しないように制限することができる。これにより、電動オイルポンプ8の正常時(個体差の範囲内)には、消費電力を最小限に抑制しつつ、モータを必要回転数(必要モータ電流)以上に上昇させて、再始動用油圧を確保することができる。
上述したように、ポンプの個体差により再始動用油圧を確保できるモータの必要回転数(必要モータ電流)にバラツキがある。そこで、どのポンプ個体でも、再始動用油圧を確保できるようにするため、モータの目標回転数(目標モータ電流)を最も必要回転数(必要モータ電流)が高いポンプの該最大の必要回転数(必要モータ電流)より高く設定している。
一方、目標回転数(目標モータ電流)でモータを回転する場合で比較すると、必要回転数(必要モータ電流)が低いポンプの方が、必要回転数(必要モータ電流)が高いポンプより、必要回転数(必要モータ電流)から目標回転数(目標モータ電流)までの上昇分が大きいので再始動用油圧に対して油圧がより高く上昇する。すなわち、必要回転数(必要モータ電流)が低いポンプの方が、必要回転数(必要モータ電流)が高いポンプより、仕事量が増大することになるので消費電力が増大する。
これに対し、本実施形態では、同じく必要回転数(必要モータ電流)が低いポンプのモータに対し、電源電流Ibを第1制限値Ib1によって制限することにより、図4に実線で示すように、モータ回転数(モータ電流)は、目標回転数(目標モータ電流)より減少するが該ポンプの必要回転数(必要モータ電流)は超える。このため、再始動用油圧を確保できる一方、過剰な回転数上昇が抑制されて消費電力損失を抑制できる。
また、電源電流Ibが第1制限値Ib1近傍に維持されることで、バッテリ電圧の低下を抑制でき再始動性を確保できることは勿論である。
一方、電動オイルポンプのモータ回転抵抗が増大する異常時には、上記操作量の増加を禁止する制御等を行っても、さらに電流が増大して第2制限値Ib2を超えてしまうことがある。
ステップS9では、電流超過量に応じて電源電流Ibを強制的に低減させるように以下のように操作量を演算する。
まず、電源電流Ibの第2制限値Ib2に対する超過電流量ΔIbを次式(1)により演算する。
次いで、電源電流Ibを低減するための操作量低減量を次式(2)により演算する。
操作量低減量=ΔIb2×ゲイン(>0)・・・(2)
最後に、前回操作量を操作量低減量で補正して、今回の操作量を次式(3)により演算する。
ステップS9で演算した操作量は、ステップS5で出力される。
このように、操作量を低減して電源電流Ibを低減する方向に制御することにより、電源電流Ibが第2制限値Ib2を超えないように制限することができ、これにより、バッテリ電圧VBの低下が抑制されて再始動性を確保することができる。
また、ポンプ個体差が特に大きい場合は、電源電流Ibが第1制限値Ib1によって制限しても第2制限値Ib2まで到達してしまう可能性もある。この場合は、第1制限値Ib1より大きい第2制限値Ib2まで電源電流Ibが増大するから、当然に再始動用油圧は確保され、締結ショックの回避と再始動性確保を両立できる。
かかる異常時において、モータ回転数が低すぎて電動オイルポンプ8からの供給油圧が再始動用油圧、あるいは、締結ショックを多少なりとも緩和できる油圧にも達する見込みがない場合は、電動オイルポンプ8を駆動しても電力を無駄に消費するだけである。したがって、かかる場合は、電動オイルポンプ8の運転を停止させるのが望ましい。
図6は、ポンプ故障の診断のフローを示す。
ステップS11では、上記図3のフローにおいて、電源電流Ibが第1制限値Ib1又は第2制限値Ib2で制限されているかを判定する。
ここで、第2回転数閾値は、以下の機能を持たせた値として設定されている。上述したように、電動オイルポンプ8からの供給油圧を利用する側の機器である前進クラッチにも個体差がある。例えば、電動オイルポンプ8からの供給油圧が同一でも、前進クラッチの液密の程度が低い(高い)場合は、最終的に利用される前進クラッチの作動油圧は低く(高く)なる。第1回転数閾値は、かかる前進クラッチの個体差も考慮してどの個体でも(クラッチ個体差の範囲内で最も性能が低いクラッチ個体でも)再始動用油圧又は多少なりとも締結ショックを緩和できる作動油圧を確保できる下限回転数に設定してある。
