JP2011092928A - 分離膜および分離膜モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】有機物やタンパク質、血小板付着などの付着が少ない透水性の高い高性能な分離膜モジュールを提供することにある。
【解決手段】ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとからなるポリスルホン系分離膜であって、分離膜中にN,N−ジメチルアセトアミドに不溶性の成分を含んでおり、
(イ)前記不溶性成分におけるポリスルホン系ポリマー濃度が10重量%以上、50重量%以下
(ロ)前記不溶性成分の含水率が95重量%以上
(ハ)湿潤状態での分離膜の機能層表面に柔軟層が存在し、厚みが7nm以上
であることを特徴とするポリスルホン系分離膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、分離膜および分離膜モジュールに関するものであり、血液適合性やタンパク質、有機物の非付着が要求され、溶出物が少ないことが必要な用途に好適に用いられる。例えば、血液浄化用の分離膜では血液適合性やタンパク質の非付着が要求され、浄水器用膜、上水浄化膜、下水浄化膜、逆浸透膜や、生体成分分離用膜などではタンパク質や有機物の非付着が要求される。したがって、かかる分野において本発明の分離膜、分離膜モジュールが好適に用いられる。特に、人工腎臓などの血液浄化用途は、血液成分の膜への付着と溶出物が少ないことが必要であり、好適に用いられる。
分離膜の素材としては、天然素材セルロース、また、その誘導体であるセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン系ポリマーなどが挙げられるが、この中で、ポリスルホン系ポリマーは、透水性が高いため、浄水器用の水処理膜や、透析治療に用いられる人工腎臓などの医療用分離膜で、特に好適に用いられている。透析治療としては、血液透析濾過法(HDF)や、プッシュ&プル法が透析効率の向上や低分子蛋白の積極除去のため開発され、膜素材の中で透水性能が高いポリスルホンが、このような透析手法の進歩に合致したものとして、幅広く使用されるに至っている。
一方で、体液や血液と接触する医療用分離膜は、タンパク質、特にフィブリノーゲンなどの凝固系タンパク質などが付着すると分離膜の性能低下や、生体反応を引き起こす原因となり、深刻な問題となる。また、浄水器などの水処理膜においても、タンパク質や有機物の付着が、分離膜の性能低下を引き起こす。かかる問題に対して、分離膜を親水化することによる解決が試みられており、様々な検討がなされている。例えば、ポリスルホンに親水性ポリマーであるポリビニルピロリドンを、製膜原液の段階で混合させて成形することで、膜に親水性を与え、汚れを抑制する方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、これらの方法では、表面に親水性を付与するには、製膜原液中の親水性ポリマー量を多くする必要がある。しかしながら、親水性ポリマー量を多くすると、膜からの親水性ポリマーの溶出が問題となる。そこで、親水性ポリマーを熱処理または放射線処理によりポリスルホン膜中に架橋固定する方法(特許文献2)や、親水性ポリマーが架橋されヒドロゲル状態でポリスルホン膜構造中に存在する中空糸膜(特許文献3)が開示されている。しかしながら、親水性ポリマーを単純に架橋するだけでは、溶出の問題は完全には解決しないことと、親水性ポリマーを不溶化すると、血小板を活性化し、材料表面への血小板付着を惹起するという問題があった。
このような親水性ポリマーの溶出の低減と血小板付着の抑制を両立させるという課題の解決のために、親水性ポリマーの架橋を最適化させた膜が開示されている(特許文献4,5)。しかしながら、本発明者らが検討した結果、これらの膜においては、血小板などの付着は抑制できても、タンパク質レベルでの付着までは抑制できていないことがわかった。
すなわち、親水性ポリマーの溶出を抑えつつ、タンパク質レベルでの吸着までも抑制した膜は、未だ確立されていないのが現状である。
特公平2−18695号公報 特公平5−3331号公報 特開平4−300636号公報 特開平9−323031号公報 特開2003−201383号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、膜からの溶出物が少なく、かつ、血液処理用途ならばタンパク質などの付着が少なく、水処理用途ならば汚泥やフミン質などの有機物の付着が少ない高性能な分離膜モジュールを提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成するため鋭意検討を進めた結果、膜からの溶出物が少なく、血液適合性に優れ、タンパク質や有機物の付着が少なく、透水性の高い分離膜モジュールは、下記の1〜7の構成によって達成される。
1.ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとからなるポリスルホン系分離膜であって、分離膜中にN,N−ジメチルアセトアミドに不溶性の成分を含んでおり、
(イ)前記不溶性成分におけるポリスルホン系ポリマー濃度が10重量%以上、50重量%以下
(ロ)前記不溶性成分の含水率が95重量%以上
(ハ)湿潤状態での分離膜の機能層表面に柔軟層が存在し、厚みが7nm以上
であることを特徴とするポリスルホン系分離膜。
2.前記親水性ポリマーが、少なくとも1種の親水性ホモポリマーと少なくとも1種の親水性共重合ポリマーからなり、前記親水性ホモポリマーは分離膜の厚み方向にわたって存在する一方で、前記親水性共重合ポリマーは、分離膜の機能層表面のみに存在することを特徴とする前記1に記載のポリスルホン系分離膜。
3.前記親水性ホモポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも1種を含んでおり、前記親水性共重合ポリマーが、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリマー、ビニルピロリドン・メチルメタクリレート共重合ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含んでいることを特徴とする前記2に記載のポリスルホン系分離膜。
4.前記分離膜の機能層表面にエステル基が存在し、かつ前記エステル基由来の炭素量が0.3(原子数%)以上であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のポリスルホン系分離膜。
5.前記親水性共重合ポリマーがビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーであり、かつ機能層表面の濃度が10重量%以上であることを特徴とする前記2〜4のいずれかに記載のポリスルホン系分離膜。
6.血液浄化用であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の分離膜。
7.前記1〜6のいずれかに記載の分離膜が内蔵されたことを特徴とする分離膜モジュール。
本発明における分離膜および分離膜モジュールは、膜からの溶出物が少なく、かつ、タンパク質や血小板、有機物の付着が少ない高性能な分離膜が要求される用途に幅広く用いることができる。
本発明に用いられる人工腎臓の一態様を示す。 原子間力顕微鏡を用いたフォースカーブ測定におけるカンチレバーにかかる力とカンチレバーの変位量との関係曲線 β−ミクログロブリン クリアランス測定における回路を示す。
本発明では、ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとからなる分離膜について、血小板からタンパク質までの付着を抑制しつつ、高い分離膜性能および分離膜からの溶出を抑えることを課題としている。
親水性ポリマーの溶出を防ぐためには、親水性ポリマーがゲル構造を有することが効果的であるが、我々は先ず、親水性ポリマーはポリスルホン系ポリマーと架橋していることが重要であることに着眼した。ここで、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)はポリスルホン系ポリマー、親水性ポリマーの両方を溶かす溶媒であるが、ゲル構造を有する親水性ポリマー、または親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーとが架橋構造を取るものは不溶である。そこで、本発明においては、DMAcに不溶性の成分中にポリスルホン系ポリマーを10重量%以上、好ましくは20重量%以上含むことを要件としている。ただし、不溶性成分中のポリスルホン系ポリマー量が多すぎると、タンパク質の付着を惹起する。そのため、不溶性成分中のポリスルホン系ポリマー量は50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。また、DMAcに不溶性の成分の重量比は、全親水性ポリマー重量の60重量%以上、さらには70重量%以上が好ましい。
不溶性成分中のポリスルホン系ポリマー濃度は、次のように求められる。乾燥した分離膜を、DMAcに2.5重量%の濃度に溶解し、その溶液を濾紙にて濾過し、不溶性成分を得る。さらにDMAcでよくすすいで、付着しているポリスルホン系ポリマーを洗浄する。その後、水ですすいで、DMAcを洗浄する。不溶性成分を取りだし、元素分析により不溶性成分中のポリスルホン系ポリマー濃度を算出することができる。
次に、本発明においては、血小板などの血球成分の付着のみならず、タンパク質、特に凝固系タンパク質の付着まで抑制するには、かかるポリスルホン系ポリマーを10重量%以上含む不溶性成分における含水率および湿潤状態での分離膜の機能層表面における「柔軟層」が重要であることを見出した。なお、ここでいうところの湿潤状態とは、分離膜の含水率(水重量/(乾燥分離膜重量+水重量)が65重量%以上の状態を指す。
不溶性成分の含水率が重要な理由について、タンパク質の活性特性等の観点から以下に説明する。すなわち、血中にあるタンパク質は水溶性であり、疎水性のポリスルホン系ポリマーと接触すると吸着や変性を惹起、あるいは、活性化を引き起こすものである。ここで、血小板は約3μm程度の大きさであるために、分離膜を通過することも膜内部に入り込むこともない一方、タンパク質の場合は、その大きさにもよるが、分離膜を通過しない大きさのものでも極微量は分離膜の内部に入り込むことがある。極微量であっても、凝固や炎症に関与するタンパク質は、血液の活性に大きく影響を与えるものである。中空糸膜におけるDMAcに可溶な成分においては含水率が高いため、タンパク質と接触しても上記活性化を引き起こすおそれは少ない。しかしながら、不溶性成分においては一般に含水率が低いことから、タンパク質が不溶性成分中のポリスルホン系ポリマーに接触した場合に血液の活性化を引き起こすおそれが有る。したがって、不溶性成分における含水率が高いことが重要であり、95重量%以上、さらには97重量%以上にすることが好ましい。すなわち、かかるタンパク質の付着に焦点を当てた場合、膜全体が親水性になるように、分離膜機能層表面の親水性ポリマーのみならず、膜の細孔部まで含めて、膜に存在する親水性ポリマーの全ての状態を制御する必要性があるということである。しかしながら、上記含水率が高すぎると、ポリスルホン系ポリマーとの架橋点が少なくなるために、99.5重量%以下、さらには99重量%以下であることが好ましい。
