JP2011189554A - 樹脂積層体の連続製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能層の密着性が高く、層の剥離が抑制され、外観に優れ、優れた光学特性を備えた樹脂積層体、特に、機能層としてハードコート層を有し耐擦傷性に優れる樹脂積層体を、短時間で効率よく連続して製造できる樹脂積層体の連続製造方法を提供する。
【解決手段】同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方に、機能層を形成した透光性樹脂シートを用い、該透光性樹脂シートを機能層側が内側になるように配置し、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該光重合性単量体混合物上に上部支持シートを積層し、透光性樹脂シートを介して活性線を照射して光重合性単量体混合物を重合硬化させて機能層と一体化した後、下部支持シート及び上部支持シートを剥離し樹脂積層体を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方に、機能層を形成した透光性樹脂シートを用い、該透光性樹脂シートを機能層側が内側になるように配置し、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該光重合性単量体混合物上に上部支持シートを積層し、透光性樹脂シートを介して活性線を照射して光重合性単量体混合物を重合硬化させて機能層と一体化した後、下部支持シート及び上部支持シートを剥離し樹脂積層体を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シート間で単量体を重合すると共にその表面を機能層で被覆した樹脂積層体を連続して製造する樹脂積層体の連続製造方法に関する。
携帯電話、携帯型ゲーム機、カーナビゲーションシステム、ポータブルAV機器等に代表される小型ディスプレイにおいて、これらディスプレイの表面には耐擦傷性、反射防止性、帯電防止性、防汚染性等の各種機能を有することが求められている。例えば、ディスプレイに耐擦傷性を付与するため、その保護材として透明樹脂基材の表面を耐擦傷性を有するハードコート層で被覆した樹脂積層体が市販されている。このようなハードコート層を有する樹脂積層体を連続して製造する方法として、鋳型の成形面上に架橋性を有する重合物の皮膜を形成し、その後、鋳型に基材樹脂原料を導入して重合を行なうことにより、ハードコート層を有する基材を得る方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1による基材樹脂製造方法は同方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの相対する面間に供給した単量体を熱重合にて重合するため、重合時間が長く、装置も大型になる傾向がある。
ところで、下部のエンドレススチールベルトと上部の透明性支持シートの間に光重合性モノマー組成物を供給し、活性線を照射して光重合性モノマーを重合させる透明樹脂基板の連続的製造方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法に特許文献1に記載されるハードコート層を有する基材の製造方法を適用すると、透明性支持シートが樹脂フィルムであり、剛性が低いため、ハードコート層の重合収縮に対抗できず、樹脂フィルムがカールし、製造した樹脂積層体もその影響を受けて、外観不良となる場合がある。
このような樹脂フィルムの反りに対しては、形成するハードコート層の厚みを薄くすることによって、フィルムの反りを抑制する方法が提案されている(特許文献3)が、支持シート間に供給した単量体混合物を重合すると共にハードコート層と一体化する場合、単量体がハードコート層を透過して、ハードコート層の効果が得られない場合がある。
本発明の課題は、機能層の密着性が高く、層の剥離が抑制され、外観に優れ、優れた光学特性を備えた樹脂積層体、特に、機能層としてハードコート層を有し耐擦傷性に優れる樹脂積層体を、短時間で効率よく連続して製造できる樹脂積層体の連続製造方法を提供することにある。
本発明は、同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方に、機能層を形成した透光性樹脂シートを用い、該透光性樹脂シートを機能層側が内側になるように配置し、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該光重合性単量体混合物上に上部支持シートを積層し、透光性樹脂シートを介して活性線を照射して光重合性単量体混合物を重合硬化させて機能層と一体化した後、下部支持シート及び上部支持シートを剥離し樹脂積層体を形成する樹脂積層体の連続製造方法に関する。
また、本発明は、同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方に、単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下の張力を負荷した状態で厚さ10〜25μmのハードコート層を形成した透光性樹脂シートを用い、該透光性樹脂シートを機能層側が内側になるように配置し、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該光重合性単量体混合物上に上部支持シートを積層し、透光性樹脂シートを介して活性線を照射して光重合性単量体混合物を重合してハードコート層と一体化した樹脂積層体を形成することを特徴とする樹脂積層体の連続製造方法に関する。
本発明の樹脂積層体の製造方法は、機能層の密着性が高く層剥離が抑制され、外観に優れ、優れた光学特性を備えた樹脂積層体、特に、機能層としてハードコート層を有し耐擦傷性に優れる樹脂積層体を、短時間で効率よく連続して製造することができる。
