JP2011174172A - 錫めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロメート処理を行わずに、耐黄変性に優れ、耐食性にも優れるとともに、安定して優れた塗料密着性の得られる錫めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板の少なくとも片面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層、Al、Pを含み、かつNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層を有し、片面当たり、Sn付着量が0.5〜5.5g/m2、P付着量が1.0〜10mg/m2、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量が0.5〜200mg/m2、Si付着量が0.01〜100mg/m2であり、前記化成処理皮膜中のAlとPの質量比(Al/P)が0.10〜0.9であることを特徴とする錫めっき鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、DI缶、食缶、飲料缶などに使用される錫めっき鋼板、特に、Crを含まない化成処理の施された錫めっき鋼板およびその製造方法に関する。
缶用表面処理鋼板としては、従来から「ぶりき」と称される錫めっき鋼板が広く用いられている。このような錫めっき鋼板では、通常、重クロム酸などの6価のCr化合物を含有する水溶液中に鋼板を浸漬する、もしくはこの水溶液中で電解するなどのクロメート処理によってSnめっき表面にクロメート皮膜が形成される。これは、クロメート皮膜によって、長期保管時などで起こりやすいSnめっき表面の酸化を防止し、外観の劣化(黄変)を抑制するとともに、塗装して使用する際には、Snの酸化膜の成長による凝集破壊を防止し、塗料などの有機樹脂との密着性(以後、単に塗料密着性と呼ぶ。)を確保し、さらに耐食性を付与し、スクラッチ傷を起点とした腐食などの進行を抑制するためである。
一方、昨今の環境問題を踏まえて、Crの使用を規制する動きが各分野で進行しており、缶用錫めっき鋼板においてもクロメート処理に替わる化成処理技術がいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、鋼板表面に形成したSnめっき層の上層に、PおよびSnを含有する化成皮膜を有し、該化成皮膜中のP含有量を、その付着量にして0.5〜100mg/m2の範囲とし、Sn含有量を、その付着量のP付着量に対する比にして0.01〜60の範囲とし、さらに、前記化成皮膜の上層に、シランカップリング層を有し、該シランカップリング層の付着量を、Si付着量にして0.1〜250mg/m2の範囲とする錫めっき鋼板が開示されている。特許文献2には、鋼板の片面または両面にSn層と、その上層にシランカップリング剤塗布層を設けてなる錫めっき鋼板が開示されている。特許文献3には、鋼板面に、順に、金属Sn層、還元に要する電気量として0.3〜2.5mC/cm2の酸化Sn層、Sn、Fe、Al、Mg、Ca、Ti、Ni、Znの1種または2種以上のりん酸塩またはポリメタリン酸塩をP量として0.1〜5mg/m2有する化成処理層を有する缶用めっき鋼板(錫めっき鋼板)が開示されている。
特開2001-316851号公報 特開2002-285354号公報 特開2007-239004号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された錫めっき鋼板では、安定して優れた塗料密着性が得られないという問題がある。
本発明は、クロメート処理を行わずに、黄変せず(耐黄変性に優れ)、耐食性に優れるとともに、安定して優れた塗料密着性の得られる錫めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的とする錫めっき鋼板およびその製造方法について鋭意検討を行った結果、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層、Al、Pを含み、かつNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層を有し、所定のSn付着量、Al付着量、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量、P付着量、Si付着量を有する錫めっき鋼板とすることが効果的であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層、Al、Pを含み、かつNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層を有し、片面当たり、Sn付着量が0.5〜5.5g/m2、P付着量が1.0〜10mg/m2、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量が0.5〜200mg/m2、Si付着量が0.01〜100mg/m2であり、前記化成処理皮膜中のAlとPの質量比(Al/P)が0.10〜0.9であることを特徴とする錫めっき鋼板を提供する。
