JP2011133751A - 静電潜像現像用トナー、現像剤、トナーセット、及び現像剤セット - Google Patents

静電潜像現像用トナー、現像剤、トナーセット、及び現像剤セット Download PDF

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Abstract

【課題】現像ローラへのトナーの付着、いわゆるスリーブ付着を抑制することができる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
【解決手段】トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含む静電潜像現像用トナーであって、フロー式粒子像分析装置によって測定される当該トナー中の、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度をDnとしたときに、D4からD8までの値がそれぞれ0.94以上であり、D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)との差(Dmax−Dmin)が0.015以下であり、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであり、前記外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有する静電潜像現像用トナーを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の画像形成方法において形成される静電潜像を現像するための静電潜像現像用トナー、現像剤、トナーセット、及び現像剤セットに関する。
高画質なカラー画像を高速で形成する小型の画像形成装置としては、小型タンデム型ハイブリッド現像方式を用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この現像方式を用いた画像形成装置としては、例えば、現像剤として、複数色の非磁性トナーと磁性キャリアとを含む、複数色の2成分現像剤を用い、各色の非磁性トナーに対応した複数の小型画像形成ユニットを並べて配置している。そして、各画像形成ユニットにおいて、現像器に設置した磁気ローラに2成分現像剤を保持させ、該磁気ローラに保持された現像剤から一旦現像器に設置した現像ローラに非磁性トナーのみを移行させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成し、該現像ローラと空隙を介して対向する像担持体である感光体にトナーを飛翔させることで、感光体上にトナー像を現像する。
この現像方式は、感光体と現像ローラ(現像スリーブ)との間に空隙がある非接触現像方式であるので、従来の接触現像方式で発生していた感光体へのキャリア付着や磁気ブラシによる感光体の疵付けが抑制される。よって、出力画像の高画質化が可能となる。
また、この現像方式を用いた画像形成装置は、現像剤として2成分現像剤を採用しており、現像器内で現像剤を混合することによって、トナーを帯電させる。このため、高濃度印字や連続印字においても、素早くトナーを所望の帯電量まで帯電させることができる。
特開2004−280092号公報 特開2001−109242号公報
しかしながら、上記小型タンデム型ハイブリッド現像方式を採用した画像形成装置では、現像ローラへのトナーの付着等の問題が発生しやすい傾向があった。このことは、上記小型タンデム型ハイブリッド現像方式を採用した画像形成装置では、幅方向のサイズを極小にするために、各画像形成ユニットでは感光体の上方側に縦型の現像器が位置するように、現像ローラの上側に磁気ローラを配置していることによると考えられる。このため、現像剤はストレスを受けやすく、長期間、特に低濃度印刷を繰り返し行うと、トナーへの外添剤の埋め込みが顕著になると考えられる。よって、トナーの帯電量が上昇し、そのことによって、現像ローラへのトナーの付着等の問題が発生しやすくなると考えられる。
ここで、トナーの帯電量上昇による現像ローラへのトナー付着について、より具体的に説明する。
小型タンデム型ハイブリッド現像方式では、所望の帯電量になったトナーを磁気ローラから現像ローラに供給するとともに、感光体へ飛翔せずに現像ローラ上に残ったトナーを回収することで、現像ローラにつねにフレッシュなトナーが供給されている。
しかしながら、現像ローラの上方側に磁気ローラが配置されているので、現像ローラ上の残留トナーを回収するときには、重力に逆らってトナーを現像ローラから磁気ローラに移動させる必要がある。トナーの帯電量が一旦上昇すると、現像ローラへの鏡像力も増すので、現像ローラから磁気ローラへの剥ぎ取りが行なわれにくくなると考えられる。そして、現像ローラに回収されなかった残留トナーが留まり、トナーの帯電量上昇がさらに加速されると考えられる。このようにして、現像ローラへのトナーの付着が引き起こされて、現像性が低下すると考えられる。
このような現像ローラへのトナーの付着を抑制する対策としては、例えば、特許文献2に記載の現像装置における現像方法を用いることが考えられる。
特許文献2には、1成分トナーを担持し静電潜像担持体と対向する現像領域へと搬送する現像ローラ、該現像ローラが上記現像領域へとトナーを搬送する前段階で上記現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、上記静電潜像担持体の静電潜像を現像領域にて現像した後であって、現像動作を終了すべく現像ローラの回転を停止までの所定時間に、上記現像ローラと供給ローラとの間の電位差が、現像時にトナーを現像ローラ側へと移動させる電位差の極性と逆になるように電圧値を切換え制御してなる制御部を備えた現像装置が記載されている。すなわち、現像ローラと供給ローラとに印加するバイアスを制御することが記載されている。より具体的には、現像ローラと供給ローラとの間にトナーが現像ローラ側へと引き寄せされる方向の電界が作用するようにバイアス電圧を供給可能な構成とし、現像が完了する所定時間前にトナーが供給ローラ側へと引き寄せさせる方向の電界が作用するように切替え制御する方法が開示されている。
しかしながら、小型タンデム型ハイブリッド現像方式の画像形成装置において、上記と同様の方法を適用しても、現像ローラ上に残留したトナーを磁気ローラが充分に剥ぎ取ることができない傾向があった。このことは、特許文献2では、残留トナーを直接掻き取るために現像ローラに圧接するように供給ローラが設けられているのに対して、小型タンデム型ハイブリッド現像方式では、磁気ローラが現像ローラと離間して配置されていることによると考えられる。また、特許文献2では、トナー自体を改良することによって現像ローラへの付着を抑制することについて、全く検討されていない。
また、近年の高画質化への高まりから、トナー粒径はより小粒径化の方向に進んでいる。トナーの粒径を10μm以下にすることで、文字散りや細線再現性は向上する。
しかしながら、小型タンデム型ハイブリッド現像方式の画像形成装置において、このような小粒径トナーとして、例えば、粉砕トナーを用いた場合には、トナーの現像ローラへの付着が増加し、現像性が低下する傾向があった。この点においても、特許文献1及び特許文献2では、小粒径トナーの現像ローラへの付着を抑制することについて検討されたものではなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、現像ローラへのトナーの付着、いわゆるスリーブ付着を抑制することができる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。また、前記静電潜像現像用トナーを含む現像剤、前記静電潜像現像用トナーを含むトナーセット、及び前記トナーセットの各トナーを含む現像剤セットを提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために、ハイブリッド現像方式を用いた画像形成装置において、スリーブ付着の発生したトナーの粒径を調査したところ、大半が投影面積円相当径で9μm以下であった。そして、形成された画像中にトナーが転写されなかった箇所が形成される現象、いわゆる転写中抜けを誘発するものは、投影面積円相当径が4〜9μmであるものが多かった。さらに、スリーブ付着の発生したトナーの形状は、楕円形や凹没した形状のものが多く、真球形は殆どなかった。これらのことから、トナー全体の中で、投影面積円相当径が4〜9μmのトナーについて、その形状をむらなく真球形に近づけることで、スリーブ付着の発生を抑制でき、結果として、転写中抜けを低減できることを見出した。また、投影面積円相当径が15μm以下の大小様々な粒径のものが混在するトナーを用いた場合でも、投影面積円相当径が4〜9μmのトナーについて、その形状を同程度の円形度に揃えることで、投影面積円相当径4μm未満の粒子(トナー及び外添剤)の数量(粒子数)がトナー全体の6割程度まで占めているときでも、スリーブ付着の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の一態様に係る静電潜像現像用トナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含む静電潜像現像用トナーであって、フロー式粒子像分析装置によって測定される当該トナー中の、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度をDnとしたときに、D4からD8までの値がそれぞれ0.94以上であり、D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)との差(Dmax−Dmin)が0.015以下であり、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであり、前記外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有することを特徴とする。
