JP2011126739A - 多孔質炭素材の製造方法 - Google Patents

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良樹 福山
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誠司 今澄
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Abstract

【課題】 直径が0.45〜1nmの範囲のサブナノ細孔を大容量で、且つ、シャープな分布で有し、特に、ガス吸着材として有用な多孔質炭素材の製造方法を提供する。
【解決手段】 フェノール樹脂中に水酸化カリウムを含有するフェノール樹脂複合成形体を、非酸化性雰囲気中、550〜750℃の温度で加熱して炭化物を得た後、該炭化物中に含まれる水酸化カリウムを洗浄除去する方法であり、かかる方法により、サブナノ細孔の容積が0.33cm/gを超え、且つ、直径が0.45nm〜0.4μmの範囲の細孔容積に対するサブナノ細孔容積の割合が65%以上を占める多孔質炭素材が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な多孔質炭素材に関する。詳しくは、直径が0.45〜1nmの範囲の細孔(以下、サブナノ細孔ともいう。)を大容量で、且つ、シャープな分布で有し、特に、ガス吸着材として有用な多孔質炭素材の製造方法を提供するものである。
多孔質炭素材は、電池材料、触媒、触媒用担体などとして広く利用されているが、その中でもガス吸着材として高機能な多孔質炭素材の必要性が高まってきている。
上記背景を更に具体的に説明すれば、近年、環境問題、化石燃料枯渇の問題などから、次世代エネルギーに対する需要が高まってきている。中でも水素エネルギーは水しか発生しない非常にクリーンなエネルギーとして高い期待が寄せられている。水素エネルギーの活用を実現するためには、水素製造・貯蔵・利用の各技術が必要であるが、どれもまだ実用可能なレベルには達していない。その中でも特に立ち遅れているのが水素貯蔵技術である。水素貯蔵には貯蔵量、貯蔵・放出速度、放出水素純度、安全性、コスト、サイクル特性など様々な特性が要求されるが、それらの特性を満たす実用可能な水素貯蔵方法は未だに開発されていない。
一般に、水素貯蔵技術は大きく、高圧水素での貯蔵、液体水素での貯蔵、水素吸蔵材料に吸蔵しての貯蔵に分けられる。
高圧水素による貯蔵は、樹脂やアルミ製ライナーの外側に炭素繊維を積層した高圧タンクに水素を充填する方法である。最新の70MPaの高圧水素ガス容器は、最大でもガソリンの15%程度のエネルギー密度にしか達しないのが現状である。さらに、耐圧性を確保するために肉厚化をする必要があって、重量増大が不可避であり、タンクの重さの3.5〜4.5%ほどの水素しか貯蔵することができない。
一方、液体水素による貯蔵は、ガソリンのおよそ30%のエネルギー密度を実現する。しかし、水素は沸点が−253℃と非常に低温であるため、容器を断熱・冷却する必要があり、また、水素を液化するために大きなエネルギーを要するという問題がある。このため、液体水素による貯蔵は、コスト面、エネルギー効率面より優れた水素貯蔵方法とは言えない。
こうした背景より、水素吸蔵材料による貯蔵に注目が集められており、水素吸蔵合金、有機ハイドライド、無機ハイドライド、有機金属錯体、多孔質炭素材など、各種材料の開発が進められている。中でも多孔質炭素材は、資源としての豊富さや軽量であるといった利点を有しており、実用的に有力な候補として注目されている。
代表的な炭素材として黒鉛と活性炭が挙げられる。黒鉛はグラフェンシートが重なり合った六方晶系の結晶を有しており、水素吸蔵材料へ適用しようとする研究開発がなされているものの、グラフェンシートで造る層の層間距離は0.334nmと、水素分子を吸蔵するスペースとしては狭すぎる。そこで、黒鉛の層間を拡げ多孔質化する試みが報告されている。
例えば、特許文献1では、酸処理と加熱処理とを施して層間距離を拡げ水素分子がその層間に侵入・濃縮されるようにした膨張黒鉛の技術が提案されている。
しかしながら、グラフェンシートの層間はファンデルワールス力により維持されており、水素分子侵入のために適度な層間距離を実現したとしても、不安定であり、繰り返し使用する間に、層間距離が小さくなって水素が入らなくなったり、逆に拡がり過ぎて濃縮効果が得られなくなったりするという問題を抱えていた。
