本発明による偏光板は、450〜700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上である偏光板の表面に、その偏光板が形成する平面に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面を具備する複数の光出射手段を設けたものである。その例を図1に示した。1が光出射手段を有する偏光板であり、1Aが光出射手段形成層、1Cが偏光板、Aが光出射手段、aがその光路変換斜面である。なお1B、1Dは、偏光板を形成する透明保護層である。
偏光板としては、450〜700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上、就中0.85以上、特に0.90以上のものが用いられる。これにより波長による透過率の差を小さくして、液晶表示パネルの内部を伝送される光の色をニュートラルにすることができ、照明光の着色化を抑制することができる。
前記の特性を示す偏光板は、例えばポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き、450〜700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上、就中0.85以上、特に0.90以上である親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸した偏光フィルムなどがあげられる。
また偏光板は、図1の例の如く偏光フィルム1Cの片面又は両面に透明保護層1B、1Dを設けたものであってもよい。その透明保護層は、光源等を介して入射させる光の波長域に応じ、それに透明性を示す適宜な材料の1種又は2種以上を用いて形成することができる。その透明性は、450〜700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値が0.80以上、就中0.85以上、特に0.90以上であることが好ましい。
ちなみに透明保護層を形成する可視光域用の材料としては、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂やノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等で代表される透明樹脂、熱や紫外線、電子線等の放射線で重合処理しうる硬化型樹脂などがあげられる。就中、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに優れるものが好ましく用いられる。
輝度ムラや色ムラを抑制して、表示ムラの少ない液晶表示装置を得る点より、好ましい透明保護層は、複屈折を示さないか、複屈折の小さいもの、就中、面内の平均位相差が30nm以下のものである。位相差の小さい透明保護層とすることにより、直線偏光が入射した場合にその偏光状態を良好に維持できて、表示品位の低下防止に有利である。表示ムラ防止の点より、透明保護層における面内の好ましい平均位相差は、20nm以下、就中15nm以下、特に10nm以下であり、その位相差の場所毎のバラツキが可及的に小さいものがより好ましい。
また接着処理にて透明保護層に発生しやすい内部応力を抑制して、その内部応力による位相差の発生を防止する点よりは、光弾性係数の小さい材料からなる透明保護層が好ましい。さらに透明保護層の厚さ方向の平均位相差も50nm以下、就中30nm以下、特に20nm以下であることが、表示ムラ防止等の点より好ましい。
低位相差の透明保護層の形成は、例えば既成のフィルムを焼鈍処理する方式等にて、内部の光学歪みを除去する方式などの適宜な方式にて行いうる。好ましい形成方式は、キャスティング方式にて位相差の小さい透明保護層を形成する方式である。透明保護層における前記の位相差は、可視域の光、特に波長550nmの光に基づくものであることが好ましい。
なお上記した面内の平均位相差は、(nx−ny)×dにて定義され、厚さ方向の平均位相差は、{(nx+ny)/2−nz}×dにて定義される。ただしnxは、面内最大屈折率方向の平均屈折率、nyは、面内でnx方向に直交する方向の平均屈折率、nzは、透明保護層の厚さ方向の平均屈折率、dは透明保護層の平均厚さを意味する。
またさらに光出射手段の光路変換斜面への入射効率を高めて、明るくてその均一性に優れる表示の液晶表示装置を得る点よりは、その屈折率が液晶セル、特にそのセル基板と同等以上、就中1.49以上、特に1.52以上の透明保護層が好ましく用いられる。
なおフロントライト方式とする場合には、表面反射を抑制する点より、1.6以下、就中1.56以下、特に1.54以下の屈折率であることが好ましい。なお斯かる屈折率は、可視光域の場合、D線に基づくことが一般的であるが、入射光の波長域に特異性などがある場合には前記に限定されずその波長域に応じることもできる(以下同じ)。
透明保護層は、単層物として形成されていてもよいし、同種又は異種の材料からなる積層体などとして形成されていてもよい。ちなみに図1の例では光出射手段を有する側の透明保護層が、透明フィルム1Bに光出射手段形成層1Aを一体化してなる積層体からなり、他方側の透明保護層1Dが単層物からなる。
