JP2011114215A - 有機光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換層での変換効率の向上を図れる有機光電変換素子を提供する。
【解決手段】第1の電極2と、第1の電極2における基板1側とは反対側で第1の電極2に対向する第2の電極4と、第1の電極2と第2の電極4との間に設けた光電変換層3とを備える。光電変換層3は、第1の電極2における第2の電極4側で一表面上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶31と、各種結晶31それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶31とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体32と、各種結晶31および各柱状体32を覆い柱状体32とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層33とで構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機光電変換素子に関するものである。
昨今のエネルギー問題から、化石燃料に代わる新しいエネルギー源として、環境への負荷が少なく、半永久的に供給される太陽エネルギーを利用する太陽電池の研究が盛んに行われている。その中でも特に、有機半導体材料を用いた有機太陽電池は、低温、低コストで軽量、フレキシブルな素子の作製が可能であり、現在の主流であるSiなどの無機系の材料を用いた太陽電池に代わる次世代の太陽電池として期待されている。
そのような背景のもと、有機半導体材料を用いた有機光電変換素子の研究が各所で行われており、このような有機光電変換素子の開発において、ナノスケールでの構造形成・制御技術が極めて重要であることが知られている。
例えば、有機光電変換素子の一形態である有機薄膜太陽電池において、その起電力は、光吸収により電子・正孔ペアの束縛力が強い励起子が生成され、該励起子がp形有機半導体層とn形有機半導体層とのpn接合界面まで拡散移動して電子と正孔とに電荷分離し、電子と正孔とがそれぞれ異なる電極に輸送されるという原理により生じるものである。しかしながら、この起電力の発生する原理において、電子と正孔とに電荷分離する有機半導体材料の励起子は、その拡散長が数nmから数十nmというナノメータオーダで、長くとも100nmという非常に短いものであるため、pn接合界面に到達する前に失活してしまい、効率的な電荷分離が困難であると言われている。そこで、この問題を解決するために、低分子材料の共蒸着膜やポリマーの層分離構造を用いることで、pn接合界面を増加させて電荷分離の効率を向上させたバルクヘテロジャンクション構造の光電変換層を備えた有機薄膜太陽電池が提案されており、例えば、p形有機半導体とn形有機半導体とが混合(ブレンド)されたバルクへテロジャンクション構造の光電変換層を有する有機薄膜太陽電池が提案されている(非特許文献1)。
以下、有機光電変換素子の構造例について図5および図6に基づいて説明する。
図5および図6に示した有機光電変換素子は、透明基板からなる基板1と、基板1の一表面上に形成された透明導電膜からなる第1の電極(正極)2と、第1の電極2における基板1側とは反対側に形成された光電変換層3と、光電変換層3における第1の電極2側とは反対側に形成された第2の電極(負極)4と、基板1の上記一表面側で第1の電極2、光電変換層3、第2の電極4などの露出表面を覆う形で形成された表面保護層5とを備えている。
ここにおいて、図5に示した構造の有機光電変換素子により有機太陽電池を構成した場合には、光電変換層3で太陽光を吸収することにより励起子が生成され、キャリア分離、電極へのキャリア輸送が行われることで発電する。
また、図6に示した構造の有機光電変換素子は、第1の電極2と光電変換層3との間に第1の有機半導体層7を介在させるとともに、光電変換層3と第2の電極4との間に第2の有機半導体層8を介在させてあり、第1の有機半導体層7を正孔輸送層とし、第2の有機半導体層8を電子輸送層とすることで、図5の構造に比べて、光電変換層3での変換効率を向上させるものである。
G.Yu,et,al,「Polymer Photovoltaic Cells: Enhanced Efficiencies via a Network ofInternal Doner-Acceptor Heterojunctions」, SCIENCE, VOL.270, 1995, p.1789-1791.
