JP2011093981A - パーフルオロポリエーテル化合物、およびこれを含有する潤滑剤 - Google Patents

パーフルオロポリエーテル化合物、およびこれを含有する潤滑剤 Download PDF

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Abstract

【課題】熱および化学的安定性に優れるパーフルオロポリエーテル化合物およびこれを用いた潤滑剤を提供する。
【解決手段】基本骨格が−C2yO−(yは1−4の整数)分子量が500〜10000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物およびこれを用いた潤滑剤。
Figure 2011093981

(式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1−2の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は新規な熱および化学的安定性に優れたパーフルオロポリエーテル化合物関し、さらに詳しくは、金属酸化物やルイス酸の存在下でも分解しにくいパーフルオロポリエーテル化合物およびそれを含有する潤滑剤に関する。
パーフルオロポリエーテルが、高い熱安定性を有し、それゆえ、酸化環境下、任意に金属の存在下、約200℃の温度までの過酷な作業条件下での多くの用途に対する潤滑剤、オイルもしくはグリースとして、または圧媒液として使用されることは、先行技術において公知である。しかしながら、パーフルオロポリエーテルは、200℃より高温、例えば230℃〜250℃で使用した場合、高い熱酸化安定性を示さない。この熱分解工程は、金属酸化物やルイス酸の存在により加速され、場合によっては、パーフルオロポリエーテル流体の全分解が生じる。これにより揮発性留分が形成され、蒸発し、潤滑剤が完全に消失する。
過酷な使用条件下、例えば200℃よりも高い温度で、任意に金属あるいは金属酸化物の存在下、パーフルオロポリエーテル構造を有するオイルおよびグリースの酸化に対する抵抗性が、特定の安定化添加剤を用いることにより改良され得ることは、先行技術において公知である。例えばアリールホスフィン基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を有する添加剤を挙げることができる。例えば、US特許第4,681,693号(特許文献1)である。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有しているが、それらは、無水で不活性な環境下、非常に低い温度、-70℃よりも低い温度を使用する方法で得られる欠点を有している。さらに、収率が低い。
先行技術に記載されている他の添加剤は、ホスホトリアジン基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を含んでいる。例えば、US特許第5,326,910号(特許文献2)である。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有する。しかしながら、上記添加剤の収率は低い。先行技術に記載されている他の添加剤は、ホスファゼン(アリールが置換した)基に結合したパーフルオロポリエーテル鎖を含んでいる。例えば、EP第597,369号(特許文献3)がある。これらの物質は良好な熱酸化安定性を有する。この場合も、これら添加剤の収率は低く、さらに、不活性な環境、可燃性および揮発性の無水溶媒のような、かなり手間のかかる方法あるいは条件が使用され、さらに発火の危険性を有する水素化ナトリウムが使用される。
上記のように、一般的に、先行技術の熱酸化安定化添加剤は、多工程の方法により製造される。複雑な合成によって、中間体化合物を製造することがしばしば必要であり、時により単離された中間体が毒性を示す。また収率が低く、工業的な問題点を包含する。さらに、先行技術に記載された添加剤の合成に使用される、例えばホスファゼン前駆体のような出発化合物は、高価な化合物であり、工業的に障害となる。
潤滑オイルとして使用されるパーフルオロポリエーテル化合物に関し、大きな分子量を有し、それにより種々の用途において要求されるような決められた粘度をもったパーフルオロポリエーテルオイルを、合成することは困難であった。公知の合成方法を用いて、大きな分子量を有する化合物を得ることは難しい。例えば、未精製反応生成物の蒸留の操作が必要である。また、先行技術では、大きな分子量のオイルを得るために、合成方法に加えて、さらになる工程、例えば分子蒸留器による蒸留を必要とする。
US特許第4,681,693号公報 US特許第5,326,910号公報 EP第597,369号公報
神奈川県産業技術センター報告 13巻、48−49頁(2007) 実験化学講座14巻 有機化合物の合成と反応(3) 1530頁(昭和53年)
熱および化学的安定性に優れ金属酸化物あるいはルイス酸の存在する酸化環境下、200℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃までの熱酸化環境下で高い安定性を有し、特定の耐熱耐酸化添加剤を用いることなく使用できる潤滑剤が必要である。
熱および化学的安定性に優れ金属酸化物あるいはルイス酸の存在する酸化環境下、200℃よりも高く、好ましくは250℃よりも高く、より好ましくは300℃までの熱酸化環境下でパーフルオロポリエーテルオイルおよびグリースを安定化する高い能力を有するパーフルオロポリエーテルオイルまたはグリース用の添加剤が必要である。
