近年、電気回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途で、透明導電性材料の需要が急速に伸びてきている。中でも抵抗膜式タッチパネル等での需要が以前にも増して多くなってきている。
透明導電性材料の製造方法としては、銀、銅、ニッケル、インジウム等の導電性金属をスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法によって透明樹脂フィルム上に金属薄膜を形成させる方法が一般的に用いられている。透明導電性材料の需要が拡大する中にあって、インジウム等の鉱物資源の枯渇問題等もあり、低コストで生産性が高い製造方法が求められている。
透明導電性材料に求められる性能として導電性と光透過率があるが、導電性を高くするにはある程度の膜厚の金属薄膜が必要であり、それによって透過率が低下するという問題がある。従って、導電性が高くかつ光透過率が高い透明導電性フィルムが求められる。このような透明導電性材料としては、光透過性支持体上に、金属細線をメッシュパターン状に形成し、金属細線の線幅やピッチ、さらにはパターン形状等を調整することにより、高い光線透過率を維持し、高い導電性を付与した導電性材料が知られている。
金属細線メッシュパターンの形状に関しては、各種パターンが紹介されている。特開平10−41682号公報(特許文献1)では、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形等の(正)n角形、円、だ円、星形等を組み合わせた模様でありこれらの単位の単独の繰り返しあるいは2種類以上の組み合わせパターンが開示されている。国際公開第2006/040989号パンフレット(特許文献2)では不規則な網目構造の導電部が存在するパターンが開示されている。特開2002−223095号公報(特許文献3)では、ストライプ状、煉瓦積み模様状のパターンが開示されている。これらのパターンの中でも、正方形、菱形及び正六角形のパターンが多用されている。また、金属メッシュパターンの線幅については、導電性や光透過性等を考慮して、1〜50μm程度の金属細線が用いられる。ピッチについては同じく100〜1000μm程度に設定される。金属メッシュパターンの線幅、ピッチについては、各々の発明に対する好ましい範囲が、多くの公開特許公報等に記載されている。
光透過性支持体上にメッシュパターン状の金属細線を有する透明導電性材料を製造する方法としては例えば、1)銅、金、ITO、酸化スズ等の導電性材料で被覆された絶縁性基板に、2)感光性樹脂等のフォトレジスト剤を塗りつけ、3)所望のパターンのマスクをかけて紫外線等を照射して、4)フォトレジスト剤を硬化させ、5)未硬化部分を取り除いた後、6)化学エッチング等によって不要な導電性材料部分を除去し電気回路を形成する方法(サブトラクティブ法)や1)絶縁性基板に無電解めっき触媒を付与し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光及び現像し、3)無電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジストを除去する方法(フルアディティブ法)、あるいは1)絶縁性基板に無電解めっき触媒を付与し、無電解めっきを施し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光及び現像し、3)電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジスト等を剥離にする方法(セミアディティブ法)等も知られている。
また、簡易な工程で電気回路を製造する方法としては金属ペーストを基板上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、焼結等させることで電気回路を形成する方法や無電解めっき触媒を有するペーストを基板上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、無電解めっきを施し電気回路を形成する方法が知られている。
さらに均一で高精細なパターンを簡易に、かつ安定に作るという観点において、近年導電性材料前駆体としてハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩写真感光材料を使用する方法が提案されている。例えば国際公開第2001/51276号パンフレット(特許文献4)、特開2004−221564号公報(特許文献5)では銀塩写真感光材料を、1)像露光、現像処理した後、2)金属めっき処理を施すことで導電性材料を製造する方法の提案がなされている。同じく銀塩感光材料を使う方法として銀塩拡散転写法を用いる方法も提案されており、例えば特開2003−77350号公報(特許文献6)等がある。これらの方法で得られた導電性材料は銀塩写真法を用いているため、高精細な画線を描くことは容易であり、安定性も高く、工程も簡易で、非常に良好な特性を示す。
