JP2011097783A - 回転電機のロータ - Google Patents

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健 武田
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Abstract

【課題】多層化された永久磁石を有する埋込磁石型の回転電機のロータにおいて、フラックスバリアの形状を適正にすることで出力向上を図る。
【解決手段】径方向に間隔をあけて形成された表面側フラックスバリアと中心側フラックスバリアとを各極に有し、各フラックスバリアが、それぞれ表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとを埋設する磁石埋設部42、52と磁石埋設部の回転方向両側に位置する側方バリア部43、44、53、54とからなり、表面側永久磁石と中心側永久磁石が径方向に直交する方向で互いに平行となっている。表面側フラックスバリアの側方バリア部と中心側フラックスバリアの側方バリア部との間の最短距離よりも表面側永久磁石と中心側永久磁石との間の距離の方が大きい。
【選択図】図3

Description

本発明は、永久磁石同期型の回転電機を構成するフラックスバリアを形成したロータ
に関する。
フラックスバリアを形成した埋込磁石同期モータ(IPMSM)のトルクは、マグネットトルクとリラクタンストルクとを足し合わせたものとなり、リラクタンストルクはq軸インダクタンスとd軸インダクタンスとの差に比例し、マグネットトルクは埋設永久磁石によるステータ鎖交磁束に比例することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この非特許文献1には、さらに、永久磁石を多層にすることも開示されている。永久磁石の多層化によるd軸インダクタンスはほとんど変化せず、q軸インダクタンス、永久磁石の電機子鎖交磁束は大幅に増加するが、永久磁石の層数が2層以上では、q軸インダクタンス及び永久磁石の電機子鎖交磁束の増加の割合が非常に小さくなり飽和に傾向を示すことが記載されている。
埋込磁石型回転電機の回転子として、磁石収容孔の周方向両側のバリアを磁石収容孔の周方向両側の側面の最深点である側端を通過する接線よりも径方向反ステータ側に深堀り部を設けることにより、高速回転時の出力の向上を図ったものも知られている(特許文献1参照)。この特許文献1では、磁石側方のバリアを磁石より深く掘り込むことにより出力を向上させることを課題達成としているが、永久磁石を多層化することは開示されておらず、多層化された永久磁石を有する構造における出力向上は課題とされていない。
さらに、回転子の内部に複数個の所定厚みの永久磁石を装着するとともに、各永久磁石の周方向の端部に連続させて、回転子の表面近傍まで延び、かつ永久磁石の厚みよりも大きい周方向長さの非磁性部を有することにより、鉄損と銅損を共に減少させて高効率化を達成しようとする技術も知られている(特許文献2参照)。なお、この特許文献2には、断面円弧状の永久磁石の外側にも断面円弧状の補助的な永久磁石をさらに設けた回転子が開示されている。しかしながら、この補助的な永久磁石に対してはフラックスバリアが考慮されておらず、実質的には、単一層の永久磁石を有するものと同じ考えが適用されており、多層化された永久磁石を有する構造における出力向上は課題とされていない。
特開2005‐341655号公報(段落番号〔0007−0009〕、図1) 特開2002−44888号公報(段落番号〔0011、0107−0110〕、図1、図19)
武田洋次ほか著、「埋込磁石同期モータの設計と制御」、オーム社、頁9-13、89-94
上記実情に鑑み、本発明の目的は、多層化された永久磁石を有する埋込磁石型の回転電機のロータにおいて、フラックスバリアの形状を適正にすることで出力向上を図ることである。
上記目的を達成するため、本発明による、永久磁石多層化構造を有する回転電機のロータは、回転軸心の径方向に間隔をあけて形成された表面側フラックスバリアと中心側フラックスバリアとを各極に有し、前記表面側フラックスバリアと前記中心側フラックスバリアとが、それぞれ永久磁石を埋設する磁石埋設部と前記磁石埋設部の回転方向両側に位置する側方バリア部とからなり、前記表面側フラックスバリアの磁石埋設部に埋設される表面側永久磁石と前記中心側フラックスバリアの磁石埋設部に埋設される中心側永久磁石が径方向に直交する方向で互いに平行となるように前記磁石埋設部が形成され、前記表面側フラックスバリアの側方バリア部と前記中心側フラックスバリアの側方バリア部との間の最短距離よりも前記表面側永久磁石と前記中心側永久磁石との間の距離の方が大きくなるように構成されている。
なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
上述した本発明の構成における重要な視点は、側方バリア部の間はいわゆるq軸磁束を通すだけで十分であるのに対して、永久磁石の間、つまり磁石埋設部の間はq軸磁束だけでなく永久磁石からの磁束も通す必要があり、十分な磁束経路が確保されないと磁気飽和が生じるということである。この視点を考慮した本発明の構成によれば、表面側永久磁石と前記中心側永久磁石との間に作り出される磁束経路のための領域に対して十分な幅を確保することができるのでその領域でステータ巻線からの磁束と磁石から発生する磁束とが交差することによる磁気飽和は抑制される。これにより、q軸インダクタンス:Lqとd軸インダクタンス:Ldとの差:(Lq−Ld)の適正化を行い、最大トルクを向上させることが可能となった。
このような回転電機のロータにおいて、前記中心側フラックスバリアにおける前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域の径方向長さは前記中心側永久磁石の径方向の厚みより大きく、当該側方バリア部の前記境界領域の表面側縁辺は前記中心側永久磁石の表面側縁辺より径方向表面側に位置するように構成すると好適である。この構成により、前記表面側永久磁石と前記中心側永久磁石との間の距離を長くすることができるとともに、d軸インダクタンス:Ldが低減できるので、差:(Lq−Ld)も大きくなり、最大トルクの向上が可能となる。また、側方バリア部の径方向長さを大きくすることにより、磁石漏れ磁束が低減し、磁石トルクが向上する。
上述した回転電機のロータの構成において、さらに、前記中心側フラックスバリアにおける前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域が、前記中心側永久磁石の径方向断面積より径方向断面積が大きい部分を有するように構成することも好適である。永久磁石からロータ表面に延びていくフラックスバリアにおける側方バリア部の磁石埋設部に対する境界領域の径方向断面積が永久磁石の径方向断面積より大きい部分を有するという寸法形状は、表面側永久磁石と中心側永久磁石との間の磁束経路の幅を長くするという可能性を与える。また、d軸インダクタンス:Ldを小さくすることで、軸インダクタンス:Lqとd軸インダクタンス:Ldとの差:(Lq−Ld)を大きくすることができる。
表面側永久磁石と中心側永久磁石との間を通過するq軸磁束経路に関して、表面側永久磁石と中心側永久磁石との間の磁束経路領域から中心側に位置する段差をもって永久磁石から離れていく磁束経路領域を作り出して、q軸インダクタンス:Lqとd軸インダクタンス:Ldとの差:(Lq−Ld)を調整することが考えられる。これを実現するため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域は前記磁石埋設部の周方向端から径方向で表面側に立ち上がった立ち上り部を有するように構成されている。このような構成の結果、q軸磁束と磁石磁束の2つの磁束の通り道となる磁束経路以外はフラックスバリアとなり、このことがd軸磁束を阻害して、d軸インダクタンス:Ldを小さくする。
本発明によるロータは、複数層でフラックスバリアを形成する構成を採用しているので、強度的な問題が生じる可能性がある。このような問題を解消するため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記側方バリア部を作り出している境界周壁の径方向に対向する壁間をつなぐ径方向ブリッジが前記側方バリア部に設けられている。
埋込永久磁石としては、磁力が強いネオジム磁石を用いるのが好適であり、その際、ネオジム磁石の成形性や、フラックスバリアが打ち抜き加工で形成されることを考慮すると、永久磁石が同一形状であるとともに軸方向に対する横断面が矩形であることが好ましい。しかしながら、本発明において、埋込永久磁石としてネオジム磁石を限定しているわけではなく、他の磁石材料を用いることも可能である。さらに、前記磁石埋設部を挟んで前記磁石埋設部の両側に位置する前記側方バリア部は互いに径方向線に対して対称となる形状を有するように構成すると、特にフラックスバリアを打ち抜き加工で形成する場合に好都合であるし、磁束線も対称となることからモータ制御に関しても好都合である。
