JP2011116234A - 移動体用空調システム - Google Patents

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裕久 加藤
Yasunari Akiyama
泰有 秋山
Naoto Morisaku
直人 守作
Hideto Kubo
秀人 久保
Hisaya Yokomachi
尚也 横町
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Abstract

【課題】蓄熱材が空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材の存在による空調装置の熱負荷の増大を防止することができる移動体用空調システムの提供にある。
【解決手段】移動体に形成された室内の暖房又は冷房を行う第1空調装置17と、蓄熱材との熱交換により室内の暖房又は冷房を行う第2空調装置20と、を備えた移動体用空調システムであって、蓄熱材は、室内に設置され、蓄熱材と室内空間との間にて熱交換が行われる状態と、蓄熱材と室内空間との熱交換を防止する状態とに切り換える切換手段を備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、プラグインハイブリッド車や電気自動車等の移動体に搭載される移動体用空調システムに関する。
従来の移動体用空調システムに関連する技術としては、例えば、特許文献1に開示された電動車用暖房装置が存在する。
特許文献1では、電気自動車の車室内に蓄熱体を備えることが開示されており、この蓄熱体は座席に着座した姿勢の搭乗者の近傍に設けられている。
蓄熱体は、給電コンセントを外部電源に接続して走行用バッテリの充電を行う際に、暖房スイッチを投入していると、発熱体において熱が発生し、発熱体にて発生した熱は蓄熱体に蓄熱される。
この種の暖房装置では、走行用バッテリの充電中に発熱体が発熱して蓄熱体に蓄熱されるため、搭乗者が電気自動車に搭乗して走行する際には、バッテリの電力が消費されることがなく、蓄熱体の放熱により直接的に搭乗者を温める。
ところで、この種の暖房装置によれば、蓄熱体の熱量が足りずに完全に放熱し切ってしまう場合がある。
蓄熱体が完全に放熱し切った状態では、蓄熱体による暖房は維持できない。
一方、自動車においてエンジンの排熱や冷媒を用いて車室内の空調を行う空調装置を設けることは広く知られている。
従って、例えば、電気自動車に別の空調装置を設け、蓄熱体の放熱後に暖房を行いたい場合には、空調装置により暖房を行う空調システムを考えることができる。
つまり、この種の空調システムでは、蓄熱体による暖房が不可能になった後でも、別の空調装置により暖房を行うことが可能となる。
特開2002−291581号公報
しかしながら、蓄熱体とは別の空調装置を設けた空調システムでは、蓄熱体が完全に放熱し切った後にそのまま蓄熱体とは別の空調装置により暖房を行うようにしても、放熱し切った後の蓄熱体が空調の設定温度よりも低い場合には、蓄熱体が空調装置から供給される熱を奪う現象が生じる。
具体的には、車室内に設けた蓄熱体により暖房を行い、蓄熱体が完全に放熱し切った状態になると、蓄熱体は車室内とほぼ同じ温度となる。
その後、再び暖房を行う場合には蓄熱体とは別の空調装置を用いるが、意図する暖房温度と比べて蓄熱体の温度が低い状態では、蓄熱体も不必要に暖めることになり、蓄熱体を備えない場合と比較して空調装置による暖房に必要な熱負荷が増大するという問題がある。
特に、蓄熱体の熱容量が大きい場合には、空調装置による暖房の熱負荷も蓄熱体の熱容量に対応して増大する。
つまり、蓄熱体は状態によっては空調装置による暖房を妨げる存在となる。
なお、この種の空調システムにより冷房する場合についても同様の問題が発生する。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、蓄熱体が空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱体の存在による空調装置の熱負荷の増大を防止することができる移動体用空調システムの提供にある。
上記の課題を解決するために、本発明は、移動体に設けられた室内の暖房又は冷房を行う第1空調装置と、蓄熱材との熱交換により前記室内の暖房又は冷房を行う第2空調装置と、を備えた移動体用空調システムであって、前記蓄熱材は、前記室内に設置され、前記蓄熱材と室内空間との間にて熱交換が行われる状態と、前記蓄熱材と前記室内空間との間の熱交換を防止する状態とに切り換える切換手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、切換手段の切り換えにより蓄熱材と室内空間との間にて熱交換が行われる状態とされると、第2空調装置の蓄熱材の放熱による室内に対する暖房又は吸熱による室内に対する冷房を行うことができる。
第1空調装置による室内の暖房時又は冷房時において、蓄熱体が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であれば、切換手段により蓄熱材と室内空間との間の熱交換を防止する状態に切り換えられ、蓄熱材と室内空間との間の熱交換が防止される。
その結果、蓄熱体が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材と室内空間との間の熱交換が防止されていることから、蓄熱材は空調装置による暖房又は冷房を妨げることはなく、蓄熱体による空調装置の熱負荷の増大を防止することができる。
また、本発明では、上記の移動体用空調システムにおいて、前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、前記切換手段は、一端が前記蓄熱材容器に接続され、他端が室外に配置される蓄熱材通路と、前記蓄熱材通路を開閉する開閉弁を備えてもよい。
この場合、第1空調装置による室内の暖房時又は冷房時において、蓄熱体が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、開閉弁を開いて居室内に設けた蓄熱材容器から蓄熱材を室外へ導出する。
