JP2011122052A - 樹脂成形品、樹脂組成物および樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車使用環境下で傷が目立ちにくい耐傷付き性とシルバーメタリック色塗装に匹敵する光輝感とを両立した樹脂成形品を製造することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ポリプロピレン複合樹脂材料に対して、粒子径(平均粒子径)が20μm以下のアルミニウム光輝材を1.0〜4.0重量%(wt%)になるように添加した樹脂組成物を用いて、成形品に転写するシボ形状のシボ深さを5μm以上から20μm以下にして樹脂成形品を成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形品、樹脂組成物および樹脂成形品の製造方法に関し、特に基礎材料としての樹脂にアルミニウム光輝材等を含有させて、メタリック調の樹脂成形品を得るための技術に関する。
例えば自動車業界においては、自動車内装に対するユーザのニーズが多様化し、特に内装樹脂部品を中心にしてメタリック調、木目調、ファブリック調等の加飾が施されるようになってきている。このような樹脂加飾部品の中でとりわけ市場要求の高いものの一つとして、光輝感のあるシルバーメタリック調の樹脂加飾部品がある。
従来、このようなシルバーメタリック調の樹脂加飾部品の多くは、光輝感を充分なものとするために、塗装により加飾されることが多かった。しかし、塗装工程で用いられる塗料には、そのままでは環境に影響を及ぼすおそれのある揮発性有機化合物(以下、VOC(volatile organic compounds))が含まれているもので、大気に放出されることで環境悪化の可能性がある。
そこで、昨今では、予め着色材や光輝材を混練した着色樹脂材料を成形することで、塗装工程を省くことがなされている。このような樹脂加飾部品の無塗装化は、塗料の使用量を削減し、VOCの放出あるいは発生を低減し、更には塗装工程廃止による省エネルギーや塗膜除去の必要性が無いため樹脂加飾部品のリサイクル性を向上させるので、非常に有効である。
一方、特に光輝材を混練した着色樹脂材料では、樹脂加飾部品を成形するときに、ウェルドラインなどの外観不良が発生しやすいという問題を有している。このような外観の不具合を解消する技術として、従来では金型や樹脂成形品の形状等に工夫を施していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−83434号公報
本出願人は、金型や樹脂成形品の形状等に工夫を施さず、無塗装樹脂部品に要求される機械物性、耐候(光)性、耐傷付き性などを満足させながら、シルバーメタリック調の無塗装化の出願を既に行っている(特願2008−281832)。この出願では、AES樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂に代表されるスチレン系共重合体樹脂を中心に展開し、シルバーメタリック色に樹脂材料を着色するために添加するアルミニウム光輝材が、その粒子径と添加量により光輝感と機械物性に影響を与えることを明らかにした。
一方で、ポリプロピレン複合樹脂材料(PP樹脂)は安定した材料性能と安価な材料価格からバンパ、インストルメントパネル、ドアトリムをはじめとして自動車内外装部品で多量に適用され、自動車用の樹脂材料の中で最も使用量が多い。シルバーメタリック色樹脂部品の無塗装化に関してもPP樹脂を用いることで、スチレン系共重合体樹脂からの材料価格の低減、樹脂材料の統合化によるコストダウンやリサイクルの効率化向上の面で大きなメリットがある。また、PP樹脂はスチレン系共重合体と比較して、耐候(光)性や耐薬品性に優れるため、自動車の苛酷な長期使用環境下での耐久性において有利な点が多い。ただし、PP樹脂はスチレン系共重合体と比較してその材料硬度や表面特性の観点から耐傷付き性能に劣るため、シルバーメタリック色の樹脂部品が求める高い意匠性や外観品質に対して、適用するのは困難であるとされてきた。
樹脂部品の耐傷付き性を向上させる(傷が付きにくい、目立ちにくい)手段としては、(a)樹脂材料の硬度を増加させる、(b)滑剤等を添加して表面特性を変化させる(c)成形品にシボ形状を施すなどが挙げられる。(a)や(b)の手段は、樹脂材料の重合設計や配合処方が変化するため、機械物性や各種性能に影響を及ぼしてしまう。(c)の手段は、樹脂材料の材料性能を変化させない有効な手段であるが、シボ形状によっては成形品の光輝感が著しく損なわれてしまう。
そこで、本発明はPP樹脂をメタリック色樹脂部品の無塗装化に適用することを目的にする。具体的には、例えば自動車使用環境下で発生する傷を防止しシルバーメタリック色塗装に匹敵する光輝感を両立させるために、成形品に転写するシボ形状のシボ深さと添加するアルミニウム光輝材の粒子径と添加量を最適化することを目的とする。
