JP2011152079A - セルロース系バイオマスの糖化発酵システム - Google Patents

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【課題】 セルロース系バイオマスからエタノールを製造するにあたり、エタノール生産効率を大幅に向上させて経済性を高めることができる糖化発酵システムを得る。
【解決手段】 セルロース系バイオマスを原料とする糖化発酵システムであって、該バイオマス原料含有液にセルロース分解酵素及びアルコール発酵性酵母を加えて併行糖化発酵反応を行う糖化醗酵反応工程、該糖化発酵反応工程からの反応液を生成アルコール含有液体留分と、セルロース分解酵素、アルコール発酵性酵母及びバイオマス原料由来の各種物質を含有する残留分とに分離するアルコール分離工程、該残留分の一部または全部を前記糖化醗酵反応工程に循環供給する工程を有するシステムにおいて、アルコール発酵性酵母としてイサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)を用いるセルロース系バイオマスを原料とする糖化醗酵システム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セルロース系バイオマスを酵素で糖化し、アルコール発酵させる糖化発酵システムにおいて、糖化と発酵を同時に行う併行糖化発酵システムに関する。
再生可能資源であるセルロース系バイオマスから糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりアルコールのようなガソリンの代替となる燃料、コハク酸や乳酸などのプラスチック原料を製造することができ、循環型社会の形成に役立つ技術である。
バイオマス資源中の多糖類から発酵基質となる単糖や少糖類を作る方法として、酵素やその酵素を生産する微生物を用いて、セルロースやヘミセルロースを加水分解する酵素糖化法が、環境負荷の小さい方法として検討されている。
酵素糖化法では、近年酵素の価格が下がってはいるものの、まだ酵素自体の価格が高く、実用化には一層の酵素コストの低減が必要である。そのため、一度使用した酵素を回収し再利用する技術が検討されている。
Scott, C. D.らは、古紙の糖化装置として、連続的な磨砕と膜を用いた分離と酵素の再利用、固定化菌体による酵素の生産、高濃度のスラリー状態で処理することにより、低コスト化が可能であると予測している。摩砕しながら高い酵素濃度で処理することにより、糖化率は25時間で100%であった。この方法では酵素の回収率は24時間で95%以上であるが、酵素が残渣に吸着するため、これをpHや温度を変えて酵素を基質からはがして回収するとしている(非特許文献1参照)。
Woodらは、オフィス混合古紙をKlebsiella oxytocaとカビ由来の酵素Spezyme CP(Genencor社)、Novozyme 188で併行糖化発酵を行う際に、240分に15分の割合で超音波を照射すると、酵素の使用量をパルプ1gに対して、濾紙分解活性で5単位に半減することが出来たと報告している。糖化が促進される理由として、単に超音波によって繊維がほぐれるためではなく、酵素がセルロース繊維に単に吸着して作用できない状態のものを引き剥がして、再度新しい作用点で作用できるようにする効果があるためであると考察している(非特許文献2、非特許文献3参照)。
蒸煮・爆砕処理したシラカンバ材を5%の濃度で糖化槽に加え、2万単位のセルラーゼを添加して、限外濾過により糖液と酵素液とを分離し、酵素を回収再利用しながら、8日間で2kgのシラカンバ材から単糖類を630g得ている。(非特許文献4参照)。しかしこの方法ではコストは20%程度しか削減できていない。
これに対し、セルロース系バイオマスを酵素による糖化の原料とし、糖化酵素を反応後の糖液から分離回収して再利用する連続糖化反応において、リグニンの除去操作を施したセルロース系バイオマスを基質とし、糖化反応槽中における糖化酵素の濃度を、投入した糖質資源の96%以上を滞留時間内に糖化するのに必要な高い濃度に維持することによって、残渣の蓄積を防止しつつ連続的に糖化を行うことで、酵素の回収率を高める方法が報告されている(特許文献1参照)。
一方、糖化発酵に要する時間を短縮し、糖化発酵効率を高める方法として、併行糖化発酵が注目されている(非特許文献2、非特許文献3参照)。併行糖化発酵は麹菌の糖化酵素と日本酒酵母による日本酒の製造に古くから利用されている技術であり、現在は糖化発酵の時間短縮など効率化に向けて検討されている。