表面側の永久磁石と中心側の永久磁石との間を流れるq軸磁束経路がロータ表面においてステータのティースに移行することを考慮すると、q軸磁束経路のスムーズな流れを確保するためには、前記表面側フラックスバリアの側方バリア部と前記中心側フラックスバリアの側方バリア部との間の最短長さが対応する回転電機のステータのティース一本分の周方向長さより長い構成、好ましくは当該最短長さが1ピッチ分程度ある構成が好適である。
本発明に係るロータを構成要素とする回転電機の断層図解部分を含む斜視図である。 回転電機の平面図である。 回転電機の一部を示す拡大平面図である。 2層の永久磁石の間隔と、(Lq−Ld)及び最大トルクとの関係をダイアグラムで示している説明図である。 ロータの駆動回転時に作り出される磁束を示す磁束線図であり、(a)は磁石磁束を示し、(b)は巻線磁束を示す磁束線図であり、(c)は磁石磁束と巻線磁束を組み合わせたものである。
本発明の実施形態に係る回転電機1のロータ2について図面を用いて説明する。図1に示すように、この回転電機1は回転軸心Xを有する、埋込磁石構造の同期電動機(IPMSM)として構成されており、ロータ2とステータ6を備えている。以下、特に断らない限り、「軸方向」、「径方向」、「周方向」というときは、軸心Xの「軸方向」、「径方向」、「周方向」を指すものとする。ロータ2には複数の永久磁石3が埋設されており、ステータ6はステータコイル61が装着されている。ステータ6は、図示しないケースの内面に固定されている。ステータ6は、ステータコイル61とステータコア62とを有している。ステータコア62は、内周面側に周方向に一定間隔で複数のティース64を形成しており、そのティース64の間に溝状のスロット63を作り出している。ステータコイル61は、これら複数のスロット63内に巻装される。本実施形態では、ステータコア62は、複数枚の電磁鋼板を積層して構成されており、略円筒状に形成されている。
ロータ2は、略円筒状のロータコア4と、このロータコア4の軸方向両端側に取り付けられるエンドプレート4aを備えている。また、図示は省略するが、ロータ2は、ロータコア4と一体回転するように固定されたロータ軸を備えており、このロータ軸はケースに回転軸心X周りで回転可能に支持されている。ロータコア4は、薄板電磁鋼板などから打ち抜き加工等によって略円環板状に成形されたコア形成用打抜プレート(以下単にロータプレートと略称する)4を多数枚軸方向に層積することにより略円筒形状に構成されたものである。
図2と図3に示されているように、ロータ2を構築するロータプレート40は、周方向で複数の同一の形状と形態を有するセクタ(区画)に、この実施形態では8つのセクタに区分けされているとみなすことができる。従って、ここでは、1つのセクタの構成だけを説明する。このセクタには、回転軸心Xの径方向に間隔をあけて形成された、表面側フラックスバリア41と、中心側フラックスバリア51が形成されている。表面側フラックスバリア41はロータ2の外周面の近傍に位置おり、中心側フラックスバリア51はロータ2の外周面の近傍であるが、表面側フラックスバリア41よりは回転軸心X側(径方向内側)に位置している。表面側フラックスバリア41は、矩形断面を有する表面側永久磁石3Aが埋設される表面側磁石埋設部42と、回転方向に沿ってこの表面側磁石埋設部42の両側に接続する表面側側方バリア部とからなる。この2つの表面側側方バリア部のうち、図3において反時計方向の回転方向で表面側磁石埋設部42の前方側に位置する方を表面側第1側方バリア部43と称し、その回転方向で後方側に位置する方を表面側第2側方バリア部44と称するが、特別に区別する必要がない場合には単に表面側側方バリア部という名称を用いる。同様に、中心側フラックスバリア51は、矩形断面を有する中心側永久磁石3Bが埋設される中心側磁石埋設部52と、中心側磁石埋設部52の両側に接続する表面側側方バリア部とからなる。この2つの中心側側方バリア部のうち、図3において反時計方向の回転方向で中心側磁石埋設部52の前方側に位置する方を中心側第1側方バリア部53と称し、その回転方向で後方側に位置する方を中心側第2側方バリア部54と称するが、特別に区別する必要がない場合には単に中心側側方バリア部という名称を用いる。
