JP2011167717A - アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法およびアーク溶接システム - Google Patents

アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法およびアーク溶接システム Download PDF

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Abstract

【課題】溶接条件の変更や機器の誤差がある場合であってもチップ−母材間距離を一定に制御することができる制御方法およびアーク溶接システムを提供する。
【解決手段】チップ−母材間距離の制御方法は、所定の本溶接条件下において、電流値測定手段によって実溶接電流値を測定するとともに、平均値算出手段によって本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する実溶接電流値取得工程と、基準電流値取得手段によって、基準電流値格納テーブルから本溶接条件と一致する平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得工程と、電流値比較手段によって、本溶接条件下の平均実溶接電流値と基準電流値とを比較する電流値比較工程と、電流値比較工程における比較結果に従って、溶接トーチ位置補正手段によって溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正工程と、を行うことを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、定電圧特性の溶接電源を備えたアーク溶接システムにおいて、チップ−母材間距離を制御することができる技術に関する。
アーク溶接においては、溶接トーチ先端のチップと母材との間の距離を一定に保つことが重要である。すなわち、溶接中にチップ−母材間距離が変化すると、溶け込み深さや溶接ビード幅が変化したり、あるいは、スパッタやブローホール等が発生し、溶接が不安定となって溶接品質が低下する。また特に、溶接ロボットを用いたアーク溶接システムによって自動溶接を行う場合は、チップ−母材間距離の変化によってシールドガスのシールド性が低下する場合や、チップと母材または、シールドガスノズルと母材とが接触する場合があるため、当該距離を一定に保つように制御を行う必要がある。
一般に、定電圧特性を備える溶接電源を用いたアーク溶接システムにおいては、チップ−母材間距離を一定距離に制御するために、目標とする電流値と実溶接電流値とを一致させることで溶接トーチを上方向または下方向に自動的に位置補正する倣い処理(倣い)という手法が用いられている。なお、定電圧特性とは、実溶接電流値の増減にかかわらず溶接電圧値が一定に制御される特性のことをいう。以下、アーク溶接システムに従来技術に係るチップ−母材間距離の制御方法を適用した場合の処理フローについて、図13を参照しながら具体的に説明する。
従来技術では、まずステップS101において、アーク溶接システムの倣いが有効か否かを判断する。そして、倣いが有効な場合は(ステップS101でYes)、ステップS102に進み、センサ等で検出した実溶接電流値をAD変換およびサンプリングする。一方、倣いが有効でない場合は(ステップS101でNo)、処理を終了する。
次に、ステップS103において、所定期間のサンプリングが完了したか否かを判断する。そして、当該サンプリングが完了した場合は(ステップS103でYes)、ステップS104に進み、サンプリングした実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出する。一方、当該サンプリングが完了していない場合は(ステップS103でNo)、ステップS102に戻る。
次に、ステップS105において、設定溶接電流値が平均実溶接電流値よりも大きいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも大きい場合は(ステップS105でYes)、ステップS107に進み、溶接トーチを下方に位置補正して実溶接電流値を増加させ、ステップS101に戻る。一方、当該平均実溶接電流値よりも大きくない場合は(ステップS105でNo)、ステップS106に進む。
次に、ステップS106において、設定溶接電流値が平均実溶接電流値よりも小さいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも小さい場合は(ステップS106でYes)、ステップS108に進み、溶接トーチを上方に位置補正して実溶接電流値を減少させ、ステップS101に戻る。一方、当該平均実溶接電流値よりも小さくない場合は(ステップS106でNo)、ステップS101に戻る。
また、このような従来技術に係る倣い処理の他にも、例えば特許文献1には、ワイヤの突き出し長さを制御することでチップ−母材間距離を間接的に制御する技術が開示されている。すなわち、特許文献1に係る発明は、予め種々の突き出し長さを有するワイヤの抵抗値を求めてデータとして記憶しておき、本溶接時におけるワイヤを流れる電流および電圧の値から当該ワイヤの抵抗値を算出し、予め記憶しておいた抵抗値と比較することで、ワイヤの突き出し長さを推定する構成とした。
特開平11−58012号公報(段落0014参照)
しかしながら、前記した従来技術に係る倣い処理においては、設定溶接電圧値(溶接電圧の設定値)の変化がチップ−母材間距離に悪影響を与えるという問題があった。すなわち、定電圧特性を持つ溶接電源を用いたアーク溶接においては、設定溶接電圧値に略比例してアーク長が変化する。また、当該アーク長が変化すると、チップ先端におけるワイヤの突き出し長さが変化してワイヤの抵抗値が変化するため、実溶接電流値も変化することになる。
そのため、例えば、ワイヤ送給速度およびチップ−母材間距離を一定としてアーク溶接を行った場合において、設定溶接電圧値が減少するとアーク長が減少し、これに伴い実溶接電流値も減少する。そして、このように実溶接電流値が減少すると、前記した倣い処理によって実溶接電流値を設定溶接電流値に近づけようとする制御がなされる。すなわち、溶接トーチを下方に位置補正し、ワイヤの突き出し長さを減少させることで当該ワイヤの抵抗値を減少させ、実溶接電流値を増加させる。そして、このような溶接トーチの位置補正は、実溶接電流値と設定溶接電流値とが一致するまで行われることになる。従って、従来技術に係る倣い処理では、設定溶接電圧値が変化すると、チップ−母材間距離も変動してしまうという問題があった。
ここで、アーク溶接における設定溶接電圧値は、母材の形状や溶接姿勢の変更に伴って適宜変更されるものである。従って、設定溶接電圧値の影響を加味しない従来技術に係る倣い処理では、実際のアーク溶接の現場において、チップ−母材間距離を正確かつ一定に制御することができなかった。また、従来技術に係る倣い処理で実溶接電流値を検出して制御部に取り込むには、電流検出のためのセンサや、電流変換のためのAD変換器等の機器を用いる場合があるが、このような機器には通常、数%〜10%程度の誤差がある。従って、正確な実溶接電流値を求める必要がある従来技術に係る倣い処理では、チップ−母材間距離を正確かつ一定に制御することができなかった。
また、前記した特許文献1に係る発明も設定溶接電圧値の影響については加味しておらず、従来技術と同様にチップ−母材間距離を正確かつ一定に制御することができなかった。さらに、特許文献1に係る発明では、ワイヤの抵抗値を算出するために、溶接中にワイヤを母材と短絡させる必要があるが、例えば短絡を伴わないスプレー移行(ワイヤ先端がアーク熱によって溶融し、溶滴がワイヤの径よりも小さい粒となってアーク中を飛行して母材へと移行する溶滴移行)の場合は、特許文献1に係る発明を適用することができないという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、定電圧特性を備える溶接電源を用いたアーク溶接において、溶接条件の変更や機器の誤差等がある場合であってもチップ−母材間距離を正確かつ一定に制御することができる技術を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するために本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが予め対応付けられて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、溶接トーチを位置補正するアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法であって、所定の本溶接条件下において、電流値測定手段によって実溶接電流値を測定するとともに、平均値算出手段によって前記本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する実溶接電流値取得工程と、基準電流値取得手段によって、前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得工程と、電流値比較手段によって、前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流値比較工程と、前記電流値比較工程における比較結果に従って、溶接トーチ位置補正手段によって前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正工程と、を行う手順とする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、予め所定の溶接条件下の平均実溶接電流値とこれに対応する溶接条件をデータ(基準電流値格納テーブル)として収集・保持する。そして、予め求めた平均実溶接電流値を基準電流値として、本溶接時における平均実溶接電流値が当該基準電流値と一致するように溶接トーチを自動的に位置補正する。従って、溶接条件(例えば、設定溶接電圧値)が変更されてアーク長が変動したとしても、当該アーク長の変動に伴って、目標とする実溶接電流値がその都度調整されるため、本溶接時におけるチップ−母材間距離が常に一定距離に制御される。また、基準電流値および本溶接時における平均実溶接電流値にセンサやAD変換器等の機器の誤差が含まれる場合であっても、その誤差を含んだ状態でそのまま比較を行って溶接トーチを位置補正することが可能であるため、本溶接時におけるチップ−母材間距離が常に一定に制御される。なお、本溶接とは、実際の作業現場等において作業者によって行われるアーク溶接のことをいう。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記基準電流値取得工程において、前記本溶接条件と一致する前記溶接条件が前記基準電流値格納テーブルに存在しない場合、基準電流値補間手段によって前記基準電流値格納テーブルに格納された前記溶接条件およびこれに対応する前記平均実溶接電流値を補間し、前記基準電流値取得手段によって前記基準電流値として設定することとする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、予め本溶接条件と一致する溶接条件でアーク溶接を行っていない場合であっても、基準電流値格納テーブルに格納された溶接条件および平均実溶接電流値を補間することで基準電流値を算出することができる。