併行糖化発酵では、糖化酵素の至適温度、至適pHと酵母の増殖の最適温度、pHが一致することが望ましいが、市販のカビ類の糖化酵素の至適温度は一般に50〜60℃であるのに対し、酵母の増殖は30℃前後に過ぎない。そのため糖化酵素の働きを十分に発揮させることができない。
セルロース系バイオマスの糖化、発酵では糖化酵素のコストが高いことが課題であり、糖化酵素の糖化効率を高めることが重要であるにもかかわらず、至適温度で反応できないという課題があった。そこで酒酵母より高い温度で増殖し、発酵することができる微生物の開発は重要である。この様な微生物としてイサチェンキア・オリエンタリスが単離されている(特許文献2参照)。
また、特許文献3では、高温で同時糖化発酵できる酵母について記載されている。
その他、酵素の有効利用については、特許文献4、5などにも記載されている。
ところで、これまで検討されてきた併行糖化発酵は、古くから日本酒の製造に使用されているサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を発酵微生物として使用する技術であるが、酒酵母は菌体外に分泌するプロテアーゼの活性が実質的にほとんど無いことから、糖化酵素の活性が失われずに再利用できるものである。同様に大腸菌も菌体外にプロテアーゼを分泌しないことが知られているが、多くの微生物は菌体外にプロテアーゼを分泌生産する。
一般に自然界より分離される微生物の多くは、プロテアーゼを菌体外に分泌生産すること、または増殖後の死滅期に、溶菌により菌体内のプロテアーゼが溶出することが知られており、これらの微生物を発酵菌として用いる場合には、糖化酵素が分解されるため、併行糖化発酵には好ましくない。特に酵素を回収再利用しながら行う連続的に併行糖化発酵の場合、少量のプロテアーゼであっても、回収再利用する間に著しく糖化酵素活性が損なわれ、実用的ではない。
更には、連続的に併行糖化発酵を進めるためには、酵素活性が前記プロテアーゼにより阻害されないことだけではなく、プロテアーゼ以外の作用などにより酵素活性が低下しないことが必要と考えられるが、高温で連続的に併行糖化発酵を行ったという実例や報告は一つもない。
また、酵素糖化にあたっては、バイオマスの前処理を必要とすることが多く、酸やアルカリで前処理した後には、糖化に適したpH領域にまで中和して糖化させるが、酵素を循環再利用することにより、反応系内にイオンが蓄積し、発酵反応を阻害するという問題がある。
特開2006-087319号公報 特開2004-344084号公報 特開昭63-042690号公報 特開昭60-244294号公報 特開昭62-087096号公報
Scott, C.D., Rothrock, D.S., Appl. Biochem. Biotechnol., 45/46, pp.641-653(1994) Wood, B.E.,Aldrich, H.C., Ingram, L.O., Biotechnol. Prog., 13, 232-237(1997) Tomme, P., Warren, A.J., Miller, T.C.J., Kilburn, D.G., Gilkes, M. R., In "Enzymatic Degradation of Insoluble Carbohydrates" (J.N. Saddler ed.) ACS Symposium Ser. Vol 618, pp. 145-163, ACS, San Diego, CA(1995) Ishihara, M., et al., Biotechnol. Bioeng., 37, 948-954(1991)
セルロース系バイオマスから発酵生産物を製造する場合に、酵素を回収しながら併行糖化発酵を行うプロセスに使用する微生物として、高温で高い発酵能力を示し、かつ長期間の酵素の繰り返し回収再利用時にも、プロテアーゼ等によりセルロース分解活性を損なうことのない酵母が必要である。更に、系内のイオン濃度が上昇しても高い発酵能力を示す酵母が必要である。
