JP2011102205A - α型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法及び炭化ケイ素単結晶 - Google Patents
α型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法及び炭化ケイ素単結晶 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】目的の粒子径の炭化ケイ素粉体を効率よく得ることができるα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法、及び、この粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いることで不純物が少なくかつ均質な炭化ケイ素単結晶を提供する。
【解決手段】本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法は、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であり、雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法は、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であり、雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、α型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法及び炭化ケイ素単結晶に関し、さらに詳しくは、改良レーリー法にて炭化ケイ素単結晶を成長させる際に用いられるα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法、及び、この粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を基に合成される炭化ケイ素単結晶に関するものである。
従来、炭化ケイ素単結晶を作製する方法としては、改良レーリー法がよく知られている。この改良レーリー法は、炭化ケイ素単結晶の製造装置内に温度勾配を設け、高温部にて昇華させた炭化ケイ素からなる単結晶原料を、種結晶を設置した低温部にて該種結晶に供給し、この種結晶を核として炭化ケイ素単結晶を成長させる方法である。単結晶原料を昇華させるためには、2200℃以上の温度が必要である(特許文献1〜4)。
また、単結晶原料が安定した昇華速度を得るためには、粒子径が100μm以上かつ300μm以下であり不純物が混じらない高純度の炭化ケイ素粉体を使用する必要がある。
このような単結晶原料は、粗い粒子やブロック状の塊を粉砕して作製すると、不純物が混入する虞があるので好ましくない。
そこで、炭化ケイ素単結晶の原料として適している高純度かつ粒子径が100〜300μmの炭化ケイ素粉体を得るために、炭化ケイ素前駆体を焼成して炭化ケイ素粉体を合成する際に、2000℃以下の温度にて一旦保持し、その後、2000℃以上の粒成長を生じさせる相転移温度まで昇温させる方法が提案されている(特許文献5、6)。
このような単結晶原料は、粗い粒子やブロック状の塊を粉砕して作製すると、不純物が混入する虞があるので好ましくない。
そこで、炭化ケイ素単結晶の原料として適している高純度かつ粒子径が100〜300μmの炭化ケイ素粉体を得るために、炭化ケイ素前駆体を焼成して炭化ケイ素粉体を合成する際に、2000℃以下の温度にて一旦保持し、その後、2000℃以上の粒成長を生じさせる相転移温度まで昇温させる方法が提案されている(特許文献5、6)。
ところで、従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法においては、製造装置の構造等により、炭化ケイ素粉体の昇華条件等が様々に変化するので、この炭化ケイ素粉体の昇華条件を制御するためには、原料となる炭化ケイ素粉体の粒子径を制御する必要がある。
従来の粉体の粒径制御方法としては、加熱による粒子表面の拡散を利用して粒成長させる方法が一般的であるが、炭化ケイ素粉体の場合、共有結合性が強いために、加熱する温度を変化させても粒子表面における拡散が弱く、したがって、粒子径はあまり変化しない。このように、加熱時の温度条件の制御だけでは、任意の粒子径の炭化ケイ素粉体を得ることができないという問題点があった。
従来の粉体の粒径制御方法としては、加熱による粒子表面の拡散を利用して粒成長させる方法が一般的であるが、炭化ケイ素粉体の場合、共有結合性が強いために、加熱する温度を変化させても粒子表面における拡散が弱く、したがって、粒子径はあまり変化しない。このように、加熱時の温度条件の制御だけでは、任意の粒子径の炭化ケイ素粉体を得ることができないという問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、目的の粒子径の炭化ケイ素粉体を効率よく得ることができるα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法、及び、この粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いることで不純物が少なくかつ均質な炭化ケイ素単結晶を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱してβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させる際に、雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御すれば、炭化ケイ素単結晶の原料に適した粒子径の大きな炭化ケイ素粉体の粒径制御ができることを知見し、さらに、β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素に相転移する際の雰囲気圧力を制御すれば、効率よく不純物を除去することができることを知見し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法は、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であって、前記雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成することを特徴とする。
前記雰囲気の圧力を2×105Pa以上かつ107Pa以下の範囲で変化させることにより、前記相転移温度を2000℃以上かつ2400℃以下の範囲で制御することが好ましい。
