JP2011148725A - 発光性組成物、有機電界発光素子、及びベンゾジフラン誘導体 - Google Patents

発光性組成物、有機電界発光素子、及びベンゾジフラン誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】高輝度で且つ長寿命の発光性組成物、及び有機電界発光素子の提供。
【解決手段】発光性ドーパントとホスト材料とを少なくとも含む発光性組成物であって、前記ホスト材料中に存在するCH結合の水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている発光性組成物である。また、基板(1)、該基板上に、陽極(2)、陰極(8)、及び該両極間に、前記発光性組成物からなる発光層(5)を少なくとも有する有機電界発光素子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子等に利用される発光性組成物、及び該発光性組成物を利用した有機電界発光素子の技術分野に属する。また、本発明はホスト材料として有用なベンゾジフラン誘導体にも関する。
有機電界発光素子については、近年、急速に研究開発が進み、現在、商品化もされている。有機電界発光素子は、一般的には、2つの電極間に、電子輸送層、正孔輸送層、及び発光層等の複数の有機層を積層した構成である。発光層には、ホスト材料に発光性ドーパントをドーピングした発光材料が一般的に用いられている。このドーピング法に利用されるホスト材料については、種々検討されていて、近年では、3重項励起子により発光するりん光発光材料のホスト材料についても種々提案されている(例えば、特許文献1)。
一方、有機半導体化合物等の共役骨格に結合している水素原子を重水素化することで、発光安定性等が改善されることが報告されている(例えば、特許文献2及び3)が、上記ドーピング法を利用した発光材料に関しては、重水素化の影響についてなんら報告されていない。有機電界発光素子に利用される有機分子の構造と有機素子の性能とは密接に関係しているので、有機分子の構造を改変することによって、素子の性能そのものが損なわれる場合もある。
特開2008−306168号公報 特開2004−99868号公報 特表2004−515506号公報
本発明は、ドーピング法を利用した発光性組成物及び有機電界発光素子の性能を損なうことなく、高輝度化及び長寿命化を達成可能な技術を提供することを課題とする。
より具体的には、本発明は、高輝度で且つ長寿命の発光性組成物、及び有機電界発光素子を提供することを課題とする。また、ドーピング法を利用した発光性組成物のホスト材料、特にリン光発光材料のホスト材料、として有用な新規なベンゾジフラン誘導体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため種々検討した結果、ドーピング法を利用した発光性組成物において、ホスト材料中に存在するCH結合の水素原子の少なくとも一部を重水素原子で置換することにより、高輝度化及び長寿命化が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 発光性ドーパントとホスト材料とを少なくとも含む発光性組成物であって、前記ホスト材料中に存在するCH結合の水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている発光性組成物。
[2] 前記ホスト材料が、少なくとも1つの芳香族環を含む環系部分構造と、該環系部分構造にσ結合で結合したC1以上の有機基とを有し、該有機基中のCH結合の少なくとも一部の水素原子が、重水素原子に置換されている[1]の発光性組成物。
[3] 前記有機基のα位の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている[2]の発光性組成物。
[4] 非共役系炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている[2]又は[3]の発光性組成物。
[5] 前記有機基が、置換もしくは無置換のアルキル基である[2]〜[4]のいずれかの発光性組成物。
[6] 前記環系部分構造が、少なくとも一つのベンゼン環を含む[2]〜[5]のいずれかの発光性組成物。
[7] 前記環系部分構造が、下記式(I)又は(II)
Figure 2011148725
で表される[2]〜[6]のいずれかの発光性組成物。
[8] 前記ホスト材料が、下記式(Ia)又は(Ib)
Figure 2011148725
式中、R1〜R4はそれぞれ水素原子又は置換基を表すが、少なくとも1つは、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;Cは炭素原子を表し;Dは重水素原子を表し;R11、R12、R21及びR22はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す;
で表される化合物である[2]〜[7]のいずれかの発光性組成物。
[9] R3及びR4がそれぞれ、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;R1及びR2が水素原子を表す[8]の発光性組成物。
[10] 前記ホスト材料が、下記式(Ib)
Figure 2011148725
式中、R11、R12、R21及びR22はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す;
で表される化合物である[1]〜[9]のいずれかの発光性組成物。
[11] 前記発光性ドーパントが、りん光発光材料である[1]〜[10]のいずれかの発光性組成物。
