JP2011153113A - フィルム状製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アレルゲンと、水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子と、平均粒子径が0.1〜100μmである単糖〜六糖の糖及びこれらの糖アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の粒子とを含有するフィルム状製剤。
【選択図】図1
Description
減感作療法は、一般的に2〜3年程度の長期間投与が必要であるため、介護者及び患者のQOL(quality of life)をより向上させるような剤型が必要であると考えられている。
しかしながら、皮下注射による特異的減感作療法では、アナフェラキシーショックの危険性、医療従事者による投与の必要性、長期間にわたる頻繁な通院の必要性、注射による痛み、冷蔵保管である等の問題点があった。
しかしながら、液剤の舌下投与による特異的減感作療法では、投与量の不正確さ、冷蔵保管である等の問題があった。
一方、アレルゲンを含有する錠剤等の固形製剤としては、例えば、酸素含有金属塩と抗原、糖類、糖アルコール及びアミノ酸又はその医薬的に許容される塩から選択される凍結乾燥物を含む固形ワクチン(特許文献1)、マトリックスと少なくとも1種のアレルゲンとを含む速分散性非圧縮固体剤形(特許文献2)等が提案されている。
しかしながら、錠剤の舌下投与による特異的減感作療法では、誤飲、投与量の調整が難しい、携帯性が悪い、残渣による口腔内への違和感等の問題があった。
このため、かかる問題に対処する方法として、口腔内で即溶性を示すフィルム製剤が、1つのオプションとして考えられている。
ネバネバ感やべたつき感を低減させる方法として、例えば、非還元糖や糖アルコールをフィルム状製剤に配合する方法が知られており、従来のアレルゲンに言及したフィルム状製剤にも、非還元糖及び糖アルコールを配合したものが報告されている。
しかしながら、従来のフィルム状製剤は、水溶性ポリマー中にアレルゲン等の活性物質を分散又は溶解させたものであるため、その製造過程における溶媒には水又はその混液が用いられており、配合した糖及び糖アルコールは、製造したフィルム状製剤中で溶解又は再結晶した状態となっていた。
従って、従来のフィルム状製剤では、糖及び糖アルコールの添加、特に多量の糖及び糖アルコールの添加のみでは、口腔内に適用した際のネバネバ感や、指で触った際のべたつき感、および高いフィルム強度といったフィルム物性を十分に満足させる事はできなかった。更に、口腔内での溶解時間を任意に制御することも困難であったため、アレルゲンによる患者の減感作療法に最適なものとはいえないものであった。
本発明のフィルム状製剤において、上記単糖〜六糖の糖又はこれらの糖アルコールの粒子は、平均粒子径が0.1〜30μmであることが好ましい。
また、上記単糖〜六糖の糖は、非還元糖であることが好ましい。
また、上記水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子は、ポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルセルロースであることが好ましい。
本発明のフィルム状製剤において、上記ポリビニルピロリドンは、分子量が2500〜300万であることが好ましい。
また、ヒドロキシプロピルセルロースは、分子量が1万〜120万であることが好ましい。
また、本発明は、アレルゲンと、水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子と、平均粒子径が0.1〜100μmである単糖〜六糖の糖及びこれらの糖アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の粒子とを含有するフィルム状製剤の製造方法であって、極性有機溶媒に、上記水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子と、平均粒子径が0.1〜100μmである単糖〜六糖の糖及びこれらの糖アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の粒子と、上記アレルゲンとを添加して粒子分散液を調製する工程と、上記粒子分散液の薄層を形成し、上記薄膜を乾燥させる工程とを含むフィルム状製剤の製造方法である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明のフィルム状製剤は、平均粒子径が0.1〜100μmである単糖〜六糖の糖及びこれらの糖アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の粒子(以下、「糖又は糖アルコール粒子」ともいう)1aが、水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子及びアレルゲン(図示せず)を含む基材1b中に分散している。なお、本発明のフィルム状製剤において、上記糖又は糖アルコール粒子1aは、図1に示すように、基材1b中に均一に分散しているものと考えられる。
また、本発明のフィルム状製剤の平面形状は特に限定されず、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形等、任意の形状が挙げられる。
単糖類としては、例えば、エリスロース、スレオース等のアルドテトロース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース等のアルドペントース、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース等のアルドヘキトース、エリスルロース等のケトテトロース、キシルロース、リブロース等のケトペントース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のケトヘキソース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース等のα−ジグルコシド、イソトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース糖のβ−ジグルコシド、ネオトレハロース等のα,β−ジグルコシドの他、ラクトース、スクロース、イソマルツロース(パラチノース)等が挙げられる。三糖類としては、例えば、ラフィノース等が挙げられる。三糖〜六糖のオリゴ糖としては、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、オリゴグルコサミン、デキストリン、シクロデキストリン等の環状オリゴ糖等が挙げられる。
本発明のフィルム状製剤において、上記糖又は糖アルコール粒子は、置換されていてもよく、また、1種で又は2種以上混合して用いることもできる。
また、アレルゲンがタンパク、ペプチドであり、還元性がある糖ではメイラード反応により抗原性が著しく低下する可能性が考えられるため、上記単糖〜六糖の糖は、非還元性の糖又はその糖アルコールであることが好ましい。
本発明のフィルム状製剤において、上記糖又は糖アルコール粒子として更に好ましくは、吸湿性が低いトレハロース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、イソマルトである。
なお、本明細書において、上記平均粒子径とは、レーザー散乱式粒度分布測定装置で求めた50%平均粒子径を意味する。
なお、糖類は甘味を有するものが多く、口腔内で容易に溶解するフィルム状製剤にとって都合がよい。無論所望により可塑剤を加えることは差支えない。
なお、本明細書において、「可食性」とは、経口的に投与可能であり、製剤学的に許容されるものであることを意味する。
なお、本明細書において「溶解パラメーター」とは、1mol容量の液体が蒸発するために必要な蒸発熱(cal/cm3)の平方根(SP値)をいう。
上記可食性高分子としては、HPCであることが更に好ましい。相対湿度に対する吸湿性が、PVPと比較してHPCの方が低く、実用上の観点から好ましいと考えられるからである。これらの物質は単独で用いられてもよく、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
本発明のフィルム状製剤は、その厚さを制御することで口腔内溶解時間を制御することができるが、上記PVPやHPC等の可食性高分子の分子量を適宜調整することでも、口腔内溶解時間を任意にかつ容易に制御することができる。
また、アレルゲンによる減感作療法に適する、フィルム状製剤の溶解時間を確保するためには、PVPの分子量は好ましくは4万〜120万である。
また、アレルゲンによる減感作療法に適する、フィルム状製剤の溶解時間を確保するためには、HPCの分子量は好ましくは3万〜37万である。
なお、本明細書において、上記分子量とは重量平均分子量を意味し、ゲル浸透クロマトグラフ分析により得られる。
上記その他の可食性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム等の合成高分子化合物、アルギン酸ソーダ、デキストラン、カゼイン、プルラン、ペクチン、グァーガム、キサンタンガム、トラガカントガム、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム、澱粉等の天然物より得られる高分子化合物等が挙げられる。
具体的には、樹木類の花粉に由来するアレルゲン(アカシア、ハンノキ、ビロードアオダイモ、セイヨウブナ、白樺、カエデ、山スギ、赤スギ、ハコヤナギ、ヒノキ、アメリカニレ、アキニレ、トガサワラ、ゴムの木、ユーカリの木、エノキ、ヒッコリー、アメリカシナノキ、サトウカエデ、メスキート、カジノキ、コナラ属、オリーブ、ペカン、コショウ、マツ、イボタツキ、ロシアオリーブ、アメリカスズカケ、ニワウルシ、クロクルミ、クロヤナギ等)、草木類の花粉に由来するアレルゲン(ワタ、ギョウギシバ、ナガハグサ、スズメノチャヒキ、トウモロコシ、ヒロハウシノケグサ、セイバンモロコシ、カラスムギ、カモガヤ、コヌカグサ、ホソムギ、コメ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ヒユ、アカザ、オナモミ、ギシギシ、セイタカアワダチソウ、イソホウキ、シロザ、キンセンカ、イラクサ、アオビエ、ヘラオオバコ、オオブタクサ、ブタクサ、ブタクサモドキ、ノハラヒジキ、ヤマヨモギ、エニシダ、ヒメスイバ等)、虫由来のアレルゲン(カイコ、ダニ、ミツバチ、スズメバチ、アリ、ゴキブリ等)、菌由来のアレルゲン(アルテルナリア、アスペルギルス、ボツリヌス、カンジダ、セファロスポリウム、カーブラリア属、エピコッカム菌、表皮菌、フザリウム属、ヘルミントスポリウム属、連鎖クラドスポリウム、ケカビ、ペニシュリウム、ファーマ属、プルラリアプルランス、クモノスカビ等)、動物の体毛由来のアレルゲン(犬、猫、鳥等)、ハウスダスト由来のアレルゲン、食物由来のアレルゲン等が挙げられ、アレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原であれば特に限定されない。