不溶性成分の含水率については、次の通りにして求められる。乾燥した分離膜をDMAcに2重量%の濃度に溶解した。該溶液を濾紙を用いて濾過し、不溶性成分を得る。DMAcで可溶性成分を十分に洗浄後、不溶性成分を水で置換する。余分な水を取り除き、含水状態の不溶性成分重量(w)を測定後、十分に乾燥させた後の不溶性成分重量(d)を測定する。含水率は式(1)により算出する。
含水率(%)=(w−d)×100/w (1)
膜中の親水性ポリマーを不溶化する方法としては、架橋剤を添加したり、親水性ポリマーに放射線や加熱などの高エネルギーを与えたりすることで架橋反応を引き起こし、ゲル化させても良い。架橋剤を添加する方法は、架橋剤の種類や量によって、膜物性が大きく影響を受けるので、架橋剤を添加しなくても良い放射線架橋や熱架橋が好まれる。そのため、親水性ポリマーとしては、放射線に対して架橋しやすいポリマーが好適に用いられる。さらには、ポリスルホン系ポリマーとの製膜原液に親水性ポリマーをブレンドする場合には、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性も重要である。
本発明でいうところの親水性ポリマーとは、親水性基を含んだポリマーのことを指し、水もしくはエタノールに可溶であるポリマーのことを言う。20℃での水、もしくはエタノール100gに対して、0.1g以上溶解するものを指す。親水性ポリマーは、さらに親水性ホモポリマーと親水性共重合ポリマーに分類することができる。
親水性ホモポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカプロラクタム、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸などが挙げられる。また、親水性共重合ポリマーとしては、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリマー、ビニルピロリドン・メチルメタクリレート共重合ポリマーなどが挙げられる。中でも、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性という観点から、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマーが好適に用いられる。
さらに、放射線によって、ポリスルホン系ポリマー間で架橋反応はほとんど起きない。一方で、ポリスルホン系ポリマーとビニルピロリドンユニット、ポリアルキレングリコールユニットとは放射線架橋が容易に生じるので、これらのユニットを含む親水性ホモポリマーや親水性共重合ポリマーは好適に用いられる。このときの架橋反応は、ラジカル反応であるために、一部、ポリスルホン系ポリマーとの架橋が生じ、この架橋により、親水性ポリマーの溶出を大きく低減させることができる。
次に、湿潤状態での分離膜の機能層表面に柔軟層が重要な理由としては、以下のように推測できる。血小板や血球などの大きな成分は、分離膜内部に入り込むことはなく、機能層表面と接触する。そのため、柔軟層が厚いほど、血小板や血球は、ポリスルホン系ポリマーと接近しにくくなり、付着や活性化が起こらないものと考えられる。一方で、柔軟層が厚すぎると、タンパク質が柔軟層にトラップされることがある。以上のことから、柔軟層の厚みは5nm以上、好ましくは7nm以上が好ましい。また、30nm以下、好ましくは20nm以下、さらには15nm以下が好ましい。
湿潤状態での分離膜機能層表面の柔軟層は、原子間力顕微鏡を用いたフォースカーブ測定から算出する。フォースカーブは、縦軸をカンチレバーにかかる力としたときの横軸におけるカンチレバーの変位量で表される。カンチレバーの短針が機能層表面に接触するまでは、フォースカーブはx軸に平行に推移する。カンチレバーが機能層表面に接触した後、柔軟層があった場合には、湾曲した非線形の部分が現れる。その後、カンチレバーの変位量と力の間には、線形的な直線の相関が得られる。柔軟層は、カンチレバーの短針が表面に接触後、直線になった部分の延長線と、カンチレバーの短針が表面に接触する前にx軸に平行に推移した線の延長線の交点と、カンチレバーの短針が表面に接触した点までの距離とする(図2)。
不溶性成分の重量比や、不溶性成分のポリスルホン系ポリマー濃度、不溶性成分の含水率、機能層表面柔軟層を制御するためには、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの分散状態が均一な分離膜を作成することが必要である。親水性ポリマーが不均一に存在していれば、親水性ポリマーの凝集部分を核として架橋反応が進行し、不溶性成分の含水率が低下する。さらには、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの架橋反応も起こりにくい。親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの分散状態が均一な分離膜を作成する条件の詳細については後述する。
また、分離膜の機能層表面の柔軟層の厚みを増やすために、親水性ポリマー量を増やすことは好適であるが、増やし過ぎると親水性ポリマーの溶出が増えてしまう。このため、親水性ポリマーは機能層表面に多く配置され、機能層反対表面においては少なく配置されていることが好ましい。ただし、親水性ポリマーが膜の厚み方向にわたって存在している必要がある。膜の厚み部分においてもポリスルホン系ポリマーが露出していた場合には、タンパク質の吸着を効果的に抑制できないことに加えて、疎水性の増加により、透水性が低くなってしまう。このような膜においては、不溶性成分の含水率が低くなる傾向にある。また、機能層表面および反対表面の親水性ポリマー量を比較する際には、ある程度の深さを検出することのできる全反射赤外吸光度測定(ATR)を行うことが妥当である。ATRの検出深さは約1〜2μm程度と言われている。
なお、分離膜の透水性としては、200mL/hr/m/mmHg以上が好ましく、より好ましくは300mL/hr/m/mmHg以上、さらには400mL/hr/m/mmHg以上が好ましい。また、高すぎた場合、内部濾過が起こりやすく、溶質除去性能は高くなるが、血液処理用途の場合、血球に与える刺激も大きくなるので、2000mL/hr/m/mmHg以下が好ましく、より好ましくは1500mL/hr/m/mmHg以下、さらには1000mL/hr/m/mmHg以下が好ましい。透水性能(UFR)は下記の式で算出する。
UFR(mL/hr/m/mmHg)=Q/(P×T×A)
ここで、Q:濾過量(mL)、T:流出時間(hr)、 P:圧力(mmHg)、A:中空糸膜の内表面積(m
また、本願発明の分離膜モジュールにおいて、1.6m換算値の尿素クリアランスの水系での測定値と牛血漿系での測定値との差が5mL/min以内であることが好ましく、より好ましくは2mL/min以内である。これは、本願発明にて規定された上記レベルまでのタンパク質の膜への付着の低減により、達成できるものである。水系の溶質除去性能と血液系の溶質除去性能の差が大きいということは、血液系で使用した場合に、経時的な膜の性能劣化が大きいことを意味する。さらには、膜の透過抵抗が、水系と血液系で大きく異なるということであり、このような膜の場合、血球に与える刺激も大きいことが考えられる。
ここで、上記測定においては、分離膜モジュールは総膜面積が1.6mのものを用いることが好ましいく、1.6mの分離膜モジュールが作成困難な場合は、なるべく近い膜面積の分離膜モジュールにてクリアランスを測定し、総括物質移動係数から、1.6mに換算することも可能である。なお、総膜面積とは、処理液と接触する部分の分離膜の表面積であり、中空糸膜型人工腎臓の場合は、中空糸内表面積に相当する。
水系尿素クリアランスの測定方法については、昭和57年9月発行日本人工臓器学会編ダイアライザー性能評価基準に基づいて行う。この中で測定方法が2種類あるが、本実験はTMP0mmHgを基準とする。
牛血漿系尿素クリアランスの測定方法についての詳細は実施例にて後述するが、人工腎臓の場合、血液側流速は200mL/min、透析液側流速は500mL/min、濾過流速は10mL/min/mの条件とする。また、総タンパク質濃度は6.5±0.5g/dL、尿素濃度は1g/Lとする。
なお、除去性能の観点から水系尿素クリアランスの値は180mL/min以上が好ましく、より好ましくは190mL/min以上、さらには195mL/min以上が好ましい。
さらに、本願発明の分離膜モジュールにおいて、1.6m換算値の牛血漿を用いたβ2-ミクログロブリン(β−MG)クリアランスについて、血液側流量400mL/minのクリアランスが、血液側流量200mL/minのクリアランスの1.05倍以上が好ましく、より好ましくは1.1倍以上である。
慢性腎不全の血液透析治療の分野において、欧米の患者は一般に体格が大きいこともあり、血液側流量200mL/minよりも高流量で治療することが多い。また、我が国においても、近年、血液側流量を上げて使用する場合も増えてきていることから、高流量に適した血液透析用分離膜モジュールが望まれている。一般的には、血液流量が増加すると、直線的にクリアランスが増加し、やがて緩やかになり、その後、一定値を取る。これは血液流量が大きくなると、分離膜の溶質除去能力も増加するが、透析器の性能によって決まる溶質除去量に至る所で限界に達するためである。本願発明においては、分離膜中のゲルの架橋構造およびタンパク質の付着抑制を行うことで、分離膜の溶質除去能力を向上させることが可能になったものである。
β−MGクリアランスの測定方法についての詳細は後述するが、人工腎臓の場合、血液側流速は200mL/min、透析液側流速は500mL/min、濾過流速は10mL/min/mの条件とする。また、総タンパク質濃度は6.5±0.5g/dL、β−MG濃度は1mg/Lとする。
なお、除去性能の観点からβ−MGクリアランスの値は血液側流量200mL/minで50mL/min以上が好ましく、より好ましくは60mL/min以上、さらには70mL/min以上が好ましい。
さらには、不溶性成分のポリスルホン系ポリマー濃度、不溶性成分の含水率、分離膜の透水性などの観点から、分離膜の任意の厚み方向を切削して露出させた表面の親水性ポリマー濃度の測定値は、分離膜全体の親水性ポリマー濃度の測定値より1.5倍以上、さらには2倍以上高いことが好ましい。通常、分離膜の厚み方向を切削し、露出させた表面の親水性ポリマー濃度は、実際上は分離膜全体の親水性ポリマーとほぼ同じ値を示すはずである。しかしながら、分離膜がポリスルホンを核とした微粒子状物が繋がった構造を有しており、微粒子の表面を親水性ポリマーが均一に覆っていた場合、すなわち、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーとの分散状態の均一性が高い場合に、上記のような現象が生じる。切削した際に、構造上の弱い部分、すなわち、微粒子と微粒子が接着しているだけの部分や、微粒子間の連結部分が剥がれると考えられ、このため、常に微粒子の表面、すなわち親水性ポリマーが露出していることになり、分離膜の任意の厚み方向を切削して露出させた表面の親水性ポリマー濃度の測定値が、見かけ上分離膜全体の親水性ポリマー濃度の測定値より高くなると考えられる。