従って、限られた条件下で予め溶接を行っていた場合であっても、本溶接時におけるチップ−母材間距離を一定に制御することができる。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記実溶接電流値取得工程の前に、所定の試験溶接条件下において、前記電流値測定手段によって前記実溶接電流値を測定するとともに、前記平均値算出手段によって前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する実溶接電流値事前取得工程と、基準電流値格納テーブル生成手段によって、前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値とこれに対応する前記試験溶接条件とを各々テーブルに格納して前記基準電流値格納テーブルを生成する基準電流値格納テーブル生成工程と、を行うこととする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、予め試験溶接を行って種々の溶接条件ごとの安定した平均実溶接電流値をデータ(基準電流値格納テーブル)として収集・保持することで、本溶接時における平均実溶接電流値が当該基準電流値と一致するように溶接トーチを自動的に位置補正することができる。なお、試験溶接とは、本溶接の前に基準電流値格納テーブルを生成するために試験的に行なわれるアーク溶接のことをいう。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記試験溶接が、平板に対するビード溶接、または、すみ肉溶接のいずれかの溶接方法で前記アーク溶接を行うこととする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、基準電流値格納テーブルに、平板に対するビード溶接またはすみ肉溶接を行った際の溶接条件と平均実溶接電流値が格納されているため、本溶接時に平板に対するビード溶接またはすみ肉溶接を行った場合であっても、チップ−母材間距離を一定に制御することができる。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記基準電流値取得工程において、前記試験溶接および前記本溶接の溶接方法が異なる場合、パラメータ補正手段によって、予め求めたパラメータを用いて前記基準電流値を補正することとする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、試験溶接および本溶接の溶接方法に合わせて基準電流値を例えばオフセット等のパラメータで補正することで、試験溶接と本溶接の溶接方法が異なる場合であっても、本溶接時における平均実溶接電流値を安定した基準電流値に一致させることができ、本溶接時におけるチップ−母材間距離を一定に制御することができる。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記実溶接電流値事前取得工程において、前記試験溶接条件を変更しながら複数の試験溶接条件下で前記実溶接電流値を測定した場合であって、前記実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越えると前記平均値算出手段によって判断された場合、エラーフラグ生成手段によって前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値をエラーフラグとし、前記基準電流値格納テーブル生成工程において、前記基準電流値格納テーブル生成手段によって、前記エラーフラグとこれに対応する前記試験溶接条件とを各々テーブルに格納して前記基準電流値格納テーブルを生成し、前記基準電流値取得工程において、前記基準電流値として設定した前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値が前記エラーフラグであると前記基準電流値取得手段によって判断された場合、エラー出力手段によってエラー出力することとする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、予め行った試験溶接で測定した実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越える場合、エラー出力を行う。従って、溶接が不安定な状態で算出した試験溶接電流値を基準電流値から除外することで、本溶接時におけるチップ−母材間距離をより安定的に制御することができる。
また、本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、前記実溶接電流値取得工程および前記実溶接電流値事前取得工程において、前記試験溶接および前記本溶接の開始時、あるいは、前記試験溶接条件および前記本溶接条件の変更時から所定期間が経過した後に、前記電流値測定手段によって前記実溶接電流値を測定することとする。
このような手順により、アーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法は、溶接開始直後や溶接条件変更直後の不安定な実溶接電流値を平均実溶接電流値算出のためのサンプルから除外することにより、本溶接時におけるチップ−母材間距離をより安定的に制御することができる。
そして、本発明に係るシングルアーク溶接システムは、母材に対してワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチの倣い処理を制御するアーク倣い制御処理部と、を備え、所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが予め対応付けて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、前記溶接トーチの位置を補正するシングルアーク溶接システムであって、前記アーク倣い制御処理部が、本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する平均値算出手段と、前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得手段と、前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流比較手段と、前記電流値比較手段による比較結果に従って、前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正手段と、を備える構成とする。
このような構成からなるシングルアーク溶接システムは、予め所定の溶接条件下の平均実溶接電流値とこれに対応する溶接条件をデータ(基準電流値格納テーブル)として収集・保持する。そして、予め求めた平均実溶接電流値を基準電流値として、本溶接時における平均実溶接電流値が当該基準電流値と一致するように溶接トーチを自動的に位置補正する。従って、溶接条件(例えば、設定溶接電圧値)が変更されてアーク長が変動したとしても、当該アーク長の変動に伴って、目標とする実溶接電流値がその都度調整されるため、本溶接時におけるチップ−母材間距離が常に一定距離に制御される。また、基準電流値および本溶接時における平均実溶接電流値にセンサやAD変換器等の機器の誤差が含まれる場合であっても、その誤差を含んだ状態でそのまま比較を行って溶接トーチを位置補正することが可能であるため、本溶接時におけるチップ−母材間距離が常に一定に制御される。
また、本発明に係るタンデムアーク溶接システムは、母材に対して先行ワイヤと後行ワイヤからなる2本のワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチの倣い処理を制御するアーク倣い制御処理部と、を備え、所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが、前記ワイヤごとに予め対応付けて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、前記溶接トーチの位置を補正するタンデムアーク溶接システムであって、前記アーク倣い制御処理部が、前記先行ワイヤの本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する平均値算出手段と、前記先行ワイヤの前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得手段と、前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流比較手段と、前記電流値比較手段による比較結果に従って、前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正手段と、を備える構成とする。
このような構成からなるタンデムアーク溶接システムは、母材に対して先行ワイヤと後
行ワイヤからなる2本のワイヤを供給してアーク溶接を行う場合であっても、チップ−母材間距離を適切に制御することができる。
本発明に係るアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法およびタンデムアーク溶接システムによれば、設定溶接電圧値が変更された場合や、機器に誤差がある場合であっても、予め求めた安定した基準電流値に実溶接電流値を近付けるように溶接トーチが自動的に位置補正されるため、溶接中におけるチップ−母材間距離を常に一定に保つことができ、アーク溶接を安定して行うことができる。
アーク溶接におけるチップ−母材間距離を示す概略図であり、(a)は、平板に対するビード溶接におけるチップ−母材間距離を示す図、(b)は、すみ肉溶接におけるチップ−母材間距離を示す図、である。 実施形態に係るアーク溶接システムの一例を示す概略図であり、(a)は、シングルアーク溶接システムを示す図、(b)は、タンデムアーク溶接システムを示す図、である。 実施形態に係るアーク溶接システムを制御するロボットコントローラの内部構成を示すブロック図である。 実施形態に係るアーク溶接システムを制御するロボットコントローラの倣い制御処理部の内部構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納テーブルの構成を示す概略図である。 第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納テーブルの構成を示す概略図である。 第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法の処理フローを示すフローチャートである。 第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納処理の処理フローを示すフローチャートである。 第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法の処理フローを示すフローチャートである。 第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納処理の処理フローを示すフローチャートである。 チップ−母材間距離の制御方法の実施例を示す概略図であり、(a)は、従来技術に係る制御方法によってチップ−母材間距離を制御した場合の比較例を示す図、(b)は、本発明に係る制御方法によってチップ−母材間距離を制御した場合の実施例1を示す図、である。 チップ−母材間距離の制御方法の実施例を示す概略図であり、(a)は、本発明に係る制御方法によってチップ−母材間距離を制御した場合の実施例2であって、溶接線が下降する例を示す図、(b)は、本発明に係る制御方法によってチップ−母材間距離を制御した場合の実施例3であって、溶接線が上昇する例を示す図、である。 従来技術に係るチップ−母材間距離の制御方法の処理フローを示すフローチャートである。
