JP2011119600A - 放熱板の製造方法及び放熱板 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さ方向の熱伝導性が高く、熱膨張係数が低く、なおかつ、厚手な放熱板を製造することが可能な放熱板の製造方法及び放熱板を提供する。
【解決手段】表面にディンプル2を有するディンプル板1と伝熱板14とを積層して積層体12を形成する工程と、積層体12をロール巻き状に成形して成形体13を形成する工程と、成形体13を管15内に挿入してビレット16を形成すると共に、該ビレット16を押出成型することにより、ディンプル2の中に伝熱板14の一部を充填する工程とを備えた。
【選択図】図6

Description

本発明は、半導体素子を実装する半導体回路部材、特に、大電流を印加し高温になる半導体素子を実装する際の熱放散を目的とした基板、ヒートスプレッダ、ヒートシンク部材などの半導体回路部材として好適な放熱板の製造方法及び放熱板に関するものである。
半導体素子は、SiやSiCなどの低熱膨張材であり、例えば、Siの熱膨張係数(線膨張係数)は約4×10-6(1/K)である。一方、ヒートシンクやヒートスプレッダなどの半導体回路部材の材料として一般に用いられる純Cuや純Alの熱膨張係数(線膨張係数)は、約20×10-6(1/K)である。よって、ヒートシンクやヒートスプレッダなどの半導体回路部材に純Cuや純Alを使用した場合、当該半導体回路部材に半導体素子(チップ材)を搭載すると、半導体素子と半導体回路部材間の線膨張差に基づく熱応力の発生により、半導体素子と半導体回路部材間のハンダやろう材による接合部分で剥離が発生することがある。
そこで、従来、これらの半導体回路部材に用いる放熱板には、熱膨張係数(線膨張係数)を整合させる目的で、焼結金属(Mo、W、Cu−Mo、Cu−Wなど)、非特許文献1にて開示されるようなクラッド材(Cu−Invar合金−Cu(以下、CIC材という)など)、セラミックス(AlN、Al23、Si34など)が用いられてきた。ここに、Invar合金とはFe−36mass%Ni合金である。
最近では、半導体回路部材に用いる放熱板には、熱膨張係数(線膨張係数)の整合だけでなく、熱放散性を高める目的で優れた熱伝導性、そして軽量かつ低価格であることが求められている。
しかしながら、上述の低膨張の焼結金属では、熱伝導性、重量及び価格の問題があり、CIC材などのクラッド材では、Invar合金部分の断熱作用及び重量の問題、AlN、Al23、Si34などのセラミックスでは、機械的靭性、熱伝導性及び価格の問題がそれぞれある。
このような問題点を改善したものとして、含浸材(Al−SiC、Al−C)や、焼結材(Cu−Cu2O(特許文献1)、Al−Invar合金(特許文献2)、Al−Al23(特許文献3))などの金属基複合材料を用いた放熱板が提案されている。しかしながら、これら金属基複合材料は、一般に高価で加工性が悪いため、低コストで加工性のよい放熱板用材料が望まれる。
特許文献4には、銅、銅−タングステン又は銅−モリブデンで作られた金属板と、モリブデン又はタングステンの金属細線を編んだ金属網とを重ね合わせて一体化してなる放熱板が提案されている。しかし、この放熱板では、編んだ金属細線への銅の回り込みが悪く、良好な伝熱特性(熱伝導率)は得られないし、価格的にも高価な材料を使っているためコスト面でも問題がある。
他方、低コストなCIC材などのクラッド材を活用するため、その欠点である、厚さ方向の熱伝導性を改善した放熱板の提案が数多くなされている。
その一つとして、特許文献5では、穿孔したInvar合金などの低熱膨張材を使用し、その上下を高熱伝導材などでHOTプレス接合することが提案されている。しかし、特許文献5では低熱膨張材を穿孔することから、材料歩留面で十分とは言えないし、また、HOTプレスでは作業能率が悪く、高価なものとなってしまう問題がある。
また、特許文献6では、CIC材をクラッド圧延する際の加工条件を調整することでInvar合金の層を破り、断続的に上下のCuを接合することが提案されている。しかし、特許文献6では、Cu/Cu貫通率を上げ、厚さ方向の一定仕様の伝導率を改善確保することは難しい。
特許文献7では、Invar合金からなるエキスパンドメタルを使用し、エキスパンドメタルを圧延で平滑に形成しておき、その上下に、Cu(あるいはAl)を張り合わせ、エキスパンドメタルの孔部で、Cu(あるいはAl)同士を接合し、厚さ方向の熱伝導性を改善した放熱板が提案されている。
しかし、エキスパンドメタル(JIS−G3351 「エキスパンドメタル Expanded Metals」参照)は、一般には、板厚に対し、孔サイズが10〜100倍と大きい網状の多孔板であり、エキスパンドメタルを放熱板に用いる場合、その開口率が問題となる。つまり、一般的なエキスパンドメタルの製造方法では、孔サイズが板厚の10〜100倍と大きい網状の多孔板であれば製造は可能であるが、板厚に対して孔サイズが小さい多孔板は製造するのが難しい。さらに、エキスパンドメタルの上下にCu(あるいはAl)を張り合わせてクラッド圧延する際に、エキスパンドメタルの孔サイズは2倍以上に大きくなることから、放熱板の特性上のばらつきが生じ問題が残る。
特開2003−179191号公報 特開2000−183234号公報 特開2002−208660号公報 特開平6−77365号公報 特開2004−152970号公報 特開平5−386号公報 特許第4062994号公報 特公平7−026174号公報
