JP2011163999A - 走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、効率的に稼動する走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置を提供する。
【解決手段】高周波コイルは試料が載るステージ側に固定されるとともに、高周波コイルに高周波電力を供給するための結合コイルは、カンチレバーを保持するホルダー側に固定されて、カンチレバーがホルダーとともに前記試料表面に近づけられた際には、該結合コイルもまた、同時に前記高周波コイルに近づいて、両コイル間が電磁気的に結合するよう構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、高周波磁場応答を局所的に画像化可能な走査型プローブ顕微鏡に関する。
走査型プローブ顕微鏡は、探針を試料に接近させた状態で試料に対して相対的に走査させる際に、探針から試料へ局所的摂動を発生させ、その刺激に対する試料表面からの局所的応答を測定することによって、試料の表面を観察する顕微鏡である。
走査型プローブ顕微鏡は、その応答の違いから、2種類に分別される。1つは走査型トンネル顕微鏡である。これは、探針を金属製探針、摂動をトンネル電圧、それに対する応答をトンネル電流とする。もう1つは、走査型原子間力顕微鏡である。これは、探針を力検出用カンチレバー、摂動を原子間力、応答を力によるカンチレバーの変位とする。
本発明が適用される装置は、後者の走査型原子間力顕微鏡に限定される。走査型原子間力顕微鏡から派生した顕微鏡として、走査型磁気力顕微鏡(探針:探針部に磁石を装着させたカンチレバー、摂動:磁気力)、走査型静電気力顕微鏡(探針:探針部が電極として働くカンチレバー、摂動:静電気力)、走査型磁気共鳴力顕微鏡(探針:探針部に磁石を装着させたカンチレバー、摂動:磁気力)などが開発されている。
これらは全て力を応答として観察する顕微鏡と考えられ、走査型原子間力顕微鏡の範疇に属するものである。特許庁のホームページ(非特許文献1)に、これらや他の走査型プローブ顕微鏡を含めて全ての種類の走査型プローブ顕微鏡の情報が網羅されている。
特許庁のホームページにおいて、高周波磁場を用いた顕微鏡のひとつに、「1−B−4、磁気的な力に関わるもの、1−B−4−a3、高周波磁気力顕微鏡(HF−MFM)」が挙げられている。この顕微鏡は、磁気媒体への書き込み・読み取りを行なう磁気ヘッドなど、マイクロメートル以下の空間分解能で検体の高速磁気応答の様子を画像化することができる。
また、同ホームページにおいて、高周波磁場を用いた顕微鏡のひとつに、「1−B−4、磁気的な力に関わるもの、1−B−4−c、磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)」が挙げられている。MRFMは、従来技術である磁気共鳴法を用いた画像処理装置:MRI(Magnetic Resonance Imaging)と試料表面の原子像を観測できる原子間力顕微鏡:AFM(Atomic Force Microscopy)の技術を融合させた、原子レベルの空間分解能が期待されるMRI装置である。その最終的な利用目標は、単一の遺伝子、たんぱく質、生体分子ほか、極微小試料に対し、その立体構造を画像化し、解析することを主とした定量分析と定義される。
高周波磁場発生器が用いられる走査型プローブ顕微鏡として、非特許文献2に述べられたMRFMを取り上げて説明する。
図1に構成要素を描いたブロック図を示す。MRFMは、試料001が載ったステージ002を走査して、各位置でカンチレバー003にかかる磁気共鳴力のデータを収集する。そして、磁気共鳴力マップを取得し、適切な画像処理を施して、試料のスピン密度分布の情報を画像化する。
カンチレバー003の先端に載った磁石は、試料001に磁場ならびに磁場勾配を提供する。この磁場を、高周波磁場発生器004が作る高周波磁場と区別するため、静磁場と呼ぶことにする。静磁場は、試料001に含まれるスピンを磁化する。そして、その磁化とカンチレバー003に付いた磁性探針との間で磁気力が発生する。その力は、カンチレバー003に作用する。
さらに、磁気共鳴原理に基づき、発生した力に対して、力の強度を変調させる。高周波発振器006で生成された高周波信号は、電力送信部005により増幅され、高周波磁場発生器004に送信される。高周波磁場発生器004は、入力された高周波電気信号を高周波磁場に変換して、試料001に照射する。