表面側磁石埋設部42には表面側永久磁石3Aが、中心側磁石埋設部52には中心側永久磁石3Bが、実質的に隙間なく埋設されるので、表面側磁石埋設部42と表面側永久磁石3Aとの形状寸法、及び中心側磁石埋設部52と中心側永久磁石3Bとの形状寸法は実質的に同一であり、軸方向に対する横断面形状(軸方向に直交する断面の形状)がともに矩形となっている。また、表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとは同一の断面形状となっている。そして、表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとは、回転軸心X方向から見て、径方向に直交する方向で互いに平行に延びるように形成されている。従って、表面側磁石埋設部42と中心側磁石埋設部52も同様に互いに平行に延びるように形成されている。
この実施形態では、径方向で2層に配置された表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bはロータ2の径方向に磁化されており、このように2層に配置された永久磁石セット3が、ロータ2の周方向に沿ってステータ6に対する極性が交互に反対となるようにされている。すなわち、ロータ2の径方向外側から見て、ロータ2の周方向に沿ってN極とS極とが交互に表れるように各永久磁石セットの極性が設定されている。すなわち、このような永久磁石セット3の各極に対応して表面側フラックスバリア41及び中心側フラックスバリア51が設けられている。
この実施形態では、図3から理解できるように、軸心X方向からみた、表面側永久磁石3A及び中心側永久磁石3Bの長さは、ステータコア62のティース64の約2ピッチ分となっている。また、表面側フラックスバリア41の表面側第1側方バリア部43および表面側第2側方バリア部44は、その先端がステータコア62のスロット63の方に臨むように延びており、両先端の距離はティース64の約3ピッチ分となっている。これに対して、中心側フラックスバリア51の中心側第1側方バリア部53および中心側第2バリア部54もその先端がステータコア62のスロット63の方に臨むように延びており、両先端の距離はティース64の約5ピッチ分となっている。従って、表面側フラックスバリア41と、中心側フラックスバリア51の間を通って作り出されるq軸磁束経路の両先端の距離は約4ピッチ分となっている。その結果、中心側フラックスバリア51は全体として回転軸心X側(径方向内側)に向かって凸となった湾曲線にほぼ沿う配置となっている。表面側フラックスバリア41は中心側フラックスバリア51ほど明確ではないが、回転軸心X側に向かって凸となった湾曲線にほぼ沿う傾向を有している。
表面側フラックスバリア41と中心側フラックスバリア51との間を通るq軸磁束経路は、表面側磁石埋設部42と中心側磁石埋設部52とに挟まれた領域内に位置する中間磁束経路とその回転方向(周方向)両側に位置する側方磁束経路とからなる。この実施形態では、表面側磁石埋設部42を挟んで表面側第1側方バリア部43と表面側第2側方バリア部44とは互いに径方向線に対して対称となる形状を有し、中心側磁石埋設部52を挟んで中心側第1側方バリア部53と中心側第2側方バリア部54とは互いに径方向線に対して対称となる形状を有している。
さらにこのロータ2を特徴付けているのは、表面側フラックスバリア41の表面側第1側方バリア部43または表面側第2側方バリア部44と、中心側フラックスバリア51の中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54との間の距離:D2よりも表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の距離:D1の方が大きいことである。
さらに、図3からも明らかなように、中心側フラックスバリア51における中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54の中心側磁石埋設部52に対する境界領域Sの径方向長さは、この実施の形態では、中心側永久磁石3Bの径方向の厚みより大きく設定されている。ここで述べられている境界領域Sとは、中心側フラックスバリア51における中心側磁石埋設部52から中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54へ移行する領域であり、図3の拡大図示部から理解できるように、中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54における、中心側永久磁石3Bの側辺よりロータ2の表面に至る長さの中心側永久磁石側の約三分の一の長さを有すると定義することができる。