JP2011140040A - アルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法およびヘッダプレート材 - Google Patents

アルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法およびヘッダプレート材 Download PDF

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Abstract

【課題】ろう付造管法によるチューブを用い、チューブとヘッダプレートをろう付接合して熱交換器を組み立てるにあたり、特殊な加工や工程の追加、ろう付炉の変更を要することなく、ヘッダプレートからの溶融ろうのチューブへの流動によるチューブのエロージョンの発生を確実に抑制する。
【解決手段】ヘッダプレートとして、表面のAl−Si系ろう材のSi濃度A(mass%)が3≦A<6のものを用い、かつチューブとヘッダプレートをろう付加熱する際に、ヘッダプレート温度Xが、X≧660−A×15にある間において、Xとチューブ温度Yが、Y−3≦Xを満たすように制御し、かつヘッダプレート最高到達温度Xmaxが、ヘッダプレートのろう材の液相線温度T2以下となり、チューブの最高到達温度Ymaxが、チューブの心材の固相線温度T3以下となるよう制御する。
【選択図】図3

Description

この発明は、冷媒通路となるチューブをヘッダプレートにろう付接合して組立てるアルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法に関し、特にチューブとして、板材を曲げ加工してろう付する方法により造管したものを用いた場合において、チューブとヘッダプレートをろう付接合する方法に関するものである。
自動車用熱交換器としては、アルミニウム合金製のものが広く用いられている。この種のアルミニウム合金製熱交換器は、冷媒通路となるチューブの端部をタンク部に差込んで組立てられることが多い。ここで、タンク部は、タンクプレート、ヘッダプレート等の部材によって構成され、チューブの端部はヘッダプレートの取付孔に挿入してヘッダプレートにろう付接合されるのが通常である。
なおタンクプレート、ヘッダプレート等のタンク部構成部材は、アルミニウム合金製の心材の片面もしくは両面に、Al−Si系合金からなるろう材を予めクラッドしてなるブレージングシートを用いるのが通常である。一方、チューブとしては、押出しによって造管されたもの、あるいは板材を曲げ加工して溶接したもの、さらには板材を曲げ加工してろう付したものなどが用いられている。そしてこのチューブには、その外面に放熱のためのフィンが取付けられるのが通常であり、また場合によってはチューブの内面にもフィン(インナーフィン)を取付けることがある。
そして、これらの部材間の接合は、ろう付工程によって同時に行われる。この際のろう付方法としては、ノコロックブレージング法と称されるろう付工法を適用するのが通常である。このノコロックブレージング法は、ろう付箇所に予めフッ化物系のフラックスを塗布しておき、不活性ガス雰囲気中でろう付温度まで加熱するものであり、ヘッダプレートを構成するブレージングシートのAl−Si系ろう材を溶融させて、ヘッダプレートとチューブとの接合箇所にフィレットを形成し、両者を接合させる。
ところでアルミニウム合金製熱交換器のチューブの造管方法としては、前述のように種々の方法があるが、最近では軽量化、高性能化、およびコスト低減などの観点から、ろう付法が適用されることが多くなっている。すなわち、例えば図1あるいは図2に示すように、アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたブレージングシートからなる板材1に、曲げ加工を施してチューブ状に成形し、その両端部1A、1Bを重ね合せ、その重ね合せ部分2を、その後のろう付工程において接合することによってチューブ3とする造管方法を適用することが多くなっている。
一方チューブ3をヘッダプレートに接合するにあたっては、図3に示すように、チューブ(図1あるいは図2に示したチューブ)3の端部3Aをヘッダプレート4に予め形成した取付孔4Aに差し込み、ろう付工程において、ヘッダプレート4を構成するブレージングシートの片面もしくは両面にクラッドされているAl−Si系ろう材を溶融させ、フィレット5を形成して両者を接合するのが通常である。なお図3において、符号9は放熱用のフィンであり、他の部材と同様に、ろう付工程においてチューブ3にろう付接合される。そしてこのようなフィンとチューブとを総称して、コア部と称している。
ここで、ろう付工程における加熱中には、ヘッダプレートの側の溶融したろうが毛管作用によりチューブの重ね合せ接合部(チューブ造管のために板材の両端部を重ね合せてろう付接合した部分)2に流動し、さらにはその溶融ろうがその先のチューブとフィンとの接合部分や、チューブとインナーフィンとの接合部などまで流動してしまう。このため、チューブのタンク部近傍の部分の特に重ね合せ接合部において、チューブに局所的に激しい母材の侵食(エロージョン)が発生してしまいやすくなる、という問題がある。
上述のようなヘッダプレート側からの溶融ろうのチューブへの流動は、ヘッダプレートとチューブとの接合部よりも、チューブの重ね合せ接合部やチューブとフィンとの接合部の方が隙間が狭く、そのためこれらの部分の方により大きな毛管力が生じるためと考えられる。ここで、ヘッダプレートとチューブとの間の隙間を、チューブの重ね合せ接合部の隙間やチューブとフィンとの接合部の隙間より小さくして、前者の隙間に作用する毛管力を後者の隙間に作用する毛管力よりも大きくすることは、通常の熱交換器の製造においては、寸法許容差や組立て等の問題から実際には困難であり、そのため通常の熱交換器の製造においては、上述のようなヘッダプレート側からの溶融ろうの流動の問題は避け得なかったのが実情である。
このようなヘッダプレート側からの溶融ろうのチューブへの流動によるエロージョンは、チューブの局所的な板厚減少を招き、その結果チューブの耐食性や耐久性などが低下し、極端な場合は、エロージョンによってチューブに貫通孔が生じることもある。
上述のようなタンク部側の溶融ろうのチューブ重ね合せ接合部への流動によるエロージョンを低減もしくは解消する方法としては、そのエロージョンの発生原理から分類すれば、以下のA〜Cの3通りの方法が考えられる。
