基本形態について上記説明したネットワークグループ判定装置、ネットワークグループ判定方法、およびネットワークグループ判定プログラムに対する具体的な実施形態を、以下図面を参照して説明する。
図1は、ネットワークグループ判定装置の具体的な第1実施形態を示す図である。
このネットワークグループ判定装置1は、通信情報取得部2と通信情報比較部3と判定部4とを備えている。このネットワークグループ判定装置1は、コンピュータ上でネットワークグループ判定プログラムが実行されることによりそのコンピュータがネットワークグループ判定装置1として動作したものである。
図2は、ネットワークグループ判定プログラムの具体的な第1実施形態を示す図である。
この図2に示すネットワークグループ判定プログラム5は記憶媒体Mに記憶されている。このネットワークグループ判定プログラム5は記憶媒体Mからコンピュータに取り込まれる。
この記憶媒体Mは、ネットワークグループ判定プログラム5を記憶するものであれば何でも良い。この記憶媒体Mは、例えば、CDやDVDに代表される可搬型媒体であってもよく、ハードディスク装置に内蔵された磁気ディスクに代表される固定型媒体であってもよい。また、この記憶媒体Mは、USBメモリに代表される固体記憶素子であってもよい。
また、ネットワークグループ判定プログラム5は、記憶媒体Mを介さずに電気通信網からコンピュータに取り込まれるものであってもよい。
ネットワークグループ判定プログラム5は、通信情報取得部6と通信情報比較部7と判定部8とを備えている。ネットワークグループ判定プログラム5がコンピュータ上で実行されることにより、通信情報取得部6は、そのコンピュータを、図1に示すネットワークグループ判定装置1の通信情報取得部2として動作させる。同様に、ネットワークグループ判定プログラム5の通信情報比較部7および判定部8は、コンピュータを、ネットワークグループ判定装置1の通信情報比較部3および判定部4として動作させる。
図1に戻って説明を続ける。
上記通信情報取得部2は、第1通信情報および第2通信情報を取得する(獲得する)ものである。
上記第1通信情報は、第1中継装置と特定通信場所との一方から他方に至る通信の遠さを数値で表したものである。この第1通信情報は、第1中継装置と特定通信場所(即ち特定のネットワークグループ)との間における通信の状態を示したものでもある。そして、通信ネットワークを3つ以上のエリアに区分する複数の中継装置であって、その区分したエリア相互の境界で通信を中継する複数の中継装置に第1中継装置は含まれている。また、通信ネットワークは、通信の発信場所および受信場所の少なくとも一方となる通信場所(ネットワークグループ)を複数有するものである。さらに、特定通信場所は、複数の上記通信場所のうちから特定されたものである。
上記第2通信情報は、第2中継装置と上記特定通信場所との一方から他方に至る通信の遠さを数値で表したものである。この第2通信情報は、第2中継装置と上記特定通信場所との間における通信の状態を示したものでもある。そして、第2中継装置は、上記複数の中継装置に含まれたものである。
ここで、通信ネットワークについて説明する。
図3は、通信ネットワークを説明する図である。
この図3には、通信ネットワークNETが極めて簡略化されて示されている。この通信ネットワークNETは、上述した通信場所Pと、通信を中継する中継装置R1,R2とを備えている。
通信場所Pとしては、個々のコンピュータも該当するが、複数のコンピュータが集まったエンドサブネットも該当する。このエンドサブネットには、例えば会社の1フロア分のコンピュータによって組まれたLAN(Local Area Network)などが該当する。
中継装置R1,R2としては、通信場所Pと直接に繋がった中継装置R1と、他の中継装置R1,R2に繋がっているが通信場所Pには直接繋がってない中継装置R2が存在する。通信場所Pと直接に繋がった中継装置R1は、通信ネットワークNETへの入り口としての役目を有する。一方、他の中継装置R1,R2にのみ繋がっている中継装置R2は、専ら通信の中継のみを役目とする。これら2種類の中継装置R1,R2のうち、通信場所Pと直接に繋がった中継装置R1は、上述したエリア境界の中継装置(即ち上記第1中継装置あるいは上記第2中継装置)として利用可能な装置である。なぜなら、この中継装置R1に繋がった通信場所は、他の中継装置R1,R2には繋がっておらず、その意味で、通信ネットワークNETの他の部分から区分されているからである。図の左下に点線で囲われた部分が、そのように区分されたエリアの一例を表している。また、他の中継装置R1,R2にのみ繋がっている中継装置R2の場合であっても、この図の中央に示された点線が表すようなエリア境界の中継装置となる場合がある。図の左右のエリアは、点線上の中継装置R2を経なければ相互通信ができないからである。
本件開示では、通信ネットワークの構造をこのように位相幾何学(トポロジー)的に捉えることでエリアを想定している。また、上述した第1通信情報や第2通信情報としては、例えばRTT(Round Trip Time)やHops数が利用できる。このような情報は、エリア境界の中継装置R1,R2を経た通信のデータに対する計測等によって入手することができる情報である。このため、図3に示す通信ネットワークNET上の中継装置R1,R2には第1通信情報や第2通信情報を得るために計測装置Qが接続されている。
図1に示す通信情報比較部3は、上記第1通信情報と上記第2通信情報との差分を、上記第1中継装置および上記第2中継装置の一方から他方に至る通信の遠さを数値で表した第3通信情報と比較するものである。この第3通信情報は、第1中継装置と第2中継装置との間における通信の状態を示したものでもある。
上記判定部4は、上記通信情報比較部3による比較の結果に基づいて、第1中継装置と第2中継装置に対する特定通信場所の位置を判定するものである。本実施形態における判定部4は、特に、上記3つ以上のエリアのうち上記特定通信場所が存在しているエリアを判定する。
図1に示すこのようなネットワークグループ判定装置1が図4に示す通信ネットワークNET上の計測装置Qに接続されることで、ネットワークグループ判定方法の具体的な第1実施形態が実行される。
図4は、ネットワークグループ判定方法の具体的な第1実施形態を示す図である。
ネットワークグループ判定方法の第1実施形態は、第1通信情報送信過程S01と第2通信情報送信過程S02と通信情報比較過程S03と判定過程S04とを有する。
上記第1通信情報送信過程S01は、上記第1中継装置と上記特定通信場所との間における通信の状態を計測する第1計測装置が、その通信の状態を表した第1通信情報をネットワークグループ判定装置1に送信する過程である。より具体的には、第1計測装置は上記第1中継装置と上記特定通信場所との一方から他方に至る通信の遠さを計測する。そして第1計測装置は第1通信情報をネットワークグループ判定装置1の通信情報取得部2に送信する。
上記第2通信情報送信過程S02は、上記第2中継装置と上記特定通信場所との間における通信の状態を計測する第2計測装置が、その通信の状態を表した第2通信情報をネットワークグループ判定装置に送信する過程である。より具体的には、第2計測装置は上記第2中継装置と上記特定通信場所との一方から他方に至る通信の遠さを計測する。そして第2計測装置は第2通信情報をネットワークグループ判定装置1の通信情報取得部2に送信する。
上記通信情報比較過程S03は、上記ネットワークグループ判定装置1が上記第1通信情報と上記第2通信情報との差分を上記第3通信情報と比較する過程である。より具体的には、ネットワークグループ判定装置1の通信情報比較部3が比較する。
上記判定過程S04は、上記ネットワークグループ判定装置1が、上記通信情報比較過程S03での比較の結果に応じて、上記第1中継装置と上記第2中継装置に対する上記特定通信場所の位置を判定する過程である。より具体的には、ネットワークグループ判定装置1の判定部4が、上記3つ以上のエリアのうち、上記特定通信場所が存在しているエリアを判定する。
上記第1中継装置および上記第2中継装置の双方を経た通信は、上記第1通信情報と上記第2通信情報との差分が第3通信情報とほぼ一致することが期待できる。このため、通信情報比較部3による比較の結果を用いると、通信の経路が容易に判別可能なので、エリア判定も容易である。なお、判定過程S04および判定部4における判定結果は、通信ネットワークの保守管理者が参照する情報として表示画面に表示されてもよく、あるいは、保守管理用のソフトウェアなどが利用する情報として内部利用されてもよい。
次に、基本形態について上記説明したネットワークグループ判定装置、ネットワークグループ判定方法、およびネットワークグループ判定プログラムに対する具体的な第2実施形態について以下説明する。
この第2実施形態は、上述した基本形態に対して好適な以下のような第1応用形態および第2応用形態それぞれに対する一例に相当する。
上記基本形態に対し、上記第1通信情報、上記第2通信情報、および上記第3通信情報がRTT(Round Trip Time)であるという第1応用形態は好適である。
この第1応用形態で用いられるRTTという情報は、通信で実際に用いられた経路の長さが細やかに反映される情報である。従って、この第1応用形態によれば、通信情報比較過程や通信情報比較部における比較が厳格になるので正確なエリア判定が期待される。
上記基本形態に対し、上記判定部による判定結果を表示する表示部を更に備えた第2応用形態も好適である。この第2応用形態によれば、判定結果の確認が容易である。
図5は、ネットワークグループ判定装置の第2実施形態に相当するエリア特定装置を示す図である。
このエリア特定装置100は、複数のフロー品質計測装置200に接続されている。そして、それら複数のフロー品質計測装置200は、エリア特定の対象となる対象ネットワークに接続されている。本実施形態では、この対象ネットワークは、通信ネットワークの一種であるコンピュータネットワークとなっている。そしてこの対象ネットワークは、TCP/IPプロトコルに従ったデータ通信を行う。
フロー品質計測装置200は、後で詳述するが、対象ネットワーク上で行われる通信におけるフロー品質としてRTTを計測する装置である。この図に示す複数のフロー品質計測装置200が、上述した基本形態における第1計測装置および第2計測装置の一例に相当する。