本発明者らは、併行糖化発酵後に酵素を回収し再利用しながら行う糖化発酵システムにおいて、糖化酵素の活性を損なうことなく、より高温で発酵を行うことができる微生物の開発を鋭意行った結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、「セルロース系バイオマスを原料とする糖化発酵システムであって、該バイオマス原料含有液にセルロース分解酵素及びアルコール発酵性酵母を加えて併行糖化発酵反応を行う糖化醗酵反応工程、該糖化発酵反応工程からの反応液を生成アルコール含有液体留分と、セルロース分解酵素、アルコール発酵性酵母及びバイオマス原料由来の各種物質を含有する残留分とに分離するアルコール分離工程、該残留分の一部または全部を前記糖化醗酵反応工程に循環供給する工程を有するシステムにおいて、アルコール発酵性酵母としてイサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)を用いることを特徴とする、セルロース系バイオマスを原料とする糖化醗酵システム」である。
本発明により、酵素のコストを大幅に削減することができ、セルロース系バイオマスから糖類を製造する経済性を高めることが可能となる。従って、糖類を発酵基質としてアルコールを供給する経済性を高めることが可能となる。
図1は本発明の糖化発酵システムの代表的なフローを示す。 図2は本発明の糖化発酵システムの別の例のフローを示す。
本発明で使用する酵母はイサチェンキア・オリエンタリスであって、37℃から45℃の範囲であっても増殖することが可能で、実質的にプロテアーゼを生産しない株であればいずれも用いることができるが、特に好ましくはIssatchenkia属orientalis種のアルコール発酵性酵母MF−121が例示される。本菌株は平成15年5月22日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託され、受託番号FERM P−19368が付与された。
本発明の酵母を増殖するには単糖を有機基質として含むものであればいずれも用いることができる。単糖としてはグルコースが特に好ましい。窒素源としては特に制限されるものではないが、硫安等のアンモニウム塩、コーンスティープリカー等を用いることができる。また酵母エキス、マルツエキスなどを含む培地でも増殖させることができる。培地のpHは弱酸性が好ましく、pH3ないし2でも増殖する。
併行糖化発酵に用いるセルロース分解酵素の種類については、セルロースを分解できるものであれば特に限定されるものではないが、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素であれば良い。セルラーゼは、トリコデルマ(Trichoderma)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、フミコーラ(Humicola)属、イルペックス(Irpex)属などに属する菌が生産する糖化酵素や、商業的に生産される酵素を、単独でもしくは組み合わせて用いることができる。好ましくはプロテアーゼを含まないものを使用する。特にバイオマスの糖化用に開発された酵素が好適である。
このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
本発明で原料とするセルロース系バイオマスとしては、針葉樹、広葉樹、林地残材、建築廃材、剪定廃棄物、ソーダスト、ケナフ、稲藁、麦わらなどの農産破棄物等のセルロース系バイオマスからアルカリ抽出、アルカリ蒸解等の化学パルプ製造法、オルガノソルブなどの方法により酵素が作用しやすいように処理を施されたセルロース、ヘミセルロースを主成分とする繊維、もしくはセルロース系バイオマスから機械的磨砕と熱的、化学的前処理を施して得た処理物が好ましく、例えば古紙、パルプ工場のスラッジ、林地残材の処理物、ユーカリ樹皮のメカノケミカル処理物などを挙げることができる。特に化学パルプを含む古紙が好適である。
以下、本発明のセルロース系バイオマスの糖化発酵システムを、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明のセルロース系バイオマスの糖化発酵システムの基本実施形態を示す工程図である。
図1に示すセルロース系バイオマスを原料とする糖化発酵システムにおいて、セルロース系バイオマス原料調製工程からのセルロース系バイオマス原料は、経路(イ)を経由して糖化醗酵反応工程に供給され、同時にセルロース分解酵素と、アルコール発酵性酵母及び培地が糖化醗酵反応工程に供給されてセルロースの糖化とアルコール発酵とが同時に行われる。
糖化醗酵反応工程から得られる糖化醗酵反応液は、経路(ロ)を経由して生成アルコール含有液体留分(以下アルコール留分と略称)と、セルロース分解酵素、アルコール発酵性酵母及びバイオマス原料由来の各種物質を含有する残留分とに分離するアルコール分離工程に送られて、アルコール留分と残留分とに分離され、アルコール留分は経路(ニ)を経由してアルコール貯槽に送られる。アルコール分離工程は、蒸留による分離、または限外濾過膜による濾過分離、あるいはパーベーパーレーションにより分離される。
