JP2011087401A - 電子部品の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置 - Google Patents

電子部品の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板等の基体上に隣接して搭載された電子部品の温度を簡易かつ高い信頼性のもとに検出することのできる温度検出装置、及び該温度検出装置を用いての車載電力素子の温度検出に基づいてその駆動を制御する車載電力素子の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】相互に熱干渉するIGBT20及びダイオード30の各々の通電量に相関する各熱損失に基づきそれらの熱損失比を算出する熱損失比算出部130を備える。この熱損失比算出部130により算出された熱損失比と予め求められた基体の熱伝達モデルとに基づき温度の検出対象とするIGBT20あるいはダイオード30の熱干渉を含めた熱抵抗を熱抵抗算出部140により求める。そして、この求められた熱抵抗と温度の検出対象とするIGBT20あるいはダイオード30の熱損失との乗算値としてこの温度の検出対象とするIGBT20あるいはダイオード30の温度を温度算出部150により算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、基板等の基体上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合う複数の電子部品についてその温度を検出する電子部品の温度検出装置、及び該温度検出装置を用いての車載電力素子の温度検出に基づいてその駆動を制御する車載電力素子の駆動制御装置に関する。
上記電子部品、例えば車載電力素子としては、例えばハイブリッド車や電気自動車などにあって、車載バッテリから供給される直流電力を三相交流等に変換してモータ駆動用の電力変換を行うインバータ装置のスイッチング素子として用いられるIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)や還流ダイオード等が知られている。図18に、従来一般に用いられているインバータ装置について、その回路構成の一例を示す。
図18に示されるように、このインバータ装置における直流電源Bの正極母線である正極バスバーBBPと負極母線である負極バスバーBBNとの間には、直流電源Bから印加される直流電圧を平滑化する平滑コンデンサC及び同直流電圧を三相交流に変換するインバータ回路INVが接続されている。インバータ回路INVは、上アームを構成する3つのスイッチング素子(IGBT)T1U、T3V、T5Wと、下アームを構成する3つのスイッチング素子T2U、T4V、T6Wとが三相ブリッジ接続されている。
また、スイッチング素子T1U、T3V、T5Wの各エミッタ電極、及びスイッチング素子T2U、T4V、T6Wの各コレクタ電極の結線部であるU相出力電極、V相出力電極、W相出力電極は、それぞれ出力線OWU、OWV、OWWを介して三相交流モータMのU相コイル、V相コイル、W相コイルに接続されている。
ここで、上記各スイッチング素子T1U、T3V、T5W、及びスイッチング素子T2U、T4V、T6Wのエミッタ電極とコレクタ電極との間には、それぞれ整流素子である還流ダイオードD1U、D3V、D5W、及び還流ダイオードD2U、D4V、D6Wが逆並列に接続されている。
このようなインバータ装置を構成する上記スイッチング素子T1U、T3V、T5W、T2U、T4V、T6Wは、そのオン動作に伴って供給される電流が大きいことから、それらの動作に伴って素子温度が上昇すると、スイッチング素子T1U、T3V、T5W、T2U、T4V、T6Wに性能の低下が生じる虞がある。そこで、例えば特許文献1に記載されているように、温度検出装置によってスイッチング素子の温度を検出し、この検出された温度が所定値を超えたときにはスイッチング素子に対する通電を停止することによって、スイッチング素子の性能の低下を防止するようにしている。