蓄熱材容器から室外へ蓄熱材を導出することにより、蓄熱材と室内空間との間の熱交換の防止を図ることができる。
また、本発明では、上記の移動体用空調システムにおいて、前記蓄熱材通路の他端に接続され、前記室外に設けた外部蓄熱材容器を備えてもよい。
この場合、蓄熱材が空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材は蓄熱材容器から室外の外部蓄熱材容器へ導出される。
このため、蓄熱材が空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材を室外へ導出することができる。
なお、蓄熱材を室外から室内へ戻す必要がある場合には、例えば、ポンプ等の手段を用いたり、高低差を利用したりすれば、外部蓄熱材容器から蓄熱材容器へ蓄熱材を戻すことも可能となる。
また、本発明では、上記の移動体用空調システムにおいて、前記開閉弁を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記蓄熱材容器に収容されている前記蓄熱材の温度が所定温度を超えたとき、前記開閉手段を開くようにしてもよい。
なお、蓄熱材の温度が所定温度を超えるとは、暖房後に蓄熱材の温度が所定温度から低温側へ超える場合と、冷房後に蓄熱材の温度が所定温度から高温側へ超える場合を意味する。
この場合、蓄熱材容器に収容されている蓄熱材の温度が所定温度を超えたとき、制御手段は蓄熱材の室外への導出が必要と判定し、制御手段は開閉弁を開いて室内に設けた蓄熱材容器から蓄熱材を導出する。
つまり、蓄熱材容器内の蓄熱材の温度が予め設定した所定温度を超えることにより、蓄熱材容器から蓄熱材を自動的に導出することができる。
また、本発明では、上記の移動体用空調システムにおいて、前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、前記切換手段は、前記蓄熱材容器を前記室内より前記室外へ移送させる移送手段を備えてもよい。
この場合、移送手段を介して蓄熱容器を室外へ移送させることにより、蓄熱材容器と室内空間との間の熱交換の防止を図ることができる。
蓄熱材だけでなく蓄熱材容器が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材容器と室内空間との間の熱交換が防止され、蓄熱材容器は空調装置による暖房又は冷房を妨げることはなく、蓄熱体による空調装置の熱負荷の増大を防止することができる。
また、本発明では、上記の移動体用空調システムにおいて、前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、前記切換手段は、前記蓄熱材容器と前記室内空間の間を遮断する状態と、前記蓄熱材容器を前記室内空間に対して露出させる状態とに切り換え可能な断熱カバーを備えてもよい。
この場合、断熱カバーが蓄熱材容器の周囲を覆うことにより、蓄熱材容器と室内空間の間を遮断する状態や、断熱カバーを蓄熱材容器から取り外して蓄熱材容器を室内空間に対して露出させる状態に、切り換えることができる。
その結果、蓄熱材が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材や蓄熱材容器を室外へ移動させる必要がない。
本発明によれば、蓄熱材が空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材の存在による空調装置の熱負荷の増大を防止することができる移動体用空調システムを提供することができる。
第1の実施形態に係る空調システムを搭載した車両の概略側面図である。 第1の実施形態に係る空調システムの概略構成図である。 蓄熱材を車室内から導出する手順を示すフロー図である。 空調システムの作用を説明する作用説明図である。 第2の実施形態に係る空調システムの概略構成図である。 第3の実施形態に係る空調システムを搭載した車両の概略側面図である。 蓄熱材を車室内から導出する別の手順を示すフロー図である。 別例に係る空調システムの概略構成図である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る移動体用空調システム(以下、単に「空調システム」と表記する)を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態は移動体としてのプラグインハイブリッド車(以後「PHEV」と表記する)に適用した例である。
車両10の室内としての車室11内の前部には、運転席および助手席が車幅方向に並んで設けられている。
運転席および助手席には前部シート12が夫々設置されている(図1においては助手席側の前部シート12のみ図示されている)。
前部シート12の後方には後部シート13が設けられ、後部シート13の後方には荷室が設けられている。
前部シート12の前方にはインストルメントパネル14が車幅方向にわたって配設されている。
インストルメントパネル14の運転席側にはステアリングホイール15が設けられている。
図示はしないがインストルメントパネル14には、メーター等の表示機器や車両10の運転に必要なスイッチ類が備えられている。
インストルメントパネル14の前方には、エンジンルーム16が形成されており、エンジンルーム16には、図示はしないが走行駆動源としての内燃エンジンおよび発電機能を持つ走行用モータを備えている。
エンジンルーム16には、蒸気圧縮式冷凍サイクルを有する第1空調装置17が備えられている。
第1空調装置17は、冷媒を吸入して吐出する電動圧縮機と、吐出された冷媒を冷却する凝縮器と、凝縮器で冷却された冷媒を減圧する膨張弁と、減圧された冷媒を蒸発させて車室11内へ送風する空気を冷却する蒸発器と、を順次環状に接続して構成されている(いずれも図示せず)。
第1空調装置17により得られた暖房又は冷房のための空調空気は、吹出ダクト18を通じて車室11内へ供給され、車室11内の空気は吸込ダクト19を通じて第1空調装置17へ供給される。
第1空調装置17による暖房の空気の熱源はエンジンの排熱により得られ、冷房の空気は第1空調装置17が備える電動圧縮機の駆動に基づき得られる。
第1の実施形態の空調システムは、第1空調装置17と次に説明する第2空調装置20を備えている。