本発明の錫めっき鋼板では、Sn付着量が1.0〜2.5g/m2であることが好ましい。また、鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間に、Fe-Ni合金層を有することが好ましい。
本発明の錫めっき鋼板は、鋼板面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層を形成後、第一りん酸アルミニウムを5g/L以上200g/L以下、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を合計で3.5×10-3mol/L以上7.5×10-2mol/L以下含む化成処理液中に浸漬処理もしくは前記化成処理液中で陰極電解処理を施して化成処理皮膜を形成し、次いでシランカップリング剤を0.01g/L以上10g/L以下含む水溶液を塗布してシランカップリング剤との反応物層を形成することにより製造できる。
このとき、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素が硫酸塩として添加された化成処理液を用いることが好ましい。また、鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間に、Fe-Ni合金層を形成することが好ましい。
本発明により、クロメート処理を行わずに、耐黄変性と耐食性に優れるとともに、安定して優れた塗料密着性を有する錫めっき鋼板を製造できるようになった。
本発明の錫めっき鋼板は、低炭素鋼や極低炭素鋼などを用いた一般的な缶用の冷延鋼板の少なくとも片面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層、Al、P、およびNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層が設けられている。以下に、その詳細について説明する。
1) FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層
鋼板の少なくとも片面には、まず、耐食性を付与するために、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層が順に設けられる。このとき、片面当りのSn付着量は0.5〜5.5g/m2とする。これは、Sn付着量が0.5g/m2未満だと耐食性に劣り、5.5g/m2を超えるとコスト高を招くとともに、耐黄変性が劣化する場合があるためである。Sn付着量は、1.0g/m2以上であれば塗装後に極めて美麗な表面外観を有し、2.5g/m2以下であれば低コストでの製造が可能となるため、1.0〜2.5g/m2とすることが好ましい。
なお、ここでいう片面当りのSn付着量とは、金属Sn層から化成処理皮膜に混入するSnも含めた総Sn付着量を意味する。また、Sn付着量は、電量法または蛍光X線による表面分析法により測定することができる。
鋼板面にFeおよびSnを含む合金層、金属Sn層を形成するには、周知の方法、例えば、通常のフェノールスルフォン酸Snめっき浴、メタンスルフォン酸Snめっき浴、あるいはハロゲン系Snめっき浴を用い、片面当りのSn付着量が0.5〜5.5g/m2あるいは1.0〜2.5g/m2となるようにSnを電気めっきした後、表面光沢を付与するためにSnの融点231.9℃以上の温度でリフロー処理を行う方法を適用できる。リフロー処理により、鋼板とSnめっき層との界面近傍で鋼中のFeとめっき層中のSnが合金化され、FeおよびSnを含む合金層と、その上の金属Sn層との二層構造が形成されることになる。
さらなる耐食性の向上を図るために、鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間に、Fe-Ni合金層を設けることができる。Fe-Ni合金層は、例えばワット浴を用いて鋼板にNiめっき後、700℃程度で熱処理を施すことにより形成できる。また、Fe-Ni合金層を設けると、その後のリフロー処理によりFe-Ni合金層中のNiが上層のFeおよびSnを含む合金層に拡散するので、FeおよびSnを含む合金層にはNiが含まれる。
2) 化成処理皮膜