「半導体基板用クラッド材(熱対策用途):Hitachi Cable 日立電線」、[online]、日立電線株式会社、[平成21年11月30日検索]、インターネット<URL:http://www.hitachi-cable.co.jp/products/copper/clad/semi/index.html>
以上に記した通り、熱放散を目的とした半導体回路部材としての放熱板については、非常に多くの提案がなされているが、これら従来の放熱板は、結果的に高価なものであり、また、安価にしたCIC材などについては熱伝導率に異方性があり、さらに改善が要求され、工業的に使うには、もう一工夫必要である。
また、エキスパンドメタルを用い、クラッド圧延法によりCIC材の特性を改善する特許文献7においては、熱伝導率の異方性を改善すべく微細な孔サイズのInvar合金からなるエキスパンドメタル(微細多孔板)を製造しようとすると、エキスパンドメタルの板厚を薄くせざるを得ず、結果的に、薄い放熱板(0.2〜0.5mm厚)しか製造できない。なお、放熱板をヒートシンク材として用いる場合、実用的には、2〜4mm程度の厚さが望まれる。
また、製造方法の側面においては、エキスパンドメタルを使用した多層クラッド材を製造するとしても、個々のロールから板材を送り出し、これらを積層して冷間圧延により連続的に製造する装置を使用することになるものと想定されるが、この場合にも製造できる板材の積層数には限界があった。
よって、熱放散を目的とした半導体回路部材としての放熱板においては、熱膨張率が低いことはもちろん、熱伝導性に異方性がなく(すなわち厚さ方向の熱伝導率が高く)、かつ、ヒートシンク材などとして十分使用可能な厚さを有し、さらには安価な放熱板が望まれている。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、厚さ方向の熱伝導性が高く、熱膨張係数が低く、なおかつ、厚手な放熱板を製造することが可能な放熱板の製造方法及び放熱板を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、表面にディンプルを有するディンプル板と伝熱板とを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体をロール巻き状に成形して成形体を形成する工程と、前記成形体を管内に挿入してビレットを形成すると共に、該ビレットを押出成型することにより、前記ディンプルの中に伝熱板の一部を充填する工程と、を備えた放熱板の製造方法である。
前記ビレットは、前記成形体を前記管内に挿入した後、該管の前後端を閉じて形成されてもよい。
また、本発明は、表面にディンプルを有するディンプル板と伝熱板とを積層して積層体を形成する工程と、前記積層体を筐体内に収容してインゴットを形成し、該インゴットを圧延加工することにより、前記ディンプルの中に伝熱板の一部を充填する工程と、を備えた放熱板の製造方法である。
前記ディンプル板は、裏面にディンプルをさらに有するとよい。
前記積層体は、複数の前記ディンプル板と複数の前記伝熱板とを交互に積層して形成されるとよい。
前記ディンプルの少なくとも一部に、前記ディンプル板を貫通する空孔を形成し、該空孔を挟む上下の前記伝熱板を前記空孔を介して接合するようにしてもよい。
前記ディンプル板は、前記伝熱板より小さい熱膨張係数を有する材料からなり、前記伝熱板は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなるとよい。
前記管は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなるとよい。
前記筐体は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなるとよい。
さらに、本発明は、表面にディンプルを有するディンプル板と、前記表面に接合し、前記ディンプル内を充填する伝熱板とを備えた放熱板であって、厚さが1mm以上、厚さ方向の熱伝導率が150(W/℃・m)以上であり、かつ、板面方向の熱膨張係数が12×10-6(1/K)以下である放熱板である。
本発明の放熱板の製造方法によれば、冷間による多層クラッド材の圧延方法に比べて、製造できる板材の積層数を多くすることができるため、結果として比較的肉厚であり、厚さ方向の熱伝導性が高く、板面方向の熱膨張係数が低い放熱板を製造することができる。
本発明の放熱板によれば、所望の板面方向の熱膨張特性及び厚さ方向の熱伝導性を両立することができることから、大電流を印加する用途に使用される半導体素子を実装したとしても、良好な放熱特性および熱膨張特性を発揮することができる。
本発明の一実施の形態に係る放熱板に用いるディンプル板の斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る放熱板に用いるディンプル板の断面図であり、(a)は片面ディンプル板、(b)は両面ディンプル板、(c)は片面ディンプル孔付ディンプル板、(d)は両面ディンプル孔付ディンプル板の断面図である。 図2(d)のディンプル板の外観を示す写真である。 (a)〜(d)は、本発明において、ディンプル板1の製造方法を説明する図である。 本発明において、ビレットを製造する際の斜視図である。 本発明において、ビレットを押出し加工する際の断面図である。 (a),(b)は、本発明において、放熱板の押出し後の断面形状を示す図である。 本発明において、熱伝導率λと熱膨張係数ρの関係を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る放熱板に用いるインゴットを示す斜視図である。 図9のインゴットを圧延加工する際の断面図である。 図9のインゴットの圧延加工後の断面図である。 本発明の実施例、比較例における熱膨張係数と熱伝導率を比較したグラフ図である。 図8の熱伝導率λと熱膨張係数ρの関係図内における実施例と比較例の位置を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