[12] 前記発光性ドーパントが、イリジウム錯体である[1]〜[11]のいずれかの発光性組成物。
[13] 基板、該基板上に、陽極、陰極、及び該両極間に、[1]〜[12]のいずれかの発光性組成物からなる発光層を少なくとも有する有機電界発光素子。
[14] 下記式(Id)で表されるベンゾジフラン系誘導体:
Figure 2011148725
式中、R13〜R15及びR23〜R25はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
本発明によれば、ドーピング法を利用した発光性組成物及び有機電界発光素子を長寿命化することができる。
また、本発明によれば、高輝度で且つ長寿命の発光性組成物、及び有機電界発光素子を提供することができる。
また、本発明によれば、ドーピング法を利用した発光性組成物のホスト材料、特にリン光発光材料のホスト材料、として有用な新規なベンゾジフラン誘導体を提供することができる。
本発明の有機電界発光素子の一実施形態の断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.発光性組成物
本発明は、発光性ドーパントとホスト材料とを少なくとも含む発光性組成物であって、前記ホスト材料中に存在するCH結合の少なくとも一部の水素原子が、重水素原子に置換されている発光性組成物に関する。本発明の発光性組成物は、ホスト材料中に発光性ドーパントをドーピングした、いわゆるドーピング法を利用した発光性組成物である。ドーピング法では、まずホストからドーパントにキャリアが移り,その結果としてドーパントが電気的に励起されドーパントが励起され、励起されたドーパントが基底状態に戻る際に、発光してエネルギーが放出される。本発明者がドーピング法を利用した発光性組成物について種々検討した結果、発光減衰の一因が、ホスト分子中に存在する反応性の高い水素原子が、この一連の発光メカニズムの流れの中で脱落してしまうことにあることがわかった。本発明では、ホスト材料中に存在するCH結合の少なくとも一部の水素原子を重水素化することで、ホスト材料の安定性を改善し、長寿命化を達成している。さらに予期せぬことに、ホスト材料を重水素化することによって、ドーピング法を利用した発光性組成物の輝度向上も達成できることがわかった。
ホスト分子から、反応性の高い水素原子を取り去り、反応性の低い原子又は原子団に置換すると長寿命化に寄与する一方で、材料の分子構造は発光特性、さらにはデバイス特性と密接に関連しているので、発光特性そのものが損なわれる可能性がある。実際に、本発明者が検討したところ、反応性の高い水素原子を、安定性を改善するために、嵩高いメチル基に置き換えると、メチル基導入前のホスト材料と比較して、駆動電圧が過度に上昇し、即ち、初期のデバイス特性そのものを損なうことがわかった。本発明によれば、非重水素化ホスト材料を利用した発光性組成物の発光特性を維持しつつ、高輝度化及び長寿命化を達成できる。
ホスト材料:
本発明に用いられるホスト材料の分子構造については、特に制限はない。本発明は、特に、反応性の高い水素原子が存在するホスト材料を利用した発光性組成物の長寿命化に有利である。例えば、少なくとも1つの芳香族環を含む環系部分構造を有するホスト材料では、該環系部分構造にσ結合で結合したC1以上の有機基中のCH結合の少なくとも一部の水素原子が、重水素原子に置換されていることが好ましい。該有機基の鎖長及び構造は、発光色に影響するので、前記有機基は、色純度に応じて種々選択されるであろう。いずれの有機基が選択されても、その中のCH結合の少なくとも一部を重水素原子によって置換することで、本発明の効果が得られる。
特に、前記有機基中、環系部分構造に対して、α位の炭素原子に結合した水素原子は、反応性が高いので、α位の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されていることが好ましく、全部が重水素原子に置換されているのがより好ましい。
また、本発明では、非共役系炭素原子に結合した水素原子が重水素原子に置換されていてもよい。本発明の一実施形態では、前記ホスト材料は、少なくとも1つの芳香族環を含む環系部分構造と、該環系部分構造にσ結合で結合した、置換もしくは無置換のC1以上のアルキル基とを有する有機化合物であって、該アルキル基のα位の炭素原子に結合した水素原子が、重水素原子に置換された有機化合物の態様である。前記アルキル基は、C1〜C4の低級アルキル基であっても、C5以上の高級アルキル基であってもよい。また、置換されていてもよく、置換基としては鎖状または環状アルキル基、置換基を有してもよいアリール基およびヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルスルファニル基等のヘテロ元素をもつもの、シリル基等が挙げられる。
本発明に用いられるホスト材料の例には、少なくとも一つの芳香族環を有する環系部分構造を有する有機化合物である。環系部分構造は、単環構造であっても、縮合環構造であってもよい。前記環系構造は、ベンゼン環を含んでいるのが好ましい。本発明に利用可能なホスト材料が有する環系構造の例には、以下の構造が含まれるが、下記の例に限定されるものではない。
Figure 2011148725
前記ホスト材料の一例は、下記式(Ia)及び(IIa)で表される化合物である。
Figure 2011148725
式中、R1〜R4はそれぞれ水素原子又は置換基を表すが、少なくとも1つは、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;Cは炭素原子を表し;Dは重水素原子を表し;R11、R12、R21及びR22はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。該アルキル基の炭素原子の数、及び置換基の例については、上記と同様である。