ここで、切削した表面の親水性ポリマー濃度は、微粒子を覆っている程度であるために、極表層を検出できるX線電子分光法測定(以下、XPS)を行うことが妥当である。XPSの場合、検出深さは約10nm程度と言われている。また、分離膜全体の親水性ポリマー濃度は元素分析で得られた値を用いる。なお、XPS測定により得られる機能層表面の親水性ポリマー濃度としては20重量%以上、好ましくは25重量%以上、さらには30重量%以上が好ましい。
上述したように、分離膜中のポリマーの分散状態や分離膜構造に影響を与える因子としては、製膜原液の状態や相分離形成過程が重要である。具体的には、製膜原液の組成、ポリスルホン系ポリマーの化学構造式や分子量、親水性ポリマーの化学構造式や分子量、製膜原液の撹拌速度や撹拌時間および溶解温度、製膜原液を溶解した後、製膜までの時間、吐出部の温度や湿度、などが挙げられる。
例えば、製膜原液として、ポリスルホン系ポリマー濃度は14〜25重量%、好ましくは15〜20重量%、親水性ポリマーは2〜10重量%、好ましくは3〜9重量%である。製膜原液の全ポリマー重量に対する親水性ポリマー重量の比は、0.15〜0.35倍、好ましくは0.2〜0.3倍である。ポリスルホン系ポリマー分子量は3万以上が好適であり、ポリスルホン系ポリマー分子量に対して、親水性ポリマー分子量の比は、15〜40倍、好ましくは20〜35倍である。親水性ポリマーの量や、分子量がポリスルホンに比べて低いと膜に残存する親水性ポリマーの割合が少なくなるために、架橋反応後の不溶性成分の含水率が低くなる。また、親水性ポリマーの量が多すぎたり、分子量が高すぎたりすると、ポリビニルピロリドンが均一に微分散できなくなるために架橋反応が局所的に進行し、やはり含水率が低下する。さらに、ポリスルホン系ポリマーと相溶性の高い親水性ポリマーを用いることで、均一に分散させることができる。例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリマー、ビニルピロリドン・メチルメタクリレート共重合ポリマーなどが挙げられる。中でも、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマーが好適に用いられる。
ここでいうところのポリスルホン系ポリマーとは、主鎖に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基をもつものであり、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルエーテルスルホンなどが挙げられる。例えば、次式(1)、(2)の化学式で示されるポリスルホンが好適に使用されるが、本発明ではこれらに限定されない。式中のnは、例えば50〜80の如き整数である。
ポリスルホンの具体例としては、ユーデルポリスルホンP−1700、P−3500(ソルベイ社製)、ウルトラソンS3010、S6010(BASF社製)、ビクトレックス(住友化学)、レーデルA(ソルベイ社製)、ウルトラソンE(BASF社製)等のポリスルホンが挙げられる。又、本発明で用いられるポリスルホンは上記式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位のみからなるポリマーが好適ではあるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマーと共重合していたり、水酸基やクロロアセトアミドメチル基などが芳香環に導入された変性体であっても良い。
また、製膜原液の撹拌速度が速いほうが、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの分散状態が均一な分離膜分散状態を高めることができるので好適であり、撹拌翼の速度は30rpm以上、好ましくは50rpm以上である。溶解温度としては、温度が低いと均一な微分散が起こらない。また溶解温度が高すぎると、ポリマーの分解などが生じ始める。このため、溶解温度としては、60℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上であり、一方で120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。時間が経つと製膜原液内でミクロ相分離が生じ始めるために、親水性ポリマーが均一に微分散されなくなるために、溶解後80時間以内に紡糸することが好ましい。さらに、溶解後の保管温度としては、45℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上であり、一方で90℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。
紡糸条件として、親水性ポリマーを膜機能層反対表面よりも機能層表面に多く存在させるために、口金温度は30〜60℃で、乾式部の温度は20〜50℃で相対湿度は70〜95%RHが好適な範囲である。乾式部の温度は口金温度よりも低いことが好ましく、10℃以上低いことが好ましい。また、乾式部の長さは10〜100cmが好ましい。また、口金温度は製膜原液の保管温度以下であることが好ましい。これは、吐出部で温度が高くなると、ポリマーはその熱履歴が残ったまま構造が決定されるため、成型後にポリマー分子に歪みが残留している可能性がある。このような場合、不溶性成分のポリスルホン系ポリマー濃度や不溶性成分の含水率に影響が生じることが考えられる。
さらに、親水性ポリマーを膜機能層反対表面よりも機能層表面に多く存在させるため、凝固浴はポリスルホン系ポリマーの良溶媒と貧溶媒の混合溶液が好ましい。良溶媒としてはDMAcやN−メチルピロリドンなどが挙げられ、貧溶媒としては水やアルコールなどが挙げられる。良溶媒の濃度は10重量%以上、好ましくは15重量%以上、30重量%以下、好ましくは25重量%以下である。
分離膜が中空糸膜の場合、吐出部の口金は二重環状構造をしているが、中空内空部には芯液を流すことが好適である。この場合に、芯液への親水性ポリマーの添加をすることや、また、製膜後において親水性ポリマーを用いてコーティング等の後処理を行う方法は、分離膜の内部構造が、ほぼ決定された後に、機能層表面のみ改質することができ、上記のような各種の製膜条件を全て満たさなくても良いため、特に好適に用いられる。
このとき用いられる親水性ポリマーは、機能層表面の柔軟層厚みを与える役割を果たすために、水中での分子鎖の回転半径が大きいポリマーが好適である。具体的には、重量平均分子量10万における水中での分子鎖の回転半径が10nm以上である。
本発明者らが鋭意に検討した結果、親水性ホモポリマーよりも親水性ユニットと疎水性ユニットの両者を有する親水性共重合ポリマーのほうが、一般的な傾向として、分子鎖の回転半径が大きくなることを見出した。この理由としては、例えば、ポリビニルピロリドンのようなホモポリマーでは、ピロリドン環同士の相互作用が強すぎて、逆に分子間で束縛が大きく、分子鎖の回転半径が小さくなるためではないかと考えられる。
このような観点から好適な親水性共重合ポリマーとしては、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリマー、ビニルピロリドン・メチルメタクリレート共重合ポリマーなどが挙げられる。ただし、疎水性ユニットが芳香環を含んでいるような場合は、疎水性の度合いが強く成りすぎるために、好ましくない場合が多い。また、共重合ポリマーとしては、グラフト共重合ポリマーやブロック共重合ポリマーよりも、交互共重合ポリマー、ランダム共重合ポリマーが好適に用いられる。これは、グラフト重合ポリマーやブロック共重合ポリマーでは、それぞれのユニットの特性がはっきりと分かれるため、分子鎖の回転半径がそれほど大きくならない場合が多いためと考えられる。ここで、共重合ポリマーを構成するユニットのうち、構成比率の少ない方のユニットが平均で5ユニット連続していなければ、ブロック重合体と見なさない。また、親水性ユニットと疎水性ユニットユニットの比率(モル比)としては化学構造に依存するが、一般的には疎水性ユニットの全ユニットに対する比率は0.3以上、0.7以下が好ましい。特にビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーの場合、酢酸ビニル比率が0.35以上、0.7以下が好ましい。
一方で、親水性ユニットと疎水性ユニットの両者を有する親水性共重合ポリマーが、膜の厚み方向にわたって多く存在すると、親水性の低下による、分離膜の透水性低下という問題が生じる。したがって、親水性共重合ポリマーは、膜の機能層表面のみに存在していることが好ましい。本発明でいうところの機能層表面のみ存在している状態とは、機能層表面には親水性共重合ポリマーの存在が確認できるが、機能層の反対表面では検出限界以下になっている状態を指す。
さらに言えば、膜の厚み方向にわたって存在している親水性ポリマーは、親水性ホモポリマーであることが好適である。厚み方向にわたって存在していることを確認する方法としては、前述したように、分離膜の任意の厚み方向を切削して露出させた表面について、親水性ポリマーを確認しても良いし、膜断面について分析電子顕微鏡で確認しても良い。さらには、ポリビニルピロリドンなどはオスミウム染色によって染めることができる。膜断面の透過型電子顕微鏡にて、膜の厚み部分に存在していることを染色によって確認しても良い。膜の厚み部分における好ましい親水性ポリマー濃度は、1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。ただし、多すぎると溶出などの問題が生じるために、30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
芯液に親水性ポリマーを添加する場合には、芯液の組成比、芯液温度、製膜原液の組成などが影響を及ぼす。例えば、ポリスルホンとポリビニルピロリドンからなる製膜原液に、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーを芯液に添加する場合、芯液への添加量としては5〜30重量%、芯液温度としては10〜60℃、製膜原液の組成としてポリスルホン濃度は14〜25重量%、ポリビニルピロリドンは2〜10重量%が好ましい。ビニルピロリドン・酢酸ビニルの共重合ポリマーが膜表面に残存しやすいようにポリスルホンの重量平均分子量は小さいほうが好ましく、10万以下、さらには5万以下が好適に用いられる。
親水性ポリマーについてコーティング等により後処理を行う場合には、コーティング液中の親水性ポリマーの濃度や、接触時間、コーティング時の温度が柔軟層厚みに影響を及ぼす。例えば、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー水溶液を用いてコーティングする場合には、水溶液濃度は1〜5000ppm、接触時間は10秒以上、温度は10〜80℃が好適である。また、コーティングをバッチ式ではなく連続的に行う場合には、コーティング水溶液の流速は速いほうが均一にコーティング可能であるが、速すぎると十分な量をコーティングできないので、200〜1000mL/minが好適な範囲である。