このような製造方法で作製した金属メッシュパターンは比較的安価に生産することができるが、透明導電性材料としては導電性が高く表面抵抗率が低いため、例えばアナログ方式の抵抗膜式タッチパネル用途等に適用するために表面抵抗率を合わせ込むことは困難である。アナログ方式の抵抗膜式タッチパネルでは、細かい座標位置を認識する必要があるため、電極に使用する透明導電性材料に、ある程度の大きさの抵抗が必要である。
金属メッシュパターンを持つ透明導電性材料の表面抵抗率を高くするには、メッシュパターンのピッチを広くする方法がある。メッシュパターンのピッチを広げると、透明導電性材料の表面抵抗率は高くなり、光透過率も向上するが、メッシュパターン金属細線の存在が認識できるようになるという問題がある。通常、タッチパネルは、LCD等のディスプレイ上に設置されるので、メッシュパターン金属細線の視認性が上がってしまうと、ディスプレイに表示された画像上に金属細線が目立ち、美観を損ねるため好ましくない。
表面抵抗率を高くする他の方法として、メッシュパターンの線幅を細くする方法や、金属の膜厚を薄くする方法がある。例えばフォトレジスト剤を使用するサブトラクティブ法や、セミアディティブ法等では、露光用マスクの線幅を調整することや化学エッチングの強さを調整することにより、表面抵抗率を高くすることができる。スクリーン印刷法やインクジェット印刷法を用いる方法では、印刷板の線幅の調整やインクの吐出量の調整で金属ペースト量を調整し表面抵抗率を高くすることができる。めっき触媒を印刷する場合は、無電解めっき量を調整することにより、表面抵抗率を高くすることができる。銀塩写真感光材料に金属めっきを施す方法では、金属めっき量を調整することにより、表面抵抗率を高くすることができる。さらに銀塩拡散転写法を用いる方法では、マスクの線幅を調整することや露光時間を調整することにより、表面抵抗率を高くすることができる。
しかし、上記のような線幅を細くすることや金属の膜厚を薄くすることで表面抵抗率を高くしようとすると、僅かな露光量のフレ、金属ペースト量のフレ、金属めっき量のフレ等により部分的な表面抵抗率の差(変化率)が生じることがあり、得られる透明導電性材料において、材料内での表面抵抗率が不均一になることが多かった。このような導電性材料を例えば抵抗膜式タッチパネル用電極等へ適用すると、正確な座標位置が認識できなくなる原因となり好ましくない。このため例えばアナログ方式の抵抗膜式タッチパネル用の電極材として好適な、表面抵抗率が高く、かつ均一であり、メッシュ細線の視認性が低い透明導電性材料が求められていた。
本発明の透明導電性材料はその金属細線パターンに特徴があり、表面抵抗率に寄与する金属細線からなるメッシュパターンと該金属細線よりも大きい電気抵抗を有する実質的に表面抵抗率に寄与しない細線とでメッシュパターンを構成する。以下、表面抵抗率に寄与する金属細線からなるメッシュパターンを高導電線、実質的に表面抵抗率に寄与しない細線を低導電線とする。
本発明の透明導電性材料のメッシュパターンは、例えば、図1及び図5に示したようなメッシュパターンを有するものである。図1において、xはメッシュパターンのピッチであり、aは高導電線を形成する金属細線、bは低導電線である。bで形成されるパターンの表面抵抗率は、aで形成される高導電線の表面抵抗率よりも高いので、本発明の透明導電性材料の表面抵抗率は主に高導電線により決定され、低導電線は実質的に表面抵抗率には寄与しない。ここで実質的にとは、高導電線と低導電線とで形成された本発明のメッシュパターン(図1に相当する)の表面抵抗率が、高導電線のみで構成されるメッシュパターン(図2に相当する)の表面抵抗率の値の60〜100%であることを意味する。例えば、高導電線の表面抵抗率が500Ω/□の場合、本発明のメッシュパターンの表面抵抗率は300〜500Ω/□であることが好ましい。
本発明において、高導電線を形成する金属細線aの単位長さあたりの電気抵抗は5kΩ/cm〜500kΩ/cmが好ましい。低導電線である細線bはaの単位長さあたりの抵抗よりも大きい値を示すものであり、aの電気抵抗の5倍以上が好ましく、さらに好ましくは10倍以上である。
本発明において、高導電線はaで構成されるある一定のピッチを持ったメッシュパターンであり、例えば300μmピッチの高導電線であれば、表面抵抗率が1〜300Ω/□となることが好ましい。本発明においては、金属細線メッシュパターンのピッチを調整することで、100〜1000Ω/□の表面抵抗率を有する導電性材料が得られる。
本発明において、高導電線のピッチは、200μm〜5000μmが好ましい。高導電線のピッチを広げることで、透明導電性材料の表面抵抗率の値を大きくすることができるが、ピッチが広くなることで、金属細線パターンの視認性が上がる。これを避けるために、高導電線に低導電線(図3に相当する)を重ね合わせる。
