JP2011137249A - 不織布の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛羽立ちが抑えられ、風合いが良好で肌に優しい不織布を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】 高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含む複合繊維からなり、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブ10aに、エアスルー方式で熱風を吹き付けて結合ウエブ10bを形成し;エンボスロール51とフラットロール52とを備えたエンボス加工部50によって結合ウエブ10bをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布10を製造する方法である。ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定する。エンボス加工において、結合ウエブ10bにおける熱風の吹き付け面をエンボスロール51に当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をフラットロール52に当接させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、不織布の製造方法に関する。本発明に従い製造された不織布は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつを始めとする各種の吸収性物品の構成材料として特に好適に用いられる。
加熱によってその長さが延びる繊維である熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、本出願人は先に、構成繊維が圧着又は接着されている多数の圧接着部を有するとともに、圧接着部以外の部分において構成繊維どうしの交点が圧接着以外の手段によって接合しており、圧接着部が凹部となっているとともに該凹部間が凸部となっている凹凸形状を少なくとも一方の面に有する立体賦形不織布を提案した(特許文献1参照)。この不織布は、熱伸長性繊維を原料とすることで、特殊な製造方法を用いなくても、三次元的な凹凸形状を有し、また柔軟であり、低坪量でもあるという利点を有する。
前記の立体賦形不織布は、熱伸長性繊維を含むウエブをエンボス加工して前記の圧接着部を形成し、次いで熱風によるエアスルー加工を行い、該熱伸長性繊維を伸長させるとともに該熱伸長性繊維の交点を熱融着によって接合することで製造される。かかる熱伸長性繊維について本発明者らが検討を重ねたところ、熱伸長性繊維は曲げ弾性率が、通常の熱融着性繊維のそれよりも低いことが判明した。したがって、上述の製造方法において、強いエンボス加工を行ったり、熱風の吹き付けを強く行ったりすると、不織布の嵩が減じてしまい、十分な立体感を不織布に付与できないことがある。このような不都合が生じることを回避するために、エンボス加工を弱くすることが考えられるが、その場合には繊維が十分に固定されず、製造ラインにおいてウエブの搬送が不安定になったり、毛羽立ちが起こりやすくなったりすることがある。また熱風の吹き付けを弱く行うと、ウエブに加わる熱が不均一になり、繊維の伸長が不均一になることがある。繊維の伸長が不均一になると、不織布の一方の面はフラットに、他方の面は凹凸形状となり易く、厚さ方向で見たときに均一な構造の不織布を得にくくなる。
特開2005−350836号公報
本発明は、熱伸長性繊維を原料とした不織布であって、前述した従来技術よりも各種の性能が向上した不織布を製造し得る方法を提供するものである。
本発明は、高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
周面に凹凸を有するエンボスロールと周面が平滑なフラットロールとを備えたエンボス装置によって結合ウエブをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
エンボス加工において、結合ウエブにおける熱風の吹き付け面をエンボスロールに当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をフラットロールに当接させ、
低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定されたエンボスロールと、常温以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたフラットロールとで、エンボス加工を行う不織布の製造方法を提供するものである。
また本発明は、高融点成分及びこれいる融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
周面に凹凸を有するエンボスロールと周面が平滑なフラットロールとを備えたエンボス装置によって結合ウエブをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
エンボス加工において、結合ウエブにおける熱風の吹き付け面をフラットロールに当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をエンボスロールに当接させ、