また、この中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54の上記境界領域Sの表面側縁辺は中心側永久磁石3Bの表面側縁辺より径方向表面側(径方向の外側)に位置するように配置されている。その径方向断面積で言えば、中心側フラックスバリア51における中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54の中心側磁石埋設部52に対する境界領域は、中心側永久磁石3Bの径方向断面積より径方向断面積が大きい部分を有している。図3の拡大図示部から明らかなように、上述した中心側フラックスバリア51の寸法形状から、中心側第1側方バリア部53または中心側第2側方バリア部54の中心側磁石埋設部52に対する境界領域Sは、中心側磁石埋設部52の周方向端から径方向で表面側に立ち上がった立ち上り部S1を含んでいる。立ち上り部S1は、中心側永久磁石3Bの表面側縁辺に対してほぼ直角に立ち上がるように形成されている。立ち上り部S1のロータ径方向表面側端部はロータ径方向にほぼ直交する面に接続している。また、この立ち上がり部S1の径方向の立ち上がり高さは中心側永久磁石3Bの厚さと同じかそれより大きくなっている。さらに、この立ち上がり部S1の回転軸心X側には立ち下がり部S2が形成されている。立ち上がり部S1と立ち下がり部S2とは、中心側磁石埋設部52の両側に設けられており、各立ち下がり部S2と中心側磁石埋設部52との境界面に突起57、58が形成され、中心側永久磁石3Bの位置固定用に利用される。同様に、表面側磁石埋設部42のその両側の表面側第1・第2側方バリア部43、44との境界面にも表面側永久磁石3Aの位置固定のための突起が設けられている。
また、表面側フラックスバリア41の表面側第1側方バリア部43と中心側フラックスバリア51の中心側第1側方バリア部53との間の最短距離、及び表面側フラックスバリア41の表面側第2側方バリア部44と中心側フラックスバリア51の中心側第2側方バリア部54との間の最短距離は、ステータ6のティース64の一本分の周方向長さとほぼ同じかそれより長くなっている。つまり、ロータ2における、q軸磁束経路の表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間のq軸磁束経路領域である中間磁束経路を除くq軸磁束経路領域である側方磁束経路の最も狭い幅は、ティース64の一本分の周方向長さとほぼ同じかそれより長くなっている。これにより、またティース64からのq軸磁束が適切にq軸磁束経路を通ることができる。
上述した、表面側フラックスバリア41及び中心側フラックスバリア51の形状寸法により、前記q軸磁束経路は、各ティース64からの磁束の通り道として十分な断面積を確保しており、その上で、中間磁束経路は側方磁束経路よりも断面積が拡大されていることになる。言い換えると中間磁束経路の断面積は各ティース64からの磁束を通すための断面積よりもさらに大きい断面積が確保されていることになる。これによりこの領域でq軸磁束と永久磁石3からの磁束とが交差することによる磁気飽和が抑制される。その結果、q軸インダクタンス:Lqがd軸インダクタンス:Ldに較べて高くなり、q軸インダクタンス:Lqとd軸インダクタンス:Ldの差が大きくなる。その結果、モータトルクが改善されるので、従来に比べ、同じトルクを確保しつつ、永久磁石を減らしたり、同じ永久磁石の量でトルクを増大させたりすることができる。
中心側第1側方バリア部53及び中心側第2側方バリア部54の断面は、強度的に無視できない程度の大きさを有しているので、この実施の形態では、それぞれの側方バリア部53、54を作り出している境界周壁の径方向に対向する壁間をつなぐように径方向ブリッジ55及び56が中心側第1側方バリア部53及び中心側第2側方バリア部54のそれぞれに設けられている。なお、ロータプレート4におけるこの径方向ブリッジ55及び56は、中心側第1側方バリア部53及び中心側第2側方バリア部54が打ち抜き加工等によって成形された後の残り部として形成されるので、ロータプレート4と同じ厚さを有する。このように径方向に大きい中心側側方バリア部53、54にブリッジ55、56を設けているため、ブリッジ55、56の長さを長くして、永久磁石3からの磁束経路を長くし、漏れ磁束を低減できる。