エリア特定装置100は、フロー品質情報取得部110とエリア解析部120と結果表示部130とフロー品質情報記憶部140とエリア解析結果記憶部160とを備えている。このエリア特定装置100のハードウェアとしては、特に図示はしないが、CPU、メモリ、HDD、ディスプレイ、通信回路などを備えた汎用のコンピュータが用いられている。そして、後述するエリア特定プログラムがこのコンピュータ上で実行されることにより、このコンピュータはエリア特定装置100として動作する。
エリア特定装置100が備えている要素のうちフロー品質情報取得部110は、ハードウェアとしては、コンピュータの通信回路が主に対応している。また、エリア解析部120は、ハードウェアとしてはCPUが対応している。また、結果表示部130は、ハードウェアとしては、ディスプレイが主に対応している。更に、フロー品質情報記憶部140とエリア解析結果記憶部160は、ハードウェアとしてはHDDが対応している。
フロー品質情報取得部110は、複数のフロー品質計測装置200それぞれからRTTの計測データを収集するものである。このフロー品質情報取得部110が、上述した基本形態における獲得部の一例に相当する。フロー品質情報取得部110によって収集されたRTTの計測データはフロー品質情報記憶部140に格納される。
エリア解析部120は、フロー品質情報記憶部140に格納されているRTTの計測データに基づいて、特定の通信場所が属するエリアを解析するものである。このエリア解析部120による解析の詳細については後述する。このエリア解析部120は、上述した基本形態における比較部および判定部を兼ねた一例に相当する。エリア解析部120による解析結果は、エリア解析結果記憶部160に格納される。
結果表示部130は、エリア解析結果記憶部160に格納された解析結果を表示するものである。この結果表示部130は、上記第2応用形態における表示部の一例に相当する。
ここで、コンピュータをエリア特定装置100として動作させるエリア特定プログラムについて説明する。このエリア特定プログラムは、ネットワークグループ判定プログラムの第2実施形態に相当する。
図6は、ネットワークグループ判定プログラムの第2実施形態に相当するエリア特定プログラムを示す図である。
このエリア特定プログラム300はエリア特定プログラム記憶媒体MMに記憶されている。そしてエリア特定プログラム300はエリア特定プログラム記憶媒体MMからコンピュータに取り込まれる。
このエリア特定プログラム記憶媒体MMは、エリア特定プログラム300を記憶するものであれば何でも良い。エリア特定プログラム記憶媒体MMは、例えば、CDやDVDに代表される可搬型媒体であってもよく、ハードディスク装置に内蔵された磁気ディスクに代表される固定型媒体であってもよい。また、このエリア特定プログラム記憶媒体MMは、USBメモリに代表される固体記憶素子であってもよい。
また、エリア特定プログラム300は、記憶媒体を介さずに電気通信網からコンピュータに取り込まれるものであってもよい。
この図6に示すように、エリア特定プログラム300はフロー品質情報取得部310とエリア解析部320と結果表示部330とを備えている。このエリア特定プログラム300のフロー品質情報取得部310は、コンピュータを、エリア特定装置100のフロー品質情報取得部110として動作させるものである。エリア特定プログラム300のエリア解析部320は、コンピュータを、エリア特定装置100のエリア解析部120として動作させるものである。エリア特定プログラム300の結果表示部330は、コンピュータを、エリア特定装置100の結果表示部130として動作させるものである。
次に、図5に示すフロー品質計測装置などの詳細について説明する。
図7は、フロー品質計測装置の構成とエリア分割の概念とを示す図である。
フロー品質計測装置200は、対象ネットワーク上の中継装置Rに接続されている。この中継装置Rは、図3で説明したようにエリア境界に存在する中継装置である。この図7に示す2つの中継装置Rによって対象ネットワークは、「NET_1」、「NET_2」、「NET_3」という3つのネットエリアに分割されている。そして、対象ネットワーク上に存在する通信場所としては、本実施形態ではエンドサブネットが想定されている。この図7には、一例として6つのエンドサブネットS1〜S6が図示されている。所属するネットエリアが異なるエンドサブネット同士の通信は、エリア境界の中継装置Rを経なければならない。フロー品質計測装置200は、中継装置Rを通過する通信を監視することによって、各エンドサブネットS1〜S6についてRTTを計測する。このように監視される場所という意味で、フロー品質計測装置200が接続されている中継装置Rのことをネットワーク監視ポイントと称する場合がある。また、この図7に示す2つの中継装置Rを区別する場合には、図の左側に示されている中継装置Rのことを中継装置「A」と称し、図の右側に示されている中継装置Rのことを中継装置「B」と称する。
この図に示す3つのネットエリアのうち、図の左端のネットエリア「NET_1」は、中継装置「A」によって対象ネットワークの他の部分から分けられた状態となっているので、このようなネットエリアのことを以下では中継装置「A」の末端エリアと称する。同様に、図の右端のネットエリア「NET_3」は中継装置「B」の末端エリアとなっている。そして、図の中央のネットエリア「NET_2」は、いずれの中継装置の末端エリアでもないということになる。
フロー品質計測装置200は、パケットモニタ部210とフロー品質計測部220とフロー品質情報記憶部230とを備えている。パケットモニタ部210は、中継装置Rに元々備えられている監視用のポートから通信パケットのコピーを入手する通信デバイスである。フロー品質計測部220は、以下説明する手法でRTTを計測する演算デバイスである。フロー品質情報記憶部230は、フロー品質計測部220による計測で得られたRTTの計測データを記憶する情報記憶デバイスである。
図8は、RTTの計測概念を示す図である。
この図8には、「S−1」というエンドサブネットに含まれているクライアントホストと、「S−3」というエンドサブネットに含まれているサーバホストとの間でネットワーク監視ポイントを経由した通信が行われた例が示されている。通信は、ユーザパケット(即ち通信パケット)の遣り取りによって実行される。通信の開始時にはクライアントホストとサーバホストとの間でいわゆる3ウェイハンドシェイクが行われる。即ち、クライアントホストからサーバホストへとSynパケットが送られ、そのSynパケットに対してサーバホストからクライアントホストへSyn−Ackパケットが送られる。またSyn−Ackパケットに対してクライアントホストからサーバホストへとAckパケットが送られる。サーバホストにSynパケットが届いてからSyn−Ackパケットが発せられるまではほぼ遅延なしと考えてよい。従って、ネットワーク監視ポイントをSynパケットが通過してからSyn−Ackパケットが通過するまでの時間「RTT1」が、ネットワーク監視ポイントとサーバホストとの「通信の遠さ」を表している。
同様に、ネットワーク監視ポイントをSyn−Ackパケットが通過してからAckパケットが通過するまでの時間「RTT2」は、ネットワーク監視ポイントとクライアントホストとの「通信の遠さ」を表している。
このように「往き」のパケットがネットワーク監視ポイントを通過してから「帰り」のパケットがネットワーク監視ポイントを通過するまでの経過時間がRTTである。
なお、ネットワーク監視ポイントとクライアントホストとの「通信の遠さ」を表した時間「RTT2」は、サーバホストから送られるデータパケットと、クライアントホストから返されるAckパケットとの組み合わせによっても計測可能である。
図9は、フロー品質計測装置によるRTTの具体的な計測方法を表したフローチャートである。
RTTの計測では、先ずステップS10でフロー品質計測装置200のパケットモニタ部210が中継装置Rから通信パケットのコピーを受信する。次にステップS11でフロー品質計測装置200のフロー品質計測部220が、その通信パケットのTCP/IPヘッダの情報を使ってTCPセッションIDを生成する。このステップS11以下の各ステップはフロー品質計測部220によって実行される。
ここで、TCP/IPヘッダについて簡単に説明する。
図10は、IPヘッダの構造を表す図である。
この図10では、IPヘッダ10が4バイト分ずつに区切られた状態で示されている。この図の上方がパケットの先頭側で、かつ、図の左方がパケットの先頭側である。即ち、ある段の右端は、その段の次(下)の段の左端に繋がっている。
IPヘッダ10は、この図に示すように種々の情報を含んでいるが、TCPセッションIDの生成に関与するのは始点アドレス(Source Address;SA)11と終点アドレス(Destination Address;DA)12である。なお、生存時間(Time To Live;TTL)13については、本実施形態では使われないが、後述する別の実施形態で使われる。
始点アドレス11と終点アドレス12はいわゆるIPアドレスである。このIPアドレスは、各々が255以下(即ち1バイトで表現される値)である4つ整数値の並びで表記されるのが一般的である。
図11は、TCPヘッダの構造を表す図である。
この図11でも、TCPヘッダ20が4バイト分ずつに区切られた状態で示されている。この図の上方がパケットの先頭側で、かつ、図の左方がパケットの先頭側である。即ち、ある段の右端は、その段の次(下)の段の左端に繋がっている。
TCPヘッダ20は、この図11に示す種々の情報を含んでいるが、TCPセッションIDの生成に関与するのは送信元ポート番号(Source Port;SP)21と宛先ポート番号(Destination Port;DP)22である。また、シーケンス番号23と確認応答(Ack)番号24は、後述するようにRTTの計測に用いられる情報である。
TCPセッションIDとしては、各セッションにおいて始点アドレス11と終点アドレス12がソートされたものに対して一意となるIDが付与される。これにより、「往き」と「帰り」のパケットに同一のIDが付与されることとなる。より詳細には、まず始点アドレス(SA)11と終点アドレス(DA)12との大小が比較される。そして、SA>DAである場合には、SA,SP,DA,DPと並べられた12バイトの数がTCPセッションIDとなる。一方、SA<DAである場合には、DA,DP,SA,SPと並べられた12バイトの数がTCPセッションIDとなる。なお、SA=DAという状態は非現実的であるので本実施形態では考慮しない。