本発明の透明導電性材料のメッシュパターンの一例である図1について詳しく説明する。図1のメッシュパターンは、図2の高導電線のピッチ間に図3の低導電線を描画したことにより、図2の高導電線のピッチに対して1/2のピッチを持つメッシュパターンである。図2のaは高導電線を形成する金属細線であり、ピッチyは図1のピッチxの2倍、2xである。図3のbは低導電線であり、該低導電線のピッチは図2の高導電線のピッチと同じくyである。図2のメッシュパターンは、図4で示したピッチxの高導電線よりも、ピッチを2倍にしているため高い表面抵抗率を得られるが、ピッチを広げることにより金属細線の視認性が上がる傾向がある。これに対して、本発明の図1のメッシュパターンは概ね図2のメッシュパターンと同等の表面抵抗率が得られ、かつ、図2のメッシュパターンのように視認性が上がることはない。
同じく本発明の透明導電性材料のメッシュパターンの一例である図5について詳しく説明する。図5の金属メッシュパターンは、図6及び図7のメッシュパターンから構成される。図6のメッシュパターンのaは高導電線を形成する金属細線であり、ピッチzは図5のピッチxの3倍、3xである。図7のメッシュパターンのbは低導電線であり、ピッチはxと2xが交互に並んだ形となる。図6の高導電線は、図8で示したピッチxの高導電線よりも、高い表面抵抗率にすることができる。図6の高導電線は、図8の高導電線に対してピッチを3倍にしているので、高い表面抵抗率が得られるが、金属細線の視認性は上がる傾向にある。そこで、図7の低導電線を組み合わせることで、金属細線の視認性を上げることなく、高い表面抵抗率を得ることができる。
本発明の透明導電性材料のメッシュパターンにおいて、高導電線を形成する金属細線と低導電線の配列は任意に選択することができる。例えば、図1は高導電線を形成する金属細線1、低導電線1の割合で交互に配列しており、図5は高導電線を形成する金属細線1、低導電線2の割合で配列している。他に高導電線1に対して低導電線3、高導電線1に対して低導電線4、高導電線2に対して低導電線1、高導電線2に対して低導電線3、高導電線2に対して低導電線5、高導電線3に対して低導電線1、高導電線3に対して低導電線2、高導電線3に対して低導電線4、高導電線3に対して低導電線5等、所望の表面抵抗率に合わせて、高導電線、低導電線を任意に組み合わせることができる。好ましい組み合わせは、高導電線を形成する金属細線1に対して低導電線の割合が1以上である組み合わせである。
本発明の透明導電性材料のメッシュパターンのピッチ(高導電線を形成する金属細線からなるメッシュパターン及び低導電線を含む)は50〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。ピッチが密になりすぎると透明導電性材料として、光線透過率が低下する場合がある。ピッチが粗になりすぎると金属細線を視認できるようになり、透明導電性材料としての美観を損ねる場合がある。
本発明の透明導電性材料の高導電線を形成する金属細線及び低導電線の線幅は任意に決めることができるが、1〜50μmが好ましく、5〜30μmがさらに好ましい。線幅が太くなると光線透過率が低下する、金属細線の視認性が高まる等、美観を損ねてしまう場合がある。
本発明の透明導電性材料の高導電線を形成する金属細線及び低導電線の膜厚は0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。
本発明において、低導電線の作製方法として、線幅の調整、膜厚の調整等を挙げることができる。また、印刷により低導電線を設ける場合には、ペースト中の金属比率を下げたり、あるいは金属に変わってカーボンブラック等の非金属含有ペーストを用いて印刷することもできる。低導電線の線幅、膜厚は高導電線を形成する金属細線と比較して、線幅で50〜100%、膜厚で0.01〜100%とすることが目安である。これ以下になると透明導電性材料を目視したときの違和感のため美観を損ねてしまう場合がある。なお、低導電線は絶縁体であっても良い。
本発明の透明導電性材料の細線メッシュパターンの形状は正方形、菱形、(正)六角形等が好ましい。
本発明に用いる透明導電性材料の光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体を用いる。ここで光透過性とは全光線透過率が80%以上であることを意味する。これらは本発明の目的を妨げない程度に着色していても良く、さらにこれら各種光透過性支持体を単体で使うこともできるが、これらを組み合わせた積層体であっても良い。光透過性支持体の厚みは5〜300μmが好ましい。
本発明の導電性材料の細線パターンに使用される金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等の金属の内の1種または2種以上の金属、あるいは2種以上を組み合わせた合金を使用することができる。
本発明の透明導電性材料において、表面抵抗率は任意に設定できるが、例えばアナログ方式の抵抗膜式タッチパネル用途としては、100〜1000Ω/□が好ましい。
本発明の透明導電性材料において、金属細線パターンを支持体上に形成させる方法としては、サブトラクティブ法、フルアディティブ法、セミアディティブ法等フォトレジスト剤を使用し画像形成する方法、金属ペーストを支持体上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、焼結等させる方法、無電解めっき触媒を有するペーストを基板上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、無電解めっきを施す方法、銀塩写真感光材料により得られた画像にめっきを施す方法、銀塩拡散転写法を用いる方法等がある。