上述したように、永久磁石同期モータ(PMSM)としての構成を有する回転電機1は、磁束障壁となるフラックスバリア41、51が設けられているので、周方向に沿って磁気的な突極性を有することになり、ロータ2の回転位置に応じてリラクタンスが変化してリラクタンストルクを発生する。また、ステータ6とロータ2の永久磁石3とによりマグネットトルクを発生する。従って、回転電機1のモータトルクは、マグネットトルクとリラクタンストルクとを足し合わせたものとなる。前述した非特許文献1によれば、モータトルク:Tは次式で表される。
[式1]
T= Pn・Φa・iq+Pn(Ld−Lq)id・iq
ここで、
Pn:極対数
Φa:永久磁石によるステータ鎖交磁束の実効値にルート3を乗算したもの
iq:q軸電流成分
id:d軸電流成分
Ld:d軸インダクタンス
Lq:q軸インダクタンス
この式1は、電流ベクトルの大きさ:Iaと位相:βを用いると次式で表される。
[式2]
T= Pn{Φa・Ia・cosβ+1/2(Lq−Ld)・Ia2・sin2β}
上記の2つのモータトルクの式において、第1項はマグネットトルクを表し、第2項は突極性によって生じるリラクタンストルクを表している。
式2から理解できるように、(Lq−Ld)が大きくなるように、バリアフラックス41、51の形状寸法を適切に決定することで、大きなモータトルクを出すことができる。例えば、本実施形態における上述したロータ構造において、2層目である中心側磁石埋設部52の径方向位置だけを変化させると、つまり結果的には中心側永久磁石3Bの径方向位置だけを変化させると、得られる最大トルクも変化する。以下、図4を用いてこのこと説明する。図4は、実験的に示された、中心側永久磁石3Bの異なる3つの径方向位置における最大トルクの変化を、各位置でのq軸インダクタンスとd軸インダクタンスの差(Lq−Ld)の変化とともに図示している。3つの径方向位置の1つは、図1〜図3を用いて説明した実施形態のものと同じで、表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の距離:D1が第1側方バリア部43、44または第2側方バリア部53、54の間の最短距離:D2、つまり前述した側方磁束経路の最小幅のほぼ1.5倍となっている。他の一つは、距離:D1が最短距離:D2とほぼ等しい位置関係であり、さらにもう一つは、距離:D1が最短距離:D2とほぼ2.3倍の位置関係である。
図4から実験結果からは、表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の距離:D1と第1側方バリア部43、44または第2側方バリア部53、54の間の最短距離:D2とが等しい形態に較べ、距離:D1を最短距離:D2より大きくすることにより、(Lq−Ld)が増大し、最大トルクが大きくなることが理解できる。特に、距離:D1を最短距離:D2の2倍程度にすることにより、トルク性能が最適となっている。
上記の現象の理由を、図5を用いて説明する。図5の(a)は駆動回転時の磁石磁束を示す磁束線図であり、図5の(b)は駆動回転時の巻線磁束を示す磁束線図であり、図5の(c)は磁石磁束と巻線磁束を組み合わせた磁束線図である。トルク発生時において、ロータ2には磁石磁束と巻線磁束との双方が通ることになり、特に表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の領域において磁石磁束と巻線磁束とが交差する。このため、この表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の領域である中間磁束経路で磁気飽和が生じやすくなる。そこで、距離:D1を最短距離:D2より大きくすること、つまり2層目の永久磁石3である中心側永久磁石3Bを下げることにより、表面側永久磁石3Aと中心側永久磁石3Bとの間の中間磁束経路の磁路断面積を十分なものとする。これにより、磁石磁束と巻線磁束の交差による磁気飽和の可能性を抑制することができ、その結果q軸インダクタンス:Lqの低下を防ぐことができる。
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、フラックスバリア及び永久磁石3が2層で配置されていたが、本発明では複数層であることが限定されているだけであり、それが2以外の多層で配置される構成は除外されていない。