前記式(Ia)及び(IIa)で表される化合物の例には、R3及びR4がそれぞれ、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;R1及びR2が水素原子を表す化合物、即ち、下記式(Ib)、(Ic)、(IIb)及び(IIc)で表される化合物等が含まれる。
Figure 2011148725
前記式(Ib)、(Ic)、(IIb)及び(IIc)中、Rはそれぞれ、置換基(例えば、置換もしくは無置換の、C1〜C4のアルキル基又はアルコキシ基)を表し、nはそれぞれ、0〜5の整数を表す。但し、nが2以上の時、可能であれば、環(例えばベンゼン環)を形成していてもよい。R11、R12、R21及びR22については、上記式(Ia)及び(IIa)中のそれぞれと同義である。
上記式(Ia)〜(Ic)及び(IIa)〜(IIc)でそれぞれ表される化合物は、励起三重項エネルギー準位が高いので、後述するりん光発光性ドーパントのホスト材料として有用である。
発光性ドーパント:
本発明に用いられる発光性ドーパントについては、特に制限はない。蛍光発光性ドーパントであっても、りん光発光性ドーパントであってもよい。それぞれ1種以上のドーパントをドーピングしてもよいし、双方の発光性ドーパントをそれぞれ1種以上ドーピングしてもよい。りん光発光性ドーパントの例には、イリジウム錯体、白金錯体等の錯体化合物;及びベンゾフェノン化合物等が含まれる。また、蛍光発光性ドーパントの例には、ナフタセン誘導体等の種々の蛍光色素、及びポリフルオレン等の種々の共役系高分子が含まれる。りん光発光性ドーパントを用いると、内部量子効率が高くなるので好ましい。上記式(Ia)〜(Ic)及び(IIa)〜(IIc)でそれぞれ表される化合物をホスト材料とする態様では、発光性ドーパントがりん光発光性ドーパントであるのが好ましく、中でも、イリジウム錯体が好ましい。
なお、発光性ドーパント中に存在するCH結合の水素原子の一部又は全部についても、重水素原子で置換されていてもよい。但し、発光性ドーパントのみが重水素化されていても、本発明の効果を達成し得ない、即ち、長寿命化が達成できないことを、本発明者は、後述の実施例で確認している。即ち、本発明の効果は、ドーピング法を利用した発光性材料に用いられるホスト材料を重水素化することで初めて得られるのであって、例えば、発光性ドーパント中の共役系骨格に直接結合する水素原子を重水素化することで、安定化している従来技術とは区別されるものである。
本発明の発光性組成物中の発光性ドーパントの好ましい割合は、組合せるホスト材料の種類等に応じて変動するであろう。一般的には、ホスト材料100質量部に対して、発光性ドーパントは、0.01〜80質量部程度であるのが好ましく、0.1〜30質量部程度であるのがより好ましく、0.1〜15質量部程度であるのがさらに好ましく、0.1〜10質量部程度であるのがよりさらに好ましい。
2. 有機電界発光素子
本発明は、基板、該基板上に、陽極、陰極、及び該両極間に、本発明の発光性組成物からなる発光層を少なくとも有する有機電界発光素子にも関する。本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、及びその間に配置される発光層を有することを必須とし、それに加えて、所望により、陽極及び/又は陰極と、発光層との間に、他の発光層及び/又は他の機能層を有していてもよい。例えば、陽極と発光層との間に配置される他の機能層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等が挙げられる。陰極と発光層との間に配置される他の機能層としては、電子注入層、電子輸送層、及び正孔阻止層等が挙げられる。これらの層は、一層で複数の機能を有していてもよい。
本発明の有機電界発光素子の一実施形態の断面模式図を図1に示す。図1中、符号1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は電子注入層、8は陰極を示している。
基板1は、その上に形成される複数の有機層の支持体となるものである。その材料については特に制限はない。石英板、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、及びプラスチックシートなどが用いられる。特に、透明な基板が好ましく、ガラス板、並びにポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等のプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムを基板1として使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要があり、ガスバリア性を向上させるために、少なくとも一方の表面に、緻密なシリコン酸化膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を改善してもよい。