第2空調装置20は、蓄熱材Lと車室11内空間との熱交換により車室11内の暖房又は冷房を行う空調装置であり、第1空調装置17とは別に独立して設けられている。
第2空調装置20は、車室11内に設置された蓄熱材容器としての第1蓄熱材容器21を備えており、第1蓄熱材容器21は、車幅方向は運転席と助手席の間であって、車両前後方向はインストルメントパネル14と前部シート12との間に位置する。
第1蓄熱材容器21に貯溜される蓄熱材Lは水であり、例えば、車室11内が冷える寒冷時には蓄熱材Lを高温の状態(例えば、湯の状態)にして暖房のための放熱源としての蓄熱体による放熱を行うようにする。
逆に、車室11内が暑くなる時期には、蓄熱材Lを低温の状態(例えば、氷の状態)にして冷房のための吸熱源としての蓄熱材Lによる吸熱を行うようにする。
第1蓄熱材容器21における蓄熱材Lの放熱源化は、多数のペルチェ素子(図示せず)への通電による発熱によって蓄熱材Lへ蓄熱することで可能であり、蓄熱材Lの吸熱源化は同じく各ペルチェ素子の逆方向への通電による吸熱によって蓄熱材Lから熱を奪うことで可能である。
多数のペルチェ素子を用いて蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化を図る場合、車両10に搭載されているバッテリ(図示せず)の充電中に、外部電力の一部を各ペルチェ素子に通電して蓄熱材の高温化又は低温化を行うことが好ましい。
あるいは、直接湯又は氷を第1蓄熱材容器21に封入することにより、第1蓄熱材容器21における蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化を図ってもよい。
第2空調装置20は、第1蓄熱材容器21と別にエンジンルーム16内に設置した外部蓄熱材容器としての第2蓄熱材容器22を備えている。
第2蓄熱材容器22は、第1蓄熱材容器21の車室11内における設置位置よりも低い位置に設置されており、蓄熱材通路を形成する配管23を介して第1蓄熱材容器21と接続されている。
配管23は、第1蓄熱材容器21に接続される主管23Aと、主管23Aから分岐される第1分岐管23Bと第2分岐管23Cを備えている。
第1分岐管23Bは第2蓄熱材容器22の上部に接続され、第2分岐管23Cは第2蓄熱材容器22の下部に接続されている。
第1分岐管23Bには蓄熱材通路を開閉する開閉弁24が設けられており、第1蓄熱材容器21に蓄熱材Lが収容されているとき、開閉弁24を開くと、蓄熱材Lは配管23を通じて第1蓄熱材容器21から低い位置にある第2蓄熱材容器22へ移動可能である。
第2分岐管23Cにはポンプ25と逆止弁26が設けられており、ポンプ25は蓄熱材Lが第2蓄熱材容器22に貯溜されている場合に、蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21へ移送することを可能とする。
逆止弁26は、第1蓄熱材容器21内に蓄熱材Lが貯溜されている場合に、蓄熱材Lが第2分岐管23Cを通じて第2蓄熱材容器22へ導出されることを防止するために設けられている。
この実施形態では、主に配管23および開閉弁24が切換手段に相当し、切換手段は蓄熱材Lと車室11との間にて熱交換が行われる状態と、蓄熱材Lと車室11との間の熱交換を防止する状態とに切り換えることを可能としている。
図2に示すように、開閉弁24を制御する制御手段としてのコントローラ27が設けられている。
コントローラ27は、第1蓄熱材容器21内の蓄熱材Lの第1温度センサ28と車外Sの温度を測定する第2温度センサ29と接続されている。
車両10がキーオフ状態である停車時においても、コントローラ27は継続的に機能し、例えば、第1温度センサ28および第2温度センサ29からの信号の伝達を受けたり、開閉弁24を開閉制御したりすることが可能である。
一方、第2空調装置20と別に設けられている第1空調装置17は、第1空調装置17から車室11へ空調空気を吹き出す吹出ダクト18と、車室11から第1空調装置17へ空気を吸い込む吸込ダクト19を備えている。
第1空調装置17およびポンプ25は図示しないECU(Electric Control Unit)により制御され、バッテリに蓄えられた電力や発電機として駆動される走行用モータが発電する電力を動力源としている。
この実施形態では、コントローラ27は、車外Sの温度および蓄熱材Lの温度との関係に基づき、第1蓄熱材容器21内の蓄熱材Lの第2蓄熱材容器22へ導出が必要か否かを判断する。
図3のフロー図は、第1蓄熱材容器21内の蓄熱材Lの第2蓄熱材容器22への導出が必要か否かをコントローラ27により判断する手順を示す。
このフローでは、まず、第2温度センサ29により測定された車外Sの温度が冷房判定温度である25℃より高いか否かを判定する(ステップS1)。
車外Sの温度が冷房判定温度である25℃よりも高い場合、車室11内の冷房が必要な環境と考えられる。
この場合、蓄熱材Lの温度が所定温度に相当する設定温度20℃を高温側に超えているか否かを判定するステップS2へ進む。
ステップS2において設定温度20℃と蓄熱材Lの温度とを比較し、比較結果に基づき居室外である車室11外への蓄熱材Lの導出の必要性を判定する。
蓄熱材Lの温度が設定温度20℃から高温側に超えている場合は、蓄熱材Lによる冷房が機能しない状態であるから、蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21から導出するステップS3へ進む。
ステップS3では、コントローラ27は開閉弁24を開き、蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21から導出する。
吸熱能力を失った蓄熱材Lは配管23を通じて第1蓄熱材容器21から第2蓄熱材容器22へ導出されてフローは終了する。
なお、ステップS2において、蓄熱材Lの温度が設定温度20℃以下の場合は、蓄熱材Lに吸熱能力があり、蓄熱材Lによる冷房が継続している状態であるから、ステップS1へ戻る。
ステップS1において、車外Sの温度が冷房判定温度である25℃以下の場合、車室11内の暖房が必要な条件であるか否かを確認する必要がある。