特に、コーティングする際には、ポリスルホン系ポリマーとコーティング液中の親水性ポリマーの吸着平衡定数が高いほうが、分離膜の機能層表面を一様に覆うことができる。すなわち、かかる吸着平衡定数は、330pg/(mm・ppm)以上であると好ましく、より好ましくは500pg/(mm・ppm)以上、さらに好ましくは550pg/(mm・ppm)以上である。一方で、吸着結合定数が高すぎると、分離膜の小径化などの影響が大きくなるために、1100pg/(mm・ppm)以下であると好ましく、より好ましくは1000pg/(mm・ppm)以下、さらに好ましくは900pg/(mm・ppm)以下である。
さらに、分離膜の内外で圧力差を生じさせて、親水性ポリマーをコーティングさせる方法は、機能層表面に効率的に導入することができるために好適である。この圧力差は分離膜モジュールのコーティング液の入口側(機能層表面側)と出口側(機能層表面と反対表面側)で、10mmHg以上、さらには50mmHg以上であることが好ましい。さらに、その後、親水性ポリマーをコーティングさせた向きと逆方向、すなわち機能層表面の反対側から機能層表面側に向けて圧空などの気体や水、水溶液などを流すことは、機能層表面のみにより一層コーティングできるために、特に好適な手法である。このとき、親水性ポリマーとして、ポリスルホン系ポリマーとの吸着平衡定数が、330pg/(mm・ppm)以上の親水性共重合ポリマーを用いると、より好適である。また、機能層表面の反対側から機能層表面側に向けて流す圧空などの気体の流量は70NL/min以下が好ましく、さらには50NL/min以下が好ましく、時間としては、10分以下が好ましい。また、水や水溶液の場合は1L/min以下が好ましく、さらには0.5L/min以下が好ましく、時間としては、1分以下が好ましい。
機能層表面の親水性共重合ポリマーの量としては5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、一方で30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。表面の親水性共重合ポリマー量は、X線光電子分光分析(XPS)などによって求めることができる。親水性共重合ポリマーとしては、血小板などの付着抑制の効果からビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーが好ましい。
この場合、機能層表面のエステル基由来の炭素のピーク面積百分率が0.3(原子数%)以上が好ましく、より好ましくは0.5(原子数%)以上であり、一方で7(原子数%)以下が好ましく、5(原子数%)以下であることがより好ましい。
表面のエステル基由来の炭素量(原子数%)は、XPSによって求めることができる。エステル基(COO)由来の炭素のピークはC1sのCHやC−C由来のメインピークから+4.0〜4.2eVに現れるピークをピーク分割することによって求めることができる。全元素(水素原子は検出できないので、水素原子以外の全元素)に対する該ピーク面積の割合を算出することで、エステル基由来の炭素量(原子数%)が求まる。より具体的には、C1sは、主にCHx,C−C,C=C,C−S由来の成分、主にC−O,C−N由来の成分、π-π*サテライト由来の成分、C=O由来の成分、COO由来の成分の5つの成分から構成される。従って、5つ成分でピーク分割を行う。COO由来の成分は、CHxやC−Cのメインピーク(285eV付近)から+4.0〜4.2eVに現れるピークである。この各成分のピーク面積比は、小数点第2桁目を四捨五入し、算出する。エステル基由来の炭素量(原子数%)は、C1sの炭素量(原子数%)にCOO由来の成分のピーク面積比を乗じることで求める。なお、ピーク分割の結果、0.4%以下であれば、検出限界以下とする。また、このエステル基量から表面の親水性共重合ポリマー量を求めることができる。
親水性ポリマーの不溶化反応は、分離膜中の不溶性成分の重量比や、不溶性成分のポリスルホン系ポリマー濃度、不溶性成分の含水率、表面柔軟層がすべて親水性ポリマーの架橋反応に影響を受けることから、重要な工程である。親水性ポリマーの架橋反応は、放射線照射線量や線源量、照射時間、照射温度などのみでなく、分離膜の構造や、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの分散状態によっても影響を受ける。一概には言えないが、架橋反応が進行すると、不溶性成分の重量比および、不溶性成分中のポリスルホン系ポリマー濃度は増加する傾向を示すが、不溶性成分の含水率や表面柔軟層は低下する傾向を示す。
以上のことから、放射線量としては5〜50kGy、好ましくは10〜35kGy、照射温度は10〜60℃、好ましくは20〜50℃が好適である。放射線としては、α線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線などが用いられる。特に本発明の架橋状態を得るには、γ線と電子線が好適に用いられる。γ線の場合、線源量としては250万〜1000万Ci以上、好ましくは300万〜750万Ciが好適な範囲である。
また、製膜後、不溶化反応までの時間が長いと、ポリマーの分子運動により、親水性ポリマーとポリスルホン系ポリマーの絡みあい状態が変わってくることがある。したがって、製膜後4週間以内、さらには2週間以内に不溶化処理を行うことが好ましい。
また、放射線による架橋反応を促進するために、水もしくは過酸化水素水溶液を分離膜に添加することは好適である。分離膜に含まれる水分量としては、分離膜の乾燥重量の0.05〜6倍、好ましくは1〜4倍である。さらに過酸化水素水溶液の濃度としては0.1〜100ppm、好ましくは1〜50ppmである。
また、架橋を抑制するために、抗酸化剤を用いることは好適である。特に、水や過酸化水素水溶液に加えて抗酸化剤を添加させることは、好適である。これは、架橋を促進させる物質と、抑制させる物質を共存させたほうが、架橋反応が穏やかに進行し、不溶性成分や表面柔軟層の状態を制御しやすいためである。ここで、抗酸化剤とは、他の分子に電子を与えやすい性質を持つ分子のことを言う。例えば、ビタミンCなどの水溶性ビタミン類、ポリフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、グルコース、ガラクトース、マンノース、トレハロースなどの糖類、ソジウムハイドロサルファイト、ピロ亜硫酸ナトリウム、二チオン酸ナトリウムなどの無機塩類、尿酸、システイン、グルタチオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗酸化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。水溶液中の溶存酸素や大気中の酸素は、酸化分解を促進する。したがって、水溶液中の酸素濃度は10mg/L以下、好ましくは5mg/L以下である。また、分離膜と接触する気体中の酸素濃度は5%以下、好ましくは3%以下である。
抗酸化剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの1価アルコールが好適に用いられる。
抗酸化剤を含有する溶液の濃度については、含有する抗酸化剤の種類、放射線の照射条件などにより異なる。抗酸化剤の濃度が低すぎると、発生するラジカルの消去が十分にできない。また、抗酸化剤を多量に入れると、ラジカルが十分に消去されてしまう。このため、濃度範囲は、0.01重量%以上、90重量%以下が好適に用いられる。特にエタノール、n−プロパノール、2−プロパノールの場合は、0.01重量%以上、10重量%以下が好適に用いられ、さらに好ましくは0.05重量%以上、1重量%以下である。プロピレングリコール、グリセリンの場合は、0.1重量%以上、90重量%、さらに好ましくは、0.5重量%以上、70重量%以下である。
本発明の分離膜とは、血液や水溶液などの処理する液体に含まれる特定の物質を、吸着もしくは物質の大きさなどにより、選択的に除去する膜のことである。
本発明の分離膜は、高い付着抑制性を有するので、水処理用分離膜や生体成分分離膜として好適に用いることができる。特に、人工腎臓などの血液浄化用モジュールに適する。ここで、血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させて、血中の老廃物や有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいい、人工腎臓や外毒素吸着カラムなどがある。また、人工腎臓用モジュールとしては、コイル型、平板型、中空糸膜型があるが、処理効率などの点から、中空糸膜型が好ましい。
分離膜モジュールの製造としては、その用途により、種々の方法があるが、例えば工程としては、分離膜の製造工程と、その分離膜をモジュールに組み込むという工程にわけることができる。
血液浄化用モジュールの一例として、ポリスルホンとポリビニルピロリドンからなる中空糸膜が内蔵された人工腎臓の製造方法の概略について示す。まず、分離膜である中空糸膜の製造方法としては、ポリスルホンとポリビニルピロリドンをポリスルホンの良溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサンなどが好ましい)および貧溶媒の混合溶液に溶解させた原液を二重環状口金から吐出する際に内側に芯液を流し、乾式部を走行させた後凝固浴へ導く。この際、乾式部の湿度が影響を与えるために、乾式部走行中に膜外表面からの水分補給によって、外表面近傍での相分離挙動を速め、孔径拡大し、結果として透析の際の透過・拡散抵抗を減らすことも可能である。ただし、相対湿度が高すぎると外表面での原液凝固が支配的になり、かえって孔径が小さくなり、結果として透析の際の透過・拡散抵抗を増大する傾向がある。また、芯液組成としてはプロセス適性から原液に用いた溶媒を基本とする組成からなるものを用いることが好ましい。芯液濃度としては、例えばジメチルアセトアミドを用いたときは、45〜80重量%、さらには60〜75重量%の水溶液が好適に用いられる。
中空糸膜をモジュールに内蔵する方法としては、特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モジュールを得る。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)不溶成分中のポリスルホン量測定
乾燥した分離膜を、DMAcに2.5重量%の濃度に溶解し、その溶液を濾紙にて濾過し、不溶性成分を得る。さらにDMAcでよくすすいで、付着しているポリスルホン系ポリマーを洗浄する。その後、水ですすいで、DMAcを洗浄する。不溶性成分を取り出し、元素分析を行う。ポリスルホン系ポリマーは、繰り返し単位あたり硫黄原子を1つ持ち、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマーなどの親水性ポリマーは、硫黄原子を持たないので、全原子数に対する硫黄原子の濃度が求まることで、不溶性成分に含まれるポリスルホン系ポリマー濃度を算出することができる。
(2)不溶成分の含水率
乾燥した中空糸膜を2g/vol%になるようにDMAcで5時間以上撹拌、溶解させた。濾紙(「アドバンテック」(登録商標)No.7 東洋濾紙社製)で不溶性成分を濾過させた後、ジメチルアセトアミドで可溶性成分を十分に洗浄した。遠沈管に不溶性成分(ゲル状物)を回収し、さらにジメチルアセトアミドで十分に撹拌後、遠心により該ゲルを沈降させ、上澄みを取り除くことを3回以上繰り返した。その後、上澄みを取り除いた後、純水を添加し、十分に撹拌後、遠心により該ゲルを沈降させ、上澄みを取り除くこと5回繰り返し、ジメチルアセトアミドを純水に置換した。余剰の水分を抜き取り、含水した重量(w)を測定した。得られた含水ゲルについて、凍結乾燥を24時間以上行い、完全に乾燥後、重量(d)を測定した。下記式により含水率を算出した。