実施形態に係るアーク溶接システムおよびこれを用いたチップ−母材間距離の制御方法について、詳細に説明する。
ここで、各実施形態におけるチップ−母材間距離Lwとは、図1(a)に示すような平板に対するビード溶接においては、ワイヤ送給モータ20によって溶接トーチ10先端のチップ1からワイヤ送給速度Vfで送給されるワイヤWの突き出し長さLxと、アークAのアーク長Laと、を合計した距離のことを指している。また同様に、図1(b)に示すようなすみ肉溶接においては、溶接線の中心線上における突き出し長さLxと、アーク長Laと、溶接ビードBの深さと、を合計した距離のことを指している。
以下、図2(a)、図3を参照しながら、実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法を実行するシングルアーク溶接システムの一例について、説明する。
シングルアーク溶接システム100は、溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正、あるいは、左右方向にウィービングしながら母材Mの溶接線にアーク溶接を行うシステムである。シングルアーク溶接システム100は、図2(a)に示すように、溶接トーチ10と、ワイヤ送給モータ20と、溶接ロボット30と、ロボットコントローラ40と、溶接電源50と、を主な構成として備えている。以下、シングルアーク溶接システム100が備える各構成について、詳細に説明する。
溶接トーチ10は、母材Mに対してワイヤWを供給するための機構である。溶接トーチ10は、所定のチップ−母材間距離Lwを置いて母材Mと対向するように配置されている。また、溶接トーチ10内部にはワイヤWが挿通しており、かつ、溶接トーチ10のチップ1(図1参照)先端からは、母材に対して所定の突き出し長さでワイヤWが突き出されている。なお、溶接トーチ10は、母材に対してシールドガスを供給するシールドガスノズルを備えたものであってもよい。
ワイヤ送給モータ20は、溶接トーチ10に対してワイヤWを送り出して送給するための機構である。ここで、前記したように、ワイヤ送給速度は設定溶接電流値と略比例関係にある。従って、作業者が設定溶接電流値を変更すると、まずワイヤ送給モータ20によるワイヤ送給速度が変更される。
溶接ロボット30は、先端に溶接トーチ10が取り付けられるとともに、アームによって当該溶接トーチ10を母材Mの溶接進行方向に対して、上方向また下方向に位置補正、あるいは、左右方向にウィービングさせる機構である。溶接ロボット30は、後記するロボットコントローラ40に接続されており、当該ロボットコントローラ40の指令によって、溶接トーチ10を各方向に移動させる。
ロボットコントローラ40は、溶接ロボット30を介して、溶接トーチ10を溶接進行方向に対して所定方向に移動させる機構である。すなわち、ロボットコントローラ40は、溶接トーチ10の移動位置および移動方向を制御するための機構である。ロボットコントローラ40は、図3に示すように、その内部に溶接電流変換部41と、アーク倣い制御処理部42と、ティーチング処理部43と、ロボット軌跡計画処理部44と、を備えている。ロボットコントローラ40が備えるこれら各部の詳細については、後記する。
溶接電源50は、ワイヤWおよび母材Mに対して電力を供給し、両者間にアークを発生させるためのものである。溶接電源50は、前記したような定電圧特性を有しており、内部に電流値測定手段として溶接電流検出部51を備えている。この溶接電流検出部(電流値測定手段)51は、試験溶接時および本溶接時における実溶接電流値をアナログデータとして所定のサンプリング間隔で検出するためのものである。
以下、図3を参照しながら、前記したロボットコントローラ40の内部構成について、詳細に説明する。
溶接電流変換部41は、実溶接電流値のアナログデータをデジタルデータに変換する処理を行うものである。溶接電流変換部41には、試験溶接時および本溶接時のそれぞれにおいて、後記する溶接電源50の溶接電流検出部51から実溶接電流値のアナログデータが所定のサンプリング間隔で入力される。そして、溶接電流変換部41は、入力された実溶接電流値を電流変換(AD変換)し、当該変換後の実溶接電流値をアーク倣い制御処理部42に出力する。
アーク倣い制御処理部42は、溶接状態に応じて、溶接トーチ10の倣い処理を制御するためのものである。アーク倣い制御処理部42は、具体的には実溶接電流値と、これに対応する溶接条件から溶接トーチ10の倣い補正量を生成し、ロボット軌跡計画処理部44に出力する。アーク倣い制御処理部42は、図4に示すように、平均値算出手段42aと、基準電流値格納テーブル生成手段42bと、基準電流値取得手段42cと、電流値比較手段42dと、溶接トーチ位置補正手段42eと、メモリ手段42fと、を備えている。アーク倣い制御処理部42が備えるこれら各手段の詳細については、後記する。
ティーチング処理部43は、アーク溶接の作業軌跡をティーチングするためのものである。ティーチング処理部43には、作業軌跡を予めティーチングしたデータが格納されている。そして、ティーチング処理部43は、これらのデータから溶接の目標位置を抽出し、ロボット軌跡計画処理部44に出力する。また、ティーチング処理部43には、溶接電流変換部41がAD変換した実溶接電流値に対応する溶接条件(試験溶接条件、本溶接条件)が入力される。そして、ティーチング処理部43は、図3に示すように、当該溶接条件をアーク倣い制御処理部42に出力する。
ロボット軌跡計画処理部44は、アーク倣い制御処理部42およびティーチング処理部43の指示に基づいて、溶接トーチ10の位置および作業軌跡を制御するためものである。ロボット軌跡計画処理部44は、アーク倣い制御処理部42から入力された倣い補正量と、ティーチング処理部43から入力されたティーチング軌跡情報と、からロボット各軸指令値を生成し、溶接ロボット30のサーボドライバに出力する。そして、溶接トーチ10の位置、あるいは、作業軌跡が補正される。なお、サーボドライバは、溶接ロボット30先端の溶接トーチ10を動作させるためのドライバのことを指している。
以下、図4を参照しながら、前記したアーク倣い制御処理部42の内部構成について、詳細に説明する。
平均値算出手段42aは、溶接電流検出部51が所定のサンプリング間隔で検出した実溶接電流値から、試験溶接時(試験溶接条件下)における平均実溶接電流値と、本溶接時(本溶接条件下)における平均実溶接電流値と、を算出する手段である。また、基準電流値格納テーブル生成手段42bは、平均値算出手段42aによって算出した平均実溶接電流値と、これに対応する試験溶接条件と、を各々テーブルに格納して基準電流値格納テーブルを生成する手段である。
基準電流値取得手段42cは、本溶接条件と、基準電流値格納テーブルに格納された前記試験溶接条件と、を照らし合わせることで、当該本溶接条件に対応する(一致する)試験溶接時における平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する手段である。また、電流値比較手段42dは、本溶接時に平均値算出手段42aによって算出した平均実溶接電流値と、前記基準電流値と、を比較する手段である。
溶接トーチ位置補正手段42eは、電流値比較手段42dによる比較結果に従って、前記溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正する手段である。溶接トーチ位置補正手段42eは、具体的には、本溶接時における平均実溶接電流値が基準電流値よりも大きければ溶接トーチ10を上方向に位置補正し、本溶接時における平均実溶接電流値が基準電流値よりも小さければ溶接トーチ10を下方向に位置補正する。
次に、図4を参照しながら、シングルアーク溶接システム100の前記したアーク倣い制御処理部42におけるチップ−母材間距離Lwの制御の流れについて、詳細に説明する。
まず、基準電流値格納テーブルを生成するための準備工程では、作業者等が所定の試験溶接条件で試験溶接を行うと、溶接電源50の電流値測定手段(溶接電流検出部)51が試験溶接時における実溶接電流値のアナログデータを所定のサンプリング間隔で検出し、当該データをロボットコントローラ40の電流値変換手段(溶接電流変換部)41に出力する。
次に、電流値変換手段41は、入力された実溶接電流値をAD変換し、変換後の実溶接電流値を平均値算出手段42aに出力する。また、ロボットコントローラ40のティーチング処理手段(ティーチング処理部)43は、当該実溶接電流値に対応する試験溶接条件を基準電流値格納テーブル生成手段42bに出力する。
次に、平均値算出手段42aは、入力された実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出し、基準電流値格納テーブル生成手段42bに試験溶接時における平均実溶接電流値を出力する。そして、基準電流値格納テーブル生成手段42bは、入力された試験溶接条件および試験溶接時における平均実溶接電流値を各々テーブルに格納して基準電流値格納テーブルを生成し、当該基準電流値格納テーブルをメモリ手段42fに格納する。
次に、溶接トーチ10を位置補正する位置補正工程では、作業者等が所定の本溶接条件で本溶接を行うと、溶接電源50の電流値測定手段(溶接電流検出部)51は、当該本溶接時における実溶接電流値のアナログデータを所定のサンプリング間隔で検出し、電流値変換手段(溶接電流変換部)41に出力する。そして、電流値変換手段41は、入力された実溶接電流値をAD変換し、変換後の実溶接電流値を平均値算出手段42aに出力する。また、ロボットコントローラ40のティーチング処理手段(ティーチング処理部)43は、当該実溶接電流値に対応する本溶接条件をメモリ手段42fに出力する。