ここで、高周波発振器006のキャリア周波数を、試料001の局所部分にできた静磁場に対して、磁気共鳴条件を満たすように設定しておく。このとき、磁気共鳴条件が満たされた局所部分のスピン磁化は、飽和し減少する。
さらに、キャリア周波数を高周波周波数変調用信号発振器007によって変調させる。キャリア周波数が変動すると、磁気共鳴条件を満たしていた局所部分のスピン磁化は、飽和−非飽和の間を行き来して変調される。そして、試料001とカンチレバー003に付いた磁性探針との磁気力が定常的に変調される。その磁気力の変調量は、磁気共鳴力と呼ばれている。磁気共鳴力をFzとする。
高周波周波数変調用信号発振器007の周波数をカンチレバー003の機械的共振角周波数ω0に一致させると、カンチレバー003は振幅A=FzQ/kで共振する。ここで、Qはカンチレバー003の共振Q値、kはカンチレバー003のバネ定数である。
カンチレバー003が共振する振る舞いは、カンチレバー変位検出器008で検出される。検出された信号は、変調源である正弦波を参照信号としたロックイン増幅器009で検波され、カンチレバー003の振幅値Aが取得される。この読み取られたAから、Fz=Ak/Qとして、磁気共鳴力に換算される。
なお、MRFMにおける高周波磁場発生器004の役割は、試料001に高周波磁場を照射することにある。先に挙げた高周波磁気力顕微鏡(HF−MFM)における高周波磁場発生器の役割も、同様に試料に高周波磁場を照射することである。予め、カンチレバーに付いた磁性探針と、その近傍に位置する磁性試料(磁気ヘッドなど)表面の局所部分との間には、磁気力が働いている。
そこに、磁性試料に高周波磁場を照射する。さらに、高周波磁場にカンチレバーの周波数に一致した強度変調をかける。このとき、試料表面の局所部分における非線形的な高周波磁場の応答によって、その応答の大きさに比例して、カンチレバーに高周波強度変調周波数と一致した磁気力の変調が発生する。HF−MFMでは、この磁気力の変調量を取得して、画像化する。
特許庁ホームページ、HOME>資料室(その他参考情報)>標準技術集>表面構造の原子領域分析。
K. Wago, D. Botkin, C. S. Yannoni, D. Rugar, Appl. Phys. Lett., 72 (1998) 2757-2759.
本発明が解決しようとする問題点は、試料へ高周波磁場を照射するための高周波磁場発生器を、何処に、どのように設置するのか、ということである。
非特許文献2では、「End-coupled half wavelength microstripline resonator」が用いられている。この共振器は、W. J. WallaceとR. H. Silsbeeにより、Rev. Sci. Instrum., 62 (1991) 1754-1766において提案されたものである。
図2に「End-coupled half wavelength microstripline resonator」の例を示す。この例では、試料が載るステージ上に、マイクロ波の波長を考慮したマイクロストリップラインが設けられている。また、ステージに載ったマイクロストリップラインと送信器との結合は、静電容量を介した結合である。
文献2で採用されたマイクロストリップラインは、しかしながら、一重より多い巻き数が選べるコイルに比べると、発生する磁場強度が弱いことは否定できない。また、マイクロストリップライン上から離れると、磁場強度はさらに小さくなる。このため、高さの高い試料では、磁性探針近傍が近接する試料表面にまで高周波磁場が届かず、不向きである。そして、ライン上からの距離に大きく依存するので、均一度の高い高周波磁場は発生しがたい。
また、マイクロストリップラインと電力送信部との結合が、静電容量を介した結合であれば、ステージを走査する際に、その容量が変わりやすいことを指摘したい。静電容量は、2つの電極間の距離に反比例する。結合を強くするには、静電容量を大きくする必要があり、電極間距離を短くする必要がある。ところが、電極間距離の短い状況でステージが走査されれば、容量変化は大きくなる。そして、共振周波数を変化させてしまう。
なるほど、高周波磁場発生器と電力送信部との結合は、無線に執着する必要はない。ごく細い線で結合できれば、ステージ走査になんら影響を与えることはないと予想されるからである。HF−MFMの利用として、超小型磁気ヘッドと、ヨークに巻かれたコイルへの電力送信部との結合は、極細線での結合が許される例かも知れない。