透明保護層の厚さは、薄型軽量化等の点より積層体からなる場合を含めて、5〜500μm、就中10〜300μm、特に20〜100μmが好ましい。透明保護層は、ポリビニルアルコール系等の適宜な透明接着剤を用いて、偏光フィルムと接着することができる。透明保護層が光出射手段を有するものの場合には、アクリル系やゴム系等の適宜な透明粘着剤による接着処理が好ましい。
偏光板の表面に設ける光出射手段は、例えば前記の如く透明保護層として設けることもできるし、透明フィルムに光出射手段を形成して、その透明フィルムを接着層を介し偏光板に接着することにより設けることもできる。なお光出射手段を透明保護層として設ける場合、図1の例において光出射手段形成層1Aのみの単層物からなる透明保護層として、従って透明フィルム1Bを省略したものとして形成することもできる。
偏光板の一般的な形態は、図例の如く片側の表面のみに光出射手段を有して、その光出射手段が外側に位置するものである。
偏光板1における光出射手段Aは、図5に折れ線矢印で例示した如く、側面に光源51を有する液晶セルのセル平面に沿う方向に、その光出射手段の形成面が外側となるように配置し、前記光源による側面方向からの入射光ないしその伝送光を光路変換斜面aを介し反射させて裏面側(偏光板側)に、従って液晶表示パネルの視認方向に光路変換して偏光板1C側より出射させ、その出射光を液晶表示パネル等の照明光(表示光)として利用できるようにすることを目的とする。
光出射手段は、前記の出射特性を得るため図1の例の如く、偏光板が形成する平面に対する傾斜角θ1が35〜48度の光路変換斜面aを具備するものとされる。これにより液晶セルの側面等に配置した光源による側面方向からの入射光ないしその伝送光を光路変換斜面aを介し裏面側、従って偏光板側に光路変換して、液晶セル等に対し法線方向の指向性に優れる光を光源光の利用効率よく偏光板から出射させることができる。
光路変換斜面の当該傾斜角が35度未満では液晶セルの背面側に光反射層を配置して当該光路変換光を反射させた場合に、その反射光に基づく表示光の液晶表示パネルより出射する角度が30度を越えることとなり、視認に不利となる。一方、光路変換斜面の当該傾斜角が48度を超えると全反射されずに斜面から光洩れが生じやすくなり、光利用効率が低下する。
前記において光路変換斜面による反射方式に代えて、表面を粗面化した光出射手段による散乱反射方式とした場合には、垂直な方向に反射しにくく、液晶表示パネルの正面方向より大きく傾いた方向に出射されて、液晶表示が暗く、コントラストに乏しくなる。
光路変換斜面を介し効率よく全反射させて偏光板より、それが形成する平面の法線方向に指向性よく出射させ、液晶セルを効率よく照明して、明るくて見やすい液晶表示を達成する点より、光路変換斜面の好ましい当該傾斜角θ1は、38〜45度、就中40〜43度である。
光出射手段は、前記した光路変換斜面を一面又は二面以上有する適宜な形態、例えば光路変換斜面に対する横断面に基づいて、三角形〜五角形等の形態を有する凹部又は凸部にて形成することができる。ちなみに図1の例では、光路変換斜面aと当該傾斜角θ2が大きい立面bを具備する断面三角形の光出射手段を示したが、二面の光路変換斜面aを有する断面二等辺三角形の光出射手段などであってもよい。なお前記断面の多角形は、厳密な意味ではなく、面の角度変化や面の交点からなる角の円化等の変形は許容される。
前記の如く光出射手段は、凸部にて形成することもできるが、光の利用効率や傷付き難さ等の点よりは、図例の如く凹部にて形成されていることが好ましい。就中、サイズの小型化による視覚性の低減や製造効率などの点より、断面三角形の凹部からなる光出射手段が好ましい。なお凹部は、偏光板内に凹んでいること(溝)を意味し、凸部は偏光板外に突出していること(山)を意味する。
また光出射手段は、その小型化、ひいては薄層化を目的に複数形成される。その場合、図2〜4に平面図として例示した如く、一辺から他辺にわたり連続した光出射手段をストライプ状に配列させたものや、不連続に断続する状態で複数の光出射手段を分布させたものとして形成することができる。
光出射手段は、前記した連続又は不連続の状態にて、その光路変換斜面に基づいて、図2の例の如く平行に分布していてもよいし、図3の例の如く不規則に分布していてもよい。さらに図4の例の如く、仮想中心に対してピット状に配置された分布状態にあってもよい。
複数の光出射手段の配置状態は、その形態などに応じて適宜に決定することができる。上記したように光路変換斜面aは、照明モードにおいて光源による側面方向からの入射光を偏光板方向に反射して光路変換するものであることより、斯かる光路変換斜面を具備する光出射手段を全光線透過率が75〜92%で、ヘイズが4〜20%となるように分布させることが、光源を介した側面方向からの光を光路変換して、液晶セルを効率よく照明する面光源を得て、明るくてコントラストに優れる液晶表示を達成する点より好ましい。
斯かる全光線透過率とヘイズの特性は、光出射手段のサイズや分布密度等の制御にて達成でき、例えば光出射手段形成面に占める光出射手段の投影面積に基づく占有面積を1/100〜1/8、就中1/50〜1/10、特に1/30〜1/15とすることにより達成することができる。
より具体的には、光路変換斜面のサイズが大きいと、観察者にその斜面の存在が認識されやすくなって表示品位を低下させやすくなり、液晶セルに対する照明の均一性も低下しやすくなること等も考慮して、図2の例の如く連続する光出射手段を平行に分布させる場合、そのピッチを2mm以下、就中20μm〜1mm、特に50〜500μmとし、偏光板が形成する平面に対する光路変換斜面の投影幅を40μm以下、就中3〜20μm、特に5〜15μmとすることが好ましい。