次に、上記金属Sn層上には、Al、Pを含み、かつNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜が設けられる。これは、Al、PやNi、CoおよびCuが化成処理皮膜中に含まれるとSnの酸化が抑制され、優れた塗料密着性が得られるとともに、Alによる化成処理皮膜の緻密性の向上、また、Pによる耐黄変性や耐食性の向上、さらに、Ni、CoおよびCuによる化成処理皮膜と金属Sn層の密着性の向上が図れるためである。このとき、鋼板片面当りのP付着量は1.0〜10mg/m2とする。これは、P付着量が1.0mg/m2未満では化成処理皮膜の被覆性が不十分となり、Snの酸化を抑制できず、十分な塗料密着性が得られなくなるとともに、耐黄変性や耐食性が劣化し、10mg/m2を超えると化成処理皮膜にクラックなどの欠陥が生じやすくなり、塗料密着性が劣化するためである。また、鋼板片面当りのNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量は0.5〜200mg/m2とする。これは、Ni、Co、Cuの合計の付着量が0.5mg/m2未満ではSnの酸化を抑制できず、十分な塗料密着性が得られなくなるとともに、化成処理皮膜と金属Sn層の密着性が劣化し、200mg/m2超えるとこれらの元素の効果が飽和し、コスト高を招くためである。さらに、AlとPの質量比(Al/P)が0.10〜0.9であることが必要である。これは、Al/Pが0.10未満であると化成処理皮膜の緻密性が劣化し、化成処理皮膜の全量が第三りん酸アルミニウムになった場合に化学量論的に導き出されるAl/Pは0.9であり、Al/Pが0.9を超えることはないためである。より好ましいAl/Pは0.30以上0.9未満である。
また、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種が金属Sn層との界面近傍に存在すると、Snの酸化抑制や化成処理皮膜と金属Sn層の密着性向上をより一層図ることができる。
なお、P付着量やNi、Co、Cuの付着量は、蛍光X線による表面分析法により測定することができる。また、Ni、Co、Cuの存在位置は、X線光電子分光分析装置を用いて表面から深さ方向にスパッタし、一定時間毎に分析することにより測定することができる。
この化成処理皮膜は、第一りん酸アルミニウムを5g/L以上200g/L以下、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を合計で3.5×10-3mol/L以上7.5×10-2mol/L以下含む化成処理液中に浸漬処理もしくはこうした化成処理液中で陰極電解処理を施すことにより形成できる。このとき、第一りん酸アルミニウムを含む水溶液を化成処理液として用いるのは、浸漬処理や高速処理が可能な陰極電解処理により耐黄変性や塗料密着性の劣化を防止できる化成処理皮膜を容易に形成できるためである。また、化成処理液中の第一りん酸アルミニウムの含有量を5g/L以上200g/L以下とするのは、鋼板片面当りのP付着量を1.0〜10mg/m2とし、化成処理皮膜中のAl/Pを0.10〜0.9とするためである。さらに、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素の合計の含有量を3.5×10-3mol/L以上7.5×10-2mol/L以下とするのは、鋼板片面当りのNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量を0.5〜200mg/m2とするためである。
また、Ni、Co、Cuの金属元素は、硫酸塩として化成処理液に添加されることが好ましい。これは、硝酸塩やりん酸塩を用いるとSnめっき層表面に塗料密着性を阻害する酸化Snが形成され、塩化物塩だと皮膜に塩化物が取り込まれて耐食性の劣化を招く場合があるためである。
化成処理液のpHは1.5〜2.5とすることが好ましい。これは、1.5以上とすると金属Sn層のSnが溶解することがなく、2.5以下とすると化成処理液中に析出物が生ぜず、白濁することなく、このような析出物が化成処理皮膜に取り込まれ耐食性が劣化することがないためである。こうしたpHの調整のために、化成処理液にオルトりん酸を含有させることができる。このとき、オルトりん酸の含有量はpHが1.5〜2.5となる量とすればよい。
化成処理液には、その他、Feの金属塩、例えば硫酸鉄、亜硝酸塩などの促進剤、Fイオンなどのエッチング剤、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチレングリコールなどの界面活性剤、ピロリン酸2ナトリウムなどのFeキレートを形成するスラッジ抑制剤、pH緩衝材を適宜添加することもできる。
Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を、安定して金属Sn層との界面近傍に存在させるには、上記化成処理液中で陰極電解処理を施すことにより形成することが好ましい。
上記化成処理液を用いて浸漬処理もしくは陰極電解処理を施した後は、鋼板温度が50〜150℃となるように乾燥させることが好ましい。乾燥は、例えば、熱風、冷風などのドライヤーを用いて行うことができる。
3) シランカップリング剤との反応物層