次に、平均値算出手段42aは、入力された実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出し、ロボットコントローラ40の電流値比較手段42dに本溶接時における平均実溶接電流値を出力する。そして、基準電流値取得手段42cは、メモリ手段42fに格納された本溶接条件と、基準電流値格納テーブルと、を参照し、当該基準電流値格納テーブルに本溶接条件と一致する試験溶接条件が存在するかどうかを判定する。そして、基準電流値格納テーブルに本溶接条件と一致する試験溶接条件がある場合、基準電流値取得手段42cは、当該試験溶接条件に対応する平均実溶接電流値を基準電流値格納テーブルから抽出して基準電流値として設定する。そして、当該基準電流値を電流値比較手段42dに出力する。
次に、電流値比較手段42dは、入力された本溶接時における平均実溶接電流値と、基準電流値と、の大小を比較し、その比較結果を溶接トーチ位置補正手段42eに出力する。そして、溶接トーチ位置補正手段42eは、当該比較結果に従って、溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正するための倣い補正量を生成し、当該倣い補正量を後記するロボット軌跡計画処理部44に出力する。そして、後記するように、ロボット軌跡計画処理部44は、入力された倣い補正量に基づいて、溶接ロボット30に対して溶接トーチ10の位置補正を指示する。
なお、アーク倣い制御処理部42は、上記手段の他にも、図示しない基準電流値補間手段、パラメータ補正手段、エラーフラグ生成手段、エラー出力手段を備えることもできる。
基準電流値補間手段は、本溶接条件と同じ条件で試験溶接を行っておらず、基準電流値格納テーブルから直接基準電流値を取得することができない場合において、基準電流値格納テーブルに格納された試験溶接条件と、試験溶接時における平均実溶接電流値と、を補間する手段である。基準電流値補間手段は、例えば、基準電流値格納テーブルに既に格納された試験溶接条件とこれに対応する平均実溶接電流値から関係式を求め、当該関係式に本溶接条件を代入することで、本溶接時における平均実溶接電流値を算出する。
パラメータ補正手段は、試験溶接および本溶接の溶接方法が異なる場合において、基準電流値をオフセット等のパラメータによって補正するための手段である。例えば、試験溶接時は図1(a)の平板に対するビード溶接を行い、本溶接時は同図(b)のすみ肉溶接を行った場合、溶接ビードBの高さ分だけチップ−母材間距離Lwが長くなり、基準電流値を補正する必要が生じる。従って、このような場合に、溶接ビードBの差分だけ基準電流値を減少させる正のオフセットや、反対に溶接ビードBの差分だけ基準電流値を増加させる負のオフセット等の予め用意したパラメータによって基準電流値を補正することで、溶接方法の相違による影響を解消できるとともに、本溶接時における平均実溶接電流値を安定した基準電流値に一致させることができる。
また、エラーフラグ生成手段は、試験溶接時における平均実溶接電流値を算出するために試験溶接条件ごとに測定した実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越えると判断した場合に、当該試験溶接時における平均実溶接電流値をエラーフラグとする手段である。また、エラー出力手段は、基準電流値として設定した試験溶接時における平均実溶接電流値がエラーフラグであると基準電流値取得手段42cが判断した場合において、倣い処理が不可能として、処理を終了させるためにエラー出力を行う手段である。
以下、前記したアーク溶接システム100を用いた第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法について、図2〜図6を適宜参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、従来とは異なる倣い処理によってチップ−母材間距離Lwを制御することを特徴としており、準備工程と、位置補正工程と、に大別される。以下、第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法の各工程の詳細について説明する。
(1)準備工程
準備工程は、位置補正工程の前に予め基準電流値格納テーブルを準備する工程である。準備工程では、具体的には、実溶接電流値事前取得工程と、基準電流値格納テーブル生成工程と、を行う。以下、各工程の詳細について説明する。
(実溶接電流値事前取得工程)
本工程は、実際の溶接(本溶接)を行う前に、予め所定のチップ−母材間距離Lwで試験的な溶接(試験溶接)を行い、実溶接電流値の平均値である平均実溶接電流値を算出する工程である。本工程では、まず作業者が所定の試験溶接条件下で試験溶接を行い、アーク溶接システム100の電流値測定手段(溶接電流検出部)51によって試験溶接時における安定した実溶接電流値を所定のサンプリング間隔でサンプリングする。そして、アーク溶接システム100の平均値算出手段42aによって、電流値測定手段51でサンプリングした複数の実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出し、アーク溶接システム100のメモリ手段42fにデータとして保存する。
なお、本工程では、作業者が試験溶接条件を所定範囲で変更しながら試験溶接を行い、アーク溶接システム100の平均値算出手段42aが当該変更した試験溶接条件ごとに実溶接電流値および平均実溶接電流値を測定・算出して、前記したメモリ手段42fに保存する。このように本工程で取得した種々の試験溶接条件下における平均実溶接電流値は、アーク溶接が安定している際の平均実溶接電流値である。従って、当該平均実溶接電流値は、後記するように、本溶接時における基準電流値(倣い処理時の目標電流値)として設定されることになる。
ここで、前記した所定のチップ−母材間距離Lwとは、予め定まった距離ではなく、溶接部位や溶接時における姿勢等の種々の条件に応じて、作業者によって適宜変更、調整される距離である。所定のチップ−母材間距離Lwは、通常は作業者が所定の溶接条件下で溶接を行い、最適と判断した距離であり、経験則的に求められるものである。
また、前記した試験溶接条件とは、具体的には、アーク溶接の際に作業者がアーク溶接システム100に設定する設定溶接電流値(溶接電流の設定値)と設定溶接電圧値(溶接電圧の設定値)のことを示している。
また、前記した試験溶接は、平板に対するビード溶接、またはすみ肉溶接のいずれかによって行うことが好ましい。本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、作業者が本溶接により即した溶接方法で予め試験溶接を行い、種々の溶接条件ごとの安定した平均実溶接電流値をデータとして収集・保持することができる。従って、平板に対するビード溶接またはすみ肉溶接であっても、本溶接時におけるチップ−母材間距離Lwを一定に制御することができる。
また、本工程では、前記した平均値算出手段42aが、電流値測定手段51による試験溶接の開始時、あるいは、試験溶接条件の変更時から所定期間が経過した以降に測定した実溶接電流値から、平均実溶接電流値を算出するようにしてもよい。これは、試験溶接条件を新たに設定、あるいは変更した直後の試験溶接は、溶接状態が過渡状態である場合が多く、実溶接電流値が安定しない場合があるためである。
なお、前記した所定期間とは、試験溶接の開始時、あるいは、試験溶接条件の変更時から溶接状態が過渡状態を脱するまでの期間であり、通常は作業者が所定の溶接条件下で溶接を行うことで、経験則的に求められる期間である。本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、試験溶接が安定しない期間内における実溶接電流値を平均実溶接電流値算出のためのサンプルから除外することで、平均実溶接電流値をより正確に算出することができる。
(基準電流値格納テーブル生成工程)
本工程は、アーク溶接システム100の基準電流値格納テーブル生成手段42bによって、試験溶接時に算出した平均実溶接電流値と、これに対応する試験溶接条件と、を各々テーブルに格納し、図5に示すような基準電流値格納テーブルを生成する工程である。ここで、基準電流値格納テーブルとは、アーク溶接が安定している際の平均実溶接電流値と、その平均実溶接電流値を測定・算出した際の溶接条件(設定溶接電流値、設定溶接電圧値等)が対応付けられて格納されたテーブルである。以下、図5を参照しながら、基準電流値格納テーブルについて、詳細に説明する。
基準電流値格納テーブルには、図5に示すように、最も左側の列である列ヘッダに、作業者が試験溶接時に設定した設定溶接電流値が格納されている。この列ヘッダには、所定間隔で設定溶接電流値が格納されているが(同図では50A間隔)、当該設定溶接電流値の間隔は例示であり、作業者が試験溶接をどの程度細かく行うかによって適宜変更される。従って、作業者が設定溶接電流値を1A刻みで変更しながら試験溶接を行った場合は1A間隔となり、10A刻みで変更しながら試験溶接を行った場合は10A間隔となる。
また、基準電流値格納テーブルには、図5に示すように、最も上側の行である行ヘッダには、作業者が試験溶接時に設定した設定溶接電圧値が格納されている。この行ヘッダには、所定間隔で設定溶接電圧値が格納されているが(同図では10%間隔)、当該設定溶接電圧値の間隔は例示であり、作業者が試験溶接をどの程度細かく行うかによって適宜変更される。従って、作業者が設定溶接電圧値を1V刻みで変更しながら試験溶接を行った場合は1V間隔となり、10V刻みで変更しながら試験溶接を行った場合は10V間隔となる。なお、図5における設定溶接電圧値は、一元化設定(溶接電流に応じた最適な電圧を100%とする機能)を用いた例であるため、具体的な数値ではなく割合(%)が格納されているが、当該設定溶接電圧値として具体的な数値を格納しても構わない。
基準電流値格納テーブルには、図5に示すように、設定溶接電流値と設定溶接電圧値とが交わるセルに、試験溶接時における平均実溶接電流値が格納されている。この試験溶接時における平均実溶接電流値は、後に基準電流値として選択されるものである。なお、図5における基準電流値(試験溶接時における平均実溶接電流値)は、便宜上I_11からI_95の記号で記載されているが、実際には、前記したように試験溶接時に算出した具体的な平均実溶接電流値が格納されている。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、予め基準電流値格納テーブルを生成することにより、様々な溶接条件と実溶接電流値との関係性を事前にデータとして保持することができる。
(2)位置補正工程
位置補正工程は、準備工程で準備した基準電流値格納テーブルに基づいて溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正する工程である。位置補正工程では、具体的には、実溶接電流値取得工程と、基準電流値取得工程と、電流値比較工程と、溶接トーチ位置補正工程と、を行う。以下、各工程の詳細について説明する。
(実溶接電流値取得工程)
本工程は、所定のチップ−母材間距離Lwおよび所定の本溶接条件下で本溶接を行い、平均実溶接電流値を算出する工程である。本工程における平均実溶接電流値の算出方法および算出手段は、実溶接電流値事前取得工程と同様であるため説明を省略する。本工程で算出した本溶接時における平均実溶接電流値は、後記するように、電流値比較手段42dによって試験溶接時における平均実溶接電流値である基準電流値と比較され、その比較結果に従って、溶接トーチ10が上方向または下方向に位置補正されることになる。