なお連続する光出射手段の分布は、偏光板の一辺に対して平行であってもよいし、30度以内の交差状態で配列していてもよい。後者は、液晶セルの画素との干渉によるモアレの防止等に有効である。またモアレ防止は、配列ピッチの調節にても行うことができる。従って、当該ピッチは変化していてもよく、一定でなくてもよい。
一方、図3、4の例の如く、不連続な光出射手段を平行に又は不規則に分布させる場合や、仮想中心に対してピット状に分布させる場合には、前記した特性の達成に加え光路変換斜面による反射効率も考慮して、光路変換斜面の長さを光出射手段の深さの5倍以上、就中8以上、特に10以上の光出射手段とすることが好ましい。
また光路変換斜面の長さは500μm以下、就中200μm以下、特に10〜150μm、光出射手段の深さ及び幅は2μm〜100μm、就中5〜80μm、特に10〜50μmとすることが好ましい。なお前記の長さは、光路変換斜面の長辺方向の長さ、深さは光出射手段形成面を基準とする。また幅は、光路変換斜面の長辺方向と深さ方向とに直交する方向の長さに基づく。
なお光出射手段を形成する面であって、所定傾斜角の光路変換斜面aを満足しない面、例えば図1における光路変換斜面aに対向する立面b等は、セル側面方向からの入射光を裏面より出射することに寄与するものではなく、表示品位や光伝送ないし光出射に可及的に影響しないことが好ましい。
ちなみに偏光板が形成する平面に対する立面の傾斜角θ2が小さいと、その平面に対する立面の投影面積が大きくなり、図5に例示した如く偏光板1を視認側に配置するフロントライト方式による外光モードでは、その立面による表面反射光が観察方向に戻って表示品位を阻害しやすくなる。
従って立面等の当該傾斜角θ2は大きいほど有利であり、それにより偏光板が形成する平面に対する投影面積を小さくできて、全光線透過率の低下等を抑制することができる。また光路変換斜面と立面による頂角も小さくできて、表面反射光を低減でき、その反射光を偏光板の平面方向に傾けることができて、液晶表示への影響を抑制することができる。斯かる点より、立面等の好ましい傾斜角θ2は、50度以上、就中60度以上、特に75〜90度である。
光出射手段Aを形成する斜面は、直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態に形成されていてよい。また光出射手段の断面形状は、その傾斜角等がシートの全面で一定な形状であってもよいし、吸収ロスや先の光路変換による伝送光の減衰に対処して、偏光板上での発光の均一化を図ることを目的に、光が入射する側の側面から遠離るほど光出射手段を大きくしてもよい。
また一定ピッチの光出射手段とすることもできるし、図3、4の例の如く光が入射する側(矢印)の側面から遠離るほど徐々にピッチを狭くして、光出射手段の分布密度を多くしたものとすることもできる。さらにランダムピッチにて、偏光板上での発光の均一化を図ることもできる。ランダムピッチは、画素との干渉によるモアレの防止の点よりも有利である。よって光出射手段は、ピッチに加えて、形状等も異なるものの組合せからなっていてもよい。
光出射手段における光路変換斜面は、図1の例の如く、液晶セルの側面方向より入射させる光の方向(矢印)に対面していることが、出射効率の向上の点より好ましい。従って線状光源を用いる場合には、図2、3に例示の如く光路変換斜面は、偏光板の一辺に対する方向又は一定の方向を向いていることが好ましい。また発光ダイオード等の点状光源を用いる場合には、図4の例の如く光路変換斜面は、その点状光源の発光中心の方向を向いていることが好ましい。
光出射手段の断続端の形状等については、特に限定はないが、その部分への入射光の低減化等による影響の抑制の点より、30度以上、就中45度以上、特に60度以上の斜面とすることが好ましい。
また偏光板の表面は、光出射手段の部分を除き、その表裏面が可及的に平滑な平坦面であること、就中±2度以下の角度変化、特に0度の平坦面であることが好ましい。またその角度変化が長さ5mmあたり1度以内であることが好ましい。斯かる平坦面とすることにより、偏光板の大部分を角度変化が2度以下の平滑面とすることでき、液晶セルの内部を伝送する光を効率よく利用できて、画像を乱さない均一な光出射を達成することができる。
上記したように、図4に例示した如き光出射手段Aのピット状配置は、点状光源を液晶表示パネルの側面等に配置し、その点状光源による側面方向からの放射状の入射光ないしその伝送光を光路変換斜面aを介し光路変換して、偏光板を可及的に均一に発光させ、液晶セル等に対し法線方向の指向性に優れる光を、光源光の利用効率よく偏光板から出射させることを目的とする。
従ってそのピット状配置は、点状光源の配置が容易となるように、偏光板の端面又はその外側に仮想中心が形成されるように行うことが好ましい。仮想中心は、同じ又は異なる偏光板端面に対して、一箇所又は二箇所以上を形成することができる。