その中でも、本発明の透明導電性材料の特徴である、高導電線及び低導電線でメッシュパターンを形成するには、均一で高精細なパターンを簡易にかつ安定に作ることができるという観点から、銀塩拡散転写法を使用する方法が好ましい。以下に本発明の透明導電性材料の作製に好ましく用いられる銀塩拡散転写法による金属細線パターンの形成方法について説明する。
銀塩拡散転写法による透明導電性材料の製造方法は、透明導電性材料前駆体を像様に露光後、銀塩拡散転写現像により金属銀を析出させる。導電性材料前駆体は支持体上に少なくとも物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層を支持体に近い方からこの順で有する。さらには、非感光性層を支持体から最も遠い最外層及びまたは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間の中間層、あるいは支持体と物理現像核層との間の下引き層として有していても良い。なお、透明導電性材料前駆体が有する支持体は前述の透明導電性材料の光透過性支持体と同義であり、また、この前駆体が有する支持体は本発明の光透過性支持体に相当する。
導電性材料前駆体の物理現像核層が含有する物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、コーティング法または浸漬処理法によって、前記下引き層を形成させた支持体上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1m2あたり0.1〜10mg程度が適当である。
導電性材料前駆体に用いる物理現像核層は、水溶性高分子化合物を含有することもできる。水溶性高分子化合物を用いる場合の添加量は、物理現像核に対して0〜500質量%程度が好ましい。水溶性高分子化合物としては、アラビアゴム、セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。
導電性材料前駆体の物理現像核層は架橋剤を含有することもできる。該架橋剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の1種もしくは2種以上を用いることができる。架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、物理現像核層に含まれる水溶性高分子に対して、0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
物理現像核層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング等の塗布方式で塗布することができる。
導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術はそのまま用いることもできる。なお、本発明の副露光により前述の優れた効果が得られるハロゲン化銀乳剤はネガタイプのハロゲン化銀乳剤である。
ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)で記載されているような公知の手法を用いることができる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明の導電性材料前駆体においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩等VIII族金属元素の塩、もしくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法等、当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明に用いる導電性材料前駆体においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる。
また、ハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率は、ハロゲン化銀(銀換算)とゼラチンとの質量比(銀/ゼラチン)が1.2以上、より好ましくは1.5以上である。また、ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀量は銀換算で2〜10g/m2であることが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の間やハロゲン化銀乳剤層の上の層に非感光性層を設けることができる。これらの非感光性層は、水溶性高分子化合物を主たるバインダーとする層である。ここでいう水溶性高分子化合物とは、現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層まで現像液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。