まず、本実施の形態に係る放熱板に用いるディンプル板について図1〜3を用いて説明する。
図1に示すように、ディンプル板1は、凹状の複数のディンプル(凹み)2を有して形成される。
ディンプル板1は、後述する伝熱板を構成する材料の熱膨張係数より小さい熱膨張係数(線膨張係数)を有する材料、すなわち低熱膨張材から形成される。具体的には、ディンプル板1は、Invar合金(インバー合金)から形成され、Fe−36mass%Ni、Fe−36.5mass%Ni、Fe−32mass%Ni−5mass%Coからなるスーパーインバー(Super Invar)材、Fe−54mass%Co−9.5mass%Cr等を用いることができる。
ディンプル2は当該ディンプル2が形成されているディンプル板1の板厚よりも、薄い肉厚を有して形成される。ディンプル板1では、ディンプル2が形成されている部分が薄肉な薄肉部となっている。なお、ディンプル板1としては、ディンプル板1の板厚よりも薄い厚さの複数の薄肉部を有すると共に、薄肉部のピッチが所定のピッチ以下であればよく、ディンプル2の形状は、凹状(すなわち、ディンプル板1を貫通する孔を有さない状態)、孔状(すなわち、ディンプル板1を貫通する孔を有する形態)等に限られない。
ディンプル板1の形態には、以下のような形態を挙げることができる。
図2(a)に示すディンプル板1aは、表面Sに複数のディンプル2を有しており、裏面Rは略平面である。すなわち、ディンプル板1aは、一方の面にのみ凹状の複数のディンプル2を有する(以下、図2(a)のようなディンプル板1aを「片面ディンプル板1a」ということがある)。
図2(b)に示すディンプル板1bは、表面Sに複数のディンプル2を有すると共に、裏面Rにも複数のディンプル2を有する。ただし、表面Sに形成されるディンプル2aと裏面Rに形成されるディンプル2bとはディンプル板1bを構成する材料により隔離されている。すなわち、ディンプル板1bにおいてディンプル2aとディンプル2bとは、各々隔たれた状態に保たれる(以下、図2(b)のようなディンプル板1bを「両面ディンプル板1b」ということがある)。なお、図1では、この両面ディンプル板1bを示している。
また、図2(c)に示すディンプル板1cは、表面Sに複数のディンプル2を有すると共に、各ディンプル2の底部に空孔3を有する。すなわち、ディンプル板1cにおいて各ディンプル2は、ディンプル板1cの断面を観察した場合に、表面Sから裏面Rに向けて徐々に開口の幅が狭まるように形成され、表面Sにおける開口幅より狭い幅の開口が裏面Rに形成される(以下、図2(c)のようなディンプル板1cを「片面ディンプル孔付ディンプル板1c」ということがある)。
さらに、図2(d)に示すディンプル板1dは、表面Sに複数のディンプル2を有すると共に、裏面Rにも複数のディンプル2を有する。さらに、ディンプル板1dにおいては、表面Sに設けられるディンプル2aと裏面Rに設けられるディンプル2bとが、それぞれの底部近傍において空孔3を介して接続されている。すなわち、ディンプル2aとディンプル2bとは、ディンプル板1dを貫通する空孔3を介して接続されている(以下、図2(d)のようなディンプル板1dを「両面ディンプル孔付ディンプル板1d」ということがある)。なお、ディンプル板1のディンプル2に空孔3を設ける場合、当該空孔3は、平面視にて、ディンプル2がディンプル板1の表面に占める面積の半分以下の面積を占めることが好ましい。
図3は、ディンプル板1(両面ディンプル孔付ディンプル板1d)の外観を示す写真である。図3に示すように、ディンプル板1のディンプル2の平面視における形状(以下、単に「ディンプル板面形状」という)は、略三角形状である。ディンプル板面形状としては、三角形状に限られず、円形、楕円形等の円弧を有する形状、四角形、六角形、八角形などの多角形状等の形状にすることもできる。なお、ディンプル板面形状は、製造の容易さの観点からは三角形状にすることが好ましい。
また、例えば、上述した片面ディンプル板1aにおいては、複数のディンプル2の全てが、ディンプル板1aの表面から所定の深さを有する凹状に形成されるが、複数のディンプル2のうち一部のディンプル2に片面ディンプル板1aを貫通する開口(空孔3)を形成することもできる。両面ディンプル板1bにおいても同様である。
また、ディンプル板1では、放熱板の放熱特性を確保することを目的として、ディンプル板1の表面におけるディンプル2の占める割合、すなわちディンプル板1の表面積に対してディンプル2が形成されている領域の面積の割合(以下、「ディンプル占有率」ということがある)は、例えば、20%以上80%以下の範囲内、もしくは30%以下にすることが好ましい。