しかしながら、上記非特許文献1に開示された有機薄膜太陽電池では、異種導電形の有機半導体が混合されたバルクへテロジャンクション構造の光電変換層において、電子および正孔を輸送するための経路が複雑であり、十分に経路を確保するには到っていない。このため、上記非特許文献1に開示された有機薄膜太陽電池では、光吸収により発生した電子と正孔とが空間的に分離された経路で電極に到達する確率が低下し、変換効率の低下の原因となる。また、バルクへテロジャンクション構造の光電変換層を備えた有機薄膜太陽電池では、p形有機半導体層において正極に接していない部分が存在するとともにn形有機半導体層において負極に接してしない部分が存在するので、キャリア輸送特性の低下が起こってしまう。また、有機薄膜太陽電池のような有機光電変換素子において、太陽光の吸収効率を高めるために、光電変換層の膜厚を厚くすることも考えられるが、有機半導体材料は無機半導体材料に比べキャリア移動度が劣り、有機光電変換素子の抵抗が増加して光電流が低下するため、光電変換層の厚膜化が困難である。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、光電変換層での変換効率の向上を図れる有機光電変換素子を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明は、第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極の間に設けた光電変換層とを備え、光電変換層は、第1の電極と第2の電極との少なくとも一方における他方側で一表面上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶と、各種結晶それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体と、各種結晶および各柱状体を覆い柱状体とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層とからなること特徴とする。
この発明によれば、光電変換層が、第1の電極と第2の電極との少なくとも一方における他方側で一表面上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶と、各種結晶それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体と、各種結晶および各柱状体を覆い柱状体とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層とからなるので、光電変換層での光吸収により発生した電子と正孔とが空間的に分離された経路でそれぞれ、第2の電極、第1の電極に到達できるように電子および正孔の輸送される経路を容易に確保することができ、電荷および励起子の移動速度の高速化を図ることが可能となるとともに、pn接合界面での電荷分離効率の向上を図れ、光電変換層での変換効率の向上を図れる。また、この発明によれば、種結晶の材料と柱状体の材料とを異ならせているので、第1の有機半導体材料として種結晶が形成された一表面よりも種結晶と親和性の高い材料を採用することにより、柱状体を、第1の電極と第2の電極との少なくとも一方における他方側で一表面上に形成した多数のナノメータオーダの種結晶上にのみ選択的に形成することができるから、当該一表面上の種結晶の形成密度を制御することで柱状体の密度を制御することができ、しかも、柱状体の長さおよび配向を制御することができ、柱状体が自重により曲がったり倒れたりするのを防止することが可能となるから、互いに導電形の異なる有機半導体層と柱状体との間にボイドが形成されて有機半導体層と柱状体とのpn接合界面の面積が低下するのを防止して変換効率の向上を図ることが可能となる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記柱状体は、前記柱状体の長さを前記柱状体の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比が10を超えないことを特徴とする。
この発明によれば、前記柱状体の長さを前記柱状体の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比が10を超えないので、前記柱状体の形成時に、前記柱状体が自重で倒れることなく、前記柱状体を立設させることができて、前記有機半導体層の形成時に互いに導電形の異なる前記有機半導体層と前記柱状体との間にボイドが形成されて前記有機半導体層と前記柱状体とのpn接合界面の面積が低下するのを防止することができ、変換効率の向上を図れる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記柱状体の長さは、前記有機半導体層での光吸収により発生する励起子の拡散長の2倍を超えないことを特徴とする。