すなわち、まず、所定量の極性有機溶媒に予め粉砕、造粒、分級装置等で粒子径を調整した上記糖又は糖アルコール粒子を適当量均一に分散させる。次いで、そこに所定量の上記可食性高分子を溶解させ、更にこの溶液にアレルゲンを溶解又は分散させ、粒子分散液を調製する。そして、得られた粒子分散液を公知の剥離フィルム上に適当量展延して薄膜を形成し、該薄膜を乾燥することで製造することができる。更に、得られた薄膜を所望の形状及び大きさに裁断し、必要により密封包装し、製品とすることが好ましい。
このような本発明のフィルム状製剤を製造する方法もまた、本発明の1つである。
上記粒子分散液の調製に当たって用いられる極性有機溶媒としては、上記糖又は糖アルコール粒子は溶解しないが、可食性高分子は溶解するものであればよい。また、単一溶媒を用いても、組み合わせ溶媒を用いてもよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、塩化メチレン、アセトン等が挙げられる。なかでも、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、アセトンが好適に用いられ、糖及び糖アルコール微粒子を溶解させない量であれば、精製水を加えることもできる。
また、本発明のフィルム状製剤は、水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子を含有するので、口腔内、特に舌下における溶解時間を任意に制御することができる。好ましい実施態様では、溶解時間を2〜300秒に制御可能であることから、本発明のフィルム状製剤は、アレルゲンによる患者の減感作療法に特に適する。
また、上記糖又は糖アルコール粒子は、極性有機溶媒に溶解しないものである。本発明のフィルム状製剤は、極性有機溶媒を溶媒として用いて製造するため、製造時に上記糖又は糖アルコール粒子が溶解することがなく、上記糖又は糖アルコール粒子を粒子状態でフィルム状製剤の基材の中に均一分散担持したものとすることができる。
そして、本発明のフィルム状製剤は、平均粒子径が0.1〜100μmであり、単糖〜六糖の糖又はこれらの糖アルコールの粒子を含むことで、充分なフィルム強度を有するだけでなく、口腔内における上記可食性高分子由来のネバネバ感を低減させることができ、また、指で触った際の触感を向上させることができ、高いフィルム強度を得ることができる。
加えて、本発明のフィルム状製剤の製造方法では、上記極性有機溶媒を溶媒として用いることにより、低温によりフィルム状製剤を乾燥させることが可能であり、高温に弱いアレルゲンであっても、これに悪影響を低減しつつ、フィルム状製剤を製造することができる。
エタノール150.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子67.5重量部、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここに重量平均分子量が約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)64.5重量部を加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリンクミキサーで攪拌混合して粒子分散液を調製した。
この粒子分散液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
エタノールに代えてアセトンを用いた以外は、実施例1と同様の手順でフィルム状製剤を得た。
表2に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でフィルム状製剤を得た。
なお、表2中、「PVP K−30」は、重量平均分子量が約4万であるポリビニルピロリドン(日本触媒製)である。
エタノールに代えてアセトンを用いた以外は、実施例3と同様の手順でフィルム状製剤を得た。
蒸留水250.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子67.5重量部、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここにプルラン(林原商事製)64.5重量部を加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して粒子分散液を調製した。
この粒子分散液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
表2に示した組成とした以外は、比較例1と同様の手順でフィルム状製造を得た。
なお、表2中、「HPMC」は、重量平均分子量約1万6千であるヒドロキシメチルセルロース(TC−5E、信越化学工業製)である。
表3に示した組成とした以外は、実施例1と同様の手順でフィルム状製剤を得た。