本発明に係る樹脂成形品は、ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させた樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする。
また、シボ深さを5μm以上20μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする。
また、前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%以上4.0重量%以下としたことを特徴とする。
また、前記光輝材の粒子径を20μm以下としたことを特徴とする。
また、前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%とし、前記光輝材の粒子径を10μmとし、シボ深さを24μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする。
また、前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%とし、前記光輝材の粒子径を20μmとし、シボ深さを28μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする。
また、前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を0.5重量%とし、前記光輝材の粒子径を10μmとし、シボ深さを5μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする。
また、前記光輝材は、アルミニウム光輝材であることを特徴とする。
また、自動車用内外装樹脂部品に成形されることを特徴とする。
本発明に係る樹脂組成物は、ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させたことを特徴とする。
本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させた樹脂組成物を用いて成形することを特徴とする。
本発明によれば、塗装することなく高い光輝感の樹脂成形品を成形することができる。
具体的には、例えば、自動車使用環境下で傷が目立ちにくい耐傷付き性とシルバーメタリック色塗装に匹敵する光輝感とを両立した樹脂成形品を成形することができる。
本実施形態に係る樹脂組成物における、光輝材の添加量、光輝材の粒子径およびシボ深さを説明するための図である。 本実施形態に係る樹脂成形品におけるシボ形状を示す図である。 変角測色測定法の測定原理を説明するための図である。 光輝材の粒子径が異なる試料におけるシボ深さとFF値との関係を示す図である。 光輝材の添加量が異なる試料におけるシボ深さとFF値との関係を示す図である。 耐傷付き性試験方法に使用する試験機を示す図である。 耐傷付き性試験方法に使用する引掻き針を示す図である。 耐傷付き性試験方法において試料に発生させる引掻き傷を示す図である。 光輝材の粒子径10μm、添加量1.0wt%の試料におけるシボ深さと光沢差との関係を示す図である。 光輝材の粒子径が異なる試料におけるシボ深さと光沢差との関係を示す図である。 光輝材の添加量が異なる試料におけるシボ深さと光沢差との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、ポリプロピレン複合樹脂材料に対して、粒子径(平均粒子径)が20μm以下のアルミニウム光輝材を1.0〜4.0重量%(wt%)になるように添加した樹脂組成物を用いて、転写(転写成形)するシボ形状のシボ深さを5μm以上から20μm以下にして樹脂成形品を成形する。すなわち、図1に示す範囲Aのような、光輝材の粒子径、光輝材の添加量およびシボ深さで樹脂成形品を成形する。
このような条件で成形することで、シルバーメタリック色塗装に匹敵する光輝感の発現と、例えば自動車使用環境下で発生する傷の防止を両立したシルバーメタリック色樹脂部品を製造できる。また、シルバーメタリック色だけではなくゴールドやガンメタリック等の他色メタリック調に対しても適用できる。上述した条件は、耐傷付き性、光輝感および物性の低下等に関する諸要求を考慮し、鋭利研究の結果見出したものであるが、その詳細については後述する。
<基礎材料としての樹脂材料について>
本実施形態では、樹脂材料として、着色前の状態で半透明なポリプロピレン複合樹脂材料(PP複合樹脂材料)を用いた。まず、ベースとなるポリプロピレンは、ポリプロピレンの中でも透明性に優れるホモポリプロピレンとした。
ポリプロピレン:ホモポリプロピレン(曲げ弾性率 2300MPa、シャルピー衝撃強さ(23℃)2.0kJ/m2
ただし、ホモポリプロピレンはブロックポリプロピレンと比べて耐衝撃性が劣る。従来、耐衝撃性を向上させるためにゴム成分を添加するが、強度、剛性、耐熱性が低下してしまう。対策として、フィラーを添加していたが、樹脂材料の透明性が低下したり、樹脂成形品にウェルドラインが発生したりしてしまう。