低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定されたエンボスロールと、常温以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたフラットロールとで、エンボス加工を行う不織布の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
周面に凹凸を有する一対のエンボスロールであって、かつ各エンボスロールにおける凸部どうしが当接するように凹凸部が配置されているエンボスロールを備えたエンボス装置によって、結合ウエブをチップ・トゥ・チップ方式でエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定された各エンボスロールで、エンボス加工を行う不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、毛羽立ちが抑えられ、風合いが良好で肌に優しい不織布が得られる。また本発明の製造方法によれば、厚さ方向にほぼ均一な凹凸構造で嵩高な不織布が得られる。また本発明によれば、そのような不織布を生産性よく製造できる。
図1(a)は、本発明の方法に従い製造された不織布の一例の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す不織布の縦断面の要部拡大図である。 図2は、本発明の第1の実施形態で好適に用いられる不織布の製造装置を示す模式図である。 図3は、本発明の第2の実施形態で好適に用いられる不織布の製造装置を示す模式図である。 図4は、本発明の第3の実施形態で好適に用いられる不織布の製造装置を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず第1の実施形態について説明する。図1(a)には、本実施形態の製造方法に従い製造される不織布の一例の斜視図が示されている。また図1(b)には、図1(a)に示す不織布10の縦断面の要部拡大図が示されている。図1に示す不織布10は、単層構造をしている。不織布10はその各面が多数の凸部19及び凹部18を有する凹凸形状となっている。つまり立体賦形されたものである。不織布10の一方の面10’側の凸部19と、他方の面10”側の凸部19とは、表裏同位置にある。凹部18に関しても同様であり、不織布10の一方の面10’側の凹部18と、他方の面10”側の凹部18とは、表裏同位置にある。
図1(b)に示すように、不織布10の一方の面10’側の凸部と、他方の面10”側の凸部は、凹部の厚さ方向の中心点Rを中心線として、対象形状となることが好ましい。不織布10の凹部の厚さ方向の中心点Rを通る中心線からの、一方の面10’側の凸部の頂部Pまでの厚みをh1とし、また他方の面10”側の凸部の頂部Qまでの厚みをh2としたときに、この厚み比h1/h2は、凹凸構造の均一性を示す指標として用いることができる。この厚み比が1に近いほど、均一な凹凸構造、即ち表裏の凹凸に実質的な差がないことを示す。見た目の印象、両面からの感触の面から、この厚み比は、0.5〜2.0、特に0.7〜1.4とすることが好ましい。厚みは、不織布10の縦断面を観察することによって測定される。まず、不織布10を100mm×100mmの大きさに裁断し測定片を採取する。その測定片の上に12.5g(直径56.4mm)のプレートを載置し、49Pa圧力下での不織布の厚みをマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)で計測する。
凹部18は、不織布10の構成繊維が圧密化され接合されて形成された接合部を含んでいる。接合部の形成手段としては、例えば熱を伴うか又は伴わないエンボス加工、超音波エンボス加工などが挙げられる。一方、凸部19は非接合部となっている。凹部18の厚みは凸部19の厚みよりも小さくなっている。凸部19内は、不織布10の構成繊維で満たされている。凸部19においては、不織布10の構成繊維どうしが、それらの交点において融着している。凸部19において繊維の交点が熱融着していることで、不織布10の表面における毛羽立ちが起こりにくくなる。繊維どうしが熱融着しているか否かは、不織布10を走査型電子顕微鏡観察することで判断する。
凹部18は、互いに平行に一方向へ延びる第1の線状部18aを有している。また凹部18は、第1の線状部と交差するように、互いに平行に一方向へ延びる第2の線状部18bを有している。両線状部18a,18bが交差することで、閉じた形状の菱形部が形成される。この菱形部が凸部19となっている。つまり凸部19は、連続した閉じた形状の凹部18によって取り囲まれて形成されている。線状部からなる凹部18の幅は、不織布10の具体的な用途に応じて適切に選択すればよい。不織布10を例えば吸収性物品の構成部材(表面シート等)として使用する場合には、凹部18の幅を0.1〜3mm、特に0.5〜1mmとすることが好ましい。
不織布10における凹部18と凸部19との面積比は、エンボス化率(エンボス面積率、すなわち不織布10全体に対する凹部18の面積の合計の比率)で表され、不織布10の嵩高感や強度に影響を与える。これらの観点から、不織布10におけるエンボス化率は、5〜35%、特に10〜25%であることが好ましい。前述のエンボス化率は、以下の方法によって測定される。まず、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)を用いて不織布10表面の拡大写真を得、この不織布表面の拡大写真にスケールを合わせ、凹部18(すなわちエンボス部分)の寸法を測定し、測定部位の全体面積Qにおける、凹部18の面積の合計Pを算出する。エンボス化率は、計算式(P/Q)×100によって算出することができる。
