JP2011182515A - 電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンバータおよびバッテリの通電量を減少させてシステム全体効率を向上可能な電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両を提供する。
【解決手段】制御装置は、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いか否かを判定する(S40)。電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、上限電圧よりも低いと判定されると(S40においてYES)、制御装置は、昇圧コンバータを介して蓄電装置へ回生される電力を制限するように昇圧コンバータを制御する(S50)。一方、電圧VHが電圧指令値以下であると判定され、または、電圧VHが上限電圧以上であると判定されると(S40においてNO)、通常の制御が実行される(S60)。
【選択図】図2
【解決手段】制御装置は、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いか否かを判定する(S40)。電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、上限電圧よりも低いと判定されると(S40においてYES)、制御装置は、昇圧コンバータを介して蓄電装置へ回生される電力を制限するように昇圧コンバータを制御する(S50)。一方、電圧VHが電圧指令値以下であると判定され、または、電圧VHが上限電圧以上であると判定されると(S40においてNO)、通常の制御が実行される(S60)。
【選択図】図2
Description
この発明は、電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両に関し、特に、充放電可能な蓄電装置と力行モードまたは回生モードで電動機を駆動する駆動装置との間にコンバータが設けられる電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両に関する。
特開2007−325351号公報(特許文献1)は、バッテリとモータジェネレータを駆動するインバータとの間にコンバータが設けられた電動機駆動制御システムを開示する。この電動機駆動制御システムにおいては、モータジェネレータの誘起電圧に対応する必要最小電圧からコンバータ最大出力電圧までの電圧範囲内でコンバータ出力電圧であるシステム電圧の候補電圧を決定するステップと、各候補電圧においてバッテリ、コンバータ、インバータおよびモータジェネレータでの電力損失を推定してシステム全体での推定電力損失の総和を算出するステップと、上記候補電圧のうち推定電力損失の総和が最小となる候補電圧に基づいて電圧指令値を設定するステップとの実行により、コンバータの電圧指令値が設定される。
この電動機駆動制御システムによれば、バッテリ、コンバータ、インバータおよびモータジェネレータの各々での電力損失推定に基づき、システム全体での電力損失の総和が最小値となるような最適電圧に対応させて、かつ、モータジェネレータの誘起電圧よりも高い範囲内でコンバータの出力電圧指令値を設定することができる。そして、コンバータ出力電圧の適切な設定により、システムの全体効率を向上させることができる(特許文献1参照)。
モータジェネレータのトルクが増減を頻繁に繰返す状況では、トルクの増減に応じてコンバータの電圧指令値も頻繁に上下を繰返す。そうすると、コンバータの出力電圧を電圧指令値に調整するためにコンバータが動作し、バッテリが頻繁に充放電される。その結果、コンバータおよびバッテリの通電量が増加し、効率が必ずしも向上しない場合がある。
それゆえに、この発明の目的は、コンバータおよびバッテリの通電量を減少させてシステム全体効率を向上可能な電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両を提供することである。
この発明によれば、電動機駆動システムは、充放電可能な蓄電装置と、駆動装置と、コンバータと、コンデンサと、電圧センサと、制御装置とを備える。駆動装置は、力行モードまたは回生モードで電動機を駆動する。コンバータは、駆動装置と蓄電装置との間に設けられ、駆動装置の入力電圧を蓄電装置の電圧よりも高い電圧に昇圧可能に構成される。コンデンサは、コンバータと駆動装置との間に設けられ、コンバータおよび駆動装置に並列に接続される。電圧センサは、駆動装置の入力電圧を検出する。制御装置は、駆動装置の入力電圧が目標電圧になるようにコンバータを制御する。そして、制御装置は、電圧センサによる検出電圧が、目標電圧よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、コンバータを介して蓄電装置へ回生される電力を制限するようにコンバータを制御する。
好ましくは、制御装置は、電圧センサによる検出電圧が、目標電圧よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、コンバータを介しての蓄電装置への電力の回生を停止するようにコンバータを制御する。
好ましくは、制御装置は、電動機のトルクおよび回転数に基づいて、駆動装置の入力電圧の目標電圧を設定する。
好ましくは、上記の上限電圧は、コンバータの耐電圧に基づいて決定される。
また、この発明によれば、電動車両は、上述したいずれかの電動機駆動システムを備える。
また、この発明によれば、電動車両は、上述したいずれかの電動機駆動システムを備える。