本工程における所定のチップ−母材間距離Lwとは、前記した試験溶接時におけるチップ−母材間距離Lwと同様の距離のことを示している。また、本工程における本溶接条件とは、前記した試験溶接条件と同様に、アーク溶接の際に作業者がアーク溶接システム100に設定する設定溶接電流値と設定溶接電圧値のことを示している。
また、本工程では、試験溶接時と同様に、アーク溶接システム100の平均値算出手段42aが、本溶接の開始時、あるいは、本溶接条件の変更時から所定期間が経過した以降に測定した実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出するようにしてもよい。本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、本溶接が安定しない期間内における実溶接電流値を平均実溶接電流値算出のためのサンプルから除外することで、平均実溶接電流値をより正確に算出することができる。
(基準電流値取得工程)
本工程は、アーク溶接システム100の基準電流値取得手段42cが、本溶接時における本溶接条件と、予め生成した基準電流値格納テーブルに格納された試験溶接条件とを照らし合わせることで、当該本溶接条件に対応する試験溶接時における平均実溶接電流値を抽出し、かつ、これを基準電流値として設定する工程である。
本工程を具体的に図5に示す基準電流値格納テーブルを用いて説明すると、例えば、本溶接時における設定溶接電流値が100Aで設定溶接電圧値が90%の場合、アーク溶接システム100の基準電流値取得手段42cは、I_12のセルに格納された試験溶接時における平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する。また、例えば、本溶接時における設定溶接電流値が300Aで設定溶接電圧値が120%の場合、アーク溶接システム100の基準電流値取得手段42cは、I_55のセルに格納された試験溶接時における平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定することになる。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、基準電流値格納テーブルを参照して本溶接条件と試験溶接条件とを照らし合わせることで、本溶接条件において安定する平均実溶接電流値を容易に抽出することができる。そして、この平均実溶接電流値を、本溶接時における実溶接電流値を倣わせる基準、すなわち基準電流値として設定することができる。
なお、試験溶接および本溶接の溶接方法が異なる場合は、前記したアーク溶接システム100のパラメータ補正手段(図示せず)によって、基準電流値を補正することが好ましい。これは、前記したように、例えば試験溶接時は図1(a)の平板に対するビード溶接を行い、本溶接時は同図(b)のすみ肉溶接を行った場合、溶接ビードBの高さが無視できないものとなり、基準電流値を補正する必要が生じるためである。
補正に用いるパラメータは、例えば溶接ビードBの差分だけ基準電流値を減少させる正のオフセットや、反対に溶接ビードBの差分だけ基準電流値を増加させる負のオフセット等であり、予め実験的に求めてアーク溶接システム100のメモリ手段42fに格納されている。このように、予め用意したパラメータによって基準電流値を補正することにより、溶接方法の相違による影響を解消するとともに、本溶接時における平均実溶接電流値を安定した基準電流値に一致させることができる。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、試験溶接および本溶接の溶接方法に合わせて基準電流値を補正することで、試験溶接と本溶接の溶接方法が異なる場合であっても、本溶接時における平均実溶接電流値を安定した基準電流値に一致させることができ、本溶接時におけるチップ−母材間距離Lwを一定に制御することができる。
(電流値比較工程)
本工程は、アーク溶接システム100の電流値比較手段42dによって、所定の本溶接条件下における平均実溶接電流値と、前記した基準電流値取得工程で取得した基準電流値の大小を比較する工程である。ここで、基準電流値は、アーク溶接が安定している際の平均実溶接電流値である。従って、本溶接時における平均実溶接電流値と基準電流値とを比較することで、本溶接時における平均実溶接電流値が安定しているか、すなわち、本溶接が安定的に行われているのかを判断することができる。
(溶接トーチ位置補正工程)
本工程は、電流値比較工程における比較結果に従って、アーク溶接システム100の溶接トーチ位置補正手段42eによって、本溶接時における実溶接電流値が安定するように、溶接ロボット30先端の溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正する工程である。本工程は、溶接トーチ10を位置補正してワイヤWの突き出し長さLxを変化させることで、ワイヤの抵抗値が変化して実溶接電流値が変化するというアーク溶接の性質を利用して、溶接トーチ10の位置補正によって実溶接電流値を調整し、チップ−母材間距離Lwを制御するものである。本工程における処理は、具体的には以下の通りである。
例えば、電流値比較手段42dによって本溶接時における平均実溶接電流値が基準電流値と一致すると判断された場合、実溶接電流値は安定しているため、溶接トーチ位置補正手段42eは、溶接トーチ10の位置補正を行わない。
一方、電流値比較手段42dによって本溶接時における平均実溶接電流値が基準電流値よりも大きいと判断された場合、溶接トーチ位置補正手段42eは、溶接トーチ10を上方向に位置補正する。すると、ワイヤWの突き出し長さLxが増加し、平均実溶接電流値が減少する。そして、溶接トーチ位置補正手段42eは、平均実溶接電流値が基準電流値と一致するまで、溶接トーチ10を上方向に位置補正する。
また、電流値比較手段42dによって本溶接時における平均実溶接電流値が基準電流値よりも小さいと判断された場合、溶接トーチ位置補正手段42eは、溶接トーチ10を下方向に位置補正する。すると、ワイヤWの突き出し長さLxが減少し、平均実溶接電流値が増加する。そして、溶接トーチ位置補正手段42eは、平均実溶接電流値が基準電流値と一致するまで、溶接トーチ10を下方向に位置補正する。
このように、実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、予め試験溶接を行い、種々の溶接条件下における安定した実溶接電流値のデータを収集して基準電流値とし、本溶接時における実溶接電流値をこの基準電流値に近付けるように溶接トーチ10を位置補正する。従って、設定溶接電圧値が変更されてアーク長が変動したとしても、当該アーク長の変動に伴って、目標とする実溶接電流値がその都度調整されるため、チップ−母材間距離Lwが常に一定距離に制御される。また、本溶接時における実溶接電流値および基準電流値に誤差が含まれる場合であっても、誤差を含んだ状態でそのまま比較を行って溶接トーチ10を位置補正することが可能であるため、センサやAD変換器等の機器の誤差に関わらず、チップ−母材間距離Lwが常に一定距離に制御される。従って、溶接条件の変更や機器の誤差等に関わらず、溶接中におけるチップ−母材間距離Lwを正確かつ一定に制御することができる。
次に、前記したアーク溶接システム100を用いた第2実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、実溶接電流値事前取得工程と、基準電流値格納テーブル生成工程と、実溶接電流値取得工程と、基準電流値取得工程と、電流値比較工程と、溶接トーチ位置補正工程と、を有する点では、前記した第1実施形態と同様である。
但し、本実施形態では、基準電流値取得工程において、本溶接条件と一致する試験溶接条件が基準電流値格納テーブルに存在しないとアーク溶接システム100の基準電流値取得手段42cによって判断された場合、同システム100の基準電流値補間手段(図示せず)によって、基準電流値格納テーブルに格納された試験溶接条件と、試験溶接条件時における平均実溶接電流値と、を補間し、基準電流値取得手段42cによって基準電流値として設定することを特徴としている。
これは、前記したように、作業者が試験溶接の際における試験溶接条件(例えば設定溶接電流値、設定溶接電圧値)をどのような間隔で変更するかは任意であるため、本溶接条件と同じ条件で試験溶接を行っておらず、基準電流値格納テーブルから直接基準電流値を取得することができない場合があるためである。以下、本実施形態の具体例を図5に示す基準電流値格納テーブルを用いて説明する。
例えば、本溶接条件の設定溶接電流値を270A、設定溶接電圧値を95%とした場合、図5に示す基準電流値格納テーブルの列ヘッダおよび行ヘッダには、これらの値に対応する設定溶接電流値および設定溶接電圧値が存在しない。そこで、前記した基準電流値補間手段は、まず設定溶接電流値が300A、設定溶接電圧値が95%の場合の第1補間電流値(={(I_53−I_52)/(100−90)}×(95−90)+I_52)を算出する。この場合、例えばI_52を290A、I_53を300Aとすると、第1補間電流値は295Aとなる。
次に、基準電流値補間手段は、設定溶接電流値が250A、設定溶接電圧値が95%の場合の第2補間電流値(={(I_43−I_42)/(100−90)}×(95−90)+I_42)を算出する。この場合、例えばI_42を240A、I_43を250Aとすると、第2補間電流値は245Aとなる。
そして、基準電流値補間手段は、設定溶接電流値が270Aで設定溶接電圧値が90%の場合の基準電流値(={(第1補間電流値−第2補間電流値)/(300−250)}×(270−250)+第2補間電流値)を算出する。この場合、前記したように第1補間電流値を295A、第2補間電流値を245Aとすると、基準電流値は265Aとなる。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、作業者が本溶接時と同じ溶接条件で試験溶接を行っていない場合であっても、予め試験溶接時に収集・保持されたデータから補間することで基準電流値を算出することができる。従って、限られた条件下で試験溶接を行った場合であっても、本溶接時におけるチップ−母材間距離Lwを一定に制御することができる。
次に、前記したアーク溶接システム100を用いた第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、実溶接電流値事前取得工程と、基準電流値格納テーブル生成工程と、実溶接電流値取得工程と、基準電流値取得工程と、電流値比較工程と、溶接トーチ位置補正工程と、を有する点では、前記した第1実施形態と同様である。
但し、本実施形態では、実溶接電流値事前取得工程において、試験溶接時における平均実溶接電流値を算出するために、試験溶接条件を変更しながら複数の試験溶接条件下で測定した場合であって、試験溶接条件ごとに測定した実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越えるとアーク溶接システム100の平均値算出手段42aによって判断された場合、同システム100のエラーフラグ生成手段(図示せず)によって、試験溶接時における平均実溶接電流値をエラーフラグとすることを特徴としている。