本発明の樹脂積層体の連続製造方法は、同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方を透光性樹脂シートで形成し、これら上部支持シートと下部支持シート(上下支持シートともいう。)間において、光重合性単量体混合物を透光性樹脂シートを介して活性線を照射することにより連続して重合させ樹脂積層体を連続製造する。その際、機能層を形成した透光性樹脂シートを用いることにより機能層を有する樹脂積層体を得ることができる。機能層としては、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防汚染層等が挙げられる。機能層をハードコート層とする場合、透光性樹脂シートに単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下の張力を負荷してハードコート層を形成したものを使用することができる。これによりハードコート層を有する透光性樹脂シートに反りが生じるのを抑制することができ、光重合性単量体混合物の重合体にハードコート層が強固に固着すると共に外観に優れた樹脂積層体を連続して製造することができる。
本発明に用いる上下支持シートはシート面が対向して配置され、同一方向に同一速度で移動するものであれば、1対のプーリに懸架されたエンドレスベルトであっても、一端から巻き出され他端に巻き取られるシートであってもよい。これらの上下支持シートのうち、少なくとも一方に機能層が成形された透光性樹脂シートを用いれば、他方は、機能層を形成した透光性樹脂シートを用いてもよく、また、機能層が成形されていない透光性樹脂シートであってもよく、また、その他の樹脂製や、鉄、ステンレス等の金属製のシートであってもよい。金属製シートは光重合性単量体混合物の重合の際の収縮に対抗する剛性が高いことから好ましい。また、これらの表面は得られる樹脂積層体の表面に転写されることから、表面が平滑であることが好ましい。かかる透光性樹脂シートは、後述する光重合性単量体混合物を重合させる活性線の透過率が高く、また、樹脂積層体に形成された機能層に対して剥離性を有するものが好ましい。透光性樹脂シートが樹脂積層体に形成された機能層に対して剥離性を有しない場合は、透光性樹脂シート表面に剥離層を設けることもできるが、得られる樹脂積層体の表面の濡れ性が変化し、良好な印刷が得られない場合もあることから、剥離層を設けないことが好ましい。透光性樹脂シートの材質としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂や、セルロースアセテート等のセルロースを挙げることができる。これらのうち、シート表面の平滑性、厚み制度の高さ、価格の点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、透光性樹脂シートは巻いた状態(ロール状)から繰出して供給する場合、シート同士のくっつきを起こすブロッキングを抑制するためのブロッキング防止剤を含まないことが好ましい。透光性樹脂シートがブロッキング防止剤を含有し表面に微小な凹凸を有すると、その凹凸が機能層に転写されて、得られる樹脂積層体の外観を損ない、また、透光性樹脂シートが機能層と密着し、成形した樹脂積層体からの剥離不良を生じる場合がある。
透光性樹脂シートの厚さは、しわや亀裂の発生を抑制し、表面の平滑性が得られることから、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、コスト面から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
透光性樹脂シート上に機能層を形成する際、透光性樹脂シートに適宜張力を負荷した状態で形成することが好ましい。
透光性樹脂シート上にハードコート層を形成する方法としては、透光性樹脂シートに単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下の張力を負荷した状態で形成する方法であれば特に制限されるものではなく、浸漬、コーティング、スプレー塗布等の塗工や、予めフィルム状に形成したハードコート層を積層する方法等を挙げることができる。
透光性樹脂シートに成形するハードコート層の材質は、光重合性単量体混合物の重合体との固着性が高く、光重合性単量体混合物の重合体表面に耐擦傷性の被覆を形成することができ、しかも、透光性樹脂シートとの剥離性が高いものが、透光性樹脂シートに剥離層を設けずに直接ハードコート層を形成しても、製造した樹脂積層体を透光性樹脂シートから容易に剥離することができることから、好ましい。ハードコート層の材質としては、電子線、放射線、紫外線等の活性線の照射や、加熱によりラジカル重合可能なアクリル系単量体を重合して得られる樹脂や、アルコキシシランやアルキルアルコキシシラン等のシラン化合物を縮重合して得られるシリコーン樹脂等を使用することができる。これらのうち、紫外線照射により重合硬化する紫外線硬化性単量体から得られる樹脂を用いることが、製造効率の点から好ましい。紫外線硬化性単量体を重合してハードコート層を形成する方法としては、上記アクリル系単量体である分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体、及び紫外線により分解してラジカルを発生する重合開始剤を含有するハードコート層成形用塗工液を用いることが好ましい。このようなハードコート層成形用塗工液を透光性樹脂シートに塗工して得られる塗工膜に、紫外線照射して重合反応を進行させ、効率よくハードコート層を形成することができる。ハードコート層が形成された透光性樹脂シートを用いることにより、光重合性単量体混合物の重合により得られる重合体とハードコート層を一体化することができる。上記ハードコート層は、外観に優れる積層体を得るために、インライン工程で形成されることが好ましい。ここで、「インライン工程」とは、樹脂積層体の製造ラインに組み込まれた工程のことをいう。
上記ハードコート層成形用塗工液に含まれる分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体としては、1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物等が挙げられる。1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物の具体例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等の3官能以上のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;等を挙げることができる。