ところで、例えば、放熱板に大きさが数mm程度の半導体素子を搭載する場合に、ディンプル2(あるいは空孔3)のピッチが所定値以上の場合を想定すると、半導体素子の放熱板への搭載場所によっては、半導体素子で発生した熱を適切に放熱することができない場合がある。つまり、ディンプル2(あるいは空孔3)のピッチはある程度微細でないと、放熱板の厚さ方向の熱伝導率が悪化してしまう。したがって、本実施の形態においては、放熱板の厚さ方向における伝熱特性を放熱板の部分によらず略同一に維持することを目的として、複数のディンプル2(あるいは空孔3)はそれぞれ、長手方向及び幅方向において、例えば、1mm以下のピッチ、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下のピッチであって、ピッチが略均一となるように形成される。特に、放熱板におけるInvar合金の比率を高めるためにも、ディンプル2(あるいは空孔3)の幅方向のピッチは0.5mm以下に形成されることが望ましい。
ここで、ディンプル板1の製造方法について図4を用いて説明する。ここでは、一例として、両面ディンプル孔付ディンプル板1d(図2(d)参照)を製造する場合を説明する。
ディンプル板1を製造する際には、複数層の網目を一度に成形可能な多段打ちによる成形法を用いることが望ましい。
この成形法では、まず、図4(a)に示すように、図示しない素材送りローラーにより素材となる平板5を切断装置4の上下の積層刃6,7間に送り込む。積層刃6,7は、波目形状(凹凸波形状)の刃を有する複数(図4では5枚)の薄肉波刃6a〜6e,7a〜7eを、その波目形状が所定ピッチ(1/5〜1/2ピッチ)ずつずれるように平板5の送込み方向に積層したものである。各薄肉波刃6a〜6e,7a〜7eは、それぞれ個別に上下動できるようにされている。
その後、図4(b)に示すように、切断装置4を動作させ、テーパパンチ8を傾斜面方向(平板5が多段ガイドパンチ9に押し付けられる方向)に移動する。すると、テーパパンチ8に押されて、積層刃6全体及び平板5が下方に移動する。対向する下方の積層刃7も下方に移動するが、第1段目の薄肉波刃7aのみが、下方の多段ガイドパンチ9で支持されているために、移動できず、薄肉波刃7aの波目形状の凸部が平板5に押込まれ、ディンプル2と空孔3とが形成される。
より具体的には、第1段目の薄肉波刃7aを押込むと、第1段目の薄肉波刃7aと対向する上方の第1段目の薄肉波刃6a間で平板5は曲げ変形を受け、波目状に成形されてディンプル2が形成される。また、第1段目の薄肉波刃7aと第2段目の薄肉波刃6bとは刃幅方向(紙面方向)に所定ピッチずれて配置されているため、第1段目の薄肉波刃7aと第2段目の薄肉波刃6b間では、刃幅方向1ピッチ毎の突起エッジ部(波目形状の凸部)にてせん断切込みがなされて空孔3が形成される。
さらに、テーパパンチ8が傾斜面を移動し、第2段目負荷になると、図4(c)に示すように、上方の第1段目の薄肉波刃6aのみは、テーパパンチ8の水平部から外れ、その他の薄肉波刃6b〜6eは、テーパパンチ8の水平部に接触して、下方に移動し、平板5も下方に移動する。一方、下方の第1段目の薄肉波刃7a及び第2段目の薄肉波刃7bは、多段ガイドパンチ9に支持され、平板5に押込まれる。このとき、平板5は、テーパパンチ8と多段ガイドパンチ9間の加圧で、第2段目の薄肉波刃6b、7b間で、曲げ変形を受け波目状に成形されてディンプル2が形成され、第2段目の薄肉波刃7bと第3段目の薄肉波刃6c間で、刃幅方向1ピッチ毎の突起エッジ部(波目形状の凸部)にてせん断切込みがなされて空孔3が形成される。
さらに、テーパパンチ8が傾斜面を移動すると、図4(d)に示すように、上述の第2段目と同様に第3〜5段目の成形がなされ、1ストローク分の成形加工が終了する。図4(d)の状態では、テーパパンチ8の傾斜部の傾きに合わせて薄肉波刃6a〜6eの段差が生じており、また、下方の薄肉波刃7a〜7eの段差は多段ガイドパンチ9の形状により、テーパパンチ8と同じ傾きに決められる。なお、下方に配置された薄肉波刃7a〜7eは、側面にスプリング支持がなされており、一定負荷で、積層刃7の各薄肉波刃7a〜7eで平板5を押さえつつ、平板5の成形が行われる。これにより、上下の薄肉波刃6a〜6e,7a〜7eに合わせた複数層(ここでは5層)のディンプル2と空孔3が形成されたディンプル板1が得られる。
第1ストロークの成形が終了した後、除荷・開放を行い、平板5を1ストローク分送込んだ後、同様にして第2ストロークの成形を行う。これを繰返すことで、無限長さのディンプル板1が得られる。
なお、空孔3を形成しない両面ディンプル板1b(図2(b)参照)を成形する際には、平板5がせん断されてしまわない程度に、積層刃6,7の薄肉波刃6a〜6e,7a〜7eにギャップ(間隔)を設けるようにすればよい。また、片面ディンプル板1a(図2(a)参照)、片面ディンプル孔付ディンプル板1c(図2(c)参照)のような一方の面のみにディンプル2を形成する場合は、積層刃6、7のうち一方を波刃でなく平刃で形成するとよい。
次に、本実施の形態に係る放熱板の製造方法について図5,6を用いて説明する。
本実施の形態に係る放熱板の製造方法は、ディンプル板1と伝熱板とを積層して積層体を形成する工程と、積層体をロール巻き状に成形して成形体を形成する工程と、成形体を管内に挿入してビレット(複合ビレット)を形成すると共に、該ビレットを押出成型することにより、ディンプル2の中に伝熱板の一部を充填する工程とを備えている。
以下、各工程について詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、ディンプル板1として両面ディンプル孔付ディンプル板1d(図2(d)参照)を用いる場合を説明する。