エタノール220.0重量部に、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここに分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)132.0重量部を加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して溶液を調製した。
この溶液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
蒸留水200.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子67.5重量部、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここに分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)64.5重量部加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して粒子分散液を調製した。
この粒子分散液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥し、その後、このポリエステル剥離フィルムからフィルムを剥離し、フィルム状製剤を得ようとしたが、実際にはフィルムが脆く柔らか過ぎるためにフィルム状製剤を得ることはできなかった。
表4に示した組成で、比較例4と同様の手順でフィルム状製剤を調製しようとしたが、比較例4と同様に比較例5、6、8、13以外は、フィルム状製剤を得ることはできなかった。比較例5、6、8、13は、それぞれ4cm2に裁断しフィルム状製剤を得た。
蒸留水250.0重量部に、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここに分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)132.0重量部を加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して溶液を調製した。
この溶液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
エタノール150.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子67.5重量部、ポリエチレングリコール0.8重量部を加えて超音波分散した。ここに分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)64.5重量部を加えて攪拌溶解した。更に治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」アカマツ花粉1:100(鳥居薬品製)30.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して粒子分散液を調製した。
この粒子分散液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」ホウレン草花粉1:100(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」ブタ草花粉1:100(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」ソバ粉1:10(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」キヌ1:10(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」綿1:10(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」ハウスダスト1:10(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」アスペルギルス1:1000(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」アルテルナリア1:1000(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」カンジダ1:1000(鳥居薬品製)、治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」クラドスポリウム1:1000(鳥居薬品製)及び治療用アレルゲンエキス皮下注「トリイ」ペニシリウム1:1000(鳥居薬品製)を用い、表5に示した組成で、実施例16と同様の手順でフィルムを調製し、フィルム状製剤を得た。
エタノール130.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子68.5重量部、ポリエチレングリコール4.0重量部を加えて超音波分散した。ここに日本スギ花粉(アサヒフードアンドヘルスケア製)10.0重量部、分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)65.3重量部を加えて攪拌溶解して粒子分散液を調製した。
この粒子分散液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