図9のステップS11でこのようなTCPセッションIDが生成されると、次にステップS12でフロー品質計測部220がセッション管理テーブルを参照する。このセッション管理テーブルは、フロー品質計測装置200のフロー品質情報記憶部230に記憶されているものである。
図12は、セッション管理テーブルを示す図である。
このセッション管理テーブル30には、TCPセッションID31と通信方向情報32とシーケンス番号33と受信時刻34が格納されている。
TCPセッションID31は、上述したように図9のステップS11で生成されたIDである。
図9のステップS12でセッション管理テーブル30が参照された結果、ステップS11で生成されたTCPセッションIDと同一のIDが存在しない場合には、セッション管理テーブル30にそのIDが新たに格納される(ステップS13)。また、そのときのパケットから得られたSAとDAとが用いられて、順逆両方向の通信方向情報32が生成される。即ち、SA,DAと並べられた8バイトの数と、DA,SAと並べられた8バイトの数とが、1つのTCPセッションID31に対応付けられて格納される。
ステップS13の後はステップS14に進む。なお、ステップS12でTCPセッションIDと同一のIDが存在していた場合にはステップS12から直接にステップS14に進む。
ステップS14では通信パケットのTCP/IPヘッダから得られるシーケンス番号23と、その通信パケットが中継装置Rで受信(中継)された時刻が、セッション管理テーブル30に、シーケンス番号33および受信時刻34として格納される。これらシーケンス番号33および受信時刻34は、この通信パケットのTCP/IPヘッダから得られるSAとDAの並びと同一の通信方向情報32に対応付けられて格納される。また、既に格納済のシーケンス番号33および受信時刻34が存在している場合には情報が上書きされる。
次にステップS15に進み、ステップS14で格納されたシーケンス番号33が対応しているTCPセッションID31に対応したもう1つの(即ち逆方向の)シーケンス番号33と、今回の通信パケットのヘッダから得られる確認応答番号24が比較される。
この比較で番号が不一致の場合(ステップS15;No)には、セッションが異なっていることとなるのでステップS10に処理が戻る。一方、番号が一致した場合(ステップS15;Yes)には、同一セッションに係る往復のパケットが得られたこととなるので、ステップS16で順方向と逆方向での受信時刻34の差をRTTとして算出する。
算出されたRTTは、今回の通信パケットのヘッダから得られる始点アドレス11から特定されるエンドサブネットについてのRTTの計測データとしてフロー品質情報記憶部230に記憶される。本実施形態では、始点アドレス11の上位3バイトでエンドサブネットが特定される。なお、1つのエンドサブネットに対して複数の計測データが得られた場合には、例えば平均値が算出されてもよいし、あるいは、最小値が採用されてもよい。
図13は、フロー品質情報記憶部に記憶されたフロー品質情報(RTTの計測データ)の例を示す図である。
この図13には、図7に示す各フロー品質計測装置200のフロー品質情報記憶部230から、図5に示すエリア特定装置100のフロー品質情報記憶部140に集められたフロー品質情報(RTTの計測データ)が示されている。各フロー品質計測装置200のフロー品質情報記憶部230には、ここに示されている計測データのうち、中継装置「A」での計測データ、あるいは中継装置「B」での計測データのいずれかが記憶されている。
この図13に示すように、RTTの計測データは各エンドサブネットS1〜S6と対応付けられた表として記憶されている。また、ここに示す例では、中継装置「A」での計測データには、エンドサブネットS4の計測データが存在せず、中継装置「B」での計測データには、エンドサブネットS6の計測データが存在しない。これは、各中継装置での計測でたまたまその計測データが得られなかったことを表しているだけで、原理的にはどちらの中継装置でもどのエンドサブネットS1〜S6についても計測可能である。
次に、図5に示すエリア特定装置100がエンドサブネットS1〜S6のエリアを特定するための動作について詳細に説明する。
図14は、エリア特定装置の動作を表すフローチャートである。
このフローチャートは、ネットワークグループ判定方法の第2実施形態も表している。
まずステップS101では、予め計測済の、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間でのRTTの計測値δがフロー品質情報記憶部140に格納される。
この計測値δの計測方法としては、これらの中継装置の相互間で計測用の通信パケットを往復させることで往復時間を計測するといった方法が考えられるが、この方法に限定されるものではない。また、この計測値δの計測は、エリア特定装置100のユーザが任意の手法を用いて実行するものである。また、ステップS101では、後述するステップS110での比較に際して、「実質的に同一」と見なすことができる許容誤差範囲を表した閾値r(%)もフロー品質情報記憶部140に格納される。この閾値rの算出も、エリア特定装置100のユーザが任意の手法を用いて実行するものである。この閾値rの算出方法については後で説明する。
次にステップS102で、各中継装置に接続されたフロー品質計測装置200からRTTの計測データが送信され、その送信された計測データがフロー品質情報取得部110によって取得される。その取得された計測データは、上述したように、フロー品質情報記憶部140に格納される。
その後、ステップS103〜ステップS113の各処理は、エリア特定装置100のエリア解析部120によって実行される。ステップS103では、フロー品質情報記憶部140から、中継装置「A」での計測データが読み出される。ステップS103での計測データの読出しは、ステップS103が実行される度に、図13に示す表の上側から順番に1段分ずつ行われる。ステップS103で計測データが読み出せた場合、即ち次の段が存在する場合(ステップS104;Yes)は、ステップS105で、その段の計測データが対応したエンドサブネット(S_A)のエリアが未解析であるか否かが確認される。この確認は、エリア特定装置100のエリア解析結果記憶部160に解析結果が格納されているか否かに基づいた確認である。ステップS105の確認の結果、ネットエリアが解析済であった場合には処理はステップS103に戻る。
ステップS105の確認の結果、ネットエリアが未解析であった場合には、次にステップS106で、フロー品質情報記憶部140から、中継装置「B」での計測データが読み出される。このステップS106での計測データの読出しも、ステップS106が実行される度に、図13に示す表の上側から順番に1段分ずつ行われる。
ステップS106で計測データが読み出せた場合(ステップS107;Yes)はステップS108に進む。ステップS108では、その段の計測データが対応したエンドサブネット(S_B)と、ステップS103で計測データが読み出されたエンドサブネット(S_A)とが同一であるか否かが確認される。ステップS108でS_AとS_Bが一致するまで、ステップS106〜ステップS108の処理が繰り返される。また、S_AとS_Bとが不一致のまま、図13に示す表の次の段が尽きた場合(ステップS107;No)は、ステップS103に処理が戻る。
ステップS108でS_AとS_Bが一致した場合には、ステップS109で、当該エンドサブネットSについて、RTTの計測データの差分が算出される。この差分の符号も後で意味を持つので、ステップS109では、中継装置「B」での計測データから中継装置「A」での計測データが引かれて差分が求められる。次のステップS110では、このように算出された差分が、ステップS101でフロー品質情報記憶部140に格納された計測値δと比較される。この比較に際しては、上述した閾値r(%)も用いられる。
ステップS110での比較の結果、(1−r/100)*δ≦差分≦(1+r/100)*δが成り立つ場合は、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_1」であると特定される(ステップS111)。この場合は、計測データの差分の絶対値が、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間のRTT計測値に対し「実質的に一致」していることになる。そして、このように絶対値が「実質的に一致」するということは、図7で太い矢印によって示されるように、エンドサブネットが、いずれかの中継装置の末端エリアに属していることを意味している。また、計測データの差分の符号は、どちらの末端エリアに属しているかを表すことになる。本実施形態では、このような判断原理によってエンドサブネットのエリアが特定される。
ここで、閾値r(%)の決定方法について説明する。
RTTの計測データの揺らぎは、RTTが大きいほど一般的に大きくなる。そして、閾値rを大きめに設定するほど、末端エリアに属しているという判断結果は増加する。逆に、閾値rを小さめに設定するほど、末端エリアに属しているという判断結果は減少する。ある実際の通信ネットワーク上でRTTの計測データを用いてエリア解析を実際に施行したところ、閾値rとして5%を設定すると、末端エリアに属するエンドサブネットを末端エリアに属さないと誤判断した割合は10%程度となった。また、末端エリアに属さないエンドサブネットを末端エリアに属すると誤判断した割合も10%程度となった。このように誤判断の割合が一致する閾値rを採用すると全体として誤判断の割合が少ないことが経験的に知られているので、閾値rを5%に決定するのが有効と考えられる。
また、閾値rをRTT分布に基づいて統計的手法で決定することも考えられる。
図15は、RTT分布に関する説明図である。
ある末端エリア(この図の例では「NET_1」)に存在している既知のエンドサブネットS1について、中継装置「A」、「B」のそれぞれで何度もRTTの計測が繰り返されることによってRTTの分布が求められる。この図15の上方に示された2つの分布曲線が、このように求められたRTTの分布を表している。そして、各分布曲線についてRTTの分散(σ2)が算出される。統計学的には、RTTの平均値±σの範囲内にRTTの計測値の約95%が入ることが期待できるので、差分の閾値上限をδ+1.96*(σ(A)+σ(B))、閾値下限をδ−1.96*(σ(A)+σ(B))と決定することで適切なエリア解析となることが期待できる。
図14のフローチャートに戻って説明を続ける。