一方、アルコール分離工程からの残留分は経路(ハ)を経由して、直接に糖化醗酵反応工程に循環供給される。あるいは、必要に応じて、五炭糖の処理、リグニンの処理、アルカリ分の処理などの工程を経ても良い。
本発明のセルロース系バイオマス糖化醗酵システムは、上記したように、基本的には、バイオマス原料調製工程→糖化醗酵反応工程→アルコール分離工程→糖化醗酵反応工程で一巡する循環系によって構成されており、高価な酵素等の循環利用を可能とした商業的に価値の高いアルコール等の生産システムである。本発明においては、耐塩性の酵母を使用することにより、酵素を循環する際に系内のイオン濃度が高くなっても発酵効率が落ちない。また、耐熱性の酵母を用いることにより、糖化発酵反応の温度を高くすることができる。更には、プロテアーゼを全く生成しない酵母を用いることにより、酵素の循環再利用が何度でもできる、などの利点がある。
本発明のセルロース系バイオマス糖化醗酵システムは基本的には上記した循環系によって構成されているが、上記糖化醗酵システムをより一層商業的に価値の高いシステムとするために、さらに、図2のような工程を付加したシステムとすることができる。
図2のシステムについて説明する。糖化醗酵反応工程とアルコール分離工程の間に、固液分離工程を配置して糖化醗酵反応工程からの反応液を、生成アルコールと使用酵素等を含有する液体留分と、酵母や未反応物質等を含有する固形分含有留分とに分離し、液体留分は経路(ホ)を経由して次のアルコール分離工程に送り、固形分含有留分は、経路(ヘ)を経由して糖化醗酵反応工程に循環し、再利用する。
固液分離工程からの液体留分は、アルコール分離工程により生成アルコール分が経路(ニ)を経て回収されアルコール貯槽に貯蔵され、残留分は経路(ハ)から取り出されて糖化醗酵反応工程に循環し、再利用する。
以上のように、酵素を含む留分を糖化発酵工程に再使用するが、一連の操作により失われた酵素活性を補填するために、新たに酵素を加え、併行糖化発酵槽中の糖化力を維持することが好ましい。新たに加える酵素は、当初用いた酵素でもよいし、特定の酵素成分でもよい。特に酵素活性が失われやすいβグルコシダーゼの追加が好ましい。
併行糖化発酵液は用いる酵素に適した条件でかつイサチェンキア・オリエンタリスが生理的に発酵可能な条件とする。トリコデルマなど一般の糸状菌の生産する酵素の場合、pH3ないし7で、温度は35ないし45℃が好ましい。
所定の滞留時間で併行糖化発酵を行うために、イサチェンキア・オリエンタリスの濃度は10〜10個/mlが好ましい。酵素の活性は所望の滞留時間で所定の糖化率となるような濃度が好ましく、滞留時間が48時間として、基質1gに対して濾紙崩壊活性で10単位が例示されるが、基質の種類、前処理の方法によって適宜酵素の添加量を調節する。特に滞留時間を15ないし35時間となるように大量の酵素を添加し、反応効率を高めて、酵素あたりの基質分解量をなるべく高く維持し、その酵素を回収再利用して有効に利用することが好ましい。
本発明において、糖化率は基質の有機分当りの生成糖量と定義する。基質の有機分は基質中の水分、灰分を除いた質量とする。
また酵素活性を代表してCBH Iの活性を以下のように測定する。
(1)CBH I活性
1.25 mM 4-Methyl-umberiferyl-cellobiosideを含む125 mM 酢酸緩衝液(pH4.0) 16μlに、酵素液4 μlを加え、50℃、10min反応を行ったのち、500 mM glycine-NaOH緩衝液(pH10.0)100 μlを添加し、反応を停止させた。これを350 nmの励起光での460 nmの蛍光を測定し、1分間に1μmolのウンベリフェロンを生成する酵素の量を1単位とした。
(3)エタノールおよびグルコース濃度
溶液中のエタノールおよびグルコースの濃度はグルコースセンサー(王子計測機器製BF-400型)で定量した。
以下、本発明について、実施例を挙げて説明する。
<実施例1>
図2に示す糖化醗酵システムにより木質バイオマスを原料とするエタノール生産を行った。
原料として、上質紙のアルミニウム蒸着ラベル古紙を苛性ソーダで処理して、蒸着金属を溶解させて水分60%に濃縮した古紙パルプを使用した。
酵素としては、ジェネンコア社製のセルラーゼ「マルティフェクトCX10L」(ろ紙崩壊活性が120FPU/ml)を使用した。