このため、車外Sの温度が暖房判定温度である15℃よりも低いか否かを判定するステップS4へ進む。
ステップS4において、第2温度センサ29により測定された車外Sの温度が暖房判定温度である15℃よりも低い場合、車室11内の暖房が必要な環境であるから、蓄熱材Lの温度が設定温度20℃よりも低温側に超えているか否かを判定するステップS5へ進む。
なお、ステップS4において車外Sの温度が暖房判定温度である15℃を超えている場合には、冷房も暖房も必要がない環境の可能性があり、ステップS1へ戻る。
ステップS5において設定温度20℃と蓄熱材Lの温度とを比較し、比較結果に基づき蓄熱材Lの車室11外への導出の必要性を判定する。
蓄熱材Lの温度が設定温度20℃より低温側に超えている場合(蓄熱材Lの温度が20℃より低い場合)は、蓄熱材Lよる暖房が既に機能しない状態であるから、蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21から導出するステップS3へ進む。
ステップS3では、同様にコントローラ27は開閉弁24を開き、放熱能力を失った蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21から第2蓄熱材容器22へ導出され、終了する。
なお、ステップS5において、蓄熱材Lの温度が設定温度20℃以上の場合は、蓄熱材Lに放熱能力があり、蓄熱材Lによる暖房が継続している状態であるから、ステップS1へ戻る。
なお、図3のステップS1の冷房判定温度を25℃、ステップS2、S5の設定温度を20℃、ステップS4の暖房判定温度を15℃としたが、各温度は設定変更が可能であり、設定変更する場合、各設定温度を±5℃程度の範囲で変更することが好ましい。
また、冷房判定温度と設定温度との差、暖房判定温度と設定温度との差を5℃としているが、蓄熱材Lの温度が冷房判定温度および暖房判定温度と5℃未満の差が生じる状態では、蓄熱材Lは実質的に暖房能力又は冷房能力を喪失している状態にある。ただし、この温度差は、5℃でなくてもよく、5℃以下、あるいは0℃(蓄熱材Lの温度と冷房判定温度又は暖房判定温度が同じ)であってもよい。
次に、第1の実施形態に係る空調システムの作用について説明する。
まず、夏季のように車外Sの温度が25℃を超える高温下であり、第2空調装置20により車室11内を冷房した後、車両10を長時間停車することにより、蓄熱材Lの冷房能力が喪失して車室11内の温度が上昇し、その後に第1空調装置17により再び冷房を行う場合について説明する。
搭乗者が車両10に搭乗する時点では、予め氷結した蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21内に収容されている状態にある。
図4(a)に示すように、車両10の走行中においては、蓄熱材Lと車室11との熱交換が行われ、車室11内の熱が蓄熱材Lに吸収されることから、車室11内の温度が下がり、車室11内は冷やされる。
このとき、コントローラ27は第2温度センサ29の信号を受けて車外Sの温度が冷房判定温度である25℃よりも高いことを認識しているほか、蓄熱材Lの温度が20℃を高温側に超えていないと認識している。このため、蓄熱材Lは車室11外へ導出されることなく第1蓄熱材容器21に保持される。
このように、第2空調装置17のみにより車室11内の冷房が行われるが、第2空調装置17はバッテリに充電されている電力や発電機として走行用モータにより発電された電力を使用することなく、車室11内の冷房を行う。
蓄熱材Lが車室11内の熱を継続的に吸収することにより、次第に氷結状態の蓄熱材Lが液化し、蓄熱材Lの吸熱能力は徐々に低下する。
次に、搭乗者が車両10から離れる等、車両10の停車状態が長時間継続される場合、蓄熱材Lに車室11内の熱を吸収する吸熱能力が存在する間は、蓄熱材Lと車室11との熱交換が行われ、第2空調装置17による車室11内の冷房が維持される。
コントローラ27は、第1温度センサ28の信号に基づき蓄熱材Lの温度と設定温度20℃とを比較するが、蓄熱材Lの温度が設定温度20℃よりも低い状態にある間、蓄熱材Lはそのままの状態で第1蓄熱材容器21に保持され続ける。
さらに、車両10の停車状態が継続すると、蓄熱材Lの温度が上昇し、ついに蓄熱材Lの温度が設定温度20℃を高温側に超えているとコントローラ27が判定する。
コントローラ27は蓄熱材Lが冷房能力を喪失している状態と判断し、開閉弁24を制御して開く。
すると、図4(b)に示すように、蓄熱材Lは、第1蓄熱材容器21から主管23Aおよび第1分岐管23Bを通じて、エンジンルーム16の低位置に設けた第2蓄熱材容器22へ導出される。
蓄熱材Lが第2蓄熱材容器22に収容され、第1蓄熱材容器21内はほぼ空の状態となり、第1蓄熱材容器21内に存在して車室11内空間に対して熱交換可能であった蓄熱材Lは、第2蓄熱材容器22に収容されて車室11との熱交換が防止される状態となる。
この状態の車室11内は第2空調装置17により冷房されない状態であり、車室11内は車外Sの温度に応じて上昇する。
次に、再び搭乗者が搭乗して車両10を走行させるときには、車室11内を冷房するために第1空調装置17を作動させる。
第1空調装置17の作動により車室11内は冷房されるが、このとき、図4(c)に示すように、蓄熱材Lは第2蓄熱材容器22に収容されているから、第1空調装置17は蓄熱材Lを冷やすことがない。
ところで、吸熱能力を喪失した蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21に存在したままでは、第1空調装置17により車室11内の冷房を行っても、蓄熱材Lを不必要に冷却させることになってしまい、車室11内の冷房を妨げ、第1空調装置17の熱負荷を増大させることになる。
このため、冷房能力を喪失した蓄熱材Lを車室11外に設けた第2蓄熱材容器22へ導出することにより、第1蓄熱材容器21を空状態とし、冷房能力を喪失した蓄熱材Lを冷やすことなく、第1空調装置17の冷房に必要な熱負荷の増大を回避している。
従って、第1蓄熱材容器21を空状態とした第1空調装置17の冷房は、冷房能力を喪失した蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21に存在させたまま冷房する場合と比較すると熱負荷が軽減されるため短時間で車室11内の冷房が行われるほか、冷房に必要なエネルギーも低減される。