上記したようなFeおよびSnを含む合金層、金属Sn層と化成処理皮膜を形成するだけでも塗料密着性の低下を抑制できるが、より高い塗料密着性が必要な溶接飲料缶や2ピース缶などに適用しても安定して優れた塗料密着性を確保するために、化成処理皮膜の上にシランカップリング剤との反応物層が設けられる。このとき、鋼板片面当りのSi付着量は0.01〜100mg/m2とする。これは、付着量が0.01mg/m2未満であると耐黄変性、塗料密着性、耐食性の劣化が起き、100mg/m2を超えるとシランカップリング剤との反応物層が凝集破壊し、塗料密着性を損なうためである。ここで、Si付着量は、蛍光X線による表面分析法により測定することができる。
シランカップリング剤との反応物層は、シランカップリング剤を0.01g/L以上10g/L以下含む水溶液を塗布して形成することができる。このとき、シランカップリング剤を0.01g/L以上10g/L以下とするのは、鋼板片面当りのSi付着量を0.01〜100mg/m2とするためである。
シランカップリング剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランなどを適用できる。特に、X-Si-OR2or3のXにエポキシ基を有する2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノ基を有するN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランが好適である。
シランカップリング剤を含む水溶液を化成処理皮膜上に塗布するには、浸漬処理やロールコーティングで行える。このとき、化成処理皮膜が完全に乾燥した後に塗布することが好ましい。これは、化成処理皮膜が乾燥していないとシランカップリング剤を含む水溶液に化成処理液が混入し、シランカップリング剤を含む水溶液の安定性を劣化させる場合があるためである。
化成処理皮膜上にシランカップリング剤を含む水溶液を塗布した後は、鋼板温度が60〜200℃となるように加熱することが好ましい。これは、60℃以上とすると化成処理皮膜の脱水効果が十分となり、200℃以下とすると表面にSnの酸化膜が形成されることなく、外観や耐食性を損ねることがないためである。加熱は、特に限定しないが、熱風吹き付け、誘導加熱、輻射加熱などの方法で行える。
板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板の両面に、市販のSnめっき浴を用い、表3、4に示す鋼板片面当りのSn付着量となるようにSnめっき層を形成後、Snの融点以上でリフロー処理を施し、鋼板との界面近傍にFeおよびSnを含む合金層を形成した。次に、リフロー処理後に表面に生成したSnの酸化膜を除去するため、浴温50℃、10g/Lの炭酸ナトリウム水溶液中で1C/dm2の陰極電解処理を施し、FeおよびSnを含む合金層上に金属Sn層を形成した。その後、水洗し、表1、2に示す濃度の第一りん酸アルミニウム、オルトりん酸と金属塩を含み、表1、2に示すpHの化成処理液中で、表1、2に示す温度と電流密度で1.0秒間の陰極電解処理を施した後、鋼板温度が70℃となるようにドライヤー乾燥し、化成処理皮膜を形成した。さらに、化成処理皮膜上に、シランカップリング剤として
a:3-アミノプロピルトリメトキシラン、または
b:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
を表1、2に示す濃度で含む水溶液をロールコーターにより塗布し、鋼板温度が100℃となる加熱を施して、シランカップリング剤との反応物層を形成し、錫めっき鋼板の試料No.1〜50を作製した。
そして、上記の方法により、鋼板片面当りのSn付着量、Al付着量、P付着量、Ni、Co、Cuの付着量、およびSi付着量を、付着量が既知の標準板を蛍光X線により表面分析して作成した検量線を用いて測定した。また、Ni、Co、Cuの存在位置を、上記の方法により測定したところ、本発明の錫めっき鋼板No.1〜43では、Ni、Co、Cuは化成処理皮膜の金属Sn層との界面近傍に存在していることが確認された。なお、測定に用いたX線光電子分光分析によれば、こうした金属Sn層との界面近傍に存在しているNi、Co、Cuは金属状態であった。
また、以下の方法で、耐黄変性、塗装後の耐食性、塗料密着性を評価した。
耐黄変性:錫めっき鋼板を60℃、相対湿度70%の環境下で10日間保管し、外観を目視観察するとともに、表面に形成されたSnの酸化膜量を、1/1000NのHBr溶液の電解液中で電流密度25μA/cm2で電解し、電気化学的還元に要した電気量を初期値からの増加量で次のように評価し、○であれば耐黄変性に優れるとした。
○: 増加量3mC/cm2未満、耐黄変性に優れる(クロメート処理材同等)
△: 増加量3mC/cm2以上5mC/cm2未満、耐黄変性にやや劣る
×: 増加量5mC/cm2以上、耐黄変性に劣る
塗装後の耐食性:錫めっき鋼板に、付着量が50mg/dm2となるようにエポキシフェノール系塗料を塗布した後、210℃で10分間の焼付を行った。次いで、市販のトマトジュースに60℃で10日間浸漬し、塗膜の剥離、錆の発生の有無を目視観察して次のように評価し、○であれば塗装後の耐食性が良好であるとした。