含水率(%)=(w−d)×100/w。
(3)中空糸内表面の柔軟層測定
中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、内表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。測定サンプルは、超純水でリンスした後、室温、0.5Torrにて10時間乾燥させた後、測定に供した。
中空糸を試料台に貼り付けた後、水滴を垂らして膜を濡らし、含水率が65重量%以上の湿潤状態にした。その状態で、コンタクトモードでフォースカーブ測定を行った。なお、測定中に試料表面が乾燥しないように注意した。カンチレバーを試料にアプローチする際に表面に柔軟層がある場合には、湾曲部が認められる。この湾曲部の距離を柔軟層とした。測定は20カ所で行い平均値を採用した。なお、平均値は小数点第一位を四捨五入したものを採用した。
AFM観察条件として装置に走査型プローブ顕微鏡SPM 9500−J3(SHIMADZU, Kyoto, Japan)、観察モードはコンタクトモード、プローブはNP−S(120 mm, wide)(Nihon VEECO KK, Tokyo,Japan),スキャン範囲は5μm x 5μm、スキャン速度は1 Hz の条件にて行った。
(4)親水性ポリマーの水中での分子鎖回転半径測定
測定ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により、サイズ分別された分子鎖溶液に、多角度レーザー光散乱光度計(MALLS)および示差屈折率計を組み入れることで、ポリマー量物質の絶対分子量分布、分子鎖回転半径を求めることができる。測定条件は以下の通り。
a)GPC
装置:ゲル浸透クロマトグラフィ(WATERS社製)
検出器:示差屈折率検出器RI410、感度8×(50%)(WATERS社製)
カラム:TSKgel GMPWXL(東ソー社製)を2本連結
溶媒:0.1M−NHCl(pH9.5)
流速:0.716mL/min
温度:23℃
b)MALLS
装置:DAWN−DSP型多低角度レーザー光散乱光度計(Wyatt Technology社製)
波長:632.8nm(He−Ne)
温度:23℃
(5)親水性ポリマーのポリスルホンへの吸着平衡定数測定
GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製のAuセンサーチップをスピンコーターに固定させた後、ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)の0.1重量%クロロベンゼン溶液をパスツールピペットで1、2滴滴下させた。その直後3000rpmで1分間回転乾燥させることで、ポリスルホン系ポリマーが表面に薄層化したAuセンサーチップを作成した。このセンサーチップをGEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製BIACORE3000に挿入し、2000秒間センサーチップを水洗浄した後、以下の操作を5〜1000ppm各濃度の親水性ポリマー水溶液にて繰り返した。
1.親水性ポリマー水溶液を750μL流してポリスルホン表面に吸着させた。
2.2000秒間水洗浄を行った。
3.0.025重量%トリトン を750μL流して吸着させた親水性ポリマーを剥離させた。
4.2000秒間水洗浄を行った。
ポリスルホン系ポリマー表面への吸着量は、センサーチップ挿入直後に2000秒間水洗浄した後の値を0として、各、操作2.が終了した時点での差の値とした。なお、操作4.が終了した時点で、センサーチップ挿入直後水洗浄を行った後の値より高くなった場合は、0.025重量%トリトンにより親水性ポリマーが完全に剥離されなかったとみなし、その増分は吸着量に加算した。以上の操作を5〜1000ppmで繰り返し、上記によって得られた吸着等温線(横軸が親水性ポリマーの濃度、縦軸が吸着量)から、ポリマーとその吸着表面における一般的な溶液吸着モデル(フロインドリッヒ式近似)(式1)を用いて最小二乗法により当てはめ、該吸着平衡定数を算出した。
Q=KC (式1)
(Q:単位面積当たり吸着量、K:吸着結合定数、n:フロインドリッヒ定数)
(6)X線光電子分光法(XPS)測定
中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、下記方法により中空糸膜の内表面および外表面を各3点測定した。測定サンプルは、超純水でリンスした後、室温、0.5Torrにて10時間乾燥させた後、測定に供した。測定装置、条件としては、以下の通り。
測定装置: ESCALAB220iXL
励起X線: monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)
X線径: 0.15mm
光電子脱出角度: 90 °(試料表面に対する検出器の傾き)
中空糸膜がポリスルホンとポリビニルピロリドンのみからなる場合、表面ポリビニルポロリドン量は、窒素量(a(原子数%))と硫黄量(b(原子数%))を求め、下式よりを算出できる。
表面ポリビニルピロリドン量(重量%)=(a×111/(a×111+b×442))×100
また、親水性共重合ポリマーとしてビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーを用いる場合は、エステル基由来の炭素量としては、C1sのCHやC−Cのメインピーク(285eV付近)から+4.0〜4.2eVに現れるピークをピーク分割し、全元素に対する該ピーク面積の割合を算出し、エステル基由来の炭素量(原子数%)を求めることで、表面の親水性共重合ポリマー量を算出することができる。
(7)中空糸膜のヒト血小板付着試験方法
18mmφのポリスチレン製の円形板に両面テープを貼り付け、そこに中空糸膜を固定した。貼り付けた中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜の内表面を露出させた。中空糸内表面に汚れや傷、折り目などがあると、その部分に血小板が付着し、正しい評価ができないことがあるので注意を要する。筒状に切ったFalcon(登録商標)チューブ(18mmφ、No.2051)に該円形板を、中空糸膜を貼り付けた面が、円筒内部にくるように取り付け、パラフィルムで隙間を埋めた。この円筒管内を生理食塩水で洗浄後、生理食塩水で満たした。人間の静脈血を採血後、直ちにヘパリンを50U/mlになるように添加した。前記円筒管内の生理食塩水を廃棄後、前記血液を、採血後10分以内に、円筒管内に1.0ml入れて37℃にて1時間振盪させた。その後、中空糸膜を10mlの生理食塩水で洗浄し、2.5体積%グルタルアルデヒド生理食塩水で血液成分の固定を行い、20mlの蒸留水にて洗浄した。洗浄した中空糸膜を常温0.5Torrにて10時間減圧乾燥した。この中空糸膜を走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付けた。その後、スパッタリングにより、Pt−Pdの薄膜を中空糸膜表面に形成させて、試料とした。この中空糸膜の内表面をフィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(日立社製S800)にて、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×103μm2)の付着血小板数を数えた。中空糸長手方向における中央付近で、異なる10視野での付着血小板数の平均値を血小板付着数(個/4.3×103μm2)とした。1視野で100個/4.3×103μm2を超えた場合は、100としてカウントした。中空糸の長手方向における端の部分は、血液溜まりができやすいため付着数の計測対象からはずした。なお、血小板付着数は20個/4.3×103μm2以下であることが好ましい。
(8)フィブリノーゲンの相対付着率測定
中空糸膜へのタンパク質の付着として、凝固系タンパク質の1つである、フィブリノーゲンの相対吸着率を測定した。
プラスチック管に中空糸膜を36本通し、両端を接着剤で固定した有効長100mmのプラスチック管ミニモジュールを作製し、純水で十分に洗浄した。
次に、人間の静脈血を採血後、直ちにクエン酸を10容量%になるように添加した。該血液を4℃にて3000rpm、15分間遠心し、血漿を得た。
血漿1mLを流速0.5mL/minで2時間循環させた。ミニモジュールから中空糸を24cm相当切り出し、約1mm長に細切しエッペンチューブに入れた。リン酸緩衝液(以下、PBSと略記)にて洗浄した(1mL×3回、血液が残っている場合には繰り返した)。トゥイーン−20(片山化学)をPBSで0.05重量%になるように調整した(以下、PBS−Tと略記)。スキムミルクを0.1重量%になるように、PBS−Tに溶解させ、該溶液で3回洗浄した。抗ヒトフィブリノーゲン(HPR)抗体を0.1重量%のスキムミルク/PBS−T溶液で10000倍に希釈し、1mL添加した後、室温にて2時間ローテーターで回転、撹拌させた。0.1重量%のスキムミルク/PBS−T溶液で2回洗浄した後、0.1重量%のスキムミルク/PBS溶液で2回洗浄した。TMB one solutionを1mL添加し、ミクロミキサーで撹拌した。発色具合をみて6Nの塩酸を200μL添加し、反応停止した(後述のコントロールの吸光度が1〜1.5の範囲に入るように反応をコントロールする)。450nmの吸光度を測定した。コントロールとして比較例5の中空糸膜を用いた。コントロールの吸光度(Ac)と対象サンプルの吸光度(As)から、フィブリノーゲンの相対付着率(Fib付着率)を下記式により求めた。
フィブリノーゲンの相対付着率(%)=As/Ac×100
(9)親水性ポリマーの溶出性測定
分離膜が中空糸膜モジュールに組み込まれている場合には、以下のようにして測定した。中空糸膜モジュールの中空内側を室温の超純水700mlで洗浄し、外側を室温の超純水2500mlで洗浄した後、再び内側を室温の超純水300mlで洗浄し、膜に付着している親水性ポリマーを洗い流した。その後、血液側を37℃に加温した4000mlの超純水で流速200ml/minで4時間灌流した。その後、灌流液を200倍に濃縮し、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)にて測定した。その値から、潅流液中に溶出した親水性ポリマーの総量を算出した。
GPCの測定条件としては、カラムとして東ソー社製GMPWXLを使用し、流速0.5ml/min、溶媒として0.1Nの硝酸リチウムを添加したメタノール:水=1:1(容積比)の混合溶媒を用いて、カラム温度40℃で行った。親水性ポリマー量の検量線としては、BASF社製K90のポリビニルピロリドンを用いて、ポリビニルピロリドン換算の濃度とした。ポリビニルピロリドン濃度が10ppm未満の場合は、検出限界以下とした(4L中に溶出した親水性ポリマー量の検出限界は0.4mgとなる)。
(10)透水性能の測定