次に、寒冷時のように、車外Sの温度が15℃未満の低温下であり、第2空調装置20により車室11内を暖房した後、車両10を長時間停車することにより、蓄熱材Lの暖房能力が喪失して車室11内の温度が低下し、その後に第1空調装置17により再び暖房を行う場合について説明する。
搭乗者が車両10に搭乗する時点では、沸騰寸前まで蓄熱させた蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21内に収容されている状態にある。
図4(a)に示すように、車両10の走行中においては、蓄熱材Lと車室11との熱交換が行われ、蓄熱材Lの放熱により車室11内の温度が上昇し、車室11内は温められる。
このとき、コントローラ27は第2温度センサ29の信号を受けて車外Sの温度が冷房判定温度である15℃よりも低いことを認識しているほか、蓄熱材Lの温度が20℃を高温側に超えていると認識している。このため、蓄熱材Lは車室11外へ導出されることなく第1蓄熱材容器21に保持される。
このように、バッテリに充電された電力等の電気エネルギーを消費することなく、第2空調装置20のみにより車室11内の暖房が行われる。
蓄熱材Lが車室11対して継続的に放熱することにより、次第に蓄熱材Lの温度が低下し、蓄熱材Lによる放熱能力は徐々に低下する。
次に、車両10の停車状態が長時間継続されるとき、蓄熱材Lの放熱能力が存在する間は、蓄熱材Lと車室11との熱交換が行われ、第2空調装置20による車室11内の暖房が維持される。
コントローラ27は、第1温度センサ28の信号に基づき蓄熱材Lの温度と設定温度20℃とを比較するが、蓄熱材Lの温度が設定温度20℃よりも高い状態にある間、蓄熱材Lはそのままの状態で第1蓄熱材容器21に保持され続ける。
さらに、車両10の停車状態が継続すると、蓄熱材Lの温度が低下し、ついに蓄熱材Lの温度が設定温度20℃を低温側に超えている(設定温度20℃より低い)とコントローラ27が判定する。
コントローラ27は、蓄熱材Lが暖房能力を喪失している状態と判断し、開閉弁24を制御して開く。
すると、図4(b)に示すように、蓄熱材Lは、第1蓄熱材容器21から主管23Aおよび第1分岐管23Bを通じて第2蓄熱材容器22へ導出される。
このため、蓄熱材Lが第2蓄熱材容器22に収容され、第1蓄熱材容器21内はほぼ空の状態であり、第1蓄熱材容器21内に存在して車室11内空間に対して熱交換可能であった蓄熱材Lは、第2蓄熱材容器22に収容されて車室11との熱交換が防止される状態となる。
この状態の車室11内は第2空調装置20により暖房されない状態であり、車室11内は車外Sの温度に応じて低下する。
次に、再び搭乗者が搭乗して車両10を走行させるときには、車室11内を暖房するために第1空調装置17を作動させ、第1空調装置17の作動により車室11内は暖房される。
このとき、図4(c)に示すように、蓄熱材Lは第2蓄熱材容器22に収容されているから、第1空調装置17は蓄熱材Lを温めることがない。
ところで、放熱能力を喪失した蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21に存在すると、第1空調装置17により車室11内の暖房を行っても、蓄熱材Lを不必要に加熱させることになってしまい、車室11内の暖房を妨げ、第1空調装置17の熱負荷を増大させることになる。
このため、この実施形態では、暖房能力を喪失した蓄熱材Lを車室11外に設けた第2蓄熱材容器22へ導出することにより、第1蓄熱材容器21を空状態とし、暖房能力を喪失した蓄熱材Lを温めることなく、第1空調装置17の暖房に必要な熱負荷の増大を回避している。
従って、第1蓄熱材容器21を空状態とした第1空調装置17の冷房は、暖房能力を喪失した蓄熱材Lを第1蓄熱材容器21に存在させたまま暖房する場合と比較すると熱負荷が軽減されるため短時間で車室内の暖房が行われ、暖房に必要なエネルギーも低減される。
なお、この実施形態の車両10はPHEVであるから、車両10が備えるプラグを外部電源に接続してバッテリ充電を行うことができる。
このとき、外部電源の電力の一部を用いてポンプ25を駆動し、蓄熱材Lを第2蓄熱材容器22から第1蓄熱材容器21へ移送する。
移送時には開閉弁24が第1分岐管23Bを閉じるようにする。
蓄熱材Lが第1蓄熱材容器21へ移送されると、バッテリの充電中に外部電源の電力を用いて蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化を図る。
第1の実施形態は以下の作用効果を奏する。
(1)第2空調装置20の蓄熱材Lの放熱による車室11に対する暖房又は吸熱による車室11に対する冷房を行うことができるほか、第1空調装置17により車室11に対する暖房又は冷房を行うことができる。第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態であれば、開閉弁24の開弁により蓄熱材Lと車室11との熱交換を防止する状態に切り換えられる。その結果、蓄熱体が第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態であっても、蓄熱材Lと車室11との熱交換が防止されていることから、蓄熱材Lは第1空調装置17による暖房又は冷房を妨げることはない。これにより蓄熱材Lによる第1空調装置17の暖房又は冷房に必要な熱負荷の増大を防止することができる。
(2)第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、開閉弁24を開いて第1蓄熱材容器21から第2蓄熱材容器22へ蓄熱材Lを導出する。第1蓄熱材容器21から第2蓄熱材容器22へ蓄熱材Lを導出することにより、蓄熱材Lと車室11との熱交換の防止を図ることができる。