一方、活性炭は、種々の炭素質材料を原料として、水蒸気や薬品によって賦活することにより、大容量の細孔が形成された炭素材である。活性炭の細孔は賦活の進行と共に生成するため、非常にブロードな細孔分布を持つことが特徴である。
活性炭のマイクロ孔が水素吸蔵場として機能し、水素を吸蔵することは古くから知られていた。しかし、活性炭はその比表面積の増大とともに単位重量当りの水素吸蔵量は大きくなるものの、単位体積当りの水素吸蔵量を大きくすることは困難であった。これは、活性炭が本質的にメソ孔やマクロ孔を多く含んだブロードな細孔分布を持ち、水素の吸蔵に適しない大きな孔がその大半を占めるからである。
上記のような活性炭の本質的な問題を克服するため、例えば、特許文献2には、高圧圧縮処理によりグラフェン間に存在する隙間を縮めて高密度化する技術が開示されている。しかしながら、300MPaを超える高圧圧縮処理が必要であり、しかも、上記高密度化により達成される活性炭であっても尚、水素の吸着に関与しない細孔が多く存在し、単位体積当りの水素吸蔵量に関しては未だ十分に満足のいくものではなかった。
特許文献3にはフェノール樹脂を原料とした多孔質炭素材が開示されており、かかる文献によれば、上記多孔質炭素材は0.3〜0.6nm程度の細孔が大部分を占めるシャープな細孔分布を有することが知られている。しかしながら、上記細孔の容積は小さく、水素吸蔵材料として利用するには、未だ不十分であり、改良の余地を残すものであった。
即ち、水素吸蔵材として実用可能な多孔質炭素材は未だ達成されておらず、従来の多孔質炭素材よりも大きな細孔容積と、シャープな細孔分布をもつ多孔質炭素材が必要とされていた。
一方、炭酸ガスは、工場、自動車などから燃焼生成物として多量に生成し、現在、炭酸ガスによる地球の温室効果が問題視されている。また、重要な資源である天然ガス中には、5〜10%程度の炭酸ガスが含まれ、燃料として使用するには炭酸ガスを取り除く必要がある。その他にも、宇宙船、潜水艇、深海艇などの密閉環境において、人体から排出された炭酸ガスを除去する必要がある。
こうしたことから、炭酸ガスを含んだ混合ガス中から、炭酸ガスを分離・除去する技術が求められている。
一般に炭酸ガスを分離する方法は、ガス吸収法、膜分離法、ガス吸着法に分けられる。
上記ガス吸収法は、炭酸ガスを大量に溶解できる液体と処理ガスを接触させて、液体中に炭酸ガスを取り込む分離法で、トリエチレングリコール、炭酸プロピレンなどの物理吸収液を用いる場合と、アミン水溶液、炭酸カリウム水溶液などの化学吸収液を用いる場合がある。この吸収法は吸収液を再利用するために、炭酸ガスを分離する再生操作が必要である。また、使用する吸収液が大量であるため、吸収液の加熱・冷却操作に多くのエネルギーを必要とする。
また、膜分離法は、炭酸ガス選択性を持つポリイミドなどの高分子膜を通して目的成分のみを透過させ分離する方法である。この方法は、固体高分子膜を通してガスを透過させるため、透過量が小さいこと、また、膜が高価である等の問題がある。
こうした背景より、ガス吸着法による分離に注目が集められている。ガス吸着法は、分離用第三成分として固体の吸着材を用いる方法である。吸着材としてはゼオライトや活性炭などが用いられる。ゼオライトは炭酸ガスが低分圧でも多く吸着できる特徴があるが、水分に対する吸着能が著しく大きいため、水分が共存する場合には、吸着の前に除湿工程を加える必要がある。
近年、建築資材や設計、施工などの技術開発により、一般住宅の気密性が向上している。それに伴い、前記の宇宙船、潜水艇、深海艇などに加え、一般住宅においても二酸化炭素濃度の調整が必要であると考えられるようになってきた。一般住宅に用いられる炭酸ガス除去装置に求められる特性としては、小型・軽量、安全性、高エネルギー効率などがあげられ、こうした特性を満たす炭素材による炭酸ガスの吸着に注目が集められている。
上記のように、多孔質炭素材はガス吸着材として広い利用価値がある。特に、マイクロ孔を多く持つ炭素材は、ガス分子サイズの小さい水素ガス、炭酸ガス、一酸化炭素、メタン、エタンその他低級炭化水素ガスなどの吸着に非常に有利であると考えられる。しかし、何れのガスを吸着する場合でも、ガス吸着量を向上させるための大きな細孔容積と、特定のガスを吸着するためのシャープな細孔分布との両立が必要とされる。
特開2001−026414号公報 特開2003−038953号公報 特開平5−319813号公報