ステップS110での比較の結果、(−1−r/100)*δ≦差分≦(−1+r/100)*δが成り立つ場合は、エンドサブネットSが属するネットエリアは、上記判断原理によって、「NET_3」であると特定される(ステップS112)。
ステップS110での比較の結果、上述した2つの式がいずれも成り立たない場合には、エンドサブネットSが属するネットエリアは、上記判断原理によって、「その他のエリア」(即ちここでは「NET_2」)であると特定される(ステップS113)。
このようにステップS111〜ステップS113で特定されたネットエリアは、エンドサブネットSに対応付けられてエリア解析結果記憶部160に格納される。ステップS111〜ステップS113でネットエリアが特定されると、処理はステップS103に戻る。
図16は、エリア解析結果記憶部に記憶された解析結果の例を示す図である。
エリア解析結果記憶部160には、この図16に示すように、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果が記憶されている。図14に示すフローチャートの開始前に表の初期値として、フロー品質情報記憶部140に計測データが格納されている全てのエンドサブネットが記載された表が用意される。その初期値の表では特定エリアは全て「特定不能」となっている。図14に示すステップS111〜ステップS113でネットエリアが特定されたエンドサブネットについては、この表の特定エリアが書き換えられることとなる。
この図16に示された解析結果の例は、図13に示す計測データの例に基づいて、図14に示すフローチャートによってネットエリアが解析された結果に相当する。以下、各エンドサブネットについて具体的に説明する。
解析の前提となるδ、rについては、ここではδ=100ms、r=5%とする。
エンドサブネットS1の場合には、図13に示す計測データから、差分=120−19=101と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS1が属するネットエリアは「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS2の場合には、図13に示す計測データから、差分=130−26=104と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS2が属するネットエリアも「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS3の場合には、図13に示す計測データから、差分=20−119=−99と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS3が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS5の場合には、図13に示す計測データから、差分=80−50=30と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入らないためエンドサブネットS5が属するネットエリアは「NET_2」と特定される。
この例の場合、図13に示す中継装置「A」の表中に計測データが存在していないエンドサブネットS4と、中継装置「B」の表中に計測データが存在していないエンドサブネットS6については特定不能となる。
図14に示すステップS103〜ステップS113の処理の繰り返しによって各エンドサブネットのネットエリアが特定されていくと、最後には、中継装置「A」での計測データが尽きることとなる(ステップS104;No)。その後、ステップS114で、結果表示部130によって、図16に示すような表がエリアの解析結果として表示される。
以上説明した第2実施形態に対する比較例を以下説明する。
図17は、比較例を説明する図である。
この比較例では、各中継装置を通過する通信パケットの始点アドレスと終点アドレスが用いられて、始点側のエンドサブネットと終点側のエンドサブネットとの対が求められる。そして、この図17に示すように、中継装置毎にエンドサブネット対の表が作成される。
このように作成されたエンドサブネット対の表が互いに比較されることで、両方の表に存在している同一(エンドサブネットの順番は無視)のエンドサブネット対が抽出される。このように抽出されたエンドサブネット対については、いずれか一方のエンドサブネットが中継装置「A」の末端エリア「NET_1」に存在し、他方のエンドサブネットが中継装置「B」の末端エリア「NET_3」に存在することになる。例えば、「S1,S3」というエンドサブネット対が両方の表に存在するので、この対を成す2つのエンドサブネットS1,S3は、互いに異なる末端エリアに存在することとなる。
さらに、一方の表のみに存在しているエンドサブネット対を参照すると、例えば中継装置「A」の表の「S1,S5」であれば、エンドサブネットS5が末端エリアでないネットエリア「NET_2」に属すると特定される。また、上記2つのエンドサブネットS1,S3のうちエンドサブネットS1の方が中継装置「A」の末端エリア「NET_1」に属することも特定される。
このようにして、この比較例でも各エンドサブネットが属するネットエリアが特定可能である。しかし、この比較例の場合には、中継装置を挟む両側のネットエリアそれぞれに存在するエンドサブネットの数をx,yと表記すると、表に記載されるエンドサブネット対の数は(x*y)となる。ここで、中継装置「A」でのエンドサブネット対の数を(x_A*y_A)と表し、中継装置「B」でのエンドサブネット対の数を(x_B*y_B)と表すこととする。すると、エンドサブネット対の比較には(x_A*y_A)*(x_B*y_B)の計算量が必要となる。このような計算量は計算負荷が大きすぎて現実的ではない。
このような比較例に対し、上記第2実施形態では、図13に示すような表に記載される計測データの数は(x+y)となる。ここで、中継装置「A」での計測データの数を(x_A+y_A)と表し、中継装置「B」での計測データの数を(x_B+y_B)と表すこととする。すると、図14に示すフローチャートでの計算量は(x_A+y_A)*(x_B+y_B)という現実的な計算量で済むこととなる。
このように、上記第2実施形態では上記比較例と較べて少ない計算処理でエリアの特定が可能であることがわかる。
次に、基本形態について上記説明したネットワークグループ判定装置、ネットワークグループ判定方法、およびネットワークグループ判定プログラムに対する具体的な第3実施形態について以下説明する。
この第3実施形態も、上述した第1応用形態および第2応用形態それぞれに対する一例に相当する。さらにこの第3実施形態は、上述した基本形態に対して好適な以下のような第3応用形態の一例にも相当している。
上記基本形態に対し、上記第1通信情報、上記第2通信情報、および上記第3通信情報がHops数(ホップ数)であるという第3応用形態は好適である。この第3応用形態で用いられるHops数(ホップ数)という情報は、通信の遠さを整数値で表した情報であるとともに、その整数値の桁数も一般に少ないので、エリア判定のための情報比較などが単純化されることとなる。
図18は、ネットワークグループ判定装置の第3実施形態に相当するエリア特定装置を示す図である。
このエリア特定装置400は、複数のフロー品質計測装置200’に接続されている。そして、それら複数のフロー品質計測装置200’は、上述した対象ネットワークに接続されている。
フロー品質計測装置200’は、対象ネットワーク上で行われる通信におけるフロー品質としてRTTおよびHops数を計測する装置である。この図に示す複数のフロー品質計測装置200’が、上述した基本形態における第1計測装置および第2計測装置の一例に相当する。フロー品質計測装置200’の構成は、上述した第2実施形態における構成と同様であるので重複説明は省略する。
ここでHops数の計測方法について説明する。Hops数とは、通信パケットが経由した中継装置の数のことである。この第3実施形態においては、Hops数は、図10に示すIPヘッダ10の生存時間13によって以下のように計測される。
この生存時間13は、始点アドレスの装置から通信パケットが発せられたときには、例えば「255」、「128」、「64」などといった決められた初期値に設定されている。そして、この生存時間13は、中継装置を経る度に中継装置によって書き換えられることで、1回経る毎に、1だけ減少する。一般的に20以上のHops数となるNW(ネットワーク)はごく稀であるため、ネットワーク監視ポイントの中継装置に到達した時点の生存時間13の値と各初期値との差をとり、差が1〜20となるものを選択することで、通信パケットが中継装置を経由した回数、即ちHops数が推定されることとなる。このようなHops数も、通信の遠さを表した数値であるが、RTTとは別の観点で通信の遠さを表していることになる。従って、Hops数とRTTとは互いに相関が強いものの、完全な因果はない。
以下、図18の説明に戻る。
このエリア特定装置400は、フロー品質情報取得部410とエリア解析部420と結果表示部430とフロー品質情報記憶部440と品質情報解析結果記憶部450とエリア解析結果記憶部460とを備えている。そして、エリア解析部420は更に、品質情報解析部421とエリア判断部422とを備えている。このエリア特定装置400におけるハードウェア構成は、第2実施形態のエリア特定装置100におけるハードウェア構成と同様であるので詳細説明は省略する。
フロー品質情報取得部410は、複数のフロー品質計測装置200’それぞれからフロー品質情報として、RTTおよびHops数の計測データを収集するものである。このフロー品質情報取得部410が、上述した基本形態における獲得部の一例に相当する。フロー品質情報取得部410によって収集されたフロー品質情報はフロー品質情報記憶部440に格納される。
エリア解析部420は、フロー品質情報記憶部440に格納されているフロー品質情報に基づいて、特定の通信場所が属するエリアを解析するものである。エリア解析部420の品質情報解析部421は、RTTおよびHops数の計測データを個別に用いてエリア解析を行うものである。また、エリア判断部422は、品質情報解析部421で個別に解析された結果を統合して、通信場所が属するエリアを判断するものである。品質情報解析部421による解析結果は品質情報解析結果記憶部450に格納される。また、エリア判断部422による判断結果は、エリア解析結果記憶部460に格納される。この品質情報解析部421が、上述した基本形態における比較部の一例に相当する。また、品質情報解析部421とエリア判断部422とを合わせたものが、上述した基本形態における判定部の一例に相当する。このエリア解析部420による解析の詳細については後述する。