両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル(例えば、商品名: Fomblin Z 2000)を用いて片末端にホスファゼンを導入しようとした場合、両末端にホスファゼンを有する化合物が副生する。このために目的物を得るためには複雑な精製方法(例えば、超臨界炭酸を用いる抽出)を必要とし、この複雑な精製方法を経て得られる目的物の得率は低下する。このため、得られた潤滑剤は高価な材料となる。従って、複雑な精製工程を経ることなく、熱および科学的安定性に優れ高温にて金属酸化物あるいはルイス酸の存在下でも分解しにくい潤滑剤が必要である。
上記課題を解決するため種々の化合物を合成しその特性を検討した。その結果、パーフルオロポリエーテルの末端にある種の芳香族残基が導入されたフッ素化合物が上記課題を克服することを見出した。
即ち本発明は以下の発明に係わる。
(1) 基本骨格が−C2yO−(yは1−4の整数)分子量が500〜10000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物。
Figure 2011093981
(式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1−2の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
(2) 基本骨格が−C2yO−(yは1−4の整数)分子量が500〜10000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑剤。
Figure 2011093981
(式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1−2の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
本発明のパーフルオロポリエーテルは、−C2yO−(yは1−4の整数)が基本骨格であり、yとしては1−3が好ましい。パーフルオロポリエーテルの分子量は500〜10000であり、好ましくは1000ないし5000であり、少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有する。
Figure 2011093981
Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基を示す。
上記のハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
上記の置換されもよい炭化水素基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜16程度、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の炭素数3〜16程度、好ましくは3〜8の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等の炭素数2〜8程度、好ましくは2〜4のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基等の炭素数6〜20程度、好ましくは6〜12のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基等の炭素数7〜20程度、好ましくは7〜12のアラルキル基が挙げられる。
置換されてもよい炭化水素基において置換してもよい基として、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、ホスフィノ基、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素アミノ基、置換されてもよい炭化水素ホスフィノ基である。これらの中で置換されてもよい基は、ここに挙げる置換してもよい基で、さらに置換されてもよい。
上記の炭化水素オキシ基とは水酸基に前記の炭化水素基が置換された基である。
式(a)におけるzは0または1−2の実数を示し、好ましくは0または1である。
式(a)におけるAの2価の炭化水素基としては、メチレン基、1,1−エチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,2−ペンチレン基、1,2−へキシレン基、1,2−ノニレン基、1,2−ドデシレン基等の炭素数1〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルキレン基;1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,2−シクロノニレン基、1,2−シクロドデシレン等の炭素数3〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜6のシクロアルキレン基;1,1−エテニレン基、1,2−エテニレン基、1,2−エテニレンメチレン基、1−メチルー1,2−エテニレン基、1,2−エテニレンー1,1−エチレン基、1,2−エテニレンー1,2−エチレン基、1,2−エテニレンー1,2−プロピレン基、1,2−エテニレンー1,3−プロピレン基、1,2−エテニレンー1,4−ブチレン基、1,2−エテニレンー1,2−ブチレン基、1,2−エテニレンー1,2−ヘプチレン基、1,2−エテニレンー