不織布10は、その構成繊維として、加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を含んでいる。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して伸びる繊維が挙げられる。この熱伸長性繊維としては、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維が用いられる。熱伸長性繊維は、不織布10中において、加熱によってその長さが伸長した状態、又は加熱によって伸長可能な状態で存在している。また、加熱によって伸長した状態の繊維も、更なる加熱によって、更に伸長することができる。このことは後述するように、不織布10から繊維を取り出して熱伸長性を測定する方法によって確認することができる。熱伸長性繊維の詳細については後述する。
前記の複合繊維からなる熱伸長性繊維は、高融点樹脂からなる高融点成分と、該高融点成分の融点より低い融点又は軟化点を有する低融点樹脂からなる低融点成分とからなり、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している。熱伸長性繊維における高融点成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、低融点成分は熱融着性を発現する成分である。
熱伸長性繊維は、高融点成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、低融点成分の融点より10℃高い温度、融点を持たない樹脂の場合は軟化点よりも10℃高い温度での熱伸長率が0.5〜20%、特に3〜20%、とりわけ5〜20%であることが好ましい。このような伸長率の繊維を含む不織布10は、該繊維の伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。例えば不織布10の表面の凹凸形状が顕著なものになる。
高融点成分及び低融点成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、その融解ピーク温度で定義される。低融点成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、低融点成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に低融点成分が融着する温度を軟化点とする。
〔繊維の熱伸長率の測定方法〕
繊維の熱伸長率は次の方法で測定される。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、繊維長さが10mm以上の繊維を繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態で5℃/minの昇温速度で昇温させる。その際の繊維の伸び量を測定し、低融点成分の融点より10℃高い温度、融点をもたない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での伸び量Cmmを読み取る。繊維の熱伸長率は、(C/10)×100[%]から算出する。熱伸長率を前記の温度で測定する理由は、後述するように、繊維の交点を熱融着させて不織布10を製造する場合には、低融点成分の融点又は軟化点以上で、かつそれらより10℃程度高い温度までの範囲で製造するのが通常だからである。
〔不織布から取り出した繊維の熱伸長性評価〕
不織布から繊維を取り出して繊維の熱伸長性を判断する場合は、以下の方法を用いる。まず、不織布の図1(b)に示す各部位に位置する繊維をそれぞれ5本採取する。採取する繊維の長さは1mm以上5mm以下とする。採取した繊維をプレパラートに挟み、挟んだ繊維の全長を測定する。測定には、KEYENCE製のマイクロスコープVHX−900、レンズVH−Z20Rを用いた。測定は50〜100倍の倍率で前記繊維を観察し、その観察像に対して装置に組み込まれた計測ツールを用いて行った。前記、測定で得られた長さを「不織布から採取した繊維の全長」Yとする。全長を測定した繊維を、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製のDSC6200用の試料容器(品名:ロボット用容器52−023P、15μL、アルミ製)に入れる。前記繊維の入った容器を、予め高融点成分の融点より10℃低い温度にセットされたDSC6200の加熱炉中の試料置き場に置く。DSC6200の試料置き場直下に設置された熱電対で測定された温度(計測ソフトウェア中の表示名:試料温度)が高融点成分の融点より10℃低い温度±1℃の範囲になってから、60sec間加熱し、その後素早く取り出す。加熱処理後の繊維をDSCの試料容器から取り出しプレパラートに挟み、挟んだ繊維の全長を測定する。測定には、KEYENCE製のマイクロスコープVHX−900、レンズVH−Z20Rを用いた。測定は50〜100倍の倍率で前記繊維を観察し、その観察像に対して装置に組み込まれた計測ツールを用いて行った。前記、測定で得られた長さを「加熱処理後の繊維の全長」Zとする。熱伸長率(%)は以下の式から算出する。
熱伸長率(%)=(Z−Y)÷Y×100 [%]
これを不織布から取り出した繊維の熱伸長率と定義する。この熱伸長率が0より大きい場合、繊維が熱伸長性繊維であると判断できる。