また、図2(b)では、よく知られたトリプレート共振器を採用して静電容量部を基盤に固定した例を示す。トリプレート共振器については、例えば、Charles P. Poole著「Electron spin resonance」、Dover出版社、5節、Resonant cavity、に詳細が述べられている。このトリプレート共振器をステージ上に固定し、電力送信部からの伝送線を細い線で結合する。
しかしながら、大きな電力を高周波磁場発生器に伝えたい場合には、細い伝送線は不向きである。また、走査しなければならないステージに、力学的な負荷をかけたくない場合がある。それらの場合には、電力送信部からステージ上の高周波磁場発生器へ無線で電力を伝える必要がある。
従来技術とは異なり、非特許文献1の「1−B−4 磁気的な力に関わるもの、1−B−4−c 磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)」には、高周波磁場発生器をステージに置かないデザインが提案されている。この提案は、試料をカンチレバーに、磁石をステージに載せるデザインである。
通常、カンチレバーは走査されず固定されるため、カンチレバーに載った試料に高周波磁場を照射する目的を持った高周波磁場発生器は、磁石が載ったステージに設置する必要はない。そもそも、MRFMやHF−MFMにおいて、磁性探針が力を検出する試料の対象は、探針近傍に限られる。
そのような現実的な状況を想定すれば、たとえ磁性探針がカンチレバーに装着され、ステージに試料が載せられているデザインであっても、位置が固定された磁性探針近傍に高周波磁場発生器を置いておけば良いということも許される。この場合は、電力送信部が高周波磁場発生器へ伝える手段としては、堅くあるいは太い導線を用いることができ、電力送信部と高周波磁場発生器との電気的な結合の問題は発生しない。
しかしながら、例えば、微小コイルなどサイズの小さな高周波磁場発生器を用意して、探針近傍の試料の局所部にのみ高周波磁場を照射しようと考えると、概して、その高周波磁場発生器を磁性探針近傍に精度良く設置するための調整機構が必要となる。さらに、低温装置や高温装置などにおいては、高周波磁場発生器の固定具が冷却収縮や熱膨張によるドリフトが大きな問題となってしまう。
一方、サイズの大きな高周波磁場発生装置を用意して、試料全体に高周波磁場を照射しようと考える。確かに小さな高周波磁場発生器においては必要になるであろう微調整機構は必要ない。しかしながら、そのような大きな高周波磁場発生器を設置できる場所は、制限されることに気づく。
図3に、試料001と、試料001を載せたステージ002、試料001の表面近傍に探針が近接されたカンチレバー003を示す。この図の配置に、さらに高周波磁場発生器を設置するなら、カンチレバー003と機械的に干渉しないように設置しなければならない。そうすると、図3の点線で示す領域は、設置場所として好ましくない。
探針近傍の試料表面に高周波磁場を照射するなら、遠くからサイズの大きな高周波磁場発生器を用いて、遠距離で減衰することを見込んで、大きなパワーを発振器に送信する、といった使い方をしなければならない。
上記で指摘した課題をまとめると、以下のようになる。
(1)ステージに載った試料に、強くて一様な高周波磁場を与えなければならない。
(2)高周波磁場発生器と電力送信部との結合は、電力送信部に微調整機構を備えていなくても、また、ステージが走査されても、影響を受けないものでなければならない。
(3)高周波磁場発生器と電力送信部との結合は、走査しなければならないステージに対して、力学的な負荷を与えないものでなければならない。
本発明の目的は、上述した点に鑑み、ステージに共振回路を含めた小型高周波磁場発生器を備えること、ならびに、電力送信部から高周波磁場発生器への送信を無線の結合で行なうことにある。
この目的を達成するため、本発明にかかる走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置は、ステージ上の試料に対して高周波コイルより高周波磁場を照射した状態で、カンチレバーに装着された磁性探針を試料表面に近づけて、該試料表面に対して走査させながら磁性探針が試料表面から受ける力をカンチレバーの変位により測定する走査型プローブ顕微鏡のための高周波磁場発生装置であって、
該高周波磁場発生装置は高周波磁場を発生する少なくとも1つの高周波コイルと該高周波コイルに高周波電力を供給するための結合コイルを備え、