従って、本発明は、前記水素や炭酸ガスなどのガス吸着に適した細孔を大容量で有し、且つ、その細孔がシャープな細孔分布を有する多孔質炭素材を製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、フェノール樹脂を非酸化性雰囲気中で加熱(以下、加熱処理ともいう)して得られる炭化物よりなる多孔質炭素材は、マイクロ孔が大部分の細孔を占めるシャープな細孔分布を有すること、また、上記マイクロ孔の中でも、特に、直径が1nm以下の細孔(後述する測定法より、0.4〜1nmの範囲の細孔のものであり、以下、かかる細孔を「サブナノ細孔」ともいう。)が分子サイズの小さな、前記水素ガスや炭酸ガス等のガスの吸着に大きく関与するという知見を得た。
そして、上記知見に基づき、かかるサブナノ細孔容積を増大させ、単位体積あたりのガス吸着量が増大した多孔質炭素材の製造方法について鋭意研究を行なった結果、前記加熱処理供する原料のフェノール樹脂中に水酸化カリウムを加えることによって、従来の多孔質炭素材では達成し得ていない、大容量のサブナノ細孔を有し、且つ、そのサブナノ細孔が大部分を占めるシャープな細孔分布を有する多孔質炭素材を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、フェノール樹脂中に水酸化カリウムを含有するフェノール樹脂複合成形体を、非酸化性雰囲気中、550〜750℃の温度で加熱して炭化物を得た後、該炭化物中に含まれる水酸化カリウムを洗浄除去することを特徴とする多孔質炭素材の製造方法が提供される。
また、前記方法において、水酸化カリウムの含有割合が、前記フェノール樹脂100重量部に対して50〜600重量部であることが好ましい。
また、前記方法において、炭化物の洗浄は、洗浄後の炭化物中のカリウム濃度が10重量%以下となるように行なうことが好ましい。
更に、フェノール樹脂複合成形体は、水酸化カリウムを溶解した水性媒体中に、フェノール樹脂を溶解後、乾燥・硬化することによって得られたものであることが好ましい。
また、上記フェノール樹脂複合成形体の製造において、乾燥・硬化後、得られるフェノール樹脂複合成形体を、不活性雰囲気下、或いは、1kPa以下の減圧下、300〜400℃の温度に30分〜3時間保持することが好ましい。
本発明によれば、従来の多孔質炭素材で達成し得なかった、サブナノ細孔が大部分を占めるシャープな細孔分布で、且つ、大容量のサブナノ細孔容積を有するという、二つの特性を両立させた多孔質炭素材を製造することができる。
また、上記多孔質炭素材は、単位体積中に高密度で水素のような分子サイズの小さなガスを吸着できる炭素系ガス吸着材料として極めて有用である。
(多孔質炭素材の製造方法)
本発明の多孔質炭素材の製造方法は、フェノール樹脂中に水酸化カリウムを含有するフェノール樹脂複合成形体を、非酸化性雰囲気中、550〜750℃の温度で加熱して炭化物を得た後、該炭化物中に含まれる水酸化カリウムを洗浄除去する方法である。
上記本発明の製造方法に使用されるフェノール樹脂としては、ノボラック型またはレゾール型、あるいはそれらの複合物のいずれであっても良いが、フェノール樹脂複合成形体の製造方法として、後述するように、水性媒体中でフェノール樹脂と水酸化カリウムを混合する方法が簡便であるため、水溶性レゾール型を用いることが好ましい。
上記製造方法に使用されるフェノール樹脂がノボラック型である場合、混合される硬化剤は、通常用いられる硬化剤であれば特に限定されるものではない。例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ベンゾオキサジン化合物、フェニレンビスオキサゾリン、ジビニルベンゼン、など公知の硬化剤を使用することができる。
本発明の多孔質炭素材の製造方法において、フェノール樹脂複合成形体中の水酸化カリウムの含有割合は、該フェノール樹脂100重量部に対して、50重量部以上であることが好ましい。即ち、水酸化カリウムの含有割合が50重量部未満では、後述の加熱処理において生成するサブナノ細孔容積が低下する傾向にある。一方、水酸化カリウムの含有量を多くし過ぎると、フェノール樹脂が形成する樹脂骨格中に取り込まれる水酸化カリウムが飽和となる。一般に、前記水酸化カリウムの割合は、200〜300重量部程度で安定した細孔構造を持つようになる。しかし、水酸化カリウムの含有割合が600重量部以上では、硬化・乾燥に時間が掛かりフェノール樹脂複合成形体の作製が困難になる傾向がある。
従って、フェノール樹脂複合成形体は、水酸化カリウムの含有割合は50重量部〜600重量部、好ましくは、100〜400重量部となるように調整することが好ましい。