高融点成分及び低融点成分の種類に特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。特に、両樹脂成分の融点差、又は高融点成分の融点と低融点成分の軟化点との差が20℃以上、特に25℃以上であることが、熱融着による不織布10の製造を容易に行い得る点から好ましい。熱伸長性繊維が芯鞘型複合繊維である場合には、鞘成分の融点又は軟化点よりも芯成分の融点の方が高い樹脂を用いる。特にポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を芯とし、これらよりも融点の低い樹脂を鞘とする芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用いることが好ましい。高融点成分と低融点成分との好ましい組み合わせとしては、高融点成分をPPとした場合の低融点成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、高融点成分としてPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、低融点成分として、前述した低融点成分の例に加え、PP、共重合ポリエステルなどが挙げられる。更に、高融点成分としては、ポリアミド系重合体や前述した高融点成分の2種以上の共重合体も挙げられ、また低融点成分としては前述した低融点成分の2種以上の共重合体なども挙げられる。これらは適宜組み合わされる。
熱伸長性繊維の繊維長は、不織布10の製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布10を例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。
熱伸長性繊維の繊維径は、不織布10の具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布10を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、10〜35μm、特に15〜30μmであることが好ましい。なお熱伸長性繊維は、伸長によってその繊維径が小さくなる。前記の繊維径とは、不織布10を実際に使用するときの繊維径のことである。
熱伸長性繊維としては、例えば特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報、特開2008−101285号公報等に記載の繊維を用いることができる。
不織布10は、熱伸長性繊維に加えて、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなる実質的に加熱によってその長さが伸びない非熱伸長性の芯鞘型熱融着性複合繊維を含んでいてもよい。また、非熱伸長性であり、かつ本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
上述のとおり、不織布10は、その構成繊維として熱伸長性繊維を含んでおり、該不織布10の原料となる繊維としても熱伸長性繊維が用いられる。以下の説明においては、不織布10に含まれる熱伸長性繊維と、不織布10の原料となる熱伸長性繊維とを区別することを目的として、不織布10の原料となる熱伸長性繊維のことを「熱伸長性原料繊維」と呼ぶ。単に「熱伸長性繊維」と言うときには、不織布10に含まれる熱伸長性繊維を指す。
熱伸長性原料繊維は、熱伸長性繊維と同様に、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維からなるものである。したがって、熱伸長性原料繊維についての詳細に関しては、先に述べた熱伸長性繊維に関する説明が適宜適用される。図2には、熱伸長性原料繊維を原料として用い、不織布10を製造するための好適な装置が示されている。同図に示す装置20は、ウエブ製造部30、熱風吹き付け部40及びエンボス加工部50を備えている。ウエブ製造部30においては、不織布10の原料となる熱伸長性原料繊維(つまり伸長する前の状態の熱伸長性繊維)及び必要に応じ他の繊維を用いてウエブ10aが製造される。ウエブ10aは、第1の面101及びこれと反対側に位置する第2の面102を有している。第1の面101は、後述する熱風吹き付け部40において、熱風が吹き付けられる面であり、かつ後述するエンボス加工部50において、エンボスロール51と当接する面である。第2の面102は、熱風吹き付け部40において、通気性ネットからなるコンベアベルト42に対向する面であり、かつエンボス加工部50において、フラットロール52と当接する面である。
ウエブ製造部30としては例えば、図示するようなカード機31を用いることができる。不織布10の具体的な用途に応じ、カード機31に代えて、他のウエブ製造装置、例えばエアレイド装置を用いることもできる。カード機31によって製造されたウエブ10aは、その構成繊維どうしが緩く絡合した状態にあり、シートとしての保形性を獲得するにはいたっていない。また、構成繊維である熱伸長性原料繊維に伸長は発現していない。そこで、ウエブ10aに、シートとしての保形性を付与するとともに、熱伸長性原料繊維に熱伸長を生じさせるために、該ウエブ10aを熱風吹き付け部40において処理し、結合ウエブ10bを形成する。
