JP2011180252A - 偏光板のセット、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置のさらなる薄型化を実現可能な偏光板のセットを提供する。
【解決手段】液晶セル40の一方の面側に配置される第1の偏光板20と、他方の面側に配置される第2の偏光板30とからなる液晶用偏光板のセットであって、第1の偏光板20は、第1の光学補償フィルム23と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルム21と、透明樹脂からなる保護フィルム25とがこの順で積層されてなり、第2の偏光板30は、第2の光学補償フィルム33と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31と、ヘイズ値が0.1%以上45%以下の範囲である防眩性フィルム34とがこの順で積層されてなり、第1および第2の光学補償フィルム23,33は、Roが40〜500nmの範囲にあり、Rthが20〜500nmの範囲にある二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶用偏光板のセット、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
偏光板は、液晶表示装置の主要部材である液晶パネルの構成部品であり、通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面または両面に、接着剤層を介して、保護フィルム、例えば、トリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系の透明樹脂フィルムを積層した構成となっている。これを、必要により他の光学フィルムを介して、粘着剤を用いて液晶セルに貼り合わせることにより、液晶パネルが得られる。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニター、パーソナルコンピュータなど、薄型の表示画面として、用途が急拡大している。特に液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に強い。液晶テレビ用の偏光板としては、従来、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの両面にトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を水系接着剤を用いて積層し、その偏光板の片面に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼付したものが用いられている。偏光板に積層される光学補償フィルムとしては、ポリカーボネート系樹脂フィルムの延伸加工品やシクロオレフィン系樹脂フィルムの延伸加工品などが使用されているが、液晶テレビ用には、高温における位相差ムラの非常に少ないシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムが多用されている。
偏光フィルムと延伸シクロオレフィン系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとの貼合品については、生産性の向上および製品コストの低減を目的として、構成部品の点数の低減や製造プロセスの簡略化の試みがなされている。例えば、特許文献1(特に実施例4参照)には、偏光フィルムの片面にTACフィルムを積層し、これとは反対側にTACフィルムを介することなく、位相差機能を有するシクロオレフィン系(ノルボルネン系)樹脂フィルムを積層する構成が開示されている。
特開平8−43812号公報
大画面液晶テレビ用途においては、例えば壁掛けテレビ用途等として、液晶表示装置のさらなる薄型化および軽量化のニーズが顕在化している。この場合、液晶パネルおよびその構成部品に関し、以下の点が課題となる。
(1)液晶パネルを大画面壁掛けテレビに適用すると、人の手に触れる機会が多くなり、また、埃も付き易くなり、画面のクリーニングが多くなると考えられるが、この場合、液晶パネル最表面、すなわち、偏光板最表面は、当該接触による摩擦によっても傷がつき難いことが必要となる。
(2)液晶パネルの薄型大画面化に対応して、液晶パネルの強度を補強する必要がある。
(3)液晶パネルの薄型化に対応して、使用する部材の薄肉化が必要となる。
(4)液晶パネルと背面のバックライトシステムとの隙間が狭くなり、液晶パネルとバックライトシステムとの接触に起因する、円形状のムラや、ニュートンリングを防止する必要がある。
本発明は、液晶セルの一方の面側に配置される第1の偏光板と、他方の面側に配置される第2の偏光板とからなる液晶用偏光板のセットであって、第1の偏光板は、第1の光学補償フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、透明樹脂からなる保護フィルムとがこの順で積層されてなり、第2の偏光板は、第2の光学補償フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、ヘイズ値が0.1%以上45%以下の範囲である防眩性フィルムとがこの順で積層されてなり、第1および第2の光学補償フィルムは、面内位相差値(Ro)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)が20〜500nmの範囲にある二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムである。
上記防眩性フィルムは、例えば、透明樹脂フィルムと、厚み2〜30μmのハードコート層とが積層されてなり、当該透明樹脂フィルムを第2の偏光フィルム側に向けて配置されている構成である。
また、本発明は、上記の偏光板のセットと、液晶セルとからなり、第1の偏光板、当該液晶セル、第2の偏光板とがこの順で配置されてなり、第1の偏光板は第1の光学補償フィルムを当該液晶セル側に、第2の偏光板は第2の光学補償フィルムを当該液晶セル側に向けて配置されている、液晶パネルである。
また、本発明は、バックライト、光拡散板、および上記液晶パネルをこの順で備え、上記液晶パネルは第1の偏光板を当該光拡散板側に向けて配置されている、液晶表示装置である。
本発明に係る偏光板のセットを使用することによって、液晶パネルおよび液晶表示装置の薄肉化が達成される。また、本発明に係る偏光板のセットにおいて、二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムを偏光板に用いるので、液晶表示装置の表示域の光抜けが改善される。また、本発明に係る偏光板のセットを用いた液晶パネルは、最表面に傷がつき難い。
本発明の液晶用偏光板のセット、および液晶セルからなる液晶パネルの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<偏光板のセット>
図1は、本発明に係る液晶用偏光板のセット、および液晶セルからなる液晶パネルの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。液晶パネルは、液晶セル40と、液晶セル40の一方の面側に配置される第1の偏光板20と、他方の面側に配置される第2の偏光板30とかなる。第1の偏光板20と、第2の偏光板30とで、本発明に係る液晶用偏光板のセットを構成する。