ステップS13でモータ回転数が第2回転数閾値未満と判定されたときは、ステップS14へ進んで、第2回転数閾値未満が所定時間以上継続したかを判定する。
第2回転数閾値未満が所定時間以上継続したと判定されたときは、ステップS15へ進んで電動オイルポンプ8の運転を停止する。ここで、所定時間以上の継続を判定条件とするのは、電動オイルポンプ8の起動時、モータ回転数上昇中、あるいは、上述した異物によって一時的に回転抵抗増大するような場合の異常判定を回避するためである。
また、上記にように電動オイルポンプ8の運転を停止したときは、該電動オイルポンプ8による発進時の締結ショックの解消が困難となるので、アイドルストップ自体を禁止して作動油圧の低下を抑制し、発進時の締結ショックを解消するようにしてもよい。
ステップS16の判定がYESのとき、つまり、電源電流Ibが第1制限値Ib1又は第2制限値Ib2で制限された状態で、モータ回転数が第1回転数閾値未満(第2回転数閾値以上)の状態が所定時間以上継続したときは、ステップS17へ進み、電源電流Ibを許容電流値以下に制限しつつ供給油圧を再始動用油圧に近づける制御(故障時ポンプ制御)を行う。なお、所定時間以上の継続を判定条件とするのは、上述したのと同様の理由である。また、ステップS17の故障時ポンプ制御(図7参照)は、該制御中において当該故障が継続していると判断される限り、図6の診断フローをリセットすることなく実施され、制御中に故障が解消されて正常状態に復帰したことを判定したときには、図6の診断フローがリセット後、再開される。
なお、ステップS15,17で、これらの異常が電動オイルポンプ8の故障に基づくものであるため、「ポンプ故障あり」との警報(表示や音等による)を行ってもよい。
ステップS21では、本フローの初回であるかを判定する。
初回と判定されたときは、ステップS22へ進み、モータ回転数を故障時目標回転数とするように操作量を演算する。ここで、故障時目標回転数は、初めて故障と判定された直後は、該故障と判定されたときのモータ回転数、又はこれより若干低い値とする。
次いでステップS23では、前記ステップS22で演算された操作量の出力によって生じる電源電流Ibが電流制限値以下であるかを判定する。ここでの電流制限値は、例えば、再始動性確保のための許容電流の限界値として、第2制限値Ib2と同一値か、これに近い値に設定する。
一方、電源電流Ibが電流制限値を超えていると判定された場合は、ステップS24へ進み、電源電流Ibを電流制限値で制限する処理を行う。
この電流制限処理は、例えば、第2制限値Ib2で制限する場合と同様に、上記ステップS9における操作量の演算(1)〜(3)を行って、電源電流Ibを低減させる。
この後、2回目以降のフローでは、ステップS21からステップS25へ進んで、モータ回転数が故障時目標回転数より誤差量ΔN(>0)を超えて下回っているか、を判定する。この誤差量ΔNは、モータ回転数の目標値への収束時における変動許容量である。
ステップS27では、上記低減した故障時目標回転数とするように操作量を演算する。
このように、故障時目標回転数がモータ回転数を超え、かつ、電源電流Ibが電流制限値を超える場合は、故障時目標回転数を徐々に低減しつつ電源電流Ibも徐々に低減する処理が繰り返される。
したがって、これらの場合は、現状の電源電流Ibで故障時目標回転数に収束するので、収束したときは、ステップS25の判定がNOとなって、ステップS28へ進む。
次いで、ステップ29へ進んでモータ回転数が正常時の目標回転数未満であるかを判定する。
ステップS30では、ステップS30では、故障時目標回転数を所定量増加した後、ステップ27へ進み、該増加した故障時目標回転数となるように操作量を演算する。
ステップ27からステップ23以降へ進んで、電源電流Ibと電流制限値とを比較し、電源電流Ibが電流制限値を超えた場合には、該電流制限値で制限する処理を行う。