中空糸両端部を封止したガラス管ミニモジュール(本数36本:有効長10cm)の中空糸内側に水圧100mmHgをかけ、外側へ流出してくる単位時間当たりの濾過量を測定した。透水性能(UFR)は下記の式で算出した。
UFR(mL/hr/m/mmHg)=Q/(P×T×A)
ここで、Q:濾過量(mL)、T:流出時間(hr)、 P:圧力(mmHg)、A:中空糸膜の内表面積(m
(11)水系尿素クリアランス測定
実験は、昭和57年9月発行日本人工臓器学会編ダイアライザー性能評価基準に基づいて行った。この中で測定方法が2種類あるが、本実験はTMP0mmHgを基準とした。クリアランスは以下の式を用いて計算した。膜面積が異なるものについては、クリアランスから総括物質移動係数を計算し、そこから面積換算を行うことができる。
クリアランスC(ml/min)={(CBi−CBo)/CBi}×Q
ここでCBi:尿素のモジュール入口側濃度、CBo:尿素のモジュール出口側濃度、Q:モジュール供給液量(ml/min)
(12)牛血漿尿素クリアランス測定
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加した牛血液について、ヘマトクリットが30±3%、総タンパク量が6.5±0.5g/dLとなるように調整した。
次に、尿素1g/Lになるように加え、撹拌した。かかる牛血液について、その2Lを循環用に、1.5Lをクリアランス測定用として分けた。
回路を図3のようにセットした。透析装置としては、東レメディカル株式会社製 TR2000Sを用いた。TR2000Sは、図3のうち、11 Biポンプ、12 Fポンプ、および9 透析装置にあたる。
透析装置に、透析液(キンダリー液AF2号 扶桑薬品工業株式会社製)A液およびB液をセットした。透析液側から血液側に向けてRO水を流した。透析液濃度13〜15mS/cm、温度34℃以上、透析液側流量を500ml/minに設定した。
透水装置の除水速度を10ml/(min・m)に設定した。Bi回路入口部を上記で調整した牛血液2L(37℃)の入った循環用ビーカーに入れ、Biポンプをスタートし、Bo回路出口部から排出される液体90秒間分を廃棄後、ただちにBo回路出口部および、Do回路出口部を循環用ビーカーに入れて循環状態とした。
続いて透析装置のFポンプを動かし、循環を1時間行った後、BiポンプおよびFポンプを停止した。
次に、Bi回路入口部を上記で調整したクリアランス測定用の牛血液に入れ、Bo回路出口部を廃棄用ビーカーに入れた。Do回路出口部から流出する液体は廃棄した。
Diポンプをスタートした。また、血液ポンプをスタートするとともに、トラップとBiチャンバーの間を開放した。
スタートから2分経過後、クリアランス測定用の牛血液(37℃)からサンプルを10ml採取し、Bi液とした。スタートから4分30秒経過後に、Bo回路出口部からサンプルを10ml採取し、Bo液とした。これらのサンプルは、−20℃以下の冷凍庫で保存した。
各液の濃度からクリアランスを下記(3)式によって算出した。
Co(ml/min)=(CBi−CBo)×Q/CBi (3)
(3)式において、C=尿素クリアランス(ml/min)、CBi=Bi液における尿素濃度、CB=Bo液における尿素濃度、Q=Biポンプ流量(ml/min)である。
(13)β−MGクリアランス測定
牛血漿系尿素クリアランス測定と同じ方法で、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加した牛血液について、β−MG濃度が1mg/Lになるように加え、撹拌した。なお、尿素クリアランスの測定と同時に行っても良い。血液流量400mL/minのクリアランス測定は、血液流量200mL/minのクリアランス測定用のサンプル採取が終わった後、同様に行った。クリアランスの算出式は、(3)の尿素をβ−MGに変えることで得られる。
(実施例1)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)20重量部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)K90 5重量部をジメチルアセトアミド74重量部、水1重量部とともに撹拌翼で50rpmの撹拌を行いながら、90℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を50℃で48時間保管した後、紡糸を行った。なお、ポリスルホンP3500の重量平均分子量は3.5万、ポリビニルピロリドンK90の重量平均分子量は120万であるから、ポリビニルピロリドンに対するポリスルホンの分子量比は34倍となる。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド67重量部、水33重量部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、相対湿度95%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド12重量%、水88重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、次いで75℃の水洗工程を40秒、65℃の水洗工程を20秒通過させ、その後130℃の乾燥工程を2分通過させ、さらに160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
エタノール1重量%水溶液を中空糸膜モジュールの血液側入口(Bi)から血液側出口(Bo)に500mL/minで1分間通液した。次に血液側入口(Bi)から透析液側入口(Di)に500mL/minで1分間通液した。このとき、溶存酸素を脱気させた水溶液を用いた。100kPaの圧空で透析液側から血液側へ充填液を押し出し、モジュールケース内には、エタノール水溶液が残らず、中空糸膜のみ湿潤の状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、窒素で透析液側、血液側それぞれを10L/minの流量で各1分間ブローし、モジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。中空糸膜内表面のポリビニルピロリドン量をXPSにて測定したところ34重量%であった。内表面を片刃で切削して、露出させた表面をXPSにて測定したところ、ポリビニルピロリドン量は15重量%であった。膜中のポリビニルピロリドンを元素分析により測定した結果、5重量%であった。中空糸膜の内表面と外表面について、ATR測定を行った。ポリビニルピロリドンのアミド基由来の1650cm−1付近のピーク強度(APVP)と、ポリスルホンのベンゼン環由来のピークである1580cm−1 付近のピークの強度(APSf)の比(APVP/APSf)は、内表面のほうが、外表面に比べて3.0倍高い値を示し、内表面のほうがポリビニルピロリドン量が多かった。
その他の結果は表1の通りであった。抗酸化剤としてエタノールを用いて、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールすることで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、ポリビニルピロリドンの低溶出と高い透水性を実現することができた。
(実施例2)
湿潤させる溶液としてエタノール1重量%水溶液の代わりに、ヘキサノール1重量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.7倍量であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。
(実施例3)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)18重量部、ポリビニルピロリドン(ISP社)K90 4重量部をジメチルアセトアミド77重量部、水1重量部とともに撹拌翼で50rpmの撹拌を行いながら、90℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を60℃で48時間保管した後、紡糸を行った。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド65重量部、水35重量部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、相対湿度75%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド14重量%、水86重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、85℃の水洗工程を120秒通過させ、130℃の乾燥工程を2分通過させ、160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
実施例1と同様の方法で、中空糸膜をエタノール1重量%水溶液で湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.7倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。抗酸化剤としてエタノールを用いて、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールすることで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、ポリビニルピロリドンの低溶出と高い透水性を実現することができた。
(実施例4)
実施例3と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いて、湿潤させる溶液としてエタノール水溶液の代わりに純水を用いて、中空糸膜を湿潤状態にした。なお、溶存酸素を脱気させた純水を用いた。その後、血液側、透析液側それぞれに、圧空を流して、中空糸膜に含まれる水分量を、中空糸膜の乾燥重量の0.1倍量になるように乾燥させた。この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに15kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。架橋反応を促進させる水分量を低減させ、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールすることで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、ポリビニルピロリドンの低溶出と高い透水性を実現することができた。
(比較例1)
実施例3と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。実施例4と同様に、湿潤させる溶液として純水を用いたが、圧空による充填液の抜き出し操作は行わなかった。モジュール内を純水で満たした状態で、25kGyのγ線を照射した。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。架橋反応を促進させる水分量が多く、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋が進行しすぎたため、ポリビニルピロリドンの溶出は少なかったが、血小板付着やフィブリノーゲン付着は抑制できなかった。