上記多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物として、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸の好ましい組合せとしては、例えば、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物として、その他、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートの3量化により得られるポリイソシアネート1モル当たり、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、15,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の活性水素を有するアクリル系モノマー3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチレン]イソシアヌレート;エポキシポリ(メタ)アクリレート;ウレタンポリ(メタ)アクリレート;などを挙げることができる。ここで「(メタ)アクリ」とは、「メタクリ」又は「アクリ」を意味する(以下同じ)。
上記ハードコート層成形用塗工液に含有される重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のリン化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層成形用塗工液に含有される紫外線により分解してラジカルを発生する重合開始剤の添加量は、ハードコート層成形用塗工液100質量部中、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の添加量が0.1質量%以上であれば重合反応を効率よく進行させることができ、10質量部以下であればハードコート層の良好な色調を維持することができる。
ハードコート層成形用塗工液は、上記物質の機能を阻害しない範囲において、必要に応じて、スリップ性向上剤、レベリング剤、無機微粒子、光安定剤(紫外線吸収剤、HALS等)等の各種成分を含有していてもよい。これらの成分の含有量はハードコート層成形用塗工液100質量部中、10質量部以下であることが、透明性の保持の点から好ましい。また、反射防止剤、防眩剤、帯電防止剤、汚れ防止剤等をハードコート層成形用塗工液に添加し、ハードコート層に反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、汚れ防止機能を付与することもできる。また、これらの機能を有する層をハードコート層に積層して設けることもできる。
上記ハードコート層成形用塗工液の透光性樹脂シートへの塗工方法としては、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法、フィルムカバー法、ディッピング法が挙げられる。
ハードコート層を成形する際に透光性樹脂シートに負荷する張力は単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下とする。透光性樹脂シートに張力を負荷する方向は透光性樹脂シートの移動方向であり、単位幅は透光性樹脂シートの移動方向に対して垂直方向の透光性樹脂シートの幅に対する単位当りの幅をいう。ハードコート層を成形する際に透光性樹脂シートに負荷する上記方向の張力をハードコート層の単位断面積当りで特定しても、透光性樹脂シートの良好な外観を有する透光性樹脂シートを得ることができないが、単位幅当りにおいて特定することにより、透光性樹脂シートの厚さを問わず良好な外観を有する透光性樹脂シートを得ることができる。透光性樹脂シートに負荷する単位幅当りの張力が20kgf/m以上であれば、ハードコート層を形成した透光性樹脂シートに反りや、波打ち等が生じるのを抑制することができ、得られる樹脂積層体の外観不良や、経時に伴い外観不良が生じるのを抑制することができる。また、透光性樹脂シートに負荷する単位幅当りの張力が100kgf/m以下であれば、樹脂積層体の透光性樹脂シートからの剥離が困難になるのを抑制することができ、また、装置の大型化を抑制することができる。透光性樹脂シートに負荷する張力は、25kgf/m以上、50kgf/m以下であることが好ましい。ここで、透光性樹脂シートに負荷する張力は、ハードコート層を形成する直前に設けたニップロールに負荷される張力を測定し、その値をフィルム幅で除算して求めることができる。また、ロールに架かる透光性樹脂シートの抱き角から透光性樹脂シートに負荷される張力を求めることもできる。
上記透光性樹脂シート上に形成される機能層の厚さは、その機能、層の密度、光重合性単量体の種類、透光性樹脂シートの材質や、得られる樹脂積層体に要求される外観や反りの発生が抑制できる範囲から選択することができる。機能層がハードコート層の場合は、その厚さは10μm以上、25μm以下とすることが好ましい。ハードコート層の厚さが10μm以上であれば、光重合性単量体混合物がハードコート層に浸透し、表面硬度が低下して得られる樹脂積層体の耐擦傷性が低下するのを抑制することができ、25μm以下であれば、紫外線硬化性単量体の重合収縮により透光性樹脂シートに反りが生じるのを抑制し、透光性樹脂シートに問題となる反りが生じていない場合でも得られる樹脂積層体の表面に揺らぐような外観悪化が生じるのを抑制することができる。ハードコート層の厚さは、12μm以上、20μm以下であることがより好ましい。ハードコート層の厚さは後述する測定方法により得られる測定値を採用することができる。
上記ハードコート層等の機能層が成形された透光性樹脂シートを用いない上下支持シートには、上記のように光重合性単量体混合物をシート状に保持することができる何れの材質も用いてもよいが、具体的には、上部支持シートに透光性樹脂シートを用い、光重合性単量体混合物が供給される下部支持シートに、表面を鏡面仕上げされたスチール製のエンドレスベルトを用いることができる。
上記上下支持シートの移動速度は、後述する光重合性単量体の重合速度により調整することができ、上下支持シートは、その対向面が形成する樹脂積層体の厚さに対応する距離を介して配置することができる。
このような下部支持シート上に供給する光重合性単量体混合物は、活性線を照射することにより重合する光重合性単量体成分の他、活性線照射により分解しラジカルを発生する重合開始剤等を含むことが好ましい。光重合性単量体成分としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−t-ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素原子含有単量体、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、エチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能単量体等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。得られる樹脂積層体の光学特性、耐擦傷性、ハードコート層の密着性の観点から、光重合性単量体混合物にメチルメタクリレートが30質量%以上含有されることが好ましく、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。
光重合性単量体成分には、硬化時間の短縮、得られる重合体の重合収縮の低減、光重合性単量体混合物の粘度を上昇させ取り扱いを容易にするために、上記単量体を予備重合したオリゴマーやポリマーを含有させてもよく、これらを単量体に溶解して用いることもできる。
光重合性単量体混合物に含有させる重合開始剤としては、活性線の照射によって光重合性単量体の重合反応を開始するラジカルを発生するものであって、得られる重合体の透明性を阻害しないものが好ましく、具体的には、アセトフェノン系又はベンゾフェノン系の活性線によりラジカルを発生する重合開始剤を挙げることができる。特に、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテル等を用いることが好ましい。
これらの重合開始剤の含有量は、光重合性単量体混合物100質量部に対し、0.01質量部以上、2質量部以下の範囲であることが好ましい。重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であれば重合反応を短時間で終了させることができ、2質量部以下であれば得られる樹脂積層体の光学特性、耐候性が低下するのを抑制することができ、より好ましくは0.05質量部以上、1質量部以下の範囲である。
光重合性単量体混合物にはその他、熱重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、離型剤、重合禁止剤等、上記物質の機能を阻害しない範囲で必要に応じて使用することができる。
上記光重合性単量体混合物を下部支持シートに供給する方法としては、透光性樹脂シートを機能層が内側になるように配置した上で、配管やホースから下部支持シート上に供給する方法、各種コーティング方法等いずれの方法であってもよいが、光重合性単量体混合物を下部支持シート上に均一に展延させながら連続して供給することが好ましい。そのために、下部支持シートの幅に対応する幅の吐出口を備えたダイを用いる方法や、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該混合物上に上部支持シートを積層する際に、両側支持シートを介したロールによって光重合性単量体混合物を押し拡げる方法などを適用することができ、また、これらを組み合わせて適用してもよい。
上記光重合性単量体混合物を重合させる活性線には、X線、紫外線、電子線等を使用することができる。装置の簡便さから特に紫外線が好ましい。紫外線には、各種紫外線照射装置から放射される紫外線を使用することができ、かかる紫外線照射装置としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、殺菌灯、ブラックライト、紫外LED等を挙げることができる。
活性線の照射強度は、光重合性単量体混合物に含有される重合開始剤の種類及びその濃度、照射時間に応じて、所望の重合速度が得られ、過剰に照射されて重合体が黄変するのを抑制できるように調整することが好ましく、例えば、1mW/cm2以上500mW/cm2以下の範囲を挙げることができる。
活性線の照射時における温度条件としては、重合速度や粘性条件などにより選定できるが、光重合性単量体の沸点以下であることが好ましく、例えば、光重合性単量体混合物が、メチルメタクリレートを30質量%以上含む場合は、100℃以下であることが好ましい。
活性線照射により光重合性単量体が重合した重合体に対しては、残存する単量体を減少させ、樹脂積層体中に残留する応力を緩和させることから、得られる重合体のガラス転移温度Tg以上の温度に熱処理することも可能であり、メチルメタクリレートを前記単量体として使用する場合、100℃以上に熱処理することが好ましい。熱処理を行うタイミングは、上下支持シート間に挟持された状態、又は、上下支持シート間から剥離後のいずれかを、使用する透光性樹脂シートの耐熱性から選択することができる。
樹脂積層体の生産速度、即ち上下支持シートの移動速度としては、0.1〜15m/minであることが好ましく、1〜10m/minであることがより好ましい。生産速度が0.1m/min以上であれば樹脂積層体の生産量を確保することができ、15m/min以下であれば活性線照射区間が長距離に亘るのを抑制することができる。
樹脂積層体の厚さは、特に制限されるものではないが、重合熱の除去が効率よく行われ、未反応の単量体の沸騰により樹脂積層体内に泡が生じたり、透光性樹脂シートがガラス転移温度以上に加熱され変形が生じるのを抑制できる範囲が好ましく、例えば、5mm以下を挙げることができる。
本発明の樹脂積層体の製造方法を適用した樹脂積層体の製造装置の一例を図1に示す。図1に示す樹脂積層体の製造装置は、透光性樹脂シート2を繰り出す繰出し装置1と、透光性樹脂シートを巻取る巻取り装置11を備え、透光性樹脂シートは繰出し装置1と巻取り装置11間、特に紫外線照射装置4が設置される紫外線照射箇所において、移動方向に単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下の張力が負荷される。機能層成形用塗工液の供給装置(図示せず)に接続されたコーター3が設けられ、繰出し装置から繰り出された透光性樹脂シート上にコーター3から機能層成形用塗工液が供給され塗布される。紫外線照射装置4から放出される紫外線により塗膜中の紫外線硬化性単量体が重合され機能層が形成され、上部支持シートとして機能層を有する透光性樹脂シート2′が形成される。