第1の偏光板20は、第1の光学補償フィルム23と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルム21と、透明樹脂からなる保護フィルム25とがこの順で積層されてなる。第2の偏光板30は、第2の光学補償フィルム33と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31と、ヘイズ値が0.1%以上45%以下の範囲である防眩性フィルム34とがこの順で積層されてなる。第1および第2の光学補償フィルム23,33は、面内位相差値(Ro)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)が20〜500nmの範囲にある二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムである。
第1の偏光板20は、液晶パネルの背面側偏光板として用いられ、第2の偏光板30は、液晶パネルの前面側偏光板として用いられる。ここで、「背面側偏光板」とは、液晶パネルを液晶表示装置に搭載した際の、バックライト側に位置する偏光板を意味し、「前面側偏光板」とは、液晶パネルを液晶表示装置に搭載した際の、視認側に位置する偏光板を意味する。以下、各偏光板について詳細に説明する。
[第1の偏光板]
第1の偏光板20は、第1の光学補償フィルム23と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルム21と、透明樹脂からなる保護フィルム25とがこの順で積層されてなる。
(第1の偏光フィルム)
第1の偏光フィルム21は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、第1の偏光フィルム21の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、10μm〜150μm程度である。
第1の偏光フィルム21は、通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、および、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を経て製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、あるいは染色の後に行ってもよい。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10−4〜10重量部程度、好ましくは1×10−3〜1重量部程度であり、また、例えば、1×10−2重量部程度以下であってもよい。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。水洗後は乾燥処理が施されて、第1の偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度、好ましくは120〜600秒である。
このようにしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、およびホウ酸処理が施され、第1の偏光フィルム21が得られる。第1の偏光フィルム21の厚みは、例えば2〜40μm程度とすることができる。
(第1の光学補償フィルム)
本発明に係る第1の偏光板20を構成する第1の光学補償フィルム23は、面内位相差値(Ro)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)が20〜500nmの範囲にある二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムからなり、ポリプロピレン系樹脂フィルムを逐次二軸延伸して得られる。大型液晶テレビ用液晶パネル、特に垂直配向(VA)モードの液晶セルを備える液晶パネルに本発明の偏光板のセットを用いる場合には、第1の光学補償フィルム23としては、二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムが、光学特性、耐久性の点から好適である。
ここで、第1の光学補償フィルム23としてポリプロピレン系樹脂を選択した理由を説明する。ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10−13cm/dyne前後と小さいため、液晶表示装置としたときに、表示域の光抜けが小さく、透湿度も低い。また、延伸により位相差が発現しやすく、さらには意外にも、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルムに対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが十分な強度でポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに接着することが見出された。このような理由から、偏光フィルムの一方の面に配置する光学補償フィルムを、ポリプロピレン系樹脂で構成することとした。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、本発明において光学補償フィルムとして用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、またメタロセン系触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C);1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C);1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C);1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C);1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C);1−ノネン(C);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、
2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテン及び1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重
合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共
重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、例えば、「高
分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されてい
る方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
偏光フィルムに貼り合わされる光学補償フィルムとしての透明度や加工性を上げる観点からは、プロピレンを主体として、任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でもエチレンとの共重合体が好ましい。共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜10重量%程度にするのが有利であり、より好ましい共重合割合は3〜7重量%である。プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1重量%以上とすることで、加工性や透明性を上げる効果が出てくる傾向にある。ただし、その割合が10重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。なお、2種類以上のコモノマーとポリプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、前記範囲であることが好ましい。
