JP2011176186A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 高誘電率であり、EIA規格のX5R特性を満足しつつ、DCバイアス特性およびDCエージング特性に優れた積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】 誘電体層5が、チタン酸バリウムを主成分とし、カルシウムと、マグネシウムと、希土類元素とを有するとともに、主結晶粒子が、コアシェル構造の結晶粒子からなり、該結晶粒子は、カルシウムの濃度が0.3原子%より少ない第1の結晶粒子と、カルシウムの濃度が0.3原子%以上である第2の結晶粒子とを有するとともに、平均粒径が0.15〜0.4μmであり、コア部9aの結晶構造が正方晶系であるとともに、前記コア部を取り囲むシェル部9bの結晶構造が立方晶系であり、かつX線回折情報を基に算出した前記シェル部9bの平均厚みが5〜15nmである誘電体磁器からなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子によって構成され、薄層化が可能な積層セラミックコンデンサに関する。
従来より、積層セラミックコンデンサの誘電体材料には、比誘電率が高いという理由によりチタン酸バリウムが用いられており、また、積層セラミックコンデンサの内部電極層には、安価な卑金属(Niなど)が用いられている。チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層と内部電極層とを同時に焼成する場合、Niを酸化させないために酸素分圧を低くする(例えば、1300℃で0.03Pa以下)必要がある。この場合、誘電体層が還元され絶縁性が低下し、実用的な特性が得られなくなるという問題がある。
そこで、EIA規格のX5R特性(またはJIS規格B特性)の場合、誘電体材料として、例えばチタン酸バリウムを主成分とし、これに希土類元素の酸化物や、Mn,V,Cr,Mo,Fe,Ni,Cu,Co等のアクセプタ型、ドナー型元素の化合物を添加した、耐還元性の誘電体磁器組成物が使用されている。チタン酸バリウムに、このような複数の添加成分を固溶させた誘電体の結晶粒子(例えばBaTiO)は、結晶構造が正方晶系のコア部(通常は純粋なBaTiO)と、コア部を取り囲み添加成分が固溶したシェル部とから構成されている(例えば、特許文献1を参照)。ここで、EIA規格のX5R特性とは−55〜85℃の温度範囲において、25℃を基準にしたときの静電容量の変化率が±15%以内を示すものであり、JIS規格B特性とは、−25〜85℃の温度範囲において、20℃を基準にしたときの静電容量の変化率が±10%以内を示すものをいう。
さらに、近年においては、電子回路の小型化、高密度化の流れに伴ない、積層セラミックコンデンサについても、EIA規格のX5R特性を満足しつつ、小型大容量化が求められており、小型大容量化のために誘電体層の積層数の更なる増加とともに薄層化が進んでいる。
しかし、誘電体層を薄層化させると、1層あたりの電界強度が大きくなり、積層セラミックコンデンサは直流電圧を印加した際に静電容量が低下するという問題があった(DCバイアス特性)。ここで、DCバイアス特性とは、積層セラミックコンデンサに直流電圧を印加しないときの静電容量をC、直流電圧を印加したときの静電容量をCとしたときに、((C−C)/C)×100(%))で表される特性のことである。
このため、積層セラミックコンデンサは、交流電圧とともに直流電圧を印加したときの実効的な静電容量が重視されてきており、これまでに積層セラミックコンデンサのDCバイアス特性を高めるための改良が長年に亘って行われてきている(例えば、特許文献2〜5)。
特開2001−230150号公報 特開2001−316176号公報 特開2006−111468号公報 特開2008−162818号公報 特開2009−238885号公報
ところが、積層セラミックコンデンサのこのような誘電体層の薄層化に伴う課題は、上述のような1層あたりの電界強度の増加に伴うDCバイアス特性の低下だけにとどまらず、積層セラミックコンデンサに直流電圧を継続して印加した場合に、静電容量が次第に低下していくという問題をも生じさせている(DCエージング特性)。ここで、DCエージング特性とは、積層セラミックコンデンサに一定の直流電圧を継続して印加したときの時間に対する静電容量の変化(低下)率のことである。
従って、本発明は、高誘電率であり、EIA規格のX5R特性を満足しつつ、DCバイアス特性およびDCエージング特性に優れた積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層とニッケルを導体材料とする複数の内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面に設けられた外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、チタン酸バリウムを主成分とし、カルシウムと、マグネシウムと、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも一種の希土類元素(RE)とを有し、バリウムとカルシウムとの合計量100モルに対し、前記マグネシウムをMgO換算で0.5〜1.2モル、前記希土類元素(RE)をRE換算で0.5〜1.0モル含有するとともに、主結晶粒子が、前記チタン酸バリウムを主成分とし、前記カルシウムと、前記マグネシウムと、前記希土類元素(RE)とを固溶したコアシェル構造で、カルシウムの濃度が0.3原子%より少ない第1の結晶粒子およびカルシウムの濃度が0.3原子%以上である第2の結晶粒子からなり、該結晶粒子は、平均粒径が0.15〜0.4μmであり、コア部の結晶構造が正方晶系であるとともに、前記コア部を取り囲むシェル部の結晶構造が立方晶系であり、かつX線回折情報を基に算出した前記シェル部の平均厚みが5〜15nmであり、誘電体磁器の研磨面に見られる前記第1の結晶粒子の面積をS1、前記第2の結晶粒子の面積をS2としたときに、S2/(S1+S2)が0.4〜0.8である誘電体磁器からなることを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記誘電体磁器が、バナジウムを含まないものであることが望ましい。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記誘電体磁器が、マンガンを含まないものであることが望ましい。
本発明によれば、高誘電率であり、EIA規格のX5R特性を満足しつつ、DCバイアス特性およびDCエージング特性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、内部の拡大図である。 図2は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層である誘電体磁器におけるチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の内部構造を示す断面模式図である。
本発明の積層セラミックコンデンサについて、図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。図1(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、内部の拡大図である。図2は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層である誘電体磁器におけるチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の内部構造を示す断面模式図である。
この実施形態の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は、誘電体磁器からなる誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。図1では誘電体層5と内部電極層7との積層状態を単純化して示しているが、この実施形態の積層セラミックコンデンサは誘電体層5と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体となっている。
誘電体磁器からなる誘電体層5は、結晶粒子9と粒界相11とから構成されており、その厚みは3μm以下、特に、2μm以下が望ましく、これにより積層セラミックコンデンサを小型、高容量化することが可能となる。なお、誘電体層5の厚みが0.5μm以上であると静電容量の温度特性を安定化させることが可能になる。
内部電極層7は、高積層化しても製造コストを抑制できるとともに、誘電体層5との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)が好適である。
この実施形態の積層セラミックコンデンサは、誘電体層5を構成する誘電体磁器が、チタン酸バリウムを主成分とし、カルシウムと、マグネシウムと、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも一種の希土類元素(RE)とを有している。
また、この誘電体磁器は、バリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対して、マグネシウムを0.5〜1.2モルと、イットリウム,ジスプロシウム、ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を0.5〜1.0モルとを含有する。
さらに、この誘電体磁器を構成する主結晶粒子としての結晶粒子9は、その平均粒径が0.15〜0.4μmである。
また、この誘電体磁器を構成する結晶粒子9は、カルシウムの濃度の低い第1の結晶粒子9Aと、この第1の結晶粒子9Aよりもカルシウムの濃度の高い第2の結晶粒子9Bとから構成されるものであり、第1の結晶粒子9Aはカルシウムの濃度が0.3原子%よりも低いチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子であり、第2の結晶粒子9Bはカルシウムの濃度が0.3原子%以上のチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子であり、誘電体磁器の研磨面に見られる前記第1の結晶粒子の面積をS1、前記第2の結晶粒子の面積をS2としたときに、S2/(S1+S2)が0.4〜0.8である。
また、この誘電体磁器を構成する第1の結晶粒子9Aおよび第2の結晶粒子9Bは、ともに正方晶系の結晶構造を有するコア部9aと、コア部9aを取り囲みマグネシウムおよび希土類元素(RE)の添加成分が固溶し、結晶構造が立方晶系のシェル部9bとからなり、X線回折情報を基に算出したシェル部9bの平均厚みが5〜15nmである。