一方、プーリ13、14に懸架され矢印方向に回転する下部支持シートとしてのエンドレスベルト7上に光重合性単量体混合物6をシート状に供給するダイ5が備えられ、エンドレスベルト7上にシート状に光重合性単量体混合物6が供給され、光重合性単量体混合物6は上面押し付けローラー8と下面押し付けローラー8′によって機能層を有する透光性樹脂シートとエンドレスベルトにより挟持される。その後、光重合性単量体混合物6は紫外線照射装置9から照射される紫外線により重合硬化された後、加熱手段10により熱処理され、機能層に被覆され一体化された樹脂積層体12とされる。加熱手段10としては、特に制限されず、例えば温水や熱風により加熱する手段を挙げることができる。
樹脂積層体から透光性樹脂シート2とエンドレスベルト7が剥離され、樹脂積層体は切断器により所望の長さに切断されたり、あるいは、ロール状に巻き取られ、製品とされる。一方、機能層を転写した後の透光性樹脂シート2は、巻取り装置11により巻取られるが、繰出し装置1に装着される透光性樹脂シートが消費されるまで、樹脂積層体の製造を継続することができる。また、透光性樹脂シート2が消費し尽くされる前に、その供給され移動するシート2に、別の新たな透光性樹脂シート2を接続し、樹脂積層体の製造を継続して行うこともできる。上下支持シートは、積層体の用途によっては、剥離せずに使用してもよい。
この製造装置は上部支持シートとして透光性樹脂シートに機能層を塗工により形成しつつ、これを巻き取らず、樹脂積層体の製造ラインに連結したインライン工程により成形するものであるが、予め別工程にて機能層を形成した透光性樹脂シートを用いるものであってもよく、下部支持シートとしてエンドレスベルトに変えて透光性樹脂シートを用いるものであってもよい。
上記のように、本発明の樹脂積層体の製造方法は、短時間での重合を可能とするため、生産性の向上、設備の小形化を可能とし、機能層をハードコート層とする場合、耐擦傷性、密着性が高く、外観に優れ、光学特性の高いハードコート層で被覆された樹脂積層体を得ることを可能とし、得られる樹脂積層体は、携帯電話、携帯型ゲーム機、カーナビゲーションシステム、ボータブルAV機器等の液晶表示装置の面板を保護する透明性樹脂シートとして好適である。
[実施例1]
メチルメタクリレートモノマー60質量部と、メチルメタクリレートポリマービーズ(BR−83:三菱レイヨン社製)40質量部を80℃で30分間かけて加熱溶解させた混合物100質量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)を0.3質量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(エアロゾルOT−10 0:三井サイアナミッド社製)を0.05質量部添加し、光重合性単量体混合物を調製し(メチルメタクリレート含有量99.7%)、調合時に生じた泡を抜くために50℃にて6時間静置させた後、常温まで自然冷却させた。
メチルメタクリレートモノマー60質量部と、メチルメタクリレートポリマービーズ(BR−83:三菱レイヨン社製)40質量部を80℃で30分間かけて加熱溶解させた混合物100質量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)を0.3質量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(エアロゾルOT−10 0:三井サイアナミッド社製)を0.05質量部添加し、光重合性単量体混合物を調製し(メチルメタクリレート含有量99.7%)、調合時に生じた泡を抜くために50℃にて6時間静置させた後、常温まで自然冷却させた。
ハードコート層成形用塗工液としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(C6DA:大阪有機化学工業社)40質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M305:東亞合成社)60質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)4質量部を混合し、紫外線硬化性単量体を含有する塗料を使用した。
図1に図示したものと同様の装置を使用し、エンドレスベルト7としては幅500mmのステンレス製エンドレスベルト、透光性樹脂シートとしては幅500mmで厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャイン A4100:東洋紡社製)、紫外線照射装置4としては9.6kWの高圧水銀ランプを用い、紫外線照射装置9として東芝社製FL30S−BLランプ、加熱手段10については熱風加熱を使用した。
透光性樹脂シートの移動速度を3m/minとし、負荷した張力を40kgf(単位幅当り80kgf/m)、コーター2としてダイコーターを使用し、幅380mm、厚さが23μmになるように塗工して形成した塗工膜を、紫外線照射装置4から紫外線を照射して硬化させハードコート層を得た。
供給ダイから、先に調製した光重合性単量体混合物を幅400mm、厚さ1mmのシート状に供給し、ハードコート層の全てが光重合性単量体混合物へ接するよう被せた。
その後、紫外線照射装置9により5mW/cm2の照射強度で10分間紫外線を照射し、後段加熱手段10により130℃にて5分間熱処理した後、90℃に空冷し、ハードコート層が基材樹脂と一体化した樹脂積層体を剥離した(サンプル1)。得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。
得られた樹脂積層体について全光線透過率、ヘーズ、ハードコート層の膜厚を以下の方法で測定し、外観、耐擦傷性、総合評価について、以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
[全光線透過率及びヘーズ]
HAZE METER NDH2000(日本電色製)を用いてJIS K7361−1に示される測定法に準拠して、全光線透過率を測定し、JIS K7136に示される測定法に準拠してヘーズを測定した。
HAZE METER NDH2000(日本電色製)を用いてJIS K7361−1に示される測定法に準拠して、全光線透過率を測定し、JIS K7136に示される測定法に準拠してヘーズを測定した。