本発明の第1の光学補償フィルムとして用いるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分、とりわけ0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがあり、また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の如き紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
ポリプロピレン系樹脂の原反フィルム
ポリプロピレン系樹脂は、任意の方法で製膜し、原反フィルムとすることができる。この原反フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。例えば、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを得ることができる。
押出成形により原反フィルムを製造する方法について、詳しく説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっきまたはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm(1)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm(2)
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm(3)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm(4)
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な原反フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、前記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させる必要がある。具体的には、両ロールの表面温度が0℃以上30℃以下の範囲に調整される。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。ロールの表面温度は、好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくる。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記の如く短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、及び使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面又は両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルム
以上のようにして得られるポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを延伸して位相差を発現させ、二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムとする。特に、逐次二軸延伸により二軸方向の複屈折性を発現させたものが好ましい。このときの延伸倍率は、縦方向及び横方向のうち、光軸を発現させる方向(延伸倍率が大きい方向であって、遅相軸となる方向)で1.1〜10倍程度、それと直交する方向(延伸倍率が小さい方向であって、進相軸となる方向)で1.1〜7倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて、適宜選択すればよい。フィルムの横方向に光軸を発現させてもよいし、縦方向に光軸を発現させてもよい。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの位相差値について説明する。フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、厚みをdとしたときに、面内の位相差値(Ro)および厚み方向の位相差値(Rth)は、それぞれ下式(I)および(II)で定義される。
Ro=(nx−ny)×d (I)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (II)
さらに、本用途で使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの屈折率には、下式(III)の関係がある。
nx>ny>nz (III)
本発明に係る第1の偏光板20に第1の光学補償フィルム23として使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂は、面内の位相差値(Ro)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)が20〜500nmの範囲にあるものとする。この範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。面内の位相差値(Ro)は、より好ましくは100nm以下であり、厚み方向の位相差値(Rth)は、より好ましくは、80nm以上、また300nm以下である。
また、面内位相差値(Ro)の精度は、中心値±7nm以内、好ましくは中心値±5nm以内であり、厚み方向の位相差値(Rth)の精度は、中心値±15nm以内、好ましくは中心値±10nm以内である。これらの値の精度が前記範囲を超えると、液晶ディスプレイの視覚特性が低下するため好ましくない。
フィルム面内の遅相軸角度は、実質的に0°もしくは90°である。この角度から遅相軸がずれると、偏光板をクロスニコルの状態にしたときに光漏れが発生し、正面コントラストなどの視覚特性が大幅に低下するため好ましくない。さらに、遅相軸の精度は、中心値±0.7°以内にあることが好ましく、中心値±0.5°以内にあることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は前述したとおり、延伸により位相差が発現しやすく、したがって、上の式におけるnxとnyの差、あるいはnxまたはnyとnzの差が大きくなりやすい。そこで、このようなポリプロピレン系樹脂フィルムを延伸したものは、厚みdを小さくしても、適度な延伸により所望の位相差値を発現することができる。そのため、本発明の偏光板に第1の光学補償フィルムとして使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムは、その厚みが60μm以下でよい。ただし、あまり薄すぎると、ハンドリング性の低下などが起こり得ることから、5μm以上であるのが好ましい。この二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、10μm以上、また40μm以下であるのがより好ましい。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムからなる第1の光学補償フィルムを偏光フィルムに接着するにあたり、両者の軸関係は、目的とする液晶表示装置における視野角特性や色変化特性を考慮したうえで最適なものを選べばよい。正面コントラストが重要視される大型液晶テレビ用途においては、第1の光学補償フィルム23の遅相軸と第1の偏光フィルム21の吸収軸とが、ほぼ平行またはほぼ直交の関係となるように配置することが好ましい。ここで、ほぼ平行とかほぼ直交とかいうときの「ほぼ」は、そこに記載の関係(平行又は直交)であるのが好ましいが、それを中心に±10度程度までのずれは許容されることを意味する。角度のずれは、好ましくは±5度以内、さらに好ましくは±2度以内である。
(保護フィルム)
第1の偏光板20において、第1の偏光フィルム21の第1の光学補償フィルム23が積層される側の面とは反対側の面に積層される保護フィルム25は、透明樹脂からなるフィルムであれば特に限定されない。その透明樹脂の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂に代表されるポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。