この発明においては、駆動装置の入力電圧がその目標電圧よりも高いけれども予め定められた上限電圧よりも低いとき、コンバータを介して蓄電装置へ回生される電力が制限されるので、コンバータおよび蓄電装置の通電量が減少する。したがって、この発明によれば、コンバータおよび蓄電装置における電力損失が低減され、システムの全体効率が向上する。また、コンデンサに蓄えられたエネルギーを用いて、電動機の次の力行動作(次の加速や発進等)に迅速に対応することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による電動機駆動システム100の全体構成図である。図1を参照して、電動機駆動システム100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20と、正極線PL1,PL2と、負極線NLと、平滑コンデンサCとを備える。また、電動機駆動システム100は、制御装置30と、電圧センサ52,56と、電流センサ54,58,60と、回転角センサ62とをさらに備える。
この電動機駆動システム100は、モータジェネレータMGと電気的に接続されてモータジェネレータMGを駆動する。そして、電動機駆動システム100およびモータジェネレータMGは、たとえば、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両に搭載され、モータジェネレータMGによって駆動輪が駆動される。なお、電動機駆動システム100およびモータジェネレータMGがハイブリッド自動車に適用される場合、モータジェネレータMGを図示されないエンジンと機械的に連結し、エンジンの動力を用いてモータジェネレータMGにより発電し、かつ、モータジェネレータMGによりエンジンの始動も行なってもよい。
昇圧コンバータ10は、リアクトルLと、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する。)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルLの一方端は、蓄電装置Bの正極に接続される正極線PL1に接続され、他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点、すなわち、スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点に接続される。スイッチング素子Q1,Q2は、正極線PL2と蓄電装置Bの負極に接続される負極線NLとの間に直列に接続される。そして、スイッチング素子Q1のコレクタは正極線PL2に接続され、スイッチング素子Q2のエミッタは負極線NLに接続される。スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。
なお、上記のスイッチング素子Q1,Q2および後述のスイッチング素子Q11〜Q16として、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等を用いることができる。
インバータ20は、U相アーム22と、V相アーム24と、W相アーム26とを含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、正極線PL2と負極線NLとの間に並列に接続される。U相アーム22は、直列に接続されたスイッチング素子Q11,Q12を含む。V相アーム24は、直列に接続されたスイッチング素子Q13,Q14を含む。W相アーム26は、直列に接続されたスイッチング素子Q15,Q16を含む。また、スイッチング素子Q11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD11〜D16がそれぞれ接続される。そして、各相アームの中間点は、モータジェネレータMGの各相コイルにそれぞれ接続されている。
蓄電装置Bは、充放電可能な蓄電装置であり、たとえばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池である。なお、蓄電装置Bとして、二次電池に代えて、電気二重層キャパシタや、大容量のコンデンサ、フライホイール等を用いてもよい。
昇圧コンバータ10は、制御装置30からの信号PWCに基づいて、正極線PL2および負極線NL間の電圧(以下「システム電圧」とも称する。)を蓄電装置Bの出力電圧よりも高い電圧に昇圧することができる。システム電圧が目標電圧よりも低い場合、スイッチング素子Q2のオンデューティーを大きくする(スイッチング素子Q1のオンデューティーは小さくなる。)ことによって正極線PL1から正極線PL2へ電流を流すことができ、システム電圧を上昇させることができる。一方、システム電圧が目標電圧よりも高い場合は、スイッチング素子Q1のオンデューティーを大きくする(スイッチング素子Q2のオンデューティーは小さくなる。)ことによって正極線PL2から正極線PL1へ電流を流すことができ、システム電圧を低下させることができる。
インバータ20は、力行モード時、制御装置30からの信号PWIに基づいて、正極線PL2および負極線NLから供給される直流電力を三相交流に変換してモータジェネレータMGへ出力し、モータジェネレータMGを駆動する。これにより、モータジェネレータMGは、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ20は、回生モード時、モータジェネレータMGにより発電される三相交流電力を信号PWIに基づいて直流に変換し、正極線PL2および負極線NLへ出力する。
