JP2011134534A - リチウム2次電池負極用炭素材、リチウム2次電池負極およびリチウム2次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によるリチウム2次電池負極用炭素材は、1次粒子平均粒径が5nm以上1.5μm以下のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子を包囲する樹脂炭素材とからなる複合粒子、ならびに該複合粒子の表面に結合し、かつ、該複合粒子を包囲するナノファイバーおよび/またはナノチューブからなるケイ素含有網状構造体を含み、該複合粒子中の前記ケイ素含有粒子の2次粒子平均粒径が、1次粒子最小粒径以上、5μm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
(1)1次粒子平均粒径が5nm以上1.5μm以下のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子を包囲する樹脂炭素材とからなる複合粒子、ならびに
該複合粒子の表面に結合し、かつ、該複合粒子を包囲するナノファイバーおよび/またはナノチューブからなるケイ素含有網状構造体を含み、
該複合粒子中の前記ケイ素含有粒子の2次粒子平均粒径が、1次粒子最小粒径以上、5μm以下であることを特徴とする、リチウム2次電池負極用炭素材。
また前記ケイ素含有(1次)粒子は、その平均粒径が、5nm〜1.5μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm〜1.2μmの範囲内にあることがより好ましい。上記ケイ素含有粒子の平均粒径が5nm以上だと、リチウムイオンの吸蔵量が適正となり、粒子の膨張収縮を網状構造体により十分に抑制することができる。また上記ケイ素含有粒子の平均粒径が1.5μm以下だと、高い充放電容量を得ることができる。
本発明における前記ケイ素含有1次平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定法による測定される体積換算で頻度が50%となる粒子径を平均粒子径D50%として定めた。
また、本発明の複合粒子中の前記ケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有粒子の2次粒子平均粒径は、よく混合した炭素材粒子を10サンプル任意に抽出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した際の2次凝集粒子の長径を測定、その平均値を2次粒子平均粒径とした。
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−51530)100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、メタノール10質量部、さらに一酸化ケイ素25質量部(平均粒子径0.6μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が9μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、図1に示すように白く写った繊維状のナノファイバー等からなる網状構造体が炭素材の粒子表面から発生し、これらの粒子を包囲していることが確認された。また、SEMで観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された(図2のグラフに代表例を示す)。また、炭素材断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の一酸化ケイ素粒子の2次粒子平均粒径は3μmであった(図3の写真に代表例を示す)。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が26.8質量%含有されていた。
また、本発明の複合粒子中の前記ケイ素含有粒子の2次粒子平均粒径は、よく混合した炭素材粒子を10サンプル任意に抽出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した際の2次凝集粒子の長径を測定、その平均値を2次粒子平均粒径とした。
(1)負極の作製
上記で得られた炭素材を用い、これに対して結着剤としてポリフッ化ビニリデン10%、アセチレンブラック3%の割合で、それぞれ配合し、さらに、希釈溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加え混合し、スラリー状の負極用混合物を調製した。
この負極スラリー状混合物を10μmの銅箔の両面に塗布し、その後、110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって電極を100μmに加圧成形した。これを幅40mmで長さ290mmの大きさに切り出し負極を作製した。この負極を用いて、リチウムイオン2次電池用電極としてφ13mmの径で打ち抜き負極とした。
上記負極、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:直径φ16、厚さ25μm)、作用極としてリチウム金属(直径φ12、厚さ1mm)の順で、宝泉製2032型コインセル内の所定の位置に配置した。さらに、電解液としてエチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液(体積比が1:1)に、過塩素酸リチウムを1[モル/リットル]の濃度で溶解させたものを注液し、リチウムイオン2次電池を作製した。
〈初期充放電特性評価〉
充電容量については、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vで定電圧充電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに充電した電気量を充電容量とした。
一方、放電容量については、放電時の電流密度も25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達した時点から、2.5Vで定電圧放電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに放電した電気量を放電容量とした。
なお、充放電特性の評価は、充放電特性評価装置(北斗電工(株)製:HJR−1010mSM8)を用いて行った。
また、以下の式により初回の充放電効率を定義した。
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100
初期充放電特性評価条件を300回繰り返し測定した後に得られた放電容量を300サイクル目の放電容量とした。また、以下の式によりサイクル性(300サイクル容量維持率)を定義した。
サイクル性(%、300サイクル容量維持率)=300サイクル目の放電容量(mAh/g)/初回放電容量(mAh/g)×100
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−51530)100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、メタノール10質量部、さらに一酸化ケイ素25質量部(平均粒子径1.2μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が10μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認され、観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は3.3μmであった。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が27.0質量%含有されていた。
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−51530)100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、メタノール10質量部、さらに一酸化ケイ素40質量部(平均粒子径0.7μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が10μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認され、観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は4μmであった。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が41.1質量%含有されていた。