この発明によれば、前記有機半導体層での光吸収により発生した励起子が失活する前に効率良く前記有機半導体層と前記柱状体とのpn接合界面まで拡散させて電荷分離させることが可能となるとともに、前記光電変換層に生じたキャリアを効率よく輸送することが可能となり、変換効率の向上を図れる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記柱状体は、前記種結晶の形成後に結晶成長法により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記柱状体を、真空あるいは不活性ガス雰囲気で結晶成長を行う結晶成長法により形成することにより、前記柱状体を、純度が高く欠陥の少ない単結晶により構成することができるから、電荷および励起子の移動速度の高速化を図ることができ、変換効率の向上を図れる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記柱状体は、前記種結晶の形成後に真空蒸着法により成膜した前記第1の有機半導体材料からなる蒸着膜を不活性ガス雰囲気において加熱して当該蒸着膜をクラスタに離散させ前記各種結晶上に凝集させることにより形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記柱状体を、不純物が少ない多結晶により構成することができるから、変換効率の向上を図れる。
請求項1の発明では、光電変換層での変換効率の向上を図れるという効果がある。
実施形態の有機光電変換素子の概略断面図である。 同上における柱状体を形成する実験1の結果を示すSEM像図である。 同上における柱状体を形成する実験2の結果を示すSEM像図である。 同上における柱状体を形成する実験3の結果を示すSEM像図である。 従来例を示す有機光電変換素子の概略断面図である。 他の従来例を示す有機光電変換素子の概略断面図である。
本実施形態の有機光電変換素子は、図1に示すように、基板1と、基板1の一表面側に形成された第1の電極2と、第1の電極2における基板1側とは反対側で第1の電極2に対向する第2の電極4と、第1の電極2と第2の電極4との間に設けた光電変換層3と、基板1の上記一表面側で第1の電極2、光電変換層3、第2の電極4の露出表面を覆う形で形成された表面保護層5とを備え、光電変換層3が、第1の電極2における第2の電極4側の一表面(ここでは、第1の電極2における第2の電極4と対向面)上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶31と、各種結晶31それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶31とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体32と、各種結晶31および各柱状体32を覆い柱状体32とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層33とで構成されている。
ここにおいて、本実施形態の有機光電変換素子は、基板1として透光性基板を用いるとともに、第1の電極2を透明電極により構成してある。なお、基板1の平面視形状は、矩形状としてあるが、矩形状に限らず、例えば、円形状、三角形状、五角形状、六角形状などでもよい。
基板1を構成する透光性基板は、無色透明な基板に限らず、多少の着色がなされたものでもよい。ここにおいて、基板1を構成する透光性基板としては、ソーダライムガラス基板や無アルカリガラス基板などのガラス基板を用いているが、ガラス基板に限らず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などにより形成されたプラスチックフィルムやプラスチック基板などを用いればよい。ここで、ガラス基板は、すりガラス状のものでもよい。また、基板1は、当該基板1内に当該基板1の母材とは屈折率の異なる粒子、粉体、泡などを含有させることによって、光拡散性を付与したものでもよい。なお、本実施形態では、第1の電極2と光電変換層3と第2の電極4とで有機太陽電池素子を構成しており、基板1を有機太陽電池素子の光入射面側に設けない場合は、基板1の材料などは特に限定するものではなく、第1の電極2、光電変換層3、第2の電極4などを支持できるものであればよい。
また、第1の電極2の材料としては、ITOを採用しているが、ITOに限定するものではなく、仕事関数の大きな金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物を用いることが好ましく、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いるのが好ましい。このような第1の電極2の材料としては、例えば、ITO、SnO、ZnO、IZOなど、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子および任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。ここにおいて、第1の電極2は、基板1の上記一表面側に、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法などによって形成すればよい。また、第1の電極2としてITO基板などの導電性を有する透光性基板を用いれば、上述の基板1は特に設ける必要はない。
また、第2の電極4の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる材料を用いることが好ましく、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いるのが好ましい。このような第2の電極4の材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属、希土類など、およびこれらと他の金属との合金、例えばナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/LiF混合物などを挙げることができる。またアルミニウム、AlとAlとの混合物なども用いることができる。また、第2の電極4は、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、あるいは金属酸化物からなる薄膜を下地膜として、当該下地膜上に上述の仕事関数が5eV以下である材料からなる少なくとも一層の薄膜を積層するようにしてもよい。このような第2の電極4としては、例えば、アルカリ金属からなる薄膜とAlからなる薄膜との積層膜、アルカリ金属のハロゲン化物からなる薄膜とアルカリ土類金属からなる薄膜とAlからなる薄膜との積層膜、Alからなる極薄膜(ここでは、トンネル注入により電子を流すことが可能な1nm以下の薄膜)とAlからなる薄膜との積層膜などが挙げられる。上述の第2の電極4は、基板1の上記一表面側に、真空蒸着法、スパッタ法などによって形成すればよい。