光出射手段を有する層の形成は、適宜な方法で行うことができる。ちなみにその例としては、熱可塑性樹脂からなる透明フィルムを、所定の光出射手段を形成しうる型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂、あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を、所定の光出射手段を形成しうる型に充填する方法、熱や紫外線、あるいは電子線等の放射線で重合処理しうる液状樹脂やモノマーやオリゴマー等を、所定の光出射手段を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法があげられる。
また透明フィルムに熱や紫外線、あるいは電子線等の放射線で重合処理しうる液状樹脂やモノマーやオリゴマー等を塗工し、その塗工層を所定の光出射手段を形成しうる型に押しつけて成形したのち重合処理する方法、前記の液状樹脂等を所定の光出射手段を形成しうる型に充填し、その充填層の上に透明フィルムを密着配置して、紫外線や放射線等の照射で重合処理する方法などもあげられる。これらの方法は、その透明フィルムに偏光板を用いて、光出射手段を有する偏光板の形成に適用することもできる。
上記した方法は、光出射手段具備の透明保護層を一体成形して、光出射手段を同体に有する透明保護層の形成に有利である。特に後者の透明フィルムを用いる方法は、図1の例の如く透明保護層1Bに、それとは別体の光出射手段形成層1Aを付加したものが形成される。その場合、付加する光出射手段形成層と透明保護層の屈折率差が大きいと、界面反射等にて出射効率が大きく低下する場合がある。
従って前記の出射効率の低下を抑制する点より、透明保護層と光出射手段形成層との屈折率差を可及的に小さくすること、就中0.10以内、特に0.05以内とすることが好ましい。またその場合、透明保護層よりも付加する光出射手段形成層の屈折率を高くすることが、出射効率の点より好ましい。なお光出射手段形成層の形成には、透明保護層に準じ入射光の波長域に応じた適宜な透明材料を用いうる。
なお前記のフィルムを用いる方法においては、フィルムに剥離剤で処理したものなどを用いて重合処理後に、形成された光出射手段形成層とフィルムとを分離する方法も採ることができる。その場合には、用いるフィルムは透明でなくてもよい。
光出射手段形成面には必要に応じて、外光の表面反射による視認阻害の防止を目的としたノングレア処理や反射防止処理、傷付き防止を目的としたハードコート処理などを施すことができる。斯かる処理を施した偏光板は、特にフロントライト方式に好ましく用いうる。
前記したノングレア処理は、サンドブラスト方式やエンボス加工方式等の粗面化方式、シリカ等の透明粒子を配合した樹脂の塗工方式などの種々の方式で表面を微細凹凸構造化することにより施すことができる。また反射防止処理は、干渉性の蒸着膜を形成する方式などにて施すことができる。更にハードコート処理は、硬化型樹脂等の硬質樹脂を塗工する方式などにて施すことができる。ノングレア処理や反射防止処理やハードコート処理は、その1種又は2種以上の処理を施したフィルムの接着方式などにても施すことができる。
光出射手段形成面を有する透明フィルム等を偏光板に必要に応じ接着するための接着層は、それらの一方又は両方の接着処理面に設けることができる。斯かる接着層を介した接着処理は、光出射手段Aの光路変換斜面aを介した反射効率、ひいては側面方向よりの入射光の有効利用による輝度向上などを目的とする。
前記の目的の点より、光出射手段形成面を有する透明フィルム等及び偏光板との屈折率差が小さい接着層とすることが好ましい。全反射を抑制して液晶セル伝送光の光出射手段への入射効率を高め、明るくてその均一性に優れる表示の液晶表示装置を得る点より、好ましい接着層は、光出射手段形成面を有する透明フィルム等よりも0.07低い屈折率以上の屈折率を有して、液晶セルのセル基板よりも高いかそれに近い屈折率を有するものである。
ちなみに液晶セルのセル基板よりも低い屈折率では、側面からの入射光がその伝送の際に全反射を受けやすい。セル基板には通例、樹脂板や光学ガラス板が用いられ無アルカリガラス板の場合、その屈折率は1.51〜1.52程度が一般的であるから、理想的にはそれ以上の屈折率を有する接着層を介し接着処理することで、セルより光出射手段形成面を有する透明フィルム等に入射しうる角度を有する伝送光の殆どを接着界面で全反射させずに、その透明フィルム等に入射させることができる。
全反射に基づく閉込め作用で出射できない損失光量の抑制による、表示輝度や面内での明るさの均一性の向上などの点より、接着層や液晶セルや透明保護層等の光透過型光学層の間の各界面における好ましい屈折率差は、0.15以内、就中0.10以内、特に0.05以内である。従って接着層の好ましい屈折率は、1.49以上、就中1.50以上、特に1.51以上である。よって偏光板を液晶セル等に接着するための接着層も、前記の屈折率条件を満足することが好ましい。
接着層の形成には、例えば紫外線や放射線等の照射又は加熱で硬化する接着剤などの適宜なものを用いることができ、特に限定はない。簡便接着性等の取扱性や内部応力の発生を抑制する応力緩和性などの点よりは、粘着層が好ましく用いうる。
粘着層の形成には、例えばゴム系やアクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やポリアミド系、スチレン系などの適宜なポリマーをベースポリマーとする粘着剤などを用いうる。就中、アクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエステルを主体とするポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤の如く、透明性や耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いられる。