平滑コンデンサCは、昇圧コンバータ10とインバータ20との間に設けられ、正極線PL2と負極線NLとの間に接続される。平滑コンデンサCは、正極線PL2および負極線NLにおけるリプルを低減する。また、平滑コンデンサCは、力行モード時にモータジェネレータMGへ供給されるエネルギーおよび回生モード時にモータジェネレータMGから受ける回生エネルギーのバッファとしても機能する。
モータジェネレータMGは、交流電動機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える三相交流電動機である。モータジェネレータMGは、力行モード時、インバータ20から電力の供給を受けて駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMGは、回生モード時、回転軸にトルクを受けて発電し、インバータ20へ出力する。なお、モータジェネレータMGが車両の駆動輪に連結されている場合には、モータジェネレータMGが発電することにより駆動輪に制動力が発生する。
電圧センサ52は、蓄電装置Bの電圧VBを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。電流センサ54は、昇圧コンバータ10のリアクトルLに流れる電流ILを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。電圧センサ56は、平滑コンデンサCの端子間電圧、すなわち正極線PL2と負極線NLとの間の電圧(システム電圧)VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。電流センサ58,60は、それぞれV相の電流IvおよびW相の電流Iwを検出し、それらの検出値を制御装置30へ出力する。回転角センサ62は、モータジェネレータMGのロータの回転角θを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
制御装置30は、図示されない車両ECU(Electronic Control Unit)から受けるモータジェネレータMGのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ20の入力電圧(昇圧コンバータ10の出力電圧に相当する。)である電圧VHの目標値(以下「電圧指令値」とも称する。)を生成する。そして、制御装置30は、電圧VHが電圧指令値になるように昇圧コンバータ10を駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとして昇圧コンバータ10へ出力する。
ここで、制御装置30は、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するように信号PWCを生成する。これにより、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力が制限され、昇圧コンバータ10および蓄電装置Bの通電量を減少させることができる。なお、上記の上限電圧は、たとえば昇圧コンバータ10の耐電圧に基づいて決定される。そして、電圧VHが上限電圧よりも高いときは、部品保護の観点から電圧VHを低下させる必要があるので、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ電力が回生される。
また、制御装置30は、電流センサ58,60からの電流Iv,Iw、回転角センサ62からの回転角θおよび電圧VHの各検出値、ならびにモータジェネレータMGのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、モータジェネレータMGを駆動するための信号PWIを生成し、その生成した信号PWIをインバータ20へ出力する。
図2は、図1に示した制御装置30により実行される制御のうち、本発明の特徴部分に関する部分の制御フローを示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示される一連の処理は、一定時間毎または所定の条件が成立する毎に実行される。
図2を参照して、制御装置30は、モータジェネレータMGのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを図示されない外部ECUから受ける(ステップS10)。なお、トルク指令値TRは、この電動機駆動システム100が電動車両に搭載されている場合には、たとえば、アクセルペダルおよびブレーキペダルの操作量や車両の速度等に基づいて生成される。
次いで、制御装置30は、その受けたトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ20の入力電圧(昇圧コンバータ10の出力電圧)の目標値である電圧指令値を算出する(ステップS20)。一例として、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて複数の電圧指令値の候補を決定し、蓄電装置B、昇圧コンバータ10、インバータ20およびモータジェネレータMGの各々の電力損失の総和が最小となる候補値を最終的な電圧指令値とすることができる。
次いで、制御装置30は、電圧センサ56から電圧VHの検出値を受ける(ステップS30)。そして、制御装置30は、その受けた電圧VHの検出値が、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いか否かを判定する(ステップS40)。なお、上限電圧は、上述のように、たとえば昇圧コンバータ10の耐電圧に基づいて決定される。