エタノール発酵を行う微生物として酵母「イサチェンキア・オリエンタリス」(Issatchenkia orientalis)のMF−121株を使用した。この酵母を、液体培地〔2質量%グルコース、1質量%CSL(コーンスティープリカー)、0.5質量%硫酸アンモニウム、pH4.5〕で、130rpmで振とうしながら、24時間37℃で培養し、得られた菌体を発酵に供した。
(1)糖化発酵反応工程
糖化発酵反応工程は、5L容量の攪拌翼付培養槽を用いて行った。始めに、前記古紙パルプを水で希釈し、固形分8質量%の分散液とし、次いで塩酸を添加し、pHを7.0に調整して原料パルプスラリーとした。
前記原料パルプスラリー3kg(パルプ固形分250 g)に酵素を200g、酵母を1×10cells/mlとなるように加えた。また培地成分としてCSL(コーンスティープリカー)25g、硫酸アンモニウム12.5gを加えた。150〜250rpmで攪拌しながら、37℃で20時間反応を行った。反応終了後、反応液の一部をとり、反応液中の固形分量を測定し、糖化率を算出した。
糖化率は以下のように算出した。
糖化率=(供給した固形分−反応後の反応液中の固形分量)÷供給した固形分×100
(2)固液分離工程
得られた糖化発酵反応液について、遠心分離機を用い、固形分40質量%に濃縮して固液分離を行った。固形分含有留分(パルプ分28g、水分42g)は糖化発酵反応工程に戻し、これに新たに前記原料パルプを加え固形分8質量%のパルプスラリーとし、塩酸を添加してpHを7.0に調整して、第2回目の糖化発酵反応に供する。
(3)アルコール分離工程
遠心分離機により得られた液体分中のエタノールは、フラッシュエバポレーター(東京理化器械)を用いた蒸留工程で分離した。エタノールとともに、水分も一定量蒸発させた。エタノール分離後の濃縮液のエタノール濃度は0.1質量%以下であった。蒸留液のエタノール濃度をバイオセンサー(王子計測機器)で測定し、エタノール生産量を算出した。
(4)アルコール分離残留分をリサイクルする工程
蒸留後、残留した液(若干の固形物も含む)をそのまま第2回目の糖化発酵工程に投入する。
以上の(1)〜(4)の各工程を1サイクルとして、5サイクルの反応を行った結果の糖化率、エタノール生産量、残留酵素活性を表1に示す。但し、糖化率は第1回の処理の89%から第5回の81%まで暫減しているため、そのたびごとに、残留固形分から、新規追加パルプの量を調整し、1ロットのパルプ量を250gとなるように調整した。
残留酵素活性は、第1回目の反応開始前の系内の液と、第5回目の反応終了時の系内の液について、CBH I活性を測定し、その比率で示した。
<比較例1>
酵母をMF−121株に変えて、サッカロミセス・セレビシエ244株とし、酵母の増殖ならびに糖化発酵温度を30℃とした他は実施例と同様にした。
Figure 2011152079
<結果の考察>
両酵母とも、酵素活性については同様の傾向を示すが、糖化率はMF−121株の方が高くなった。これは、酵素活性を十分に生かせる温度で糖化発酵を行えたためであると考えられる。また、糖化率の差より、エタノール生産量の差が大きくなっているのは、MF−121株は244株に比較して、系内のイオン濃度が上昇しても発酵の効率が下がらないためと考えられる。なお、両酵母とも、繰り返し使用による酵素活性の著しい低下をもたらすことはなく、プロテアーゼなど、糖化酵素に悪影響を及ぼす酵素を発生していないことが推定される。
本発明により、エタノール生産効率を大幅に高めることができ、セルロース系バイオマスからエタノールを製造する経済性を高めることが可能となる。

Claims (1)

  1. セルロース系バイオマスを原料とする糖化発酵システムであって、該バイオマス原料含有液にセルロース分解酵素及びアルコール発酵性酵母を加えて併行糖化発酵反応を行う糖化醗酵反応工程、該糖化発酵反応工程からの反応液を生成アルコール含有液体留分と、セルロース分解酵素、アルコール発酵性酵母及びバイオマス原料由来の各種物質を含有する残留分とに分離するアルコール分離工程、該残留分の一部または全部を前記糖化醗酵反応工程に循環供給する工程を有するシステムにおいて、アルコール発酵性酵母としてイサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)を用いることを特徴とする、セルロース系バイオマスを原料とする糖化醗酵システム。
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