そこで、本実施形態では、エラストマー成分を添加する。ここで、オレフィン系エラストマー等のエラストマー成分は、耐衝撃性を向上させることができるが、透明性および剛性が低下するという問題がある。したがって、本実施形態では、オレフィン系エラストマーに代えて、スチレン系エラストマーであるスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンを添加した。
エラストマー:スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン(SEBS)(重量平均分子量60,000、スチレン含有量30wt%)
SEBSを添加することで、フィラーやオレフィン系エラストマーを添加する場合に比べて、PP複合樹脂材料の透明性や剛性の低下が少なく、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、SEBSの添加量は、20〜28重量%であり、望ましくは22〜23重量%である。このように配合したPP複合樹脂材料は、全光線透過率で70%以上(試験片厚さ2mm)を保つことができた。なお、透明性の指標として、全光線透過率を評価した。全光線透過率の測定に際し、スガ試験機株式会社製ヘーズコンピューターHZ−2を使用した。
<光輝材について>
本実施形態では、メタリック調を発現させるために、基礎材料としてのPP複合樹脂材料に含有させる光輝材に、アルミニウム光輝材(アルミペースト:東洋アルミ株式会社製)を用いた。アルミニウム光輝材の粒子径(平均粒子径)40μm以上では、光輝感が低下しメタメリズムの抑制が困難となる。したがって、アルミニウム光輝材の粒子径の最大値は40μmまでとした。また、アルミニウム光輝材の添加量が5wt%を超えると、材料物性の著しい低下やコンパウンドが困難となるため、添加量の最大値は4wt%までとした。
<樹脂組成物について>
上述したPP複合樹脂材料に上述したアルミニウム光輝材を溶融混練することにより、シルバーメタリック色のポリプロピレン系樹脂組成物を製造することができる。溶融混練は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ニーダー等の混練機を用いて、混練・造粒できる。なお、本実施形態では、典型的にはシルバーメタリック調の樹脂成形品を成形するものとし、この場合は着色が不要である。一方、ゴールドメタリック調や所謂ガンメタリック調の樹脂成形品を成形する場合、溶融状態において適宜無機顔料、有機顔料を混入させて着色をする。
本実施形態では、下記の表1、2に示すようにアルミニウム光輝材の粒子径と添加量を変化させた実験試料を作製した。
Figure 2011122052
Figure 2011122052
<シボ形状について>
図2に樹脂成形品に転写するシボ形状の模式図を示す。本実施形態では、シボの最大高さ間隔となるシボのピッチ間を一定(500μm〜800μm)とし、シボの深さを5μm以上から51μm以下で異なる射出成形用のシボ板作製金型を使用した。シボ板は厚さ3mmのものを射出成形で作製した。また、磨きが金型仕上げ#3000以上の所謂鏡面と呼ばれる平板作製金型も併せて使用し、シボの深さが0μmのものも射出成形で作製した。
上述のようにアルミニウム光輝材の粒子径および添加量を変化させたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて、シボの深さが異なるシボ板(樹脂成形品)を成形した。
本実施形態では、樹脂成形品のシボの深さが光輝感や耐傷付き性に与える影響を検証した。
<光輝感評価>
本実施形態では、次式(1)によって、光輝感を示す指標であるフリップフロップ値(以下、FF値)を算出して、光輝感の評価を行った。
FF値=ハイライト時の明度(25°)/シェード時の明度(75°)・・・(1)
25°、75°のそれぞれの角度は、測定試料(樹脂成形品)が平面上に置かれたとして、その鉛直方向を基準(0°)とした場合の角度を示す。基本的に、メタリック調は鏡面反射成分の強い仕上面を有する。よって、ハイライト方向(25°)の光源に対する鏡面反射成分は強く、シェード方向(75°)は拡散反射光成分が弱いので、ハイライト時とシェード時の明度の比率であるFF値で光輝感の高さを評価できる。この評価では、FF値が高いほど、光輝感が高いと評価できる。また、FF値は光輝材の粒子径(比表面積)や添加量(総面積)が敏感に影響する。
FF値を求めるための反射成分の明度の測定方法としては、所謂、変角測色測定法を使用し、式(1)におけるハイライト時の明度(25°)及びシェード時の明度(75°)を求めた。
図3は、変角測色測定法の測定原理を説明するための図である。図3に示すように変角測色測定法では、それぞれ配置角の異なる3つの光源(1〜3)を配して、光源に対する測定試料の反射成分の明度を、測定試料の鉛直方向に配された受光センサで測定することで行う。図3においては、光源1〜3の配置角はそれぞれ、測定試料の鉛直方向を基準として、25°、45°、75°となっている。なお、測定を行うための測定機器としては、コニカミノルタ社製の分光測色計(CM−512m3)を使用した。