上記の透明樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施して、保護フィルムとしてもよい。このとき、延伸は、MD方向(流れ方向)またはTD方向(流れ方向と垂直の方向)に延伸する一軸延伸、MD方向およびTD方向の双方に延伸する二軸延伸、MD方向でもTD方向でもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行ってもよい。かかる延伸操作を施すことにより、機械的強度の高い保護フィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂は、必要に応じて添加剤等を混合し、溶融混練して得られた材料であってもよい。かかる(メタ)アクリル系樹脂を保護フィルム25として用いることにより、第1の偏光板20の機械的強度をより向上させることができるとともに、第1の偏光板20のさらなる薄肉化を達成することが可能となる。
上記のポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、前記カルボン酸成分やジオール成分と共に、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が用いられてもよい。
上記のポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム化後、上記の延伸処理を施し、保護フィルムとして用いることにより、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどに優れるとともに、厚みの低減を図ることができる。
上記のセルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましい。
上記のオレフィン系樹脂は、例えば、ノルボルネンおよび他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した環状オレフィン系樹脂や、エチレンおよびプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した鎖状オレフィン系樹脂に代表される。
上記の環状オレフィン系樹脂とは、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類からディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、ジシクロペンタジエンとオレフィン類またはメタクリル酸エステル類からディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添よって得られる樹脂、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、前記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはそれらの誘導体に、ビニル基を有する芳香族化合物等を付加共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
鎖状オレフィン系樹脂としては、ポリエチレンまたは上記のポリプロピレン系樹脂が例示される。
ポリプロピレン系樹脂は、上述の第1の光学補償フィルム23に用いることができるポリプロピレン系樹脂を使用できる。
保護フィルム25の厚みは、通常、20〜200μmであり、好ましくは20〜120μmである。保護フィルムの厚みが20μm未満であると、ハンドリングしにくい傾向にあり、厚みが120μmを超えると、偏光板のセットの薄肉化のメリットが薄れる傾向にある。
保護フィルム25は、透明性に優れているものを用いる。具体的には、JIS K 7105に準拠して測定される全ヘイズ値が10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましい。全へイズが10%以上では、白輝度が低下し、画面が暗くなるため好ましくない。
保護フィルム25には、液晶モジュールの組立工程における擦り傷防止の観点から、ハードコート処理、プリズムシートとカラーフィルターの干渉によるモアレ低減の観点からアンチグレア処理を施してもよい。
(積層方法)
次に、第1の偏光フィルム21に第1の光学補償フィルム23および上述の保護フィルム25を積層する方法について説明する。第1の偏光フィルム21の表面に、これら第1の光学補償フィルム23および保護フィルム25を積層する方法としては、通常、接着剤を用いて接着する方法が採用される。第1の偏光フィルム21の両面に接着剤を用いる場合は、両面同種の接着剤を用いてもよく、また異種の接着剤を用いてもよい。
接着剤として、速硬化性という観点から、光硬化性接着剤を挙げることができる。速硬化性という特徴は、生産性を考える上で、好都合である。光硬化性接着剤としては、例えば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などを挙げることができる。
また、接着剤として、接着剤層を薄くする観点から、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、または接着剤成分を水に分散させたものを挙げることができる。例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を用いた組成物が、好ましい接着剤として挙げられる。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、そのポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いた場合、該接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製されることが多い。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部である。
主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザールや水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を挙げることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン(登録商標) 650」および「スミレーズレジン(登録商標) 675」、日本PMC(株)から販売されている「WS−525」などがあり、これらを好適に用いることができる。これら硬化性成分または架橋剤の添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。その添加量が少ないと、接着性向上効果が小さくなり、一方でその添加量が多いと、接着剤層が脆くなる傾向にある。
接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知である。例えば、特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例としてポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が記載されており、また特開2005−070140号公報および特開2005−181817号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを接合する形態が示されている。