ステップS40において、電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、上限電圧よりも低いと判定されると(ステップS40においてYES)、制御装置30は、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するように昇圧コンバータ10を制御する(ステップS50)。
一方、ステップS40において、電圧VHが電圧指令値以下であると判定され、または、電圧VHが上限電圧以上であると判定されると(ステップS40においてNO)、制御装置30は、電圧VHが電圧指令値になるように昇圧コンバータ10を制御する通常の制御を実行する(ステップS60)。すなわち、電圧VHが電圧指令値以下のときは、電圧VHを電圧指令値まで昇圧する必要があり、電圧VHが上限電圧以上のときは、部品保護の観点から電圧VHを直ちに下げる必要があるので、ステップS50の処理を実行することなく、電圧指令値に電圧VHを一致させる通常制御が実行される。
図3は、図1に示した制御装置30の、昇圧コンバータ10の制御に関する部分の機能ブロック図である。図3を参照して、制御装置30は、電圧指令値生成部102と、減算部104,108と、電圧制御演算部106と、電流制御演算部110と、駆動信号生成部112とを含む。また、制御装置30は、キャリア生成部114と、サンプル/ホールド(以下「S/H」と称する。)回路116と、電流指令値制限部118と、スイッチ120とをさらに含む。
電圧指令値生成部102は、インバータ20の入力電圧(昇圧コンバータ10の出力電圧)である電圧VHの目標値を示す電圧指令値を生成する。たとえば、電圧指令値生成部102は、モータジェネレータMGのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令値を生成する。
また、電圧指令値生成部102は、電圧センサ56から受ける電圧VHの検出値を電圧指令値および予め定められた上限電圧と比較し、その比較結果に基づいてスイッチ120を制御する。スイッチ120および上記の比較結果に基づくスイッチ120の制御については、後ほど説明する。
減算部104は、電圧センサ56から受ける電圧VHの検出値を電圧指令値から減算し、その演算結果を電圧制御演算部106へ出力する。電圧制御演算部106は、電圧指令値から電圧VHの検出値を減算した値を減算部104から受け、電圧VHを電圧指令値に調整するための制御演算(たとえば比例積分制御)を実行する。そして、電圧制御演算部106は、算出された制御量を電流指令値として出力する。
電流指令値制限部118は、電圧制御演算部106から電流指令値を受ける。また、電流指令値制限部118は、電圧指令値生成部102によって生成された電圧指令値を受け、電圧センサ56から電圧VHの検出値を受ける。そして、電流指令値制限部118は、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するように、電圧制御演算部106から出力される電流指令値を補正する。
図4は、図3に示した電流指令値制限部118による電流指令値の補正例を説明するための図である。図4を参照して、横軸は、電流指令値制限部118への入力値を示し、縦軸は、電流指令値制限部118からの出力値を示す。第1象限は、入力値すなわち電流指令値が正であり、電力力行に対応する。第3象限は、入力値すなわち電流指令値が負であり、電力回生すなわち昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ電力が回生される場合に対応する。
図4に示されるように、電流指令値制限部118は、入力値が負のとき、電流指令値が予め定められた値IR0(負の小さな値)を下回らないように電流指令値を補正する。これにより、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力がIR0に制限される。
再び図3を参照して、スイッチ120は、電圧制御演算部106からの出力と、電流指令値制限部118からの出力とを受ける。そして、スイッチ120は、電圧指令値生成部102から受ける切替指令に基づいて、電圧制御演算部106からの出力および電流指令値制限部118からの出力のいずれかを選択して減算部108へ出力する。
具体的には、電圧指令値生成部102において、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いと判定されると、スイッチ120は、電圧指令値生成部102からの切替指令に基づいて、電流指令値制限部118からの出力を選択して減算部108へ出力する。一方、電圧指令値生成部102において、電圧VHが電圧指令値以下または上限電圧以上であると判定されると、スイッチ120は、電圧指令値生成部102からの切替指令に基づいて、電圧制御演算部106からの出力を選択して減算部108へ出力する。すなわち、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いと判定されたとき、電流指令値制限部118によって電流指令値が補正されることとなる。
一方、キャリア生成部114は、後述の駆動信号生成部112においてPWM信号を生成するための、三角波から成るキャリア信号を生成し、その生成したキャリア信号を駆動信号生成部112およびS/H回路116へ出力する。S/H回路116は、たとえば、キャリア生成部114から受けるキャリア信号の山および谷のタイミングで電流ILのサンプリングを実施する。