A:タンク部側溶融ろうのチューブ重ね合せ部への流動を制限する方法、
B:溶融ろうによるエロージョンに対するチューブの耐性を向上させる方法、
C:溶融ろうの侵食能力を低下させる方法。
これらのうちAのタンク部側溶融ろうのチューブ重ね合せ接合部への流動を制限してエロージョンを抑制する方法については従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1〜5に示される方法は、タンク部の表面やチューブの厚い部分に溝や重ね目を設けて、タンク部側からの溶融ろうをその箇所にトラップすることにより、タンク部側の溶融ろうがチューブの重ね合せ接合部に流入することを防止しようとするものである。
また特許文献6、7に示される方法は、アウターフィンとチューブとの接合部がタンク部側からの溶融ろうに及ぼす毛管力を抑制して、溶融ろうの流動を防ごうとしたものである。
さらに特許文献8、9に示される方法は、流動防止剤の添加や酸素濃度の調整によって溶融ろうのチューブへの流動性を低下させようとしたものである。
また特許文献10に示される方法は、チューブ重ね合せ接合部を塞いでしまって、溶融ろうの流入を防ごうとしたものである。
そしてまた特許文献11に示される方法は、タンク部とチューブとの接合を熱交換樹脂により行なうものである。
しかしながら、これらの特許文献1〜11の方法を実際に適用するためには、特殊な形状の加工を必要として設計上の制限が生じたり、工程の複雑化が生じたりし、あるいはまた実際上は溶融ろうの流動の防止や侵食の抑止が不充分となったり、さらには接合の信頼性が低下する、などの問題を避け得なかった。
すなわち特許文献1〜5に示されるような、溶融ろうをエロージョンの影響が少ない位置にトラップする方法では、特殊な加工が必要となって、設計の自由度の低下や工程の煩雑化などを招く問題があり、さらにはチューブの重ね合せ接合部の隙間が極端に小さく、そのため大きな毛管力が作用するため、チューブへの溶融ろうの流動を完全に抑えることは難しかったのが実情である。
また特許文献6、7に示される方法では、複雑な加工を必要とし、またチューブの重ね合せ接合部やインナーフィンとチューブの接合部の毛管力を抑えることはできなかった。
さらに特許文献8、9に示される方法においては、本来ろう付を行うべき部分の溶融ろうの流動性にまで影響を及ぼしてしまい、そのためろう付不良が発生する可能性があった。
そしてまた特許文献10に示される方法においては、工程が複雑化するとともに、安定したチューブ形状の確保が容易ではないという問題があった。
さらに特許文献11に示される方法においては、ろう付以外の工程を必要とするばかりでなく、ろう付の場合と比較して接合の信頼性が低くならざるを得ない、という問題があった。
一方、特殊な加工方法や複雑な工程を用いずにタンク部側からの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョンを抑制する手段としては、ろう付加熱中における温度制御によりタンク部側からの溶融ろうのチューブ重ね合せ接合部への流動を制限する提案も、例えば特許文献12、13によってなされている。これらの特許文献12、13に示される方法は、ろう付中の温度制御によって、チューブのろう材より先にタンク部側のろう材を凝固させ、タンク部側からの溶融ろうの流動を防ぐというものである。
しかしながら実際には、チューブのろう材が融解していてもチューブ重ね合せ接合部にタンク部側とチューブとの接合部より強い毛管力が働くことから、このれらの提案ではタンク部側からの溶融ろうの流動を完全には防げず、そのためエロージョンを確実に抑制することはできなかった。またこれらの提案の方法では、特殊な加工やろう付以外の工程の追加は必要としないものの、低温ガスを吹きかける装置や、タンク部を予熱する装置をろう付炉に取り付ける必要があり、そのため従来のろう付炉をそのまま使用することはできず、そのためコスト増大を招かざるを得なかった。
さらに、特殊な加工方法や工程を用いず、またろう付炉の改造、変更も不要であるような、タンク部側からの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョン抑制の手段として、タンク部材のろう材の成分を調整して、タンク部側からの溶融ろうの流動を低減させる提案も、特許文献14、15においてなされている。
これらのうち、特許文献14の提案の方法は、チューブのろう材のSi濃度をタンク部材のろうよりも2%以上多くし、チューブのろう材を先に融解させて、ろう付中の溶融ろうの流動がチューブからタンク部方向へ向かうようにすることによって、タンク部の溶融ろうをチューブに向けて流動させない、というものである。しかしながら実際には、チューブの溶融ろうによってチューブの重ね合せ接合部やチューブとフィンの接合部が充填された後であっても、これらの接合部にタンク部とチューブの接合部よりも強い毛管力が存在すれば、タンク部側の溶融ろうはチューブの重ね合せ接合部に向けて流動してしまう。このことから、溶融ろうに侵食能力がある場合には、エロージョンが発生するおそれがあった。
また特許文献15に示される提案は、Al−Si系ろう材中にTi、Mn、Zrなどの合金元素を添加することによって、溶融ろうの流動性を低下させ、タンク部側の溶融ろうのチューブ重ね合せ接合部への流動を抑制するものである。すなわち、これらの添加元素により、タンク部材のろう材の融点を下げ、かつ流動係数を低くし、結果としてろうの溶融時間を長くし、その近傍のタンク部とチューブの接合部に充分な溶融ろうを供給し、かつチューブ重ね合せ接合部には溶融ろうを流出させないということを狙ったものである。しかしながら実際には、これらの添加元素によって溶融ろうの流動性が低下していても、強い毛管力を持つチューブ重ね合せ接合部には溶融ろうが流れ込む可能性があり、この際、溶融ろうに侵食能力があれば、エロージョンが発生するおそれがあった。
そのほか、前記のBとして示した、溶融ろうによるエロージョンに対するチューブの耐性を向上させる方法として、特許文献16に示すように、チューブの心材の組織制御によってエロージョンを抑制する提案がなされている。
この手法は、部材の接合部のフィレットの直下などの溶融ろうが溜まる部分のエロージョンの対応策としては有効であるが、大量の溶融ろうが流動した場合、この方法ではチューブのエロージョンを充分には抑制できないという問題があった。