(比較例2)
実施例3と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。湿潤させる溶液として純水の代わりにピロ亜硫酸ナトリウム0.5重量%水溶液を用いた以外は、比較例1と同様の操作を行い、15kGyのγ線を照射した。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。抗酸化剤として用いたピロ亜硫酸ナトリウムの量が多かったため、ポリビニルピロリドンの架橋がほとんど起こらず、血小板付着やフィブリノーゲン付着は抑制できたが、ポリビニルピロリドンの溶出は多かった。
(比較例3)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P1700)18重量部、ポリビニルピロリドン(ISP社)K90 4重量部をジメチルアセトアミド77重量部、水1重量部とともに撹拌翼で10rpmの撹拌を行いながら、50℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を40℃で96時間保管した後、紡糸を行った。なお、ポリスルホンP1700の重量平均分子量は2.9万、ポリビニルピロリドンK90の重量平均分子量は120万であるから、ポリビニルピロリドンに対するポリスルホンの分子量比は41倍となる。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド63重量部、水37重量部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、相対湿度98%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド7重量%、水93重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、次いで85℃の水洗工程を120秒通過させ、その後130℃の乾燥工程を2分通過させ、さらに160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
実施例1と同様の方法で、中空糸膜をエタノール1重量%水溶液で湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.7倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。実施例3と同様に抗酸化剤としてエタノールを用いて、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールしたが、元々の中空糸膜が機能層である内表面にポリビニルピロリドンを多く存在させたものではなかったため、内表面柔軟層厚みが薄く、血小板が付着した。
(比較例4)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)16重量部、ポリビニルピロリドン(ISP社)K30 4重量部、ポリビニルピロリドン(ISP社)K90 2重量部をジメチルアセトアミド77重量部、水1重量部とともに撹拌翼で50rpmの撹拌を行いながら、80℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を60℃で48時間保管した後、紡糸を行った。
なお、ポリビニルピロリドンK30の重量平均分子量は6.2万であるから、ポリビニルピロリドンに対するポリスルホンの分子量比は7となる。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド63重量部、水37重量部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、相対湿度77%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド14重量%、水86重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、次いで90℃の水洗工程を150秒通過させ、その後130℃の乾燥工程を2分通過させ、さらに160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
実施例1と同様の方法で、中空糸膜をエタノール10重量%水溶液で湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに20kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。抗酸化剤としてエタノールを用いて、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールしたが、元々の中空糸膜が機能層である内表面にポリビニルピロリドンを多く存在させたものではなかったため、内表面柔軟層厚みが薄く、血小板が付着した。また、γ線を照射しているので、膜中に不溶性成分が存在したが、該不溶性成分のポリスルホン濃度が低いため、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン)の溶出が多かった。
(比較例5)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。また、湿潤させる溶液としてエタノール1重量%水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。抗酸化剤としてエタノールを用いて、γ線照射によるポリビニルピロリドンの架橋をコントロールしたが、元々の中空糸膜が機能層である内表面にポリビニルピロリドンを多く存在させたものではなかったため、内表面柔軟層厚みが薄く、血小板が付着した。
(比較例6)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。また、エタノール1重量%水溶液の代わりに、純水を用いた以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。
さらに、水系尿素クリアランスは197mL/min、牛血漿系での尿素クリアランスは190mL/minであり、7mL/minの差であった。また、β−MGクリアランスは血液流量200mL/minでは71mL/min、血液流量400mL/minでは72mL/minであり、1.01倍であった。
(実施例5)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。また、湿潤させる溶液としてエタノール1重量%水溶液の代わりに、ビニルピロリドン・酢酸ビニル(6:4)共重合ポリマー(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64、以下、VA64)100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を用いて、モジュール内に充填した以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
なお、VA64水溶液について、GPC−MALLS測定を行ったところ、重量平均分子量10万における分子鎖の回転半径は12nmであった。さらに、VA64のポリスルホンへの吸着平衡定数は、676pg/(mm・ppm)であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。中空糸膜内表面をXPS測定したところ、内表面のポリビニルピロリドン量は19重量%、VA64量は16重量%であった。一方、外表面をXPS測定したところ、エステル基由来のピークは検出されず、外表面にはVA64が存在しなかった。さらに、内表面を片刃で切削して、露出させた表面をXPSにて測定したところ、ポリビニルピロリドン量は10重量%であり、エステル基由来のピークは検出されなかった。また、膜中のポリビニルピロリドンを元素分析により測定した結果、3重量%であった。中空糸膜の内表面と外表面について、ATR測定を行った。ポリビニルピロリドンのアミド基由来の1650cm−1付近のピーク強度(APVP)と、ポリスルホンのベンゼン環由来のピークである1580cm−1 付近のピークの強度(APSf)の比(APVP/APSf)は、内表面のほうが、外表面に比べて3.5倍高い値を示した。すなわち、親水性ホモポリマーであるポリビニルピロリドンは膜厚部にも存在しているが、親水性共重合ポリマーであるVA64は内表面のみに存在していることがわかった。その他の結果は表1の通りであった。内表面柔軟層厚みがVA64の導入によって15nmに膨潤することで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、親水性ポリマーの低溶出と高い透水性を実現することができた。
さらに、水系尿素クリアランスは196mL/min、牛血漿系での尿素クリアランスは194mL/minであり、2mL/minの差であった。また、β−MGクリアランスは血液流量200mL/minでは71mL/min、血液流量400mL/minでは79mL/minであり、1.11倍であった。
(実施例6)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。また、湿潤させる溶液としてエタノール1重量%水溶液の代わりに、ビニルピロリドン・酢酸ビニル(5:5)共重合ポリマー(以下、VA55)100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった内表面柔軟層厚みをVA55によって膨潤させて15nmとすることで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、親水性ポリマーの低溶出と高い透水性を実現することができた。
さらに、水系尿素クリアランスは195mL/min、牛血漿系での尿素クリアランスは194mL/minであり、1mL/minの差であった。また、β−MGクリアランスは血液流量200mL/minでは68mL/min、血液流量400mL/minでは75mL/minであり、1.10倍であった。
(実施例7)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。また、湿潤させる溶液としてエタノール1重量%水溶液の代わりに、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム(5:5)共重合ポリマー(以下、VPC55)100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.7倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。内表面柔軟層厚みをVPC55によって補うことで、血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、親水性ポリマーの低溶出と高い透水性を実現することができた。
さらに、水系尿素クリアランスは194mL/min、牛血漿系での尿素クリアランスは194mL/minであり、0mL/minの差であった。また、β−MGクリアランスは血液流量200mL/minでは70mL/min、血液流量400mL/minでは76mL/minであり、1.09倍であった。