○: 塗膜剥離、錆発生なし(クロメート処理材同等)
△: 塗膜剥離なし、僅かに錆発生
×: 塗膜剥離あり、顕著に錆発生
塗料密着性:錫めっき鋼板に、付着量が50mg/dm2となるようにエポキシフェノール系塗料を塗布後、210℃で10分間の焼付を行った。次いで、塗布・焼付を行った2枚の錫めっき鋼板を、塗装面がナイロン接着フィルムを挟んで向かい合わせになるように積層し、圧力2.94×105Pa、温度190℃、圧着時間30秒の圧着条件下で貼り合わせた後、これを5mm幅の試験片に分割し、この試験片を引張試験機を用いて引き剥がし、強度測定を行った。そして、強度測定は各3回行い、次のように評価し、○であれば安定して優れた塗料密着性が得られるとした。
○: 3回とも19.6N(2.0kgf)以上である(クロメート処理材同等)
×: 3回のうち1回でも19.6N(2.0kgf)未満がある
結果を表3、4に示す。本発明の錫めっき鋼板No.1〜43では、いずれも耐黄変性、塗装後の耐食性に優れるとともに、安定して優れた塗料密着性の得られていることがわかる。
Figure 2011174172
Figure 2011174172
Figure 2011174172
Figure 2011174172
板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板の両面に、ワット浴を用いて付着量100mg/m2のNiめっき層を形成し、10vol.%H2+90vol.%N2雰囲気中、700℃で焼鈍してFe-Ni合金層を形成後、実施例1と同様な方法により、表5、表6に示す条件で、FeおよびSnを含む合金層(Niが含まれる)、金属Sn層、化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層を形成し、錫めっき鋼板の試料No.1〜42を作製した。そして、実施例1と同様な調査を行った。
結果を表7、8に示す。本発明である鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間にFe-Ni合金層を設けた錫めっき鋼板No.1〜42においても、耐黄変性、塗装後の耐食性に優れるとともに、安定して優れた塗料密着性の得られていることがわかる。
Figure 2011174172
Figure 2011174172
Figure 2011174172
Figure 2011174172

Claims (6)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層、Al、Pを含み、かつNi、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種を含有する化成処理皮膜、シランカップリング剤との反応物層を有し、片面当たり、Sn付着量が0.5〜5.5g/m2、P付着量が1.0〜10mg/m2、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の合計の付着量が0.5〜200mg/m2、Si付着量が0.01〜100mg/m2であり、前記化成処理皮膜中のAlとPの質量比(Al/P)が0.10〜0.9であることを特徴とする錫めっき鋼板。
  2. Sn付着量が1.0〜2.5g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の錫めっき鋼板。
  3. 鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間に、Fe-Ni合金層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の錫めっき鋼板。
  4. 鋼板面に、鋼板側から順に、FeおよびSnを含む合金層、金属Sn層を形成後、第一りん酸アルミニウムを5g/L以上200g/L以下、Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素を合計で3.5×10-3mol/L以上7.5×10-2mol/L以下含む化成処理液中に浸漬処理もしくは前記化成処理液中で陰極電解処理を施して化成処理皮膜を形成し、次いでシランカップリング剤を0.01g/L以上10g/L以下含む水溶液を塗布してシランカップリング剤との反応物層を形成することを特徴とする錫めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記Ni、Co、Cuのうちから選ばれた少なくとも1種の金属元素が硫酸塩として添加された化成処理液を用いることを特徴とする請求項4に記載の錫めっき鋼板の製造方法。
  6. 鋼板面とFeおよびSnを含む合金層の間に、Fe-Ni合金層を形成することを特徴とする請求項4または5に記載の錫めっき鋼板の製造方法。
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