第1の偏光フィルム21の表面に、第1の光学補償フィルム23および保護フィルム25を、接着剤を用いて貼合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクタープレート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、第1の偏光フィルム21および/またはこれに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
上述のような方法により接着剤を塗布した後、第1の偏光フィルム21とそれに貼合されるフィルムとをニップロールなどにより挟んで貼り合わせることにより両者が接合される。また、第1の偏光フィルム21とそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロール等で加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴム等を用いることが可能である。さらに、第1の偏光フィルム21とそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
なお、乾燥あるいは硬化前における、上記のニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の厚さは、5μm以下であることが好ましく、また0.01μm以上であることが好ましい。
第1の偏光フィルム21および/またはそれに貼合されるフィルムの接着表面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
上述の水系接着剤を介して接合された積層体は、通常乾燥処理が施され、接着剤層の乾燥、硬化が行なわれる。乾燥処理は、例えば熱風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥温度は、40〜100℃程度、好ましくは60〜100℃の範囲から適宜選択される。乾燥時間は、例えば20〜1,200秒程度である。乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが大きくなりすぎると、偏光板の外観不良となりやすい。
乾燥処理の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は1日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行なわれる。好ましい養生温度は、30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35℃以上、45℃以下である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は、特に限定されないが、相対湿度が0%RH〜70%RH程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1日〜10日程度、好ましくは2日〜7日程度である。
一方、光硬化性接着剤を用いて偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムとを接合する場合には、接合後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cmであることが好ましい。該照射強度が0.1mW/cm以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱による光硬化性エポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に限定されないが、上述の照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、第1の偏光フィルム21の偏光度、透過率および色相、ならびに第1の光学補償フィルム23および保護フィルム25等の透明フィルムの透明性などの偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
第1の偏光板20において、第1の光学補償フィルム23側には、液晶セル40と第1の偏光板20とを貼合するための、接着剤層あるいは粘着剤層が形成されてもよい。
[第2の偏光板]
第2の偏光板30は、第2の光学補償フィルム33と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31と、透明樹脂からなる防眩性フィルム34とがこの順で積層されてなる。
(第2の偏光フィルム)
第2の偏光フィルム31は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものであり、第1の偏光フィルム21について説明したものを同様に用いることができる。第1の偏光フィルム21と第2の偏光フィルム31とは、外形(厚み等)、材質および製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(第2の光学補償フィルム)
第2の光学補償フィルム33は、第1の偏光板20で使用した第1の光学補償フィルム23と同様のものを用いることができ、外形(厚み等)、樹脂種および製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(防眩性フィルム)
防眩性フィルム34は、透明樹脂フィルム35とその表面に積層された微細な表面凹凸形状を有するハードコート層36とからなる。透明樹脂フィルム35としては、第1の偏光板20で使用した保護フィルム25と同様のものが使用される。
防眩性フィルム34のヘイズ値は0.1%以上45%以下であり、好ましくは5%以上40%以下である。ヘイズ値が45%より大きな領域では、外光の映り込みを低減できるものの、黒表示の画面のしまりが低下してしまう。また、ヘイズ値が0.1%以下では、十分な防眩性能が得られず外光が画面に映り込み実用に耐えない。ここで、ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠した方法により測定される。
上述の微細な表面凹凸形状を有するハードコート層36は、透明樹脂フィルム35の表面に有機微粒子または無機微粒子を含有した塗膜を形成する方法や、有機微粒子または無機微粒子を含有する、または含有しない塗膜を形成後、凹凸形状を付与したロールに押し当てる方法(例えばエンボス法等)などで製造できるが、これらに限定されるものではない。前記塗膜を形成する方法としては、例えば透明樹脂フィルム表面に、硬化性樹脂組成物からなるバインダー成分と有機微粒子または無機微粒子とを含有する塗布液を塗布する方法などを例示することができる。
無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等を代表的なものとして用いることができる。また、有機微粒子としては、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などの樹脂粒子を用いることができる。
無機微粒子または有機微粒子を分散させるためのバインダー成分は、高硬度(ハードコート)となる材料から選定されることが好ましい。バインダー成分としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から光硬化性樹脂が好ましく使用される。光硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレートの単独または2種以上と、「イルガキュアー 907」、「イルガキュアー 184」(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、「ルシリン(登録商標) TPO」(BASF社製)等の光重合開始剤との混合物を、光硬化性樹脂とすることができる。例えば、光硬化性樹脂を用いた場合においては、光硬化性樹脂に無機微粒子または有機微粒子を分散した後、該樹脂組成物を透明樹脂フィルム上に塗布し、光を照射することにより、バインダー樹脂からなるハードコート樹脂中に無機微粒子または有機微粒子が分散された、ハードコート層を形成することができる。