結果表示部430は、エリア解析結果記憶部460に格納された解析結果を表示するものである。この結果表示部430は、上記第2応用形態における表示部の一例に相当する。
ここで、コンピュータをエリア特定装置400として動作させるエリア特定プログラムについて説明する。このエリア特定プログラムは、ネットワークグループ判定プログラムの第3実施形態に相当する。
図19は、ネットワークグループ判定プログラムの第3実施形態に相当するエリア特定プログラムを示す図である。
このエリア特定プログラム500はエリア特定プログラム記憶媒体MM’に記憶されている。そしてエリア特定プログラム500はエリア特定プログラム記憶媒体MM’からコンピュータに取り込まれる。
このエリア特定プログラム記憶媒体MM’は、エリア特定プログラム500を記憶するものであれば何でも良いことは、第2実施形態におけるエリア特定プログラム記憶媒体MM’と同様である。
また、第3実施形態のエリア特定プログラム500も、記憶媒体を介さずに電気通信網からコンピュータに取り込まれるものであってもよい。
この図19に示すように、エリア特定プログラム500はフロー品質情報取得部510とエリア解析部520と結果表示530とを備えている。さらに、エリア解析部520は、品質情報解析部521とエリア判断部522とを備えている。
エリア特定プログラム500のフロー品質情報取得部510は、コンピュータを、エリア特定装置400のフロー品質情報取得部410として動作させるものである。エリア特定プログラム500のエリア解析部520は、コンピュータを、エリア特定装置400のエリア解析部420として動作させるものである。エリア特定プログラム500の結果表示部530は、コンピュータを、エリア特定装置400の結果表示部430として動作させるものである。また、エリア特定プログラム500の品質情報解析部521およびエリア判断部522は、コンピュータを、エリア特定装置400の品質情報解析部421およびエリア判断部422として動作させるものである。
図20は、第3実施形態でフロー品質情報記憶部に記憶されたフロー品質情報の例を示す図である。
この図20には、図18に示す各フロー品質計測装置200’からエリア特定装置400のフロー品質情報記憶部440に集められたフロー品質情報が示されている。
この図20に示すように、フロー品質情報は各エンドサブネットS1〜S6と対応付けられた表として記憶されている。そして、この第3実施形態では、RTTの計測データとHops数の計測データがフロー品質情報として記憶されている。
次に、図18に示すエリア特定装置400がエンドサブネットS1〜S6のエリアを特定するための動作について詳細に説明する。
図21は、第3実施形態のエリア特定装置の動作を表すフローチャートである。
このフローチャートは、ネットワークグループ判定方法の第3実施形態も表している。
まずステップS200では、図14のステップS101と全く同様に、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間でのRTTの計測値δと閾値rがフロー品質情報記憶部440に格納される。
次にステップS201では、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間でのHops数Hがフロー品質情報記憶部440に格納される。このHops数も、エリア特定装置100のユーザが任意の手法を用いて予め計測しておいたものである。
次にステップS202で、フロー品質計測装置200’からフロー品質情報が送信され、その送信された計測データがフロー品質情報取得部410によって取得される。その取得されたフロー品質情報は、上述したように、フロー品質情報記憶部440に格納される。
その後、ステップS203〜ステップS208の各処理は、エリア特定装置400の品質情報解析部421によって実行される。
ステップS203では、図14のステップS103〜ステップS113の処理と全く同様の処理によって、RTTの計測データに基づいたエリア解析が行われる。但し、このステップS203で得られた解析結果は品質情報解析結果記憶部450に格納される。
その後のステップS204〜ステップS208は、各エンドサブネットSについて繰り返し実行される。まず、ステップS204では、当該エンドサブネットについて、Hops数の計測データの差分が算出される。この差分の符号も後で意味を持つので、ステップS204では、中継装置「B」での計測データから中継装置「A」での計測データが引かれて差分が求められる。次のステップS205では、このように算出された差分が、ステップS201でフロー品質情報記憶部440に格納されたHops数Hと比較される。Hops数は、さほど大きくもない整数値であるので、Hops数の比較においては許容誤差は用いられない。
ステップS205での比較の結果、差分=Hが成り立つ場合は、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_3」ではない(即ち「NET_1」または「NET_2」である)と特定される(ステップS206)。この場合は、計測データの差分の絶対値が、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間のHops数に一致していることになる。Hops数に基づいたエリア判定の判定原理も、RTTに基づいたエリア判定における上述した判定原理と同様である。但し、上述したようにHops数は、さほど大きくない整数値であるため、ネットエリア「NET_2」にエンドサブネットSが属しているばあいであっても、偶然に差分=Hが成り立つ可能性がかなりある。そこで、差分=Hが成り立つ場合には、RTTに基づいた解析とは異なり、逆側の末端エリア以外のネットエリアであると緩めに特定される。
ステップS205での比較の結果、差分=−Hが成り立つ場合は、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_1」ではない(即ち「NET_2」または「NET_3」である)と特定される(ステップS207)。
ステップS205での比較の結果、差分がHにも−Hにも不一致であった場合には、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_2」であると特定される(ステップS208)。
このようにステップS204〜ステップS208で行われた解析の結果も品質情報解析結果記憶部450に格納される。
図22は、第3実施形態で品質情報解析結果記憶部に記憶された解析結果の例を示す図である。
品質情報解析結果記憶部450には、この図22に示すように、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果が記憶されている。また、解析結果の表としては、RTTによるエリア解析の結果を表した表と、Hops数によるエリア解析の結果を表した表が記憶されている。
ここで、各エンドサブネットについて具体的に説明する。
まず、RTTによるエリア解析の結果について説明する。解析の前提となるδ、rについては、ここでもδ=100ms、r=5%とする。
エンドサブネットS1の場合には、図20に示す計測データから、差分=120−19=101と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS1が属するネットエリアは「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS2の場合には、図20に示す計測データから、差分=130−26=104と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS2が属するネットエリアも「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS3の場合には、図20に示す計測データから、差分=20−119=−99と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS3が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS4の場合には、図20に示す計測データから、差分=30−131=−101と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS4が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS5の場合には、図20に示す計測データから、差分=80−50=30と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入らないためエンドサブネットS5が属するネットエリアは「NET_2」と特定される。
エンドサブネットS6の場合には、図20に示す計測データから、差分=160−60=100と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS6が属するネットエリアは「NET_1」と特定される。このエンドサブネットS6が属する本当のネットエリアは「NET_2」であるので、ここに示された例は誤判定の例である。
次に、Hops数によるエリア解析の結果について説明する。解析の前提となるHについては、ここではH=5とする。
エンドサブネットS1の場合には、図20に示す計測データから、差分=6−1=5と算出される。差分の絶対値がHに等しいとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS1が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」と特定される。
エンドサブネットS2の場合には、図20に示す計測データから、差分=7−2=5と算出される。差分の絶対値がHに等しいとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS2が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」と特定される。