図4、表3にそれぞれアルミニウム光輝材の粒子径を変化させた表1の実験試料について、シボ深さを変化させて測定したFF値の結果を示す。なお、比較の一例としてのシルバーメタリック塗装をした成形品は、自動車内装用としては、一般にFF値2.0以上が要求される。
Figure 2011122052
図4、表3から、アルミニウム光輝材の添加量を一定の1.0wt%として、アルミニウム光輝材の粒子径とシボの深さを変化させた場合には、以下の傾向が見られることが判明した。
(1−1)FF値はシボの深さが浅い領域においてアルミニウム光輝材の粒子径が小さいほど高い値を示し、光輝感が高かった。
(1−2)粒子径が40μm(試料D)では、シボの深さに関わらずFF値が2以下となり、シルバーメタリック塗装と同等レベルの光輝感を達成できなかった。
(1−3)シボの深さが浅い領域で光輝感が高い試料(すなわち粒子径が小さい試料ほど)は、シボの深さが深くなるに従って光輝感の低下度合いが大きかった。
(1−4)粒子径が5μm(試料A)では、シボの深さが24μm以上でFF値が2以下となった。
以上から、シルバーメタリック色塗装と同等レベルの光輝感であるFF値が2以上を達成するには、アルミ光輝材の粒子径が20μm以下で、シボ深さが20μm以下に規定すればよいことがわかる。なお、シボ深さが20μm以下とは、試料Aの各点のプロットから線形近似式を算出し、FF値が2.0以上となる条件を導き出した結果である。
図5、表4にそれぞれアルミニウム光輝材の添加量を変化させた表2の実験試料について、シボ深さを変化させて測定したFF値の結果を示す。
Figure 2011122052
図5、表4から、アルミニウム光輝材の粒子径を一定の10μmとして、アルミニウム光輝材の添加量とシボの深さを変化させた場合には、以下の傾向が見られることが判明した。
(2−1)FF値はシボの深さが浅い領域においてアルミニウム光輝材の添加量が多いほど高い値を示し、光輝感が高かった。
(2−2)添加量が0.5wt%(試料E)では、シボの深さが13μm以上ではFF値が2以下となり、シルバーメタリック色塗装と同等レベルの光輝感を達成できなかった。
(2−3)シボの深さが浅い領域で光輝感が高い試料(すなわち添加量が多い試料ほど)は、シボの深さが深くなるに従って光輝感の低下度合いが大きかった。
(2−4)添加量が2.0wt%(試料F)、4.0wt%(試料G)では、シボの深さが24μm以上でFF値が2以下となった。
図5、表4から、FF値が2以上を達成するには、アルミニウム光輝材の添加量が1wt%以上から4wt%以下で、シボ深さが20μm以下に規定すればよいことがわかる。なお、添加量の上限は、材料物性の著しい低下やコンパウンドの困難さを懸念して、最大値を4wt%と規定した。
上述したような光輝感評価の結果から、アルミニウム光輝材の粒子径、添加量およびシボの深さを下記に規定した範囲であることが望ましい。
(3−1)アルミニウム光輝材の粒子径は、20μm以下とする。
(3−2)アルミニウム光輝材の添加量は、1wt%以上から4wt%以下とする。
(3−3)シボの深さは、20μm以下とする。
<耐傷付き性評価>
本実施形態では、自動車用内外装樹脂部品の使用環境下で発生する可能性が高い引掻き傷を取り上げて、耐傷付き性の評価を行った。
図6は、耐傷付き性試験方法に使用する試験機を示す図である。本実施形態では、試験機として、株式会社安田精機製作所製の自動クロスカット試験機No.551−AUTOを使用した。試験機10は、試料Wを載置する試料台11、試料Wに引掻き傷を発生させる引掻き針12、引掻き針12を試験機10に取り付ける取付治具13、引掻き針12を一定の荷重で試料Wに押し付けるための分銅14を備えている。
図7は、引掻き針12の形状を説明するための図である。引掻き針12は、サファイア製であって、直径3mmの針の先端が角度60°に形成され、R0.3mmの面取りが施されている。
図8は、試験機10により試料に発生させる引掻き傷を説明するための図である。引掻き傷20は、碁盤目間隔t=1mmで、縦横それぞれ引掻き本数11×11本の碁盤目状に発生させる。
試験機10により試料に発生させた引掻き傷に対して、数値評価と目視評価とを行った。数値評価は、図3に示すように光源の入射角を45°(光源2)とし、測定角も同様に45°とした。試験前後の光沢値を測定し、その光沢差を評価の対象とした。光沢値の測定には、スガ試験機株式会社製のデジタル変角光沢計を用いた。光沢差が小さいほど耐傷付き性が優れ、傷が目立たなくなる。
図9にアルミニウム光輝材の粒子径10μm、添加量1.0wt%の実験試料(試料B)における耐傷付き性を、試験前後の光沢差で数値評価した結果を示す。
図9から、シボの深さが深くなるに従い、光沢差が小さくなり、耐傷付き性に優れていることが判明した。また、目視評価からシボの深さが5μm以上では傷が目立たないことが判明した。