光硬化性樹脂の例としては詳細には、例えば、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーおよび光重合開始剤からなる混合物を挙げることができる。
上記のウレタンアクリレートは、好ましくは、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ならびにジイソシアネートを用いて調製される。例えば、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルおよびポリオールから、水酸基を少なくとも1つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させることによってウレタンアクリレートを製造することができる。これら(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ならびにジイソシアネートは、それぞれ1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、目的に応じて各種添加剤を加えてもよい。
上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記のポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリジメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類を挙げることができる。
上記のジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができる。具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの水添物などを挙げることができる。
上記のポリオール(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの成分は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。ポリオール(メタ)アクリレートは、好ましくはペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む。これらは共重合体であってもよく、混合物であってもよい。
上記の水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーや、2−ヒドロキシエチル基および2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他チオキサント系化合物を挙げることができる。
上記の混合物には、必要に応じて溶媒が添加される。溶媒としては、特に制限されないが、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、上記の混合物は、レベリング剤を含有してもよく、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を挙げることができる。シリコーン系のレベリング剤としては、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサンが挙げられる。好ましくは、反応性シリコーンおよびシロキサン系のレベリング剤である。反応性シリコーンのレベリング剤を用いることにより、ハードコート層表面に滑り性が付与され、優れた耐擦傷性を長期間持続させることができる。また、シロキサン系のレベリング剤を用いると、膜成形性を向上させることができる。
反応性シリコーンのレベリング剤としては、例えば、シロキサン結合と、アクリレート基およびヒドロキシル基とを有するものが挙げられる。具体例としては、
(a)(ジメチルシロキサン):(3−アクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン):(2−アクリロイル−3−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン)=0.8:0.16:0.04(モル比)の共重合体、
(b)(ジメチルシロキサン):(ヒドロキシプロピルシロキサン):(6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸):(脂肪族ポリエステル)=6.3:1.0:2.2:1.0(モル比)の共重合体、
(c)(ジメチルシロキサン):(末端がアクリレートのメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン):(末端がヒドロキシル基のメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン)=0.88:0.07:0.05(モル比)の共重合体などが挙げられる。
以上、例示したようなアクリル系のバインダー成分(バインダー樹脂)を用いることにより、透明樹脂フィルムとの密着性が向上するとともに、機械的強度がより向上し、表面の傷付きをより効果的に防止できる防眩性フィルム34を得ることができる。
エンボス法により微細表面凹凸形状を有するハードコート層36を形成する場合には、微細凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状を透明樹脂フィルム35上に形成されたハードコート層36に転写すればよい。金型形状のハードコート層36への転写は、エンボスにより行うことが好ましく、エンボスとしては、光硬化性樹脂の一種である紫外線硬化性樹脂を用いるUVエンボス法が好ましい。なお、エンボス法により微細表面凹凸形状を形成する場合には、ハードコート層36は、無機または有機微粒子を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
UVエンボス法では、透明樹脂フィルム35の表面に紫外線硬化性樹脂層を形成し、その紫外線硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が紫外線硬化性樹脂層に転写される。具体的には、透明樹脂フィルム35上に紫外線硬化性樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化性樹脂を金型の凹凸面に密着させた状態で、透明樹脂フィルム35側から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、次に、硬化後の紫外線硬化性樹脂層が形成された透明樹脂フィルム35を金型から剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化性樹脂に転写する。紫外線硬化性樹脂の種類は特に制限されず、たとえば上述のものを用いることができる。また、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光開始剤を適宜選定することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いてもよい。
ハードコート層36の厚みは、特に限定されないが、2μm以上30μm以下であり、より好ましくは3μm以上30μm以下である。ハードコート層36の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、表面が傷付きやすくなる傾向にあり、また、30μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮により防眩性フィルム34がカールして生産性が低下したりする傾向がある。