ここで、上記インバータ回路INVのうち、例えばスイッチング素子T1U、T2U及び還流ダイオードD1U及びD2Uの動作、並びに上記特許文献1の温度検出装置による温度検出態様について図19を参照して説明する。なお、図19は、上記スイッチング素子T1U、T2Uの3種のスイッチングモードとこれに対応する電流の流れを示すものである。このうち、図19(a)は、スイッチング素子T1Uがオン、スイッチング素子T2Uがオフとされる第1のスイッチングモード、図19(b)は、スイッチング素子T1Uがオフ、スイッチング素子T2Uがオンとされる第2のスイッチングモード、図19(c)は、スイッチング素子T1U、T2Uが共にオフとされる第3のスイッチングモードを、それぞれ示している。
こうした各スイッチングモードのうち、第1及び第2のスイッチングモードにおいては、図19(a)及び(b)にそれぞれ実線で経路A及び経路Cとして示すように、スイッチング素子T1U、T2Uに電流が流れる通電状態と、図19(a)及び(b)にそれぞれ破線で経路B及び経路Dとして示すように、還流ダイオードD1U、D2Uに電流が流れる通電状態とがある。これら各通電状態のうち、上記経路D(図19(b))となる状態においては、出力端子Pの電位が還流ダイオードD2Uのアノードの電位よりも低くなることによって還流ダイオードD2Uに順方向電圧が印加され、還流ダイオードD2Uに順方向電流が流れるようになる。一方、通電状態が上記経路A、B、Cとなる状態においては、出力端子Pの電位が還流ダイオードD2Uのアノードの電位よりも高いため、還流ダイオードD2Uには逆方向電圧が印加された状態となる。
そして、このような還流ダイオードD2Uの順方向の電流電圧特性は通常、その温度と相関する関係にある。このため、上記温度検出装置では、こうした還流ダイオードD2Uの順方向電流及び順方向電圧を検出し、それら検出された順方向電流及び順方向電圧に対応する温度マップを通じて還流ダイオードD2Uの温度を算出するようにしている。また、この還流ダイオードD2Uは、上記スイッチング素子T2Uに隣接して設けられていることから、還流ダイオードD2Uの温度はスイッチング素子T2Uの温度変化に追従する態様で変化する。そこで、特許文献1に記載の温度検出装置では、還流ダイオードD2Uの順方向電流及び順方向電圧に基づき算出された温度をスイッチング素子T2Uの温度として推定することにより、スイッチング素子T2Uの温度を検出するようにしている。
このように、特許文献1に記載の温度検出装置では、インバータ回路INVを構成する還流ダイオードD2Uの順方向電圧及び順方向電流に基づいてスイッチング素子T2Uの温度を推定することによって、温度検出用の別途のダイオード等を用いることなくスイッチング素子T2Uの温度を求めるようにしている。
特開平7−234162号公報
ところで、上記温度検出装置によって推定されるスイッチング素子T2Uの温度とは、あくまで、このスイッチング素子T2Uに隣接する還流ダイオードD2Uそのものの温度でしかない。このため、還流ダイオードD2Uの順方向電圧及び順方向電圧に基づいてスイッチング素子T2Uの温度を推定したとしても、この還流ダイオードD2Uとスイッチング素子T2Uとの温度特性に起因する検出誤差は少なからず生じることになる。また通常、還流ダイオードD2Uに順方向電流が流れる際には、スイッチング素子T2Uはオフ状態にあるため、スイッチング素子T2Uが動作している状態における同スイッチング素子T2Uの温度、すなわちスイッチング素子T2Uが発熱している状態における同スイッチング素子T2Uの温度を検出することはできない。こうしたことから、たとえ還流ダイオードの整流素子の順方向電圧及び順方向電圧に基づきこれに隣接するスイッチング素子の温度を推定したとしても、スイッチング素子の温度を精度よく検出することは難しい。
なお、このような課題は、上記インバータ装置を構成するスイッチング素子(IGBT)等の車載電力素子に限らず、基板等の基体上に隣接して搭載される各種電子部品についても概ね共通したものとなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板等の基体上
に隣接して搭載された電子部品の温度を簡易かつ高い信頼性のもとに検出することのできる温度検出装置、及び該温度検出装置を用いての車載電力素子の温度検出に基づいてその駆動を制御する車載電力素子の駆動制御装置を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、基体上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合う複数の電子部品のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する電子部品の温度検出装置において、前記温度の検出対象とする電子部品の通電量に相関する熱損失とこの電子部品に熱干渉する電子部品の通電量に相関する熱損失とに基づきそれら電子部品の熱損失比を算出する熱損失比算出部と、この算出された熱損失比と予め求められた前記基体の熱伝達モデルとに基づき前記温度の検出対象とする電子部品の前記熱干渉を含めた熱抵抗を求める熱抵抗算出部と、この求められた熱抵抗と前記温度の検出対象とする電子部品の熱損失との乗算値として当該温度の検出対象とする電子部品の温度を算出する温度算出部とを備えることを要旨とする。