エンドサブネットS3の場合には、図20に示す計測データから、差分=2−7=−5と算出される。差分の絶対値がHに等しいとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS3が属するネットエリアは「NET_2」あるいは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS4の場合には、図20に示す計測データから、差分=1−6=−5と算出される。差分の絶対値がHに等しいとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS4が属するネットエリアは「NET_2」あるいは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS5の場合には、図20に示す計測データから、差分=5−4=1と算出される。差分の絶対値がHとは異なるためエンドサブネットS5が属するネットエリアは「NET_2」と特定される。
エンドサブネットS6の場合には、図20に示す計測データから、差分=3−7=−4と算出される。差分の絶対値がHとは異なるためエンドサブネットS6が属するネットエリアは「NET_2」と特定される。
図21のステップS209では、このように品質情報解析結果記憶部450に記憶されている解析結果について、エリア判断部422によって、RTTに基づく結果とHops数に基づく結果とが統合される。この統合の方法としては、以下の方法が用いられる。
1つのエンドサブネットについて、複数種類の解析結果(この第3実施形態ではRTTに基づく結果とHops数に基づく結果)それぞれの特定エリアを要素とする集合が求められる。図22の例であれば、エンドサブネットS1については、RTTの結果の集合{NET_1}と、Hops数の結果の集合{NET_1,NET_2}が得られることになる。そして、それらの集合の積集合が求められ、その求められた積集合の要素が、統合された解析結果の特定エリアとなる。この積集合が空集合であると、複数種類の解析結果同士に矛盾が有ることとなるため、統合結果としては「特定不能」となる。
図21のステップS209で統合された解析結果は、エリア解析結果記憶部460に格納される。
図23は、第3実施形態でエリア解析結果記憶部に記憶された解析結果の例を示す図である。
エリア解析結果記憶部460には、この図23に示すように、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果が記憶されている。また、この図23に示す例は、図22に示す解析結果が統合された結果に相当している。
この第3実施形態の場合には、Hops数に基づく解析では特定エリアが緩く特定されるので、矛盾が生じていないエンドサブネットS1〜S5については、統合された結果は、RTTに基づいた解析結果と等しい結果になっている。一方、RTTに基づいた解析での誤判定により2種類の解析結果に矛盾が生じたエンドサブネットS6については、統合された結果は「特定不能」となっている。
図21に示すステップS210では、結果表示部430によって、この図23に示すような表が解析結果として表示される。
以上説明したように第3実施形態では、基本形態における通信情報(第1、第2、および第3通信情報)として、いずれも通信の遠さを表しているが観点が異なる複数種類の情報(即ちここではHops数とRTT)が採用されている。そして、それら複数種類の情報各々で個別にエリアの解析が行われた後、更に、判定結果同士が統合される。このように通信情報が複数用いられることにより、最終的な判定結果の精度が向上する。
次に、基本形態について上記説明したネットワークグループ判定装置、ネットワークグループ判定方法、およびネットワークグループ判定プログラムに対する具体的な第4実施形態について以下説明する。
この第4実施形態も、上述した第1応用形態および第2応用形態それぞれに対する一例に相当する。さらにこの第4実施形態は、上述した基本形態に対して好適な以下のような第4応用形態の一例にも相当している。
この第4応用形態では、上記獲得部は、上記第1中継装置と上記ネットワークグループ間の通信の不具合を表す第1障害情報と、上記第2中継装置と前記ネットワークグループ間の通信の不具合を表す第2障害情報を獲得する。また、この第4応用形態では、上記判定部の判定結果を上記第1障害情報と上記第2障害情報を比較し、上記判定結果の成否を判断する。
この第4応用形態は、別の表現を用いると、上述した基本形態に対して障害情報取得部と障害情報比較部と確認部とを更に備えたものと表現できる。
上記障害情報取得部は、第1障害情報および第2障害情報を取得するものである。この第1障害情報は、上記第1中継装置と上記特定通信場所との一方から他方に至る通信に生じた障害の量を数値で表したものである。また、第2障害情報は、上記第2中継装置と上記特定通信場所との一方から他方に至る通信に生じた障害の量を数値で表したものである。
上記障害情報比較部は、上記第1障害情報と上記第2障害情報とを比較するものである。
上記確認部は、上記障害情報比較部による比較結果に基づいて、上記判定部による判定結果の正否を確認するものである。
このような第4応用形態によれば、通信情報とは情報の種類が異なる障害情報も併用されることで最終的な判定の精度が向上する。
図24は、ネットワークグループ判定装置の第4実施形態に相当するエリア特定装置を示す図である。
このエリア特定装置600は、複数のフロー品質計測装置200”に接続されている。そして、それら複数のフロー品質計測装置200”は、上述した対象ネットワークに接続されている。
フロー品質計測装置200”は、対象ネットワーク上で行われる通信におけるフロー品質としてRTTおよびロス率を計測する装置である。この図に示す複数のフロー品質計測装置200”が、上述した基本形態における第1計測装置および第2計測装置の一例に相当する。フロー品質計測装置200”の構成は、上述した第2実施形態における構成と同様であるので重複説明は省略する。また、ロス率の計測方法についても、従来周知の計測方法のうち任意の計測方法が利用可能であるので、ここでは特に特定しない。
フロー品質計測装置200”で計測されるRTTの計測データは、上述した基本形態における通信情報の一例に相当する。一方、フロー品質計測装置200”で計測されるロス率の計測データは、上述した第4応用形態における障害情報の一例に相当する。
このエリア特定装置600は、フロー品質情報取得部610とエリア解析部620と結果表示部630とフロー品質情報記憶部640と品質情報解析結果記憶部650とエリア解析結果記憶部660とを備えている。そして、エリア解析部620は更に、品質情報解析部621とエリア判断部622とを備えている。このエリア特定装置600におけるハードウェア構成は、第2実施形態のエリア特定装置100におけるハードウェア構成と同様であるので詳細説明は省略する。
フロー品質情報取得部610は、複数のフロー品質計測装置200”それぞれからフロー品質情報として、RTTおよびロス率の計測データを収集するものである。このフロー品質情報取得部610が、上述した基本形態における獲得部の一例に相当するとともに、第4応用形態における獲得部(障害情報取得部)の一例にも相当する。フロー品質情報取得部610によって収集されたフロー品質情報はフロー品質情報記憶部640に格納される。
エリア解析部620は、フロー品質情報記憶部640に格納されているフロー品質情報に基づいて、特定の通信場所が属するエリアを解析するものである。エリア解析部620の品質情報解析部621は、RTTおよびロス率の計測データを個別に用いてエリア解析を行うものである。また、エリア判断部622は、品質情報解析部621で個別に解析された結果を統合することで、通信場所が属するエリアを判断するものである。品質情報解析部621による解析結果は品質情報解析結果記憶部650に格納される。また、エリア判断部622による判断結果は、エリア解析結果記憶部660に格納される。この品質情報解析部621が、上述した基本形態における比較部と判定部とを兼ねた一例に相当する。この品質情報解析部621は更に、上述した第4応用形態における障害情報比較部の一例にも相当する。また、エリア判断部622が、上述した第4応用形態における確認部の一例に相当する。このエリア解析部620による解析の詳細については後述する。
結果表示部630は、エリア解析結果記憶部660に格納された解析結果を表示するものである。この結果表示部630は、上記第2応用形態における表示部の一例に相当する。
ここで、コンピュータをエリア特定装置600として動作させるエリア特定プログラムについて説明する。このエリア特定プログラムは、ネットワークグループ判定プログラムの第4実施形態に相当する。
図25は、ネットワークグループ判定プログラムの第4実施形態に相当するエリア特定プログラムを示す図である。
このエリア特定プログラム700はエリア特定プログラム記憶媒体MM”に記憶されている。そしてエリア特定プログラム700はエリア特定プログラム記憶媒体MM”からコンピュータに取り込まれる。
このエリア特定プログラム記憶媒体MM”は、エリア特定プログラム700を記憶するものであれば何でも良いことは、第2実施形態におけるエリア特定プログラム記憶媒体MM’と同様である。
また、第4実施形態のエリア特定プログラム700も、記憶媒体を介さずに電気通信網からコンピュータに取り込まれるものであってもよい。
この図25に示すように、エリア特定プログラム700はフロー品質情報取得部710とエリア解析部720と結果表示730とを備えている。さらに、エリア解析部720は、品質情報解析部721とエリア判断部722とを備えている。
エリア特定プログラム700のフロー品質情報取得部710は、コンピュータを、エリア特定装置600のフロー品質情報取得部610として動作させるものである。エリア特定プログラム700のエリア解析部720は、コンピュータを、エリア特定装置600のエリア解析部620として動作させるものである。エリア特定プログラム700の結果表示部730は、コンピュータを、エリア特定装置600の結果表示部630として動作させるものである。また、エリア特定プログラム700の品質情報解析部721およびエリア判断部722は、コンピュータを、エリア特定装置600の品質情報解析部621およびエリア判断部622として動作させるものである。
図26は、第4実施形態でフロー品質情報記憶部に記憶されたフロー品質情報の例を示す図である。
この図26には、図24に示す各フロー品質計測装置200”からエリア特定装置600のフロー品質情報記憶部640に集められたフロー品質情報が示されている。