これは、試験溶接時に測定した実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越えると、試験溶接時における平均実溶接電流値が安定しない場合があるためである。なお、所定の閾値とは、安定した平均実溶接電流値の算出に支障が生じるおそれのある実溶接電流値のばらつきの値であり、通常は作業者が所定の溶接条件下で溶接を行うことで、経験則的に求められる値である。
また、本実施形態では、前記したように、エラーフラグ生成手段がエラーフラグを設定した場合、基準電流値格納テーブル生成工程における基準電流値格納テーブル生成手段42bが、図6に示すように、実溶接電流値事前取得工程で設定したエラーフラグ(ERR)と、これに対応する試験溶接条件と、を各々テーブルに格納して基準電流値格納テーブルを生成する。なお、図6では、一例として、設定溶接電圧値80%および設定溶接電流値100A〜200A、設定溶接電圧値90%および設定溶接電流値100A、150A、設定溶接電圧値110%および設定溶接電流値500A、設定溶接電圧値120%および設定溶接電流値450A、500A、のセルにエラーフラグを格納している。
そして、本実施形態では、基準電流値取得工程において、基準電流値として設定した試験溶接時における平均実溶接電流値がエラーフラグであるとアーク溶接システム100の基準電流値取得手段42cによって判断された場合、倣い処理が不可能として、同システム100,200のエラー出力手段がエラー出力を行う。これは、前記したように試験溶接時に測定した実溶接電流値のばらつきが大きいと、溶接自体が不安定であり、安定した倣い処理を行うことが困難となる可能性があるためである。
本実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法は、このように、作業者が予め行った試験溶接で測定した実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越える場合、エラー出力を行う。従って、溶接が不安定な状態で算出した試験溶接電流値を基準電流値から除外することで、本溶接時におけるチップ−母材間距離Lwをより安定的に制御することができる。
以下、図7を参照しながら、前記した第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法の処理フローについて詳細に説明する。なお、本処理フローは、前記した第1実施形態の位置補正工程、すなわち実溶接電流値取得工程、基準電流値取得工程、電流値比較工程および溶接トーチ位置補正工程の具体的な流れを示したものである。なお、以下に示すステップS1〜ステップS9の処理は、全てアーク溶接システム100のアーク倣い制御処理部42が行う処理である。
本実施形態に係る倣い処理では、まずステップS1において、アーク溶接の倣いが有効か否かを判断する。そして、倣いが有効であると判断した場合は(ステップS1でYes)、ステップS2に進み、センサ等で検出した実溶接電流値をAD変換してサンプリングする。一方、倣いが有効でないと判断した場合は(ステップS1でNo)、処理を終了する。
次に、ステップS3において、所定期間のサンプリングが完了したか否かを判断する。そして、当該サンプリングが完了したと判断した場合は(ステップS3でYes)、ステップS4に進み、サンプリングした実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出する。一方、当該サンプリングが完了していないと判断した場合は(ステップS3でNo)、ステップS2に戻る。
次に、ステップS5において、基準電流値格納テーブルを参照して基準電流値を取得する。なお、基準電流値格納テーブルから基準電流値を取得する手順については、前記した通りである。次に、ステップS6において、基準電流値が平均実溶接電流値よりも大きいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも大きい場合は(ステップS6でYes)、ステップS8に進み、溶接トーチ10を下方に位置補正して実溶接電流値を増加させ、ステップS1に戻る。一方、当該平均実溶接値よりも大きくない場合は(ステップS6でNo)、ステップS7に進む。
次に、ステップS7において、基準電流値が平均実溶接電流値よりも小さいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも小さい場合は(ステップS7でYes)、ステップS9に進み、溶接トーチ10を上方に位置補正して実溶接電流値を減少させ、ステップS1に戻る。一方、当該平均実溶接電流値よりも小さくない場合は(ステップS7でNo)、ステップS1に戻る。
以下、図8を参照しながら、前記した第1実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納処理の処理フローについて詳細に説明する。なお、本処理フローは、前記した第1実施形態の準備工程、すなわち実溶接電流値事前取得工程、基準電流値格納テーブル生成工程の具体的な流れを示したものである。なお、以下に示すステップの内、ステップS11、S12、S17〜S20の処理は、アーク溶接の作業者が行う処理であり、ステップS13〜ステップS16の処理は、アーク溶接システム100のアーク倣い制御処理部42が行う処理である。
本実施形態に係る基準電流値格納処理では、まずステップS11において、アーク溶接システム100が基準電流値格納モードであるか否かを判断する。そして、基準電流値格納モードであると判断した場合は(ステップS11でYes)、ステップS12に進み、設定溶接電流値に溶接電流nを指令し、設定溶接電圧値に溶接電圧mを指令しながらアーク溶接(試験溶接)を行う。一方、基準電流値格納モードではない場合は(ステップS11でNo)、処理を終了する。
次に、ステップS13において、センサ等で検出した実溶接電流値をAD変換およびサンプリングする。そして、ステップS14において、所定期間のサンプリングが完了したか否かを判断する。そして、当該サンプリングが完了したと判断した場合は(ステップS14でYes)、ステップS15に進み、サンプリングした実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出する。一方、当該サンプリングが完了していないと判断した場合は(ステップS14でNo)、ステップS13に戻る。
次に、ステップS16において、基準電流値格納テーブルに平均実溶接電流値を格納する。そして、ステップS17において、M個の溶接電圧が実行済みか否かを判断する。ここで、M個の溶接電圧とは、予め定めた試験溶接時に変更する設定溶接電圧値の数のことをいい、前記した図5に示す基準電流値格納テーブルの行ヘッダの数のことを指している。ステップS17において、M個の溶接電圧が実行済みであると判断した場合は(ステップS17でYes)、ステップS19に進む。一方、M個の溶接電圧が実行済みではないと判断した場合は(ステップS17でNo)、ステップS18に進み、溶接電圧を次の条件に変更した後、ステップS12に戻る。
次に、ステップS19において、N個の溶接電流が実行済みか否かを判断する。ここで、N個の溶接電流とは、予め定めた試験溶接時に変更する設定溶接電流値の数のことをいい、前記した図5に示す基準電流値格納テーブルの列ヘッダの数のことを指している。ステップS19において、N個の溶接電流が実行済みであると判断した場合は(ステップS19でYes)、処理を終了する。一方、N個の溶接電流が実行済みではないと判断した場合は(ステップS19でNo)、ステップS20に進み、溶接電流を次の条件に変更するとともに、溶接電圧を初期条件に変更してステップS12に戻る。
以下、図9を参照しながら、前記した第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法の処理フローについて詳細に説明する。なお、本処理フローは、前記した第3実施形態の位置補正工程、すなわち実溶接電流値取得工程、基準電流値取得工程、電流値比較工程および溶接トーチ位置補正工程の具体的な流れを示したものである。なお、以下に示すステップS1〜ステップS9の処理は、全てアーク溶接システム100のアーク倣い制御処理部42が行う処理である。
本実施形態に係る倣い処理では、まずステップS21において、アーク溶接システム100の倣いが有効か否かを判断する。そして、倣いが有効であると判断した場合は(ステップS21でYes)、ステップS22に進み、センサ等で検出した実溶接電流値をAD変換およびサンプリングする。一方、倣いが有効でないと判断した場合は(ステップS21でNo)、処理を終了する。
次に、ステップS23において、所定期間のサンプリングが完了したか否かを判断する。そして、当該サンプリングが完了したと判断した場合は(ステップS23でYes)、ステップS24に進み、サンプリングした実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出する。一方、当該サンプリングが完了していないと判断した場合は(ステップS23でNo)、ステップS22に戻る。
次に、ステップS25において、基準電流値格納テーブルを参照して基準電流値を取得する。なお、基準電流値を取得する手順については、前記した通りである。次に、ステップS26において、基準電流値がエラーフラグか否かを判断する。そして、エラーフラグであると判断した場合は(ステップS26でYes)、エラー出力して処理を終了する。一方、エラーフラグではないと判断した場合は(ステップS26でNo)、ステップS27に進む。
次に、ステップS27において、基準電流値が平均実溶接電流値よりも大きいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも大きい場合は(ステップS27でYes)、ステップS28に進み、溶接トーチ10を下方に位置補正して実溶接電流値を増加させ、ステップS21に戻る。一方、当該平均実溶接電流値よりも大きくない場合は(ステップS27でNo)、ステップS29に進む。
次に、ステップS29において、基準電流値が平均実溶接電流値よりも小さいかどうかを比較する。そして、当該平均実溶接電流値よりも小さい場合は(ステップS29でYes)、ステップS30に進み、溶接トーチ10を上方に位置補正して実溶接電流値を減少させ、ステップS21に戻る。一方、当該平均実溶接電流値よりも小さくない場合は(ステップS29でNo)、ステップS21に戻る。
以下、図10を参照しながら、前記した第3実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法における基準電流値格納処理の処理フローについて詳細に説明する。なお、本処理フローは、前記した第3実施形態の準備工程、すなわち実溶接電流値事前取得工程、基準電流値格納テーブル生成工程の具体的な流れを示したものである。なお、以下に示すステップの内、ステップS31、S32、S40〜S43の処理は、アーク溶接の作業者が行う処理であり、ステップS33〜ステップS39の処理は、アーク溶接システム100のアーク倣い制御処理部42が行う処理である。