また、上述の表面保護層5の材料としては、ガスバリア性を有する材料を採用すればよく、例えば、フッ素系化合物、フッ素系高分子、その他の有機分子、高分子材料などを採用すればよい。ここで、表面保護層5は、基板1の上記一表面側に、蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマ重合法などによって形成してもよいし、高分子材料の溶液をスピンコート法のような塗布法により塗布してから紫外線硬化あるいは熱硬化させる方法や、その他の方法によって形成することも可能である。また、表面保護層5は、汎用のポリマーからなる絶縁膜とガスバリア性を有するAl膜などの金属膜と汎用のポリマーからなる絶縁膜との積層膜により構成してもよく、この場合には、各絶縁膜を塗布法により形成し、金属膜をスパッタ法などの緻密性の高い金属膜を成膜可能な方法により形成すればよい。
また、表面保護層5は、光透過性およびガスバリア性を有するフィルム状や板状の構造体で形成することも可能であり、前者の場合は例えば真空ラミネート法により基板1の上記一表面に周部を固着すればよく、後者の場合は例えば紫外線硬化樹脂などのシール剤(接着剤)により基板1の上記一表面に周部を固着すればよい。このような光透過性を有する表面保護層5を採用する場合には、第2の電極4を透明電極により構成すれば、例えば有機光電変換素子を有機太陽電池として用いる場合に、太陽光を表面保護層5および第2の電極4を通して光電変換層3に入射させることができるので、基板1を必ずしも透光性基板により構成する必要がなくなるとともに、第1の電極2を必ずしも透明電極により構成する必要がなくなる。なお、有機光電変換素子を有機太陽電池として、表面保護層5側から光電変換層3に太陽光を入射させる場合には、表面保護層5の光透過率を70%以上にすることが好ましい。
種結晶31の平面視形状は円形状としてあるが、これに限らず、多角形状でもよい。ここで、種結晶31の平面視における粒径は、ナノメータオーダ(ナノメータサイズ)であればよく、1μm未満で設定すればよい。
また、各種結晶31上に立設された柱状体32は、種結晶31上で第1の電極2の法線方向に沿って形成されていることが好ましく、形状は円柱状としてあるが、これに限らず、例えば、上端面と下端面とで直径が異なる柱状でもよいし、多角柱状であってもよい。ここで、柱状体32の長さ方向に直交する断面の粒径(最大粒径)は、ナノメータサイズであればよく、1μm未満で設定すればよい。
また、柱状体32の長さは、有機半導体層33での光吸収により発生した励起子が拡散して有機半導体層33と柱状体32との接合界面(pn接合界面)で電荷分離されることにより生じた電荷の移動距離に相当する300nm以下の値に設定することが好ましく、より好ましくは、励起子の拡散長の2倍を超えない値がよく、励起子の拡散長が100nmの場合には200nmを超えない値に設定すればよい。
また、柱状体32は、当該柱状体32の自重により曲がって倒れないように、当該柱状体32の長さ(高さ)を当該柱状体32の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比を設定する必要があり、アスペクト比が10を超えないことが好ましい。なお、アスペクト比の下限については、アスペクト比が小さすぎると、有機半導体層33と柱状体32とのpn接合界面の面積が小さくなりすぎるとともに、柱状体32を後述の結晶成長法などにより形成する場合に単位面積当たりの柱状体32の数が種結晶32の数に比べて少なくなり(単位面積当たりの分布が疎になり)、電荷分離効率が低くなりすぎることが考えられるので、例えば、0.1に設定すればよい。なお、柱状体32の長さについては、アスペクト比を考慮して10nmに設定すればよい。
また、光電変換層3の有機半導体層33、柱状体32、種結晶31に用いる有機半導体材料は、キャリア輸送性材料あるいは光電変換材料であることが好ましく、キャリア輸送性材料の一種である正孔輸送材料としては、正孔を輸送する能力を有し、また、電子をブロックするような特性を有し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が挙げられる。具体的には、セキシチオフェン(α−6T)、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)などの芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、アミノピリジン誘導体、ポリエチレンジオキサイドチオフェン(PEDOT)などの導電性高分子などの高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、有機半導体層33、柱状体32、種結晶31の材料として用いる有機化合物としては、フタロシアニン系顔料、インジゴ、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、メロシアニン化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物や、多環芳香族化合物、また、有機電子写真感光体に用いられる電荷移動剤、電気伝導性有機電荷移動錯体、更には、導電性高分子も用いることができる。