特開2002−11569号公報 特開2002−213896号公報 特開2002−243391号公報 特開2002−277187号公報 特開2006−10304号公報 特開2001−336893号公報 特開2005−331176号公報 特開2005−254320号公報 特開2006−7320号公報 特開2007−163073号公報 特開平10−274492号公報 特開2005−193264号公報 特開2005−199308号公報 特開平11−83375号公報 特開2007−182602号公報 特開2004−17116号公報
以上のように、既に提案されているようなタンク部側からの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョン抑制のための方法は、特殊な加工方法や工程の追加、あるいはろう付炉の改造、変更が必要であったり、またこれらが不要で材料の変更のみで済むような技術であってもエロージョンの抑制が不充分であるなどの問題があった。
この発明は、以上の事情を背景としてなされたものであって、特殊な加工方法や工程の追加、あるいはろう付炉の改造、変更などを必要とすることなく、タンク部側からの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョンを、確実かつ有効に防止し得る方法およびヘッダプレート材を提供することを課題とするものである。
本発明者等は、前述の課題を解決するべく、タンク部材側、特にヘッダプレートからの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョンの発生メカニズムについて鋭意研究を重ねた結果、ろう付加熱時におけるタンク部とコア部との温度差がタンク部側から流動する溶融ろうの侵食能力となっていることを新規に知見した。
この知見は、Al−Si二元系状態図を用いて、次のように説明される。
図4にろう材として通常使用されるAl−Si合金に関し、Al−Si二元系状態図のSi側の部分を拡大して示す。ここで、タンク部におけるヘッダプレートのろう材のSi濃度(mass%)をA、ヘッダプレートとチューブの温度(℃)をそれぞれX、Y(但し、X<Y)とし、温度XとYのそれぞれでの液相線のSi濃度(mass%)をa、b(ただし、a>A)とする。このときヘッダプレートのろう材から発生する液相の濃度は、温度Xでの液相線濃度aとなる。これに対し、チューブの温度Yにおいて固相と平衡して存在できる液相のSi濃度は、温度Yでの液相線濃度bである。
このような条件下で、ヘッダプレートで発生したAl−Si合金ろう材の液相(溶融ろう)がチューブに流れ込めば、固相と平衡する濃度よりも濃い液相がチューブ心材に触れることになる。すると、ヘッダプレート側から流入した液相は、温度Yでの固相との平衡濃度bまで濃度が下がろうとし、チューブの母材を溶融させることになる。したがってこのとき、ヘッダプレートから流入した液相は、チューブ心材に対してaとbの濃度差に対応する侵食能力を有することとなる。
ここで、XとYとの温度差が大きいほど、aとbの濃度差が大きくなるため、ヘッダプレートからの溶融ろうの侵食能力は、より大きくなる。すなわち、ヘッダプレートとチューブとの温度差が大きい場合、わずかな溶融ろうの流入でも深刻なチューブのエロージョンが発生する可能性が大きくなる。
これを解決する方法の一つとしては、前述の特許文献13に示されるように、ろう付のための予熱段階でタンク部を優先的に加熱するような装置をろう付炉に取り付ける方法があり、この方法によれば、ろうが溶融して流動している間のタンク部とチューブの温度差を小さくすることができ、エロージョンの軽減が可能であるということができる。しかしながら、この方法は、前述のように、従来の炉にそのまま適用することが困難であった。
これに対し、本発明者等は、ヘッダプレートにおけるろう材の溶融とチューブへの液相の供給に関して詳細な挙動を実験により解明し、これらの結果に基づき、従来の炉であっても充分に適用可能な程度に簡易なろう付温度制御を行うだけで、チューブに流れ込む時点でのヘッダプレート側からの溶融ろうの侵食能力が充分に低下して、エロージョンを確実に抑制し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、請求項1に記載のアルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法は、アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたブレージングシートからなる板材に曲げ加工を施して、その両端部を重ね合せることによりチューブ形状とし、その両端の重ね合せ部をろう付により接合してチューブを造管し、そのチューブを、別のアルミニウム合金心材の片面もしくは両面にAl−Si系ろう材をクラッドしたブレージングシートからなるヘッダプレートとろう付接合する熱交換器のろう付接合方法において、ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、Al−Si系ろう材のSi濃度が3mass%以上、6mass%未満の範囲内のものを用い、かつヘッダプレートのAl−Si系ろう材のSi濃度をA(mass%)、ヘッダープレートのAl−Si系ろう材の液相線温度をT2(℃)、チューブの心材の固相線温度をT3(℃)とし、前記チューブとヘッダプレートをろう付のために加熱するにあたり、
T1=660−A×15
で定まるしきい温度T1(℃)に対して、ヘッダプレート温度X(℃)が、
X≧T1
にある間において、ヘッダプレート温度X(℃)とチューブ温度Y(℃)が、
Y−3≦X
を満たし、しかもろう付加熱中におけるヘッダプレートの最高到達温度Xmax(℃)およびチューブの最高到達温度Ymax(℃)が、それぞれ
Xmax≦T2、
Ymax≦T3
を満たすように温度制御することを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、請求項1に記載のろう付接合方法において、ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、そのAl−Si系合金ろう材のSi濃度A(mass%)と、ろう材の合計厚みB(μm)との関係が、
180≦A×B≦400
を満たすものを用いることを特徴とするものである。