本実施の形態に係る放熱板の製造方法では、まず、複数のディンプル板1(両面ディンプル孔付ディンプル板1d)と、ディンプル板1の表面S及び裏面Rに接合させる伝熱板とを準備する。具体的には、ディンプル2が形成された長尺状のディンプル板1を巻いたディンプル板コイルを複数用意し、長尺状の伝熱板を巻いた伝熱板コイルを複数用意する。
伝熱板は、ディンプル板1を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料からなる。伝熱板としては、例えば、銅もしくは銅合金、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金からなるものを用いることができる。また、後述する高熱伝導コアおよび管についても伝熱板と同様の材料を使用することができる。本実施の形態では、伝熱板、高熱伝導コア、および管を、銅で形成する場合を説明する。
その後、複数のディンプル板コイルから引き出される複数のディンプル板1が、複数の伝熱板コイルから引き出される複数の伝熱板の間に位置するように、すなわち、複数のディンプル板1と複数の伝熱板とが交互に積層するようにディンプル板コイルと伝熱板コイルとを配置し、各コイルからディンプル板1と伝熱板とを引き出す。これにより、ディンプル板1と伝熱板とを積層した積層体が形成される。
積層体を形成した後、図5に示すように、高熱伝導コア11を中心として積層体12を巻回してロール巻き状の成形体13を形成する。なお、図5において、14は伝熱板である。
その後、ロール巻き状の成形体13を円筒状の管(円管)15に挿入充填し、管15の開口部である前後端を図示しない封止材(銅プラグなど)により封止する。なお、ディンプル板1と伝熱板14の接合界面は、十分に清浄化しておくことが好ましい。これにより、押出し用のビレット(複合ビレット)16が形成される。
ビレット16を形成した後、図6に示すように、ビレット16を静水圧押出しによりダイス21から押出すと、放熱板100が得られる。放熱板100では、押出し加工により、ディンプル板1の表裏面に伝熱板14が接合され、さらに、伝熱板14を構成する材料がディンプル2内に流入してディンプル2内の表面に接合されている。また、放熱板100では、表面S側のディンプル2aに流入した伝熱板14を構成する材料と、裏面R側のディンプル2bに流入した伝熱板14を構成する材料とが空孔3を介して互いに接合され、伝熱板14同士が、空孔3を介して互いに接合されている。このように、ディンプル板1として両面ディンプル孔付ディンプル板1d(図2(d)参照)を用いることで、表面S側のディンプル2a、裏面R側のディンプル2bいずれにも、伝熱板14を構成する材料が充填されることになるため、ディンプル2と伝熱板14との接合面積を増加させ接合強度を強くすることができる。なお、ディンプル板1として両面ディンプル板1b(図2(b)参照)を用いても同様の効果が得られる。
静水圧押出しによる押出成型は、500〜700℃の温間あるいは熱間状態で行うとよく、これにより、複合界面(ディンプル板1と伝熱板14の接合界面)の接合状態は最適となり、良好な熱伝導、熱膨張特性を示すこととなる。なお、押出し方法は、静水圧押出しに限らず、潤滑押出しとしてもよい。
以上により放熱板100が得られる。放熱板100の押出し後の断面形状は特に限定されないが、例えば、図7(a)に示すような平板状(断面矩形状)、あるいは、図7(b)に示すように、平板101からフィン102が突出したフィン付形状とすることができる。押出成形された放熱板100は、厚さ1mm以上の肉厚を有しており、例えば、放冷特性の良好な低熱膨張高熱伝導のヒートシンク材として用いることができる。なお、図7(a),(b)では、図の簡略化のため、ディンプル板1、高熱伝導コア11、伝熱板14、管15を省略し断面形状のみを示している。
以上説明したように、本実施の形態に係る放熱板の製造方法では、表面にディンプル2を有するディンプル板1と伝熱板14とを積層して積層体12を形成する工程と、積層体12をロール巻き状に成形して成形体13を形成する工程と、成形体13を管15内に挿入してビレット16を形成すると共に、該ビレット16を押出成型することにより、ディンプル2の中に伝熱板14の一部を充填する工程とを備えている。
つまり、本実施の形態に係る放熱板の製造方法では、低熱膨張のディンプル板1と高熱伝導の伝熱板14とを多積層状に配置し、強加工(ここでは押出し加工)を施し接合して多複合構造の放熱板100を形成している。
従来のCIC材といったInvar複合材構成の放熱板を製造する際に問題となるのは、半導体素子が数mm程度の小さなものであるため、放熱板としても微小な均一性が要求され、Invar複合材構成も、サブミリオーダーの微細化(微細多孔化または微細凹凸化)が要求され、それを安価に製造する必要があるという点である。
しかしながら、従来のエキスパンドメタルを使用したCIC材からなる放熱板では、上述のように、サブミリオーダーの微細化を図ると、エキスパンドメタルの板厚を薄くしなければならず、例えば、大電流を印加し使用時に高温になる半導体素子を実装する際の熱放散性を目的とした放熱板として好適な1mm以上の厚さの放熱板を製造する事ができない。
本発明では、ディンプル板1と伝熱板14とを多層化して多複合構造の放熱板100を形成しているため、放熱板100におけるディンプル板1(Invar合金)の比率を維持して、放熱板100全体での熱膨張係数を低く保つことが可能になる。また、本発明では、ディンプル板1と伝熱板14とを多層化するため、ヒートシンク材などとして十分使用可能な1mm以上の厚さを有する放熱板100を容易に実現できる。