(実施例8)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いた。VA64 100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を、中空糸膜モジュールの血液側入口(Bi)から血液側出口(Bo)を通して、透析液出口(Do)から透析液側入口(Di)に、ワンパスで500mL/minで5分間通液した。その後、圧空による充填液の抜き出し操作は行わなかった。モジュール内を上記混合水溶液で満たした状態で、25kGyのγ線を照射した。
該モジュールについて、各種試験を実施した。中空糸膜内表面をXPS測定したところ、内表面のポリビニルピロリドン量は20重量%、VA64量は19重量%であった。一方、外表面をXPS測定したところ、VA64量は14重量%であった。さらに、内表面を片刃で切削して、露出させた表面をXPSにて測定したところ、ポリビニルピロリドン量は10重量%であり、VA64量は7重量%であった。膜中のポリビニルピロリドンを元素分析により測定した結果、3重量%であった。中空糸膜の内表面と外表面について、ATR測定を行った。ポリビニルピロリドンのアミド基由来の1650cm−1付近のピーク強度(APVP)と、ポリスルホンのベンゼン環由来のピークである1580cm−1 付近のピークの強度(APSf)の比(APVP/APSf)は、内表面のほうが、外表面に比べて3.2倍高い値を示した。すなわち、親水性ホモポリマーであるポリビニルピロリドンと親水性共重合ポリマーであるVA64ともに膜厚部にも存在していることがわかった。
その他の結果は表1の通りであった。血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、親水性ポリマーの低溶出と高い透水性を実現することができた。ただし、VA64が膜厚部にも存在しているために、透水性はやや低い値となったと考えられる。
(比較例7)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いて、VA64 100ppm水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。内表面柔軟層厚みをVA64によって膨潤させて13nmとすることで、血小板付着を抑制できたが、充填液に抗酸化剤であるエタノールを添加していないため、γ線による架橋が進行し、フィブリノーゲン付着を抑制できなかった。
(比較例8)
比較例4と同様の方法で得られた中空糸膜モジュールを用いて、ポリビニルピロリドン(ISP社)K30の100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を用いた以外は、比較例4と同様にして、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
なお、ポリビニルピロリドンK30水溶液について、GPC−MALLS測定を行ったところ、重量平均分子量10万における分子鎖の回転半径は9nmであった。さらに、ポリビニルピロリドンK30のポリスルホンへの吸着平衡定数は、310pg/(mm・ppm)であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。中空糸膜製膜後に添加したポリビニルピロリドンは、内表面柔軟層厚みを膨潤させることができなかったために、血小板付着を抑制できなかった。これは、ポリビニルピロリドンの分子鎖の回転半径が小さいことと、ポリスルホンへの吸着平衡定数が小さいために、柔軟層厚みを十分に補えなかったと考えられる。
(比較例9)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)18重量部をジメチルアセトアミド81部、水1部とともに加熱溶解し、撹拌翼で50rpmの撹拌を行いながら、80℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を60℃で48時間保管した後、紡糸を行った。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド20重量部、水80重量部からなる溶液を吐出させ、中空糸膜を形成させた後、温度30℃、相対湿度95%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド14重量%、水86重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、次いで80℃の水洗工程を120秒通過させ、その後130℃の乾燥工程を2分通過させ、さらに160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
実施例5と同様にVA64 100ppmとエタノール0.1重量%の混合水溶液を用いて、中空糸膜を湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の1.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。内表面柔軟層厚みはVA64によって膨潤して10nmであり、血小板付着を抑制できた。しかしながら、膜厚部に親水性ポリマーがほとんどないために、不溶性成分が得られず、フィブリノーゲン付着を抑制できなかったと考えられる。さらに透水性も低かった。
(実施例9)
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)18重量部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)K30 9重量部をジメチルアセトアミド72重量部、水1重量部を加熱溶解し、撹拌翼で50rpmの撹拌を行いながら、80℃、10時間加熱溶解し、製膜原液とした。この原液を60℃で48時間保管した後、紡糸を行った。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmの2重スリット管から芯液としてジメチルアセトアミド63重量部、水37重量部の溶液にVA64 10重量部を溶解させた溶液を吐出させた。中空糸膜を形成させた後、温度28℃、相対湿度95%RH、350mmのドライゾーン雰囲気を経て、ジメチルアセトアミド14重量%、水86重量%からなる温度40℃の凝固浴を通過させ、次いで80℃の水洗工程を120秒通過させ、その後130℃の乾燥工程を2分通過させ、さらに160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。この中空糸膜を総膜面積が1.6mになるようにケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティング材によりケース端部に固定し、ポッティング材の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を開口させて、図1に示すモジュールとした。
実施例1と同様の方法で、中空糸膜をエタノール1重量%水溶液で湿潤状態にした。中空糸膜に含まれる水分量は、中空糸膜の乾燥重量の2.8倍量であった。
この後、実施例1と同様にモジュール内を窒素で置換した後、該モジュールに25kGyのγ線を照射した。モジュール内の酸素濃度は1%であった。
該モジュールについて、各種試験を実施した。結果は表1の通りであった。血小板付着やフィブリノーゲン付着を大幅に抑制しつつ、親水性ポリマーの低溶出と高い透水性を実現することができた。
1 中空糸膜
2 ケース
3 ポッティング剤
4 血液側入口(Bi)
5 血液側出口(Do)
6 透析液側入口(Di)
7 透析液側出口(Do)
8 基準線
9 透析装置
10 中空糸膜モジュール
11 Biポンプ
12 Fポンプ
13 廃棄用容器
14 循環用血液
15 クリアランス測定用血液
16 Bi回路
17 Bo回路
18 Di回路
19 Do回路
20 温水槽

Claims (9)

  1. ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとからなるポリスルホン系分離膜であって、分離膜中にN,N−ジメチルアセトアミドに不溶性の成分を含んでおり、
    (イ)前記不溶性成分におけるポリスルホン系ポリマー濃度が10重量%以上、50重量%以下
    (ロ)前記不溶性成分の含水率が95重量%以上
    (ハ)湿潤状態での分離膜の機能層表面に柔軟層が存在し、厚みが7nm以上
    であることを特徴とするポリスルホン系分離膜。
  2. 前記親水性ポリマーが、少なくとも1種の親水性ホモポリマーと少なくとも1種の親水性共重合ポリマーからなり、前記親水性ホモポリマーは分離膜の厚み方向にわたって存在する一方で、前記親水性共重合ポリマーは、分離膜の機能層表面のみに存在することを特徴とする請求項1に記載のポリスルホン系分離膜。
  3. 前記親水性ホモポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも1種を含んでおり、前記親水性共重合ポリマーが、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、ビニルピロリドン・スチレン共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリマー、ビニルピロリドン・メチルメタクリレート共重合ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含んでいることを特徴とする請求項2に記載のポリスルホン系分離膜。
  4. 前記分離膜の機能層表面にエステル基が存在し、かつ前記エステル基由来の炭素量が0.3(原子数%)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスルホン系分離膜。
  5. 前記親水性共重合ポリマーがビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマーであり、かつ機能層表面の濃度が10重量%以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のポリスルホン系分離膜。
  6. 血液浄化用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の分離膜が内蔵されたことを特徴とする分離膜モジュール。
  8. 分離膜モジュールの1.6m換算値の尿素クリアランスについて、水系での測定値と牛血漿系での測定値の差が5mL/min以内であることを特徴とする請求項7に記載の分離膜モジュール。
  9. 分離膜モジュールの1.6m換算値の牛血漿を用いたβ2-ミクログロブリンクリアランスについて、血液側流量400mL/minでのクリアランスが、血液側流量200mL/minでのクリアランスの1.05倍以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の分離膜モジュール。
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