該高周波コイルは試料が載る前記ステージ側に固定されるとともに、
前記結合コイルは、前記カンチレバーを保持するホルダー側に固定されて、
前記カンチレバーが該ホルダーとともに前記試料表面に近づけられた際には、該結合コイルもまた、同時に前記高周波コイルに近づいて、両コイル間が電磁気的に結合するように構成されていることを特徴としている。
また、前記高周波コイルは、前記ステージ側に固定されたコンデンサーとともにタンク回路の閉回路を構成していることを特徴としている。
また、前記高周波コイルは、前記ステージ面に平行な方向に高周波磁場を発生する鞍型コイルであることを特徴としている。
また、前記高周波コイルは、前記ステージ面に平行な方向に高周波磁場を発生するヘルムホルツコイルであることを特徴としている。
また、前記高周波コイルは、前記ステージ面に垂直な方向に高周波磁場を発生するソレノイドコイルであることを特徴としている。
また、前記高周波コイルは、前記ステージ面に垂直な方向に高周波磁場を発生する平面コイルであることを特徴としている。
本発明の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置によれば、該高周波磁場発生装置は高周波磁場を発生する少なくとも1つの高周波コイルと該高周波コイルに高周波電力を供給するための結合コイルを備え、
該高周波コイルは試料が載る前記ステージ側に固定されるとともに、
前記結合コイルは、前記カンチレバーを保持するホルダー側に固定されて、
前記カンチレバーが該ホルダーとともに前記試料表面に近づけられた際には、該結合コイルもまた、同時に前記高周波コイルに近づいて、両コイル間が電磁気的に結合するように構成されているので、
簡単な構成で、効率的に稼動する走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置を提供することが可能になった。
従来の磁気共鳴力顕微鏡の一例を示す図である。 従来の高周波磁場発生器の一例を示す図である。 従来のカンチレバー近傍の一例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の一実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の一実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の一実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の別の実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の別の実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の別の実施例を示す図である。 本発明にかかる磁気共鳴力顕微鏡主要部の別の実施例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。走査型プローブ顕微鏡に導入できる高周波磁場発生器の等価回路を図4に示す。高周波磁場発生器004は、高周波コイル、コンデンサー、結合コイルから成る。結合コイルは、電力送信部005と電気的に結合されている。また、電力送信部005は、高周波発振器006から入力された高周波信号を増幅する役割を担う。
高周波コイルと、チップコンデンサーなど小型コンデンサーとから成るタンク回路を、ステージ上に設置する、もしくはステージ内に組み込む。タンク回路に無線で電力を送信する結合コイルを高周波コイルに近づける。そして、電力送信部005と結合コイルを導線でつなげる。これらによって、ステージ走査に影響を受けない高周波磁場発生器となる。
高周波コイルに伝達される電圧は、高周波コイルと結合コイルとの相互インダクタンスをM、結合コイルに流れる電流をIとすると、−M・dI/dtで表わされる。この電圧がタンク回路に供給されると、式(1)で与えられる高周波周波数fでタンク回路は共振する。
Figure 2011163999
ここで、コンデンサーの静電容量をCとした。タンク回路が小型になればなるほど、経路による損失が少なくなり、Q値の高い共振回路となり得る。
また、結合コイルについて半径rc、巻き数Nc、高周波コイルについて半径rh、巻き数Nh、結合コイルと高周波コイルの距離をdとすると、相互インダクタンスMは式(2)で与えられる。
Figure 2011163999