防眩性フィルム34は、上述のように、ハードコート層36によりヘイズが付与されることが好ましいが、ハードコート層36の形成とともに、透明樹脂フィルム35中に無機または有機微粒子を分散させることによりヘイズを付与してもよい。また、防眩性フィルム34として、ハードコート層36を有さず、無機または有機微粒子が分散された透明樹脂フィルム35のみを用いることも可能である。これらの場合、無機または有機微粒子としては、上述のものを用いることができる。また、無機または有機微粒子が分散された透明樹脂フィルム35の厚みは、上述の場合と同様、20〜200μm程度とすることが好ましく、20〜120μm程度とすることがより好ましい。
透明樹脂フィルム35には、上述の防眩処理(ヘイズ付与処理)のほか、帯電防止処理などの表面処理が施されていてもよく、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。ただし、帯電防止機能は、透明樹脂フィルムに表面処理を施すこと以外に、接着剤層などの偏光板の他の部分に付与しても良い。
(積層方法)
第2の偏光フィルム31に防眩性フィルム34および第2の光学補償フィルム33を積層する方法については、第1の偏光板20について記述した方法を同様に採用することができる。第2の偏光フィルム31の両面に接着剤を用いる場合は、両面同種の接着剤を用いてもよく、また異種の接着剤を用いてもよい。また、第1の偏光板20の作製に使用される接着剤と第2の偏光板30の作製に使用される接着剤は、同じであっても、異なっていてもよい。
第2の偏光板30において、第2の光学補償フィルム33側には、液晶セル40と第2の偏光板30とを貼合するための、接着剤層あるいは粘着剤層が形成されてもよい。
以上のような第1の偏光板20と第2の偏光板30は、ロール状偏光板としてロール・ツゥー・セルの工程(ロール状の偏光板を液晶セルに貼合していくような工程)に提供されても、シート状偏光板としてシート・ツゥー・セルの工程(シート状の偏光板を液晶セルに貼合していくような工程)に提供されてもよい。
<液晶パネル>
本発明の液晶パネルは、上述の偏光板のセットを用いた液晶パネルであり、具体的には、図1に示すように、第1の偏光板20、液晶セル40、および第2の偏光板30をこの順で配置してなる。ここで、第1の偏光板20と第2の偏光板30は、第1および第2の光学補償フィルム23,33を接着面として、接着剤あるいは粘着剤を用いて液晶セル40に貼付される。
液晶セル40としては、従来公知の構成を採用することができ、例えばツイステッドネマティック(TN)モード、垂直配向(VA)モードなど各種方式の液晶セル40を用いることができる。
かかる本発明の偏光板のセットを用いた液晶パネルは、第1の偏光板20に保護フィルム25を用い、第2の偏光板30に、防眩性フィルム34を用いていること、第1の偏光板20と第2の偏光板30に配置される第1および第2の光学補償フィルム23、33が、二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムからなっていることから表面の傷付き防止と機械的強度の向上および薄肉化が実現されている。このような液晶パネルは、大画面液晶テレビ用液晶表示装置、特に壁掛け可能な液晶テレビ用液晶表示装置に好適に適用することができる。
ここで、第1の偏光板20と第2の偏光板30の軸配置は、特に限定されないが、例えば、第1と第2の偏光フィルム21,31の吸収軸の相対角度を、0°あるいは90°とする。
<液晶表示装置>
図2は、本発明の液晶表示装置の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。図2に示される液晶表示装置は、バックライト10、光拡散板50、および、液晶セル40と、液晶セル40の一方の面に貼付された背面側偏光板としての第1の偏光板20と、液晶セル40の他方の面に貼付された前面側偏光板としての第2の偏光板30とからなる。第1の偏光板20は、第1の偏光フィルム21を、第1の光学補償フィルム23と保護フィルム25とで挟持した構成を有しており、第1の光学補償フィルム23側が液晶セル40側に位置するように配置されている。また、第2の偏光板30は、第2の偏光フィルム31を、第2の光学補償フィルム33と防眩性フィルム34とで挟持した構成を有しており、第2の光学補償フィルム33側が液晶セル40側に位置するように配置されている。この例において、防眩性フィルム34は、透明樹脂フィルム35と、その上に積層された表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層36とから構成されている。図2に示される本発明の液晶表示装置において、液晶パネルは、背面側偏光板である第1の偏光板20がバックライト10側となるように、すなわち、保護フィルム25が光拡散板50と対向するように配置される。第1の偏光板20、第2の偏光板30、および液晶セル40は、図1に示すものと同様であるため、説明を省略する。
(光拡散板)
ここで、光拡散板50は、バックライト10からの光を拡散させる機能を有する光学部材であって、例えば、熱可塑性樹脂に光拡散剤である粒子を分散させて光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂板の表面に凹凸を形成して光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂板の表面に粒子が分散された樹脂組成物の塗布層を設け、光拡散性を付与したものなどであり得る。その厚みは、0.1〜5mm程度とすることができる。また、光拡散板50と液晶パネルとの間には、プリズムシート(集光シートとも呼ばれ、例えば、3M社製の「BEF」など)、輝度向上シート(例えば、3M社製の「DBEF」など)、光拡散シートなど、他の光学機能性を示すシートを配置することもできる。他の光学機能性を示すシートは、必要に応じて1枚以上、複数種類配置することも可能である。さらに、光拡散板50として、例えば、シリンドリカルな形状を表面に有するプリズムシートと光拡散板との積層一体品(例えば、特開2006−284697号公報に記載されるもの)のような、光拡散機能に他の機能が複合化された光学シートを用いることも可能である。
かかる本発明の液晶表示装置は、本発明の液晶パネルを用いたものであり、液晶パネルと同様に、表面の傷付き防止、機械的強度の向上および薄肉化が実現されている。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
[製造例1]偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍、厚みは27μmであった。
[製造例2]防眩性フィルム(A)の作製
ペンタエリスリトールトリアクリレートと多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)とが重量比60/40で、酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、レベリング剤を含む光硬化性樹脂組成物を用いた。
上記の光硬化性樹脂組成物に、重量平均粒子径が2.7μmのメタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子を光硬化性樹脂(バインダー成分)100部に対して、5部加えて分散させ、固形分(樹脂粒子を含む)の濃度が30%となるように酢酸エチルを添加して、塗布液を調製した。