また、モータ回転数が故障時目標回転数より誤差量ΔN(>0)を超えて上回る場合、即ち、電源電流Ibが過渡的に増大した場合は、ステップS28からステップS23へ進んで電源電流Ibを電流制限値と比較し、電流制限値を超えた場合には、再度電流制限値で制限されモータ回転数が減少することとなる。
例えば、電源電流Ibが第1制限値Ib1によって、第2制限値Ib2で制限される場合より強く制限され、その結果モータ回転数が第1回転数閾値を下回ってポンプ故障と判定されるような場合がある。
したがって、上記ステップS29の変形態様で、モータ回転数が第1回転数閾値又は第1回転数閾値+余裕代を超えたと判定された場合には、そのとき設定される故障時目標回転数を、今回の制御での最終的な故障時目標回転数とする。
なお、該ステップS29での変形態様に合わせて(ステップS29の判定がYESとなる場合も多いと想定して)、ステップS22での故障判定直後の初期値を、ステップS29での比較値と合わせて、第1回転数閾値又は第1回転数閾値+余裕代に設定してもよい。
これにより、前進クラッチの高性能側の個体と組み合わされることによって、再始動用油圧を確保して締結ショックを少しでも緩和できる確率を高めることができる。
そして、上記のように電流制限値で制限した制御によって最終的に収束するモータ回転数に相当する故障時目標回転数が求められ、該故障時目標回転数を次回の制御時に初期値として設定することができる。これにより、応答性のよい制御を行うことができ、より速やかに故障時目標回転数に収束させて、消費電力を節減できると共に、アイドルストップ制御を開始してからエンジン停止するまでの時間を短縮でき、さらに燃費を節減できる。
この場合は、電源電流Ibを電流制限値でより強く制限するので、通常は、故障時目標回転数は、第1回転数閾値より小さい値に収束する。ただし、例えば、一時的な故障が回復して正常状態に復帰するような場合には、故障時目標回転数が、第1回転数閾値以上に達することもある。したがって、この場合は、故障判定を解除して、正常時の目標回転数を用いた制御に復帰させるようにしてもよい。
これらの場合には、以下のような発進を遅らせる制御を行ってもよい。例えば、停車中に変速機をDレンジとしたまま変速機内部をニュートラル状態として発進時に走行状態に戻す制御を行い、この走行状態に戻すタイミングを、機械式オイルポンプによる作動油圧が締結ショックを生じない程度に上昇する期間に基づいて設定すればよい。故障時ポンプ駆動制御を行っているときは、電動オイルポンプ8の駆動によりある程度の作動油圧の上昇を見込んで、発進遅延時間を短くするようにしてもよく、それだけ燃費を改善しつつ、発進遅延時間を短縮できる。
図8は、該第2の故障時ポンプ制御のフローチャートである。
ステップS31では、故障時目標電流を設定する。この故障時目標電流も、再始動性確保のための許容電流の限界値を意図するものであるから、第2制限値Ib2と同一値か近い値に設定してよい。
かかる構成とすれば、再始動性を確保しつつ、最大限の電源電流Ibを供給してモータ回転数を可能な限り増大することができる。
したがって、第1の故障時ポンプ制御と同様に、前進クラッチの高性能側の個体と組み合わされることによって、再始動用油圧を確保して締結ショックを少しでも緩和できる確率を高めることができる。また、極めて簡易な制御で済む。
図9は、上記制御を行う第2実施形態のフローチャートを示す。
ステップS41では、電動オイルポンプ8の駆動開始後所定時間内での電源電流Ibの増大変化率が所定値以上かを判定する。モータの回転抵抗が大きい異常時(ポンプ故障時)は、電源電流Ibの増大変化率が大きくなって所定値以上と判定される。
上記ステップS41,44の判定のいずれかがYESとなってポンプ故障ありと判定された場合は、ステップS42へ進んでモータ回転数が第2回転数閾値未満となったかを判定する。
ステップS41,44の判定がいずれもNOの場合は、ポンプが正常と判定してステップS46へ進み通常の制御を行う。
