JP2011144389A - インクジェット記録用非水系インク組成物、インクジェット記録方法および記録物 - Google Patents

インクジェット記録用非水系インク組成物、インクジェット記録方法および記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂を添加することにより粘度が調整された非水系金属顔料インク組成物であるにも拘わらず、インクの吐出安定性および記録媒体上における乾燥性に優れ、かつ、クリアな金属光沢を有する画像を形成することができるインクジェット記録用インク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物は、少なくとも金属顔料と、有機溶剤と、16.5〜48%のブチル化率を有するセルロースアセテートブチレート樹脂と、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用非水系インク組成物、インクジェット記録方法および記録物に関する。
従来から市販されているアルミニウム顔料は、その平均粒子径が10μm以上であり(例えば、特許文献1および2参照)、インクジェットプリンターの微細なノズル(直径30μm以下)やろ過フィルターを通過させることが非常に困難であった。また、アルミニウム顔料の平均粒子径を小さくすると、表面積が大きくなるために周囲の水分と反応するようになり、従来の粉砕法やアトマイズ法で1μm以下の平均粒子径を得ることは非常に困難であった。これらの課題を解決するために、インクジェットインクで用いることのできる薄片形状のアルミニウム顔料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、インクジェット記録用インク組成物は、記録媒体上に一定量のインクを吐出するために適切な粘度に調整する必要がある。非水系インク組成物である場合、粘度調整剤として、高粘度の有機溶剤、樹脂または樹脂が分散されたエマルジョン等を添加することが一般に行われている。しかしながら、金属顔料を含有する非水系インク組成物に高粘度の有機溶剤を添加すると、記録媒体上においてインクの乾燥に時間を要し、またインクの定着性が劣化するという問題があった。一方、金属顔料を含有するインク組成物に樹脂または樹脂が分散されたエマルジョンを添加すると、金属の光沢感も減少し、さらにインクの吐出も不安定になるという問題があった。
さらに一方で、薄片形状のアルミニウム顔料を用いて実際にインクジェットプリンターにより被印刷媒体に印刷すると、その印刷環境によってインク乾燥時およびインク乾燥後の顔料配向性が変化するため、印刷環境によってはインクにより本来表現できるはずの光沢特性を表現できず、印刷領域の光沢特性として十分なものが得られないという問題があった。
米国特許第4233195号明細書 米国特許第5662738号明細書 特開2007−131741号公報
本発明の一つの目的は、樹脂を添加することにより粘度が調整された非水系金属顔料インク組成物であるにも拘わらず、インクの吐出安定性および記録媒体上における乾燥性に優れ、かつ、クリアな金属光沢を有する画像を形成することができるインクジェット記録用非水系インク組成物を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、該非水系インク組成物を用いたインクジェット記録方法において、該非水系インク組成物のもつ光沢特性を十分に発揮でき、かつ、高い金属鏡面光沢特性を維持することができるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物は、少なくとも金属顔料と、有機溶剤と、16.5〜48%のブチル化率を有するセルロースアセテートブチレート樹脂と、を含有する。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物おいて、前記セルロースアセテートブチレート樹脂のブチル化率は、16.5〜39%であることができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記金属顔料は、平板状粒子であって、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は、0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすことができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物おいて、前記金属顔料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記金属顔料の濃度は、0.5質量%以上3.0質量%以下であることができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記有機溶剤は、アルキレングリコール化合物およびラクトンから選択される少なくとも1種を含有することができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記アルキレングリコール化合物は、エチレングリコール化合物およびプロピレングリコール化合物から選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記ラクトンは、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンから選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物において、前記セルロースアセテートブチレート樹脂の重量平均分子量は、60,000〜90,000であることができる。
本発明に係るインクジェット記録方法は、上記のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体上に付着させて金属光沢画像の印刷を行うことを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録方法において、前記記録媒体は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、セロファン、ナイロン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−メタクリル酸共重合体から選択される1種のフィルムであることができる。
本発明に係るインクジェット記録方法において、前記記録媒体の印字面側の最表面に、樹脂を含有するインク受容層を形成することができる。
本発明に係るインクジェット記録方法において、印刷時の乾燥温度は、8℃以上40℃以下であることができる。