ここで、μ0は、真空透磁率である。rc>>dに設定することは、たとえ結合コイルの微調整機構がなくても容易にできる。この場合、相互インダクタンスMは距離dに依存しにくくなる。よって、ステージが移動して、相対的にdが変化しても、タンク回路への悪影響はないと言える。
この状況は、電極間の静電容量(=ε0S/d、ε0:真空透磁率、S:電極面積、d:電極間隔)が、電極間の距離dに反比例する状況と対照的である。電力送信部と高周波磁場発生器の結合を大きくするなら、静電容量を大きくしなければならない。静電容量を大きくするためには、dを小さくしなければならない。しかしながら、dが小さい状況において、ステージが移動して相対的にdが変化すると、静電容量変化が大きく、共振回路に大きな影響が表われてしまう。
以下に示す実施例では、図4の点線で囲んだ部分、結合コイル、ステージに載った高周波コイル、コンデンサーのデザインや設置方法を具体的に述べる。
図4の点線で囲んだ部分、結合コイル、ステージに載った高周波コイル、コンデンサーのデザインと設置方法を図5と図6に示す。
結合コイル101は、ステージ002上に直接設置せず、ステージ002の走査に伴って移動しない部分に固定する。例えば、図6(a)では、カンチレバー003を固定するホルダーに設置している。ただし、結合コイル101の位置が粗動でき、図6(b)のように試料表面001がカンチレバー003に近接した際に、結合コイル101がステージ上の高周波コイル102の近くに来るよう、予め調整されていなければならない。調整の精度は、式(2)においてrc>>dを満たす程度に距離dを短くできれば十分である。
高周波コイル102とコンデンサー103とは、ステージ002に固定されている。高周波コイル102には、よく知られた鞍型コイルを採用している。鞍型コイルは、導線に電流を流した際に、図5の矢印で示す磁場Hが、コイル内に一様に発生することで知られる。鞍型コイルについては、例えば、巨瀬勝美著『NMRイメージング』、共立出版刊、5.2.3節、RFコイル、に解説されている。
コンデンサー103は、式(1)において希望の高周波周波数を持つような静電容量Cを担っているとする。ステージ002に載せるため、チップコンデンサーなど小型のものに制約される。チップトリミングコンデンサーなど容量を可変できるものを選択できると、高周波周波数の調整が容易になる。
図6(a)から(b)への動作は、ステージ002に試料001を載せ、試料表面がカンチレバー003の先端に装着した探針に近づくようにアプローチしている様子を示す。このアプローチが準備できれば、その後、試料表面と探針との力マップ、あるいは力一定となるような地形図の測定へと進む。
力マップや地形図の測定ができれば、図6(b)から(a)への動作によって、試料001をカンチレバー003から引き離し、ステージ002を取り出し、試料を載せ替えて、次の測定へと進む。
これらの繰り返し作業において、最初に一度だけ、結合コイル101の位置調整を予め終えておく必要がある。位置調整の際の確認事項は、以下の通りである。
(1)図6(b)において、ステージ002を全走査範囲において走査させ、結合コイル101がステージ002や高周波コイル102に機械的に接触しない。
(2)図6(b)において、結合コイル101と高周波コイル102の電磁気的な結合が保たれている。電磁気的な結合の不可の判断は、例えば、結合コイル101の入出力端子をネットワークアナライザーに接続し、所望の高周波周波数で、所望の入出力インピーダンスに合致していることを確認すれば良い。
実施例1の構成では、高周波コイル102として鞍型コイルを取り上げた。このコイルは、ステージ002の平面に平行な方向に高周波磁場を照射することができる。この高周波コイル102を、図7の高周波コイル202として指し示すヘルムホルツコイルに置き換えても、同様の磁場を照射することができる。
ヘルムホルツコイルは、2つのコイルを準備して、電気的に直列につなぎ、機械的にはそれらのコイルの間隔を両者のコイルの直径に一致させて配置することで作製できる。このヘルムホルツコイルを用いれば、2つのコイルの中心付近に、一様な高周波磁場が得られることは広く知られている。
この高周波コイル202とコンデンサー203をステージ002に固定し、結合コイル201を高周波コイル202の近くに設置しておく。その他の構成や動作は、実施例1と同じである。
実施例1および実施例2では、高周波磁場をステージ平面に平行な方向に照射するための構成を取り上げた。ステージの平面に垂直な方向に高周波磁場を照射するには、図8の高周波コイル302として指し示すソレノイドコイルを用いれば良い。