1,2−デシレン基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルケニレン基;エチニレン基、エチニレンメチレン基、エチニレンー1,1−エチレン基、エチニレンー1,2−エチレン基、エチニレンー1,2−プロピレン基、エチニレンー1,3−プロピレン基、エチニレンー1,4−ブチレン基、エチニレンー1,2−ブチレン基、エチニレンー1,2−ヘプチレン基、エチニレンー1,2−ドデシレン基等の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルキニレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、3−フェニルー1,2−フェニレン基、2,2’−ジフェニレン基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜16、より好ましくは6〜12のアリーレン基;1,2−フェニレンメチレン基、1,3−フェニレンメチレン基、1,4−フェニレンメチレン基、1,2−フェニレンー1,1−エチレン基、1,2−フェニレンー1,2−エチレン基、1,2−フェニレンー1,2−プロピレン基、1,2−フェニレンー1,3−プロピレン基、1,2−フェニレンー1,4−ブチレン基、1,2−フェニレンー1,2−ブチレン基、1,2−フェニレンー1,2−ヘキシレン基、メチレン―1,2−フェニレンメチレン基、メチレン―1,3−フェニレンメチレン基、メチレン―1,4−フェニレンメチレン基等の炭素数7〜20、好ましくは7〜16、より好ましくは7〜12のアリーレン基とアルキレン基からなる二官能炭化水素基があげられる。
Aの2価の炭化水素基において置換してもよい基とは、Xについてあげた1価の炭化水素基に置換してもよい基と同じ範囲の基であり、具体例、好ましい例も同じである。
上記Aにおける置換されてもよい2価の炭化水素基として、好ましくは炭素数2〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基およびアリーレン基とアルキレン基からなる二官能炭化水素基であり、より好ましくは炭素数2〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基とアルキレン基からなる二官能炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基とアルキレン基からなる二官能炭化水素基である。特に好ましくは1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基である。2価の炭化水素基において置換してもよい基とは、Xについてあげた1価の炭化水素基に置換してもよい基と同じ範囲の基であり、具体例、好ましい例も同じである。
本発明のパーフルオロポリエーテル化合物は、潤滑剤としての使用に好適であるが、組合せにて潤滑油として、又はグリース製造における成分として使用できる。この場合、潤滑組成物は、パーフルオロポリエーテル油に加えて、必須成分として、増ちょう剤(先行技術で公知の量)、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナトリウムテレフタラメート、カルシウム又はリチウムの石鹸、ポリ尿素などを含む。ASTM D 217に従って定義される異なる浸透度を有するグリースは、増ちょう剤に対するパーフルオロポリエーテル油の相対量に依存して得られる。潤滑グリース組成物に一般に含有される他の成分は、分散剤、例えば界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤、好ましくはパーフルオロポリエーテル又はパーフルオロアルキル構造を有する非イオン性界面活性剤;添加剤、例えばタルク又は無機充填剤である。更に、潤滑剤グリース組成物はまた、グリース処方物で一般に使用される添加剤、例えば防錆、酸化防止又は耐磨耗添加剤を含有することもできる。これら添加剤の量は、この分野で一般に使用される量である。
添加剤としては0.05%から10%まで、好ましくは5%まで、より好ましくは3%までの量で使用して、先行技術の公知のフッ素化油、好ましくはパーフルオロポリエーテル油に、所望の効果が付与される。
本発明のパーフルオロポリエーテル化合物は、冷凍機油・真空ポンプ油等の各種潤滑油、トランクション油、ブレーキ油、カップリング油等の各種作動油、自動車や航空機の計器類、プレイヤーのピックアップ等の防振油、ダッシュポットやショックアブソーバ等のダンパ油、感熱転写記録受像体、磁気記録媒体、磁気ヘッド、含浸軸受け等の潤滑剤、剥離剤、剥離剤、複写機、プリンターのロール組成物またはその表面コート剤、シャンプー、リンス、各種メーキャップ化粧料等への配合剤、各種粉体の処理剤、撥水・撥油剤、深色加工剤、繊維への潤滑付与剤、変圧器油、コンデンサー油、ケーブル油等の絶縁油、レベリング剤、ブロッキング防止剤、色むら防止剤、ゆず肌防止剤等としてのプラスチック・塗料等として及びこれらへの添加剤として使用される。
本発明に係る化合物として実施例1および実施例2に示す化合物の他、下記化合物を例示することができる。
Figure 2011093981
Figure 2011093981
Figure 2011093981
Figure 2011093981
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Figure 2011093981