(3)蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材Lは第1蓄熱材容器21から第2蓄熱材容器22へ導出されるが、第2蓄熱材容器22へ導出された蓄熱材Lは、ポンプ25の作動により第1蓄熱材容器21へ戻すことができる。このため、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材Lを車室11外へ導出しても、蓄熱材Lの放熱源化や吸熱源化のために蓄熱材Lを車室11内へ戻す必要がある場合には、蓄熱材Lを車室11内へ戻すことができる。
(4)第2空調装置20による車室11の暖房後又は冷房後に、コントローラ27は第1蓄熱材容器21に収容されている蓄熱材Lの温度が設定温度を超えたとき、蓄熱材Lの車室11外への導出が必要と判定する。そして、コントローラ27は開閉弁24を開いて第1蓄熱材容器21から蓄熱材Lを導出する。つまり、蓄熱材Lの温度が設定温度を超えることにより、第1蓄熱材容器21から蓄熱材Lを自動的に導出することができる。
(5)車室11外に設けた第2蓄熱材容器22は第1蓄熱材容器21の設置位置よりも低い位置に設けられ、両蓄熱材容器21、22は配管23により接続されている。このため、開閉弁24を開くだけで第1蓄熱材容器21内の蓄熱材Lを第2蓄熱材容器22へ導出することができる。
(6)第1蓄熱材容器21、第2蓄熱材容器22および配管23により形成される閉空間に蓄熱材Lが存在するから、蓄熱材Lを交換する必要がないほか、蓄熱材Lに異物が入り込みにくい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る空調システムについて説明する。
第2の実施形態に係る空調システムは、第2空調装置に第2蓄熱材容器が設置されない点が第1の実施形態と異なる。
図5は第2の実施形態に係る空調システムを示し、その構成のうち、第1の実施形態の空調システムと同一の要素については第1の実施形態の説明を援用して共通の符号を用いる。
図5に示すように、第2の実施形態の第2空調装置30は、車室11内に設けた蓄熱材容器としての蓄熱材容器31を備える。
蓄熱材容器31は、基本的に第1の実施形態の第1蓄熱材容器21と同一構成であるが、蓄熱材容器31には蓄熱材供給管32と蓄熱材通路としての蓄熱材排出管33が接続されている。
蓄熱材供給管32は、蓄熱材容器31への蓄熱材Lの外部からの供給を可能とする配管である。
この実施形態では、蓄熱材供給管32は車室11とエンジンルームとの隔壁(図示せず)を通り抜けて延在しており、蓄熱材供給管32におけるエンジンルーム側の端部に供給口32Aが設けられている。
蓄熱材排出管33は、蓄熱材容器31の底部から車両10の下部より車外Sと連通する配管であり、蓄熱材排出管33には開閉弁34が設けられている。
開閉弁34は第1の実施形態の開閉弁24と同じ構成であり、制御手段としてのコントローラ27により開閉制御される。
第2の実施形態の第2空調装置30における蓄熱材Lは、蓄熱材としての機能を果たした後に使用後に車外Sへ排出される。
従って、第2の実施形態では蓄熱材排出管33および開閉弁34が切換手段に相当する。
コントローラ27は、車外Sの温度と蓄熱材Lの温度との関係に基づき、蓄熱材容器31内の蓄熱材Lを車外Sへの導出が必要か否かを判定する。
この実施形態のコントローラ27は、第1の実施形態と同様に図3に示すフローに従って開閉弁34を制御する。
この実施形態では、第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、開閉弁34を開き、蓄熱材Lが蓄熱材容器31から蓄熱材排出管33を通じて車外Sへ導出される。
具体的には、路上に蓄熱材Lを排出する。
蓄熱材容器31から車外Sへ蓄熱材Lを導出することにより、蓄熱材容器31内はほぼ空状態となる。
つまり、蓄熱材Lが車外Sへ導出されることにより、蓄熱材Lと車室11との熱交換を防止する状態を実現している。
この実施形態では、暖房能力又は冷房能力を喪失した蓄熱材Lを車室11外に導出することにより、蓄熱材容器31をほぼ空状態とし、暖房能力又は冷房能力を喪失した蓄熱材Lを温めたり、冷やしたりすることなく、第1空調装置17の熱負荷の増大を回避している。
次に、第2空調装置20による暖房又は冷房を再び行う場合には、開閉弁34を閉じた状態にして蓄熱材Lを蓄熱材供給管32の供給口32Aから注入する。
供給口32Aから注入された蓄熱材Lは、蓄熱材供給管32を通じて蓄熱材容器31に収容される。
そして、バッテリの充電中に外部電源の電力を用いて蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化を図り、蓄熱材Lと車室11との熱交換が行われる状態とし、新たな蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化により暖房又は冷房が可能となる。
第2の実施形態は、第1の実施形態の作用効果(1)、(4)とほぼ同等の作用効果を奏する。
また、第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材Lが蓄熱材容器31から蓄熱材排出管33を通じて車外Sへ導出されるから車両重量が軽減される。車両重量の軽減により車両10の燃費が向上する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る空調システムは、第2空調装置に第2蓄熱材容器が設置されないほか、蓄熱材容器が車室内と車室外との間で往復移動可能である点が第1の実施形態と異なる。
図6は第2の実施形態に係る空調システムを示し、その構成のうち、第1の実施形態の空調システムと同一の要素については第1の実施形態の説明を援用して共通の符号を用いる。
図6に示すように、第3実施形態の第2空調装置40は、車室11内に設けた蓄熱材容器としての蓄熱材容器41を備え、蓄熱材容器41の内部には蓄熱材Lが密封されている。
車室11内に設けた蓄熱材容器41の下方には容器収容空間42が形成されており、 容器収容空間42は車室11外に存在する空間である。
蓄熱材容器41は、コントローラ27(図6に図示されず)の制御を受ける昇降装置43により容器収容空間42と車室11内の設置位置との間を昇降する。
蓄熱材容器41が車室11内に位置する状態では、蓄熱材Lは車室11内空間に対して熱交換可能な状態にあり、蓄熱材容器41が容器収容空間42に位置する状態では、蓄熱材Lおよび蓄熱材容器41と車室11との熱交換を防止する状態にある。