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比98/2の共重合体にアクリル系ゴム粒子が45%配合されたペレットと、同じくアクリル系ゴム粒子が15%配合されたペレットの二種類を用意した。それぞれのペレットを押出し機に投入して混練し、Tダイから押出される溶融フィルムを45℃に設定された2本の冷却ロールに挟んで冷却しながら引き取って、厚さ80μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。このアクリル系樹脂フィルムの上に、上述の塗布液を乾燥後の塗膜厚みが3.4μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの光硬化性樹脂組成物層側より、強度20mW/cmの高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cmとなるように照射し、光硬化性樹脂組成物層を硬化させて、表面に凹凸を有するハードコート層(厚み3.4μm)を有するアクリル系樹脂フィルムからなる防眩性フィルム(A)を得た。
防眩性フィルム(A)のヘイズ値を、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定したところ、20.1%であった。
[製造例3]光学補償フィルムの作製
プロピレン/エチレンランダム共重合体からなるポリプロピレン系樹脂(MFR=約8g/10分、エチレン含量=約5%、融点=138℃)を二軸押出機を用いて溶融混練し、樹脂温度250℃で溶融押出を行い、20℃の冷却ロールにて急冷することにより、ポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを得た後、逐次二軸延伸を行って、二軸性の光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムは、Ro=55nm、Rth=125nm、厚さ15μmであった。
<実施例1>
(a)背面側偏光板の作製
製造例1で得られた偏光フィルムの片面に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ40μm)を、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合する。偏光フィルムの反対面には、製造例3で得られた光学補償フィルムを、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合し、背面側偏光板(第1の偏光板)を得る。この背面側偏光板の厚さは88μmとなり、比較例1より薄肉である。なお、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよび光学補償フィルムは、それらの遅相軸が偏光フィルムの延伸軸とそれぞれ直交するように貼合する。次に、該背面側偏光板の光学補償フィルム面に粘着剤(厚さ25μm)の層を設ける。
(b)前面側偏光板の作製
製造例1で得られた偏光フィルムの片面に、製造例2で得られた防眩性フィルム(A)を、接着剤を介して貼合し、偏光フィルムの反対面には、製造例3で得られた光学補償フィルムを、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合し、前面側偏光板(第2の偏光板)を得る。この前面側偏光板の厚さは131.4μmとなり、比較例1より薄肉である。なお、光学補償フィルムは、その遅相軸が偏光フィルムの延伸軸と直交するように貼合する。該前面側偏光板の光学補償フィルム面に粘着剤(厚さ25μm)の層を設ける。
(c)液晶パネルおよび液晶表示装置の作製
垂直配向モードの液晶表示素子が搭載された市販の液晶テレビ(シャープ(株)製の「LC−42GX1W」)の液晶セルから両面の偏光板を剥離し、液晶セルの背面(バックライト側)には、(a)で作製した背面側偏光板を、液晶セルの前面(視認側)には、(b)で作製した前面側偏光板を、いずれも偏光板の吸収軸が、元々液晶テレビに貼付されていた偏光板の吸収軸方向と一致するように、光学補償フィルム上に形成した粘着剤層を介して貼り合わせて、液晶パネルを作製する。次に、この液晶パネルを、バックライト/光拡散板/プリズムシート(3M社製の「BEF」)/輝度向上シート(3M社製の「DBEF」)/液晶パネルの構成で組み立てて、液晶表示装置を作製する。当該液晶表示装置について、表示域の光抜けは小さく、また、液晶パネルの前面側偏光板表面(ハードコート層表面)を布を用いて擦ると、傷は付き難くい。さらに、液晶パネルの厚みも薄肉化されている。
<比較例1>
(d)背面側偏光板の作製
背面側偏光板の作製において、製造例3で作製した光学補償フィルムの代わりに、二軸性ノルボルネン系樹脂フィルム(厚さ68μm、Ro=63nm、Rth=225nm)を用いること以外は、実施例1と同様にして背面側偏光板を作製する。この背面側偏光板の厚さは141μmとなり、実施例1より厚い。
(e)前面側偏光板の作製
前面側偏光板の作製において、製造例3で作製した光学補償フィルムの代わりに、二軸性ノルボルネン系樹脂フィルム(厚さ68μm、Ro=63nm、Rth=225nm)を、防眩性フィルム(A)の代わりに、ハードコート層を形成していないアクリル系樹脂フィルム(厚み80μm)を用いること以外は、実施例1と同様にして前面側偏光板を作製する。この前面側偏光板の厚さは181μmとなり、実施例1より厚い。
(f)液晶パネルおよび液晶表示装置の作製
比較例1の(d)、(e)の偏光板を用いて、実施例1と同様に、液晶表示装置を組み立てる。当該液晶表示装置について、表示域の光抜けは大きく視認性が劣る。また、液晶パネルの前面側偏光板表面(アクリル系樹脂フィルム表面)を布で擦ると、傷が付きやすい。さらに、液晶パネルの厚みが厚い。
10 バックライト、20 第1の偏光板、21 第1の偏光フィルム、23 第1の光学補償フィルム、25 保護フィルム、30 第2の偏光板、31 第2の偏光フィルム、33 第2の光学補償フィルム、34 防眩性フィルム、35 透明樹脂フィルム、36 ハードコート層、40 液晶セル、50 光拡散板。

Claims (4)

  1. 液晶セルの一方の面側に配置される第1の偏光板と、他方の面側に配置される第2の偏光板とからなる液晶用偏光板のセットであって、
    第1の偏光板は、第1の光学補償フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第1の偏光フィルムと、透明樹脂からなる保護フィルムとがこの順で積層されてなり、
    第2の偏光板は、第2の光学補償フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルムと、ヘイズ値が0.1%以上45%以下の範囲である防眩性フィルムとがこの順で積層されてなり、
    第1および第2の光学補償フィルムは、面内位相差値(Ro)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)が20〜500nmの範囲にある二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムである、偏光板のセット。
  2. 前記防眩性フィルムは、透明樹脂フィルムと、厚み2〜30μmのハードコート層とが積層されてなり、前記透明樹脂フィルムを第2の偏光フィルム側に向けて配置されている、請求項1に記載の偏光板のセット。
  3. 請求項1または2に記載の偏光板のセットと、液晶セルとからなり、
    第1の偏光板、前記液晶セル、第2の偏光板とがこの順で配置されてなり、
    第1の偏光板は第1の光学補償フィルムを前記液晶セル側に、第2の偏光板は第2の光学補償フィルムを前記液晶セル側に向けて配置されている、液晶パネル。
  4. バックライト、光拡散板、および請求項3に記載の液晶パネルをこの順で備え、
    前記液晶パネルは第1の偏光板を前記光拡散板側に向けて配置されている、液晶表示装置。
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