さらには、本発明では、図4で説明した多段打ちによる成形法によりディンプル板1を成形しているため、ディンプル板1の板厚を薄くすることなく微細多孔化または微細凹凸化が可能となり、このディンプル板1を用いて放熱板100を製造することで、熱伝導性に異方性がない(厚さ方向の熱伝導率が高い)放熱板100を低コストに実現できる。
つまり、本発明によれば、ヒートシンク材などとして十分使用可能な程度に厚肉で、かつ、熱膨張、熱伝導、機械的特性の点で均質な放熱板100が製造可能となり、その結果、1mm以上の板厚において、厚さ方向の熱伝導率が150(W/℃・m)以上であり、かつ、熱膨張係数が12×10-6(1/K)以下である、これまでにない放熱板100を実現することが可能となる。
本発明の放熱板100によれば、所望の熱膨張特性および厚さ方向の熱伝導性を両立できることから、大電流を印加し使用時に高温になる小型な半導体素子を実装したとしても、熱放散性に優れると同時に、半導体素子との間の線膨張差に基づく熱応力を緩和することができるという効果を発揮することができる。
なお、本実施の形態では、図4で説明した多段打ちによる成形法により、板厚を薄くすることなく微細多孔化または微細凹凸化したディンプル板1を用いているが、ディンプル板1の成形法はこれに限らず、微細多孔化または微細凹凸化が可能であり、かつ、ある程度の板厚が確保できる成形法であればどのような成型法を用いてもよい。当該成型法において、もし、ディンプル板1の板厚が小さく薄肉になってしまう場合であっても、その薄肉なディンプル板1と、薄肉に形成した伝熱板とを交互に、例えば、数十層と多数積層することによって、放熱板100におけるディンプル板1(Invar合金)の比率を維持し熱膨張係数を低く保ちつつ、厚肉な放熱板100を得ることが可能である。ただし、ディンプル板1として市販のエキスパンドメタルを用いることはできない。これは、エキスパンドメタルは、本質的に、板厚に対し孔ピッチが大きく、開孔率の大きいものであるため、多層化しても結果的にInvar比率が小さくなってしまい、放熱板全体での熱膨張係数も大きくなってしまうためである。
ここで、本発明の放熱板100における熱伝導率と熱膨張係数について検討する。
一般に、CIC材などのInvar複合材の熱伝導率と熱膨張係数は、構成材の特性値から計算することが可能である。
まず、コア(Invar合金の層)が多孔質でない単層のCIC材の場合、板面方向の熱伝導率λは下式(1)、板厚方向の熱伝導率λmは下式(2)で表される。
λ=λ1・f1+λ2・f2 ・・・(1)
λm=(λ1・λ2・(Л1+Л2))/(λ1・Л2+λ2・Л1) ・・・(2)
但し、λ1:Invar合金の熱伝導率
λ2:Cuの熱伝導率
1:Invar合金の断面比率
2:Cuの断面比率
Л1:Invar多孔板部の厚さ
Л2/2:表面Cu層厚さ
本発明の放熱板100では、ディンプル板1として両面ディンプル孔付ディンプル板1dを用いており、Invar合金からなるディンプル板1が層状に配置されると共に、Cuからなる伝熱板14がディンプル板1の空孔3を介して接合されていることから、Invar合金とCuとが均質に分散された構造となっている。そのため、放熱板100の熱伝導率は、板面方向および板厚方向ともに、(1)式で表されることになる。
熱膨張係数(熱膨張率)については、板面方向が問題となるが、ヤング率はInvar合金が142GPa、Cuが136GPaと近いことから加重平均値に近付き、CIC材(単層クラッド)、ディンプル板1と伝熱板14を多層に配置した放熱板100ともに、下式(3)で表される。
ρ=ρ1・f1+ρ2・f2 ・・・(3)
但し、ρ1:Invar合金の熱膨張係数
ρ2:Cuの熱膨張係数
以上の関係式(1)〜(3)に基づき、放熱板100およびCIC材の熱伝導率λと、熱膨張係数ρとの関係式を計算した結果を、図8に示す。
図8に示すように、横軸の熱膨張係数ρは、ほぼ、Invar合金の断面構成比率と対応しており、縦軸の熱伝導率λが、Invar合金の断面構成比率により、大きく変化していることがわかる。CIC材の場合、板面方向の熱伝導率λは、(1)式で表され、図8に実線で示すようにInvar合金の断面構成比率に対応した直線変化であるが、板厚方向の熱伝導率λmは、図8に破線で示すように、Invar合金の断面構成比率によらず、Invar合金の熱伝導率λ1に近い低い値になってしまう。これが、CIC材の問題点である。
本発明の放熱板100の場合、板面方向の熱伝導率および板厚方向の熱伝導率とも(1)式が成り立ち、図8に実線で示すようにInvar合金の断面構成比率に対応した直線変化となるため、CIC材と比較して、板厚方向の熱伝導率が大幅に改善することが分かる。具体的には、放熱板100によれば、板厚方向の熱伝導率は、CIC材と比較して1桁程度改善される。CIC材の欠点はこの点に集中していることから、CIC材の欠点を改善した放熱板100が応用できる範囲は、格段と増加するものと考えられる。
また、本発明の放熱板100は、Invar合金と銅(あるいはアルミニウム)から形成されているため、従来用いられているCu−Mo、Cu−W等と比較すると安価であり、経済性のメリットが大きい。
放熱板100の用途については、従来のパワーモジュール等の応用に使えると共に、さらに、低膨張、放熱性を要求する安価な用途への提供が期待できる。また、サイズ的に大きな放熱板100を製造可能であることから、特に、ハイパワーな用途に適用することができる。