さらに請求項3の発明のアルミニウム合金製熱交換器用ヘッダプレート材は、アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたブレージングシートからなる板材に曲げ加工を施して、その両端部を重ね合せることによりチューブ形状とし、その両端の重ね合せ部をろう付により接合してチューブを造管し、そのチューブを別のアルミニウム合金心材の片面もしくは両面にAl−Si系ろう材をクラッドしたブレージングシートからなるヘッダプレートとろう付接合することにより組立てられる熱交換器に使用されるヘッダプレート材において、チューブとのろう付接合のための加熱過程におけるチューブの最高到達温度Ymaxがチューブの心材の固相線温度T3より低くなるようにしてチューブと組合されて使用されるヘッダプレート材であって、前記Al−Si系ろう材のSi濃度が、3mass%以上、6mass%未満の範囲内にあり、しかも、チューブとのろう付接合のための加熱過程において575℃以上の温度域でのチューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)との差Y−Xが3℃以上となる際の、ヘッダプレート温度Xa(℃)と、前記Al−Si系ろう材のSi濃度A(mass%)とが、
A≦(660−Xa)/15
を満たすように前記Si濃度Aが定められていることを特徴とするものである。
また請求項4の発明は、請求項3に記載のヘッダプレート材において、前記Al−Si系合金ろう材のSi濃度A(mass%)と、ろう材の合計厚みB(μm)との関係が、
180≦A×B≦400
を満たすことを特徴とするものである。
この発明のアルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法およびヘッダプレート材によれば、ろう付により造管されるチューブを用いて、そのチューブとヘッダプレートとをろう付接合するにあたり、特殊な加工や工程の追加、あるいはろう付炉の改造、変更を要することなく、ろう付工程中の比較的簡単な温度制御によりヘッダプレート側からの溶融ろうのチューブへの流動によるチューブのエロージョンの発生を確実かつ有効に抑制することができる。
図1はこの発明の方法を適用する対象となる熱交換器のチューブの一例を示す模式的な斜視図である。 図2はこの発明の方法を適用する対象となる熱交換器のチューブの他の例を示す模式的な斜視図である。 図3はこの発明の方法によりろう付接合するべきチューブとヘッダプレートとの接合部分を示す模式的な縦断面図である。 図4はこの発明の方法による作用を説明するためのAl−Si二元系状態図のSi側の部分を示す状態図である。 図5はこの発明の方法におけるヘッダプレート温度Xとチューブ温度Yとの関係を示す模式図である。 図6はろう付加熱時におけるろう材層の溶融開始初期状態の組織を示す模式図である。 図7はろう付加熱時におけるろう材層の溶融が進行した状態の組織を示す模式図である。 図8は実施例1によるろう付加熱時の温度とろう材の温度間あたり流動量との関係について実験結果を示すグラフである。 図9は実施例1における試験片を示す模式的な斜視図である。 図10はタンク部とコア部とのろう付接合工程におけるそれぞれの昇温過程を模式的に示すグラフである。 図11はヘッダプレートの温度Xがヘッダープレートろう材の液相線温度T2より高い場合の状況を、Al−Si二元系状態図上で示す模式図である。 図12は実施例1のろう付試験において、ヘッダプレートを模した上板とチューブを模した下板の昇温過程を示すグラフである。 図13は実施例1によるろう付試験における下板の溝の侵食状況を示す模式的な断面図である。 図14は実施例2において用いた試験片を模式的に示す斜視図である。 図15は実施例2のろう付試験におけるチューブおよびヘッダプレートの最高到達温度595℃の条件下での昇温過程を示すグラフである。 図16は実施例2のろう付試験におけるチューブおよびヘッダプレートの最高到達温度605℃の条件下での昇温過程を示すグラフである。
この発明のろう付接合方法を実施するにあたっては、冷媒通路となるべきチューブ3は、例えば図1あるいは図2に示すように、方形状をなすアルミニウム合金板材1に曲げ成形加工を施して、その両端部1A、1Bを重ね合せることによりチューブ形状とし、その両端の重ね合せ部2をろう付により接合して造管したものを用いる。
ここで、チューブの素材となるアルミニウム合金板材としては、アルミニウム合金心材の片面もしくは両面に予めろう材をクラッドしてなる、いわゆるブレージングシートを用いる。また、このチューブには、ろう材の他に、ろう材の反対面やろう材と心材の間に犠牲防食材がクラッドされても良く、これらについては特に限られるものではない。
そしてこの発明の方法では、上述のように折り曲げ加工されたチューブ3の端部3Aを、例えば図3に示したようにタンク部を構成するヘッダプレート4の取付孔4Aに挿入し、チューブ3とヘッダプレート4とをろう付接合することを前提としている。
ここでヘッダプレートとしては、アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にAl−Si系合金からなるろう材を予めクラッドした、いわゆるブレージングシートを用いる。
なお通常の熱交換器組立工程においては、チューブをヘッダプレートとろう付接合すると同時に、チューブの外面とフィン、折り曲げ加工されたチューブの間、および場合によってはチューブの内面とインナーフィンをろう付接合する。
上述のようにチューブとヘッダプレートとをろう付接合するにあたって、ヘッダプレートのろう材のSi濃度、およびコア部とヘッダプレートの温度条件について規定したのがこの発明の特徴である。
すなわち基本的には、請求項1において規定したように、ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、Al−Si系ろう材のSi濃度が3mass%以上、6mass%未満の範囲内のものを用い、かつヘッダプレートのAl−Si系ろう材のSi濃度をA(mass%)、ヘッダプレートのAl−Si系ろう材の液相線温度をT2(℃)、チューブの心材の固相線温度をT3(℃)とし、前記チューブとヘッダプレートをろう付のために加熱するにあたり、ヘッダプレート温度X(℃)が、
T1=660−A×15
で定まるしきい温度T1(℃)に対して、
X≧T1
にある間において、チューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)が、
Y−3≦X
を満たすように温度制御し、しかもろう付加熱中におけるヘッダプレートの最高到達温度Xmax(℃)およびチューブの最高到達温度Ymax(℃)が、それぞれ