積層セラミックコンデンサを構成する誘電体磁器が、上記組成を有し、第1の結晶粒子9Aおよび第2の結晶粒子9Bを特定の割合で含み、これらの第1の結晶粒子9Aおよび第2の結晶粒子9Bの結晶構造が正方晶系のコア部9aと立方晶系のシェル部9bとからなるコアシェル構造であり、シェル部9bの平均厚みtが特定の範囲であると、積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5の室温における比誘電率が3650以上であるとともに、静電容量の温度特性がEIA規格のX5R特性(−55〜+85℃の温度範囲において、25℃を基準にしたときの静電容量の変化率が±15%以内を示すもの)を満足するとともに、DCバイアス特性(積層セラミックコンデンサに直流電圧を印加しないときの静電容量に対して、直流電圧を印加したときの静電容量の変化率)が−55%以内であり、かつDCエージング特性(積層セラミックコンデンサに一定の直流電圧を継続して印加したときの時間に対する静電容量の変化率)が−20%以内という優れた誘電特性を有する積層セラミックコンデンサとすることができる。なお、第2の結晶粒子9は、カルシウムが結晶粒子の全体にほぼ均一に分布して固溶した状態にある。また、第1の結晶粒子1Aはカルシウムの濃度がゼロのものを含む。
ここで、DCバイアス特性が−55%より大きくなる、およびDCエージング特性が−20%より大きくなるとは、静電容量の変化がマイナス側に大きくなることを意味する。
すなわち、この実施形態の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5となる誘電体磁器に含まれる各元素の含有量は、バリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対するマグネシウムの含有量がMgO換算で0.5モルより少ないと、結晶粒子9中にシェル部が形成されず、コアシェル構造を有しないものとなり、このため静電容量の温度特性が大きくなりEIA規格のX5R特性を満足しなくなるとともに、DCバイアス特性が−55%より大きくなり、さらにDCエージング特性も−20%より大きくなる。
一方、バリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対するマグネシウムの含有量がMgO換算で、1.2モルより多いと、室温における比誘電率が3650より低下するとともに、DCエージング特性が−20%より大きくなる。
次に、バリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対する希土類元素(RE)の含有量がRE換算で、0.5モルより少ないと、この場合も結晶粒子9中にシェル部が形成されず、コアシェル構造を有しないものとなり、静電容量の温度特性がEIA規格のX5R特性を満足しなくなるとともに、DCバイアス特性が−55%より大きくなり、またDCエージング特性も−20%より大きくなる。
一方、バリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対する希土類元素(RE)の含有量がRE換算で、1.0モルより多いと、シェル部9bの厚みが15nmよりも厚くなり、室温における比誘電率が3650より低下するとともに、DCエージング特性が−20%より大きくなる。
この実施形態の積層セラミックコンデンサは、マグネシウムおよび希土類元素(RE)とともに、バナジウムをバリウムとカルシウムとの合計量100モルに対してV換算で0.1モル以下の範囲で含んでいてもよいが、好ましくはバナジウムを含まないものであることが望ましい。誘電体磁器がバナジウムを含まないものであると、結晶粒子9におけるシェル部9bの厚みが8nm以下に薄くなり、誘電体層5の室温における比誘電率を3800以上に高めることができるとともに、DCエージング特性を−12.28%以下にすることができる。
また、この実施形態の積層セラミックコンデンサは、誘電体層5となる誘電体磁器がマ
グネシウム、希土類元素(RE)とともに、マンガンをバリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対してMnO換算で0.2モル以下の範囲で含んでいてもよいが、好ましくはマンガンを含まないものであることが望ましい。本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、誘電体磁器がマンガンを含有していない場合には、シェル部9bの厚みtが5.5〜6.8nmとなり、これによりDCエージング特性を−9.34%以下にすることができる。
また、この実施形態の積層セラミックコンデンサは、コアシェル構造を持つ結晶粒子9のシェル部9bの平均厚みが5〜15nmであることが重要であり、シェル部9bの平均厚みが5nmよりも薄い場合には、室温における比誘電率は3650以上であるものの、静電容量の温度変化率が±15%より大きくなりEIA規格のX5R特性を満足しないものとなる。一方、シェル部9bの平均厚みが15nmより厚くなると、DCエージング特性が−20%を超えてしまう。
また、この実施形態の積層セラミックコンデンサは、誘電体層5である誘電体磁器を構成する結晶粒子9の平均粒径が0.15〜0.4μmであることが重要である。結晶粒子9の平均粒径が0.15μmよりも小さいと、室温における比誘電率が3650より低くなり、この場合、結晶粒子9の平均粒径が小さく、添加元素の拡散によりシェル部9bの平均厚みが15nmよりも厚くなってしまう場合には、DCエージング特性が−20%を超えてしまう。一方、結晶粒子9の平均粒径が0.4μmよりも大きいと、DCバイアス特性が−55%よりも大きくなってしまう。