メタクレゾール(関東化学株式会社製)100質量部と43%ホルムアルデヒド水溶液(住友ベークライト株式会社製)53.3質量部、しゅう酸(関東化学株式会社製)3質量部を攪拌機及び冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、昇温脱水し、メタクレゾール樹脂90質量部を得た。上記操作を繰り返して得られたメタクレゾール樹脂100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、ジメチルスルホアミド10質量部、さらに一酸化ケイ素25質量部(平均粒子径1.2μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が9μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認され、観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は3.5μmであった。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が26.7質量%含有されていた。
メタクレゾール(関東化学株式会社製)100質量部と43%ホルムアルデヒド水溶液(住友ベークライト株式会社製)53.3質量部、しゅう酸(関東化学株式会社製)3質量部を攪拌機及び冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、昇温脱水し、メタクレゾール樹脂90質量部を得た。上記操作を繰り返して得られたメタクレゾール樹脂100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、ジメチルスルホアミド10質量部、さらに一酸化ケイ素35質量部(平均粒子径0.5μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が10μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認され、観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は5μmであった。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が36.5質量%含有されていた。
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−51530)100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、メタノール10質量部、さらに一酸化ケイ素25質量部(平均粒子径1.2μm)をニーダーで、回転数25rpm、40℃、10分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が15μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認され、観察されたナノファイバー等をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素分析を行ったところ、ケイ素のピークが確認された。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は9μmであった。また、得られた炭素材には一酸化ケイ素が26.4質量%含有されていた。
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR−51530)100質量部およびヘキサメチレンテトラミン(三菱瓦斯化学株式会社製)10質量部、メタノール10質量部、さらにケイ素(株式会社高純度化学研究所製のものを粉砕)20質量部(平均粒子径1.0μm)をニーダーで、回転数50rpm、40℃、30分間混合し、樹脂スラリーを得た。攪拌終了後、得られた樹脂スラリーを175℃にて5時間硬化処理を行った。硬化処理後、窒素雰囲気下にて昇温し、500℃到達後3時間の炭化を行った。得られた炭素材を平均粒子径が9μmになるまで粉砕処理を行い、粉砕処理により得られた炭素材を、さらに昇温し、1100℃到達後3時間の炭化処理を行い、2次電池負極用炭素材を得た。得られた炭素材について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて炭素材表面の観察を行ったところ、炭素材粒子表面にナノファイバー等の生成が確認されなかった。また、炭素材の断面のSEM観察を行ったところ、炭素材中の金属粒子の2次粒子平均粒径は3μmであった。また、得られた炭素材にはケイ素が20.9質量%含有されていた。
後の容量維持率が80%以上あり、同50%以下の比較例1、2と比べ、充放電サイクル特性が顕著に向上した。これは、図1、図3に代表されるように、実施例ではナノファイバー等からなる網状構造体が複合粒子の表面から発生し、これらの粒子を包囲し、さらには本発明のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有(1次)粒子がよく分散して2次粒子が小さくなっている結果、充放電サイクルによる負極用炭素材の膨張収縮に伴う微粉化が抑制されたためであると考えられる。これに対し、比較例1では、ナノファイバー等からなる網状構造体が複合粒子の表面から発生し、これらの粒子を包囲しているものの、本発明のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有(1次)粒子の凝集が著しく、2次粒子が大きくなっており、比較例2では、粒子を包囲する網状構造体が存在しないため、前記2次粒子が小さくなっているにもかかわらず、前記充放電サイクルによる負極用炭素材の膨張収縮に伴う微粉化が進行し、実質的に電極が崩壊した。
Claims (8)
- 1次粒子平均粒径が5nm以上1.5μm以下のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なケイ素の合金、酸化物、窒化物もしくは炭化物を含むケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子を包囲する樹脂炭素材とからなる複合粒子、ならびに
該複合粒子の表面に結合し、かつ、該複合粒子を包囲するナノファイバーおよび/またはナノチューブからなるケイ素含有網状構造体を含み、
該複合粒子中の前記ケイ素含有粒子の2次粒子平均粒径が、1次粒子最小粒径以上、5μm以下であることを特徴とする、リチウム2次電池負極用炭素材。 - 前記樹脂炭素材および前記網状構造体が、炭素前駆体の炭化処理により生成したものである、請求項1に記載のリチウム2次電池負極用炭素材。
- 前記ケイ素含有粒子がケイ素酸化物を含む、請求項1または2に記載のリチウム2次電池負極用炭素材。
- 前記網状構造体が更に炭素を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム2次電池負極用炭素材。
- 平均粒子径が3μm〜15μmの範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池負極用炭素材。
- 前記炭素前駆体が、石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂およびポリアクリロニトリルからなる群より選択された易黒鉛化材料および/または難黒鉛化材料を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載のリチウム2次電池負極用炭素材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム2次電池負極用炭素材を含むリチウム2次電池負極。
- 請求項7に記載のリチウム2次電池負極を含むリチウム2次電池。
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