基板1上には、陽極2が設けられ、陽極2から正孔注入層3へ正孔注入可能に構成されている。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム、スズおよび/または亜鉛の酸化物等の金属酸化物(例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO))、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成することができる。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することも可能である。さらに、陽極2の材料として導電性高分子を用いる場合には、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成し、あるいは基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することも可能である。陽極2は、異なる物質からなる層の積層構造であってもよい。
陽極2の厚みについて特に制限はない。透明性の観点では、一般的には、通常5〜1000nm、好ましくは10〜500nm程度である。
陽極2の上には、正孔注入層3が配置されている。正孔注入層3の材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送できることである。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと陽極の仕事関数との差が小さいことが要求される。また、可視光の光に対して透明性が高いことも好ましい。これらの観点から、正孔注入層3の材料としては、たとえばポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8−31573号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が挙げられる。ポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物は、中心金属を有していてもよいし、無金属のものであってもよい。フタロシアニン化合物の具体例としては、29H,31H-フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4',4",4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニンなどが挙げられる。正孔注入層3の材料の他の例には、正孔輸送性高分子に電子受容性化合物を混合した系が含まれる。このような正孔輸送性高分子としては、ポリチオフェン(特開平10−92584号公報)、ポリアニリン、芳香族アミン含有ポリエーテル(特開2000−36390号公報)などが挙げられる。
正孔注入層3の形成方法については特に制限はない。材料に応じて好ましい方法が選択されるであろう。昇華性を有する化合物を用いる場合には真空蒸着法、溶媒に可溶な化合物を用いる場合にはスピンコートやインクジェット等の湿式塗布法、無機物を用いる場合にはスパッタ法、電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法を用いることができる。
このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、通常3〜200nm程度、好ましくは10〜100nm程度である。
正孔注入層3の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層4の材料は、正孔注入層3からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく発光層5に輸送することができるものであることが望ましい。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルの差が小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、さらに酸化に対する安定性に優れ、製造時や使用時においてトラップとなる不純物が発生しにくいことが要求される。車載表示用の応用等を考慮した場合には、これらの要求に加えて、素子には耐熱性が要求される。素子の耐熱性を満足するためには、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上の材料を用いるのが好ましい。正孔輸送層を構成する材料の例には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N‐ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、およびこれらの構造を含む重合体が含まれる。
正孔輸送層の形成方法については、特に制限はなく、正孔注入層の形成方法と同様であり、材料に応じて、種々の方法を利用することができる。正孔輸送層4の膜厚は、通常10〜300nm程度、好ましくは30〜100nm程度である。
正孔輸送層4の上には発光層5が配置されている。発光層5は、本発明の発光性組成物からなる。発光層5の形成方法については特に制限はないが、薄層を均一に形成できる点で、蒸着法を利用するのが好ましい。
発光層5の膜厚についても特に制限はないが、通常10〜200nm程度、好ましくは30〜100nm程度である。
発光層5の上には、電子輸送層6が配置されている。電子輸送層6は、発光効率の改善に寄与し、陰極8からの電子注入が容易で、電子の輸送能力が大きい材料から構成される。このような電子輸送材料の例には、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、オキサジアゾール誘導体(J. Appl. Phys.,65巻,3610頁,1989年)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、スターバースト型ベンズイミダゾール化合物(特開平10−106749号公報)、シロール化合物(Appl. Phys. Lett.,55巻,1489頁,1989年)などが挙げられる。さらに、電子輸送層6にアルカリ金属を含有させることにより、電子輸送材料がアルカリ金属との反応により還元され、電荷キャリアとなるアニオンラジカルを効率よく生成することが可能となることから、導電性を大きく改善することができる。(特開平10−270171号公報)。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Cs等が用いられる。アルカリ金属の電子輸送層6における含有量は、1〜50重量%が好ましい。アルカリ金属を電子輸送材料に混合させる方法としては、電子輸送材料とアルカリ金属の共蒸着を用いることができる。