従って、第3の実施形態における切換手段は、移送手段としての昇降装置43を備えている。
コントローラ27は、車外Sの温度と蓄熱材Lとの関係に基づき蓄熱材容器41の車室11外の容器収容空間42への移動が必要か否かを判断する。
蓄熱材容器41を車室11内から容器収容空間42へ移動する手順は、図3のフロー図に示す手順と実質的には同じであり、フロー図のステップS3における「蓄熱材の車室外への導出」がこの実施形態では「蓄熱材容器の収容空間への移動」となる。
この実施形態では、第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが暖房又は冷房の妨げとなる状態では、車室11内に設置されている蓄熱材容器41を昇降装置43により下降させて車室11外の容器収容空間42へ収容する。
車室11から車室11外の容器収容空間42へ蓄熱材容器41を収容することにより、蓄熱材Lは車室11内から導出されており、蓄熱材Lおよび蓄熱材容器41と車室11との熱交換が防止される状態にある。
この実施形態では、暖房能力又は冷房能力を喪失した蓄熱材Lを蓄熱材容器41と共に車室11外に排出することにより、暖房能力又は冷房能力を喪失した蓄熱材Lを温めたり、冷やしたりすることなく、第1空調装置17の熱負荷の増大を回避している。
次に、第2空調装置20による暖房又は冷房を再び行う場合には、車室11外の容器収容空間42内に収容されている蓄熱材容器41を昇降装置43により上昇させて車室11内の設置位置へ移動する。
そして、蓄熱材容器41が車室11内の設置位置に設置された状態で、バッテリの充電中に外部電源の電力を用いて蓄熱材Lへの放熱源化又は吸熱源化する。
蓄熱材Lの放熱源化又は吸熱源化により第2空調装置20による次の暖房又は冷房が可能となる。
第3の実施形態は、第1の実施形態の作用効果(1)、(4)、(6)と実質的に同等の作用効果を奏する。
また、第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、蓄熱材Lと蓄熱材容器41が車室11内から車室11外の容器収容空間42へ収容される。
その結果、第1空調装置17の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lに加えて蓄熱材容器41による第1空調装置17の熱負荷の増大を回避することができる。
なお、上記の第1〜第3の実施形態に係る空調システムは、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 第1〜第3の実施形態では、制御手段であるコントローラが図3に示す手順に基づき蓄熱材(あるいは蓄熱材容器)の車室外への導出の必要性を判定としたが、例えば、図7のフロー図に示される手順に基づき蓄熱材の車室外への導出の必要性を判定してもよい。図7ではステップS11において第1空調装置の空調モードを判定し、冷房モードであればステップS12へ進み、暖房であればステップS14へ進み、換気モードやOFFモード等のその他のモードではステップS11へループする。ステップS12では蓄熱材の温度が設定温度を高温側に超えているか否かを判定し、蓄熱材の温度が設定温度を高温側に超えているとき、蓄熱材の車外への導出とするステップS13へ進む。ステップS12において蓄熱材の温度が設定温度を高温側に超えていない場合、ステップS11へ戻る。ステップS14では蓄熱材の温度が設定温度を低温側に超えている(設定温度未満である)か否かを判定し、蓄熱材の温度が設定温度未満である場合、蓄熱材を車外へ導出するステップS13へ進む。S14ステップにおいて蓄熱材の温度が設定温度を低温側に超えていない(設定温度未満でない)場合、ステップS1へ戻る。なお、ステップS12およびS14における設定温度を、図3のフローと同様に20℃とし±5℃の範囲で変更するようにしてもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、蓄熱材又は蓄熱材を収容した蓄熱材容器を車外へ導出する構成としたが、例えば、図8に示すように、空調装置50が備える蓄熱材容器51の周囲を覆うように、断熱性を有する開閉式の断熱カバー52を設けてもよい。断熱カバー52は、蓄熱材容器51と車室11との間を遮断する状態と、蓄熱材容器51を車室11に対して露出させる状態と、に切り換え可能なカバーである。第2空調装置50により暖房又は冷房する際には、蓄熱材容器51と車室11との熱交換を行えるように、断熱カバー52は蓄熱材容器51を覆わない状態とする。また、第1空調装置17による車室11の暖房時又は冷房時において、蓄熱材Lが第1空調装置17による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、車室11内に設置されている蓄熱材容器51を断熱カバー52により覆うようにする。これにより蓄熱材L又は蓄熱材Lを収容した蓄熱材容器51を車室11外へ導出することなく、車室11と蓄熱材Lおよび蓄熱材容器51との熱交換を防止する状態とすることができる。断熱カバー52の開閉はコントローラ27制御による自動開閉でも手動による開閉でもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、第1空調装置として蒸気圧縮式冷凍サイクルを有する空調装置としたが、第1空調装置はこの種の空調装置に限定されることはない。第1空調装置としては、例えば、第2空調装置と同様の蓄熱材を用いた空調装置を用いてもよく、第1空調装置の種類や形式は問われない。
○ 第1〜第3の実施形態では、移動体としてPHEVに搭載する空調システムについて説明したが、移動体は航空機、船舶であってもよい。移動体が自動車である場合、PHEVを除くハイブリッド車(「HEV」と表記する)や内燃機関のみを搭載する自動車(「エンジン車」と表記する)の空調装置に本発明を適用することも可能である。
○ 第1〜第3の実施形態では、車室内に設けた蓄熱材容器を一つとしたが、車室内の蓄熱材容器の数や車室内における蓄熱材容器の設置位置は、特に制限されず、例えば、複数の蓄熱材容器を車室内に設置してもよい。この場合、第1の実施形態を適用すると、車室内の蓄熱材容器の数に対応した車室外の蓄熱材容器を設置してもよいし車室外に共通の一つの蓄熱材容器を設置してもよい。また、第3の実施形態を適用する場合には、車室内の蓄熱材容器の数に対応する容器収容空間を設ける必要がある。