本発明に係る記録物は、上記のインクジェット記録方法によって、金属光沢画像が記録されたものである。
本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物は、少なくとも金属顔料と、有機溶剤と、16.5〜48%のブチル化率を有するセルロースアセテートブチレート樹脂と、を含有する。以下、本発明に好適な実施形態について、詳細に説明する。
1.インクジェット記録用非水系インク組成物
1.1 金属顔料
本実施形態に係る非水系インク組成物は、金属顔料を含有する。
上記金属顔料は、金属蒸着膜を破砕して作製された平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすことが好ましい。
「平板状粒子」とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。平板状粒子は、金属蒸着膜を破砕して作製されたものであるため、略平坦な面と、略均一な厚みの金属粒子を得ることができる。したがって、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義することができる。
「円相当径」は、金属顔料の平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該金属顔料の粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、金属顔料の平板粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、その金属顔料の平板粒子の円相当径という。
平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は、金属光沢、印字安定性の観点から0.5〜3μmであることがより好ましく、0.75〜2μmであることが特に好ましい。50%平均粒子径R50が0.5μm未満の場合は、光沢不足となる。一方、50%平均粒子径R50が3μmを超える場合、印字安定性が低下する。
また、円相当径の50%平均粒子径R50と厚みZとの関係においては高い金属光沢を確保する観点からは、R50/Z>5である。R50/Zが5以下の場合は、金属光沢が不足するという問題がある。
平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の最大粒子径Rmaxは、インクジェット記録装置におけるインク組成物の目詰まり防止の観点から、10μm以下であることが好ましい。Rmaxを10μm以下にすることで、インクジェット記録装置のノズル、およびインク流路内に設けられた異物除去用フィルターなどの目詰まりを防止することができる。
上記金属顔料は、コストの観点および金属光沢を確保する観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加され得る別の金属元素または非金属元素としては、金属光沢を有する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではない。その他の金属として、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体またはこれらの合金およびこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。
上記金属顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属または合金層とが順次積層された構造からなる金属顔料原体の前記金属または合金層と前記剥離用樹脂層との界面を境界として前記シート状基材より剥離し粉砕し微細化して平板状粒子を得る。そして、得られた平板状粒子の平面上の長径X、短径Yおよび円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、シスメックス社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000Sを利用することができる。
上記金属顔料(平板状粒子)の粒度分布(CV値)は、下記式(1)から求められる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 …(1)
ここで、得られるCV値は60以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、40以下であることが特に好ましい。CV値が60以下の金属顔料を選択することで、印字安定性に優れるという効果が得られる。
金属または合金層は、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法によって形成されることが好ましい。
金属または合金層の厚さは、20nm以上100nm以下で形成される。これにより、平均厚みが20nm以上100nm以下の顔料が得られる。20nm以上にすることで、反射性、光輝性に優れ、金属顔料としての性能が高くなり、100nm以下にすることで、見かけの比重の増加を抑え、金属顔料の分散安定性を確保することができる。
上記金属顔料原体における剥離用樹脂層は、前記金属または合金層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、アクリル酸重合体または変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記の一種または二種以上の混合物の溶液を記録媒体に塗布し、乾燥等を施して層が形成される。塗布後は粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート塗布等により形成される。塗布、乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行う。
剥離用樹脂層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層と界面で剥離しやすいものとなってしまう。
シート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。
これらのシート状基材の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmの範囲が好ましい。10μm以上であれば、工程等で取り扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