次に、表5、表6にそれぞれアルミニウム光輝材の粒子径および添加量を変化させた表1、表2の実験試料について、シボ深さを変化させて光沢差を測定した結果と目視評価結果とを示す。数値は、耐傷付き性試験前後の光沢差を示し、括弧内は目視評価を示す。○は、傷が目立ちにくいことを示し、×は、傷が目立ちやすいことを示す。
Figure 2011122052
Figure 2011122052
また、図10、図11に、シボ深さ5〜28μmの範囲内での耐傷付き性の数値評価結果を示す。
アルミニウム光輝材とシボの深さを変化させた場合には、以下の傾向が見られることが判明した。
(4−1)シボの深さが深くなるに従い、光沢差は小さくなり耐傷付き性に優れた。
(4−2)シボの深さが5μm以上では、光沢差が5以下となり、傷が目立たなかった。
(4−3)シルバーメタリック色の着色樹脂材料は、光沢差が5程度を境界として、傷の目立ち具合が変化した。
(4−4)アルミニウム光輝材の粒子径や添加量の違いが、耐傷付き性に与える影響は見られなかった。
以上から、自動車使用環境下で特にその発生が顕著である引掻き傷に対して、シルバーメタリック色のポリプロピレン系樹脂組成物による無塗装化を図る場合には、アルミニウム光輝材の粒子径や添加量に関わらず、成形品に転写するシボの深さが5μm以上であると効果的であることが判明した。
以上のように、成形品に転写するシボ形状のシボ深さと添加するアルミニウム光輝材の粒子径と添加量を最適化することで、自動車使用環境下で発生する傷を防止しシルバーメタリック色塗装に匹敵する光輝感を両立させたポリプロピレン系樹脂組成物による無塗装化したシルバーメタリック色樹脂部品を成形することができる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、樹脂部品の無塗装化において、メタリック塗装と同等の光輝感が必要とされる部品への適用が期待できる。例えば、自動車内外装部品だけでなく、二輪車部品、家電、AV機器、OA機器、化粧品、生活用品、事務用品など幅広い展開が期待される。また、例えばシルバーメタリック色に限らず、各種メタリック色に対応することができる。
10:試験機 11:試料台 12:引掻き針 13:取付治具 14:分銅

Claims (11)

  1. ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させた樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする樹脂成形品。
  2. シボ深さを5μm以上20μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  3. 前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%以上4.0重量%以下としたことを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形品。
  4. 前記光輝材の粒子径を20μm以下としたことを特徴とする請求項2または3に記載の樹脂成形品。
  5. 前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%とし、
    前記光輝材の粒子径を10μmとし、
    シボ深さを24μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  6. 前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を1.0重量%とし、
    前記光輝材の粒子径を20μmとし、
    シボ深さを28μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  7. 前記樹脂材料に対して前記光輝材の添加量を0.5重量%とし、
    前記光輝材の粒子径を10μmとし、
    シボ深さを5μm以下としたシボ形状を転写成形したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  8. 前記光輝材は、アルミニウム光輝材であることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の樹脂成形品。
  9. 自動車用内外装樹脂部品に成形されることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の樹脂成形品。
  10. ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させたことを特徴とする樹脂組成物。
  11. ポリプロピレンにエラストマー成分を添加した樹脂材料に対して光輝材を含有させた樹脂組成物を用いて成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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