本実施形態に係る基準電流値格納処理では、まずステップS31において、アーク溶接システム100が基準電流値格納モードであるか否かを判断する。そして、基準電流値格納モードであると判断した場合は(ステップS31でYes)、ステップS32に進み、設定溶接電流値に溶接電流nを指令し、設定溶接電圧値に溶接電圧mを指令してアーク溶接(試験溶接)を行う。一方、基準電流値格納モードではないと判断した場合は(ステップS31でNo)、処理を終了する。
次に、ステップS33において、センサ等で検出した実溶接電流値をAD変換およびサンプリングする。そして、ステップS34において、所定期間のサンプリングが完了したか否かを判断する。そして、当該サンプリングが完了したと判断した場合は(ステップS34でYes)、ステップS35に進み、サンプリングした実溶接電流値から標準偏差を算出する。一方、当該サンプリングが完了していないと判断した場合は(ステップS34でNo)、ステップS33に戻る。
次に、ステップS36において、標準偏差が異常判定閾値より大きいか否かを判定する。そして、異常判定閾値より大きいと判定した場合は(ステップS36でYes)、ステップS37に進み、前記した図3に示すように、基準電流値格納テーブルにエラーフラグを格納する。一方、標準偏差が異常判定閾値以下であると判定した場合は(ステップS36でNo)、ステップS38に進み、サンプリングした実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出して、ステップS39に進む。なお、異常判定閾値とは、平均実溶接電流値の算出に支障が生じるおそれのある実溶接電流値のばらつきの値であり、作業者によって予め経験則的に求められた値である。そして、ステップS39において、基準電流値格納テーブルに平均実溶接電流値を格納してS40に進む。
次に、ステップS40において、M個の溶接電圧が実行済みか否かを判断する。M個の溶接電圧が実行済みであると判断した場合は(ステップS40でYes)、ステップS42に進む。一方、M個の溶接電圧が実行済みではないと判断した場合は(ステップS40でNo)、ステップS41に進み、溶接電圧を次の条件に変更した後、ステップS32に戻る。
次に、ステップS42において、N個の溶接電流が実行済みか否かを判断する。N個の溶接電流が実行済みであると判断した場合は(ステップS42でYes)、処理を終了する。一方、N個の溶接電流が実行済みではないと判断した場合は(ステップS42でNo)、ステップS43に進み、溶接電流を次の条件に変更するとともに、溶接電圧を初期条件に変更してステップS32に戻る。
以下、図2(b)、図4を参照しながら、実施形態に係るチップ−母材間距離の制御方法を実行するタンデムアーク溶接システムの一例について、説明する。
タンデムアーク溶接システム200は、2本のワイヤWを備える溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正、あるいは、左右方向にウィービングしながら母材Mの溶接線にアーク溶接を行うシステムである。タンデムアーク溶接システム200は、図2(b)に示すように、2本のワイヤWに対応してワイヤ送給モータ20、ロボットコントローラ40の溶接電源変換部41、溶接電源50および溶接電流検出部51をそれぞれ2つずつ備える点を除けば、前記したシングルアーク溶接システム100と同様の構成を有している。従って、シングルアーク溶接システム100と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
タンデムアーク溶接システム200は、図2(b)に示すように、母材Mに対して2本のワイヤWによって同時に溶接を行う。タンデムアーク溶接システム200が備える溶接トーチ10は、2本のワイヤWが母材Mの溶接線に対して平行になるように、かつ、一方のワイヤWが他方のワイヤWに先行するように、2本のワイヤWを供給する。
ここで、溶接トーチ10が母材Mに供給する2本のワイヤWのうち、溶接進行方向に対して先行するワイヤWを先行ワイヤといい、当該先行ワイヤに後行するワイヤWを後行ワイヤという。但し、この先行ワイヤと後行ワイヤは、2本のワイヤWの役割を示すものであり、物理的に固定されているものではない。従って、例えば図2(b)の右方向に溶接が進行する場合は右側のワイヤWが先行ワイヤ、左側のワイヤWが後行ワイヤとなり、図2(b)の左方向に溶接が進行する場合はその逆となる。
以下、図2(b)、図4を参照しながら、前記したタンデムアーク溶接システム200のアーク倣い制御処理部42におけるチップ−母材間距離Lwの制御の流れについて、詳細に説明する。
まず、基準電流値格納テーブルを生成するための準備工程では、2本のワイヤWのそれぞれについて、順次基準電流値格納テーブルを生成する。例えば、図2(b)の左側のワイヤWを先行ワイヤとした場合、所定の試験溶接条件で試験溶接を行うと、上側の溶接電流検出部51は、先行ワイヤの実溶接電流値のアナログデータを所定のサンプリング間隔で検出し、上側の溶接電流変換部41に出力する。なおこの場合、後行ワイヤはアークを出さずに先行ワイヤのみでアーク溶接を行う。
次に、溶接電流変換部41は、図4に示すように、先行ワイヤの実溶接電流値をAD変換し、アーク倣い制御処理部42の平均値算出手段42aに出力する。また、ロボットコントローラ40のティーチング処理手段(ティーチング処理部)43は、当該実溶接電流値に対応する先行ワイヤの試験溶接条件を、基準電流値格納テーブル生成手段42bに出力する。また、ティーチング処理手段43は、図2(b)の左側のワイヤWが先行ワイヤである旨を基準電流値格納テーブル生成手段42bに出力する。
次に、平均値算出手段42aは、図4に示すように、先行ワイヤの実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出し、基準電流値格納テーブル生成手段42bに出力する。そして、基準電流値格納テーブル生成手段42bは、入力された先行ワイヤの試験溶接条件および試験溶接時における平均実溶接電流値をテーブルに格納し、図2(b)に示す左側のワイヤWの基準電流値格納テーブルを生成する。そして、当該基準電流値格納テーブルをメモリ手段42fに格納する。
次に、図2(b)の先行ワイヤを右側のワイヤWに切り換えて上記と同様の処理を行い、右側のワイヤWの基準電流値格納テーブルを生成し、当該基準電流値格納テーブルをメモリ手段42fに格納する。なおその際、ティーチング処理手段43は、図2(b)の右側のワイヤWが先行ワイヤである旨を基準電流値格納テーブル生成手段42bに出力する。
次に、溶接トーチ10を位置補正する位置補正工程では、作業者等が所定の本溶接条件で本溶接を行うと、先行ワイヤに電力を供給する溶接電流検出部51は、先行ワイヤの実溶接電流値のアナログデータを検出し、溶接電流変換部41に出力する。そして、溶接電流変換部41は、図4に示すように、入力された先行ワイヤの実溶接電流値をAD変換し、アーク倣い制御処理部42の平均値算出手段42aに出力する。また、ロボットコントローラ40のティーチング処理手段(ティーチング処理部)43は、当該実溶接電流値に対応する先行ワイヤの試験溶接条件を、メモリ手段42fに出力する。
次に、平均値算出手段42aは、入力された先行ワイヤの実溶接電流値から平均実溶接電流値を算出し、ロボットコントローラ40の電流値比較手段42dに本溶接時における平均実溶接電流値を出力する。そして、基準電流値取得手段42cは、メモリ手段42fに格納された先行ワイヤの本溶接条件と、先行ワイヤの基準電流値格納テーブルと、を参照し、当該基準電流値格納テーブルに本溶接条件と一致する試験溶接条件が存在するかどうかを判定する。そして、基準電流値格納テーブルに先行ワイヤの本溶接条件と一致する試験溶接条件がある場合、当該試験溶接条件に対応する平均実溶接電流値を基準電流値格納テーブルから抽出して基準電流値として設定する。そして、当該基準電流値を電流値比較手段42dに出力する。
次に、電流値比較手段42dは、入力された先行ワイヤの本溶接時における平均実溶接電流値と、基準電流値と、の大小を比較し、その比較結果を溶接トーチ位置補正手段42eに出力する。そして、溶接トーチ位置補正手段42eは、当該比較結果に従って、溶接トーチ10を上方向または下方向に位置補正するための倣い補正量を生成し、当該倣い補正量を後記するロボット軌跡計画処理部44に出力する。そして、後記するように、ロボット軌跡計画処理部44は、入力された倣い補正量に基づいて、溶接ロボット30に対して溶接トーチ10の位置補正を指示する。
このように、タンデムアーク溶接システム200では、試験溶接時においては予め2本のワイヤWごとに基準電流値格納テーブルを生成してデータとして保持し、本溶接時においては先行ワイヤの本溶接条件と、先行ワイヤの基準電流値格納テーブルと、を照らし合わせることで、チップ−母材間距離Lwを一定に制御することができる。従って、このような構成からなるタンデムアーク溶接システム200は、母材Mに対して先行ワイヤと後行ワイヤからなる2本のワイヤWを供給してアーク溶接を行う場合であっても、チップ−母材間距離Lwを適切に制御することができる。
なお、タンデムアーク溶接システム200におけるアーク倣い制御処理部42は、シングルアーク溶接システム100と同様に、上記手段の他に、図示しない基準電流値補間手段、パラメータ補正手段、エラーフラグ生成手段、エラー出力手段を備えることもできる。
次に、本発明に係るチップ−母材間距離の制御方法の実施例について、図11、図12に従って、本発明の要件を満たさない比較例と対比しながら説明する。なお、本実施例では、シングルアーク溶接システムを用い、設定溶接電流値を300A、設定溶接電圧値を28Vとした場合の基準電流値を280Aとする。また、図10,11においては、便宜上、設定溶接電流値をSC、実溶接電流値をTC、設定溶接電圧値をSVとして示す。
まず、本発明の要件を満たさない比較例に係るチップ−母材間距離の制御方法について、図11(a)に従って説明する。同図(1)では、設定溶接電流値(SC)は300A、設定溶接電圧値(SV)は30V、実溶接電流値(TC)は300Aである。従って、設定溶接電流値(SC)と実溶接電流値(TC)が一致しており、溶接状態は安定している。一方、(2)に示すように、設定溶接電圧値(SV)が28Vに減少すると、アーク長が減少する。そして、(3)に示すように、アーク長の減少に伴ってワイヤ突出し部分の抵抗値が増加し、実溶接電流値(TC)が300Aから280Aに減少する。すると、四角枠内に示すように、設定溶接電流値(SC)よりも実溶接電流値(TC)が小さくなるため、(4)に示すように、溶接トーチを下降してワイヤ突出し部分の抵抗値を減少させ、実溶接電流値(TC)を再度300Aまで戻す制御が行われる。従って、従来の倣い処理を用いたチップ−母材間距離の制御方法では、チップ−母材間距離がLwからLw−αに減少しており、当該距離を一定に制御できていないことがわかる。