また、この実施形態の積層セラミックコンデンサは、誘電体磁器の研磨面に見られる第1の結晶粒子9Aの面積をS1、第2の結晶粒子9Bの面積をS2としたときに、S2/(S1+S2)が0.4〜0.8である。この場合、S2/(S1+S2)が0.4よりも小さいかまたはS2/(S1+S2)が0.8よりも大きい場合には、室温における比誘電率が3650よりも低くなる。
また、この実施形態の積層セラミックコンデンサは、所望の誘電特性を維持できる範囲であれば焼結性を高めるための助剤としてガラス成分や他の添加成分を誘電体磁器中に4質量%以下の割合で含有させてもよい。
ここで、結晶粒子中のカルシウム濃度(以下、Ca濃度ということもある)については、エネルギー分散型分析器(EDS)を付設した透過電子顕微鏡装置を用いて測定する。この場合、研磨した誘電体磁器の断面に映し出された結晶粒子に対して、EDSを用いて、結晶粒子の中心部近傍の任意の場所を分析し、結晶粒子から検出される主成分の元素(Ba,Ti,Ca)と添加剤の各元素(V,Mg,Mn,RE)の全量を100%として、その中に含まれるCaの含有量を求める。そして、Ca濃度が0.3原子%より低い第1の結晶粒子9AとCa濃度が0.3原子%以上の第2の結晶粒子9Bとに分類する。Ca濃度が0.3原子%より低い第1の結晶粒子1AとCa濃度が0.3原子%以上の第2の結晶粒子1Bとの割合は透過電子顕微鏡写真に映し出された結晶粒子の断面の面積比率から求める。この場合、撮影した透過電子顕微鏡の写真の面積において、第1の結晶粒子9Aの面積をS1とし、第2の結晶粒子9Bの面積をS2とし、S2/(S1+S2)比から求める。なお、評価する結晶粒子9の数は100個ほどとする。また、結晶粒子の中心部近傍とは、誘電体磁器を断面研磨した試料の研磨表面に見られる結晶粒子の粒界から直径の1/3の深さより内側の領域のことである。
また、本発明において、結晶粒子9のシェル部9bの平均厚みtを測定する方法は、特開2006−137647号公報に示されているX線回折法を用いた評価方法に基づいて、以下の式より求めることができる。
対象とする結晶粒子9の結晶構造は、測定したX線回折パターンにおいて、選択したX線回折パターンが純粋な正方晶(h k l)または立方晶(h' k' l')の反射に
比較してブロードになっており、ピーク位置の同定から正方晶(h k l)および立方晶(h' k' l')の反射が含まれているものとする。この場合、対象とする回折デー
タは、正方晶(h k l)および立方晶(h' k' l')の反射とする。そして、回
折ピークから、ピーク強度(=積分強度)、ピークトップの2θ位置、半値幅、ピークの形状関数等のパラメータを得る。
次に、回折ピークから求められる立方晶(h' k' l')のピーク半値幅の値(B)
を、数2式に代入して、真の半値幅(β)を求め、次に、この真の半値幅(β)と回折データから得られたブラッグ角(θ)の値を数1式に代入してシェル部の厚み(dobs)を求め、これをシェル部の平均厚みtとする。その際、必要に応じて、ピーク分離を行う。この場合、ピーク分離の条件は、バックグラウンド関数:0次多項式、放射光:Kα1、プロファイル関数:the psedo-Voigt関数、半値幅:すべての反射に対し異なる半値幅
、プロファイルの対象性:対象、およびデータ分解能:シャープ(最小半値幅:約0.1°)とする。なお、ピーク分離には市販ソフトを用いることができ、ピーク分離のためのツールは特に限定されるものではない。
Figure 2011176186
Figure 2011176186
また、結晶粒子9(第1の結晶粒子9Aおよび第2の結晶粒子9B)の平均粒径は、以下の手順で測定する。まず、焼成後のコンデンサ本体1である試料の破断面を研磨する。この後、研磨した試料を走査型電子顕微鏡を用いて内部組織の写真を撮り、その写真上で結晶粒子9が50〜100個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子9を選択する。次いで、各結晶粒子9の輪郭を画像処理して、各結晶粒子9の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、その平均値より求める。
また、誘電体磁器の組成は、積層セラミックコンデンサを酸に溶解させた溶液をICP
(Inductively Coupled Plasma)分析および原子吸光分析を用いて求められる。この場合、各元素の価数を周期表に示される価数として酸素量を求める。
次に、この実施形態の積層セラミックコンデンサを製造する方法について説明する。
まず、誘電体粉末をポリビニルブチラール樹脂などの有機樹脂やトルエンおよびアルコールなどの溶媒とともにボールミルなどを用いてセラミックスラリを調製し、次いで、セラミックスラリをドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いて基材上にセラミックグリーンシートを形成する。セラミックグリーンシートの厚みは誘電体層5の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜5μmが好ましい。
