JP2011144846A - 動圧気体軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受ハウジングの内壁に設けられ、複数のフォイルを具備する動圧気体軸受において、複数のフォイルを逆方向に摺動させ、フォイルの振幅が大きくなった際のダンピング効果をより確実に得るようにする。
【解決手段】軸受ハウジング1の内壁1aに設けられ、複数のフォイル3を具備する動圧気体軸受において、フォイル3の周方向中間部の軸方向端部に、該フォイル3を軸受ハウジング1に対して位置決めするための突起33を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、航空機のエアサイクルマシン、ヘリウム液化装置の膨張タービン、自動車のターボチャージャ等の高速回転機械に使用される軸受に関し、特に、軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成された気体膜により荷重を支持する動圧気体軸受に関する。
高速回転機械用に使用される軸受として、軸を取り付ける対象である固定部材と軸に設けた回転受圧部との間に形成した空間により両部材間に薄い気体膜を生じさせ、この気体膜の潤滑作用により荷重を支持する動圧気体軸受が従来知られている。
このような従来の動圧気体軸受の一例として、複数枚のフォイルを固定部材にそれぞれ係止するとともに、互いに隣接するフォイルを重ね合わせ、軸に近い側のフォイルをたわませて固定部材に近い側のフォイルに支持させる構成のものが知られている(特許文献1参照)。
特開平4−54309号公報
しかして、前記特許文献1のもののような構成では、複数枚のフォイルそれぞれの下流側端部を順次固定部材に取り付けるようにしているので、フォイルに過大な押さえつけ力が作用した際には、気体膜からの圧力を受けた際にアッパーフォイルとアンダーフォイルとが同じ方向に延伸しようとする。すると、アッパーフォイルとアンダーフォイルとが互いに摺動する際の相対移動の量が小さくダンピング効果を得にくいので、フォイルに過大な押さえつけ力が作用した際に振動や騒音が発生しやすくなるという不具合が存在する。
本発明は、以上を踏まえ、アッパーフォイルとアンダーフォイルとを互いに大きく摺動させてより効果的にダンピング効果が得られるようにすることにより、振動や騒音の発生を抑制することを目的とする。
すなわち本発明に係る動圧気体軸受は、軸受ハウジングの内壁に設けられ、複数のフォイルを具備するものであって、フォイルの周方向中間部の軸方向端部に、該フォイルを軸受ハウジングに対して位置決めするための突起を設けているとともに、この突起を、前記フォイルを形成する部材の軸方向端部を屈曲させることにより形成していることを特徴とする。
このような構成によれば、フォイルの上流側を軸受ハウジングの内壁に対向するアンダーフォイル、下流側をこのアンダーフォイルと軸との間に位置するアッパーフォイルとすることで、フォイルに過大な押さえつけ力が作用した際にアンダーフォイルとアッパーフォイルとが逆方向に移動し、これらの間の相対的な摺動量を大きくしてより確実にダンピング効果を得られる構成の動圧気体軸受を、より少ない手間で実現することができる。
また、前記突起が軸受ハウジングに接触するとともに、前記フォイルが軸受ハウジングに向けて押し付けられた際に前記突起が弾性変形するものであれば、アッパーフォイルがさらに軸受ハウジングに近接し、アンダーフォイルとアッパーフォイルとがさらに大きく相対移動するので、アンダーフォイルとアッパーフォイルとの間の摩擦を利用したダンピング効果をより大きく得ることができる。
本発明に係る動圧気体軸受の構造によれば、フォイルの上流側を軸受ハウジングの内壁に対向するアンダーフォイル、下流側をこのアンダーフォイルと軸との間に位置するアッパーフォイルとすることで、フォイルに過大な押さえつけ力が作用した際にアンダーフォイルとアッパーフォイルとが逆方向に移動するので、これらの間の相対的な摺動量を大きくしてより確実にダンピング効果を得ることができる。従って、より効果的に振動や騒音の発生を抑制することができる。
本発明の第一実施形態に係る動圧気体軸受を示す正面図。 同実施形態に係るフォイルを示す斜視図。 同実施形態に係るフォイルを示す側面図。 本発明の第二実施形態に係る動圧気体軸受を示す正面図。
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る軸受は、図1に概略正面図、図2に要部の中央横断面図をそれぞれ示すようなジャーナル軸受であり、軸2を取り付ける対象である軸受ハウジング1と軸2との間に設けられる。すなわち、前記軸受ハウジング1の内壁1aに設けられる。また、この軸受は、複数のフォイル3を具備するものであって、これら複数のフォイル3を軸2と前記軸受ハウジング1との間に配した際に、一のフォイル3と、他のフォイル3とが重なり合い、各フォイル3の一部が軸2に対向するアッパーフォイル31として機能するとともに、各フォイル3の他の一部が前記アッパーフォイル31と前記内壁1aとの間に位置し、内壁1aに対向するアンダーフォイル32として機能する。そして、前記フォイル3と前記軸2との間に図示しない気体膜を形成し、この気体膜の気圧を利用して軸2を支持する。すなわち、本実施形態に係る軸受は、フォイル型のジャーナル気体軸受である。なお、前記図1及び図2では、フォイル3は形状の理解を容易にするため、一定の厚さで示されているが、実際には、例えば0.1〜0.2mmの板状であり、かつ軸2を巻回する環状に形成されている。