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(化合物1)の合成
Figure 2011093981
4−メチルスチルベン(19.4g)を四塩化炭素(500g)に溶解させ撹拌しながら冷却した(10℃以下)。N−ブロモサクシンイミド(19.6g)を加え、更にアゾビスイソブチロニトリル(1g)を添加した。撹拌を続けながら昇温し、70℃にて3時間反応させた。室温に冷却後、生成した不溶物を濾別し濾液を減圧下に溜去した。濃縮物(29g)を液体クロマトグラフにて測定し純度を求めた。4−ブロモメチルスチルベンの純度は、70%であった。これを中間体(A)とした。
窒素雰囲気下、室温にてパーフルオロポリエーテルとして両末端が水酸基のSovay Solexis製Fomblin Zdol−2000(平均分子量2000)10gをヘキサフロロ−m−キシレン(50ml)に溶解し、これにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(2.1g)を徐々に加えた。60℃まで昇温後、減圧下に揮発分を溜去した。残留物にヘキサフロロ−m−キシレン(30ml)を加え、撹拌しながら上記中間体(A)4.3gをトルエン(50ml)に溶解した溶液を加え、100℃にて3時間反応させた。室温に戻し水洗を繰り返した後、減圧下に溶剤を溜去し粗製物を得た。
粗製物をシリカゲル充填したカラムクロマトグラフにて精製し、(化合物1)を4.2g得た。紫外線吸光光度計にて測定した結果、(化合物1)は、313nm(測定溶剤:クロロホルム)に吸収(モル吸光係数:6.3 x 10)に吸収極大値を有していた。
マトリクス支援レーザー脱離イオン化法−飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)により(化合物1)の平均分子量を求めた(非特許文献1)。数平均分子量(Mn)はMn=2150であり、重量平均分子量(Mw)はMw=2190であった。最も強く現れるマスピークの一つより(化合物1)の代表構造を求めるとm=7およびn=11(分子量2100)であった。
(化合物2)の合成
Figure 2011093981
(非特許文献2)の方法に準拠し3−メチルアゾベンゼンを合成した。すなわち、m−トルイジン(10.7g)を酢酸(80ml)に加え加温(35℃)し溶解した。20℃に戻した後、ニトロソベンゼン(10.7g)の酢酸(30ml)懸濁液を徐々に加えた。25℃にて1時間反応させた後、水200mlを加え酢酸エチル200mlにて抽出した。酢酸エチル層は、更に水洗と重曹水での洗浄を繰り返した後、硫酸マグネシウムにて脱水した。脱水後、減圧下に酢酸エチルを溜去し黒褐色液体を得た。これをシリカゲル充填したカラムクロマトグラフにて精製し、褐色の3-メチルアゾベンゼン(8.2g)得た。液体クロマトグラフにて純度を求めた。3−メチルアゾベンゼンの純度は、95%であった。
3−メチルアゾベンゼン(7.8g)を四塩化炭素(200g)に溶解させ撹拌しながら冷却した(10℃以下)。N−ブロモサクシンイミド(8.0g)を加え、更にアゾビスイソブチロニトリル(0.2g)を添加した。撹拌を続けながら昇温し、70℃にて3時間反応させた。室温に冷却後、生成した不溶物を濾別し濾液を減圧下に溜去した。濃縮物(9g)を液体クロマトグラフにて測定し純度を求めた。4−ブロモメチルアゾベンゼンの純度は、70%であった。これを中間体(B)とした。
窒素雰囲気下、室温にてパーフルオロポリエーテルとして両末端が水酸基のSovay Solexis製Fomblin Zdol−2000(平均分子量2000)10gをヘキサフロロ−m−キシレン(50ml)に溶解し、これにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液(2.1g)を徐々に加えた。60℃まで昇温後、減圧下に揮発分を溜去した。残留物にヘキサフロロ−m−キシレン(30ml)を加え、撹拌しながら上記中間体(B)4.7gをトルエン(50ml)に溶解した溶液を加え、100℃にて3時間反応させた。室温に戻し水洗を繰り返した後、減圧下に溶剤を溜去し粗製物を得た。粗製物をシリカゲル充填したカラムクロマトグラフにて精製し、黄赤色液体の(化合物2)を4.1g得た。
(化合物2)の1H−NMRスペクトルデータ(溶媒:CDCl、基準物質:TMS)を示す。
δ(ppm): 7.9(m,8H)、 7.4(m,10H)、 4.8(s,4H)、 3.8(t,4H)
紫外線吸光光度計にて測定した結果、(化合物2)は、319nm(モル吸光係数:6.3 x 10)および439nm(モル吸光係数:1.5 x 10)に吸収極大値を有していた(測定溶剤:クロロホルム)。マトリクス支援レーザー脱離イオン化法−飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MS)により(化合物1)の平均分子量を求めた(非特許文献1)。数平均分子量(Mn)はMn=2100であり、重量平均分子量(Mw)はMw=2130であった。最も強く現れるマスピークの一つより(化合物2)の代表構造を求めるとm=8およびn=9(分子量2088)であった。
熱安定性
実施例1及び2で製造した化合物を熱安定性試験に供し、公知のパーフルオロポリエーテルであるFomblin(登録商標)M60と対比して、所定温度にての蒸発時の損失重量を評価した。結果を表1に示した。本発明のパーフルオロポリエーテル化合物の熱安定性が確認された。