電子輸送層6の形成方法としては、正孔注入層の形成方法として上記に例示したものと同様の薄膜形成法を用いることができる。電子輸送層6の膜厚は、通常5〜200nm程度、好ましくは10〜100nm程度である。
電子輸送層6の上には、電子注入層7が配置されている。電子注入層7は、陰極8からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層7を構成する材料の例、形成方法の例、及び厚みについては、電子輸送層6と同様である。
発光層5が、りん光発光性ドーパントがドーピングされている態様では、りん光発光の効率をさらに改善するために、発光層と陰極8との間に、正孔阻止層を設けることは有効である。この正孔阻止層に用いられる材料には電子輸送性とともに電子輸送層材料より広いHOMO−LUMOギャップを有することが求められる。このような条件を満たす材料としては、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。
なお、電子輸送層6又は電子注入層7が、正孔阻止層としても機能していてもよい。
陰極8は、発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8の材料としては、陽極2に使用される材料として上記に例示したものなどを用いることができるが、効率よく電子注入を行なうためには、仕事関数の低い金属が好ましく、このような金属の具体例としては、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属またはそれらの合金などが挙げられる。より具体的には、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等が挙げられる。
形成方法の例、及び厚みについても、陽極と同様である。
さらに、陰極8と、電子注入層7との界面に、LiF、MgF2、Li2O、Cs2CO3、8−ヒドロキシキノリンのLi錯体等の極薄絶縁膜(膜厚0.1〜5nm程度)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett.,70巻,152頁,1997年、IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年、SID 04 Digest,154頁,2004年、特開平11−233262号公報)。
なお、図1は、本発明に係る有機電界発光素子の一実施形態を示すものであって、本発明は何ら図示した構成に限定されるものではない。たとえば、図1とは逆の積層構造とすること、すなわち、基板1上に陰極8、電子注入層7、電子輸送層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能である。以下に、他の構成例を示すが、下記の例に限定されるものではない。また上記した通り、いずれの側に基板が配置されていてもよい。
陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
陽極/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/陰極
陽極/発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
本発明の有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造の素子のいずれにおいても適用することができる。
3.ベンゾジフラン誘導体
また、本発明は、下記式(Id)で表されるベンゾジフラン誘導体にも関する。本発明のベンゾジフラン誘導体は、ドーピング法を利用した発光性組成物のホスト材料、特にリン光発光性材料(例えばイリジウム錯体)のホスト材料として有用である。特に、下記式(Id)中、R13〜R15の少なくとも1つが重水素原子(好ましくは2以上、さらに好ましくは全てが重水素原子)、及びR23〜R25の少なくとも1つが重水素原子(好ましくは2以上、さらに好ましくは全てが重水素原子)である化合物は、ホスト材料として有用であるのみならず、ドーピング法を利用した発光性組成物の長寿命化に寄与する。また、下記式(Id)で表されるベンゾジフラン誘導体は、発光性組成物のホスト材料としてのみならず、有機電界発光素子の正孔輸送材料、又は電荷輸送材料としての利用も期待される。
Figure 2011148725
式(Id)中、R13〜R15及びR23〜R25はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。前記アルキル基は、C1〜C4の低級アルキル基であっても、C5以上の高級アルキル基であってもよい。また、アルキル基の置換基としては、置換基を有してもよいアリール基およびヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルスルファニル基等のヘテロ元素をもつもの、シリル基等が挙げられる。前記置換もしくは無置換のアルキル基としては、無置換のC1〜C4の低級アルキル基(例えばメチル基)が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