この実施形態の積層セラミックコンデンサの製法で用いる主成分となる粉末としては、カルシウムを含有しないチタン酸バリウム粉末(Ba/Tiのモル比が1.001〜1.009、以下、BT粉末という)とカルシウムを固溶させたチタン酸バリウム粉末(以下、BCT粉末という)を用いる。BCT粉末は(Ba1−xCa)TiO(X=0.01〜0.2)で表され、Ba+Ca/Tiのモル比が1.001〜1.009であるものを用いるのがよい。また、BT粉末およびBCT粉末の平均粒径は0.06〜0.2μmであることが望ましい。これにより誘電体層5の薄層化を容易にし、BT粉末とBCT粉末との混合粉末から、後述する焼成条件により高誘電率であり、EIA規格のX5R特性を満足しつつ、DCバイアス特性およびDCエージング特性に適した結晶粒子9とすることが可能になる。
この実施形態の積層セラミックコンデンサを製造する際に用いる誘電体粉末は、上記したBT粉末およびBCT粉末の混合粉末を主成分とし、これに、マグネシウム、希土類元素および焼結助剤の全成分を所定量被覆したものを用いる。
この場合、用いる誘電体粉末は以下のようにして調製する。まず、純度が99.9%以上、Ba/Tiのモル比が1.001〜1.009であり、平均粒径が0.1〜0.2μmであるBT粉末と純度が99.9%以上、(Ba+Ca)/Tiのモル比が1.001〜1.009であり、平均粒径が0.1〜0.2μmであるBCT粉末との混合粉末の懸濁液に、pH調整剤としてアンモニア水を用いて、pHを6〜8の範囲とし、これに、リチウム水溶液、シリカゾル、炭酸バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液およびイットリウム,ジスプロシウム、ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素の水溶液を、この順に、添加し混合してセラミックスラリを調製する。なお、これらの原料試薬の純度は、得られる誘電体磁器への不純物の混入を抑制し、高い誘電特性を得るという理由からいずれも99.5%以上であるのがよい。
次に、このセラミックスラリを4流体ノズルを備えた噴霧乾燥機に投入し、4流体ノズルから直径が10μm以下の液滴を生成させ、200℃付近の温度で乾燥処理して、誘電体粉末の前駆体を作製し、次いで、この誘電体粉末の前駆体を乾燥処理の温度よりも高い温度にて加熱処理することにより調製する。
その組成は、BT粉末とBCT粉末の合計量を100モルとしたときに、水酸化マグネシウム水溶液中に含まれるMgをMgOとして換算したときの量で0.5〜1.2モル、イットリウム,ジスプロシウム、ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)の水溶液中に含まれる希土類元素(RE)をREとして換算したときの量で0.5〜1.0モルの組成になるように添加する。
また、焼結助剤を用いる場合、その添加量はBT粉末とBCT粉末との合計量100質量部に対して0.5〜2質量部になるように調製する。これにより誘電体磁器の焼結性をより高めることができる。焼結助剤としてはリチウムを含む低融点ガラスを用いることが好ましく、例えば、その組成は、LiO=1〜15モル%、SiO=40〜60モル%、BaO=15〜35モル%、およびCaO=5〜25モル%が好ましい。
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面上に矩形状の内部電極パターンを印刷して形成する。内部電極パターンとなる導体ペーストは、Niもしくはこれらの合金粉末を主成分金属とし、これに共材としてのセラミック粉末を混合し、有機バインダ、溶剤および分散剤を添加して調製する。また、セラミックグリーンシート上の内部電極パターンによる段差を解消するために、内部電極パターンの周囲にセラミックパターンを内部電極パターンと実質的に同一厚みで形成することが好ましい。この場合、セラミックパターンを構成するセラミック成分は、同時焼成での焼成収縮を同じにするという点でセラミックグリーンシートに用いた誘電体粉末を用いることが好ましい。
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねて仮積層体を形成する。仮積層体中における内部電極パターンは長寸方向に半パターンずつずらしてある。このような積層工法により切断後の積層体の端面に内部電極パターンが交互に露出されるように形成できる。
なお、本発明の積層セラミックコンデンサは、セラミックグリーンシートの主面に内部電極パターンを予め形成した後に積層する工法の他に、セラミックグリーンシートを一旦下層側の機材に密着させた後に、内部電極パターンを印刷し、乾燥させ、印刷、乾燥された内部電極パターン上に、内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートを重ねて仮密着させ、セラミックグリーンシートの密着と内部電極パターンの印刷を逐次行う工法によっても形成できる。
次に、仮積層体を上記仮積層時の温度圧力よりも高温、高圧の条件にてプレスを行い、セラミックグリーンシートと内部電極パターンとが強固に密着された積層体を形成する。
次に、積層体を格子状に切断することにより内部電極パターンの端部が露出するコンデンサ本体成形体を形成する。
次に、コンデンサ本体成形体を、所定の雰囲気下、温度条件で焼成してコンデンサ本体1を形成する。場合によっては、コンデンサ本体1の稜線部分の面取りを行うとともに、コンデンサ本体1の対向する端面から露出する内部電極層7を露出させるためにバレル研磨を施しても良い。