精製スギ花粉抗原Cryj1(林原生物化学研究所製)及び精製スギ花粉抗原Cryj2(林原生物化学研究所製)を用い、表6に示した組成で、実施例28と同様の手順でフィルムを調製し、フィルム状製剤を得た。
エタノール100.0重量部に、予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子A50.0重量部、ポリエチレングリコール1.0重量部を加えて超音波分散した。ここに分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)44.0重量部を加えて攪拌溶解した。更に標準化アレルゲン治療エキス「トリイ」スギ花粉2000JAU/mL(鳥居薬品製)10.0重量部を加えてローリングミキサーで攪拌混合して粒子分散液を調製した。
この溶液を充分に脱泡後、ポリエステル剥離フィルム上に延伸乾燥して厚さ約100μmのフィルムを製造した。得られたフィルムを4cm2の長方形に裁断し、フィルム状製剤を得た。
予め粒子径を制御したD−マンニトール微粒子B及びD−マンニトール微粒子Cを用い、表7に示した組成で、実施例32と同様の手順でフィルムを調製し、フィルム状製剤を得た。
分子量約3万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−SSL、日本曹達製)及び分子量約14万であり、ヒドロキシプロポキシ基の置換度が53.4〜77.5%であるHPC(HPC−L、日本曹達製)を用い、表7に示した組成で、実施例32と同様の手順でフィルムを調製し、フィルム状製剤を得た。
なお、実施例35は、厚みを250μm、実施例36は、厚みを120μm、実施例37は、厚みを120μm、実施例38は、厚みを120μm、実施例39は、厚みを80μmとなるように調整した。
各実施例及び比較例で調製したフィルム状製剤の口腔内における溶解プロファイル、フィルム強度、口腔内におけるネバネバ感、指で触った際の触感に関して、それぞれ剥離性試験、口腔内溶解性試験、剛軟度試験、引張強度試験、タック持続試験及び官能試験(触感)を行うことにより測定及び評価を行った。また、フィルム状製剤中に分散された糖又は糖アルコール粒子に関して、マイクロスコープを用いて粒子径を測定した。それぞれの試験方法を次に示す。
1000mlのガラスシャーレにpH6.8リン酸塩緩衝液900mlを入れ、この中にステンレス製篩い(φmm)を上下反転させて沈め、スターラーで攪拌(300rpm)する。この溶液の温度は、恒温水循環装置を用いて37±2℃で管理し、この中に試験片(4cm2)を沈め、同時に上から3cm2×3cm2のステンレス製金網(網目サイズ5mm)を重しとして載せた。試験片を沈めた時間から、試験片が崩壊し終えるまでの時間を目視で確認し、ストップウォッチで測定する。それぞれのサンプルを3回繰り返し測定し、その平均値を口腔内溶解時間とした。この口腔内溶解時間を次の評価基準にあてはめスコア化した。
4:0〜10秒
3:10〜15秒
2:15〜20秒
1:20秒以上
また、調製したフィルム状製剤の物性上、剥離することができなかったものは0として評価した。溶解時間の制御を目的とした実施例35〜39に関しては、実際の溶解時間を記載した。
小型卓上引張試験機(島津製作所製、EZ TEST−100M)を用い、“JIS K7127 プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法”に準拠し、試験片としてフィルム状製剤を12mm×50mmに断裁し用い、デシケーターで充分に乾燥させた後、試験を行った。試験速度として毎分60mmを用いた。試験片はほとんど伸びが見られなかったために、測定により得らた引張降伏強さを引張強度として求める。
それぞれのサンプルを3回繰り返し測定し、その平均値を引張強度とした。この引張強度を次の評価基準にあてはめスコア化した。
4:10〜20N
3:5〜10N
2:2〜5N
1:0〜2N
また、調製したフィルム状製剤の物性上、剥離することができなかったものは0として評価した。
本試験法は、“JIS L1096 一般織物試験法、8.19剛軟性、8.19.1 A法(45°カンチレバー法)” の試験方法を準拠したものである。20mm×150mmの試験片を5枚採取し、一端が45°の斜面を持つ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケールの基線に合わせて置く。次に、適当な方法によって試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面Aと接したとき他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は、試験片が移動した時の長さ(mm)で示され、それぞれ5枚の表裏、前後逆を測定し、それぞれの平均値を算出し、剛軟度として求めた。評価基準は、糖を添加しない場合のフィルム状製剤(比較例3)の剛軟度約50mmを基準として考え、次の通り設定する。
4:50±10mm
3:50±20mm
2:50±30mm
1:50±40mm以上
また、調製したフィルム状製剤の物性上、剥離することができなかったものは0として評価した。