上記の構成によれば、現像ローラへのトナーの付着であるスリーブ付着を抑制することができる。
このことは、まず、D4からD8までの値が0.94以上で、D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)との差(Dmax−Dmin)が0.015以下であるので、従来のトナーと比べて、個々のトナーが球形に近い丸みを帯びているとともに、トナー全体においても円形度のばらつきが小さい。さらに、トナーの、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであるので、球状に近い形状のトナーが形成されやすいと考えられる。
このことは、以下のことによると考えられる。具体的には、例えば、上記のような、球形に近い丸みを帯び、円形度のばらつきの小さいトナーは、感光体との接触摩擦係数が小さくなると考えられる。さらに、外添剤として炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子をトナー粒子に外添させると、トナーと感光体との接触摩擦係数がより小さくなると考えられる。このようにトナーと感光体との接触摩擦係数が小さくなると、トナー像を転写する際に感光体からトナー像を構成するトナーが剥がれやすくなるためであると考えられる。
また、前記静電潜像現像用トナーは、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を担持して搬送する磁気ローラと、前記磁気ローラと所定の間隔をあけて対向して配置され、周表面に前記現像剤中の非磁性トナーを担持して搬送する現像ローラと、前記現像ローラに対向して配置され、静電潜像が形成される有機感光体とを備え、前記磁気ローラによって搬送された前記現像剤中の非磁性トナーを前記現像ローラの周表面に移行させ、前記現像ローラによって搬送された非磁性トナーを、前記有機感光体の表面に飛翔させて、前記有機感光体の表面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化させ、前記トナー像を記録媒体に転写させることによって画像を形成する画像形成装置において、前記非磁性トナーとして使用することができる。これによって、表面が平滑なアモルファスシリコン感光体と比べて、表面の凹凸が多い有機感光体を備えたハイブリッド現像方式の画像形成装置においても、表面に凸凹が多く摩擦の大きい有機感光体からの転写効率の低下を防ぐことができる。さらに、アモルファスシリコン感光体より削れやすい有機感光体であっても、好適に画像形成を行うことができる。
また、本発明の他の一態様に係る現像剤は、非磁性トナーと、磁性キャリアとを含む現像剤であって、前記非磁性トナーが、前記静電潜像現像用トナーであることを特徴とする。このような構成によれば、画像形成装置においてスリーブ付着の発生を抑制し、よって、高画質な画像を長期間に渡って形成することができる。
また、本発明の他の一態様に係るトナーセットは、複数色のトナーを用いてトナー像を形成させ、形成させたトナー像を記録媒体上に定着させることによって、画像を形成する画像形成方法に用いられる複数色のトナーからなるトナーセットであって、前記複数色のトナーが、それぞれ前記静電潜像現像用トナーであって、前記複数色のトナーにおける全てのD4からD8までの値の標準偏差が0.004以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、現像ローラへのトナーの付着であるスリーブ付着を抑制することができる。特に、小型タンデム型ハイブリッド現像方式を用いた画像形成装置に用いて、カラー画像を形成した場合であっても、スリーブ付着の発生を抑制し、よって、高画質なカラー画像を長期間にわたって形成することができる。
また、本発明の他の一態様に係る現像剤セットは、複数色の現像剤からなり、前記複数色の現像剤が、それぞれ前記トナーセットを構成する各色の静電潜像現像用トナーと磁性キャリアとを含有することを特徴とする。
このような構成によれば、現像ローラへのトナーの付着であるスリーブ付着を抑制することができる。特に、小型タンデム型ハイブリッド現像方式を用いた画像形成装置に用いて、カラー画像を形成した場合であっても、スリーブ付着の発生を抑制し、よって、高画質なカラー画像を長期間にわたって形成することができる。
本発明によれば、現像ローラへのトナーの付着であるスリーブ付着を抑制することができる静電潜像現像用トナーを提供することができる。また、前記静電潜像現像用トナーを含む現像剤、前記静電潜像現像用トナーを含むトナーセット、及び前記トナーセットの各トナーを含む現像剤セットが提供される。
本実施形態で用いられる画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。 図1に示す画像形成装置に備えられる画像形成ユニットの構成を示す概略断面図である。 クリーニング性評価のための画像を示す概念図である。 クリーニング性を評価する際の感光体ドラムの状態を示す概略図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[トナー]
本実施形態に係る静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合もある。)は、トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含む静電潜像現像用トナーであって、フロー式粒子像分析装置によって測定される当該トナー中の、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度をDnとしたときに、D4からD8までの値がそれぞれ0.94以上であり、D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)との差(Dmax−Dmin)が0.015以下であり、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであり、前記外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有することを特徴とする。
まず、本実施形態に係るトナーは、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度をDnとしたときに、D4からD8までの値がそれぞれ0.94以上である。すなわち、Dminが0.94以上である。
D4からD8までのいずれか1つ以上が小さすぎる場合、トナー像を転写する際に、トナー像を構成するトナーが感光体から剥がれにくく、転写中抜け等の転写の問題が発生する傾向がある。このことは、このような場合には、トナー全体で見ると、球形に近い丸みを帯びたトナーが少なくなり、すなわち、丸みの少ないトナーが増加するので、トナーと感光体との接触摩擦係数が増大するためであると考えられる。
また、Dminが0.94以上であればよいが、0.945以上であることが好ましく、1に近いほど好ましい。そうすることによって、トナー全体として球状に近い丸みを有したトナーが増加し、転写中抜けの発生が抑制される。
ここで、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満の粒子(例えば、トナー)の平均円形度Dnは、nμm以上n+1μm未満の粒子の2次元投影像と同じ面積をもつ円の周囲長を、前記2次元投影像の周囲長で除することにより求められた円形度の平均値である。前記2次元投影像の周囲長は、フロー式粒子像分析装置を用いて測定することができる。また、前記フロー式粒子像分析装置としては、例えば、シスメックス株式会社製のFPIA−2100等を用いることができる。
投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満の粒子(例えば、トナー)の平均円形度Dnは、具体的には、以下のように測定した値である。
まず、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)に測定対象物である粒子(平均円形度Dnを測定する粒子)を装入する。そして、装入された粒子全体の中から、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満の粒子(但し、nは0以上の整数)の2次元投影像を、23℃、60%RHの環境下で測定した。すなわち、測定の対象を投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満の粒子に限定して、23℃、60%RHの環境下で、2次元投影像を測定した。そして、得られた2次元投影像(当該投影面積円相当径を限定した個々の粒子についての2次元投影像)を、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理したときの周囲長(L)を測定する。次に、前記2次元投影像と同じ面積をもつ円の周囲長(L0)と、下記式(I)を用いて、個々の粒子の円形度を算出する。
a=L0/L (I)
式中、aは、円形度を示し、Lは、前記2次元投影像を画像処理したときの周囲長を示し、L0は、前記2次元投影像と同じ面積をもつ円の周囲長を示す。
最後に、当該投影面積円相当径に限定した個々の粒子の円形度aの総和を、当該投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満の粒子の数量で除した値を、粒度nμmの平均円形度Dnと定義する。