熱風吹き付け部40は、フード41を備えている。ウエブ10aは、このフード41内を通過する。また、熱風吹き付け部40は、通気性ネットからなるコンベアベルト42を備えている。コンベアベルト42は、フード41内を周回している。周回するコンベアベルト42の内側には、サクションボックス(図示せず)が設置されている。サクションボックスは、ウエブ10aに吹き付けられた熱風を吸引するために用いられる。ウエブ10aはコンベアベルト42上に載置されて熱風吹き付け部40内を搬送される。コンベアベルト42は、金属やポリエチレンテレフタレート等の樹脂から形成されている。
熱風吹き付け部40においてはウエブ10aに対して熱風がエアスルー方式で吹き付けられる。すなわち熱風吹き付け部40は、所定温度に加熱された熱風が、ウエブ10aを貫通するように構成されている。エアスルー加工は、ウエブ10a中の熱伸長性原料繊維が加熱によって伸長する温度で行われる。かつ、ウエブ10a中の熱伸長性原料繊維どうしの交点が熱融着する温度で行われる。具体的には、ウエブ10aに吹き付ける熱風の温度を、複合繊維からなる熱伸長性原料繊維における低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定する。この温度の熱風を吹き付けることで、熱伸長性原料繊維の伸長が十分に発現し、また熱伸長性原料繊維どうしの融着が確実に起こり、保形性の高い結合ウエブ10bが得られる。詳細には、熱風の温度が低融点成分の融点未満であると、熱伸長性原料繊維の伸長が十分に起こらず、嵩高な不織布を得ることができない。また、熱伸長性原料繊維どうしの融着が確実に起こらず、結合ウエブ10bの搬送性が低下してしまう。一方、熱風の温度が高融点成分の融点超であると、熱伸長性原料繊維が過度に溶融して、不織布10の風合いが低下してしまう。これらの観点から、ウエブ10aに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点〜低融点成分の融点+15℃であることが好ましく、低融点成分の融点+5℃〜低融点成分の融点+10℃であることが更に好ましい。
上述した熱風の吹き付け加工によって、保形性の高い結合ウエブ10bが得られることは、熱風吹き付け部40とエンボス加工部50との間における結合ウエブ10bのドロー比を低くできることにつながる。ドロー比を低くできることは、結合ウエブ10bの嵩高さを維持できる点から非常に有利である。ここで言うドロー比とは、エンボスロール51の周速度v1に対するコンベアベルト42の速度v2の比(v2/v1)で定義される値である。
上述した熱風の温度は、結合ウエブ10bから上に10cm離れた位置において測定されたものである。測定手段としては、例えば熱電対式の温度センサー及び温度表示器が用いられる。
ウエブ10aに吹き付ける熱風の温度は上述のとおりであるところ、熱風の速度は、風圧によってウエブ10aが潰れない程度において、該ウエブ10aを貫通できるような速度とすることが好ましい。熱風がウエブ10aを貫通することで、ウエブ10aの厚み方向において、熱伸長性原料繊維の伸長が不均一になることが効果的に防止される。また、結合ウエブ10bに毛羽立ちが生じることも効果的に防止される。これらの観点から、熱風の吹き付け速度は0.5〜3.0m/sec、特に1.0〜2.0m/secに設定することが好ましい。熱風の速度は、結合ウエブ10bから上に10cm離れた位置において測定されたものである。測定手段としては、例えば熱式風速計が用いられる。
結合ウエブ10bにおいては、熱風の吹き付け面である第1の面101の方が、その反対側の面である第2の面102よりも繊維の毛羽立ちが多くなっている。この毛羽立ちを、次に説明するエンボス加工部50によるエンボス加工で抑える。
結合ウエブ10bは、エンボス加工部50において処理され、それによって目的とする不織布10が得られる。エンボス加工部50は、結合ウエブ10bを挟んで対向配置された一対のロール51,52を備えている。ロール51はその周面に多数の凹凸が形成された金属製のエンボスロールからなる。このエンボスロールにおける凹凸のパターンは、不織布10の具体的な用途に応じ適切に選択することができる。例えば図1に示す菱形格子状のエンボスパターンを形成する場合には、その菱形格子に対応した形状の凸部を、ロール51の周面に形成すればよい。また、ドット状のエンボスパターン(図示せず)を不織布10に形成したい場合には、そのドットに対応した形状の凸部を、ロール51の周面に形成すればよい。一方、ロール52はその周面が平滑なフラットロールからなる。ロール52は金属製、ゴム製、紙製等である。
エンボス加工部50においては、結合ウエブ10bを両ロール51,52で挟圧してエンボス加工を行う。具体的には、熱を伴う圧密化によって、結合ウエブ10bの構成繊維である熱伸長性原料繊維を圧密化して、該結合ウエブ10bに多数のエンボス部からなる接合部を形成し、不織布10を製造する。ロール51及びロール52は加熱可能な構造になっている。エンボス加工部50の動作時には、エンボスロール51が所定温度に加熱されており、フラットロール52も必要に応じて加熱される。エンボス加工される結合ウエブ10bは、先に行われた熱風の吹き付けによって熱伸長性原料繊維が伸長しており嵩高な状態になっているので、該結合ウエブ10bにエンボス加工を施すと、その各面に凹凸が形成される。凹凸の状態は、実質的に表裏同じであるが、エンボスロール51が当接する面である第1の面101の方が、凹凸感が若干高い場合がある。