1.ベンゾジフラン誘導体(CZBDF−1〜3)の製造例
文献既知化合物を出発原料として、下記のベンゾジフランの環化前駆体Pre−1、Pre−2及びPre−3をそれぞれ合成した。
Figure 2011148725
なお、一例として、Pre−1の合成例を以下に記載する。
Figure 2011148725
Pre−1aの5.18g(16mmol)をテトラヒドロフラン(48mL)に溶解した溶液に、0℃にてノルマルブチルリチウム(n−BuLi)の1.56mol/Lのヘキサン溶液を滴下し、室温にて30分間攪拌し、反応を進行させた。次に、反応液に、CD3Iを4.00mL(64.0mmol)添加して、室温にて22時間反応を進行させ、Pre−1bを得た。収率は94%であった。
Pre−1bの1.08g、p−トルエンスルホン酸一水和物を28.5mg、及びCH2Cl2とメタノールとの2:1混合溶媒を混合して、室温で30分間反応させて、Pre−1を得た。収率は95%であった。
以下に、Pre−2及びPre−3についても、簡単に合成スキームを示す。
Figure 2011148725
上記ベンゾジフランの環化前駆体Pre−1、Pre−2及びPre−3のそれぞれを出発原料として、下記のスキームに従って、ベンゾジフラン誘導体CZBDF−1〜3をそれぞれ合成した。
Figure 2011148725
CZBDF−1の合成を例として示す.Pre−1の577mg(3.0mmol)の脱水テトラヒドロフラン(3.0mL)溶液に、0℃にてn−BuLi(1.56mol/Lのヘキサン溶液)3.85mLを滴下した後、反応混合物を室温まで昇温し、合計30分攪拌した。この反応混合物に塩化亜鉛の1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液を6.0mL、脱水トルエンを6.0mL加え、120℃に昇温し、3時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、N−メチルピロリドンを1.5mL、Pd2(dba)3・CHCl3を31.1mg(0.3mmol)、P(t−Bu)3の1.0mol/Lのトルエン溶液を1.2mL(1.2mmol)、上記Agent−1を2.32g(7.2mmol)加え、60℃にて20時間攪拌した。室温へ冷却後、反応溶液にメタノールを加えて沈殿を析出させ、濾過したものを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させることで粗生成物を得た。
これを昇華精製装置により単離精製を数回繰り返すことで、目的物CZBDF−1をそれぞれ収率27%で得た。同定は、1Hおよび13C−NMRにより行った。
1H NMR (500 MHz, CDCl2CDCl2) δ7.29 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 7.43 (t, J = 7.5 Hz, 4H),7.52 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 7.67 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.72 (s, 2H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 8.13 (d, J = 7.5 Hz, 4H).
13C NMR (125 MHz, CDCl2CDCl2) δ100.4, 110.1, 116.4, 120.3, 120.5, 123.3, 126.1, 126.3, 127.3, 130.3, 136.3, 140.8, 151.3, 152.6.
CZBDF−2及び3についても同様の方法により収率54〜67%で得た。同定は、1H NMRおよび元素分析により行った。
CZBDF−2:
1H NMR (500 MHz, CDCl2CDCl2) δ 2.63 (s, 6H), 7.29 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 7.43 (t, J = 7.5 Hz, 4H),7.52 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.67 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.72 (s, 2H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 8.13 (d, J = 8.0 Hz, 4H).
元素分析 C48H32N2O6:計算値(重量%) C 86.20; H 4.82; N 4.19.実測値 C 86.32; H 4.67; N 4.06
CZBDF−3:
1H NMR (500 MHz, CDCl2CDCl2) δ1.31 (s, 18H), 7.29 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 7.31 (s, 2H), 7.44 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 7.52 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.58-7.63 (m, 8H), 8.13 (d, J = 8.0 Hz, 4H).