また、前記静電潜像現像用トナーは、D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)の差(Dmax−Dmin)が、0.015以下であり、0.010以下であることが好ましい。Dnの最大値と最小値の差(Dmax−Dmin)が大きすぎる場合には、トナー像を転写する際に、トナー像を構成するトナーが感光体から剥がれにくく、転写中抜け等の転写の問題が発生する傾向がある。このことは、トナー全体で見ると、円形度の分布にばらつきが生じてしまい、個々のトナーの間で、感光体ドラムとの接触摩擦係数がばらつくことによると考えられる。
そして、D4からD8までの2つ以上の値が低く、Dnの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)の差(Dmax−Dmin)が大きすぎる場合には、円形度の分布にばらつきがあり、現像スリーブ上でトナー層を均一に形成できなくなり、高画質な画像を形成できない傾向がある。具体的には、ベタ画像を出力する時に画像むら等が発生する傾向がある。このことは、円形度の分布にばらつきがトナーの帯電量分布にも影響して、トナーの帯電量上昇という現象を引き起こし、現像スリーブ上でトナーが帯電凝集を引き起こすことによると考えられる。
また、前記前記静電潜像現像用トナーは、105℃における粘度(溶融粘度)が3×10〜7×10Pa・sであり、6×10〜5×10Pa・sであることが好ましい。トナーの溶融粘度が低すぎる場合には、転写中抜けや現像スリーブでの帯電凝集によるスリーブ付着が発生しやすくなり、画像むらが多くなる傾向がある。このことは、トナーを製造する際に、小粒径でひずみのあるトナー、すなわち楕円形のトナーが多く形成されやすく、その結果、特にD4やD5の低下を引き起こし、円形度分布のばらつきが大きくなることによると考えられる。また、トナーの溶融粘度が低すぎる場合には、上記の不具合に加えて、ホットオフセットが発生しやすくなり、高画質な画像が形成されにくい傾向がある。また、溶融粘度が高すぎる場合には、定着性が低下して画像欠陥が発生する傾向がある。また、トナー粒子を、トナー粒子の原料からなる混練物を粉砕することによって製造する場合、その粉砕性が低下するので、トナーの生産性が低下する傾向もある。よって、105℃における粘度が上記範囲内であると、スリーブ付着の発生を抑制し、高画質な画像を形成できる。さらに、105℃における粘度が6×10Pa・s以上の場合には、円形度分布のばらつきが小さくなり、スリーブ付着の発生がより一層抑制される。また、105℃における粘度が5×10Pa・s以下の場合には、粉砕性により優れるので生産性がより向上する。また、ホットオフセット等の定着不良の発生を抑制することができる。
ここで、105℃における粘度は、フローテスタ等を用いて測定した値である。フローテスタとしては、株式会社島津製作所製のCFT−500Dを用いることができる。
105℃における粘度は、具体的には、以下のように測定した値である。
まず、測定対象物である静電潜像現像用トナー2gを秤量し、フローテスタ(株式会社島津製作所製のCFT−500D)のシリンダの内径に対応した内径を有する圧縮成形用の型内に充填した状態で、1000kg/cmの圧力で圧縮成形して、タブレット状の測定用試料を作製する。
次に、前記測定用試料を前記フローテスタのシリンダ内に収容し、測定用試料に30kgfの荷重をかけながら、前記シリンダの温度を、毎分4℃の昇温速度で徐々に上昇させる。そして、測定用試料が溶融して、シリンダの底部に設けた直径1mm、長さ1mmのダイの細孔を通して、前記シリンダ外へ流出する際の、流出速度の推移を測定する。前記測定値から、溶融粘度の、温度上昇に伴う推移を求めて、溶融粘度−温度特性のグラフを作成する。このグラフから、105℃における溶融粘度を算出する。
また、前記トナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含んで構成される。前記外添剤としては、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有する。そうすることによって、スリーブ付着の発生を抑制できる。このことは、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を外添することによって、画像形成時の現像スリーブからのトナーの離脱を良好にし、また現像スリーブにトナーが付着するのを妨げることができることによると考えられる。
また、前記直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子としては、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子であればよく、特に限定されない。また、前記直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子の直鎖飽和脂肪酸の炭素数が小さすぎる場合、スリーブ付着を抑制する効果を発揮できない傾向がある。また、炭素数が大きくてもよいが、コスト面等から炭素数が18を超えるものはあまり利用されない傾向がある。前記直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子としては、具体的には、例えば、ステアリン酸亜鉛粒子、ステアリン酸マグネシウム粒子、及びステアリン酸カルシウム粒子等が挙げられる。この中でも、ステアリン酸亜鉛粒子が好ましい。
また、前記外添剤としては、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有していればよく、他の外添剤を含有してもよい。外添剤の種類や外添剤の外添方法等については、具体的には、後述する。
また、前記トナーは、その平均粒径が5〜10μm程度に分級及び粒度調整されていることが好ましい。平均粒径を上記範囲内に調整することによって、スリーブ付着の発生をより抑制し、転写中抜け等の発生がさらに低下する傾向がある。このことは、トナー全体の中で小粒径トナーと大粒径トナーの占める割合が小さくなり、トナー全体で見ると、感光体ドラムとの接触摩擦係数が収束するためであると考えられる。
また、前記トナーは、上述したように、トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含む。
<トナー粒子>
前記トナー粒子は、少なくとも結着樹脂、及び着色剤を含有し、必要に応じて、電荷制御剤やワックス等を含有する。
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。その具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂等が好ましく用いられる。
より具体的には、ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体のほか、スチレンと、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体が挙げられる。他の共重合モノマーとしては、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等の他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。
また、ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるものが用いられる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
まず、2価又は3価以上のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
次に、2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、2価又は3価カルボン酸、この酸無水物又はこの低級アルキルエステルが挙げられる。2価カルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等が挙げられる。3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。
そして、ポリエステル系樹脂の軟化点は、80〜150℃であることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。
結着樹脂としては、定着性が良好な観点から上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみを使用する必要はなく、架橋剤を添加したり、熱硬化性樹脂を一部使用してもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、及び耐久性を向上させることができる。