減算部108は、スイッチ120から出力される電流指令値IRから、S/H回路116によってサンプリング/ホールドされた電流ILの検出値を減算し、その演算結果を電流制御演算部110へ出力する。電流制御演算部110は、電流指令値から電流ILの検出値を減算した値を減算部108から受け、電流ILを電流指令値に調整するための制御演算(たとえば比例積分制御)を実行する。なお、電流制御演算部110の演算周期は、電圧制御演算部106の演算周期よりも短く設定される。そして、電流制御演算部110は、算出された制御量をデューティー指令値dとして駆動信号生成部112へ出力する。
駆動信号生成部112は、電流制御演算部110から受けるデューティー指令値dを、キャリア生成部114から受けるキャリア信号と大小比較し、その比較結果に応じて論理状態が変化する信号PWCを生成する。そして、駆動信号生成部112は、その生成された信号PWCを昇圧コンバータ10のスイッチング素子Q1,Q2へ出力する。
この制御装置30においては、電圧VHを電圧指令値に調整するための制御演算が電圧制御演算部106により実行される(電圧制御)。電圧制御演算部106の制御出力は、電流ILの電流指令値として用いられる。ここで、電圧VHが、電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いときは、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するように電流指令値が補正される。
そして、スイッチ120から出力される電流指令値に電流ILを調整するための制御演算が電流制御演算部110により実行される(電流制御)。これにより、電圧指令値に対する電圧VHの偏差が発生すると、その偏差をなくすように電流指令値が修正され、電流ILが電流指令値になるように電流制御が実行される。
なお、電流指令値制限部118およびスイッチ120は、電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いときに、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限する回生電力制限部122を形成する。
以上のように、この実施の形態においては、システム電圧VHがその目標値である電圧指令値よりも高いけれども予め定められた上限電圧(たとえばコンバータの耐電圧)よりも低いとき、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力が制限されるので、昇圧コンバータ10および蓄電装置Bの通電量が減少する。したがって、この実施の形態によれば、昇圧コンバータ10および蓄電装置Bにおける電力損失が低減され、システムの全体効率が向上する。また、平滑コンデンサCに蓄えられたエネルギーを用いて、モータジェネレータMGの次の力行動作(次の加速や発進等)に迅速に対応することが可能となる。
[変形例]
上記においては、システム電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するものとしたが、上記条件のときは、昇圧コンバータ10を介しての蓄電装置Bへの電力回生を停止してもよい。
上記においては、システム電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ回生される電力を制限するものとしたが、上記条件のときは、昇圧コンバータ10を介しての蓄電装置Bへの電力回生を停止してもよい。
この変形例における電動機駆動システムの全体構成は、図1に示した電動機駆動システム100と同じである。
図5は、この変形例における制御装置30により実行される制御のうち、本発明の特徴部分に関する部分の制御フローを示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示される一連の処理も、一定時間毎または所定の条件が成立する毎に実行される。
図5を参照して、このフローチャートは、図2に示したフローチャートにおいて、ステップS50に代えてステップS55を含む。すなわち、ステップS40において、電圧VHが電圧指令値よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いと判定されると(ステップS40においてYES)、制御装置30は、昇圧コンバータ10を介しての蓄電装置Bへの電力回生を停止するように昇圧コンバータ10を制御する(ステップS55)。たとえば、制御装置30は、昇圧コンバータ10のスイッチング素子Q1,Q2をいずれもオフ状態に制御する。これにより、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ電力が回生されなくなるので、昇圧コンバータ10および蓄電装置Bの通電量が減少する。
図6は、この変形例における電圧VHおよび蓄電装置Bの入出力電流IB(リアクトル電流IL)の波形図である。なお、この図6では、比較のため、制御装置30による上記の電力回生停止処理を実行しない従来制御における電圧VHおよび電流IB(IL)の波形も併せて示される。
図6を参照して、時刻t1において、運転者によりアクセルペダルが踏込まれ、モータジェネレータMGのトルク指令値(力行)が発生したものとする。そうすると、電圧指令値(図示せず、以下同じ。)が増加し、それに応じて蓄電装置Bから電流IBが出力され、電圧VHが増加する。