元素分析 C54H44N2O6:計算値(重量%) C 86.14; H 5.89; N 3.72.実測値 C 86.21; H 5.99; N 3.51
2.ベンゾジフラン誘導体の基礎物性
上記で得られたベンゾジフラン誘導体CZBDF−1〜3について、それぞれ軌道エネルギー準位(HOMO,LUMO)をサイクリックボルタンメトリーおよび紫外可視吸収スペクトルによって、励起三重項エネルギー準位(T1)をリン光測定によって、及び正孔移動度(μh)を非晶質膜を用いた飛行時間法によってそれぞれ測定した。結果を下記式に示す。
Figure 2011148725
上記表に示す通り、CZBDF−1〜3のいずれも、りん光発光性ドーパントのホスト材料として機能することが理解できる。
3.有機電界発光素子(デバイスNo.1〜3)の作製と評価
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。ガラス基板1上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜をスパッタ法で145nm堆積してITO膜(シート抵抗10Ω,平均表面粗さ1.5nm)を形成し、さらに通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、陽極2を形成した。パターン形成したITO基板に対して、界面活性剤(横浜油脂工業株式会社製 セミクリーンM−LO)による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄、および流水洗浄を行った後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
上記洗浄処理を行った陽極2上に、正孔注入層3として、導電性高分子(ポリチオフェン)であるPEDOT:PSS(スタルクヴィテック社製 品名Baytron CH 8000)を70nmの膜厚でスピンコートした後、大気中、120℃で10分間加熱乾燥し、次いで、窒素中、180℃で3分間加熱処理した。
次に、正孔注入層3を形成したITO基板を真空蒸着装置内に設置した。当該装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2×10-4Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。
上記装置内に配置された金属ボートに入れた下記の芳香族アミン化合物(α−NPD)を加熱し、正孔注入層3を形成したITO基板への蒸着を行った。蒸着時の真空度は2.4×10-4Pa、蒸着速度は0.15nm/秒であり、膜厚45nmの膜を正孔注入層3の上に積層して正孔輸送層4を形成した。
Figure 2011148725
続いて、発光層5の材料として、CZBDF−1〜3のいずれかをホスト材料とし、該ホスト材料に対して4.3〜4.5質量%の下記に示すイリジウム錯体(Ir(ppy)3)をドーピングした発光性組成物をそれぞれ調製し、正孔輸送層4と同様にして蒸着により、発光層5をそれぞれ形成した。蒸着速度0.07〜0.12nm/秒、蒸着時の真空度2.5〜2.7×10-4Paの条件で実施した。蒸着された発光層5の膜厚は30nmであった。
Figure 2011148725
発光層5の上に、下記構造のBCPからなる電子輸送層6を、蒸着法により正孔輸送層4と同様にして形成した。蒸着速度0.05〜0.10nm/秒、蒸着時の真空度2.4〜2.5×10-4Paの条件で実施した。電子輸送層6の膜厚は10nmであった。
Figure 2011148725
電子輸送層6の上に、アルミニウムの8-ヒドロキシキノリン錯体Al(C9H6NO)3からなる電子注入層7を、蒸着法により正孔輸送層4と同様にして形成した。電子注入層7の膜厚は、20nmであった。
その後、電子注入層7までの蒸着を行った素子を、真空中で金属蒸着用の真空室に移動し、陰極蒸着用のマスクとして、2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、有機層の場合と同様にして装置内の真空度が3×10-4Pa以下になるまでクライオポンプにより排気した。
電子注入層7の上に、陰極8からの電子注入を容易にするために、陰極界面層として、8-ヒドロキシキノリンのリチウム錯体を蒸着速度0.008nm/秒、蒸着時の真空度2.2×10-4Paの条件において、膜厚1.0nmで形成した。
続いて、アルミニウムを蒸着速度0.5nm/秒で陰極界面層上に、膜厚80nmで形成した。蒸着時の真空度は2.3×10-4Paであった。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
作製したそれぞれの素子について、電圧を可変させて、L−V特性を追跡し、L−V曲線から、最高輝度(Lmax)及びランバーシアン仮定に基づく最高外部量子効率(EQEmax)、並びに駆動電圧(V1000)及び輝度効率(η1000)を求めた。結果を下記表に示す。
Figure 2011148725
続いて、デバイスNo.1及び2については、電流密度を12.5mA/cm2に一定として、半減期t1/2を測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2011148725
上記2つの表に示す通り、デバイスNo.1は、発光層5の材料として、重水素化されたホスト材料(CZBDF−1)にりん光発光性ドーパントをドーピングした発光性組成物を利用しているので、発光層5の材料として、重水素化されていないホスト材料(CZBDF−2)にりん光発光性ドーパントをドーピングした発光性組成物を利用しているデバイスNo.2と比較して、最高輝度が格段に向上しているとともに、半減期が5倍となっていて、長寿命化を達成していることが理解できる。即ち、ホスト材料を重水素化することによって、なんらデバイス特性を損なうことなく、輝度が改善され、且つ長寿命化を達成できたことが理解できる。