エンボス加工は、結合ウエブ10bに発生した毛羽立ち、特に第1の面101に発生した毛羽立ちを、エンボスロール51の凹部で押さえ込むことで、毛羽立ちを低減させる目的で行われる。この目的のために、結合ウエブ10bにおける熱風の吹き付け面である第1の面101をエンボスロール51に当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面である第2の面をフラットロール52に当接させる。そして、低融点成分の融点−20℃以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたエンボスロールと、常温(20℃)以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたフラットロールとで、エンボス加工を行う。
エンボスロール51の加熱温度が、低融点成分の融点−20℃に満たないと、結合ウエブ10bにおける毛羽立ちの抑制効果が十分に発現されない。一方、エンボスロール51の加熱温度が、低融点成分の融点+20℃を超えると、毛羽立ちの抑制効果は十分であるものの、熱伸長性原料繊維が過度に溶融してしまい、不織布10の風合いが低下してしまう。フラットロール52に関しては、この加熱温度が低融点成分の融点+20℃を超えると、やはり熱伸長性原料繊維が過度に溶融してしまい、不織布10の風合いが低下してしまう。これらの観点から、エンボスロール51の加熱温度は、好ましくは低融点成分の融点−10℃以上で、かつ融点+15℃以下であり、更に好ましくは低融点成分の融点−5℃以上で、かつ融点+10℃以下である。一方、フラットロール52の温度は、好ましくは低融点成分の融点−15℃以上で、かつ低融点成分の融点+10℃以下である、更に好ましくは低融点成分の融点−5℃以上で、かつ低融点成分の融点+5℃以下である。
エンボス加工においては、エンボスロール51の周面の凹凸深さを調節することでも、毛羽立ちを抑制できる。詳細には、エンボスロール51として、凸部の高さが、結合ウエブ10bの厚み(49Pa荷重下)の10〜100%に設定されたものを用いることが好ましい。このようなエンボスロール51を用いることで、不織布10の立体感(凹凸感)を損なわずに、毛羽立ちを一層効果的に抑制できる。なお、エンボスロール51の凸部の高さとは、エンボスロール51の周面に形成された凹凸の谷から頂点までの距離のことである。
エンボス加工においては、エンボスロール51及びフラットロール52の加熱温度によっては、結合ウエブ10bに含まれる熱伸長性原料繊維が熱伸長することがある。しかし本加工は、結合ウエブ10bに生じた毛羽立ちを抑えることを主たる目的とするものであり、本加工において結合ウエブ10bが熱伸長するか否かは本質的なことではない。本加工において結合ウエブ10bが熱伸長しなくても、目的とする不織布10の特性が劣ることにはならない。
このようにして得られた不織布10は、その凹凸形状、嵩高さ及び肌触りの良さ等を生かした種々の分野に適用できる。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの使い捨て衛生物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更には対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。先に図1に示したように、本製造方法で得られる不織布10は、その両面に凹凸構造を有するものであり、表裏の凹凸状態に実質的な差がない。したがって不織布10は、例えばワイパー等の表裏両面を使用する用途に特に適している。また、不織布10を例えば生理用ナプキン等の吸収性物品に用いる場合には、該不織布10において、エンボスロール51が当接した方の面、すなわちエンボスロール51によって毛羽立ちが抑えられた面が着用者の肌に臨むように吸収体の上に配することが好ましい。
これらの用途に使用される前の状態の不織布10は一般にロール状に巻回された状態で保存されている。このことに起因して不織布10は、その嵩高さが減じられている場合が多い、そこで不織布10の使用時には、該不織布10にエアスルー方式で熱風を吹き付けて、減じられた嵩を回復させることが好ましい。嵩の回復においては、不織布10に吹き付ける熱風として、熱伸長性複合繊維における低融点成分の融点未満で、かつ該融点−50℃以上の温度の熱風を用いることが好ましい。このような不織布の嵩回復方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−137655号公報、特開2007−177364号公報及び特開2008−231609号公報等に記載の技術を用いることができる。
次に、本発明の製造方法の第2及び第3の実施形態について、図3及び図4を参照しながら説明する。これらの実施形態については、先に述べた第1の実施形態と異なる点について説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態の説明が適宜適用される。また、図3及び図4において、図1及び図3と同じ部材には同じ符号を付してある。