具体的には、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等を用いることができる。特に好ましい水溶性高分子化合物は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。本発明の効果を十分に得るためには、この非感光性層のバインダー量としては、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20〜100質量%の範囲が好ましく、特に30〜80質量%が好ましい。
これら非感光性層には、必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることができる。また、処理後のハロゲン化銀乳剤層の剥離を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、好ましくは上記した下引き層あるいは物理現像核層、あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのが良い。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、例えばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1m2あたり約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における吸光度として0.5以上である。
上記導電性材料前駆体を用いて、本発明の導電性材料を製造するための方法について説明する。導電性材料前駆体から本発明の透明導電性材料の特徴である高導電線及び低導電線で描画されたメッシュパターンを形成する。上述した導電性材料前駆体を像様(高導電線及び低導電線となる異なる線幅及び膜厚を持つメッシュパターン)に露光後、拡散転写現像液で処理し、その後物理現像核層上の不要な各層を水洗等で除去して本発明のメッシュパターンを得る。
導電性材料前駆体の露光について説明する。高導電線及び低導電線を異なる線幅で形成する場合、導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は像様に露光されるが、露光方法として、高導電線及び低導電線となる異なる線幅のあるメッシュパターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて高導電線及び低導電線となる異なる線幅のあるメッシュパターンを走査露光する方法等がある。
また、露光量の差で高導電線部と低導電線部の線幅及び膜厚を変化させる方法では、高導電線部と低導電線部の透過濃度の異なる透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法や、位置合わせを確実に行った上で、2種類の透過原稿を用いて、ハロゲン化銀乳剤層を密着してそれぞれ露光を行う方法や、あるいは各種レーザー光を用いて高導電線部及び低導電線部に異なる光量を照射し、異なる線幅及び膜厚のあるメッシュパターンを走査露光する方法等がある。
上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることができる。
露光量の差で高導電線及び低導電線を形成する方法において、以下に2種類の透過原稿を使用する方法を説明する。図1のように高導電線を形成する金属細線1、低導電線1の割合で交互に配列するメッシュパターンを作製する場合、図2及び図4のメッシュパターンを有する2種類の透過原稿マスクを使用することにより、露光部(現像処理後光透過部)、未露光部(現像処理後高導電線部)及び少量露光部(現像処理後低導電線部)を持つ導電性材料前駆体を作製する。
これらのマスクの細線が重なる(図2の細線と図4の細線の一つ飛ばしの細線とが重なる)ようにマスクを重ね合わせ、位置合わせに用いるピンバー用の穴を空ける。このとき予めマスクの四隅に位置合わせ用のトンボ等の印を入れておくと重ね合わせが容易に行うことができる。使用する導電性材料前駆体にも同様の穴を空ける。まず、露光面上にピンバーを設置する。図4のメッシュパターンを有するマスクと導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の膜面同士が密着するようにピンバーで固定し露光する(以下、第1露光)。次に図2のメッシュパターンを有するマスクと第1露光を施した導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の膜面同士が密着するようにピンバーで固定し露光する(以下、第2露光)。第1露光により高導電線を、第2露光で低導電線を形成する。第2露光の光量は、拡散転写現像液で処理したとき、露光された箇所のハロゲン化銀の一部が拡散転写により、物理現像核層上に銀画像を形成する程度の露光量である。