[ハードコート層膜厚]
ミクロトームにて厚み100nmにサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電子顕微鏡は日本電子製(JEOL)JEM−1010を用いて測定した。
ミクロトームにて厚み100nmにサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電子顕微鏡は日本電子製(JEOL)JEM−1010を用いて測定した。
[樹脂積層体外観]
得られた樹脂積層体の凹凸を目視にて観察し、以下の基準により評価した。
○:積層体表面の凹凸が少なく、積層体を反射あるいは透過させて像を見ても歪みがない。
×:積層体表面に凹凸があり、積層体を反射あるいは透過させて像を見ると歪んで見える。
得られた樹脂積層体の凹凸を目視にて観察し、以下の基準により評価した。
○:積層体表面の凹凸が少なく、積層体を反射あるいは透過させて像を見ても歪みがない。
×:積層体表面に凹凸があり、積層体を反射あるいは透過させて像を見ると歪んで見える。
[耐擦傷性]
#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドを樹脂積層体のハードコート層表面上に置き、2kgの荷重下で、20mmの距離を100回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を式(1)より求めた。
Δヘーズ(%)=擦傷後ヘーズ値(%)−擦傷前ヘーズ値(%) (1)
[総合評価]
樹脂積層体の外観と耐擦傷性試験の結果から以下のように評価した。
◎:初期の外観、耐擦傷性ともに優れている
○:初期の外観は良好で、耐擦傷性に関して若干劣るが製品として問題ない
△:初期の外観は良好であるが、耐擦傷性に問題があり、実施品とならない
×:初期の外観が不良で実施品にならない。
#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドを樹脂積層体のハードコート層表面上に置き、2kgの荷重下で、20mmの距離を100回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を式(1)より求めた。
Δヘーズ(%)=擦傷後ヘーズ値(%)−擦傷前ヘーズ値(%) (1)
[総合評価]
樹脂積層体の外観と耐擦傷性試験の結果から以下のように評価した。
◎:初期の外観、耐擦傷性ともに優れている
○:初期の外観は良好で、耐擦傷性に関して若干劣るが製品として問題ない
△:初期の外観は良好であるが、耐擦傷性に問題があり、実施品とならない
×:初期の外観が不良で実施品にならない。
[実施例2]
ハードコート層成形用塗工液として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(C6DA:大阪有機化学工業社)50質量部、トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル(TAS:大阪有機化学工業社)50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)4質量部を混合し、紫外線硬化性単量体を含有する塗料を使用した。透光性樹脂シートに負荷した張力を35kgf(単位幅当り70kgf/m)、ハードコート層の厚さを12μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル2)、評価を行った。サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
ハードコート層成形用塗工液として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(C6DA:大阪有機化学工業社)50質量部、トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル(TAS:大阪有機化学工業社)50質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)4質量部を混合し、紫外線硬化性単量体を含有する塗料を使用した。透光性樹脂シートに負荷した張力を35kgf(単位幅当り70kgf/m)、ハードコート層の厚さを12μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル2)、評価を行った。サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
[実施例3]
下部支持シートとしてステンレス製エンドレスベルトに替えて幅500mmで厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4100:東洋紡社製コスモシャイン)を用いた。透光性樹脂シートの移動速度を5m/minとし、負荷した張力を15kgf(単位幅当り30kgf/m)、コーター3としてダイコーターを使用し、幅380mm、厚みが22μmになるように塗工しハードコート層を作製した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル3)、評価を行った。上下支持シートに透光性樹脂シートを用いたが、サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
下部支持シートとしてステンレス製エンドレスベルトに替えて幅500mmで厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4100:東洋紡社製コスモシャイン)を用いた。透光性樹脂シートの移動速度を5m/minとし、負荷した張力を15kgf(単位幅当り30kgf/m)、コーター3としてダイコーターを使用し、幅380mm、厚みが22μmになるように塗工しハードコート層を作製した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル3)、評価を行った。上下支持シートに透光性樹脂シートを用いたが、サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
[実施例4]