上記のような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂やシアネート系樹脂等を使用することができる。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)としては、50〜65℃であることが好ましく、50〜60℃であることがより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が50℃よりも低い場合には、画像形成装置の使用時に得られるトナー同士が現像器内で融着したり、トナー容器の輸送時や倉庫等での保管時にトナー同士が一部融着し、保存安定性が低下する傾向がある。また、樹脂強度が低いため、感光体へのトナー付着が生じる傾向がある。一方、ガラス転移点が65℃よりも高い場合には、トナーの低温定着性が低下する傾向がある。尚、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計DSC−6200を用い、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空(から)のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/分で常温常湿下にて吸熱曲線を測定し、得られた吸熱曲線の変化点よりガラス転移点を求めることができる。
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。
黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。例えば、シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。
前記着色剤の含有量としては、好適な画像濃度を達成するためにも、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。
(電荷制御剤)
前記電荷制御剤は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)を著しく向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得るために配合される。すなわち、トナーを正帯電させて現像に供する場合には、正帯電性の電荷制御剤(正帯電性電荷制御剤)を添加することができ、負帯電させて現像に供する場合には、負帯電性の電荷制御剤(負帯電性電荷制御剤)を添加することができる。
前記電荷制御剤としては、従来からトナー粒子の電荷制御剤として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。
正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーとしての使用に最適である。
また、前記正帯電性電荷制御剤として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂又はオリゴマ−等も使用することができる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。この場合において、上記スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好ましく用いられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性を示す電荷制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。キレート化合物の例として、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。有機金属錯体としては、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体又は塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が特に好ましい。
上述した正帯電性或いは負帯電性の電荷制御剤の添加量は、トナーの全体量100質量部に対して、一般に0.5〜15質量部であり、好ましくは0.5〜8.0質量部であり、最も好ましくは0.5〜7.0質量部である。電荷制御剤の添加量が少なすぎる場合には、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となる傾向があり、該トナーを用いて静電潜像の現像を行って画像形成を行ったとき、画像濃度が低くなったり、画像濃度を一定に維持しにくくなる傾向がある。また、電荷制御剤の分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤の添加量が多すぎる場合には、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
(ワックス)
前記ワックスは、定着性やオフセット性を向上させるために配合される。
前記ワックスとしては、従来からトナー粒子のワックス類として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。好ましくは、例えば、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等のフッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらワックスは単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。かかるワックスを添加することにより、オフセット性や像スミアリングをより効率的に防止することができる。
ワックスの配合量に特に制限はないが、トナーの全体量100質量部に対して、1〜5質量部であることが好ましい。ワックスの配合量が少なすぎる場合には、オフセット性や像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向がある。一方、ワックスの配合量が多すぎる場合には、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。
(製造方法)
また、前記トナー粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記の、結着樹脂、着色剤、及びワックス等のトナー粒子の各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。この中でも、ヘンシェルミキサが好ましい。
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機等の押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
次に、得られた溶融混練物を冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、機械式粉砕機、特にターボミルが好適に用いられる。
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット分級機等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機、特にエルボージェット分級機が好適に用いられる。
<外添剤>
前記トナーは、前記トナー粒子に対して、外添剤を外添して得られるものである。すなわち、前記トナー粒子に外添工程を施すことによって得られるものである。
前記外添工程としては、従来公知の外添工程であれば、限定なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー粒子に外添剤を添加し、攪拌機等で攪拌させることによって、前記トナー粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる工程である。
前記外添剤としては、上述したように、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有していればよく、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子からなることが好ましい。また、前記外添剤としては、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子とともに、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子以外の外添剤を含有していてもよい。炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子以外の外添剤としては、トナーの外添剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、及びマグネタイト粒子等の金属酸化物粒子、樹脂粒子、及び前記金属酸化物粒子等が挙げられる。この中でも、シリカ粒子が、流動性、帯電性、及び研磨性に優れる点から好ましい。また、前記外添剤としては、上記外添剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記外添剤の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対して、3〜5質量部であることが好ましい。
前記攪拌機としては、従来公知の攪拌機を限定なく使用できる。具体的には、例えば、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の一般的な攪拌機等が挙げられ、ヘンシェルミキサが好適に用いられる。
[現像剤]
前記トナーを含有する現像剤としては、前記トナーを含み、キャリアを含まない1成分現像剤であってもよいし、前記トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤であってもよいが、2成分現像剤が好適に用いられる。ここでは、2成分現像剤について説明する。なお、本発明の他の一態様に係る現像剤は、前記トナーと磁性キャリアとを含むことを特徴とする。
<磁性キャリア>
前記トナーを2成分現像剤のトナーとして用いる場合には、前記トナーが非磁性トナーであり、前記トナーを磁性キャリアに混合する。