図3に示す製造装置20は、先に説明した図2に示す製造装置と、エンボス加工部50の構成が相違している。詳細には、先に説明した図2に示す製造装置においては、結合ウエブ10bにおける熱風の吹き付け面である第1の面101と、エンボスロール51とが当接していたが、図3に示す本実施形態の製造装置では、熱風の吹き付け面である第1の面101はフラットロール52と当接しており、熱風の吹き付け面と反対側の面である第2の面102がエンボスロール51と当接している。第1の実施形態の説明において先に述べたとおり、熱風の吹き付け面と反対側の面である第2の面102は、第1の面101に比べて毛羽立ちの程度が低い。この毛羽立ちの程度が低い第2の面102にエンボスロール51を当接させてエンボス加工を行うことで、第2の面102の側における毛羽立ちを一層低くすることができる。したがって、本実施形態に従い製造される不織布10においては、熱風の吹き付け面と反対側の面である第2の面102を使用面にすることが好ましい。例えば、不織布10を例えば生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、該不織布10において、エンボスロール51が当接した方の面が着用者の肌に臨むように吸収体の上に配することが好ましい。
図3に示す製造装置20を用いた不織布10の製造の条件は、第1の実施形態と同様とすることができる。
図4に示す製造装置もエンボス加工部50の構成が、先に説明した図2に示す製造装置と相違している。詳細には、本実施形態の製造装置では、エンボス加工部50が、一対のエンボスロール51a,51bを備えている。フラットロールは用いられていない。両エンボスロール51a,51bは、これらが図4中、矢印で示す方向に回転したときに、一方のエンボスロール51aの凸部と、他方のエンボスロール51bの凸部とが常に接するように凹凸部が配置されている。一対のエンボスロール51,51’をこのように当接させる方式は、チップ・トゥ・チップ方式と呼ばれている。チップ・トゥ・チップ方式で結合ウエブ10bをエンボス加工することで、該結合ウエブ10bの嵩高さが一層損なわれることなく、該結合ウエブ10bに立体感を付与することができるとともに、毛羽立ちも一層抑えられる。
エンボスロール51a,51bは、チップ・トゥ・チップ方式で凸部が当接する限り、2つのロールでの凸部の高さが異なっていてもよい。表裏で違いのない不織布10を製造する観点からは、エンボスロール51a,51bにおける凸部の高さは同じであることが好ましい。
本実施形態においては、熱風の吹き付けの条件は、第1の実施形態と同様とすることができる。エンボス加工の条件は、各エンボスロール51a,51bの加熱温度を、低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定する。好ましくは低融点成分の融点−10℃以上で、かつ融点+15℃以下に設定し、更に好ましくは低融点成分の融点−5℃以上で、かつ融点+10℃以下に設定する。この温度範囲内で、各エンボスロール51a,51bの加熱温度を同じにしてもよく、あるいは異ならせてもよい。
本実施形態によれば、チップ・トゥ・チップ方式で結合ウエブ10bをエンボス加工するので、エンボス加工時に結合ウエブ10bが潰れにくいという利点がある。この観点から、両エンボスロール51a,51bがチップ・トゥ・チップ方式で当接した状態で形成された空間の高さが、結合ウエブ10bの厚み(49Pa荷重下)の10〜100%、特に80〜95%になるように、凸部の高さが設定されたエンボスロール51a,51bを用いることが好ましい。ここで言う空間の高さとは、両エンボスロール51a,51bがチップ・トゥ・チップ方式で当接した状態において、一方のエンボスロール51aの谷と、この谷に対向する他方のエンボスロール51bの谷との間の距離のことである。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態で製造された不織布10の凹部は、菱形格子状をなす形状をしていたが、これに代えて散点状に分散配置されたドット状の凹部を採用してもよい。また正方形若しくは長方形の格子状や、亀甲模様をなす形状を採用してもよい。
また、不織布10は単層の構造のものに限られず、多層構造であってもよい。更に、不織布10の裏面10b側に他の不織布を更に積層してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図2に示す装置を用い、図1に示す単層の不織布10を製造した。図2に示す装置におけるエンボスロール51は、線の幅が0.5mmである菱形格子状の凸部を有するものであった。この不織布10におけるエンボス化率は14%であった。熱伸長性原料繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート(融点258℃)で、鞘が高密度ポリエチレン(融点128℃)からなる4dtexのステープルファイバを用いた。138℃における低温熱伸長性原料繊維の熱伸長率は7.9%であった。以下の表1に示す条件で製造を行い、不織布を得た。得られた不織布においては、熱伸長性繊維どうしの交点が融着していた。
〔実施例2〕
図3に示す装置を用い、かつ以下の表1に示す条件を採用する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。
〔実施例3〕
図4に示す装置を用い、かつ以下の表1に示す条件を採用する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。
〔比較例1〕
特許文献1(特開2005−350836号公報)の図2に示す装置を用い、かつ以下の表1に示す条件を採用する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布について、上述した方法で凹凸構造の均一性(h1/h2)を測定し、また以下の方法でエンボスロール当接面の毛羽立ち防止性、風合い及びウエブの搬送性を評価した。その結果を以下の表1に示す。