この図26に示すように、フロー品質情報は各エンドサブネットS1〜S6と対応付けられた表として記憶されている。そして、この第4実施形態では、RTTの計測データとロス率の計測データがフロー品質情報として記憶されている。
次に、図24に示すエリア特定装置600がエンドサブネットS1〜S6のエリアを特定するための動作について詳細に説明する。
図27は、第4実施形態のエリア特定装置の動作を表すフローチャートである。
このフローチャートは、ネットワークグループ判定方法の第4実施形態も表している。
まずステップS300では、図14のステップS101と全く同様に、中継装置「A」と中継装置「B」との相互間でのRTTの計測値δと閾値rがフロー品質情報記憶部640に格納される。
次にステップS301で、フロー品質計測装置200”からフロー品質情報が送信され、その送信された計測データがフロー品質情報取得部610によって取得される。その取得されたフロー品質情報は、上述したように、フロー品質情報記憶部640に格納される。
その後、ステップS302〜ステップS307の各処理は、エリア特定装置600の品質情報解析部621によって実行される。
ステップS302では、図14のステップS103〜ステップS113の処理と全く同様の処理によって、RTTの計測データに基づいたエリア解析が行われる。但し、このステップS302で得られた解析結果は品質情報解析結果記憶部650に格納される。
その後のステップS303〜ステップS307は、各エンドサブネットSについて繰り返し実行される。まず、ステップS303では、当該エンドサブネットについてのロス率の計測データがフロー品質情報記憶部640から読み出される。次のステップS304では、中継装置「A」でのロス率の計測データと中継装置「B」でのロス率の計測データが比較される。
ステップS304での比較の結果、[「A」でのロス率<「B」でのロス率]が成り立つ場合には、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_3」ではない(即ち「NET_1」または「NET_2」である)と判断される(ステップS305)。このロス率に基づいたエリアの判定原理は、上述したRTTやHops数に基づいた判定原理とは異なっている。ここでは、末端エリアに存在するエンドサブネットについて生じるロス率は、「手前」の中継装置のロス率の方が、「遠く」の中継装置のロス率よりも小さいはずであって逆転は先ずあり得ないという原理で判定されている。
ステップS304での比較の結果、[「A」でのロス率>「B」でのロス率]が成り立つ場合には、エンドサブネットSが属するネットエリアは「NET_1」ではない(即ち「NET_2」または「NET_3」である)と判断される(ステップS306)。
ステップS304での比較の結果、[「A」でのロス率=「B」でのロス率]が成り立つ場合には、エンドサブネットSはどのネットエリアにも存在し得ると判断される(ステップS307)。
このようにステップS303〜ステップS307で行われた解析の結果も品質情報解析結果記憶部650に格納される。
図28は、第4実施形態で品質情報解析結果記憶部に記憶された解析結果の例を示す図である。
品質情報解析結果記憶部650には、この図28に示すように、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果が記憶されている。また、解析結果の表としては、RTTによるエリア解析の結果を表した表と、ロス率によるエリア解析の結果を表した表が記憶されている。
ここで、各エンドサブネットについて具体的に説明する。
まず、RTTによるエリア解析の結果について説明する。解析の前提となるδ、rについては、ここでもδ=100ms、r=5%とする。
エンドサブネットS1の場合には、図26に示す計測データから、差分=120−19=101と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS1が属するネットエリアは「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS2の場合には、図26に示す計測データから、差分=130−26=104と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はプラスであるためエンドサブネットS2が属するネットエリアも「NET_1」と特定される。
エンドサブネットS3の場合には、図26に示す計測データから、差分=20−119=−99と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS3が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS4の場合には、図26に示す計測データから、差分=30−131=−101と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS4が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。
エンドサブネットS5の場合には、図26に示す計測データから、差分=80−50=30と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入らないためエンドサブネットS5が属するネットエリアは「NET_2」と特定される。
エンドサブネットS6の場合には、図26に示す計測データから、差分=60−160=−100と算出される。差分の絶対値がδに対して5%の許容誤差範囲に入っているとともに、差分の符号はマイナスであるためエンドサブネットS6が属するネットエリアは「NET_3」と特定される。このエンドサブネットS6が属する本当のネットエリアは「NET_2」であるので、ここに示された例は誤判定の例である。
次に、ロス率によるエリア解析の結果について説明する。
エンドサブネットS1の場合には、図26に示す計測データから、比較結果は0=0である。このためエンドサブネットS1が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」あるいは「NET_3」と判断される。
エンドサブネットS2の場合には、図26に示す計測データから、比較結果は0<0.5である。このためエンドサブネットS2が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」と判断される。
エンドサブネットS3の場合には、図26に示す計測データから、比較結果は0=0である。このためエンドサブネットS3が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」あるいは「NET_3」と判断される。
エンドサブネットS4の場合には、図26に示す計測データから、比較結果は0.5>0である。このためエンドサブネットS4が属するネットエリアは「NET_2」あるいは「NET_3」と判断される。
エンドサブネットS5,S6の場合には、図26に示す計測データから、比較結果はいずれも0.5<1.0である。このためエンドサブネットS5,S6が属するネットエリアは「NET_1」あるいは「NET_2」と判断される。
図27のステップS308では、このように品質情報解析結果記憶部650に記憶されている解析結果について、エリア判断部622によって、RTTに基づく結果とロス率に基づく結果とが統合される。この第4実施形態での統合方法も、上述した第3実施形態での統合方法と同じ方法である。このステップS308で統合された解析結果はエリア解析結果記憶部660に格納される。
図29は、第4実施形態でエリア解析結果記憶部に記憶された解析結果の例を示す図である。
エリア解析結果記憶部660には、この図29に示すように、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果が記憶されている。また、この図29に示す例は、図28に示す解析結果が統合された結果に相当している。
ロス率に基づく解析では特定エリアがとても緩く特定されるので、矛盾が生じていないエンドサブネットS1〜S5については、統合された結果は、RTTに基づいた解析結果と等しい結果になっている。一方、RTTに基づいた解析での誤判定により2種類の解析結果に矛盾が生じたエンドサブネットS6については、統合された結果は「特定不能」となっている。このように、通信の遠さを表した情報と、通信に生じた障害の量を表した情報とが併用されることによって、エリア解析の最終的な精度が向上することとなる。
図27に示すステップS309では、結果表示部630によって、この図29に示すような表が解析結果として表示される。
次に、基本形態について上記説明したネットワークグループ判定装置、ネットワークグループ判定方法、およびネットワークグループ判定プログラムに対する具体的な第5実施形態について以下説明する。
この第5実施形態も、上述した第1応用形態および第2応用形態それぞれに対する一例に相当する。
図30は、ネットワークグループ判定装置の第5実施形態に相当するエリア特定装置を示す図である。
このエリア特定装置800は、第2実施形態におけるフロー品質計測装置200と同様のフロー品質計測装置200に接続されている。
このエリア特定装置800は、フロー品質情報取得部810とエリア解析部820と結果表示部830とフロー品質情報記憶部840と監視ポイント間解析結果記憶部850とエリア解析結果記憶部860とを備えている。そして、エリア解析部820は更に、監視ポイント間解析部821とエリア判断部822とを備えている。このエリア特定装置800におけるハードウェア構成は、第2実施形態のエリア特定装置100におけるハードウェア構成と同様であるので詳細説明は省略する。
この第5実施形態におけるフロー品質情報取得部810は、第2実施形態におけるフロー品質情報取得部110と全く同様のものである。ただし、この第5実施形態では、3つ以上の中継装置それぞれに1つずつ接続された3つ以上のフロー品質計測装置200からフロー品質情報が収集される。このフロー品質情報取得部810も、上述した基本形態における獲得部の一例に相当する。