導電性材料前駆体の銀塩拡散転写現像液による現像処理について説明する。上記のように像様に露光された導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は、銀塩拡散転写現像液で処理することにより物理現像が起こり、現像可能なだけの潜像核を有さないハロゲン化銀が可溶性銀錯塩形成剤により溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出し、例えばメッシュパターンの銀薄膜を得ることができる。一方、露光により現像可能なだけの潜像核を有するハロゲン化銀はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、不要になったハロゲン化銀乳剤層(黒化銀もこれに含まれる)及び中間層、保護層等は除去されて、銀薄膜が表面に露出する。
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
導電性材料前駆体の現像処理において使用する、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、米国特許第5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1Lあたり0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1Lあたり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
現像液のpHは10以上が好ましく、さらに11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤、リン酸、炭酸等の緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
また、上記現像処理及び水洗処理することで得られた導電性材料の銀画像は後処理を施すこともできる。後処理液としては例えば還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物等の水溶液が一例としてあげられる。このような後処理液により50〜70℃、さらに好ましくは60〜70℃で10秒以上、好ましくは30秒〜3分処理となるようにすれば、導電性は向上するが、高温高湿下でもその表面抵抗率が変動しなくなるので好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
(実施例1)
本発明のメッシュパターンを作製するための30cm四方の露光用マスク(透過原稿)1〜10を用意した。用意した露光用マスク(透過原稿)1〜10を表1に示す。
透過原稿1はピッチ300μm、線幅18μmのメッシュパターン、透過原稿2、3は透過原稿1に対してピッチを2倍、3倍に広げたものである。透過原稿4、5、6は、それぞれピッチ300μmで線幅12μm、14μm及び16μmのメッシュパターンである。透過原稿7は同じく300μmピッチのメッシュパターンであるが、18μmと12μmを交互に配置した図1に示したような透過原稿である。透過原稿8は同じく18μmと14μmを交互に配置した図1に示したような透過原稿である。透過原稿9は同じく18μmと16μmを交互に配置した図1に示したような透過原稿である。透過原稿10も同じく300μmピッチのメッシュパターンであるが、18μm、12μm、12μmを繰り返す図5に示したような透過原稿である。
表1に示した原稿とは別に、1cm間隔の左右のベタ部を表2に示した線幅でつないだ透過原稿をそれぞれ作製した。
次に導電性材料前駆体を作製した。光透過性支持体として全光線透過率が90%、厚み100μmの塩化ビニリデンを含有する層により易接着加工が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンが50mg/m2の下引き層を塗布し乾燥した。
次に、硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核液組成/1m2あたり>
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%のグルタルアルデヒド溶液 0.08mL
この物理現像核液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/m2になるように、下引き層の上に塗布し、乾燥した。
続いて、上記物理現像核層を塗布した側と反対側の面に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び最外層を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
<中間層組成/1m2あたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1.0g