また、上記金属または合金層は、特開2005−68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、例えば、ゾル−ゲル法によりテトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシドまたはその重合体から形成されることが好ましい。
保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドまたはセルロース誘導体等が挙げられるが、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体から形成されることが好ましい。
上記樹脂一種または二種以上の混合物の溶液を塗布し、乾燥等を施した層が形成される。塗布液には粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
上記酸化ケイ素および樹脂の塗布は、上記剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
上記保護層の厚さは、特に制限されないが、50nm〜150nmの範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなりすぎるため、粉砕・分散が困難となり、また金属または合金層との界面で剥離してしまう場合がある。
また、特開2005−68251号公報に例示されるように、前記「保護層」と「金属または合金層」との間に色材層を有していてもよい。
色材層は、任意の着色複合顔料を得るために導入するものであり、本発明に使用する金属顔料の金属光沢、光輝性に加え、任意の色調、色相を付与できる色材を含有できるものであれば特に制限されるものではない。この色材層に用いる色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。また、染料、顔料としては、公知のものを適宜使用することができる。
この場合、色材層に用いられる「顔料」とは、一般的な工学の分野で定義される、天然顔料、合成有機顔料、合成無機顔料等を意味し、本発明の「金属顔料原体」等の、積層構造に加工されたものとは異なるものである。
この色材層の形成方法としては、特に限定されないが、コーティングにより形成することが好ましい。
また、色材層に用いられる色材が顔料の場合は、色材分散用樹脂をさらに含むことが好ましく、該色材分散用樹脂としては、顔料と色材分散用樹脂と必要に応じてその他の添加剤等を溶媒に分散または溶解させ、溶液としてスピンコートで均一な液膜を形成した後、乾燥させて樹脂薄膜として作製されることが好ましい。
なお、金属顔料原体の製造において、上記の色材層と保護層の形成がともにコーティングにより行われることが、作業効率上好ましい。
金属顔料原体としては、前記剥離用樹脂層と金属または合金層と保護層の順次積層構造を複数有する層構成であってもよい。その際、複数の金属または合金層からなる積層構造の全体の厚み、すなわち、シート状基材とその直上の剥離用樹脂層を除いた、金属若しくは合金−剥離用樹脂層−金属若しくは合金層、または剥離用樹脂層−金属若しくは合金層の厚みは5000nm以下であることが好ましい。5000nm以下であると、金属原料原体をロール状に丸めた場合でも、ひび割れ、剥離を生じ難く、保存性に優れる。また、顔料化した場合も光輝性に優れており好ましいものである。
また、シート状基材面の両面に、剥離用樹脂層と金属または合金層とが順次積層された構造も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シート状基材からの剥離処理方法としては、特に限定されないが、金属顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法、また液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い、剥離処理と剥離した金属顔料原体の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られる顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。また、該顔料を用いたインク組成物においては、前記剥離用樹脂層由来の樹脂は紙等の記録媒体に対する接着性を付与する機能も担う。
上記金属顔料の濃度は、インク組成物全質量に対して好ましくは0.1〜5.0質量%であり、より好ましくは0.25〜2.5質量%であり、特に好ましくは0.5〜2.0質量%である。
1.2 有機溶剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、常温常圧下で液体のアルキレングリコール化合物およびラクトンから選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、アルキレングリコール化合物を含有することがより好ましい。
アルキレングリコール化合物は、国際公開第2002/055619パンフレットに記載されているような、エチレングリコール化合物またはプロピレングリコール化合物であることが好ましい。
エチレングリコール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールジエーテルが挙げられ、好ましくはジエチレングリコールである。
また、プロピレングリコール化合物としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールジエーテルが挙げられ、好ましくはジプロピレングリコールである。
前記ジエチレングリコール化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるジエチレングリコール化合物を用いることができる。
Figure 2011144389
(式中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはR13CO基であり、R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)
本明細書において、「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分枝状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基であることができる。