次に、得られたコンデンサ本体成形体を脱脂した後、焼成する。焼成は、昇温速度を1500〜4000℃/hとし、最高温度を1030〜1200℃、保持時間を0.1〜4時間とし、水素−窒素の雰囲気中にて行うことが望ましい。この後、900〜1100℃の温度範囲で再酸化処理を行うことによってコンデンサ本体1を得る。焼成をこのような条件で行うことにより、誘電体層5を構成する結晶粒子9の平均粒径を0.15〜0.4μmの範囲とし、結晶粒子9の結晶構造が正方晶系のコア部9aと、コア部を取り囲み少なくともマグネシウムおよび希土類元素の添加成分が固溶した立方晶系のシェル部9bとからなり、シェル部9bの厚みが5〜15nmであるコンデンサ本体1を得ることができる。
上述したように、本実施形態の積層セラミックコンデンサは、誘電体層5を作製するの
に、チタン酸バリウムを主成分とし、これに少なくともカルシウム、マグネシウム、希土類元素および焼結助剤の全成分を所定量被覆したものを用い、得られた生のコンデンサ本体成形体を昇温速度の高い焼成条件で焼成することにより、シェル部9bの平均厚みの小さい結晶粒子9を得ることができる。これに対して、チタン酸バリウムを主成分とし、これに、少なくともカルシウム、マグネシウム、希土類元素および焼結助剤の全成分を所定量被覆したものを用いても、昇温速度が1500℃/hよりも遅い条件では、シェル部9bの厚みが大きくなり、また、チタン酸バリウムを主成分とし、これに、少なくともマグネシウムおよび希土類元素を所定量被覆しても、焼結助剤としてガラス粉末を後添加する方法を用いた場合には、いずれもDCエージング特性が大きくなる。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを行い外部電極3を形成する。また、場合によっては、この外部電極3の表面に実装性を高めるためにメッキ膜を形成する。こうして本発明の積層セラミックコンデンサを得られる。
まず、原料粉末として、純度が99.9%であり平均粒径が0.06〜2.0μmであり、Ba/Tiのモル比が1.005のBT粉末と(Ba0.97Ca0.03)TiOで表され、純度が99.9%、平均粒径が0.06〜2.0μm、Ba+Ca/Tiのモル比が1.005のBCT粉末とを準備し表1に示す割合で混合した。
次に、BT粉末とBCT粉末との混合粉末の懸濁液に、アンモニア水をpH調整剤として用いて、pHを6〜8の範囲になるようにした。次に、これに、リチウム水溶液、シリカゾル、炭酸バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、バナジン酸アンモニウム水溶液、酢酸マンガン水溶液およびイットリウム,ジスプロシウム、ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも一種の希土類元素の水溶液を、この順に、添加し混合してセラミックスラリを調製した。
次に、このセラミックスラリを4流体ノズルを備えた噴霧乾燥機に投入し、4流体ノズルから直径が10μm以下の液滴を生成させ、200℃付近の温度で乾燥処理して、誘電体粉末の前駆体を作製し、次いで、この誘電体粉末の前駆体を400℃にて加熱処理を行ってBT粉末の表面にバナジウム、マグネシウム、希土類元素、マンガンおよび焼結助剤の全成分が所定量被覆された誘電体粉末を調製した。焼結助剤は、SiO=55,BaO=20,CaO=15,LiO=10(モル%)組成となるように組成を調整し、また、その焼結助剤の添加量はBT粉末100質量部に対して1質量部になるように調整した。なお、比較例として、バナジウム、マグネシウム、希土類元素およびマンガンを所定量被覆したBT粉末とBCT粉末との混合粉末に対して、焼結助剤としてガラス粉末を添加した試料を作製した(試料No.36)。
次に、得られた誘電体粉末を、ポリビニルブチラール樹脂と、トルエンおよびアルコールの混合溶媒中に投入し、直径1mmのジルコニアボールを用いて湿式混合してセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み2μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする導体ペーストを矩形状の内部電極パターンとなるように複数形成した。内部電極パターンを形成するための導体ペーストは、平均粒径が0.3μmのNi粉末100質量部に対してBT粉末を添加したものを用いた。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを200枚積層し、その
上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で密着させて積層体を作製し、しかる後、この積層体を、所定の寸法に切断してコンデンサ本体成形体を形成した。
次に、コンデンサ本体成形体を大気中で脱バインダ処理した後、水素−窒素中、1100で焼成してコンデンサ本体を作製した。この焼成では、ローラーハースキルンを用いて、表1に示す昇温速度の条件で焼成を行った。
作製したコンデンサ本体は、続いて、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理を行った。このコンデンサ本体の大きさは2.05×1.28×1.28mm、誘電体層の厚みは2.0μm、内部電極層の1層の有効面積は1.78mmであった。なお、有効面積とは、コンデンサ本体の異なる端面にそれぞれ露出するように積層方向に交互に形成された内部電極層同士の重なる部分の面積のことである。