エリア解析部820は、フロー品質情報記憶部840に格納されているフロー品質情報(RTTの計測データ)に基づいて、特定の通信場所が属するエリアを解析するものである。エリア解析部820の監視ポイント間解析部821は、中継装置(即ちネットワーク監視ポイント)のペア毎に、第2実施形態での解析方法と同様の方法でエリア解析を行うものである。エリア解析部820のエリア判断部822は、中継装置のペア毎のエリア解析で得られた解析結果を統合することで、通信場所が属するエリアを判断するものである。監視ポイント間解析部821による解析結果は監視ポイント間解析結果記憶部850に格納される。また、エリア判断部822による判断結果は、エリア解析結果記憶部860に格納される。この監視ポイント間解析部821は、上述した基本形態における比較部の一例に相当する。また、監視ポイント間解析部821とエリア判断部822とを組み合わせたものが、上述した基本形態における判定部の一例に相当する。
結果表示部830は、エリア解析結果記憶部860に格納された解析結果を表示するものである。この結果表示部830は、上記第2応用形態における表示部の一例に相当する。
ここで、コンピュータをエリア特定装置800として動作させるエリア特定プログラムについて説明する。このエリア特定プログラムは、ネットワークグループ判定プログラムの第5実施形態に相当する。
図31は、ネットワークグループ判定プログラムの第5実施形態に相当するエリア特定プログラムを示す図である。
このエリア特定プログラム900はエリア特定プログラム記憶媒体MM'''に記憶されている。そしてエリア特定プログラム900はエリア特定プログラム記憶媒体MM'''からコンピュータに取り込まれる。
このエリア特定プログラム記憶媒体MM'''は、エリア特定プログラム900を記憶するものであれば何でも良いことは、第2実施形態におけるエリア特定プログラム記憶媒体MM’と同様である。
また、第5実施形態のエリア特定プログラム900も、記憶媒体を介さずに電気通信網からコンピュータに取り込まれるものであってもよい。
この図31に示すように、エリア特定プログラム900はフロー品質情報取得部910とエリア解析部920と結果表示930とを備えている。さらに、エリア解析部920は、監視ポイント間解析部921とエリア判断部922とを備えている。
エリア特定プログラム900のフロー品質情報取得部910は、コンピュータを、エリア特定装置800のフロー品質情報取得部810として動作させるものである。エリア特定プログラム900のエリア解析部920は、コンピュータを、エリア特定装置800のエリア解析部820として動作させるものである。エリア特定プログラム900の結果表示部930は、コンピュータを、エリア特定装置800の結果表示部830として動作させるものである。また、エリア特定プログラム900の監視ポイント間解析部921およびエリア判断部922は、コンピュータを、エリア特定装置800の監視ポイント間解析部821およびエリア判断部822として動作させるものである。
ここで、この第5実施形態におけるエリア分割の概念について説明する。
図32は、第5実施形態におけるエリア分割の概念を示す図である。
この第5実施形態でも、上述したような位相幾何学的なエリア分割が採用されていることには変わりがないが、この第5実施形態では、3つ以上の中継装置Rが想定される。この図32に示す例では4つの中継装置Rが示されている。これら4つの中継装置Rを区別する場合には、中継装置「A」、中継装置「B」、中継装置「C」、中継装置「D」と称する。これら4つの中継装置Rにより、上述したように位相幾何学的にエリア分割されると、対象ネットワークは、「NET_1」、「NET_2」、「NET_3」、「NET_4」、「NET_5」という5つのネットエリアに分かれることとなる。フロー品質情報(即ちRTTの計測データ)は、これら4つの中継装置Rそれぞれでの計測で得られ、その得られた計測データがフロー品質情報取得部810によって収集される。
図33は、第5実施形態でフロー品質情報記憶部に記憶されたフロー品質情報の例を示す図である。
この第5実施形態でも、第2実施形態と同様に、RTTの計測データは各エンドサブネットS1,S2と対応付けられた表として記憶されている。また、この図33に示す例では、4つの中継装置「A」、「B」、「C」、「D」それぞれでの計測データが集められている。
次に、このように集められた計測データに基づいて図30に示すエリア特定装置800がエンドサブネットS1,S2のエリアを特定するための動作について詳細に説明する。
図34は、第5実施形態におけるエリア特定装置の動作を表すフローチャートである。
このフローチャートは、ネットワークグループ判定方法の第5実施形態も表している。
まずステップS400では、4つの中継装置「A」、「B」、「C」、「D」それぞれに接続された各フロー品質計測装置200からRTTの計測データが送信され、その送信された計測データがフロー品質情報取得部810によって取得される。その取得された計測データは、上述したように、フロー品質情報記憶部840に格納される。
次にステップS401では、監視ポイント間解析部821によって、4つの中継装置「A」、「B」、「C」、「D」から中継装置の対が選択される。この選択は、4つの中継装置「A」、「B」、「C」、「D」の順列組み合わせを順番に選択するものである。
そして、エリア解析が行われていない中継装置対が存在する間(ステップS402;Yes)は、ステップS401で選択された中継装置対について、第2実施形態と全く同様にエリア解析が行われる(ステップS403)。このステップS403での解析結果は、監視ポイント間解析結果記憶部850に格納される。
なお、中継装置対に対するエリア解析では、図32に示すようなエリア分割が、図7に示すようなエリア分割に焼き直される。すなわち、図32に示す中継装置「B」と中継装置「D」との対が選択された場合には、図32に示す「NET_2」が、図7に示す「NET_1」に対応する。また、図32に示す「NET_4」は、図7に示す「NET_3」に対応する。そして、図32に示す「NET_1」と「NET_3」と「NET_5」を合わせたものが図7に示す「NET_2」に対応する。
このようなエリアの焼き直しが中継装置対ごとに行われてエリア解析が行われた結果の例について説明する。
図35は、第5実施形態で監視ポイント間解析結果記憶部に記憶された解析結果の一例を示す図である。
この図35に示すように、監視ポイント間解析結果記憶部850では、中継装置対(即ち監視ポイントの対)に、各サブネットワークそれぞれに対する特定エリアが対応付けられて記憶されている。
図34に示すステップS401〜ステップS403が一巡される度に、図35に示す対応表の1段分が生成されることとなる。そして、全ての中継装置対(即ち監視ポイントの対)についてエリア解析が終了すると(ステップS402;No)、ステップS404に進み、エリア判断部822により、図35に示す表中の1列が左側から順に選択される。この選択では、1列全てが「特定不能」であるものは除外される。選択された1列分は、特定のエンドサブネットに関する複数個の解析結果を表していることになる。そして、その選択された1列分の解析結果が未統合である場合(ステップS405;Yes)には、エリア判断部822は、その1列分の解析結果を統合する。即ち、上述した第3実施形態や第4実施形態における統合方法と同じ統合方法が用いられ、積集合の要素(即ち矛盾のない特定エリア)が存在するか否かが確認される(ステップS406)。そして、矛盾のない特定エリアが存在する場合には、その特定エリアが、当該エンドサブネットの最終の解析結果としてエリア解析結果記憶部860に格納される(ステップS407)。
一方、ステップS406の確認で、矛盾のない特定エリアが存在しなかった場合には、当該エンドサブネットの最終の解析結果として、「特定不能」という結果がエリア解析結果記憶部860に格納される(ステップS408)。
図36は、第5実施形態でエリア解析結果記憶部に記憶された解析結果の一例を示す図である。
この図36に示すように、第5実施形態でも、エンドサブネットと特定エリアとが対応付けられた表の形式で解析結果がエリア解析結果記憶部860に記憶されている。
具体的には、エンドサブネットS1の場合には、図35に示す1列分の解析結果にはいずれも「NET_1」が含まれているので、図36の表では「NET_1」が特定エリアとなっている。また、エンドサブネットS2の場合には、図35に示す1列分の解析結果のいずれにも含まれたネットエリアは存在しない。このため、図36の表ではエンドサブネットS2の特定エリアは「特定不能」となっている。
このような解析結果の統合が、図35の各列について進むと、最終的には、図34のステップS405で、未解決のサブネットが存在しないと判定されてステップS409に進む。このステップS409では、結果表示部830によって、図36に示す表が解析結果として表示される。
なお、この結果表示部830による解析結果の表示スタイルとしては、別のスタイルも考えられる。
図37は、結果表示部による解析結果の表示における別のスタイルを示す図である。
この図37に示すスタイルでは、図32で想定されている5つのネットエリアそれぞれについて、そのネットエリアに属しているエンドサブネットが対応付けられた表が表示される。このようなスタイルの場合には、図32で想定されているようなエリア分割が想起しやすいので、各エンドサブネットのネットワーク上の位置が理解しやすい。
上記説明した各実施形態では、ネットエリアが解析される対象となる通信場所(ネットワークグループ)としてエンドサブネットが採用されている。しかし、上述した基本形態でエリア判別の対象とする通信場所(ネットワークグループ)としては、ネットワーク上の各通信装置(例えば1台のコンピュータ)であってもよい。
また、上記説明した各実施形態では、エンドサブネットの通信情報を計測するに当たって、そのエンドサブネットに含まれる任意の装置が関係した通信から得られた計測値を、そのエンドサブネットに対する計測値として用いている。しかし、上述した基本形態では、エンドサブネット中の1つの装置を特定しておいて、その特定の装置が関係した通信から得られた計測値のみを、そのエンドサブネットに対する計測値として用いてもよい。
また、上記説明した各実施形態では、エリアの解析結果を表形式で表示する例が示されているが、上述した第2応用形態の表示部としては、通信場所の位置を描画するものであると、視覚的な理解が容易で好ましい。このように位置を描画する場合における表示部の具体的な描画方法としては、例えば図7の下段に示すような観念的なエリア区分を描画して、その描画したエリア区分上にエンドサブネットを配置するといった描画方法が考えられる。また、他の描画方法としては、中継装置が実際に存在している場所を地図上に描画し、その地図上に、中継装置を通る線を描いてエリア区分とし、そのエリア区分上にエンドサブネットを配置するという描画方法も考えられる。