Xmax≦T2、
Ymax≦T3
を満たすように温度制御することが重要である。なおこのようなろう付工程におけるチューブおよびヘッダプレートの温度の関係について、図5に模式的に示す。
これらの条件の限定理由について以下にさらに詳細に説明する。
先ずヘッダプレートを構成するブレージングシートに用いるAl−Si系合金ろう材のSi濃度を3mass%以上、6mass%未満の範囲内とした理由は次の通りである。
ろう付のための加熱工程の昇温過程において、Al−Si亜共晶合金は、状態図(図4参照)で示されるように共晶温度である577℃から一部で融解が始まる。具体的には、先ず図6に示すように粒界(固相の結晶粒を符号6で示す)の周辺とSi粒子7の周囲から融解が始まる(液相を符号8で示す)。しかしながら、請求項1で規定したようなSi濃度A(mass%)が3≦A<6の範囲内にあるAl−Si合金においては、共晶温度近傍では、図6に示すように未だ液相が周囲の固相に囲まれた状態にあり、内部の液相が外部に流出することができない。
その後、温度の上昇にしたがって液相の周囲の固相が溶融し、合金中の液相の体積が増加していく。すると、図7に示すように、初めに融解した粒界周辺で液相8が繋がり、粒界を経路として、内部の液相が徐々に流出し、外部表面上を流動していく。
図8には、図9に示すような試験片を用いて、Al−4%Si、Al−7.5%Si、Al−12%Siの各合金において、温度の上昇とろうの流動の関係を調べた結果を示す。なお図9に示す試験片および図8に示す結果については、後述する実施例1において、改めて詳細に説明する。図8に示す結果から、Al−12%Si、Al−7.5%Siの両合金では、共晶温度近傍からろうが流動しているのに対し、Al−4%Si合金では、共晶温度近傍ではほとんどろうが流動せず、温度上昇とともにろうの流動量が徐々に増加していくことが判明した。
そして、より詳細に実験を繰返したところ、請求項1で規定するようにSi濃度が3%以上、6%未満のAl−Si合金をクラッドしたヘッダプレート材料においては、共晶温度近傍ではほとんどろうが流動しないことが判明した。
ところで、一般的なろう付炉によるコンデンサ、ラジエータ等の自動車用熱交換器においては、ヘッダプレート等からなるタンク部の熱容量が、チューブおよびフィン等からなるコア部の熱容量と比較して大きいのが通常であり、そのためタンク部とコア部とのろう付接合工程では、熱容量の大きいタンク部が、チューブおよびフィン等からなるコア部よりも温度上昇が遅くなるのが一般的である。このときの、共晶温度近傍から最高到達温度までのタンク部とコア部の昇温過程の一例を図10に模式図として示す。コア部の温度は、タンク部より先に最高到達温度近傍まで上昇した後、温度上昇が緩やかになる。一方タンク部は遅れて温度が上昇し、最高到達温度に近づくにつれてコア部との温度差が縮まっていく。したがってタンク部の温度が共晶温度近傍の際には、コア部とタンク部の温度差が大きくても、タンク部の温度がさらに上昇して最高到達温度に近づくにつれて、コア部とタンク部の温度差が小さくなっていくのである。そしてこのようにコア部とタンク部の温度差が小さくなれば、コア部を構成しているヘッダプレートからチューブに流動した溶融ろうのチューブ母材侵食能力が小さくなる。
そこで、タンク部を構成するヘッダプレートのろう材として、請求項1で規定するようにSi濃度A(mass%)が3≦A<6の範囲内にあるAl−Si合金を用いれば、タンク部とコア部の温度差の大きな共晶温度近傍ではヘッダプレートの溶融ろうを流動させず、タンク部とコア部の温度差が小さくなった最高到達温度近傍に至ったときにはじめてヘッダプレートの溶融ろうがチューブに流動するように制御することができ、その結果エロージョンの抑制に顕著な効果があることが見出されたのである。
なお、エロージョン防止についてより効果的なヘッダプレートのAl−Siろう材のSi濃度は、3mass%以上5mass%未満である。
上述のようにSi濃度が3%以上、6%未満(望ましくは5%未満)のAl−Si系合金ろう材を片面もしくは両面にクラッドしてなるブレージングシートによって構成されるヘッダプレートにチューブをろう付接合するための昇温過程においては、請求項1において規定しているように、ヘッダプレートのAl−Si系ろう材のSi濃度をA(mass%)、ヘッダプレートの温度をX(℃)として、
T1=660−A×15
で定まるしきい温度T1(℃)に対してヘッダプレート温度Xが、
X≧T1
にある間において、チューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)が、
Y−3≦Xを満たすようにチューブおよびヘッダプレートの温度を制御することが必要である。
このようにろう付のための加熱昇温過程での温度制御条件の限定理由は、次の通りである。
前述のような範囲内のSi濃度のろう材においては、ヘッダプレートの温度上昇とともにろうの流動が増加する。図8に示した実験やThermo−Calcによる計算結果などから、ヘッダプレートの温度が、660−A×15=T1(℃)で規定されるしきい温度T1以上の場合において、ヘッダプレートからチューブへの溶融ろうの流入量が顕著に増加することが判明した。また、この際のヘッダプレートとチューブとの温度差が3℃を越えれば深刻なエロージョンが発生する可能性が顕著に増加することが判明した。すなわち、ろう付工程の昇温過程において、ヘッダプレート温度X(℃)が、ヘッダプレートろう材Si濃度A(mass%)に関連して、Xがしきい温度T1に達した時点で、チューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)との差(Y−X)が3℃以下の小さい値となるように制御すれば、エロージョンを効果的に抑制することが可能となるのである。そしてこれらの条件をまとめて、Y−3≦Xと規定したのである。
なお、このようなろう付時の昇温過程の温度制御は、ろう付時のタンク部とコア部の昇温が図10の模式図に示したようになることから、コア部の最高到達温度(チューブの高温到達温度と言うことができる)を(660−A×15)℃より少し高い程度の温度か、それ以下となるように炉の温度を設定すれば達成が可能である。具体的な最高到達温度は、それぞれのろう付する熱交換器の形状やろう付炉の特性によって定めればよい。