本発明の他の実施の形態を説明する。
上記実施の形態では、放熱板100の多積層化の際の強加工を施す方法として、押出し加工を用いる場合を説明したが、これに限らず、強加工を施す方法として、圧延加工を用いるようにしてもよい。
圧延加工を用いる場合、押出し加工におけるビレット16の代わりに、図9に示すように、まず、ディンプル板1と伝熱板14とを積層して積層体12を形成し、形成した積層体12を筐体(ケース)22内に収容してインゴット(複合インゴット)23を形成する。
筐体22としては、伝熱板14と同様に、銅もしくは銅合金、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる高熱伝導材を用いるとよい。筐体22の形状については特に限定されないが、インゴット23を圧延加工しやすいように、矩形管状のものを用い、その前後端を図示しない封止材(Cuキャップなど)で封止するようにすればよい。
その後、図10に示すように、所定間隔で配置された2つの圧延ロール24間にインゴット23を送り込み、両圧延ロール24でインゴット23を温熱間圧延加工することにより、ディンプル2の中に伝熱板14の一部を充填する。圧延加工を行う際は、400〜700℃の温熱間の温度領域とすればよい。以上により、図11に示すように、断面矩形状に成形された多複合構造の放熱板100が得られる。
なお、押出し加工及び圧延加工ともに、材料の均質性を上げるためには、ディンプル板1のディンプル2(あるいは空孔3)を微細に形成する必要があるが、厚さ方向の熱伝導特性を向上させる目的では、幅方向の微細化のみを達成すればよく、ディンプル2(あるいは空孔3)の幅方向ピッチを0.5mm以下とすればよい。本発明の押出し法および圧延法では、CIC材(単層クラッド)と比較すると、製品である放熱板100が完成するまでのトータル加工度は大きくなる可能性が大きく、長手方向のディンプル2(あるいは空孔3)のピッチは大きくなる傾向にあるが、上述のように、この点は問題となることではなく、変わりない厚さ方向の熱伝導特性が約束される。
上記実施の形態では、伝熱板14、高熱伝導コア11、管15を同じ材料(銅)で構成したが、互いに異なるようにしてもよい。例えば、上記実施の形態では、管15を銅で形成したが、管15をアルミニウムで形成することで、ハイフィン付の矩形断面の放熱板100を製造することができ、この放熱板100は、空冷向けの高熱伝導放冷材として好適に用いることができる。また、管15を銅で形成すると共に、伝熱板14と高熱伝導コア11とをアルミニウムで形成することで、安価で、特に、高Invar比の低熱膨張な放熱板100を製造可能となる。これは、押出し法、圧延法の両者に適用可能である。
(実施例1)
本発明の実施にあたっては、Invar合金としてFe−36mass%Niを用い、図1のディンプル板1(両面ディンプル板1b)とした。
具体的には、ディンプル板1としては、板厚0.22mm、幅50mmのものを用い、45度方向のディンプル2のピッチを0.5mmとし、幅方向のピッチを0.35mmとした。ディンプル板1は、上下面からくぼみ(ディンプル2)を入れた凹凸板で、底肉厚が薄いことを特徴としており、そこに10%程度の貫通孔を有するものもある。
ディンプル板1と0.2mmあるいは0.15mm厚のCu板からなる伝熱板14とを重ね、巻き込み、図5に示すように、外径φ60.5mmのロール巻き状の成形体13を形成し、それをφ65mm/φ61mmの銅からなる管15に挿入し、前後端を封止材(銅プラグ)でシールして押出し用のビレット16を製作した。
素材に用いたInvar合金からなるディンプル板1およびCu板からなる伝熱板14は、洗浄及び光輝焼鈍し、清浄な表面状態とした。
かかるビレット16を、図6に示すように、静水圧押出装置により、600℃の温度で押出し成形した。静水圧押出しにより、長手方向に変化のない均一な放熱板100が得られる。押出し形状としては、図7(a)に示す矩形断面材(50mm×3mm)として、所要寸法の多層積層の放熱板100とした。この押出しでの高温、高リダクションの加工により、Invar合金(ディンプル板1)/Cu(伝熱板14)の界面は良好に接合すると共に、空孔3を通しあるいはディンプル2の薄肉部を介して、上下の伝熱板14は接合され、放熱板100の板厚方向の熱伝導性も良好となる。また、幅方向には、若干縮小(65mmから50mm)することから、幅方向の凹凸孔ピッチも、初期の0.35mmよりさらに減少し、熱伝導及び熱膨張係数特性の均一性は改善する。
(実施例2)
放熱板100の製造方法としては、押出し法に限らず、圧延による製造法もある。
図9に、圧延用の多孔ディンプルInvar/Cuの多層複合のインゴット23を示す。0.4mm厚の高熱伝導Cuケースからなる筐体22を準備し、幅50mm長さ100mm厚さ0.22mmのディンプル板1(両面ディンプル板1b)、及び同サイズのCu板からなる伝熱板14を交互に10層重ね、Cuキャップを重ねて周囲をシールし、圧延用のインゴット23を形成した。
素材に用いたディンプル板1および伝熱板14の凹凸孔形状、前処理は、実施例1と同様にした。
その後、図10に示すように、インゴット23の圧延加工を行った。温度は400℃で、40%のリダクションで接合圧延を行い、その後冷間圧延により、3mm厚の断面矩形状の放熱板100を形成した。