前記磁性キャリアは、従来から現像剤の磁性キャリアとして用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、キャリアコア材である磁性体粒子の表面を樹脂で被覆したものを用いることができる。キャリアコア材として、具体的には、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物等の磁性体材料を、焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子が挙げられる。
上述のようにして得られたキャリアコア材の表面を被覆する表面コート剤として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系結着樹脂が挙げられる。
キャリアの粒子径は、一般に電子顕微鏡法による粒径で表して20〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜150μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に2.4〜3.0g/cmの範囲内であることが好ましい。
前記トナーとキャリアとを含む2成分現像剤中のトナー濃度は、1〜20質量%である。好ましくは3〜15質量%である。トナー濃度が低すぎる場合には、画像濃度が薄くなりすぎる傾向がある。一方、トナー濃度が高すぎる場合には、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合が生じる虞がある。
本実施形態に係る現像剤は、前記トナーを前記磁性キャリアと適切な割合で混合した2成分現像剤であり、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
[トナーセット]
本実施形態に係るトナーセットは、複数色のトナーを用いてトナー像を形成させ、形成させたトナー像を記録媒体上に定着させることによって、画像を形成する画像形成方法に用いられる複数色のトナーからなるトナーセットであって、前記複数色のトナーが、それぞれ前記静電潜像現像用トナーであって、前記複数色のトナーにおける全てのD4からD8までの値の標準偏差が0.004以下であることを特徴とする。
具体的には、例えば、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナーの順でトナーを重ね合わせて複数層からなるトナー像を形成させる場合、この4種類のトナーが、全て前記トナーであって、各色のトナーの全てのD4からD8までの値の標準偏差が0.004以下であるトナーセットである。すなわち、色にかかわらず、トナーの形状を同程度の円形度に揃えたトナーセットである。このようなトナーセットを用いることによって、スリーブ付着の発生を抑制することができ、高画質なカラー画像を長期間にわたって形成することができる。
なお、ここで標準偏差σとは、下記式(1)で算出される値である。
Figure 2011133751
式中、σは、前記標準偏差を示し、nは、前記標準偏差を算出する対象(トナー)の標本数を示し、xは、各色のトナーのD4からD8の各値を示し、下記(2)で表すものは、各色のトナーの全てのD4からD8の相加平均値(算術平均値)を示す。
Figure 2011133751
なお、ブラックトナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びシアントナーの4色のトナーからなるトナーセットの場合、それぞれの標本数が5個であるので、nは、20個である。
[現像剤セット]
前記トナーセットを構成する各色のトナーを含む現像剤セットは、複数色の現像剤からなる。そして、前記複数色の現像剤としては、それぞれ前記トナーセットを構成する各色のトナーを含み、キャリアを含まない1成分現像剤からなる現像剤セットであってもよいし、前記各色のトナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤からなる現像剤セットであってもよいが、2成分現像剤からなる現像剤セットが好適に用いられる。2成分現像剤からなる現像剤セットとしては、具体的には、例えば、前記トナーセットが、マゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、及びブラックトナーから構成される場合、前記マゼンタトナーと磁性キャリアとを含有するマゼンタ現像剤と、前記シアントナーと磁性キャリアとを含有するシアン現像剤と、前記イエロートナーと磁性キャリアとを含有するイエロー現像剤と、前記ブラックトナーと磁性キャリアとを含有するブラック現像剤とから構成される。なお、前記磁性キャリアとしては、前記現像剤に含まれる磁性キャリアと同様のものを用いることができる。
本実施形態にかかる現像剤セットの現像剤は、例えば、前記トナーを前記磁性キャリアと、上述したような適切な割合で混合した2成分現像剤からなるものであり、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
[画像形成装置]
前記トナー、現像剤、トナーセット、及び現像剤セットを用いる画像形成装置について説明する。
図1は、本実施形態で用いられる画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、電子写真法によって給紙カセット22から送り出された記録紙に所定の画像を形成する装置である。画像形成装置1の画像形成装置本体2内には、水平方向に図1の左から右に向かって、ブラック用画像形成ユニット3、イエロー用画像形成ユニット4、シアン用画像形成ユニット5及びマゼンタ用画像形成ユニット6が順に配置されている。
図2は、図1に示す画像形成装置に備えられる画像形成ユニットの構成を示す概略断面図である。図2に示す画像形成ユニット3は、その他の画像形成ユニット4、5及び6と同様に、感光体ドラム10、帯電装置12、露光装置14、現像装置100、転写装置16、クリーニング装置18を備えている。画像形成装置1は小型化を図るために、縦型の現像装置100を感光ドラム10の斜め上方に配置している。
感光体ドラム10は、有機感光体(OPC)である。帯電装置12は、帯電ローラを備え、帯電ローラに電圧を印加することによって感光体ドラム10の表面に所定電位を与えるものである。露光装置14は、画像データに基づく光を照射することにより感光体ドラム10の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。現像装置100は、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものである。転写装置16は、感光体ドラム10上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に1次転写するものである。クリーニング装置18は、感光体ドラム10の表面に1次転写後に残留したトナー等を除去するものである。
画像形成装置1は、記録紙の搬送方向下流側に、加熱ローラと加圧ローラを有する定着装置24をさらに備えている。定着装置24は、トナー像が2次転写された記録紙に熱と圧力とを加えてトナー像を定着させて、記録紙上に所定の画像を形成させる。
以下、画像形成装置1に用いられる現像装置100について図2を参照しながら説明する。
現像装置100は、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む2成分現像剤を収容するハウジング110と、第1と第2の現像剤撹拌室112、114内でそれぞれらせん状羽根を回転させる攪拌ローラ122、124を有し、収容された2成分現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送手段120と、現像剤を周表面に磁気的に吸引保持して搬送する磁気ローラ130と、磁気ローラ130及び感光体ドラム10の各々の周表面に対し所定の間隔をあけて配設されてトナーのみが付着させられる現像ローラ140とを備えている。撹拌搬送手段120、磁気ローラ130及び現像ローラ140はハウジング110内にそれぞれ回転自在に配設されている。
撹拌ローラ122、124は、らせん状羽根を回転させて、互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌して、2成分現像剤のトナーを帯電させる。さらに、撹拌ローラ122は、帯電させたトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を磁気ローラ130に供給する。磁気ローラ130は、内部に配置された磁石134によって2成分現像剤が穂立ちを形成するように吸着させて、2成分現像剤を搬送する。このとき、2成分現像剤は、磁気ローラ130の内部の磁石によって磁気ブラシとなっており、層厚規制ブレード117と磁気ローラ130との間を磁気ブラシが通過する際に、磁気ブラシの厚さが規制される。そして、磁気ローラ130の下側に配置された現像ローラ140は、磁気ローラ130上に穂立ちした2成分現像剤に接触することで、磁気ブラシ中のトナーを容易に現像ローラ140の周表面に移行させることができる。また、磁気ローラ130と現像ローラ140とにそれぞれ印加されるバイアス電圧の電位差の作用によっても、トナーを磁気ローラ130から現像ローラ140に移行させることができる。この移行によって、現像ローラ140の周表面にトナーの薄層を形成する。この現像ローラ140上で薄層を形成しているトナーは、感光体ドラム31の近傍まで搬送された際に、感光体ドラム10と現像ローラ140との間に発生させた電位差によって、感光体ドラム31へと飛翔する。