上述のフタロシアニン系顔料としては、中心金属がCu、Zn、Co、Ni、Pb、Pt、Fe、Mgなどの2価のもの、無金属フタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニン、インジウムクロロフタロシアニン、ガリウムクロロフタロシアニンなどのハロゲン原子が配位した3価金属のフタロシアニン、その他、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの酸素が配位したフタロシアニンなどがあるが、これらに限定するものではない。
また、多環芳香族化合物としては、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン或いは、それらの誘導体などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。ここで、ペリレンの誘導体としては、例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(以下、PTCDAと略称する)を用いることができる。
また、電荷移動剤としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化合物などがあるが、これらに限定するものではない。
また、電気伝導性有機電荷移動錯体としては、テトラチオフルバレン、テトラフェニルテトラチオフルバレンなどがあるが、これらに限定するものではない。
また、電子を供与する導電性高分子材料としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、チオフェン系ポリマー、導電性高分子のオリゴマーなどの有機溶媒に可溶なものが挙げられるが、これらに限定するものではない。
また、有機半導体層33、柱状体32、種結晶31の有機半導体材料としては、キャリア輸送性材料の一種であり電子を授受し輸送する材料として、フラーレン誘導体などからなる低分子材料や導電性高分子なども用いることができる。
また、上述の有機半導体層33、柱状体32、種結晶31に用いる電子吸引性半導体(n形半導体材料)としては、フラーレン誘導体である[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(以下、PCBMと略称する)を採用しているが、これに限らず、例えば、C60やC70、C84などの高次フラーレンを含有するフラーレン誘導体などからなる低分子材料や導電性高分子材料、カーボンナノチューブなどを用いることもできる。
また、有機半導体層33、柱状体32に用いられる有機半導体材料として用いるキャリア輸送性材料の一種である電子輸送材料としては、電子を輸送する能力を有し、また、正孔をブロックするような特性を有し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が挙げられる。具体的には、バソクプロイン、バソフェナントロリン、およびそれらの誘導体、TPBi、シロール化合物、トリアゾール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、オキサジアゾール化合物、ジスチリルアリレーン誘導体、シロール化合物、TPBI(2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス−[1−フェニル−1H−ベンツイミダゾール])、フラーレン(C60、70など)などがあげられるが、電子輸送性の材料であれば特にこれらに限定されるものでない。なお、電子輸送性の材料としては、電子移動度が、10−6cm/Vs以上、より好ましくは10−5cm/Vs以上の材料が好ましい。
以上説明した柱状体32と有機半導体層33とは、上述した各種の有機半導体材料において導電形の異なる材料により形成されている。また、種結晶31と柱状体32とは、上述した各種の有機材料において互いに異なる材料により形成されている。ここにおいて、種結晶31の材料は、有機半導体材料以外の有機材料でもよい。
ところで、種結晶31の形成方法としては、真空蒸着法を採用しているが、これに限らず、例えば、スピンコート法、ラングミュア・ブロジェット(Langmuir-Blodgett:LB)法などを採用してもよく、所望の種結晶31を形成できる形成方法であれば、この限りではない。ただし、スピンコート法により種結晶31を形成する方法では、不純物の影響が大きい、材料の制約が大きい、種結晶31の面内分布の均一性が低い、などの課題があり、LB法により種結晶31を形成する方法では、不純物の影響が大きい、材料の制約が大きい、などの課題がある。これに対して、真空蒸着法により種結晶31を形成するようにすれば、不純物の影響が少ない、真空下で昇華する材料であればよいので、材料の制約が少ない、種結晶31の面内分布の均一性が高くなる、などの利点がある。
また、種結晶31については、例えば、真空蒸着法により形成する場合、種結晶31の有機材料、蒸着膜厚、種結晶31形成前後のアニール、種結晶31の形成時の基板1の温度、種結晶31を形成する蒸着速度、下地である第1の電極2の材料などによって、種結晶31の形状を制御することができる。