上記フェノール樹脂複合成形体の製造方法は、フェノール樹脂中に水酸化カリウムが均一に分散して存在せしめる方法であれば、特に制限されない。好適な製造方法として、水酸化カリウムを溶解した水性媒体中に、フェノール樹脂を溶解後、乾燥・硬化する方法が挙げられる。かかる乾燥・硬化は、空気中で、100℃〜250℃の温度範囲で行うことが好ましい。
また、上記フェノール樹脂複合成形体の製造において、乾燥・硬化により得られるフェノール樹脂複合成形体を、窒素ガスやアルゴンガス等による非酸化性雰囲気下、或いは、1kPa以下の減圧下に、300〜400℃の温度で10分〜5時間保持することが好ましい。即ち、上記保持により、フェノール樹脂複合成形体の硬化をより完全に進行させることができ、得られる多孔質炭素材のサブナノ細孔容積の割合をより一層増加することが可能であるため好ましい。
本発明において、上述した方法によって得られたフェノール樹脂複合成形体の加熱処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが、フェノール樹脂の燃焼を防止するために必要である。上記非酸化性雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどによって形成することができるが、資源量が豊富なことを考慮すると窒素ガスが好ましい。また、不活性雰囲気を形成するためのガスは、フェノール樹脂複合成形体を加熱処理における熱反応により発生する熱分解物を留まらせない程度に流通させることが望ましい。
また、加熱処理において採用される熱反応温度の範囲は、550〜750℃が好適である。熱反応温度が550℃未満ではサブナノ細孔容積が低下し、一方、750℃を越えるとブロードな細孔分布となるので好ましくない。上記熱反応温度は、600〜750℃の範囲がさらに好適である。
また、前記熱反応の際の昇温速度は、熱分解反応効率の観点から50〜400℃/時間(h)とすることが好ましい。また、目的の熱反応温度での保持時間は0.5〜8時間の範囲が好ましい。
上記フェノール樹脂複合成形体の加熱処理は、公知の電気炉を使用して行なうことができる。
本発明の多孔質炭素材の製造方法において、加熱処理による熱反応後に得られた炭化物は、含まれる水酸化カリウムを洗浄除去することによって、サブナノ細孔が生成する。かかる洗浄は、水酸化カリウムを除去するため、水性媒体を使用して行なわれるが、好ましくは、1重量%以下の希塩酸によって洗浄することが好ましい。
また、水酸化カリウムの洗浄除去の程度は、洗浄後のカリウム濃度は低いほど好ましく、洗浄後の炭化物に含有されるカリウム濃度を10重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下である。
本発明において、前記炭化物からの水酸化カリウムの洗浄除去は、フェノール樹脂複合成形体の形状を残したモノリシックな状態の炭化物に対して行なってもよいが、洗浄をより効果的に行なうため、かかる炭化物を粉砕した後洗浄を行なう態様が好適である。上記炭化物の粉砕の程度は、特に制限されないが、平均粒径で、1μm〜5cm、特に、5μm〜5mmの大きさが好適である。
また、上記炭化物からの水酸化カリウムの洗浄除去することによって得られる多孔質炭素材は、必要に応じて、乾燥処理されて使用される。
(多孔質炭素材)
本発明の方法によれば、容積が0.33cm/gを超えるサブナノ細孔を有すると共に、該サブナノ細孔容積の全細孔容積に対する割合が65%以上を占める多孔質炭素材を得ることができる。
尚、本発明において、得られる多孔質炭素材の細孔の容積は、後述する実施例で具体的に示すように、窒素吸着法によって得られる窒素吸着等温線より、HK(Horverth−Kawazoe)法のスリットモデルを用いて算出された値である。
また、多孔質炭素材において、上記測定された細孔の直径が0.4μmを超えるものは、前記ガスの吸着には殆ど関与せず、前記範囲の細孔の容積(全細孔容積)を基準にして、サブナノ細孔の占める割合を算出することによって、多孔質炭素材におけるサブナノ細孔のシャープな分布を示す指標とした。
前記本発明の方法によって得られる多孔質炭素材の有する上記サブナノ細孔の容積、及び、サブナノ細孔容積の全細孔容積に対する割合は、例えば、活性炭や、フェノール樹脂を原料として製造されていた、従来の多孔質炭素材では実現できなかった極めて大きいものである。
本発明の方法によれば、後述の実施例に示すように、上記サブナノ細孔の容積は、0.40cm/g以上、更には、0.45cm/g以上、また、該サブナノ細孔容積の全細孔容積に対する割合は、80%以上に達する多孔質炭素材をも得ることが可能である。