次に、コンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉末とガラスとを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行って外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、これらの積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。室温(25℃)における比誘電率は静電容量をLCRメータ(ヒューレットパッカード社製)を用いて、温度25℃、周波数1.0kHz、AC電圧を1.0V/μmとして測定し、誘電体層の厚みと内部電極層の有効面積から求めた。また、静電容量の温度特性は静電容量を温度−55〜85℃の範囲で測定した。
DCバイアス特性は、温度25℃、周波数1.0kHz、AC電圧1.0V/μmの条件において、直流(DC)電圧を印加しないときの静電容量をC1、温度25℃、周波数1.0kHz、AC電圧0.2V/μmの条件において、直流(DC)電圧を印加したときの静電容量をC2としたときに、((C2−C1)/C1)×100(%)から求めた。
DCエージング特性は、4.5V/μmの直流(DC)電圧を印加して、1時間および10時間経過したときの静電容量を測定し、10時間経過後の静電容量をC3としたときに、((C3−C2)/C1)×100(%)から求めた。
誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径は、焼成後のコンデンサ本体である試料の破断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて内部組織の写真を撮り、その写真上で結晶粒子が30個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、各結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子の面積を求め、同じ面積を持つ円に置き換えたときの直径を算出し、その平均値より求めた。
結晶粒子中のCa濃度については、エネルギー分散型分析器(EDS)を付設した透過電子顕微鏡装置を用いて測定した。この場合、研磨した誘電体磁器の断面に映し出された結晶粒子に対して、EDSを用いて、結晶粒子の中心部近傍の任意の場所を分析し、結晶粒子から検出される主成分の元素(Ba,Ti,Ca)と添加剤の各元素(V,Mg,Mn,RE)の全量を100%として、その中に含まれるCaの含有量を求めた。そして、Ca濃度が0.3原子%より低い第1の結晶粒子とCa濃度が0.3原子%以上の第2の結晶粒子とに分類した。また、Ca濃度が0.3原子%より低い第1の結晶粒子とCa濃度が0.3原子%以上の第2の結晶粒子との割合は透過電子顕微鏡写真に映し出された結
晶粒子の断面の面積比率から求めた。この場合、撮影した透過電子顕微鏡の写真の面積において、第1の結晶粒子の面積をS1とし、第2の結晶粒子の面積をS2とし、S2/(S1+S2)比から求めた。なお、評価する結晶粒子9の数は100個ほどとした。また、結晶粒子の中心部近傍として、誘電体磁器を断面研磨した試料の研磨表面に見られる結晶粒子の粒界から直径の1/3の深さより内側の領域を分析した。焼成後の誘電体磁器については、いずれの試料もCaを含まない(分析においてノイズレベル以下のピーク強度)結晶粒子とCa濃度が平均で0.8原子%の結晶粒子とが共存したものであることを確認した。
結晶粒子の平均のシェル厚みは、前述の数式1および数式2を用いて求めた。このとき、X線回折装置はPanalytical社製のX‘PertProを用いた。このとき対象とする結晶粒子の結晶構造は、測定したX線回折パターンにおいて、選択したX線回折パターンが純粋な正方晶(h k l)または立方晶(h' k' l')の反射に比較
してブロードになっており、ピーク位置の同定から正方晶(h k l)および立方晶(h' k' l')の反射が含まれているものを選択した。
そして、回折ピークは、正方晶の(002),(200)、立方晶の(200)を測定の対象とした。ビームの大きさは、縦方向に0.5mm、水平方向に5mmとした。波長は1.54982Åとした。誘電体磁器の測定は、ステップ幅を0.02°とし、1点あたりの計数時間を5.0秒とした。また、繰返し回数を10回とし、10回分の積算を回折強度とした。なお、評価においては、回折ピークからピーク分離ソフトを用いて以下の条件で正方晶の(002),(200)、立方晶の(200)をピーク分離を行った。ピーク分離の条件は、バックグラウンド関数:0次多項式、放射光:Kα1、プロファイル関数:the psedo-Voigt関数、半値幅:すべての反射に対し異なる半値幅、プロファイル
の対象性:対象、データ分解能:シャープ(最小半値幅:約0.1°)および解析範囲:44°<2θ<47°、とした。