また、柱状体32の形成方法としては、真空とした石英管内での物理的蒸気輸送結晶成長法(Physical Vapor Transport)、溶液中や大気下での結晶成長法などの結晶成長法や、各種結晶31の形成後に真空蒸着法により成膜した第1の有機半導体材料(柱状体32の材料)からなる蒸着膜を不活性ガス雰囲気(例えば、Nガス雰囲気)において加熱して当該蒸着膜をクラスタに離散させ各種結晶31上に凝集させる方法などが挙げられるが、種結晶31上のみに選択的に柱状体32を形成できる形成方法であれば、この限りではない。
以上説明した本実施形態の有機光電変換素子では、光電変換層3が、第1の電極2における第2の電極4側で一表面上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶31と、各種結晶31それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶31とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体32と、各種結晶31および各柱状体32を覆い柱状体32とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層33とからなるので、光電変換層3での光吸収により発生した電子と正孔とが空間的に分離された経路でそれぞれ、第2の電極4、第1の電極2に到達できる(電子が第2の電極4に到達でき、正孔が第1の電極2に到達できる)ように電子および正孔の輸送される経路を容易に確保することができ、電荷および励起子の移動速度の高速化を図ることが可能となるとともに、pn接合界面での電荷分離効率の向上を図れ、光電変換層3での変換効率の向上を図れる。また、本実施形態の有機光電変換素子では、種結晶31の材料と柱状体32の材料とを異ならせているので、第1の有機半導体材料として種結晶31が形成された一表面(ここで、第1の電極2の一表面)よりも種結晶31と親和性の高い材料を採用することにより、柱状体32を、第1の電極2における第2の電極4側の一表面上に形成した多数のナノメータオーダの種結晶31上にのみ選択的に形成することができるから、当該一表面上の種結晶31の形成密度を制御することで柱状体32の密度を制御することができ、しかも、柱状体32の長さおよび配向を制御することができ、柱状体32が自重により曲がったり倒れたりするのを防止することが可能となるから、互いに導電形の異なる有機半導体層33と柱状体32との間にボイドが形成されて有機半導体層33と柱状体32とのpn接合界面の面積が低下するのを防止して変換効率の向上を図ることが可能となる。
ところで、本実施形態の有機光電変換素子は、図1に示したように、第1の電極2/光電変換層3/第2の電極4の層構造を有しているが、これに限らず、例えば、第1の電極(正極)2/有機半導体層(正孔輸送層)/光電変換層3/有機半導体層(電子輸送層)/第2の電極(負極)4の層構造や、第1の電極(正極)2/有機半導体層(正孔輸送層)/光電変換層3/第2の電極(負極)4の層構造や、第1の電極(正極)2/光電変換層3/有機半導体層(電子輸送層)/第2の電極(負極)4の層構造などでもよい。
ここで、実施例1の有機光電変換素子として、ガラス基板からなる基板1上にITO膜からなる第1の電極2が形成され、第1の電極2の一表面上にPTCDAからなる多数の種結晶31が形成され、各種結晶31上にのみ選択的に第1の有機半導体材料(p形有機半導体材料)である銅フタロシアニンからなる単結晶の柱状体32が結晶成長法により形成され、第1の電極2の上記一表面側で各種結晶31および各柱状体32を覆う第2の有機半導体材料(n形有機半導体材料)であるPCBMからなる有機半導体層33が形成され、有機半導体層33上にホールをブロックする機能を有する電子輸送性材料であるバソクプロインからなる電子輸送層が形成され、電子輸送層上にAgからなる第2の電極4が形成され、基板1の上記一表面側で第1の電極2、光電変換層3、第2の電極4の露出表面を覆う表面保護層5が形成された有機太陽電池を製造した。
ここにおいて、実施例1の有機太陽電池の製造にあたっては、第1の電極2の上記一表面上に種結晶31を形成する前の前処理として、洗剤、イオン交換水、イオン交換水、アセトン、アセトン、イソプロピルアルコールで各10分間の超音波洗浄を行なった後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄してから、乾燥させ、その後、UVオゾン洗浄機による表面清浄化処理を10分間行った。
また、種結晶31は、真空蒸着法により形成した。具体的には、抵抗加熱式の真空蒸着装置のチャンバ内の真空度を1×10−3Pa以下に保ち、抵抗加熱によりPTCDAを蒸発させ、水晶振動子にて計測した蒸着膜厚(平均膜厚)が3nmとなるまで蒸着することにより多数の種結晶31を形成した(なお、PTCDAの蒸着は、第1の電極2の上記一表面における多数の種結晶31の群の形成エリアを規定するステンレス製のマスクの開孔部を通して行った)。
また、柱状体32は、結晶成長法の一種である物理的蒸気輸送結晶成長法により形成した。具体的には、第1の電極2の一表面上に多数の種結晶31を形成した基板1を昇華精製装置の石英管からなる成長炉の中に銅フタロシアニンの粉末とともに配置し(ここでは、銅フタロシアニンの粉末を第1のヒータにより加熱される加熱部に配置し、第1の電極2および各種結晶31が形成された基板1を第2のヒータにより加熱される成長部に配置し)、成長炉内の真空度を1×10−2Pa程度としたのち、成長炉内において上流側に配置される加熱部の温度を380℃、下流側に配置される成長部の温度を180℃とするように第1のヒータおよび第2のヒータを制御した。ここにおいて、加熱部は、第1のヒータへの通電を開始して加熱部の温度が目標温度である380℃に達したときに直ちに第1のヒータへの通電を終了し、室温に戻すようにした。