この高周波コイル302とコンデンサー303をステージ002に固定し、結合コイル301を高周波コイル302の近くに設置しておく。図8では、結合コイル301を高周波コイル302の外周に位置づけている。
図9(a)から(b)への動作は、ステージ002に試料001を載せ、試料表面がカンチレバー003の先端に装着した探針に近づくようにアプローチしている様子を示す。このアプローチが準備できれば、その後、試料表面と探針との力マップ、あるいは力一定となるような地形図の測定へと進む。
力マップや地形図の測定ができれば、図9(b)から(a)への動作によって、試料001をカンチレバー003から引き離し、ステージ002を取り出し、試料を載せ替えて、次の測定へと進む。
実施例1から3の構成では、高周波コイル102、202、302として、導線で作ったコイルを取り上げた。この導線を用いた立体的なコイルを、銅箔を用いた平面コイルに取り替えて、ステージ上にエッチング技術などを用いて備えても構わない。
平面コイルの製造方法は、例えば、白江公輔、荒井賢一、島田寛編著『マイクロ磁気デバイスのすべて』、工業調査会刊、4.2.1節、平面コイル、に詳しく解説されている。図10には、高周波コイル402として指し示すらせん型の平面コイルの例をイラストとして描いた。
この高周波コイル402とコンデンサー403をステージに固定し、結合コイル401を高周波コイル402の近くに設置しておく。その他の構成や動作は、実施例1と同じである。
磁気共鳴力顕微鏡に広く利用できる。
001:試料、002:ステージ、003:磁性探針付きカンチレバー、004:高周波磁場発生器、005:電力送信部、006:高周波発振器、007:高周波周波数変調用信号発振器、008:カンチレバー変位検出器、009:ロックイン増幅器、101:結合コイル、102:高周波コイル、103:コンデンサー、201:結合コイル、202:高周波コイル、203:コンデンサー、301:結合コイル、302:高周波コイル、303:コンデンサー、401:結合コイル、402:高周波コイル、403:コンデンサー

Claims (6)

  1. ステージ上の試料に対して高周波コイルより高周波磁場を照射した状態で、カンチレバーに装着された磁性探針を試料表面に近づけて、該試料表面に対して走査させながら磁性探針が試料表面から受ける力をカンチレバーの変位により測定する走査型プローブ顕微鏡のための高周波磁場発生装置であって、
    該高周波磁場発生装置は高周波磁場を発生する少なくとも1つの高周波コイルと該高周波コイルに高周波電力を供給するための結合コイルを備え、
    該高周波コイルは試料が載る前記ステージ側に固定されるとともに、
    前記結合コイルは、前記カンチレバーを保持するホルダー側に固定されて、
    前記カンチレバーが該ホルダーとともに前記試料表面に近づけられた際には、該結合コイルもまた、同時に前記高周波コイルに近づいて、両コイル間が電磁気的に結合するように構成されていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
  2. 前記高周波コイルは、前記ステージ側に固定されたコンデンサーとともにタンク回路の閉回路を構成していることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
  3. 前記高周波コイルは、前記ステージ面に平行な方向に高周波磁場を発生する鞍型コイルであることを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
  4. 前記高周波コイルは、前記ステージ面に平行な方向に高周波磁場を発生するヘルムホルツコイルであることを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
  5. 前記高周波コイルは、前記ステージ面に垂直な方向に高周波磁場を発生するソレノイドコイルであることを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
  6. 前記高周波コイルは、前記ステージ面に垂直な方向に高周波磁場を発生する平面コイルであることを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡用高周波磁場発生装置。
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