さらに詳述すると、前記フォイル3は、本実施形態ではいずれも板状をなし、前記内壁1aに沿って配置される。また、このフォイル3の周方向中間部の軸方向端部には、該フォイル3を軸受ハウジング1に対して位置決めするための突起33を設けているとともに、この突起33を、前記フォイル3を形成する部材の軸方向端部を屈曲させることにより形成している。さらに詳述すると、この突起33は、図2に示すように、フォイル3の周方向中間部の軸方向両端部からそれぞれ軸方向に突出する接続部33aと、この接続部33aの端部を軸2から離間する方向に折り返して形成してなるとともに前記軸受ハウジング1に設けた凹部1xに挿入させてなる突出部33bとを有する。そして、本実施形態では、各フォイル3の下流側ほぼ半分を、周方向に隣接するフォイル3の上流側ほぼ半分の軸2側に重ね合わせた状態で、前記突起33の突出部33bを軸受ハウジング1に設けた凹部1xに挿入することによりフォイル3を軸受ハウジング1に取り付けるようにしている。すなわち、前記図1及び図4に示すように、各フォイル3の下流側ほぼ半分が、軸2に対向するアッパーフォイル31として機能するとともに、各フォイル3の上流側ほぼ半分が、前記内壁1aと他方のフォイル3の前記アッパーフォイル31として機能する部分との間に位置するアンダーフォイル32として機能するようにしている。
ここで、軸2が回転すると、軸2とフォイル3との隙間の空気等の気体が気体の粘性により引張られ、この隙間に形成してなる気体膜Sの圧力が上昇する。この圧力上昇によって、まず、各フォイル3のアッパーフォイル31として機能する部分が軸受ハウジング1側に向かう作用を受ける。この際、前記アッパーフォイル31として機能する部分は、隣接するフォイル3のアンダーフォイル32として機能する部分に圧接し、前記アンダーフォイル32として機能する部分が軸受ハウジング1側に向かう作用を受ける。そして、気体膜Sの形状が、例えば、入口部分から下流側に進むにつれ幅が小さくなるなど、適切な形状に維持され、前記アッパーフォイル31の下流側端縁近傍すなわち自由端近傍で気体の圧力上昇が生じる。この圧力上昇により軸受は軸2を非接触で支えることになる。
ここで、フォイル3に気体膜Sによる押さえつけ力が作用した際には、アンダーフォイル32は上流側に向かい移動する。一方、アッパーフォイル31は下流側に向かい移動する。すなわち、フォイル3に過大な押さえつけ力が作用した際には、これらアッパーフォイル31及びアンダーフォイル32は互いに逆方向に摺動し、この摺動の際に振動エネルギーを熱エネルギー等に変換して振動を抑制する効果であるダンピング効果が得られる。
以上に述べたように、本実施形態に係る軸受の構成によれば、フォイル3の上流側を軸受ハウジング1の内壁1aに対向するアンダーフォイル32、下流側をこのアンダーフォイル32と軸2との間に位置するアッパーフォイル31とすることで、フォイル3に過大な押さえつけ力が作用した際にアンダーフォイル32とアッパーフォイル31とが逆方向に移動し、これらの間の相対的な摺動量を大きくしてより確実にダンピング効果を得られる構成の動圧気体軸受を、より少ない手間で実現することができる。
次いで、本発明の第二実施形態を、図4を参照して説明する。なお、上述した第一実施形態におけるものと共通の部位には、共通の名称及び符号を付している。以下、上述した第一実施形態との相違点についてのみ述べる。
本実施形態においては、図4に示すように、突起33の突出部33bの突出端を折り返して折り返し部33xを設けるとともに、突出端すなわち折り返し部33xを前記軸受ハウジング1の凹部1xに当接させ、フォイル3が軸受ハウジング1に向けて押し付けられた際にこの折り返し部33xが弾性変形するようにしている。
このように構成することにより、上述した第一実施形態に係る構成の効果に加えて、以下のような作用効果が得られる。すなわち、フォイル3が軸受ハウジング1に大きな力で押し付けられ前記突起33の折り返し部33xが弾性変形した際に、アッパーフォイル31がさらに軸受ハウジング1に近接し、アンダーフォイル32とアッパーフォイル31とがさらに大きく相対移動するので、アンダーフォイル32とアッパーフォイル31との間の摩擦を利用したダンピング効果をより大きく得ることができるという効果が得られる。
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
例えば、軸受ハウジングの内壁に対向するアンダーフォイルとなるべき部位に、軸方向に延伸する突条を設ける等の手段により、アッパーフォイルとなるべき部位を軸に向かう方向に付勢するバネとしての機能を付与させてもよい。
また、ジャーナル軸受だけでなく、スラスト軸受に本発明を適用してもよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
1…軸受ハウジング
2…軸
3…フォイル
33…突起

Claims (2)

  1. 軸受ハウジングと、この軸受ハウジングと軸との間に設けてなる複数のフォイルとを具備するものであって、フォイルの周方向中間部の軸方向端部に、該フォイルを軸受ハウジングに対して位置決めするための突起を設けているとともに、この突起を、前記フォイルを形成する部材の軸方向端部を屈曲させることにより形成していることを特徴とする動圧気体軸受。
  2. 前記突起が軸受ハウジングに接触するとともに、前記フォイルが軸受ハウジングに向けて押し付けられた際に前記突起が弾性変形する請求項1記載の動圧気体軸受。
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