このようなサブナノ細孔を多く有する多孔質炭素材は、ガス吸着の用途においてその貢献度は極めて高いものといえる。即ち、本発明の方法によって得られる多孔質炭素材は、水素ガス等のガス吸着(水素ガスの吸蔵)においては、単位体積あたりのガス吸着量が飛躍的に向上し、また、炭酸ガスの分離においては、そのシャープな細孔分布により、優れた分離特性が記載される。これに対して、大きな細孔容積を持つ炭素材として活性炭が知られているが、活性炭は細孔分布がブロードであり、水素の吸蔵には寄与しないメソ孔やマクロ孔を多く含むため、単位体積あたりの水素吸蔵量を大きくすることが困難である。
従って、本発明の方法によって得られる多孔質炭素材は、水素吸蔵材料として極めて有用である。即ち、後述の実施例において、得られる多孔質炭素材は、大容量のサブナノ細孔により、従来の多孔質炭素材では達成し得なかった、大容量の水素を貯蔵することができる。また、メソ孔やマクロ孔をほとんど有していないシャープな細孔分布を有するため、単位体積あたりの水素吸蔵量が従来の多孔質炭素材よりも大きいことが特徴である。
また、本発明の方法によって得られる多孔質炭素材は、水素と炭素の原子比(H/C)が0.01〜0.4、特に0.01〜0.3であるものが、前記細孔形成に有利な点で好ましい。上記原子比が0.4を超える場合、細孔容積の低下を招く傾向にある。
また、本発明の方法によって得られる多孔質炭素材は、水素、炭素に加え、酸素原子を構造中に含むことが好ましい。
(多孔質炭素材の用途)
本発明の方法によって得られる多孔質炭素材を、例えば、水素吸蔵材料等の用途に使用する際、任意の形態に成形して使用することができる。例えば、粉砕、造粒、塗工、加圧など、公知の方法を何ら制限なく使用できる。
そして、それらの形態、即ち、粉状、塊状、膜状の多孔質炭素材を水素貯蔵容器に充填し、圧力または温度を変化させることによって水素を吸蔵・放出させることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
尚、実施例および比較例における数値は次に示す方法により測定及び/または計算した。
(1)サブナノ細孔容積、全細孔容積
マイクロメリティクス社製ASAP2020を使用し、試料について、77Kにおける窒素吸着等温線を得、上記測定値よりHK(Horverth−Kawazoe)法のスリットモデルを用いて、直径1nm以下の細孔の容積を算出した。
また、全細孔容積は、最高相対圧0.995までに吸着された窒素の体積から算出した。即ち、本明細書中における全細孔容積は、細孔直径0.45nm(77Kにおいて窒素分子が進入できる下限の細孔直径に相当)から0.4μm(77Kでの窒素ガスの相対圧0.995に相当)の範囲の細孔が占める容積である。
(2)He密度
マイクロメリティクス社製乾式密度計アキュピック1330を使用し、温度25℃でヘリウムガスを媒体として定容積膨張法により測定した。
(3)H/C
PERKIN ELMER社製のSeriesII CHNO/S Analyzer2400を使用し、炭素、水素及び窒素の重量割合を測定した。炭素と水素の重量比を原子比へ換算してH/Cの値を得た。
(4)水素吸蔵量
鈴木商館製PCT特性測定装置を使用し、容量法(シーベルツ法)により液体窒素温度(77K)で最高水素圧10MPaまで段階的に変化させ、水素の吸蔵特性を測定した。そして、水素圧2MPaの水素吸蔵量(wt%)をNIST計算式により計算した。
上記測定により得た水素吸蔵量(wt%)および、前記(1)で得た全細孔容積Vtp(cm/g)と前記(2)で得られたHe密度ρ(g/cm)を用いて、単位体積あたりの水素吸蔵量(kg/m)を下記式より算出した。
Figure 2011126739
実施例1
フェノール樹脂100重量部に対して、水酸化カリウム77重量部をイオン交換水154重量部に溶解させた。水酸化カリウム水溶液に、レゾール型フェノール樹脂水溶液(その他、ホルムアルデヒド、フェノールを含有、固形分割合52%)を加え、マグネチックスターラーにて15分間撹拌を行った。混合溶液を、空気中150℃の温度で加熱し、乾燥・硬化反応させることによりフェノール樹脂複合成形体を得た。
続いて、管状型電気炉を用い、窒素ガス流通下、100℃/hの速度で700℃まで昇温し、同温度で2時間保持した後、100℃/hの速度で室温まで降温した。熱反応物を電気炉から取り出し、乳鉢にて平均粒径約50μmに粉砕した後、イオン交換水および0.2%塩酸にて洗浄を行った。