一方、デバイスNo.3は、Rがt−ブチル基であるCZBDF−3を発光層5のホスト材料とし用いたデバイスであり、Rがメチル基であるCZBDF−2と比較して、反応性の高い水素原子(α位の炭素原子に結合した水素原子)がメチル基に置換されている安定性の高いホスト材料を、発光層5に利用しているデバイスである。その結果、最高輝度は、デバイスNo.1と同程度に改善されている。一方で、移動度が低くなり、駆動電圧が顕著に上昇したことが理解できる。よって、デバイスNo.3はNo.2と比較して安定化されているものの、駆動電圧の点では劣っていることが理解できる。
4.有機電界発光素子(デバイスNo.4)の作製と評価
デバイスNo.2の作製において、発光層5の材料として、CZBDF−2をホスト材料とし、該ホスト材料に対して4.3質量%の下記に示す重水素化イリジウム錯体(Ir(Dppy)3)をドーピングした発光性組成物を用いた以外は、デバイスNo.2と同様にして、デバイスNo.4を作製した。
Figure 2011148725
デバイスNo.4についても、上記と同様に種々のデバイス特性を測定したところ、デバイスNo.1及び2と、初期のデバイス特性(駆動電圧及び最高効率)については、同様であった。次に、電流密度を12.5mA/cm2に一定として、半減期t1/2を測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2011148725
上記表に示す通り、デバイスNo.4は、寿命の点では、デバイスNo.2と同程度であり、長寿命化を達成できていなかった。即ち、ドーピング法を利用した発光性組成物について、ドーパントを重水素化しても、長寿命化を達成することができないこと、ホスト材料を重水素化することで、はじめて長寿命化が達成できることが理解できる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (14)

  1. 発光性ドーパントとホスト材料とを少なくとも含む発光性組成物であって、前記ホスト材料中に存在するCH結合の水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている発光性組成物。
  2. 前記ホスト材料が、少なくとも1つの芳香族環を含む環系部分構造と、該環系部分構造にσ結合で結合したC1以上の有機基とを有し、該有機基中のCH結合の少なくとも一部の水素原子が、重水素原子に置換されている請求項1に記載の発光性組成物。
  3. 前記有機基のα位の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている請求項2に記載の発光性組成物。
  4. 非共役系炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が、重水素原子に置換されている請求項2又は3に記載の発光性組成物。
  5. 前記有機基が、置換もしくは無置換のアルキル基である請求項2〜4のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  6. 前記環系部分構造が、少なくとも一つのベンゼン環を含む請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  7. 前記環系部分構造が、下記式(I)又は(II)
    Figure 2011148725
    で表される請求項2〜6のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  8. 前記ホスト材料が、下記式(Ia)又は(Ib)
    Figure 2011148725
    式中、R1〜R4はそれぞれ水素原子又は置換基を表すが、少なくとも1つは、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;Cは炭素原子を表し;Dは重水素原子を表し;R11、R12、R21及びR22はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す;
    で表される化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  9. 3及びR4がそれぞれ、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、又は置換もしくは無置換のN−カルバゾリル基を表し;R1及びR2が水素原子を表す請求項8に記載の発光性組成物。
  10. 前記ホスト材料が、下記式(Ib)
    Figure 2011148725
    式中、R11、R12、R21及びR22はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す;
    で表される化合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  11. 前記発光性ドーパントが、りん光発光材料である請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  12. 前記発光性ドーパントが、イリジウム錯体である請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光性組成物。
  13. 基板、該基板上に、陽極、陰極、及び該両極間に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発光性組成物からなる発光層を少なくとも有する有機電界発光素子。
  14. 下記式(Id)で表されるベンゾジフラン系誘導体:
    Figure 2011148725
    式中、R13〜R15及びR23〜R25はそれぞれ、重水素原子、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
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