時刻t2において、アクセルペダルが戻されると、モータジェネレータMGのトルク指令値が減少するので、電圧指令値は低下する。そうすると、従来制御であれば、昇圧コンバータ10を介しての蓄電装置Bへの電力回生が行なわれ、負の電流IB(充電電流)が流れるとともに電圧VHが低下する。一方、この実施の形態においては、昇圧コンバータ10を介して蓄電装置Bへ電力が回生されないので、負の電流IB(充電電流)は発生せず、電圧VHもほとんど低下しない(若干の低下は自然放電による。)。
その後、時刻t3において、運転者によりアクセルペダルが再び踏込まれ、モータジェネレータMGのトルク指令値(力行)が発生したものとする。そうすると、電圧指令値が増加し、従来制御であれば、電圧指令値の増加に応じて蓄電装置Bから電流IBが出力され、電圧VHが増加する。一方、この実施の形態においては、電圧VHが低下していないので、蓄電装置Bからの電流IBの出力が抑制される。
すなわち、この変形例によれば、本発明の電流IBの波形図における斜線部分の電流移動が回避される。その結果、昇圧コンバータ10および蓄電装置Bの通電量が減少することによりシステムの全体効率が向上する。
なお、上記の実施の形態およびその変形例において、電動機駆動システム100が搭載される車両は、モータジェネレータMGを唯一の走行用動力源とする電気自動車であってもよいし、走行用動力源としてエンジンをさらに搭載したハイブリッド自動車であってもよく、さらには、蓄電装置Bに加えて燃料電池をさらに搭載した燃料電池自動車であってもよい。
なお、上記において、モータジェネレータMGは、この発明における「電動機」の一実施例に対応し、インバータ20は、この発明における「駆動装置」の一実施例に対応する。また、昇圧コンバータ10は、この発明における「コンバータ」の一実施例に対応し、平滑コンデンサCは、この発明における「コンデンサ」の一実施例に対応する。さらに、電圧センサ56は、この発明における「電圧センサ」の一実施例に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 昇圧コンバータ、20 インバータ、22 U相アーム、24 V相アーム、26 W相アーム、30 制御装置、52,56 電圧センサ、54,58,60 電流センサ、62 回転角センサ、100 電動機駆動システム、102 電圧指令値生成部、104,108 減算部、106 電圧制御演算部、110 電流制御演算部、112 駆動信号生成部、114 キャリア生成部、116 サンプル/ホールド回路、118 電流指令値制限部、120 スイッチ、122 回生電力制限部、B 蓄電装置、PL1,PL2 正極線、NL 負極線、L リアクトル、Q1,Q2,Q11〜Q16 スイッチング素子、D1,D2,D11〜D16 ダイオード、C 平滑コンデンサ、MG モータジェネレータ。
Claims (5)
- 充放電可能な蓄電装置と、
力行モードまたは回生モードで電動機を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置と前記蓄電装置との間に設けられ、前記駆動装置の入力電圧を前記蓄電装置の電圧よりも高い電圧に昇圧可能に構成されたコンバータと、
前記コンバータと前記駆動装置との間に設けられ、前記コンバータおよび前記駆動装置に並列に接続されるコンデンサと、
前記駆動装置の入力電圧を検出する電圧センサと、
前記駆動装置の入力電圧が目標電圧になるように前記コンバータを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記電圧センサによる検出電圧が、前記目標電圧よりも高く、かつ、予め定められた上限電圧よりも低いとき、前記コンバータを介して前記蓄電装置へ回生される電力を制限するように前記コンバータを制御する、電動機駆動システム。 - 前記制御装置は、前記電圧センサによる検出電圧が、前記目標電圧よりも高く、かつ、前記上限電圧よりも低いとき、前記コンバータを介しての前記蓄電装置への電力の回生を停止するように前記コンバータを制御する、請求項1に記載の電動機駆動システム。
- 前記制御装置は、前記電動機のトルクおよび回転数に基づいて前記目標電圧を設定する、請求項1または請求項2に記載の電動機駆動システム。
- 前記上限電圧は、前記コンバータの耐電圧に基づいて決定される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電動機駆動システム。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電動機駆動システムを備える電動車両。
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JP2010042523A JP2011182515A (ja) | 2010-02-26 | 2010-02-26 | 電動機駆動システムおよびそれを備える電動車両 |
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WO2016063887A1 (ja) * | 2014-10-21 | 2016-04-28 | ナブテスコ株式会社 | 交流電動機の駆動装置 |
JP6377310B1 (ja) * | 2018-01-12 | 2018-08-22 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
-
2010
- 2010-02-26 JP JP2010042523A patent/JP2011182515A/ja not_active Withdrawn
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