洗浄した熱反応物(炭化物)を200℃で8時間真空乾燥した後、ジルコニア製ボール(直径5mm)100gを入れた同じくジルコニア製の容器(内容量80cm)に投入し、遊星型ボールミルにて400rpmの回転速度で5分間粉砕した。
このようにして得られた多孔質炭素材の粉末(平均粒径8μm)を各種測定に供した。結果を表1にまとめた。
実施例2
水酸化カリウム添加割合を135重量部、硬化温度を250℃に変更した以外は実施例1と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
実施例3
水酸化カリウム添加割合を192重量部に変更した以外は実施例1と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
実施例4
水酸化カリウム添加割合を192重量部に変更した以外は実施例2と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
実施例5
熱反応温度を600℃に変更した以外は実施例4と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
実施例6
水酸化カリウム添加割合を269重量部、硬化を空気中150℃の温度で加熱した後、窒素雰囲気中375℃で30分保持することによってほぼ完全に進行させるように変更した以外は実施例5と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
実施例7
硬化を空気中150℃の温度で加熱した後、窒素雰囲気中400℃で3時間保持することによってほぼ完全に進行させるように変更した以外は実施例6と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
比較例1
熱反応温度を500℃に変更した以外は実施例4と全く同様にして多孔質炭素材粉末を得た。各種測定の結果を表1にまとめた。
比較例2
主成分がレゾール型フェノール樹脂である群栄化学工業製レジトップPL−4646(水溶性液状であり、他の成分としてフェノール及びホルムアルデヒドを含有)を、空気中150℃の温度で加熱し硬化反応させた。
続いて、管状型電気炉を用い、窒素ガス流通下、100℃/hの速度で600℃まで昇温し、同温度で2時間保持した後、100℃/hの速度で室温まで降温した。熱反応物をジルコニア製ボール(直径5mm)100gを入れた同じくジルコニア製の容器(内容量80cm)に投入し、遊星型ボールミルにて400rpmの回転速度で5分間粉砕した。
このようにして得られた多孔質炭素材粉末(平均粒径3μm)を各種測定に供した。結果を表1にまとめた。
比較例3
市販のヤシ殻活性炭を同様に各種測定に供した。結果を表1にまとめた。
Figure 2011126739

Claims (5)

  1. フェノール樹脂中に水酸化カリウムを含有するフェノール樹脂複合成形体を、非酸化性雰囲気中、550〜750℃の温度で加熱して炭化物を得た後、該炭化物中に含まれる水酸化カリウムを洗浄除去することを特徴とする多孔質炭素材の製造方法。
  2. 水酸化カリウムの含有割合が、前記フェノール樹脂100重量部に対して50〜600重量部である請求項1に記載の多孔質炭素材の製造方法。
  3. 前記炭化物の洗浄を、洗浄後の炭化物中のカリウム濃度が10重量%以下となるように行なう請求項1又は2に記載の多孔質炭素材の製造方法。
  4. フェノール樹脂複合成形体が、水酸化カリウムを溶解した水性媒体中に、フェノール樹脂を溶解後、乾燥・硬化することによって得られたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質炭素材の製造方法。
  5. フェノール樹脂複合成形体が、水酸化カリウムを溶解した水性媒体中に、フェノール樹脂を溶解後、乾燥・硬化後、不活性雰囲気下、或いは、1kPa以下の減圧下、300〜400℃の温度に30分〜3時間保持して得られたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質炭素材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013191524A (ja) * 2012-03-15 2013-09-26 Toshiba Corp 非水電解質二次電池
CN110015663A (zh) * 2019-02-08 2019-07-16 桂林理工大学 一种基于酚醛树脂的多孔碳材料的制备方法及应用

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