次に、本発明の要件を満たす実施例1に係るチップ−母材間距離の制御方法について、図11(b)に従って説明する。ここで、同図(1)〜(3)までは、図11(a)と同様である。一方、実施例1では、四角枠内に示すように、設定溶接電流値(SC)が300A、設定溶接電圧値(SV)が28Vの場合の基準電流値と、実溶接電流値(TC)とを比較する。ここで、基準電流値と実溶接電流値(TC)はともに280Aであるため、(4)に示すように、溶接トーチは位置補正されない。従って、実施例1に係るチップ−母材間距離の制御方法では、チップ母材間距離を一定に制御できていることがわかる。
次に、本発明の要件を満たす実施例2に係るチップ−母材間距離の制御方法について、図12(a)に従って説明する。実施例2は、同図に示すように、溶接線が上昇している場合の例を示している。ここで、同図(1)、(2)は、図11(a)と同様である。一方、実施例2では、(3)に示すように、アーク長の減少に伴って実溶接電流値(TC)が減少するとともに、溶接線の下降による突き出し長さLxの増加によってワイヤ突出し部分の抵抗値が急激に増加するため、実溶接電流値(TC)が300Aから270Aに急激に減少する。すると、四角枠内に示すように、基準電流値よりも実溶接電流値(TC)が小さくなるため、(4)に示すように、溶接トーチを下降してワイヤ突出し部分の抵抗値を減少させ、実溶接電流値(TC)を280Aまで増加させる制御が行われる。従って、実施例2に係るチップ−母材間距離の制御方法では、チップ母材間距離を一定に制御できていることがわかる。
次に、本発明の要件を満たす実施例3に係るチップ−母材間距離の制御方法について、図12(b)に従って説明する。実施例2は、同図に示すように、溶接線が下降している場合の例を示している。ここで、同図(1)、(2)は、図11(a)と同様である。一方、実施例3では、(3)に示すように、アーク長の減少に伴って実溶接電流値(TC)が減少するものの、溶接線の上昇による突き出し長さLxの減少によってワイヤ突出し部分の抵抗値が減少するため、実溶接電流値(TC)が300Aから290Aにわずかに減少する。すると、四角枠内に示すように、基準電流値よりも実溶接電流値(TC)が大きくなるため、(4)に示すように、溶接トーチを上昇してワイヤ突出し部分の抵抗値を増加させ、実溶接電流値(TC)を280Aまで減少させる制御が行われる。従って、実施例3に係るチップ−母材間距離の制御方法では、チップ母材間距離を一定に制御できていることがわかる。
このように、本発明に係るアーク溶接におけるチップ−母材間距離の制御方法によれば、設定溶接電圧値が変更された場合や、機器に誤差がある場合であっても、常に安定した基準電流値に実溶接電流値を近付けるように溶接トーチを位置補正するため、溶接中におけるチップ−母材間距離を常に一定に保つことができ、アーク溶接を安定して行うことができる。
1 チップ
10 溶接トーチ
20 ワイヤ送給モータ
30 溶接ロボット
40 ロボットコントローラ
41 溶接電流変換部(電流値変換手段)
42 アーク倣い制御処理部
42a 平均値算出手段
42b 基準電流値格納テーブル生成手段
42c 基準電流値取得手段
42d 電流値比較手段
42e 溶接トーチ位置補正手段
42f メモリ手段
43 ティーチング処理部(ティーチング処理手段)
44 ロボット軌跡計画処理部
50 溶接電源
51 溶接電流検出部(電流値測定手段)
100 シングルアーク溶接システム(アーク溶接システム)
200 タンデムアーク溶接システム(アーク溶接システム)
A アーク
B 溶接ビード
La アーク長
Lw チップ−母材間距離
Lx 突き出し長さ
M 母材
Vf 送給速度
W ワイヤ

Claims (9)

  1. 所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが予め対応付けられて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、溶接トーチを位置補正するアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法であって、
    所定の本溶接条件下において、電流値測定手段によって実溶接電流値を測定するとともに、平均値算出手段によって前記本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する実溶接電流値取得工程と、
    基準電流値取得手段によって、前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得工程と、
    電流値比較手段によって、前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流値比較工程と、
    前記電流値比較工程における比較結果に従って、溶接トーチ位置補正手段によって前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正工程と、
    を行うことを特徴とするアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  2. 前記基準電流値取得工程において、前記本溶接条件と一致する前記溶接条件が前記基準電流値格納テーブルに存在しない場合、基準電流値補間手段によって前記基準電流値格納テーブルに格納された前記溶接条件およびこれに対応する前記平均実溶接電流値を補間し、前記基準電流値取得手段によって前記基準電流値として設定することを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  3. 前記実溶接電流値取得工程の前に、
    所定の試験溶接条件下において、前記電流値測定手段によって前記実溶接電流値を測定するとともに、前記平均値算出手段によって前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する実溶接電流値事前取得工程と、
    基準電流値格納テーブル生成手段によって、前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値とこれに対応する前記試験溶接条件とを各々テーブルに格納して前記基準電流値格納テーブルを生成する基準電流値格納テーブル生成工程と、
    を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  4. 前記試験溶接は、平板に対するビード溶接、または、すみ肉溶接のいずれかの溶接方法で前記アーク溶接を行うことを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  5. 前記基準電流値取得工程において、前記試験溶接および前記本溶接の溶接方法が異なる場合、パラメータ補正手段によって、予め求めたパラメータを用いて前記基準電流値を補正することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  6. 前記実溶接電流値事前取得工程において、前記試験溶接条件を変更しながら複数の試験溶接条件下で前記実溶接電流値を測定した場合であって、前記実溶接電流値のばらつきが所定の閾値を越えると前記平均値算出手段によって判断された場合、エラーフラグ生成手段によって前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値をエラーフラグとし、
    前記基準電流値格納テーブル生成工程において、前記基準電流値格納テーブル生成手段によって、前記エラーフラグとこれに対応する前記試験溶接条件とを各々テーブルに格納して前記基準電流値格納テーブルを生成し、
    前記基準電流値取得工程において、前記基準電流値として設定した前記試験溶接条件下の平均実溶接電流値が前記エラーフラグであると前記基準電流値取得手段によって判断された場合、エラー出力手段によってエラー出力することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  7. 前記実溶接電流値取得工程および前記実溶接電流値事前取得工程において、前記試験溶接および前記本溶接の開始時、あるいは、前記試験溶接条件及び前記本溶接条件の変更時から所定期間が経過した後に、前記電流値測定手段によって前記実溶接電流値を測定することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のアーク溶接システムによるチップ−母材間距離の制御方法。
  8. 母材に対してワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチの倣い処理を制御するアーク倣い制御処理部と、を備え、所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが予め対応付けて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、前記溶接トーチの位置を補正するシングルアーク溶接システムであって、
    前記アーク倣い制御処理部は、
    本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する平均値算出手段と、
    前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得手段と、
    前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流比較手段と、
    前記電流値比較手段による比較結果に従って、前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正手段と、
    を備えることを特徴とするシングルアーク溶接システム。
  9. 母材に対して先行ワイヤと後行ワイヤからなる2本のワイヤを供給する溶接トーチと、前記溶接トーチの倣い処理を制御するアーク倣い制御処理部と、を備え、所定の溶接条件と当該溶接条件によってアーク溶接を行った場合の平均実溶接電流値とが、前記ワイヤごとに予め対応付けて格納された基準電流値格納テーブルに基づいて、前記溶接トーチの位置を補正するタンデムアーク溶接システムであって、
    前記アーク倣い制御処理部は、
    前記先行ワイヤの本溶接条件下の平均実溶接電流値を算出する平均値算出手段と、
    前記基準電流値格納テーブルから前記本溶接条件と一致する前記平均実溶接電流値を抽出し、基準電流値として設定する基準電流値取得手段と、
    前記本溶接条件下の平均実溶接電流値と前記基準電流値とを比較する電流比較手段と、
    前記電流値比較手段による比較結果に従って、前記溶接トーチを上方向または下方向に位置補正する溶接トーチ位置補正手段と、
    を備えることを特徴とするタンデムアーク溶接システム。
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