前記加熱により2000℃以上かつ2400℃以下の温度まで昇温させ、次いで、この温度を保持したまま雰囲気の圧力を低下させてβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させることが好ましい。
生成する前記α型炭化ケイ素粉体の平均粒子径は100μm以上かつ300μm以下、かつ金属不純物の含有率は1ppm以下であることが好ましい。
前記加熱により2000℃以上かつ2400℃以下の温度まで昇温させ、次いで、この温度を保持したまま雰囲気の圧力を低下させてβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させることが好ましい。
生成する前記α型炭化ケイ素粉体の平均粒子径は100μm以上かつ300μm以下、かつ金属不純物の含有率は1ppm以下であることが好ましい。
本発明の炭化ケイ素単結晶は、本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長してなることを特徴とする。
本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法によれば、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させる際に、前記雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御するので、生成するα型炭化ケイ素粉体の粒子径を炭化ケイ素単結晶の原料に適した所望の粒子径に制御することができる。
また、β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素に相転移する際の雰囲気の圧力を変化させるので、生成するα型炭化ケイ素粉体から不純物を除去することができる。
さらに、雰囲気の圧力を減圧すれば、効率よく不純物を除去することができる。
また、β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素に相転移する際の雰囲気の圧力を変化させるので、生成するα型炭化ケイ素粉体から不純物を除去することができる。
さらに、雰囲気の圧力を減圧すれば、効率よく不純物を除去することができる。
本発明の炭化ケイ素単結晶によれば、本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長したので、不純物及び欠陥が少なくかつ均質である。
本発明のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法及び炭化ケイ素単結晶を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[α型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法]
本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法は、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であり、前記雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成する方法である。
本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法は、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であり、前記雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成する方法である。
次に、本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法について、詳細に説明する。
まず、原料となるβ型炭化ケイ素、またはβ型炭化ケイ素を生成するためのケイ素元素と炭素元素を含有する炭化ケイ素前駆体を用意する。
ここで、β型炭化ケイ素としては、合成反応を経て得られたβ型炭化ケイ素微粉体が好ましく、このβ型炭化ケイ素微粉体としては、粒径が10μm以下のβ型炭化ケイ素微粉体が好ましい。
まず、原料となるβ型炭化ケイ素、またはβ型炭化ケイ素を生成するためのケイ素元素と炭素元素を含有する炭化ケイ素前駆体を用意する。
ここで、β型炭化ケイ素としては、合成反応を経て得られたβ型炭化ケイ素微粉体が好ましく、このβ型炭化ケイ素微粉体としては、粒径が10μm以下のβ型炭化ケイ素微粉体が好ましい。
また、炭化ケイ素前駆体としては、ケイ素元素を含むケイ素源及び炭素元素を含む炭素源の双方を含有する混合物または化合物であればよく、炭化ケイ素の製造に用いられる公知のケイ素源及び炭素源を適宜用いることができる。
このようなケイ素源としては、固体状または液状のものが用いられる。
固体状のケイ素源としては、例えば、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部に水酸基(−OH)やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉体)等が挙げられる。これらの固体状のケイ素源を炭素源と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉体を使用することが好ましい。
固体状のケイ素源としては、例えば、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部に水酸基(−OH)やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉体)等が挙げられる。これらの固体状のケイ素源を炭素源と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉体を使用することが好ましい。
また、液状のケイ素源としては、例えば、ケイ酸アルカリ水溶液を酸分解あるいは脱アルカリすることにより得られたもの、例えば、水ガラスの脱アルカリにより得られたケイ酸ポリマー;水酸基(−OH)を有する有機化合物とケイ酸とのエステル;テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)等のアルコキシド;等からなる加水分解性ケイ酸化合物と、有機化合物または有機金属化合物とのエステル等が挙げられる。