また、供給油圧が所定油圧以上で締結ショック緩和効果を多少なりとも期待できるときは、電動オイルポンプの運転を許容することにより、可能な限り作動油圧を高めて締結ショック緩和効果が得られる確率を高めることができる。
以上示した実施形態では、故障診断を行うパラメータ、及びポンプ駆動停止と故障時ポンプ駆動制御との切換判断を行うパラメータとして、簡易に検出が可能なモータ回転数を用いたが、変速機構(の前進クラッチ)への供給油圧を判断できるパラメータであればよく、供給油圧自体を検出して行ってもよい。
また、減速走行時にブレーキ操作を行って車速一定以下となったときにエンジンの運転を自動停止させ、ブレーキ操作を解除しアクセル操作を行ったときにエンジンを再始動するエンジン自動停止制御がある。かかる、エンジン自動停止制御中に電動オイルポンプによって変速機構の作動油圧を再始動用油圧以上に確保する制御としたものにも、本発明を適用することができ、同様の効果を得られる。
(イ)
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の電動オイルポンプの制御装置において、前記所定油圧は、変速機構の個体差を考慮して設定される。
電動オイルポンプ側からの供給油圧は、変速機構(前進クラッチ)の個体差を考慮して最も低性能側の個体でも、作動油圧が締結ショックを緩和できる作動油圧以上となるように高めに設定されている。
したがって、電動オイルポンプが低性能側の個体で供給油圧が多少低くても、変速機構の高性能側の個体と組み合わせれば、作動油圧が締結ショックを緩和できる作動油圧以上となる可能性がある。
(ロ)
請求項1〜請求項3、又は(イ)のいずれか1つに記載の電動オイルポンプの制御装置において、前記電動オイルポンプの供給油圧に関連するパラメータは、電動オイルポンプを駆動するモータの回転数である。
(ハ)
請求項1〜請求項3、又は(イ)、(ロ)のいずれか1つに記載の電動オイルポンプの制御装置において、前記モータは、モータ回転数を目標値としてフィードバック制御される。
(ニ)
請求項1〜請求項3、又は(イ)、(ロ)のいずれか1つに記載の電動オイルポンプの制御装置において、前記モータは、モータ電流を目標値としてフィードバック制御される
(ニ)の構成とすれば、同じく再始動用油圧以上に維持できるモータ回転数を得られるモータ電流を、目標値として設定することにより、良好な制御を行うことができる。
Claims (3)
- エンジンの自動運転停止制御中に、該エンジンに接続される変速機構の作動油圧を、電動オイルポンプからの供給油圧によって再始動用油圧以上に維持させる電動オイルポンプの制御装置であって、
前記電動オイルポンプの故障を診断するポンプ故障診断手段と、
前記電動オイルポンプの供給油圧に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出手段と、
前記電動オイルポンプが故障していると診断されたときに、前記パラメータの値に基づいて、前記再始動用油圧より低い所定油圧以上に前記供給油圧が維持されているかを判定する供給油圧判定手段と、
前記再始動用油圧より低い所定油圧以上に前記供給油圧が維持されていると判定したときには、前記電動オイルポンプの運転を許容し、前記供給油圧が前記所定油圧未満の状態と判定したときには、前記電動オイルポンプの運転を停止させるポンプ運転/停止制御手段と、
を、含んで構成した電動オイルポンプの制御装置。 - 前記ポンプ運転/停止制御手段は、前記電動オイルポンプの運転を許容するときには、前記電動オイルポンプを駆動するモータの駆動回路の電源電流を許容電流値以下に制限しつつ、前記供給油圧を前記再始動油圧に近づけるように制御する請求項1に記載の電動オイルポンプの制御装置。
- 前記ポンプ運転/停止制御手段は、前記電動オイルポンプの運転を許容するときには、前記電動オイルポンプを駆動するモータの駆動回路の電源電流を許容電流値とする請求項1に記載の電動オイルポンプの制御装置。
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