ここで、この発明のろう付接合法においては、ろう付加熱時のヘッダプレートの最高到達温度Xmaxが、ヘッダプレートのろう材(Al−Amass%Si)の液相線温度T2以下となるように温度制御し、しかもろう付加熱時のチューブの最高到達温度Ymaxが、チューブのアルミニウム合金母材の固相線温度T3以下となるように温度制御する必要がある。すなわち、Xmax≦T2、Ymax≦T3を満たすことが必要である。
このように、各最高到達温度Xmax、Ymaxを限定した理由は次の通りである。
先ずヘッダプレートの温度Xがヘッダプレートろう材の液相線温度T2よりも高い場合は、図11に示すように、温度Xでろう材が液相単相領域であることから、温度Xでの液相線Si濃度aよりも高いSi濃度Aとなる。したがって、Y−Xが3℃以内であっても、図11に示すようにX≦T2のときよりも大きな侵食力が発生するおそれがある。そこで、この発明ではヘッダプレートの最高到達温度Xmaxがヘッダプレートろう材の液相線温度T2以下となるよう温度制御することを規定した。
また一方、チューブの心材の固相線温度T3がろう付時のチューブの温度Yよりも低い場合には、ヘッダプレートからの流動してきた溶融ろうによるチューブの侵食能力が顕著に大きくなってしまう。そこでこの発明では、ろう付加熱時におけるチューブの最高到達温度Ymaxを、チューブ心材の固相線温度T2以下に制御することとしたのであり、このように制御することにより、チューブ材に対するエロージョン抑制効果を充分に引き出すことができる。
さらに請求項2の発明のろう付接合方法においては、ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、そのAl−Si系合金ろう材のSi濃度A(mass%)と、ろう材の合計厚みB(μm)との関係が、
180≦A×B≦400
を満たすものを用いることを規定している。
すなわち、上記のA×Bで示される数値が小さすぎれば、ヘッダプレートとチューブとの根付け部の接合に必要なろう材量が不足するおそれがあり、またA×Bの値が大きすぎれば、過剰な量の溶融ろうがチューブに流動し、ヘッダプレートとチューブとの温度差が小さくなってからであっても、深刻なエロージョンが発生する可能性がある。これに対し、180≦A×B≦400の条件が満たされていれば、ヘッダプレートとチューブとのろう付に充分な量のろうが供給されると同時に、ヘッダプレートからの過剰な溶融ろうの流動によるチューブのエロージョンの発生を、より確実に防ぐことが可能となる。
なお、ヘッダプレートを構成するブレージングシートのろう材として用いられるAl−Si合金においては、しばしば耐食性の向上などを目的に、Zn,Cuなどの合金元素を添加する場合がある。しかしながら、この発明の方法を適用する場合においては、これらの元素を添加することは望ましくない。すなわち、これらの元素を添加した場合、ろう材の固相線温度がAl−Si二元系合金の共晶温度よりも低下して、ヘッダプレートとチューブとの温度差が充分に小さくなる以前に、溶融ろうの流動が増加してしまって、チューブに対するエロージョン防止効果を充分に発揮し得なくなる可能性があるからである。
またこの発明において、ヘッダプレートを構成するブレージングシートの心材の成分組成については特に限定されず、例えば、一般的なA1000系合金や、A3000系合金などを用いればよい。
一方この発明において、チューブの心材の成分組成も、特に限定されるものではなく、例えば一般的なA1000系合金や、A3000系合金などを用いればよい。またチューブの心材にクラッドされるろう材も特に限定されるものではなく、通常のAl−Si系合金ろう材を用いれば良いが、一般には、ヘッダプレートのAl−Si系ろう材と同じ成分組成のものを用いることが望ましい。
さらに、この発明のろう付接合方法においては、特許文献13に示すような特殊なろう付炉を用いなくても充分にエロージョン抑制効果を得ることが重要ではあるが、もちろん特許文献13に示すようなろう付炉を使用しても良い。この場合には、より確実にエロージョンを抑制することが可能となる。
以上のところでは、請求項1、請求項2で規定するアルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法、特にヘッダプレートとチューブとのろう付接合方法について詳細に説明したが、さらに請求項3、請求項4においては、アルミニウム合金製熱交換器用のヘッダプレート材について規定している。
ここで、請求項3、請求項4で規定するヘッダプレート材の条件は、実質的にはそれぞれ請求項1、請求項2と同様である。すなわち請求項1、請求項2では、ろう付加熱過程における温度制御を主体にろう付接合方法を規定しているのに対し、請求項3、請求項4では、そのような温度制御を行ってチューブとろう付接合されるヘッダプレート材を規定している。
なお請求項3中においては、チューブとのろう付接合のための加熱過程における575℃以上の温度域でのチューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)との差(Y−X)が3℃以上となる際のヘッダプレート温度XaとAl−Si系ろう材のSi濃度A(mass%)とが、
A≦(660−Xa)/15
を満たすこととしているが、ここでチューブ温度Yについて575℃以上の温度域と規定したのは、575℃以下の温度領域では実質的にろうの溶融が開始されず、溶融ろうの流動によるエロージョンの問題に関係しないからである。
以下にこの発明の実施例を比較例とともに記す。なお以下の実施例は、この発明の効果を実証、説明するためのものであって、実施例の記載条件がこの発明の技術的範囲を限定するものでないことはもちろんである。
[実施例1]
先ず、ヘッダプレートの溶融ろうがチューブの重ね合わせ接合部に流動した際の、ヘッダプレートおよびチューブのそれぞれの温度とエロージョンの程度との関係をモデル的に調べるため、図9に示す試験片を用いてこの発明のろう付接合方法の検証を行った。
この試験片は、ヘッダプレートをモデル化した上板10と、チューブの重ね合わせ接合部をモデル化した下板20と、チューブとフィンとの接合部など、強い毛管力が作用する部分をモデル化したアルミ繊維焼結体を素材とするろう吸引部30とによって構成されている。なおろう材10aは、上板10のみにクラッドされている。下板20には、機械加工による溝20aが形成されており、この溝20aの一方の端部には上板10が点接触し、他方の端部にはろう吸引部30が接触している。