一方、上記の炭素源としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の固体の炭素、あるいは、液状でしかも加熱した際の残炭率が高い有機化合物、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等の樹脂のモノマーやプレポリマー等が好適に用いられる。
その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タール等も好適に用いられる。
その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タール等も好適に用いられる。
このようなβ型炭化ケイ素微粉体、あるいは炭化ケイ素前駆体は、得られる炭化ケイ素単結晶が必要な機能を有するためには、金属不純物が1ppm以下の高純度のものを使用することが好ましい。
このβ型炭化ケイ素微粉体における遊離炭素の含有率は、0.1質量%以下であることが好ましい。また、このβ型炭化ケイ素微粉体における遊離炭素の含有率が0.1質量%を超える場合には、予め大気中にて熱処理を行って微粉体中の遊離炭素を燃焼除去し、遊離炭素の含有率を0.1質量%以下とすることが好ましい。
一方、上記の炭化ケイ素前駆体に含まれる炭素原子(C)とケイ素原子(Si)のモル比(C/Si比)は、2.0以上かつ3.0以下が好ましく、より好ましくは2.2以上かつ2.7以下である。
ここで、C/Si比を2.0以上かつ3.0以下とした理由は、C/Si比が2.0未満では、炭化ケイ素にならないSi源の量が多くなり、したがって、Si源が無駄になってしまうからであり、一方、C/Si比が3.0を超えると、β型炭化ケイ素微粉体を生成した段階で遊離炭素が残ってしまい、このβ型炭化ケイ素微粉体の粒成長を阻害するからである。
ここで、C/Si比を2.0以上かつ3.0以下とした理由は、C/Si比が2.0未満では、炭化ケイ素にならないSi源の量が多くなり、したがって、Si源が無駄になってしまうからであり、一方、C/Si比が3.0を超えると、β型炭化ケイ素微粉体を生成した段階で遊離炭素が残ってしまい、このβ型炭化ケイ素微粉体の粒成長を阻害するからである。
次いで、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を、非酸化性の雰囲気中にて加熱する。
加熱する装置としては、非酸化性の雰囲気中にて、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体からα型炭化ケイ素を生成することのできる熱処理炉が好適である。この非酸化性の雰囲気における圧力の制御範囲や最高使用温度は、使用する条件に合わせて適宜選択できることが好ましい。
加熱する装置としては、非酸化性の雰囲気中にて、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体からα型炭化ケイ素を生成することのできる熱処理炉が好適である。この非酸化性の雰囲気における圧力の制御範囲や最高使用温度は、使用する条件に合わせて適宜選択できることが好ましい。
具体的には、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を、熱処理炉の容器、例えば黒鉛製のルツボに投入し、次いで、この熱処理炉内をアルゴン等の不活性ガス、あるいは窒素ガス中に水素を僅かに含む還元性ガス等の非酸化性ガスにて置換して非酸化性の雰囲気とし、次いで、所定の温度まで昇温させ、この所定の温度にて焼成する。
ここで、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体の投入に際しては、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体から効率よくα型炭化ケイ素粉体を得るためには、充填密度を高くすることが好ましい。
例えば、β型炭化ケイ素微粉体を用いる場合には、投入前に、このβ型炭化ケイ素微粉体を加圧成形することにより、圧縮されて所定の形状とされた成形体とすることが好ましい。
例えば、β型炭化ケイ素微粉体を用いる場合には、投入前に、このβ型炭化ケイ素微粉体を加圧成形することにより、圧縮されて所定の形状とされた成形体とすることが好ましい。
このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体の充填密度、あるいは成形体の密度は、1g/cm3以上が好ましい。
ここで、充填密度または成形体密度を1g/cm3以上とした理由は、密度を上記の範囲とすることで、粒子同士が十分に接触することができ、したがって、均一かつ効率的な粒成長を行うことができるからである。
なお、充填密度または成形体密度は、高いほど良いが、一般的には、理論密度の70%程度が上限である。
ここで、充填密度または成形体密度を1g/cm3以上とした理由は、密度を上記の範囲とすることで、粒子同士が十分に接触することができ、したがって、均一かつ効率的な粒成長を行うことができるからである。
なお、充填密度または成形体密度は、高いほど良いが、一般的には、理論密度の70%程度が上限である。
次いで、このβ型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を、所定の昇温速度にて加熱し、所定の温度、例えば、2000℃以上かつ2400℃以下の範囲の温度にて、1分以上かつ24時間以下保持し、焼成する。
ここで、昇温速度としては、特に制限は無いが、例えば、炭化ケイ素前駆体を用いる場合、炭化ケイ素前駆体が化学反応を起こして炭化ケイ素が生成する温度範囲(1600℃〜1800℃)では、0.1℃/分以上かつ10℃/分以下とすることが好ましい。
また、1000℃以下の温度領域にて炭化ケイ素前駆体からの揮発成分の量が多い場合には、1000℃以下の温度にて一旦予備焼成を行って揮発成分を取り除くことが好ましい。
また、1000℃以下の温度領域にて炭化ケイ素前駆体からの揮発成分の量が多い場合には、1000℃以下の温度にて一旦予備焼成を行って揮発成分を取り除くことが好ましい。
この焼成時の雰囲気は、炭化ケイ素が酸化されない雰囲気であることが必要であり、不活性雰囲気または還元性雰囲気である非酸化性雰囲気が好ましく、特にアルゴンガスまたは窒素ガスとすることが好ましい。
特に、炭化ケイ素前駆体を用いる場合、この炭化ケイ素前駆体からβ型炭化ケイ素微粒子が生成する際に発生する一酸化炭素を炉外へ排出して燃焼させ、無害化することが好ましい。
特に、炭化ケイ素前駆体を用いる場合、この炭化ケイ素前駆体からβ型炭化ケイ素微粒子が生成する際に発生する一酸化炭素を炉外へ排出して燃焼させ、無害化することが好ましい。