透光性樹脂シートを負荷した張力を12.5kgf(単位幅当り25kgf/m)とし、ハードコート層の成形にエアナイフコーティング法を用い、ハードコート層の厚みを12μm、幅を350mmとした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル4)、評価を行った。サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
透光性樹脂シートを負荷した張力を12.5kgf(単位幅当り25kgf/m)とし、ハードコート層の成形にエアナイフコーティング法を用い、ハードコート層の厚みを12μm、幅を350mmとした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル4)、評価を行った。サンプル1同様、得られた樹脂積層体の表面は平滑で、良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
[実施例5]
メチルメタクリレート70質量部と、ジメタクリル酸ポリブチレングリコール(アクリエステルPBOM:三菱レイヨン社製)を30重量部加えた混合物100質量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・ジャパン社、イルガキュア184)を0.3質量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(三井サイアナミッド社製、エアロゾルOT−100)を0.05質量部添加し、光重合性単量体混合物を調製し(メチルメタクリレート含有量69.7%)、調合時に生じた泡を抜くために1時間静置させた。
メチルメタクリレート70質量部と、ジメタクリル酸ポリブチレングリコール(アクリエステルPBOM:三菱レイヨン社製)を30重量部加えた混合物100質量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・ジャパン社、イルガキュア184)を0.3質量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(三井サイアナミッド社製、エアロゾルOT−100)を0.05質量部添加し、光重合性単量体混合物を調製し(メチルメタクリレート含有量69.7%)、調合時に生じた泡を抜くために1時間静置させた。
光重合性単量体混合物の粘度が低いため、下部支持シートからの横漏れを防止するために、以下の液状シール体を調製した。メチルメタクリレート60質量部に対し、メチルメタクリレートポリマービーズ(BR−80:三菱レイヨン社製、重量平均分子量10万)40質量部を60℃で30分間かけて加熱溶解させた混合物100質量部に対し、紫外線分解重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(イルガキュア184:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)を0.03質量部、離型剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム(エアロゾルOT−100:三井サイアナミッド社製)を0.05質量部添加し、調合時の泡を抜くために室温にて24時間静置させた。
透光性樹脂シートの移動速度を2m/minとし、負荷した張力を25kgf(単位幅当り50kgf/m)、幅350mm、厚みが20μmになるように塗工した他は実施例1と同様に、ハードコート層を作製した。
エンドレスベルト7の幅方向、両端端部から50mmの位置に2本、上記液状シール体をφ1.5mmにて送り方向に塗布した後、供給ダイ5から光重合性単量体混合物を幅400mm、厚さ0.8mmのシート状に供給し、ハードコート層の全面が光重合性単量体混合物6へ接するよう透光性樹脂シートを被せた。
その後、紫外線照射装置9により5mW/cm2の照射強度で25分間紫外線を照射し、加熱手段10により130℃にて5分間熱処理した後、90℃に空冷し、ハードコート層が基材樹脂と一体化した樹脂積層体を剥離した(サンプル5)。得られた樹脂積層体は、サンプル1と同様に表面は平滑で良好な外観を有していた。結果を表1に示す。
[実施例6]
光重合性単量体混合物としてメチルメタクリレート40質量部と、ジメタクリル酸ポリブチレングリコールを60重量部加えた以外は、実施例5と同様に光重合性単量体混合物を調整し(メチルメタクリレート含有量39.7%)、紫外線照射装置9による照射時間を10分間に変更した以外は実施例5と同様に樹脂積層体を得(サンプル6)、評価を行った。得られた樹脂積層体はサンプル1と比較すると、メチルメタクリレートより柔軟性の高い樹脂を多く混合させたこともあり、若干の耐擦傷性の低下は確認されるものの、製品として充分に使用可能なものであった。結果を表1に示す。
光重合性単量体混合物としてメチルメタクリレート40質量部と、ジメタクリル酸ポリブチレングリコールを60重量部加えた以外は、実施例5と同様に光重合性単量体混合物を調整し(メチルメタクリレート含有量39.7%)、紫外線照射装置9による照射時間を10分間に変更した以外は実施例5と同様に樹脂積層体を得(サンプル6)、評価を行った。得られた樹脂積層体はサンプル1と比較すると、メチルメタクリレートより柔軟性の高い樹脂を多く混合させたこともあり、若干の耐擦傷性の低下は確認されるものの、製品として充分に使用可能なものであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
透光性樹脂シートに負荷する張力を25kgf(単位幅当り50kgf/m)、ハードコート層の厚みを5μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル11)、評価を行った。得られた樹脂積層体は、表面は平滑で、外観は良好であったが、基材樹脂成分がハードコート層を透過し表面に流出し、耐擦傷性が低く、スチールウールによる耐擦傷性試験により、多数の傷がつく結果となった。結果を表1に示す。
透光性樹脂シートに負荷する張力を25kgf(単位幅当り50kgf/m)、ハードコート層の厚みを5μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル11)、評価を行った。得られた樹脂積層体は、表面は平滑で、外観は良好であったが、基材樹脂成分がハードコート層を透過し表面に流出し、耐擦傷性が低く、スチールウールによる耐擦傷性試験により、多数の傷がつく結果となった。結果を表1に示す。