ジエチレングリコール化合物として、例えば、ジエチレングリコール;ジエチレングリコールエーテル(特に、アルキルエーテル)、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジn−ブチルエーテル;または、ジエチレングリコールエステル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、若しくはジエチレングリコールモノアセテートが挙げられる。これらの中では、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、若しくはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが好ましい。
また、前記ジプロピレングリコール化合物としては、例えば、一般式(3)で表されるジプロピレングリコール化合物を用いることができる。
Figure 2011144389
(式中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはR23CO基であり、R23は炭素数1〜4のアルキル基である。)
ジプロピレングリコール化合物として、例えば、ジプロピレングリコール;またはジプロピレングリコールエーテル(特に、アルキルエーテル)、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、若しくはジプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
前記ラクトンとしては、炭素原子数6以下のラクトンが好ましく、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンであることが好ましい。
ジエチレングリコール化合物、ジプロピレングリコール化合物、およびラクトンは、それらの沸点が常圧下で、それぞれ150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。
また、ジエチレングリコール化合物およびジプロピレングリコール化合物は、それらの20℃での蒸気圧が、好ましくは1hPa以下、より好ましくは0.7hPa以下である。上記のような高沸点および低蒸気圧の条件を満たすジエチレングリコール化合物およびジプロピレングリコール化合物を用いることにより、局所的排気設備または排ガス処理設備を設ける負担が軽減され、作業環境の向上が可能となり、また周辺環境への環境負荷も軽減することが可能となる。
本実施形態に用いられる非水系インク組成物においては、前記ジエチレングリコール化合物を含有することが好ましく、その含有量は、印刷特性によって適宜選択することができるが、インク組成物全体の質量に対して20質量%〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態に用いられる非水系インク組成物においては、有機溶媒として、前記ジエチレングリコール化合物、前記ジプロピレングリコール化合物、前記ラクトンないしはそれらの混合物に加えて、さらに、常温常圧下で液体であり、下記一般式(4)で表されるポリエチレングリコールモノエーテル化合物を含むことができる。
Figure 2011144389
(式中、R31は、炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基)であり、nは、3〜6の整数である。)
本明細書において、「炭素数1〜6のアルキル基」は、直鎖状または分枝状のアルキル基であることができ、例えば、前記「炭素数1〜4のアルキル基」に加えて、直鎖状または分枝状のペンチル基、または直鎖状または分枝状のへキシル基であることができる。
ポリエチレングリコール化合物は、その沸点が常圧下で、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。また、ポリエチレングリコールモノエーテル化合物は、その引火点が、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上である。このようなポリエチレングリコールモノエーテル化合物を用いることにより、非水系インク組成物に揮発抑制性を付与することができる。例えば、インクカートリッジからプリンタヘッドへインク組成物を輸送するチューブ内でのインク組成物の蒸発を抑制することにより、チューブ内での固形分の体積を防止ないし軽減することができる。
ポリエチレングリコールモノエーテル化合物としては、例えば、トリエチレングリコールモノエーテル化合物(例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、またはトリエチレングリコールモノブチルエーテル)、あるいは、前記一般式(4)においてnが4〜6であるポリエチレングリコールモノエーテル化合物(特に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)の混合物、例えば、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルと、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテルと、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルとの混合物が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物においては、有機溶媒として、その他の有機溶媒を含有することができる。
その他の有機溶媒としては、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、またはフッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、またはプロピオン酸エチル等)、またはエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、またはジオキサン等)等を用いることができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物が、ジエチレングリコール化合物、ジプロピレングリコール化合物、およびラクトンの少なくともいずれか1種を含み、ポリエチレングリコールモノエーテル化合物を含まない場合には、ジエチレングリコール化合物、ジプロピレングリコール化合物、およびラクトンの総量が、全有機溶媒成分の75質量%以上を占めることが好ましい。
また、本実施形態に係る非水系インク組成物が、ジエチレングリコール化合物、ジプロピレングリコール化合物、ラクトンおよびポリエチレングリコールモノエーテル化合物の総量は、全有機溶媒成分の80質量%以上を占めることが好ましい。
1.3 セルロースアセテートブチレート樹脂
本実施形態に係る非水系インク組成物は、16.5〜48%のブチル化率を有するセルロースアセテートブチレート樹脂(以下、「CAB樹脂」ともいう。)を含有する。