また接着層は、それに例えばシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化ノンモン等の導電性のこともある無機系粒子や、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系粒子などの適宜な透明粒子を1種又は2種以上含有させて光拡散型のものとすることもできる。なお斯かる透明粒子は、上記したノングレア処理などにも用いうる。
偏光板には、液晶セル等の他部材と接着するための透明な接着層を必要に応じて設けることができる。その接着層は、上記に準じることができる。なお斯かる接着層に対してはそれを実用に供するまでの間、異物の混入等の防止を目的に剥離シートを仮着してカバーしておくことが好ましい。
本発明による偏光板は、その光出射手段(光路変換斜面)を介して、光源による側面方向からの入射光ないしその伝送光を、視認に有利な垂直性に優れる方向(法線方向)に光路変換して、光の利用効率よく出射する。また外光に対しても良好な透過性を示すものとすることができる。
従って例えば、明るくて見やすい薄型軽量の反射型や透過型、さらにはそれらの、あるいは半透過型の外光・照明両用式の液晶表示装置などの種々の装置を形成することができる。その液晶表示装置の例を図5に示した。図は反射式、かつフロントライト式による外光・照明両用式の液晶表示装置の例である。20、30が液晶セルにおけるセル基板、40が液晶層、31が光反射層である。
図例の如く液晶表示装置は、光出射手段Aを有する偏光板1を液晶表示パネルの少なくとも片側に有するものとして形成することができる。その場合、光出射手段を有する偏光板は、その光出射手段を有する側が外側となるように配置することが一般的である。また偏光板は、接着層を介し液晶セル等に接着することが明るい表示を達成する点より好ましい。
照明機構は、図例の如く液晶セルの1又は2以上の側面、特に光出射手段を有する偏光板1を配置した側のセル基板20の1又は2以上の側面に、1個又は2個以上の光源51を配置することにより形成することができる。その形成に際し図4の例の如きピット状配置の光出射手段を有する偏光板の場合には、点状光源による放射状入射光を効率よく利用して明るい表示を達成する点より、ピット状配置の光出射手段の仮想中心を含む垂直線上における液晶セルの側面に点状光源を配置することが好ましい。
仮想中心に対応した点状光源の斯かる配置に際しては、光出射手段の仮想中心が偏光板の端面にあるか、その外側にあるかに応じて図5の例の如くセル基板20の点状光源を配置する側を突出させる方式などの適宜な対応策を採ることができる。線状光源等の他の光源を配置する場合も同様である。
液晶セルの側面に配置する光源としては、適宜なものを用いることができる。例えば前記した発光ダイオード等の点状光源のほか、(冷,熱)陰極管等の線状光源、点状光源を線状や面状等に配列したアレイ体、あるいは点状光源と線状導光板を組合せて点状光源からの入射光を線状導光板を介し線状光源に変換するようにしたものなどが好ましく用いうる。
また光源は、偏光板の光路変換斜面が対面することとなるセル側面に配置することが出射効率の点より好ましい。上記したピット状配置の場合も含めて、光路変換斜面が光源に対して可及的に垂直に対面するように配置することにより、光源を介した側面からの入射光を効率よく面光源に変換して高効率に発光させることができる。
従って横断面が二等辺三角形の如く二面の光路変換斜面を具備するものなどの、複数の光路変換斜面を具備する光出射手段を有する偏光板の場合には、セル基板の対向する側面の両方などの、複数の光路変換斜面に対応した数の光源を配置することもできる。またピット状配置の場合には、偏光板における光出射手段の仮想中心に対応した1個所又は2個所以上に点状光源を配置することもできる。
光源は、その点灯による照明モードでの視認を可能とするものであり、外光・照明両用式の液晶表示装置の場合に、外光による外光モードにて視認するときには点灯の必要がないので、その点灯・消灯を切り替えうるものとされる。その切り替え方式には任意な方式を採ることができ、従来方式のいずれも採ることができる。なお光源は、発光色を切り替えうる異色発光式のものであってもよく、また異種の光源を介して異色発光させうるものとすることもできる。
図5の例の如く光源51に対しては、必要に応じ発散光を液晶セルの側面に導くためにそれを包囲するリフレクタ52などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。リフレクタとしては高反射率の金属薄膜を付設した樹脂シートや白色シートや金属箔などの適宜な反射シートを用いうる。リフレクタは、その端部をセル基板等の端部に接着する方式などにて光源の包囲を兼ねる固定手段として利用することもできる。
液晶表示装置は一般に、液晶シャッタとして機能する液晶セルとそれに付随の駆動装置、フロントライト又はバックライト(偏光板)及び必要に応じての光反射層や位相差板等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成される。本発明においては上記した偏光板と光源を用いて照明機構を形成する点を除いて特に限定はなく、従来のフロントライト型やバックライト型のものに準じて形成することができる。