(2)上記実施の形態では、永久磁石3及びフラックスバリアの磁石埋設部42、52は径方向に直交する方向に、つまりロータ2の接線方向に延びていたが、これに代えて、接線方向に対して傾斜する方向に延びるように配置してもよい。
(3)上記実施の形態では、側方バリア部53の開口空間を径方向にブリッジする径方向ブリッジ55、56が中心側第1側方バリア部53と中心側第2側方バリア部54のそれぞれに1本ずつ設けられていたが、複数本設けてもよい。
本発明によるロータ構造を有する回転電機は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両搭載回転電機だけでなく、種々の目的で利用されている回転電機に適用可能である。
2:ロータ
3:永久磁石
3A:表面側永久磁石
3B:中心側永久磁石
4:ロータコア
40:ロータプレート
41:表面側フラックスバリア
42:表面側磁石埋設部(磁石埋設部)
43:表面側第1側方バリア部(表面側側方バリア部)
44:表面側第2側方バリア部(表面側側方バリア部)
51:中心側フラックスバリア
52:中心側磁石埋設部(磁石埋設部)
53:中心側第1側方バリア部(中心側側方バリア部)
54:中心側第2側方バリア部(中心側側方バリア部)
55:径方向ブリッジ
56:径方向ブリッジ
57:突起
58:突起
6:ステータ
61:ステータコイル
62:ステータコア
63:スロット
64:ティース

Claims (8)

  1. 回転軸心の径方向に間隔をあけて形成された表面側フラックスバリアと中心側フラックスバリアとを各極に有し、前記表面側フラックスバリアと前記中心側フラックスバリアとが、それぞれ永久磁石を埋設する磁石埋設部と前記磁石埋設部の回転方向両側に位置する側方バリア部とからなり、前記表面側フラックスバリアの磁石埋設部に埋設される表面側永久磁石と前記中心側フラックスバリアの磁石埋設部に埋設される中心側永久磁石が径方向に直交する方向で互いに平行となるように前記磁石埋設部が形成され、
    前記表面側フラックスバリアの側方バリア部と前記中心側フラックスバリアの側方バリア部との間の最短距離よりも前記表面側永久磁石と前記中心側永久磁石との間の距離の方が大きい回転電機のロータ。
  2. 前記中心側フラックスバリアにおける前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域の径方向長さは前記中心側永久磁石の径方向の厚みより大きく、当該側方バリア部の前記境界領域の表面側縁辺は前記中心側永久磁石の表面側縁辺より径方向表面側に位置している請求項1に記載の回転電機のロータ。
  3. 前記中心側フラックスバリアにおける前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域は、前記中心側永久磁石の径方向断面積より径方向断面積が大きい部分を有している請求項1または2に記載の回転電機のロータ。
  4. 前記側方バリア部の前記磁石埋設部に対する境界領域は前記磁石埋設部の周方向端から径方向で表面側に立ち上がった立ち上り部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
  5. 前記側方バリア部を作り出している境界周壁の径方向に対向する壁間をつなぐ径方向ブリッジが前記側方バリア部に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
  6. 前記中心側永久磁石と前記表面側永久磁石の軸方向に対する横断面が矩形であって互いに同一形状である請求項1から5のいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
  7. 前記磁石埋設部を挟んで前記磁石埋設部の両側に位置する前記側方バリア部は互いに径方向線に対して対称となる形状を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
  8. 前記表面側フラックスバリアの側方バリア部と前記中心側フラックスバリアの側方バリア部との間の最短距離は、対応する回転電機のステータのティース一本分の周方向長さより長い請求項1から7のいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
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