粘度調整剤として使用されるセルロースエステル樹脂として、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネート(CP)、セルローストリアセテート(CAT)等が挙げられるが、CAB樹脂以外のセルロースエステル樹脂を使用すると、クリアな光沢感を有する画像を形成することができず、マット調な画像となってしまう。
上記CAB樹脂は、16.5〜48%のブチル化率を有すれば本願発明の目的を達成することができるが、16.5〜39%のブチル化率を有することがより好ましい。ブチル化率が16.5%未満であると、CAB樹脂は上記有機溶剤中に溶解することができず、粘度調整剤としての機能を発揮することができない場合がある。一方、ブチル化率が48%を超えると、CAB樹脂の上記有機溶剤に対する溶解度が大きくなりすぎるため所望の粘度が得られず、金属画像の光沢度が優れないことがある。
上記CAB樹脂の重量平均分子量は、60,000〜90,000であることが好ましく、70,000〜80,000であることがより好ましい。この範囲から外れると、所望の粘度が得られないことがある。
上記CAB樹脂の添加量は、インク組成物中、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。CAB樹脂の添加量が上記範囲内にあると、記録媒体への顔料の定着性を向上させることができる。
1.4 界面活性剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、さらに、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤およびポリエステル変性シリコーン系界面活性剤から選択される少なくとも1種を含有することができる。これらの界面活性剤は、インク組成物中の金属顔料の含有量に対して、0.01〜10質量%添加されることが好ましい。このような構成とすることにより、インク組成物の記録媒体へのぬれ性が改善され、速やかな定着性を得ることができる。
ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤およびポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、BYK−UV3570、BYK−UV3510、BYK−UV3530(ビック・ケミー社製)が挙げられる。
1.5 その他の添加物
本実施形態に係る非水系インク組成物には、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
酸化防止剤としては、2,3−ブチル−4−オキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)等を挙げることができる。酸化防止剤の添加量は、インク組成物中0.01〜0.5質量%であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等を挙げることができる。紫外線吸収剤の添加量は、インク組成物中0.01〜0.5質量%であることが好ましい。
1.6 非水系インク組成物の物性
本実施形態に係る非水系インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2〜10mPa・sであり、より好ましくは3〜5mPa・sである。非水系インク組成物の20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルからインクが適量吐出され、インクの飛行曲がりや飛散を防止することができる。
本実施形態に係る非水系組成物の表面張力は、好ましくは20〜50mN/mである。表面張力が20mN/m未満となると、インクがヘッドの表面に濡れ拡がるか、またはインクがヘッドから滲み出てしまい、インクがノズルから吐出されにくくなることがある。一方、表面張力が50mN/mを超えると、記録媒体上で濡れ拡がらず、良好な印刷ができないことがある。
1.7 非水系インク組成物の調製方法
上記非水系インク組成物は、公知の方法によって調製することができる。例えば、最初に上記メタリック顔料、分散剤、および上記有機溶媒の一部を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製する。得られた顔料分散液に、上記有機溶媒の残部、バインダー樹脂、およびその他の添加剤(例えば、粘度調整剤や界面活性剤など)を撹拌下に加えて金属顔料組成物を得ることができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体上に付着させて金属光沢画像の印刷を行うことを特徴とする。さらに、印刷時の乾燥温度は、8℃以上40℃以下であることが好ましい。上記インクジェット記録方法によれば、上記のインクジェット記録用非水系インク組成物の有する光沢特性を十分に発揮でき、かつ、高い金属鏡面光沢特性を維持することができる。
ここで、「印刷時」とは、インクジェット記録装置によりインクの液滴を吐出し、前記液滴を記録媒体上に付着させた直後から、該インクが乾燥するまでの時間のことをいう。
本発明で使用可能なインクジェット記録装置は、インクの液滴を吐出し、前記液滴を記録媒体上に付着させて記録を行うことができるものであれば特に限定されないが、印刷時に前記記録媒体を加熱できる機能を備えていることが好ましい。加熱できる機能としては、例えば、記録媒体に熱源を直接接触させて加熱するプリントヒーター機能、記録媒体と直接接触させずに赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射し、または温風を吹き付けるドライヤー機能などが挙げられる。プリントヒーター機能およびドライヤー機能は、それぞれ単独で使用することもできるし、同時に使用することもできる。これにより、印刷時の乾燥温度を調節することができる。
もちろん、インクジェット記録装置によりインクの液滴を吐出し、前記液滴を付着させた記録媒体を所定の温度に設定された乾燥器ないし恒温槽で乾燥させてもよい。
印刷時の乾燥温度は、8℃以上40℃以下であることが必要であり、好ましくは8℃以上35℃以下であり、より好ましくは8℃以上29℃以下である。印刷時の乾燥温度が上記範囲内であると、記録物は下記の金属光沢度の評価基準を満たすことができ、また印刷時の乾燥温度が40℃を超えた場合に比べて非水系インク組成物が本来表現できるはずの光沢特性を表現することができる。
金属光沢度の評価基準として、例えば以下の基準が挙げられる。