ハロゲン化銀乳剤 4.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3.0mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<最外層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た導電性材料前駆体を、水銀灯を光源とする密着プリンターで先に作製した透過原稿s1〜s4を密着させて露光した。露光量は透明導電性材料の細線幅が透過原稿の細線幅と同じになる露光量で行った。
その後、露光した導電性材料前駆体を下記現像液中に20℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、最外層及び裏塗り層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。露光したサンプルからは透過原稿と同様な銀薄膜が形成された透明導電性材料を得た。得られた細線画像の細線幅を光学顕微鏡で確認したところ、露光用マスクの細線幅と同じであった。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mLとする。
pH=12.2に調整する。
上記のようにして得られたメッシュパターン状銀薄膜が形成された透明導電性材料の後処理として、15質量%リン酸1ナトリウム水溶液を用いて60℃で60秒処理を実施した。
得られた画像の電気抵抗を市販のテスターを用いて測定した。これらの結果を表3に示す。
上記方法と同様に透過原稿1〜10を用いて、導電性材料を作製した。得られたメッシュパターン画像の細線幅、ピッチを光学顕微鏡で確認したところ、露光用マスクの細線幅、ピッチと同じであった。また共焦点顕微鏡でメッシュパターンの細線膜厚を測定し、全試料ともほぼ同一であることを確認した。
次に、透過原稿1〜10から得られたメッシュパターン状銀薄膜が形成された30cm四方の導電性材料について下記の評価を実施した。
(1)表面抵抗率の平均値及び面内の均一性
JIS−K7194に準拠し、(株)ダイアインスツルメンツ製、ロレスターGP/ESPプローブを用いて測定した。測定場所は30cm四方の正方形の四隅(左上、左下、右上、右下)及び中心部の5箇所とした。測定結果の平均値(Ω/□)を表4に示す。また、面内の均一性を表す指標として、平均値に対する最大値と最小値の差の割合(%)を用いた。これらの値も表4に示す。表面抵抗率の平均値は100〜1000Ω/□を可とし、表面抵抗率の平均値に対する最大値と最小値の差の割合(%)は20%以内を可とした。
(2)金属細線の視認性及び面の質感
得られた透明導電性材料をライトテーブル上で50cm離れた位置から目視し、外観品質を評価した。評価項目は金属細線の視認性、及び透明導電性材料の面の質感である。何れも5段階で評価し、金属細線の視認性については、1:金属細線をほとんど視認できない最も良いレベル、2:凝視することで金属細線を僅かに視認できるレベル、3:凝視することで金属細線が視認できるレベル、4:一目で金属細線が視認できるレベル、5:金属細線の視認性が高い最も悪いレベルと規定した。1、2を可、3〜5を不可レベルと規定した。この結果を表4に示す。面の質感については、1:均一で全くざらつき感がない最も良いレベル、2:凝視すると不均一であることがわかるが、ざらつき感はないレベル、3:凝視するとざらつきを感じるレベル、4:一目でざらつきを感じるレベル、5:ざらつき感が強く最も悪いレベルと規定した。同じく1、2を可、3〜5を不可レベルと規定した。これらの結果を表4に示す。
(実施例2)
透過原稿s1を用いて、実施例1と同じ光量で第1露光を実施し、次にパターンを描画していないフィルムを介して、第1露光の50%の光量で第2露光を行った。他は実施例1と同様にして透明導電性材料を作製した。実施例1と同じく、テスターで電気抵抗を測定したところ、1560kΩ/cmであった。
次に上記第1露光と同じ光量で透過原稿1を用いて第1露光、続いて透過原稿2を用いて上記第2露光と同じ光量で第2露光を行い、図1に示したような高導電線及び低導電線を持つ透明導電性材料を作製した。その他は実施例1と同様にして導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。得られたメッシュパターン画像の細線幅、ピッチを光学顕微鏡で確認したところ、ピッチは300μm、線幅は高導電線、低導電線ともほぼ18μmであった。また線の膜厚を共焦点顕微鏡で測定したところ、高導電線は試料1とほぼ同一であり、低導電線は高導電線を形成する細線よりも薄く、おおよそ60〜70%であることが確認できた(試料11)。
比較として透過原稿1を用いて第1露光、続いてパターンを描画していないフィルムを介して上記第2露光の光量と同じ光量で露光し、低導電線のみの透明導電性材料を作製し、実施例1と同様に評価を実施した。線の膜厚はほぼ上記透明導電性材料の低導電線と同じであった(試料12)。これらの結果を表5に示す。
表4及び表5の結果から、本発明の有効性が理解できる。
以上の結果から明らかなように、本発明により表面抵抗率が高く、かつ均一であり、さらにメッシュ細線の視認性が低い透明導電性材料が得られる。