このような試験片を加熱した場合、上板10表面の溶融したろう材10aは、溝20aと溶融ろうとの間に発生する毛管力により流動する。そしてこの溝20a内部の溶融ろうがろう吸引部30に達すれば、ろう吸引部30内に発生する毛管力によって、溶融ろうはろう吸引部30内に向かって流動し続ける。すなわちこの試験片では、溶融ろうがチューブの重ね合わせ接合部などの毛細管として作用する隙間を流動してチューブにエロージョンを引き起こすという現象を、基礎的な形で再現しているのである。
本発明例及び比較例では、ヘッダプレートとチューブの温度の関係がろうの侵食能力に及ぼす影響を調べるため、試験片の各部材としては、一般的な材料を用いた。すなわち上板10としては、心材がA3003合金であり、ろう材としてAl−4mass%Si合金が10%クラッドされた40×40×3.6mmのブレージングシートを用いた。下板20としては、60(L)×40(W)×2mmのA1100板を用いた。またろう吸引部30は、20×20×0.3mmのアルミ繊維焼結体5枚によって構成されている。
さらに比較のため、上板10として、A3003合金にAl−7.5mass%SiもしくはAl−12mass%Si合金が10%クラッドされた40×40×3.6mmのブレージングシートを用いた試験片も用意した。
なお下板20は、強加工材(H26)に、エンドミル加工により幅0.5mm深さ0.5mm長さ40mmの溝20aを形成した後、380℃×2時間の焼鈍を行い、O材として試験片に供した。ここで下板20の溝20aの形状は、エンドミルで容易に加工可能な四角断面とし、またその巾は、溶融ろうの流動の状況が見やすく、かつ毛管力が充分作用するサイズである0.5mmとした。ろう吸引部30には、上板10から供給される溶融ろうを最後まで充分に吸引可能な量のアルミ繊維焼結体を配した。
ろう付接合にあたっては、試験片の下板20の溝20aとろう吸引部30に、予めフッ化物系フラックスを10g/m塗布しておき、酸素濃度50ppm以下の雰囲気の炉内において、試験片に対し図12に模式的に示すような昇温過程での加熱を行った。すなわち、一定熱量を加えながら加熱し、上板が584℃、590℃、600℃、610℃の各温度になった時点で昇温を停止した。上板と下板の温度差は、共晶温度近傍では潜熱のため大きくなり、高温になるに従って小さくなっていっている。
ろう付を完了した試験片について、上板のろう付前後の変化から、各温度までに流動したろうの総量Vを求めた。そして、各温度間における単位温度上昇当たりに流動したろうの量ΔV/ΔTを算出した。この結果が、既に説明した図8に示した結果である。
また、下板の断面観察を行い、図13に示すように下板20における溝20aのエロージョンによる侵食量(侵食部分を鎖線領域20bで示す)を侵食面積Sとして定量化し、測定を行った。そして、各温度間における単位温度上昇当たりの侵食面積の増加量ΔS/ΔTを求めた。さらに、各温度間における単位流動ろう量あたりの侵食面積の増加量ΔS/ΔVを、前述のΔS/ΔTからΔV/ΔTで除して求めた。また610℃における結果から、最終的な侵食量をトータルの流動ろう量で除した値(S/V)も求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2011140040
表1に示す結果から、温度差が同じであれば、Al−4%Siでも、Al−7.5%Siでも、各温度間における単位流動ろう量あたりの侵食面積は同じであり、侵食能力はほぼ同等であることが判明した。ただし、流動するろうのピークが、Al−7.5%Siのほうが温度差の大きい低温側にあることから、最終的なろう供給量あたりの侵食量であるS/Vの値は、Al−7.5%Siのほうがより大きくなっていることが判明した。
[実施例2]
ヘッダプレート材と、チューブ材、およびフィン材を用いて、図14に示すような自動車用熱交換器を模擬した試験片によって、ヘッダプレートからの溶融ろうの流動によるチューブのエロージョンの程度、及びヘッダとチューブの間の接合性を調べた。
各部材の構成について、表2に示す。ここで、ヘッダプレート材としては、A3003アルミニウム合金心材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドした厚さ1.2mmのブレージングシートを用い、そのろう材のSi濃度は3〜7.5mass%、ろう材のクラッド率を3〜8%に変化させた。またチューブ材としてはA3003合金心材の両面に、Al−7.5mass%のろう材を各7.5%クラッドした厚さ0.2mmのブレージングシートを、フィン材としては厚さ0.07mmのA3003合金ベア材を用いた。
この試験では、図14に示しているように、幅30mm長さ150mmの第1のチューブ材51の上に、幅12mm長さ150mmの第2のチューブ材52を、片側をそろえて重ね、チューブ材52の片端に10mm×40mmのヘッダプレート材54の長辺を接触させた。そして、ヘッダプレート材54から15mm離れた部分から、幅16mm、長さ60mm、山数片側20個にコルゲートされたフィン材55を、段差部分53に接するようにチューブ材51の上に配置した。また、タンク部の昇温を遅らせるために、ヘッダプレート材54におけるろう材がクラッドされている面に対し反対側の面に、厚さ2mmの熱容量増大用のA1100合金板(図示せず)を当てた。
このような試験片をろう付加熱すれば、ヘッダプレート材54のろう材は、溶融してチューブ材51,52の重ね目の段差部分53に流動し、さらに段差部分53に接するフィンとチューブとの間の接合部に流動する。このことにより、チューブ材51,52の重ね目の段差部分53において、実際の自動車用熱交換器のチューブの重ね合わせ接合部で生じる溶融ろうの流動と同じ現象が再現されることになる。さらに、このような試験片では、チューブ材51とヘッダプレート材54の間の隙間にろうが充填される。この形状は、実際の熱交換器のチューブとヘッダプレートの接合部を模擬しており、チューブ材51とヘッダプレート材54の間の隙間のフィレット形成によりタンク部とチューブの接合の評価が可能である。
上述のような試験片に、フッ化物系の非腐食性フラックスを10g/m塗布し、ろう付試験を行った。このろう付試験は、最高到達温度を595℃と605℃の2条件として実施した。図15および図16に、それぞれの条件における昇温過程での共晶温度近傍から最高到達温度までのヘッダプレート材とチューブ材の温度変化を示した。また、温度差が3℃以内となるときのヘッダプレート材の温度を表3〜表5中に示した。