〔エンボスロール当接面の毛羽立ち防止性〕
不織布を凸部が外側になるようにMD方向に沿って二つ折にする。このとき凸部の中心が、曲げた不織布の頂点となるようにする。頂点を上に向けた状態で水平方向から不織布を目視した状態を、以下の基準により判定した。
○:毛羽がほとんどない。
△:毛羽がややみられる。
×:毛羽が多い。
〔風合い〕
不織布を平らな台の上に凸部が上になるように置く。10人のモニターを対象として、以下の3段階の判定基準で、不織布を手の甲で軽くなで、またシートを軽く手のひらで握ったときの柔らかさの程度を評価させた。結果は、10人の平均で示した。
判定基準
3:シートの表面がなめらかでやわらかい。
2:シートの表面がやや硬い。
1:シートの表面が硬く、ざらつきがある。
評価結果
○:判定平均2.5以上、3以下
△:判定平均1.5以上、2.5未満
×:判定平均1以上、1.5未満
〔ウエブの搬送性〕
エンボスロール51及びフラットロール52への不織布の貼り付き状態を観察した。判定基準は以下のとおりである。
○:ロールへの不織布の貼り付きが見られず、搬送が安定している。
△ ロールへの不織布の貼り付きが部分的に見られ、搬送が不安定である。
× ロールへの不織布の貼り付きが全面に見られ、搬送が不安定である。
Figure 2011137249
表1に示す結果から明らかなように、各実施例で得られた不織布は、比較例で得られた不織布に比べて凹凸構造の均一性が高く、また毛羽立ち防止性に優れていることが判る。更に、ウエブの搬送性も良好であることが判る。
10 不織布
18 凹部
19 凸部
20 製造装置
30 ウエブ製造部
40 熱風吹き付け部
50 エンボス加工部

Claims (6)

  1. 高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
    周面に凹凸を有するエンボスロールと周面が平滑なフラットロールとを備えたエンボス装置によって結合ウエブをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
    ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
    エンボス加工において、結合ウエブにおける熱風の吹き付け面をエンボスロールに当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をフラットロールに当接させ、
    低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定されたエンボスロールと、常温以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたフラットロールとで、エンボス加工を行う不織布の製造方法。
  2. 凸部の高さが、結合ウエブの厚み(49Pa荷重下)の10〜100%に設定されたエンボスロールを用いる請求項1記載の製造方法。
  3. 高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
    周面に凹凸を有するエンボスロールと周面が平滑なフラットロールとを備えたエンボス装置によって結合ウエブをエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
    ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
    エンボス加工において、結合ウエブにおける熱風の吹き付け面をフラットロールに当接させるとともに、熱風の吹き付け面と反対の面をエンボスロールに当接させ、
    低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定されたエンボスロールと、常温以上で、かつ低融点成分の融点+20℃以下に設定されたフラットロールとで、エンボス加工を行う不織布の製造方法。
  4. 凸部の高さが、結合ウエブの厚み(49Pa荷重下)の10〜100%に設定されたエンボスロールを用いる請求項3記載の製造方法。
  5. 高融点成分及びこれより融点の低い低融点成分を含み、かつ加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を含むウエブに、エアスルー方式で熱風を吹き付け、該ウエブの構成繊維間の交点を融着させて、構成繊維間が結合した結合ウエブを形成し、
    周面に凹凸を有する一対のエンボスロールであって、かつ各エンボスロールにおける凸部どうしが当接するように凹凸部が配置されているエンボスロールを備えたエンボス装置によって、結合ウエブをチップ・トゥ・チップ方式でエンボス加工して、表面に凹凸を有する不織布を製造する方法であって、
    ウエブに吹き付ける熱風の温度を、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満に設定し、
    低融点成分の融点−20℃以上で、かつ融点+20℃以下に設定された各エンボスロールで、エンボス加工を行う不織布の製造方法。
  6. 両エンボスロールがチップ・トゥ・チップ方式で当接した状態で形成された空間の高さが、結合ウエブの厚み(49Pa荷重下)の10〜100%になるように、凸部の高さが設定されたエンボスロールを用いる請求項5記載の製造方法。
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