以上の画像形成動作によって、現像装置100は、感光体ドラム10上に形成されている静電潜像に基づく現像を行う。
なお、現像装置100では、キャリアは現像によって消費されず、そのまま現像装置100内に回収され、再びトナーと混合されて使用される。一方、現像装置100の上方に装着されたトナーコンテナ100Aが現像によって消費されたトナーを補給する。
小型タンデム型画像形成装置はコンパクトでありながら、優れた高速性を有するとともに、磁気ブラシが感光体ドラムに接触しない非接触現像方式の現像装置を採用しているので、感光体へのキャリア付着がなく、磁気ブラシによる感光体への傷が生じず、高画質化が可能である。
上記画像形成装置は、複数色のトナー像を中間転写ベルトに一旦転写して、その中間転写ベルトに転写された複数色のトナー像を用紙に転写する装置であったが、このような画像形成装置に限定されない。例えば、用紙に直接トナー像を転写する画像形成装置であってもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
なお、ここでの、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度や、トナーの溶融粘度(105℃における粘度)は、以下のようにして測定された値である。
まず、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度Dnは、具体的には、以下のように測定した値である。
まず、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)に測定対象物であるトナー(平均円形度Dnを測定するトナー)を装入した。そして、装入された粒子全体の中から、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナー(但し、nは0以上の整数)の2次元投影像を、23℃、60%RHの環境下で測定した。すなわち、測定の対象を投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーに限定して、23℃、60%RHの環境下で、2次元投影像を測定した。そして、得られた2次元投影像(当該投影面積円相当径を限定した個々のトナーについての2次元投影像)を、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理したときの周囲長(L)を測定した。次に、前記2次元投影像と同じ面積をもつ円の周囲長(L0)と、下記式(I)を用いて、個々のトナーの円形度を算出した。
a=L0/L (I)
式中、aは、円形度を示し、Lは、前記2次元投影像を画像処理したときの周囲長を示し、L0は、前記2次元投影像と同じ面積をもつ円の周囲長を示す。
最後に、当該投影面積円相当径に限定した個々のトナーの円形度aの総和を、当該投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの数量で除した値を、粒度nμmの平均円形度Dnと定義した。
そして、前記フロー式粒子像分析装置に装入された静電潜像現像用トナー全体の中から、まず、測定の対象を投影面積円相当径が4μm以上5μm未満のトナーに限定して、D4を求めた。そして、同様にしてD5、D6、D7、D8を求めた。
次に、105℃における粘度は、フローテスタを用いて測定した値である。フローテスタとしては、株式会社島津製作所製のCFT−500Dを用いた。具体的には、まず、測定対象物である静電潜像現像用トナー2gを秤量し、フローテスタ(株式会社島津製作所製のCFT−500D)のシリンダの内径に対応した内径を有する圧縮成形用の型内に充填した状態で、1000kg/cmの圧力で圧縮成形して、タブレット状の測定用試料を作製した。
次に、前記測定用試料を前記フローテスタのシリンダ内に収容し、測定用試料に30kgfの荷重をかけながら、前記シリンダの温度を、毎分4℃の昇温速度で徐々に上昇させた。そして、測定用試料が溶融して、シリンダの底部に設けた直径1mm、長さ1mmのダイの細孔を通して、前記シリンダ外へ流出する際の、流出速度の推移を測定した。前記測定値から、溶融粘度の、温度上昇に伴う推移を求めて、溶融粘度−温度特性のグラフを作成した。このグラフから、105℃における溶融粘度を算出した。
[実施例A]
実施例Aでは、本実施形態に係る静電潜像現像用トナー、特にブラックトナー、及び前記静電潜像現像用トナーを含む現像剤を例に挙げて検討した。
<実施例1>
(結着樹脂)
まず、結着樹脂の製造方法について説明する。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1960gと、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物780gと、ドデセニル無水コハク酸257gと、テレフタル酸770gとからなる原料モノマーを、酸化ジブチル錫4gと共に反応容器に入れ、窒素雰囲気下、235℃で8時間、攪拌した。さらに、8.3kPaの条件で1時間、攪拌した。その後、180℃で、得られるポリエステル樹脂の酸価が所望の値になるように、無水トリメリット酸を前記反応容器内に添加し、10℃/時の昇温速度で210℃まで昇温させながら、攪拌した。そうすることによって、酸価が、20mgKOH/gのポリエステル樹脂が得られた。この得られたポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた。
(トナー粒子)
次に、トナー粒子の製造方法について説明する。
まず、結着樹脂として、前記ポリエステル樹脂100質量部、着色剤として、カーボンブラック(三菱化学株式会社製のMA−100)5質量部、ワックスとして、カルナバワックス(株式会社加藤洋行製のカルナバワックス1号)5質量部、電荷制御剤として、4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学工業株式会社製のP−51)2質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製のFM20B)で混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(東芝機械株式会社製のTEM45)で150℃で溶融混練し、得られた混練物を冷却させた。この冷却させた混練物を、機械式粉砕機(ターボ工業株式会社製のターボミル)で粉砕し、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製のEJ−LABO)で分級処理した。そうすることによって、体積平均粒子径6.8μmのトナー粒子が得られた。なお、トナー粒子の体積平均粒子径は、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)によって、測定した。
(トナー)
次に、トナーの製造方法について説明する。
まず、得られたトナー粒子100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製のREA200)1.8質量部と酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製のEC−100)1.0質量部とステアリン酸亜鉛粒子(日油株式会社製)0.1質量部とを加え、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用いて回転周速30m/sで5分間攪拌混合した。そうすることによって、実施例1に係る静電潜像現像用トナー(ブラックトナー)が得られた。
前記静電潜像現像用トナーに対して、D4からD8までの各値を測定し、Dmax及びDminを求めた。そして、105℃における粘度を測定した。D4〜D8、Dmax、Dmin、Dmax−Dmin及び105℃における粘度を表1に示す。
(現像剤)
得られたトナーを、フェライトキャリア(パウダーテック株式会社製:京セラミタ株式会社製のFS−C5016に用いられるキャリア)100質量部あたり10質量部の割合で、すなわちトナー濃度が10質量%となるように配合した。そして、ボールミル(京セラミタ株式会社製)で30分間攪拌した。そうすることによって、実施例1に係る静電潜像現像用トナーを含む2成分現像剤が得られた。
<実施例2〜6及び比較例1〜8>
前記トナー粒子の製造において、Dmax、Dmin、及びDmax−Dminが表1に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜8に係る各トナー、及び前記各トナーを含む2成分現像剤を製造した。
<実施例7>
前記トナー粒子の製造において、Dmax、Dmin、及びDmax−Dminが表1に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更し、ステアリン酸亜鉛粒子の代わりに、ステアリン酸マグネシウム粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、実施例7に係るトナー、及び前記トナーを含む2成分現像剤を製造した。
<比較例9>
前記トナー粒子の製造において、Dmax、Dmin、及びDmax−Dminが表1に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更し、さらに、外添剤として、ステアリン酸亜鉛粒子を用いないこと以外、実施例1と同様にして、比較例9に係るトナー、及び前記トナーを含む2成分現像剤を製造した。
<比較例10>