また、有機半導体層33は、スピンコート法により形成した。具体的には、窒素雰囲気下において、基板1の上記一表面側に、PCBMのクロロベンゼン溶液(30mg/cm)をスピンコート法により回転塗布し(回転塗布の条件は、回転数を500rpm、回転時間を20秒)、その後、ホットプレートを用い120℃で3分間の加熱を行うことで溶媒の除去を行った。
また、電子輸送層と第2の電極4とは、真空蒸着法により形成し(同一の真空蒸着装置で連続的に形成し)、電子輸送層の膜厚を10nm、第2の電極4の膜厚を50nmとした。
また、表面保護層5の形成にあたっては、有機太陽電池素子を形成した基板1を、露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに大気に暴露することなく搬送した。一方、吸水材として酸化カルシウムを練り込んだゲッターをガラス製の封止板に粘着剤で貼り付けるとともに、封止板の外周部には予め紫外線硬化樹脂製のシール剤を塗布しておき、グローブボックス内において基板1に封止板をシール剤で張り合わせ、UVでシール剤を硬化させることによって、板状の構造体である封止板からなる表面保護層5を形成した。
また、比較例1の有機光電変換素子として、実施例1と略同じ構成であり、柱状体32を備えていない有機太陽電池を製造した。
次に、実施例2の有機光電変換素子として、実施例1と略同じ構成であり、第1の有機半導体材料(p形有機半導体材料)である銅フタロシアニンからなる柱状体32が、真空蒸着法により成膜した第1の有機半導体材料からなる蒸着膜を不活性ガス雰囲気(ここでは、Nガス雰囲気)において加熱して当該蒸着膜をクラスタに離散させ各種結晶31上に凝集させる方法により形成されている点、有機半導体層33が、第2の有機半導体材料として銅フタロシアニンを採用し、真空蒸着法により形成されている点、電子輸送層が、n形有機半導体材料であるフラーレンC60からなる第1の電子輸送層と、ホールをブロックする機能を有する電子輸送性材料であるバソクプロインからなる第2の電子輸送層とで構成されている点が相違する有機太陽電池を作製した。
ここにおいて、実施例2の有機太陽電池の製造にあたって、柱状体32を形成する柱状体形成工程では、真空蒸着法により蒸着膜を形成してから、基板1をグローブボックスへ搬送し、Nガス雰囲気下でホートプレートにより基板1を加熱して蒸着膜をクラスタに離散させ熱凝集させることにより、各種結晶31上のみに選択的に銅フタロシアニンからなる柱状体32を形成した。
また、有機半導体層33、第1の電子輸送層、第2の電子輸送層および第2の電極4は真空蒸着法により形成した。具体的には、抵抗加熱式の真空蒸着装置のチャンバ内の真空度を1×10−3Pa以下に保ち、抵抗加熱により銅フタロシアニンを蒸発させ、有機水晶振動子にて計測した蒸着膜厚(平均膜厚)が30nmとなるまで蒸着することによって有機半導体層33を形成し、その後、抵抗加熱によりC60を蒸発させ、有機水晶振動子にて計測した蒸着膜厚(平均膜厚)が50nmとなるまで蒸着することによって第1の電子輸送層を形成し、その後、抵抗加熱によりバソクプロインを蒸発させ、有機水晶振動子にて計測した蒸着膜厚(平均膜厚)が10nmとなるまで蒸着することによって第2の電子輸送層を形成し、続いて、抵抗加熱により銀を蒸発させ、有機水晶振動子にて計測した蒸着膜厚(平均膜厚)が50nmとなるまで蒸着することによって第2の電子輸送層を形成した。
また、比較例2の有機光電変換素子として、実施例2と略同じ構成であり、柱状体32を備えていない有機太陽電池を製造した。
ここにおいて、実施例1,2の有機光電変換素子(有機太陽電池)それぞれの製造過程において、柱状体32を形成する柱状体形成工程までが終了した試料に関して、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)によって柱状体32を観察した結果(SEM像図)を、それぞれ、図2、図3に示す。図2,3から、実施例1,2のいずれの製造過程においても、多数の柱状体32が倒壊することなく形成されていることが分かる。ここで、実施例1のように結晶成長法により形成された柱状体32は配向性を有して単結晶となるのに対し、実施例2のように、真空蒸着法を利用して形成された柱状体32は、多結晶となるので、実施例1の方が柱状体32の結晶性が高くなっている。柱状体32が実施例1のように結晶成長法により形成されたものか、実施例2のように真空蒸着法を利用して形成されたものかは、FE−SEM、透過型電子顕微鏡(TEM)などによる断面、表面形状の観察や、X線回折法(XRD)などによる結晶性評価により区別することが可能であり、両者の区別が容易な有機半導体材料が多数存在する。
次に、実施例1,2および比較例1,2の有機光電変換素子である有機太陽電池について、エアマス1.5G、100mW/cmの擬似太陽光を基板1の上記他表面に照射して有機太陽電池の短絡電流密度(JSC)を測定した結果を下記表1に示す。
表1から、柱状体32を備えた実施例1の方が柱状体32を備えていない比較例1に比べて、短絡電流密度が大きく、また、柱状体32を備えた実施例2の方が柱状体32を備えていない比較例2に比べて、短絡電流密度が大きくなっていることが分かる。