ろう付後、チューブ材51、52の重ね目の段差部分53の、ヘッダプレート材54から5mmフィン55側に寄った部分の断面の観察を行なった。そして、ろうによるチューブ心材の侵食が20μm未満のものを◎、40μm未満のものを○、50μm未満のものを△、50μm以上のものを×、貫通したものを××として評価を行った。その評価の結果を表3〜表5に示す。
さらに、ろう付後、接合性評価としてヘッダプレート材54とチューブ材51の間の隙間の観察を行い、ヘッダプレート材54とチューブ材51の間にろう切れが生じたものを×とした。そして、ろう切れの無いものについては、断面観察を行いフィレット長を測定した。その結果、フィレット長が1.3mm以上のものを◎、1.0mm以上のものを○、1mm以下のものを△とし、評価を行った。評価の結果を表3〜表5に示した。
Figure 2011140040
Figure 2011140040
Figure 2011140040
Figure 2011140040
表3〜表5に示すように、この発明で規定する範囲内の条件で実施した本発明例No.1〜No.12の場合は、いずれもエロージョンの発生がないかまたは発生してもその程度が小さく、またチューブ材とヘッダプレート材の間にろう切れが発生しなかった。
これに対し、この発明で規定する条件を外れた比較例No.13〜No.26の場合は、大きなエロージョンが発生し、一部ではチューブ材の貫通に至ってしまった。
すなわち、これらの比較例のうち、No.13とNo.20の場合は、ろう材のSi濃度Aはこの発明の範囲内であるものの、A×Bの値が大きすぎたため、供給された溶融ろう量が過剰となり、大きなエロージョンが発生した。また、No.14、No.15、No.17、No.21、No.22、No.24の場合は、A×Bの値はこの発明の範囲内であるものの、ろう材のSi濃度Aが高すぎたため、温度差の大きい共晶温度近傍でのろうの流動が生じて、大きなエロージョンが発生した。さらに、No.16、No.18、No.19、No.23、No.25、No.26の場合は、ろう材のSi濃度AおよびA×Bの値が、ともに大きすぎたため、より顕著にエロージョンが発生し、貫通に至ってしまった。
また、比較例No.27、No.28の場合、エロージョンの発生は無かったものの、ヘッダプレート材とチューブ材の間の接合部にろう切れが生じてしまった。
すなわち、これら比較例No.27、No.28の場合、A×Bの値が小さすぎたため、ろうの供給が足りず、ろう切れが発生した。
3 チューブ
4 ヘッダプレート

Claims (4)

  1. アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたブレージングシートからなる板材に曲げ加工を施して、その両端部を重ね合せることによりチューブ形状とし、その両端の重ね合せ部をろう付により接合してチューブを造管し、そのチューブを、別のアルミニウム合金心材の片面もしくは両面にAl−Si系ろう材をクラッドしたブレージングシートからなるヘッダプレートとろう付接合する熱交換器のろう付接合方法において、
    ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、Al−Si系ろう材のSi濃度が3mass%以上、6mass%未満の範囲内のものを用い、かつヘッダプレートのAl−Si系ろう材のSi濃度をA(mass%)、ヘッダープレートのAl−Si系ろう材の液相線温度をT2(℃)、チューブの心材の固相線温度をT3(℃)とし、前記チューブとヘッダプレートをろう付のために加熱するにあたり、
    T1=660−A×15
    で定まるしきい温度T1(℃)に対して、ヘッダプレート温度X(℃)が、
    X≧T1
    にある間において、ヘッダプレート温度X(℃)とチューブ温度Y(℃)が、
    Y−3≦X
    を満たし、しかもろう付加熱中におけるヘッダプレートの最高到達温度Xmax(℃)およびチューブの最高到達温度Ymax(℃)が、それぞれ
    Xmax≦T2、
    Ymax≦T3
    を満たすように温度制御することを特徴とする、アルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法。
  2. 請求項1に記載のろう付接合方法において、ヘッダプレートを構成するブレージングシートとして、そのAl−Si系合金ろう材のSi濃度A(mass%)と、ろう材の合計厚みB(μm)との関係が、
    180≦A×B≦400
    を満たすものを用いることを特徴とする、アルミニウム合金製熱交換器のろう付接合方法。
  3. アルミニウム合金心材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたブレージングシートからなる板材に曲げ加工を施して、その両端部を重ね合せることによりチューブ形状とし、その両端の重ね合せ部をろう付により接合してチューブを造管し、そのチューブを別のアルミニウム合金心材の片面もしくは両面にAl−Si系ろう材をクラッドしたブレージングシートからなるヘッダプレートとろう付接合することにより組立てられる熱交換器に使用されるヘッダプレート材において;
    チューブとのろう付接合のための加熱過程におけるチューブの最高到達温度Ymaxがチューブの心材の固相線温度T3より低くなるようにしてチューブと組合されて使用されるヘッダプレート材であって、
    前記Al−Si系ろう材のSi濃度が、3mass%以上、6mass%未満の範囲内にあり、
    しかも、チューブとのろう付接合のための加熱過程において575℃以上の温度域でのチューブ温度Y(℃)とヘッダプレート温度X(℃)との差Y−Xが3℃以上となる際の、ヘッダプレート温度Xa(℃)と、前記Al−Si系ろう材のSi濃度A(mass%)とが、
    A≦(660−Xa)/15
    を満たすように前記Si濃度Aが定められていることを特徴とする、アルミニウム合金製熱交換器用ヘッダプレート材。
  4. 請求項3に記載のヘッダプレート材において、前記Al−Si系合金ろう材のSi濃度A(mass%)と、ろう材の合計厚みB(μm)との関係が、
    180≦A×B≦400
    を満たすことを特徴とする、アルミニウム合金製熱交換器用ヘッダプレート材。
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