この雰囲気における圧力の制御は、室温(25℃)から行ってもよく、β型からα型への相転移が始まる1800℃以上で行ってもよい。
例えば、炭化ケイ素前駆体を用いる場合、この炭化ケイ素前駆体が反応してβ型炭化ケイ素を生じさせる1800℃以上の温度から雰囲気圧力の制御を行うことが好ましい。
雰囲気圧力の制御は、少なくとも1800℃以上から始め、保持温度に達した後、この保持温度を保持し終わるまで行うことが好ましい。
なお、圧力は、昇温中および保持中共に、適宜変化させることができる。
例えば、炭化ケイ素前駆体を用いる場合、この炭化ケイ素前駆体が反応してβ型炭化ケイ素を生じさせる1800℃以上の温度から雰囲気圧力の制御を行うことが好ましい。
雰囲気圧力の制御は、少なくとも1800℃以上から始め、保持温度に達した後、この保持温度を保持し終わるまで行うことが好ましい。
なお、圧力は、昇温中および保持中共に、適宜変化させることができる。
この雰囲気の圧力については、大気圧よりも高い圧力、大気圧よりも低い圧力、のいずれかにより保持温度まで昇温してもよいが、雰囲気圧力を高くすると相転移温度が高くなるので、大きな粒子のα型炭化ケイ素粉体を得るためには、雰囲気圧力を高くすることが好ましい。
また、大気圧下にて相転移させるよりも小さな粒子のα型炭化ケイ素粉体を得る場合には、雰囲気圧力を大気圧よりも低くし、相転移温度を下げることが好ましい。
また、大気圧下にて相転移させるよりも小さな粒子のα型炭化ケイ素粉体を得る場合には、雰囲気圧力を大気圧よりも低くし、相転移温度を下げることが好ましい。
保持温度については、上述した2000℃以上かつ2400℃以下の範囲の温度にて、適宜設定することができる。
β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素へ相転移が生じる温度以上を保持温度としても良いが、保持温度を相転移温度以下とし、この保持温度に到達した時点では相転移が生じず、この保持温度を保ったまま雰囲気圧力を下げることで、相転移を開始させることが好ましい。
β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素へ相転移が生じる温度以上を保持温度としても良いが、保持温度を相転移温度以下とし、この保持温度に到達した時点では相転移が生じず、この保持温度を保ったまま雰囲気圧力を下げることで、相転移を開始させることが好ましい。
この保持温度における雰囲気圧力は、温度と異なり、容器内全体にほぼ同時に加わるので、容器内のβ型炭化ケイ素全体を同時に相転移させることができ、より均一で大きな粒子系のα型炭化ケイ素粉体が得易くなる。
この相転移時の雰囲気圧力は、保持温度の保持開始時の圧力よりも低ければよく、特に制限は無いが、例えば、保持温度と同じ温度にて相転移する場合には、低い圧力ほど大きな粒子が得易くなり、炭化ケイ素に含まれる不純物を効率よく除去することができる。
この相転移時の雰囲気圧力は、保持温度の保持開始時の圧力よりも低ければよく、特に制限は無いが、例えば、保持温度と同じ温度にて相転移する場合には、低い圧力ほど大きな粒子が得易くなり、炭化ケイ素に含まれる不純物を効率よく除去することができる。
この雰囲気圧力の制御に特に制限は無いが、保持温度の間、大気圧よりも高い圧力を保持する場合には、大気圧以上かつ107Pa以下とすることが好ましく、また、大気圧よりも低い圧力を保持する場合には、102Pa以上かつ大気圧以下とすることが好ましい。
ここで、雰囲気圧力の下限値を102Paとしたのは、雰囲気圧力が102Pa未満では、相転移時に装置外へ揮発する炭化ケイ素が増え、単結晶原料を得る収率が悪くなるからである。
ここで、雰囲気圧力の下限値を102Paとしたのは、雰囲気圧力が102Pa未満では、相転移時に装置外へ揮発する炭化ケイ素が増え、単結晶原料を得る収率が悪くなるからである。
この相転移温度にてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素へ相転移する際に、急激に粒成長する。さらに雰囲気圧力を制御することにより、相転移が生じる温度を制御し、炭化ケイ素単結晶の原料に適した粒子径の大きなα型炭化ケイ素粉体の粒径制御を行うことができる。
さらに、相転移する際の雰囲気圧力を制御することにより、効率よく不純物を除去することができる。
さらに、相転移する際の雰囲気圧力を制御することにより、効率よく不純物を除去することができる。
[炭化ケイ素単結晶]
本実施形態の炭化ケイ素単結晶は、本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長してなる炭化ケイ素単結晶である。
この炭化ケイ素単結晶は、不純物及び欠陥が少なくかつ均質である。
本実施形態の炭化ケイ素単結晶は、本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長してなる炭化ケイ素単結晶である。
この炭化ケイ素単結晶は、不純物及び欠陥が少なくかつ均質である。
以上説明したように、本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法によれば、β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱してβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させる際に、この雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御するので、生成するα型炭化ケイ素粉体の粒子径を炭化ケイ素単結晶の原料に適した100μm以上かつ300μm以下の粒子径に制御することができ、効率よく目的の粒子径を有するα型炭化ケイ素粉体を得ることができる。
また、β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素に相転移する際の雰囲気の圧力を変化させるので、生成するα型炭化ケイ素粉体から不純物を除去することができる。
さらに、雰囲気の圧力を減圧すれば、効率よく不純物を除去することができる。
また、β型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素に相転移する際の雰囲気の圧力を変化させるので、生成するα型炭化ケイ素粉体から不純物を除去することができる。
さらに、雰囲気の圧力を減圧すれば、効率よく不純物を除去することができる。