次に、実施例1の柱状体32の形成条件を変えることで柱状体32の長さを変えた複数種類の試料を作成し、FE−SEMによって柱状体32を観察した結果(SEM像図)を図4に示す。ここで、柱状体32の長さを柱状体32の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比と定義すれば、図4から、アスペクト比が10以下では柱状体32の倒壊が起こっていないのに対して、アスペクト比が10を超えると柱状体32の倒壊が起こっていることが確認された。
これに対して、本実施形態の有機光電変換素子では、上述のように、柱状体32の長さを柱状体32の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比が10を超えないので、柱状体32の形成時に、柱状体32が自重で倒れることなく、柱状体32を立設させることができて、有機半導体層33の形成時に互いに導電形の異なる有機半導体層33と柱状体32との間にボイドが形成されて有機半導体層33と柱状体32とのpn接合界面の面積が低下するのを防止することができ、変換効率の向上を図れる。
また、本実施形態の有機光電変換素子では、柱状体32の長さを、有機半導体層33での光吸収により発生する励起子の拡散長の2倍を超えない値とすることによって、有機半導体層33での光吸収により発生した励起子が失活する前に効率良く有機半導体層33と柱状体32とのpn接合界面まで拡散させて電荷分離させることが可能となるとともに、光電変換層33に生じたキャリアを効率よく輸送することが可能となり、変換効率の向上を図れる。ここで、隣り合う柱状体32間の間隔についても、同様の観点から、有機半導体層33での光吸収により発生する励起子の拡散長の2倍を超えない値とすることが好ましい。
また、本実施形態の有機光電変換素子において、柱状体32が、種結晶31の形成後に結晶成長法により形成されたものである場合には、柱状体32を、真空あるいは不活性ガス雰囲気で結晶成長を行う結晶成長法により形成することにより、柱状体32を、純度が高く欠陥の少ない単結晶により構成することができるから、電荷および励起子の移動速度の高速化を図ることができ、変換効率の向上を図れる。
また、本実施形態の有機光電変換素子において、柱状体32が、種結晶31の形成後に真空蒸着法により成膜した第1の有機半導体材料からなる蒸着膜を不活性ガス雰囲気において加熱して当該蒸着膜をクラスタに離散させ各種結晶31上に凝集させることにより形成され田茂のである場合には、柱状体32を、不純物が少ない多結晶により構成することができるから、変換効率の向上を図れる。
ところで、上述の実施形態では、第1の電極(正極)2における第2の電極(負極)4側で一表面上に多数のナノメータオーダの種結晶31を形成して、各種結晶31それぞれに対してのみ選択的に柱状体32を形成してあるので、柱状体32の材料である第1の有機半導体材料としてp形有機半導体材料を用いているが、第2の電極4における第1の電極2側で一表面上に種結晶31を形成して、各種結晶31それぞれに対してのみ選択的に柱状体32を形成するようにしてもよく、柱状体32の材料である第1の有機半導体材料としてn形有機半導体材料を用いればよい。また、この場合には、第2の電極4として、金属箔や金属板を用いてもよいし、別途の支持基板上に形成したものを利用してもよく、後者の場合には、光電変換層3の形状後に支持基板を残してもよいし除去してもよい。また、第1の電極と第2の電極との両方それぞれにおける他方側で一表面上に種結晶31を形成して、各種結晶31上に柱状体32を形成してもよい。いずれにしても、柱状体32の形成後に、第1の電極2と第2の電極4とが対向するように配置してから、有機半導体層33の材料である有機半導体材料を充填して硬化させることで有機半導体層33を形成するようにしてもよい。
1 基板
2 第1の電極
3 光電変換層
4 第2の電極
5 表面保護層
31 種結晶
32 柱状体
33 有機半導体層

Claims (5)

  1. 第1の電極と、第1の電極に対向する第2の電極と、第1の電極と第2の電極の間に設けた光電変換層とを備え、光電変換層は、第1の電極と第2の電極との少なくとも一方における他方側で一表面上に形成された多数のナノメータオーダの種結晶と、各種結晶それぞれに対してのみ選択的に立設され種結晶とは異なる材料であって第1の有機半導体材料からなる多数の柱状体と、各種結晶および各柱状体を覆い柱状体とは異種導電形の第2の有機半導体材料からなる有機半導体層とからなること特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記柱状体は、前記柱状体の長さを前記柱状体の長さ方向に直交する断面における最大粒径で除した値であるアスペクト比が10を超えないことを特徴とする請求項1記載の有機光電変換素子。
  3. 前記柱状体の長さは、前記有機半導体層での光吸収により発生する励起子の拡散長の2倍を超えないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の有機光電変換素子。
  4. 前記柱状体は、前記種結晶の形成後に結晶成長法により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  5. 前記柱状体は、前記種結晶の形成後に真空蒸着法により成膜した前記第1の有機半導体材料からなる蒸着膜を不活性ガス雰囲気において加熱して当該蒸着膜をクラスタに離散させ前記各種結晶上に凝集させることにより形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
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