従って用いる液晶セルについては特に限定はなく、図例の如くセル基板20、30の間に封止材41を介し液晶40を封入し、その液晶等による光制御を介して表示光を得るようにした適宜な反射型や透過型、半透過型のものなどを用いることができる。
ちなみに液晶セルの具体例としては、TN型液晶セルやSTN型液晶セル、IPS型液晶セルやHAN型液晶セル、OCB型液晶セルやVA型液晶セルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セル、あるいは内部拡散式等の光拡散型の液晶セルなどがあげられる。また液晶の駆動方式も例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜なものであってよい。
反射型の液晶表示装置では、TN型やSTN型等の液晶セルの如く、電界を介して光を変調する液晶層を具備するものが好ましく用いられる。またその場合、光出射手段を有する偏光板は、図例の如く液晶表示パネルの視認側に配置して、フロントライト式の液晶表示装置とすることが一般的である。液晶の駆動は通例、図5の例の如くセル基板の内側に設けた電極21、31を介して行われる。
反射型の液晶表示装置では、光反射層の配置が必須である。その配置位置については、図5に例示の如く液晶セルの内側に設けることもできるし、液晶セルの外側に設けることもできる。従って図5の例で電極31は、光反射層も兼ねている。本発明による反射型の液晶表示装置は通例、外光・照明両用式のものとして利用することができる。
光反射層についは、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や、蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔や透明導電膜、誘電体多層膜などの従来に準じた適宜な光反射層として形成することができる。透過型の液晶表示装置で外光・照明両用式のものとする場合に、背面側の偏光板の外側に配置する光反射層についても、前記に準じて適宜なものとすることができる。
一方、透過型の液晶表示装置は、光出射手段を有する偏光板を液晶セルの背面側に配置することにより形成しうる。その場合、光出射手段の背面側(外側)に光反射層を設けることにより、光路変換斜面等から洩れる光を反射させ、液晶セルの方向に戻すことでセル照明に利用でき、輝度の向上を図ることができる。
前記の場合、光反射層を拡散反射面とすることで、反射光を拡散させて正面方向に向けることができ、視認により有効な方向に向けることができる。また前記の光反射層を設けることで透過型で、かつ外光・照明両用式の液晶表示装置として利用することもできる。
他方、半透過型の液晶表示装置は、上記した反射型のものにおける光反射層を光を反射し、かつ透過する半透過光反射層とすることにより形成することができる。その場合、光出射手段を有する偏光板は、液晶セルの視認側に配置することもできるが、一般には背面側に配置することが好ましい。また視認側と背面側の両方に光出射手段を有する偏光板を配置することもできる。
本発明による半透過型の液晶表示装置は通例、外光・照明両用式のものとして利用することができる。また上記した透過型に準じて、液晶表示パネルの背面側、その背面側に光出射手段を有する偏光板を有する場合には、その偏光板の背面側(外側)に光反射層を配置することで、より輝度を向上させることができる。これは、半透過光反射層を透過して、あるいはそれに反射されて液晶表示パネルの背面に到達した光を、その光反射層で反射反転させて液晶セルに再入射させることが可能になることによる。
なお半透過光反射層は、上記した光反射層をハーフミラーの如く光を反射し、かつ透過するものとする方式、あるいは光反射層に光透過用の開口を設ける方式などの適宜な方式で行うことができる。前記の開口は、液晶セルの画素と対応するように分布させたものであることが好ましい。
なお上記の透過型や半透過型において、さらに光反射層を液晶セルの外側に配置する反射型において、そのセル基板や電極は、液晶表示を可能とするために、透明基板や透明電極などの如く、光を透過しうるものとして形成することが必要である。
一方、図5の例の如く、液晶セルの内部に光反射層を兼ねる電極31を設ける場合には、液晶表示を可能とするために、その視認側のセル基板20や電極21は、透明基板や透明電極等の光を透過しうるものとして形成する必要があるが、背面側のセル基板30については、その光反射層31と同様に透明である必要はなく、不透明体で形成されていてもよい。
液晶セルを形成するセル基板の厚さについては、特に限定はなく、液晶の封入強度や配置する光源の大きさなどに応じて適宜に決定しうる。一般には光伝送効率と薄型軽量性のバランスなどの点より、10μm〜5mm、就中50μm〜2mm、特に100μm〜1mmの厚さとされる。
またセル基板の厚さは、光源を配置する側と、配置しない側とで相違していてもよいし、同厚であってもよい。輝度向上の点よりは、光源を配置する側のセル基板を厚くすることが有利である。従って視認側と背面側の両セル基板の側面に光源を配置する場合には、同厚のセル基板とすることが有利である。