角度依存性の観点から、記録媒体上でのJIS Z8741にて規定された20度鏡面光沢度の測定値が250以上の数値を示せば、金属光沢を有すると評価することができる。一方、20度鏡面光沢度の測定値が250以上の数値を示さない場合、そのような画像は目視観察をしたときに金属光沢性は感じられず、灰色として観察される。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙)、ガラス、プラスチックフィルム(塩化ビニル、ポリビニルブチラールなど)、基材にプラスチックや受容層をコーティングしたフィルム、金属、プリント配線基板等の種々の記録媒体を用いることができる。本発明に使用される記録媒体は、非水系インク組成物を使用する観点から、フィルムであることが好ましい。フィルムの具体例として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、セロファン、ナイロン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、上記フィルムの印字面側の最表面には、樹脂を含有するインク受容層が形成されていてもよい。樹脂としては、特に限定されないが、例えばセルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネート(CP)等のセルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂等が挙げられる。上記インク受容層は、非水系インク組成物に添加される樹脂と同じ樹脂を含有することがより好ましい。これにより、インクの定着性を向上させることができる。よって、本発明では、印字面の最表面にセルロースアセテートブチレートを含有するインク受容層が形成されたフィルムを記録媒体として使用することが最も好ましい。
インクジェット記録装置の記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏光電極に与えて記録する方式またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式);小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式;インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式(ピエゾ方式);インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
上記記録媒体上に吐出される非水系インク組成物の吐出量は、金属光沢を確保する観点、印刷プロセスの観点およびコストの観点から、0.1〜100mg/cm2であることが好ましく、1.0〜50mg/cm2であることがより好ましい。
上記記録媒体上で画像を形成する上記金属顔料の乾燥重量は、金属光沢を確保する観点、印刷プロセスの観点およびコストの観点から、0.0001〜3.0mg/cm2であることが好ましい。
本実施形態に係る記録物は、上記インクジェット記録方法により記録が行われたものである。この記録物は、後述する非水系インク組成物を用いて上記インクジェット記録方法により得られたものであるため、20度鏡面光沢度が250以上の数値を示し、かつ、非水系インク組成物が本来表現できるはずの光沢特性を有する。
3.実施例
3.1 金属顔料分散液の調製
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースエステル樹脂3.0質量%およびジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃で10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。なお、セルロースエステル樹脂は、CAB樹脂[ブチル化率16.5〜19%]、CAB樹脂[ブチル化率35〜39%]、CAB樹脂[ブチル化率44〜48%]、CAB樹脂[ブチル化率50〜54%](以上、ACROS ORGANICS社製)、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、「エスレックBL−10」のいずれか一つを選択して使用した。
次に、真空蒸着装置(真空デバイス社製VE−1010型真空蒸着装置)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
次に、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中に浸漬し、超音波分散機(アズワン社製、「VS−150」)を用いて、剥離、微細化、および分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間である金属顔料分散液を作製した。
得られた金属顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、金属顔料分散液を濃縮し、その後、その金属顔料分散液の濃度調整を行い、5質量%濃度の金属顔料分散液を得た。
金属顔料の粒度分布および50%体積平均粒子径を、レーザー式粒度分布測定機(セイシン企業社製、「LMS−30」)を用いて測定したところ、50%平均粒子径;1.03μm、最大粒子径;4.9μmであった。
また、金属顔料の平均膜厚を、電子顕微鏡により無作為に選んだ10個の平均膜厚を測定したところ、その平均値は20nmであった。
3.2 金属顔料インク組成物の調製
上記方法にて調製した金属顔料分散液を用いて、表1〜表5に示す組成となるように金属顔料インク組成物を調製した。溶媒および添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後に、上記方法にて調製した金属顔料分散液をそのインク溶媒中へ添加して、さらに常温常圧下、30分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌した。混合・撹拌した各インク組成物を、10μmのステンレスメッシュフィルターを用いてろ過し、金属顔料インク組成物とした。このようにして、実施例1〜21、比較例1〜14で使用する金属顔料インク組成物を調製した。
表1〜表5中、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルは、日本乳化剤社製のものを用いた。また、γ−ブチロラクトンは、関東化学社製のものを用いた。なお、単位は質量%である。
3.3 評価試験
(a)光沢度の評価