実施例2の圧延法の場合も、高温・高圧化で、Invar合金(ディンプル板1)/Cu(伝熱板14)の界面は、良好に接合すると共に、空孔3を通しあるいはディンプル2の薄肉部を介して、上下の伝熱板14は接合され、放熱板100の板厚方向の熱伝導性も良好となる。また、圧延法では、幅方向には寸法は変化せず、幅方向のディンプル2(空孔3)のピッチも、初期の0.35mmのままであった。ディンプル2(空孔3)のピッチは、長手方向には大きく伸びることになるが、多層化していることで、熱伝導及び熱膨張係数特性の均一性は、良好となる。
厚めの3mm板材を作ることを目的に、上述のようにして製作した本発明の押出し法(実施例1−1、1−2)および圧延法(実施例2)による放熱板100の構成寸法および性能の測定結果を他製造例(比較例1〜3)と比較し、表1に示す。なお、図12には、表1の伝熱特性(熱伝導率)、熱膨張係数を比較して示す。さらに、図13には、図8の熱伝導率λと熱膨張係数ρの関係図内における実施例と比較例の位置を示す。
Figure 2011119600
実施例1−1、1−2は、Cu層厚(伝熱板14の厚さ)を変えた押出し法による微細多孔ディンプルInvar/Cuの多層複合材からなる放熱板100のデータであり、熱膨張係数ρもCu材の1.7×10-5(1/K)より大きく下がり、厚さ方向の熱伝導率λもInvar材の9.4(W/℃・m)より大幅に高い特性が得られている。実施例2は、圧延法による放熱板100の例であるが、ディンプル2形状が同じ押出法の実施例1−2とほぼ同じ特性となっている。
また、比較例2,3の従来のCIC材(Cu/Invar合金/Cu)は、直に3mm厚材を作ることが可能であるが、それでは、板面方向の熱膨張係数は、0.91×10-5(1/K)、1.2×10-5(1/K)と十分小さく低熱膨張を示すが、厚さ方向の熱伝導率が、24(W/℃・m)、31(W/℃・m)と、板面方向の熱伝導率200(W/℃・m)、260(W/℃・m)と比較し、1桁小さい。これが、CIC材の問題点である。
また、比較例1には、市販のInvar合金からなる微細エキスパンドメタルを用い、押出法により多層複合材からなる放熱板を作った事例を示すが、エキスパンドメタルは、本質的に、板厚に対し孔ピッチが大きく、開孔率の大きいものしかできず、多層化しても結果的にInvar比率が小さくなっており、厚さ方向の熱伝導率が大きいことはよいが、熱膨張係数も大きくなってしまい、低熱膨張材を作るには適していないことがわかる。
このように、本発明によれば、厚さが1mm以上という比較的肉厚の用途であっても、厚さ方向の熱伝導率が150(W/℃・m)以上であり、かつ、板面方向の熱膨張係数が1.2×10-5(1/K)以下である放熱板100を実現でき、この放熱板100を、使用時に高温になる半導体素子を実装する半導体回路部材として用いることにより、良好な放熱特性および熱膨張特性を有するヒートシンク材を実現することができるという効果が得られる。
1 ディンプル板
2 ディンプル
3 空孔
12 積層体
13 成形体
14 伝熱板
15 管
16 ビレット

Claims (10)

  1. 表面にディンプルを有するディンプル板と伝熱板とを積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体をロール巻き状に成形して成形体を形成する工程と、
    前記成形体を管内に挿入してビレットを形成すると共に、該ビレットを押出成型することにより、前記ディンプルの中に伝熱板の一部を充填する工程と、
    を備えたことを特徴とする放熱板の製造方法。
  2. 前記ビレットは、前記成形体を前記管内に挿入した後、該管の前後端を閉じて形成される請求項1記載の放熱板の製造方法。
  3. 表面にディンプルを有するディンプル板と伝熱板とを積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体を筐体内に収容してインゴットを形成し、該インゴットを圧延加工することにより、前記ディンプルの中に伝熱板の一部を充填する工程と、
    を備えたことを特徴とする放熱板の製造方法。
  4. 前記ディンプル板は、裏面にディンプルをさらに有する請求項1〜3いずれかに記載の放熱板の製造方法。
  5. 前記積層体は、複数の前記ディンプル板と複数の前記伝熱板とを交互に積層して形成される請求項1〜4いずれかに記載の放熱板の製造方法。
  6. 前記ディンプルの少なくとも一部に、前記ディンプル板を貫通する空孔を形成し、該空孔を挟む上下の前記伝熱板を前記空孔を介して接合するようにした請求項1〜5いずれかに記載の放熱板の製造方法。
  7. 前記ディンプル板は、前記伝熱板より小さい熱膨張係数を有する材料からなり、
    前記伝熱板は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなる請求項1〜6いずれかに記載の放熱板の製造方法。
  8. 前記管は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなる請求項1記載の放熱板の製造方法。
  9. 前記筐体は、前記ディンプル板より高い熱伝導率を有する材料からなる請求項3記載の放熱板の製造方法。
  10. 表面にディンプルを有するディンプル板と、
    前記表面に接合し、前記ディンプル内を充填する伝熱板とを備えた放熱板であって、
    厚さが1mm以上、厚さ方向の熱伝導率が150(W/℃・m)以上であり、かつ、板面方向の熱膨張係数が12×10-6(1/K)以下であることを特徴とする放熱板。
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