本実施形態の炭化ケイ素単結晶によれば、本実施形態のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長したので、不純物及び欠陥が少なくかつ均質である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1」
炭化ケイ素原料として、平均粒子径が1μm、金属不純物が1ppm以下のβ型の炭化ケイ素微粉体を用いた。
この炭化ケイ素微粉体を加圧成形して、成形体密度を1.3g/cm3とした後、黒鉛製のルツボに充填した。
次いで、アルゴン雰囲気中にて熱処理を行える熱処理炉を用い、雰囲気圧力を106Paとして2100℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を104Paとして2時間保持し、実施例1の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は140μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
炭化ケイ素原料として、平均粒子径が1μm、金属不純物が1ppm以下のβ型の炭化ケイ素微粉体を用いた。
この炭化ケイ素微粉体を加圧成形して、成形体密度を1.3g/cm3とした後、黒鉛製のルツボに充填した。
次いで、アルゴン雰囲気中にて熱処理を行える熱処理炉を用い、雰囲気圧力を106Paとして2100℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を104Paとして2時間保持し、実施例1の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は140μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例2」
実施例1の保持温度を2100℃から2400℃に変更した以外は、実施例1に準じて実施例2の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は280μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1の保持温度を2100℃から2400℃に変更した以外は、実施例1に準じて実施例2の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は280μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例3」
実施例1の保持温度を2100℃から2300℃に変更した以外は、実施例1に準じて実施例3の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は480μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1の保持温度を2100℃から2300℃に変更した以外は、実施例1に準じて実施例3の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は480μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例4」
実施例3にて2300℃にて2時間保持した後の雰囲気圧力を大気圧とした以外は、実施例3に準じて実施例4の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は278μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例3にて2300℃にて2時間保持した後の雰囲気圧力を大気圧とした以外は、実施例3に準じて実施例4の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は278μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例5」
実施例1の雰囲気圧力を2×105Paとして2100℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を103Paとして2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例5の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は233μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1の雰囲気圧力を2×105Paとして2100℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を103Paとして2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例5の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は233μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例6」
実施例1の雰囲気圧力を大気圧のまま2000℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を103Paとして2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例6の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は147μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1の雰囲気圧力を大気圧のまま2000℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を103Paとして2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例6の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は147μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「実施例7」