Figure 2011093981

化学的安定性(ルイス酸耐性)
パーフルオロポリエーテル鎖を含有する化合物の鎖切断を助長する効果を有することが知られているルイス酸を使用して評価した。本発明のパーフルオロポリエーテル化合物のルイス酸に対する安定性の測定は、以下のとおりに行った。
5グラムのサンプル及び0.1グラムのBBrを、ガラス試験管に導入した。試験管を秤量し、試験管を24時間250℃まで加熱した。最後に、試験管を冷却し、秤量した。加熱前後の重量差より試験すべきサンプルのパーセント損失重量を算出した。
ルイス酸に対する安定性試験を実施例1で示される(化合物1)、Fomblin(登録商標)M60、およびFomblin(登録商標)Z25 (数平均分子量10000)を用いて行った。試験結果を表2に示した。
Figure 2011093981
化学的安定性(金属酸化物耐性)
パーフルオロポリエーテル鎖を含有する化合物の鎖切断を助長する効果を有することが知られている金属酸化物を共存させ化学的安定性を評価した。本発明のパーフルオロポリエーテル化合物の金属酸化物に対する安定性の測定は、以下のとおりに行った。
5グラムのサンプル及び0.1グラムの細かく破砕したアルミナを、ガラス試験管に導入した。試験管を秤量し、試験管を24時間250℃まで加熱した。最後に、試験管を冷却し、秤量した。加熱前後の重量差より試験すべきサンプルのパーセント損失重量を算出した。
金属酸化物に対する安定性試験を実施例2で示される(化合物2)、Fomblin(登録商標)M60、およびFomblin(登録商標)Z25 (数平均分子量10000)を用いて行った。試験結果を表3に示した。
Figure 2011093981
化学的安定性(金属酸化物耐性−2)
本発明の化合物はパーフルオロポリエーテル鎖を含有する潤滑剤成分、例えば、ソルベイソレクシス社製パーフルオロポリエーテル化合物、具体的にはFomblin(登録商標)M03、M15、M30、およびM60、Fomblin(登録商標)Y04、Y06、Y25、およびY45、Fomblin(登録商標)Z03、Z06、Z25、およびZ45など、あるいはダイキン工業株式会社製パーフルオロポリエーテル油、具体的にはデムナム(登録商標)S-20およびS-65などの熱による鎖切断を防止する。特に、鎖切断を助長する効果を有することが知られている金属酸化物を共存させた場合、その効果は著しい。安定性の測定は、以下のとおりに行った。
5グラムのパーフルオロポリエーテル(デムナム(登録商標)S-20)に酸化ジルコニウム0.05gおよび本発明の(化合物2)0.1gをガラス試験管に導入した。試験管を秤量し、試験管を3時間150℃にて加熱した。試験管を冷却した後、秤量した。加熱前後の重量差より試験すべきサンプルのパーセント損失重量を算出した。
試験結果を表4に示した。
Figure 2011093981

Claims (5)

  1. 基本骨格が−C2yO−(yは1−4の整数)分子量が500〜10000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物。
    Figure 2011093981
    (式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1−2の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
  2. 基本骨格が−C2yO−(yは1−3の整数)分子量が1000〜5000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物。
    Figure 2011093981
    (式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
  3. 基本骨格が−C2yO−(yは1−3の整数)分子量が1000〜5000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物。
    Figure 2011093981
    (式中Xは水素原子を示し、zは0または1の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
  4. 基本骨格が−C2yO−(yは1−4の整数)分子量が500〜10000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑剤。
    Figure 2011093981
    (式中Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよい炭化水素基、あるいは置換されてもよい炭化水素オキシ基を示し、zは0または1−2の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
  5. 基本骨格が−C2yO−(yは1−3の整数)分子量が1000〜5000のパーフルオロポリエーテルの少なくとも一末端に下記(a)で示される末端基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑剤。
    Figure 2011093981
    (式中Xは水素原子を示し、zは0または1の実数を示し、Aは酸素原子、アゾ基あるいは置換されてもよい2価の炭化水素基を示す。)
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