[比較例2]
透光性樹脂シートに負荷する張力を5kgf(単位幅当り10kgf/m)、ハードコート層の厚みを15μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル12)、評価を行った。ハードコート層を形成した透光性樹脂シートは緩やかにカールしたものの、外観上は許容範囲であったが、得られた樹脂積層体は、厚さが不均一で外観上歪みが生じ、製品として使用できるものではなかった。
透光性樹脂シートに負荷する張力を5kgf(単位幅当り10kgf/m)、ハードコート層の厚みを15μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル12)、評価を行った。ハードコート層を形成した透光性樹脂シートは緩やかにカールしたものの、外観上は許容範囲であったが、得られた樹脂積層体は、厚さが不均一で外観上歪みが生じ、製品として使用できるものではなかった。
[比較例3]
透光性樹脂シートに負荷する張力を40kgf(単位幅当り80kgf/m)、ハードコート層の厚みを30μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル13)、評価を行った。得られた樹脂積層体は細かな歪みがあり、製品として使用できるものではなかった。結果を表1に示す。
透光性樹脂シートに負荷する張力を40kgf(単位幅当り80kgf/m)、ハードコート層の厚みを30μmになるように塗工した以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得(サンプル13)、評価を行った。得られた樹脂積層体は細かな歪みがあり、製品として使用できるものではなかった。結果を表1に示す。
表中、光重合性単量体混合物のMMA含有率は、光重合性単量体混合物に含まれるメチルメタクリレート及びポリメチルメタクリレートを、小数第1位を切り捨て質量%で表示した。
本発明の方法によって得られる樹脂積層体は、携帯電話、液晶ディスプレイ等の表示装置の保護板として、透明性、平滑性、密着性、耐擦傷性が要求される用途に好適である。
1 透光性樹脂シート繰出し装置
2 透光性樹脂シート(上部支持シート)
2´ ハードコート層を有する透光性樹脂シート
3 コーター
4 紫外線照射装置
5 供給ダイ
6 光重合性単量体混合物
7 エンドレスベルト(下部支持シート)
8 上面押し付けロール
8´ 下面押し付けロール
9 紫外線照射装置
10 加熱手段
11 透光性樹脂シート巻取り装置
12 樹脂積層体
13 主プーリ
14 主プーリ
2 透光性樹脂シート(上部支持シート)
2´ ハードコート層を有する透光性樹脂シート
3 コーター
4 紫外線照射装置
5 供給ダイ
6 光重合性単量体混合物
7 エンドレスベルト(下部支持シート)
8 上面押し付けロール
8´ 下面押し付けロール
9 紫外線照射装置
10 加熱手段
11 透光性樹脂シート巻取り装置
12 樹脂積層体
13 主プーリ
14 主プーリ
Claims (10)
- 同一方向に同一速度で移動する下部支持シート及び上部支持シートのうち少なくとも一方に、機能層を形成した透光性樹脂シートを用い、該透光性樹脂シートを機能層側が内側になるように配置し、下部支持シート上に光重合性単量体混合物を供給しつつ、該光重合性単量体混合物上に上部支持シートを積層し、透光性樹脂シートを介して活性線を照射して光重合性単量体混合物を重合硬化させて機能層と一体化した後、下部支持シート及び上部支持シートを剥離し樹脂積層体を形成する樹脂積層体の連続製造方法。
- 機能層がハードコート層であり、該ハードコート層は、単位幅当り20kgf/m以上、100kgf/m以下の張力を負荷した透光性樹脂シートに厚さ10μm以上、25μm以下に形成される請求項1記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- ハードコート層が、アクリル系単量体を重合して得られた樹脂を含む請求項1又は2記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 光重合性単量体混合物が、メチルメタクリレートを30質量%以上含有する請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- ハードコート層が、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体を含有する塗工液を透光性樹脂シートに塗工して得られた塗工膜に紫外線を照射して形成される請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 透光性樹脂シートが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 光重合性単量体混合物の重合後に100℃以上の熱処理を行う請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 機能層が、インライン工程で形成される請求項1記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 下部支持シートがエンドレスベルトである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
- 下部支持シートがステンレス製である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂積層体の連続製造方法。
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WO2014208468A1 (ja) * | 2013-06-25 | 2014-12-31 | 昭和電工株式会社 | 光硬化性樹脂フィルムの製造装置および製造方法 |
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JPWO2014208468A1 (ja) * | 2013-06-25 | 2017-02-23 | 昭和電工株式会社 | 光硬化性樹脂フィルムの製造装置および製造方法 |
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