実施例1の雰囲気圧力を107Paとして2400℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を大気圧に戻して2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例7の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は560μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1の雰囲気圧力を107Paとして2400℃まで昇温して2時間保持した後、雰囲気圧力を大気圧に戻して2時間保持した以外は、実施例1に準じて実施例7の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は560μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「比較例1」
実施例1にて雰囲気圧力の制御を行わず、雰囲気圧力を大気圧として2100℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例1の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型とβ型が混在していた。また、平均粒子径は41μmであり、粒子径の粒度分布曲線を見ると、80μmと7μmに2つのピークが認められた。
実施例1にて雰囲気圧力の制御を行わず、雰囲気圧力を大気圧として2100℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例1の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型とβ型が混在していた。また、平均粒子径は41μmであり、粒子径の粒度分布曲線を見ると、80μmと7μmに2つのピークが認められた。
「比較例2」
実施例3にて雰囲気圧力の制御を行わず、大気圧下、2300℃にて4時間保持した以外は、実施例3に準じて比較例2の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は80μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例3にて雰囲気圧力の制御を行わず、大気圧下、2300℃にて4時間保持した以外は、実施例3に準じて比較例2の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は80μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「比較例3」
実施例3にて雰囲気圧力の制御を行わず、大気圧下、2450℃にて4時間保持した以外は、実施例3に準じて比較例3の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は83μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例3にて雰囲気圧力の制御を行わず、大気圧下、2450℃にて4時間保持した以外は、実施例3に準じて比較例3の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は83μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「比較例4」
実施例1にて雰囲気圧力を室温から5×104Paとし、2200℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例4の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は90μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
実施例1にて雰囲気圧力を室温から5×104Paとし、2200℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例4の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はα型であり、平均粒子径は90μm、金属不純物は0.1ppm以下であった。
「比較例5」
実施例1にて雰囲気圧力を室温から106Paとし、2200℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例5の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はβ型であり、平均粒子径は10μmであった。
実施例1にて雰囲気圧力を室温から106Paとし、2200℃にて4時間保持した以外は、実施例1に準じて比較例5の炭化ケイ素粉体を得た。
この炭化ケイ素粉体の結晶相はβ型であり、平均粒子径は10μmであった。
Claims (5)
- β型炭化ケイ素または炭化ケイ素前駆体を非酸化性の雰囲気中にて加熱し、前記β型炭化ケイ素、または前記炭化ケイ素前駆体から生成するβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させて生成するα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法であって、
前記雰囲気の圧力を変化させてβ型炭化ケイ素からα型炭化ケイ素への相転移温度を制御し、平均粒子径が10μm以上のα型炭化ケイ素粉体を生成することを特徴とするα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法。 - 前記雰囲気の圧力を2×105Pa以上かつ107Pa以下の範囲で変化させることにより、前記相転移温度を2000℃以上かつ2400℃以下の範囲で制御することを特徴とする請求項1記載のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法。
- 前記加熱により2000℃以上かつ2400℃以下の温度まで昇温させ、次いで、この温度を保持したまま雰囲気の圧力を低下させてβ型炭化ケイ素をα型炭化ケイ素に相転移させることを特徴とする請求項1または2記載のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法。
- 生成する前記α型炭化ケイ素粉体の平均粒子径は100μm以上かつ300μm以下、かつ金属不純物の含有率は1ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載のα型炭化ケイ素粉体の粒径制御方法により粒径が制御されたα型炭化ケイ素粉体を用いて結晶成長してなることを特徴とする炭化ケイ素単結晶。
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