○ 第1〜第3の実施形態では蓄熱材として水を用いたが、第1、第3の実施形態では閉空間に蓄熱材が収容され、車外へ排出されないから、水以外の蓄熱材を用いてよい。例えば、夏季に冷房に適した蓄熱材を用いたり、冬季に暖房に適した蓄熱材を用いたりしてもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、制御手段であるコントローラは第1空調装置を制御するECUと別に独立して設けるようにしたが、制御手段とECUを別個に設けることに限定する趣旨ではない。例えば、制御手段の機能をECUに付加し、第1空調装置を制御するECUを制御手段とする構成としてもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、車室内の蓄熱材容器に単に収容されたが、例えば、蓄熱材容器の内部を複数の収容部に区画し、各収容部に蓄熱材を収容したり、あるいは、複数の小容器に収容した蓄熱材を蓄熱材容器に収容したりしてもよい。この場合、区画された収容部単位又は小容器単位の蓄熱材を車室内から車室外へ導出するようにしてもよい。この場合、蓄熱材が収容部単位又は小容器単位で第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態であれば、暖房又は冷房の妨げとなる収容部又は小容器の蓄熱材のみを導出することにより、暖房又は冷房に使用可能な蓄熱材を有効活用することができる。
○ 第1の実施形態では、第2蓄熱材容器の蓄熱材を単に車室内の第1蓄熱材容器へ戻すことができるとしたが、蓄熱材通路を形成する配管に熱交換部を設けておき、第1蓄熱材容器へ蓄熱材を戻すときに、熱交換部において他の熱媒体との熱交換を行い、熱交換後の蓄熱材を第1蓄熱材容器へ戻すようにしてもよい。この場合、蓄熱材が第1蓄熱材容器に戻る途中であっても第1蓄熱材容器の蓄熱材による暖房又は冷房が可能となる。
○ 第1の実施形態では、第2蓄熱材容器に導出された蓄熱材を第1蓄熱材容器へ戻す手段としてポンプを用いたが、第2蓄熱材容器から第1蓄熱材容器へ蓄熱材を戻す手段としてはポンプに限定されない。例えば、第2蓄熱材容器を昇降可能とすればよく、蓄熱材を第1蓄熱材容器へ戻したい場合には、第2蓄熱材容器が第1蓄熱材容器よりも高い位置となるように上昇させ、位置エネルギーを利用して蓄熱材を第1蓄熱材容器へ蓄熱材を戻すことができる。この場合、配管は可撓性のホースを用いることが好ましい。
○ 第3の実施形態では、蓄熱材容器を車室内から車室外の容器収容空間へ昇降装置により収容するようにしたが、蓄熱材容器の容器収容空間と車室内との往復移動の方向は、上下方向に限定されない。蓄熱材容器の容器収容空間と車室内との往復移動の方向は、容器収容空間を設けた位置と車室との位置関係により規定され、蓄熱材容器の往復移動を図る往復移動手段を設けるようにすればよい。
○ 第3の実施形態では、蓄熱材容器を車室内から車室外の容器収容空間へ昇降装置により収容するようにしたが、車室内に設置される蓄熱材容器を着脱自在とし、蓄熱体が第1空調装置による暖房又は冷房の妨げとなる状態では、搭乗者が蓄熱材容器を車室内から車室外へ収容するようにしてもよい。この場合、容器収容空間を設ける必要がなく、第1空調装置の暖房時又は冷房時において、蓄熱体に加えて蓄熱材容器による熱負荷の増大を回避することができる。
○ 第1実施形態において、搭乗者が車両10から離れる時には第2空調装置17による空調を停止してもよい。
10 車両
11 車室
16 エンジンルーム
17 第1空調装置
18 吹出ダクト
19 吸込ダクト
20、30、40 第2空調装置
21 第1蓄熱材容器
22 第2蓄熱材容器
23 配管
24、34 開閉弁
25 ポンプ
27 コントローラ
28 第1温度センサ
29 第2温度センサ
31、41 蓄熱材容器
33 蓄熱材排出管
42 容器収容空間
L 蓄熱材
S 車外

Claims (6)

  1. 移動体に設けられた室内の暖房又は冷房を行う第1空調装置と、
    蓄熱材との熱交換により前記室内の暖房又は冷房を行う第2空調装置と、を備えた移動体用空調システムであって、
    前記蓄熱材は、前記室内に設置され、
    前記蓄熱材と室内空間との間にて熱交換が行われる状態と、前記蓄熱材と前記室内空間との間の熱交換を防止する状態とに切り換える切換手段を備えることを特徴とする移動体用空調システム。
  2. 前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、
    前記切換手段は、
    一端が前記蓄熱材容器に接続され、他端が室外に配置される蓄熱材通路と、
    前記蓄熱材通路を開閉する開閉弁を備えることを特徴とする請求項1記載の移動体用空調システム。
  3. 前記蓄熱材通路の他端に接続され、前記室外に設けた外部蓄熱材容器を備えることを特徴とする請求項2記載の移動体用空調システム。
  4. 前記開閉弁を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記蓄熱材容器に収容されている前記蓄熱材の温度が所定温度を超えたとき、前記開閉手段を開くことを特徴とする請求項2又は3記載の移動体用空調システム。
  5. 前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、
    前記切換手段は、
    前記蓄熱材容器を前記室内より前記室外へ移送させる移送手段を備えることを特徴とする請求項1記載の移動体用空調システム。
  6. 前記蓄熱材を収容する蓄熱材容器を備え、
    前記切換手段は、
    前記蓄熱材容器と前記室内空間の間を遮断する状態と、前記蓄熱材容器を前記室内空間に対して露出させる状態とに切り換え可能な断熱カバーを備えることを特徴とする請求項1記載の移動体用空調システム。
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