液晶セルの形成に際しては、必要に応じ図5の例の如く、液晶を配向させるためのラビング膜等の配向膜22、32や、カラー表示を実現するためのカラーフィルタ23、低屈折率層24、位相差板25などを設けることができる。配向膜は液晶層に隣接するように配置し、カラーフィルタはセル基板と電極の間に配置する方式が一般的である。
なお直線偏光を介した表示光の制御を目的に、本発明による偏光板を有しない液晶セルの側に、他の偏光板を必要に応じて配置することもできる。従って偏光板は、液晶セルの視認側及び背面側の一方又は両方の適宜な位置に配置することができる。
前記した低屈折率層は、光源を介した側面方向よりの入射光を界面反射させて光源より遠離る方向の後方に効率よく伝送し、後方にある光路変換斜面にも光が効率よく入射して、セル表示面の全面における明るさの均一性の向上を目的とする。低屈折率層は、フッ素化合物やシリコーン系ポリマー等の無機物や有機物からなる適宜な低屈折率材料による透明層として形成することができる。
低屈折率層の配置位置は、セル表示の明るさの向上の点より、図5の例の如く光源51を配置したセル基板20の内側、すなわち基板の偏光板付設側とは反対の面が好ましい。またセル基板よりも屈折率が0.01以上、就中0.02〜0.15、特に0.05〜0.10低い低屈折率層がセル表示の明るさの向上の点より好ましい。従って視認側と背面側の両セル基板の側面に光源を配置する場合には、それら両方のセル基板に低屈折率層を設けることが好ましい。
液晶表示装置の形成に際しては必要に応じ、上記したノングレア層等のほかに光拡散層や位相差板などの適宜な光学層の1層又は2層以上を付加した液晶表示パネルとすることもできる。斯かる付加する光拡散層や位相差板等の光学層は、必要に応じ接着層等を介し、光出射手段を有する偏光板と積層した一体物として液晶セルに適用することもできる。
光拡散層は、表示光の拡散による表示範囲の拡大や、発光の平準化による輝度の均一化、液晶セル内の伝送光の拡散による偏光板への入射光量の増大などを目的とする。光拡散層は、上記のノングレア層に準じた表面微細凹凸構造を有する塗工層や、拡散シートなどによる適宜な方式にて設けることができる。
また光拡散層は、接着層に透明粒子を配合して接着層を兼ねる層として配置することもできる。これによれば液晶表示装置の薄型化を図かることができる。光拡散層は、偏光板と視認側のセル基板の間などの適宜な位置に1層又は2層以上を配置することができる。
一方、位相差板は、偏光板との共働で円偏光板ないし楕円偏光板からなる反射防止層の形成、光学補償による視野角の拡大や着色防止などを目的とする。位相差板は、1層又は2層以上を用いることができ通例、図5の例の如く視認側又は/及び背面側の偏光板とセル基板の間に配置される。従って光出射手段を有する偏光板に対しては、その光出射手段を有しない側に位相差板は、配置される。
位相差板としては、前記の目的や液晶セルの種類などに応じて適宜な位相差を示すものを用いうる。一般には50〜700nmの位相差を示すものが用いられる。ちなみに位相差が例えば100〜150nm等の1/4波長板を用いることで、前記した円偏光板を形成することができる。またその場合に、位相差が例えば200〜300nm等である1/2波長板を併用することにより、円偏光板として機能する波長域を拡大することができる。
位相差層と偏光板との光学軸の角度については特に限定はない。それらを接着層を介して積層する場合、その接着層としては上記したように、屈折率が1.49以上、就中1.50以上、特に1.51以上のものを用いることが好ましい。
位相差板は、例えば適宜な透明ポリマーからなるフィルムを一軸や二軸等の適宜な方式で延伸処理してなる複屈折性フィルム、ネマチック系やディスコティック系等の適宜な液晶ポリマーの配向フィルムやその配向層を透明基材で支持したものなどとして得ることができる。熱収縮性フィルムの加熱収縮力の作用下に厚さ方向の屈折率を制御したものなどであってもよい。
なお上記した図5に例示の反射式の液晶表示装置において、外光・照明両用による視認は、光源51の点灯による照明モードにおいて図例の矢印の如く、偏光板1の裏面より出射した光が液晶セルを経由してその光反射層31で反射された後、液晶セル内を逆経由して偏光板に至り、光出射手段A以外の部分より透過した表示光が視認される。
一方、光源の消灯による外光モードにおいては、偏光板1の光出射手段形成面における光出射手段以外の部分より入射した光が光反射層31を介し、前記に準じ液晶セル内を逆経由して偏光板に至り、光出射手段以外の部分より透過した表示光が視認される。
他方、透過式の液晶表示装置における外光・照明両用による視認は、光源の点灯による照明モードにおいて、背面側に配置した偏光板より出射した光が液晶セル内に入射し、視認側の偏光板等を透過した表示光が視認される。また光源の消灯による外光モードでは、視認側表面より入射した外光が液晶セルを透過して背面側の偏光板に至り、その光出射手段形成面の光出射手段以外の部分より入射した光が背面に設けた光反射層を介し反転し、液晶セル内を逆経由して透過した表示光が視認される。
さらに、半透過式の液晶表示装置における外光・照明両用による視認は、半透過光反射層を介した透過光又は/及び反射光に基づいて、前記した透過型又は/及び反射型の液晶表示装置に準じて、照明モード又は外光モードによる表示光の視認が達成される。