レオメーター(SUN SCIENTIFIC, CR−2000)を用い、図2に示す環境下で試験を行った。φ12mmのプローブ上2aに両面テープ2bでφ12mmの試験片2cを貼付する。別途、試験台に2fの上にはゴム2eを載せ、その上に水で浸したコラーゲンフィルム2dを設置する。試験片に200μLの精製水を添加し、この試験片2cが貼付されたプローブ2aを下降させ、コラーゲンフィルム2d上に接触させ、その後、上昇させる。この際に、プローブ2aがコラーゲンフィルム2dから離れる時に得られる初期タック後のタック持続時間を記録紙よりノギスを使い測定した。評価基準は次の通りである。
4:0〜2mm
3:2〜3mm
2:3〜4mm
1:4mm以上
調製したフィルム状製剤をポリエチレンテレフタレート剥離フィルムから剥離できなかった比較例に関しては、剥離フィルムごと裁断し、剥離フィルム側をプローブの両面テープに貼付し、同様に測定した。
実施例及び比較例により断裁したフィルム状製剤を、実際に指で5秒間円を描くように、表面がネバネバするかどうかの違和感を評価した。評価基準は次の通りである。
4:ネバネバしない
3:気にならない程度のネバネバ感である
2:ネバネバ感に違和感を覚える
1:かなりネバネバし、指にフィルムが残る
また、調製したフィルム状製剤の物性上、剥離することができなかったものは0として評価した。
フィルム調製時に、ポリエチレンテレフタレート剥離フィルムからの剥離性を評価した。評価基準は以下の通りである。
4:容易に剥離できる
3:剥離できる
2:何とか剥離できる
1:何とか剥離できるが破れる
0:全く剥離できない
これら6項目の評価を合計し、合計点により実施例の相対的な評価を行った。
実施例32〜34に関して、実際に添加したD−マンニトール微粒子A〜Cのフィルム中での粒子径を、マイクロスコープ(キーエンス製、THX−600)を用い測定した。200個測定しそれらの50%平均粒子径を求めた。
表14に実施例32〜34及び比較例17のフィルム状製剤中のD−マンニトール微粒子の50%平均粒子径の結果を示した。比較として、添加前の粒子径も示した。
エタノールに代えて塩化メチレンを用いた以外は、実施例1と同様の手順で実施例Aのフィルム状製剤を製造する。実施例Aのフィルム状製剤は、実施例1のフィルム状製剤と同様に、剥離性試験、口腔内溶解性試験、剛軟度試験、引張強度試験、タック持続試験及び官能試験(触感)の各評価結果が良好である。
エタノールに代えてイソプロパノールを用いた以外は、実施例1と同様の手順で実施例Bのフィルム状製剤を製造する。実施例Bのフィルム状製剤は、実施例1のフィルム状製剤と同様に、剥離性試験、口腔内溶解性試験、剛軟度試験、引張強度試験、タック持続試験及び官能試験(触感)の各評価結果が良好である。
また、平均粒子径が127μmのD−マンニトール微粒子Dを用いた比較例17のフィルム状製剤は、剥離性及び強度の面が実施例に係るフィルム状製剤よりも劣る結果であった。
また、可溶性高分子として分子量約3万のHPCを用い、膜厚を120μmとした実施例37のフィルム状製剤は、口腔内溶解時間が28秒であった。
また、可溶性高分子として分子量約3万と約14万のHPCを併用し、膜厚を120μmとした実施例38のフィルム状製剤は、口腔内溶解時間が8秒であり、膜厚を80μmとした以外は、実施例38と同様にした実施例39のフィルム状製剤は、口腔内溶解時間が4秒であった。
このように、可溶性高分子の分子量及びフィルム状製剤の膜厚を調整することで、口腔内溶解時間を容易に制御することができることが示された。
フィルム調製における溶媒として、有機溶媒ではなく、精製水又は精製水と極性有機溶媒の混液を使用すると、添加した糖及び糖アルコールの粒子は溶解し、フィルム物性に大きく影響を与える。これを解決するためには、糖及び糖アルコールの配合量を減少させなければならないが、この方法では可食性高分子ポリマーの全体における配合比が増加し、結果として口腔内溶解性、フィルム触感、口腔内における触感等の必要な特性が低減される可能性がある。また、本発明はこれらの点を解決するに足りる有効なアレルゲン含有フィルム状製剤の形態及び組成である。
1b 基材
2a プローブ
2b 両面テープ
2c 試験片
2d コラーゲンフィルム
2e ゴム
2f 試験台
Claims (6)
- アレルゲンと、水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子と、平均粒子径が0.1〜100μmである単糖〜六糖の糖及びこれらの糖アルコールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の粒子とを含有することを特徴とするフィルム状製剤。
- 単糖〜六糖の糖又はこれらの糖アルコールの粒子は、平均粒子径が0.1〜30μmである請求項1記載のフィルム状製剤。
- 単糖〜六糖の糖は、非還元糖である請求項1又は2記載のフィルム状製剤。
- 水及び極性有機溶媒に可溶性である可食性高分子は、ポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである請求項1、2又は3記載のフィルム状製剤。
- ポリビニルピロリドンは、分子量が2500〜300万である請求項4記載のフィルム状製剤。
- ヒドロキシプロピルセルロースは、分子量が1万〜120万である請求項4記載のフィルム状製剤。
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