インクジェットプリンター(ローランドD.G.社製、「SP−300V」)を用いて、上記「3.2 金属顔料インク組成物の調製」で得られた金属顔料インク組成物をブラック列に充填し、プリントヒーター設定温度およびドライヤー設定温度(以下、「乾燥温度」という。)を表1〜表5に記載の各温度に設定して、ベタ画像印刷を行った。この装置によれば、金属顔料インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体上に付着させた後、プリントヒーター部を通過させ、次いでドライヤー部から温風を吹き付けることによって、記録された画像を乾燥させることができる。記録媒体には、A4サイズにカットした溶剤インク用印刷メディア「SPVC−G−1270T」(ローランドD.G.社製)を用いた。得られた画像について、光沢度計「MULTI Gloss 268(コニカミノルタ社製)」を用いて、20度の光沢度を測定した。得られた画像の光沢度は、下記の評価基準に基づき評価した。その結果を表1〜表5に示す。
A:光沢度300以上(クリアな金属光沢)
B:光沢度250以上300未満(つや消しの金属光沢)
C:光沢度250未満(金属光沢なし)
(b)乾燥性の評価
上記「(a)光沢度の評価」と同様にして、常温でベタ印刷を行い、常温で乾燥するまでの時間を計測した。乾燥性は下記の評価基準に基づき評価した。その結果を表1〜表5に示す。
A:5分以内
B:5〜10分
C:10分以上
(c)インクの吐出安定性の評価
上記「(a)光沢度の評価」と同様にして、常温で連続的にベタ印刷を行い、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の有無を目視により観察した。インクの吐出安定性は下記の評価基準に基づき評価した。その結果を表1〜表5に示す。
A:48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が10回未満であった。
B:48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が10回以上20回未満であった。
C:48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が20回以上であった。
Figure 2011144389
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3.4 評価結果
(a)光沢度
表1〜表3の結果より、セルロース樹脂として16.5〜48%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物において、乾燥温度を43℃または45℃とした実施例6または実施例7、実施例13または実施例14、および実施例20または実施例21で得られた画像は、乾燥温度を40℃以下としたときに得られた画像よりも20度鏡面光沢度が明らかに低く有意差が認められた。したがって、乾燥温度を40℃以下とすることによって、金属顔料インク組成物の本来有する金属光沢特性を十分に発揮できることが明らかとなった。
以上の実施例に反し、表4および表5の結果より、セルロース樹脂としてポリビニルブチラール樹脂または50〜54%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いた比較例1ないし比較例5や、比較例8ないし比較例12の金属顔料インク組成物では、乾燥温度40℃以下においても得られた画像の20度鏡面光沢度が250未満となり、金属光沢が得られなかった。
(b)乾燥性
表1〜表5の結果より、セルロース樹脂としてCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物は、ポリビニルブチラール樹脂を用いた金属顔料インク組成物よりもインクの乾燥性に優れていることがわかった。また、セルロース樹脂としてCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物を使用した場合でも、乾燥温度を5℃にするとインクの乾燥に5分以上10分未満の時間を要した。
以上の結果より、セルロース樹脂としてCAB樹脂を用いた金属顔料インクを使用し、乾燥温度を8℃以上とすることにより、インクの乾燥性が良好となることが明らかとなった。
(c)インクの吐出安定性
表1〜表2の結果より、セルロース樹脂として16.5〜39%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物では、48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が10回未満であり、インクの吐出が安定していることがわかった。
表3の結果より、セルロース樹脂として44〜48%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物では、48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が10回以上20回未満であり、インクの吐出がやや不安定であることがわかった。
表4および表5の結果より、セルロース樹脂としてポリビニルブチラール樹脂または50〜54%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いた金属顔料インク組成物では、48時間の連続印刷で、ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が20回以上であり、インクの吐出が安定しないことがわかった。
以上の結果より、セルロース樹脂として16.5〜39%のブチル化率を有するCAB樹脂を用いることにより、金属顔料インク組成物の吐出安定性を高めることができた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (5)

  1. 少なくとも16.5〜48%のブチル化率を有するセルロースアセテートブチレート樹脂を有する、金属顔料。
  2. 請求項1において、前記セルロースアセテートブチレート樹脂のブチル化率は、16.5〜39%である、金属顔料。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記セルロースアセテートブチレート樹脂の重量平均分子量は、60,000〜90,000である、金属顔料。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の金属顔料を含むインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体上に付着させて金属光沢画像の印刷を行う、インクジェット記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の金属顔料と、有機溶媒とを含むインクジェット非水系インク組成物によって記録された記録物。
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