本発明において、上記した液晶表示装置を形成する各部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは固着状態にあることが好ましく、少なくとも光出射手段を有する偏光板と液晶セルとが固着密着状態にあることが好ましい。その固着処理には粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、その透明接着層に透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。
また前記の形成部品、特に視認側のそれには例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせることもできる。
参考例
屈折率1.52の無アルカリガラス板の上に、フッ化マグネシウムを蒸着して低屈折率層を形成しアルゴン雰囲気中でプラズマ処理を施した後、その上に酸化インジウム・スズ(ITO)透明導電層をスパッタリング方式にて形成し、その上にポリビニルアルコール溶液をスピンコートしてその乾燥膜をラビング処理し視認側と背面側のセル基板を得た。
ついで、前記の視認側と背面側のセル基板をそのラビング面をラビング方向が直交するように対向させて、球形のガラスビーズよりなるギャップ調節材を配した後、周囲をエポキシ樹脂でシールしたのち液晶(BDH社製、E−7:200重量部に、カイラル剤(メルク社製、MC−32)1重量部の混合物)を注入して液晶セルを形成した。
実施例1
ポリカーボネート(PC)からなる厚さ60μmの透明フィルムに紫外線硬化性のアクリル系樹脂を約100μmの厚さで塗工し、その塗工層を予め所定形状に加工した金型にゴムローラにて密着させると共に余分な樹脂と気泡を押し出した後、メタルハライドランプにて紫外線を照射し硬化させて金型から剥離して所定のサイズに切りだし、光出射手段具備の透明保護層を得た。なお硬化後の紫外線硬化性樹脂の屈折率を測定したところ1.515であった。
前記の透明保護層は、30mm角であり、長さ約100μm、幅約10μmで断面三角形の光出射手段(図1)の複数が一辺に対して平行に、かつ不規則に分布してなり(図3)、その光路変換斜面の傾斜角で43度で、立面の傾斜角が78度である。なお光路変換斜面は、前記の平行な辺に対面する。また光出射手段を形成した面における光出射手段以外の部分からなる平坦面の面積は、光路変換斜面と立面の和の12倍以上である。さらに透明保護層の全光線透過率とヘイズは、それぞれ89%と7%であった。
次に前記透明保護層の光出射手段を有しない側と、ポリビニルアルコールフィルム系偏光板とを屈折率1.523のアクリル系粘着層を介し圧着ローラにて圧着し、偏光板を得た。ついでその偏光板を光出射手段形成面を外側として、前記の粘着層を介し参考例で得た液晶セルの視認側に接着した後、セルの背面側に光反射層具備の偏光板を同様に接着して反射型液晶表示装置を得た。なお450〜700nmの波長域における10nm毎の透過率の最小値/最大値(以下同じ)は、視認側の偏光板において0.97、背面側の偏光板において0.79である。
実施例2
視認側の偏光板として、透過率の最小値/最大値が0.89のものを用いたほかは、実施例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
比較例
視認側の偏光板として、透過率の最小値/最大値が0.79のものを用いたほかは、実施例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
評価試験
実施例、比較例で得た反射型液晶表示装置の視認側セル基板の側面に冷陰極管を配置し、銀蒸着のポリエステルフィルムで包囲してフィルム端部をセル基板の上下面に両面粘着テープで接着し冷陰極管を保持固定したものについて、暗室にて液晶セルに電圧を印加しない状態で冷陰極管を点灯させ、入射側面より5mm、中央部、対向端より5mmの位置での正面方向の出射光の色相を輝度計(トプコン社製、BM7)にて調べた。
前記の結果を次表に示した。なお表中の色相は、CIE1931標準表色系に基づくx,yで示した。
色 相
入射側面部 中 央 部 対向端部
x y x y x y
実施例1 0.312 0.334 0.315 0.348 0.317 0.360
実施例2 0.320 0.347 0.329 0.375 0.335 0.395
比較例 0.333 0.363 0.363 0.411 0.385 0.441
表より、実施例では比較例と比べて、出射光の色変化が小さく、よりニュートラルに近いことが分かる。また実施例2対して実施例1では、より色変化が小さく、透過率のバラツキが小さいほど良好な結果が得られることがわかる。目視においても実施例1では色変化が殆ど知覚されなかったのに対し、実施例2では許容範囲ではあるが、若干の色変化が近くされた。一方、比較例では出射光が黄色に着色し、光源より遠離るほど着色が強くなって許容される程度のものではなかった。
また実施例では照明・外光の両モードにおいて、パネル全面での明るさ及びその均一性に優れる表示であった。以上より、本発明にて従来のサイドライト型導光板の使用による嵩高化、高重量化を回避しつつ、偏光板を配置した液晶表示パネルの側面に光源を設けるだけで、面発光が可能な薄型軽量で、かつ色変化の小さい透過型や反射型、半透過型の外光・照明両用式等の液晶表示装置を形成できることがわかる。