前記トナー粒子の製造において、Dmax、Dmin、及びDmax−Dminが表1に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更し、ステアリン酸亜鉛粒子の代わりに、ラウリン酸亜鉛粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、比較例10に係るトナー、及び前記トナーを含む2成分現像剤を製造した。
各トナーの、Dmax、Dmin、Dmax−Dmin及び105℃における粘度を表1に示す。
Figure 2011133751
[評価]
得られたトナー及び現像剤については、以下のような方法で評価した。
<転写性(中抜け)>
まず、京セラミタ株式会社製のプリンタ(FS−C5016N)に備えられた帯電装置の代わりに、帯電ローラを備えた帯電装置を備えた改造機を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、得られた各トナーを補給用トナーとして用いて、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
具体的には、まず、前記スタート現像剤を、前記評価機の各色に応じた現像剤収容部にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、常温常湿環境下で、100%ソリッド部、50%ハーフトーン部、文字部、及び細線部を含むサンプル画像を出力した。なお、この画像を初期画像とした。その後、常温常湿環境下で、印字率5%の標準パターンを20000枚印刷(20000枚耐刷)した。そして、前記耐刷後に、前記サンプル画像を再び出力した。なお、この画像を耐刷後画像(評価画像)とした。
前記評価画像の細線部に中抜けが存在するかを、10倍のルーペを用いて、目視で確認した。中抜けが確認できなかった場合には、「5」と評価し、中抜けがわずかに(非常に軽微に)確認できた場合には、「4」と評価し、中抜けが多く発生していることを確認できた場合には、「3」と評価し、中抜けが顕著に発生していることを確認できた場合には、「2」と評価し、中抜けが広範囲に顕著に発生していることを確認できた場合には、「1」と評価した。なお、4以上を合格(許容範囲内)とし、3以下を不合格とした。
<画像濃度>
前記初期画像の100%ソリッド部(印字率100%)と前記耐刷後画像(評価画像)の画像濃度とを、反射濃度計(東京電色株式会社製のTC−6D)を用いて測定した。それぞれを、画像濃度ID(初期)と画像濃度ID(耐刷)とした。
<スリーブ付着>
前記画像形成中や前記耐刷後画像(評価画像)を出力した後等の適当なときに、現像スリーブ(現像ローラ)にトナーが付着しているか否かを目視で確認し、同時に、前記評価画像を目視で評価した。
前記耐刷後画像(評価画像)を出力した後に、現像スリーブ上にトナーの付着、いわゆるスリーブ付着が確認できず、前記評価画像の100%ソリッド部及び50%ハーフトーン部の画像がともに良好に形成されていれば、「5」と評価した。
前記耐刷後画像(評価画像)を出力した後に、現像スリーブ上にトナーの付着(スリーブ付着)が少し確認できるが、前記評価画像の100%ソリッド部及び50%ハーフトーン部の画像がともに良好に形成されていれば、「4」と評価した。
前記耐刷後画像(評価画像)を出力した後に、現像スリーブ上にトナーの付着(スリーブ付着)が多く発生していることが確認でき、前記評価画像の100%ソリッド部及び50%ハーフトーン部の画像に、スリーブ付着に由来すると思われる画像欠損、いわゆるスリーブ層むらが確認できた場合、「3」と評価した。
前記初期画像を出力した後、前記耐刷後画像(評価画像)を出力するまでの間に、現像スリーブ上にトナーの付着(スリーブ付着)が多く発生していることが確認でき、前記評価画像の100%ソリッド部及び50%ハーフトーン部の画像に、スリーブ付着に由来すると思われる画像欠損、いわゆるスリーブ層むらが確認できた場合、「2」と評価した。
前記初期画像を出力した後に、現像スリーブ上にトナーの付着(スリーブ付着)が多く発生していることが確認でき、前記初期画像の100%ソリッド部及び50%ハーフトーン部の画像に、スリーブ付着に由来すると思われる画像欠損、いわゆるスリーブ層むらが確認できた場合、「1」と評価した。
なお、4以上を合格(許容範囲内)とし、3以下を不合格とした。
<定着性>
定着温度を180℃に設定し、通常環境(20℃、65%RH)下で、電源OFFの状態で10分間冷却した後、電源ONし、定着パターンソリッド画像を連続5枚印字し、測定用画像を得た。そして、この測定用画像に、綿布で包んだ黄銅製分銅(1kg)を載置した。その後、前記分銅の自重を前記評価画像にかけたまま、前記分銅で前記評価画像を10往復擦った。この操作の前後のソリッド部の画像濃度を、前記反射濃度計で測定した。そして、下記式(II)から定着率を算出し、定着性の評価とした。
定着率(%)= 前記操作後の画像濃度 / 前記操作前の画像濃度 × 100 (II)
そして、定着率が95%以上であれば、「○」と評価し、定着率が90%以上95%未満であれば、「△」と評価し、定着率が90%未満であれば、「×」と評価した。
なお、「○」及び「△」を合格(許容範囲内)とし、「×」を不合格とした。
<ホットオフセット性>
通常環境(20℃、65%RH)下で、定着温度を230℃に設定して、オフセットパターン画像を連続10枚印字し、測定用画像を得た。その測定用画像に、ホットオフセットに由来すると思われる画像欠損が発生しているか否かを目視で確認した。
そして、ホットオフセットに由来すると思われる画像欠損の発生が確認されなければ、「○」と評価し、ホットオフセットに由来すると思われる画像欠損の発生が確認されれば、「×」と評価した。なお、「○」を合格(許容範囲内)とし、「×」を不合格とした。
<クリーニング性>
まず、上記各評価で用いた画像形成装置と同様のものを評価機として用い、前記評価機に画像データを送信するとともに、上記各評価での条件と同条件で、画像形成を開始させ、クリーニング装置による感光体ドラム表面のトナーを除去している途中で感光体ドラムの駆動を停止させた。
具体的には、図3に示すような、白紙部31と、帯状のベタ画像部32を含むサンプル画像を出力するための画像データを前記評価機に送信し、図4に示すように、感光体ドラム40の中央部に周方向に帯状の前記ベタ画像部を形成するためのトナーが付着されたベタ画像部領域42を形成させた。その後、クリーニング装置による感光体ドラム表面のトナーを除去している途中で感光体ドラムの駆動を停止させた。すなわち、感光体ドラム40の表面には、図4に示すように、前記白紙部に相当するトナーが付着されていない白紙部領域41と、前記ベタ画像部に相当するトナーが付着されているベタ画像部領域42と、付着されたトナーがクリーニング装置によって除去された状態のトナー除去後領域43とが形成される。なお、図3は、クリーニング性評価のための画像を示す概念図であり、図4は、クリーニング性を評価する際の感光体ドラムの状態を示す概略図である。
そして、前記トナー除去後領域43に、セロハン粘着テープを貼着させた後、剥離した。その剥離したセロハン粘着テープを、白色の用紙に貼着させた。セロハン粘着テープを貼着させた用紙の濃度を、セロハン粘着テープの上から反射濃度計(有限会社東京電色製のTC−6D)を用いて測定した。
そして、濃度が0.14以下であれば、「○」と評価し、濃度が0.14を超えるのであれば、「△」と評価した。なお、表面にトナーが全く付着されていない感光体ドラムを用いて、上記と同様の測定を行った場合、濃度が、0.10〜0.14となる。よって、「○」を合格(許容範囲内)とし、「△」を不合格とした。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2011133751
表2に示すように、Dminが0.94以上であって、DmaxとDminとの差が0.015以下であって、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであって、さらに、外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有する場合(実施例1〜7)は、他の場合(比較例1〜10)と比較して、スリーブ付着を付着し、高画質な画像を形成することができることを示している。
[実施例B]
実施例Bでは、本実施形態に係るトナーセット及び現像剤セットを例に挙げて検討した。また、本実施例に係るトナーセットは、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーからなるトナーセットであるが、これに限定されない。
<実施例8〜10及び比較例11〜15>
(ブラックトナー)
前記トナー粒子の製造において、D4〜D8、Dmax−Dmin、及びブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーの全てのD4〜D8の標準偏差Dσが表3及び表4に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8〜10及び比較例11〜15に係る各トナーセットに含まれるブラックトナー、及び前記各ブラックトナーを含む2成分現像剤を製造した。
(シアントナー)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製のMA−100)5質量部の代わりに、フタロシアニン顔料(山陽色素株式会社製のC.I.ピグメントブルー15:1)3質量部用い、前記トナー粒子の製造において、D4〜D8、Dmax−Dmin、及びブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーの全てのD4〜D8の標準偏差Dσが表3及び表4に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8〜10及び比較例11〜15に係る各トナーセットに含まれるシアントナー、及び前記各シアントナーを含む2成分現像剤を製造した。