また、得られた焼結体である試料の組成分析はICP(Inductively Coupled Plasma)分析および原子吸光分析により行った。この場合、得られた誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず、原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる元素の定性分析を行い、次いで、特定した各元素について標準液を希釈したものを標準試料として、ICP発光分光分析にかけて定量化した。また、各元素の価数を周期表に示される価数として酸素量を求めた。なお、得られた積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の組成は、表1に示した組成と一致した。
調合組成および焼成条件を表1に、得られた積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径および誘電特性(比誘電率、静電容量の温度特性、DCバイアス特性,DCエージング特性の結果を表2にそれぞれ示す。
Figure 2011176186
Figure 2011176186
表1〜2の結果から明らかなように、本発明の試料No.2〜4、9、10、12,13、16、17,19〜21、23〜30および32〜34では、室温(25℃)における比誘電率を3650以上、静電容量の温度特性がX5R(25℃を基準にしたときの比誘電率の温度変化率が−55〜85℃において±15%)を満足し、4.5V/μmの直流を印加するDCバイアス特性の測定において、直流電圧無印加の静電容量値を基準としたとき、4.5V/μmの条件での印加での静電容量値の低下率が52.83%(−52.83%:試料No.25)以下であり、さらに、直流電圧を4.5V/μmの条件で印加するDCエージング特性において、0.1〜10時間の経過までの静電容量の低下率が
18.23%(−18.23%:試料No.32)以下であった。
また、誘電体層となる誘電体磁器がバナジウムを含有しない試料(試料No.12)では、室温における比誘電率が3800であり、DCエージング特性における0.1〜10時間の経過までの静電容量の低下率が12.28%(−12.28%:試料No.13)となり、バナジウムを含有する試料(試料No.13)に比較して、高誘電率でありDCエージング特性に優れていた。
特に、誘電体層となる誘電体磁器がマンガンを含有しない試料(試料No.19および27〜30)では、同条件でのDCエージング特性において、0.1〜10時間の経過までの静電容量の低下率が10.04%(−9.34%:試料No.28)以下であった。
これに対して、本発明の範囲外の試料No.1、5〜8、11、14、15、18、22、31および35〜38では、室温(25℃)における比誘電率を3650以上、静電容量の温度特性がX5R(25℃を基準にしたときの比誘電率の温度変化率が−55〜85℃において±15%以内)を満足すること、4.5V/μmの直流を印加するDCバイアス測定において、直流電圧無印加の静電容量値を基準としたとき、4.5V/μm印加での静電容量値の低下率が55%以内および直流電圧を4.5V/μmの条件で印加するDCエージング特性において、0.1〜10時間の経過までの静電容量の低下率が20%以内、のいずれかの特性を満足しないものであった。
1 コンデンサ本体
3 外部電極
5 誘電体層
7 内部電極層
9 結晶粒子
9A 第1の結晶粒子
9B 第2の結晶粒子
9a コア部
9b シェル部
11 粒界相

Claims (3)

  1. 複数の誘電体層とニッケルを導体材料とする複数の内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面に設けられた外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、チタン酸バリウムを主成分とし、カルシウムと、マグネシウムと、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウム,テルビウムおよびイッテルビウムから選ばれる少なくとも一種の希土類元素(RE)とを有し、バリウムとカルシウムとの合計量100モルに対し、前記マグネシウムをMgO換算で0.5〜1.2モル、前記希土類元素(RE)をRE換算で0.5〜1.0モル含有するとともに、主結晶粒子が、前記チタン酸バリウムを主成分とし、前記カルシウムと、前記マグネシウムと、前記希土類元素(RE)とを固溶したコアシェル構造で、カルシウムの濃度が0.3原子%より少ない第1の結晶粒子およびカルシウムの濃度が0.3原子%以上である第2の結晶粒子からなり、該結晶粒子は、平均粒径が0.15〜0.4μmであり、コア部の結晶構造が正方晶系であるとともに、前記コア部を取り囲むシェル部の結晶構造が立方晶系であり、かつX線回折情報を基に算出した前記シェル部の平均厚みが5〜15nmであり、誘電体磁器の研磨面に見られる前記第1の結晶粒子の面積をS1、前記第2の結晶粒子の面積をS2としたときに、S2/(S1+S2)が0.4〜0.8である誘電体磁器からなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記誘電体磁器が、バナジウムを含まないものであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記誘電体磁器が、マンガンを含まないものであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
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