(マゼンタトナー)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製のMA−100)5質量部の代わりに、キナクリドン顔料(山陽色素株式会社製のC.I.ピグメントレッド122)4質量部用い、前記トナー粒子の製造において、D4〜D8、Dmax−Dmin、及びブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーの全てのD4〜D8の標準偏差Dσが表3及び表4に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8〜10及び比較例11〜15に係る各トナーセットに含まれるマゼンタトナー、及び前記各マゼンタトナーを含む2成分現像剤を製造した。
(イエロートナー)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製のMA−100)5質量部の代わりに、フタロシアニン顔料(山陽色素株式会社製のC.I.ピグメントイエロー180)4質量部用い、前記トナー粒子の製造において、D4〜D8、Dmax−Dmin、及びブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーの全てのD4〜D8の標準偏差Dσが表3及び表4に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8〜10及び比較例11〜15に係る各トナーセットに含まれるイエロートナー、及び前記各イエロートナーを含む2成分現像剤を製造した。
<比較例16>
ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーを製造する際、外添剤として、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を用いず、前記各トナーのトナー粒子の製造において、D4〜D8、Dmax−Dmin、及びブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びイエロートナーの全てのD4〜D8の標準偏差Dσが表3及び表4に示す値になるように、溶融混練条件、粉砕条件及び分級条件を変更したこと以外、実施例8〜10及び比較例11〜15と同様にして、比較例16に係るトナーセット、及び前記トナーセットの各トナーをそれぞれ含む現像剤セットを製造した。
各トナーセットの、D4〜D8、Dmax−Dmin、標準偏差Dσ及び105℃における粘度を表3及び表4に示す。なお、トナーセットを構成するトナーは、着色剤以外の組成が同じであるので、トナーの色にかかわらず、105℃における粘度は、同じである。
Figure 2011133751
Figure 2011133751
[評価]
得られたトナーセット及び現像剤セットについては、以下のような方法で評価した。なお、転写性(中抜け)、画像濃度、スリーブ付着、定着性、及びホットオフセット性については、上記と同様に評価した。
<転写性(2次色)>
前記耐刷後画像(評価画像)を、レッド、ブルー、及びグリーンの2次色で形成させた場合の、評価画像の細線部に中抜けが存在するかを、10倍のルーペを用いて、目視で確認した。中抜けが確認できなかった場合には、「5」と評価し、中抜けがわずかに(非常に軽微に)確認できた場合には、「4」と評価し、中抜けが多く発生していることを確認できた場合には、「3」と評価し、中抜けが顕著に発生していることを確認できた場合には、「2」と評価し、中抜けが広範囲に顕著に発生していることを確認できた場合には、「1」と評価した。なお、4以上を合格(許容範囲内)とし、3以下を不合格とした。
<カラー画像色再現性>
前記初期画像及び前記耐刷後画像(評価画像)を、レッド、ブルー、及びグリーン等の2次色で形成させた場合の、前記初期画像の100%ソリッド部と前記耐刷後画像(評価画像)の100%ソリッド部との色差を測定した。
なお、ここで、色差とは、以下のようにして求められる値である。
前記初期画像の100%ソリッド部と前記耐刷後画像(評価画像)の100%ソリッド部とを、それぞれL方式で表したときの、L値、a値、及びb値を、分光光度計(グレタグマクベス社製のスペクトロアイ)を用いて測定した。なお、このL方式の値(L値、a値、及びb値)は、JIS Z 8729の「色の表示方法−L表示色及びL表示色」に準拠の方法により求められた値である。
そして、下記式(III)を用いて、色差(ΔE)を算出した。
ΔE = (ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2 (III)
式中、ΔLは、前記初期画像の100%ソリッド部と前記耐刷後画像(評価画像)の100%ソリッド部とL値の差を示し、Δaは、前記初期画像の100%ソリッド部と前記耐刷後画像(評価画像)の100%ソリッド部とa値の差を示し、Δbは、前記初期画像の100%ソリッド部と前記耐刷後画像(評価画像)の100%ソリッド部とb値の差を示す。
さらに、人物画像等のカラー画像を出力して、そのカラー画像を目視で観察した。
そして、これらの測定から、ΔEが2以下で、前記カラー画像が非常に高精細なものであると確認されれば、「5」と評価し、ΔEが2を超え4以下で、前記カラー画像が高精細なものであると確認されれば、「4」と評価し、ΔEが4を超え6以下で、前記カラー画像に精細さが欠ける部分が確認されれば、「3」と評価し、ΔEが6を超え10以下で、前記カラー画像に精細さがないことが確認されれば、「2」と評価し、ΔEが10を超え、前記カラー画像に乱れが確認されれば、「1」と評価した。なお、4以上を合格(許容範囲内)とし、3以下を不合格とした。
以上の結果を表5に示す。
Figure 2011133751
表5に示すように、Dminが0.94以上であって、DmaxとDminとの差が0.015以下であって、105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであって、さらに、外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有する静電潜像現像用トナーを含み、さらに、各トナーの全てのD4〜D8の値の標準偏差が0.004以下である場合(実施例8〜10)は、他の場合(比較例11〜16)と比較して、スリーブ付着を抑制し、高画質な画像を形成することができることを示している。
1 画像形成装置
3 ブラック用画像形成ユニット
10 感光体ドラム
12 帯電装置
14 露光装置
16 転写装置
18 クリーニング装置
100 現像装置
130 磁気ローラ
140 現像ローラ

Claims (5)

  1. トナー粒子と、前記トナー粒子に外添される外添剤とを含む静電潜像現像用トナーであって、
    フロー式粒子像分析装置によって測定される当該トナー中の、投影面積円相当径がnμm以上n+1μm未満のトナーの平均円形度をDnとしたときに、
    D4からD8までの値がそれぞれ0.94以上であり、
    D4からD8までの最大値(Dmax)と最小値(Dmin)との差(Dmax−Dmin)が0.015以下であり、
    105℃における粘度が3×10〜7×10Pa・sであり、
    前記外添剤が、炭素数14以上の直鎖飽和脂肪酸金属塩粒子を含有することを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 非磁性トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を担持して搬送する磁気ローラと、前記磁気ローラと所定の間隔をあけて対向して配置され、周表面に前記現像剤中の非磁性トナーを担持して搬送する現像ローラと、前記現像ローラに対向して配置され、静電潜像が形成される有機感光体とを備え、
    前記磁気ローラによって搬送された前記現像剤中の非磁性トナーを前記現像ローラの周表面に移行させ、前記現像ローラによって搬送された非磁性トナーを、前記有機感光体の表面に飛翔させて、前記有機感光体の表面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化させ、前記トナー像を記録媒体に転写させることによって画像を形成する画像形成装置において、
    前記非磁性トナーとして使用される請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 非磁性トナーと、磁性キャリアとを含む現像剤であって、
    前記非磁性トナーが、請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーであることを特徴とする現像剤。
  4. 複数色のトナーを用いてトナー像を形成させ、形成させたトナー像を記録媒体上に定着させることによって、画像を形成する画像形成方法に用いられる複数色のトナーからなるトナーセットであって、
    前記複数色のトナーが、それぞれ請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用トナーであって、
    前記複数色のトナーにおける全てのD4からD8までの値の標準偏差が0.004以下であることを特徴とするトナーセット。
  5. 複数色の現像剤からなり、
    前記複数色の現像剤が、それぞれ請求項4に記載のトナーセットを構成する各色の静電潜像現像用トナーと磁性キャリアとを含有することを特徴とする現像剤セット。
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