通常、基体上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合う電子部品の温度は、温度の検出対象とする電子部品の通電に伴う熱損失のみならず、この電子部品に隣接して搭載されて熱干渉する電子部品の通電に伴う熱損失の影響も受けて変化するようになる。このため、温度の検出対象とする電子部品の温度を正確に算出するためには、こうした熱干渉を考慮して温度を算出する必要がある。この点、上記構成によるように、それら相互に熱干渉し合う電子部品それぞれの熱損失から求まる熱損失比とそれら電子部品が搭載される基体の熱伝達モデルとに基づいて電子部品の熱抵抗を求めることとすれば、温度の検出対象とする電子部品に熱干渉する電子部品の影響を含めた熱抵抗の算出が可能となる。そして、このように熱干渉が加味された熱抵抗と温度の検出対象とする電子部品の熱損失の乗算値としてこの温度検出の対象とする電子部品の温度を求めることにより、熱干渉が含まれた電子部品に関する信頼性の高い温度検出が可能となる。また、上記構成によれば、相互に熱干渉し合う各電子部品の熱損失とそれら各電子部品が搭載される基体の熱伝達モデルに基づき温度の検出対象とする電子部品の温度検出が可能なことから、温度検出用のダイオードや温度センサ等を別途に設けることなく電子部品の温度を検出することが可能となる。これにより、電子部品の温度をより簡易な構成のもとに検出することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品の温度検出装置において、前記基体の熱伝達モデルが前記基体に搭載されて相互に熱干渉し合う電子部品それぞれの大きさ、及び搭載態様、及びそれら電子部品に対する前記基体の放熱特性に基づき求められたものであることを要旨とする。
上記基体の熱伝達モデル、すなわち、基体に搭載されて相互に熱干渉し合う電子部品間の熱干渉特性は、電子部品それぞれの大きさ、及び各電子部品間の距離や配置位置といった搭載態様、及び基体の冷却系等から定まる電子部品に対する基体の放熱特性等に相関する。この点、上記構成によるように、各電子部品の大きさ、及び搭載態様、及びそれら電子部品に対する基体の放熱特性に基づいて熱伝達モデルを求めることとすれば、上記熱抵抗の算出、ひいては、温度の検出対象とする電子部品の温度検出をより高い信頼性のもとに行なうことができるようになる。なお、このような基体の熱伝達モデルは、上記各要素に基づき演算することができるが、コンピュータ・エイデッド・エンジニアリング(CAE)によって電子部品の大きさ、搭載態様、放熱構造や冷却性能等の放熱特性をモデル化し、その数値解析に基づき求めることもできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置において
、前記電子部品の各々は外部から付与される駆動指令に基づいてその通電量が調整されるものであり、前記熱損失比算出部は、それら電子部品に対する駆動指令から各々その通電量を推定して前記熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出することを要旨とする。
通常、上記電子部品の温度上昇量、すなわち、電子部品の熱損失は、外部から付与される駆動指令に基づき調整される通電量に相関する。この点、上記構成によるように、それら電子部品に対する駆動指令から各々その通電量を推定して熱損失を求めることとすれば、こうした駆動指令に応じて電子部品が駆動する以前に同電子部品の熱損失、ひいては、その温度を予測することができるようになる。したがって、このような温度検出を通じて電子部品の温度をモニタしつつその通電量を調整することとすれば、この電子部品の温度を同電子部品の性能を維持する上で許容される範囲内に好適に維持することが可能ともなる。また、このように電子部品に対する駆動指令から各々その通電量を推定して熱損失を求めることとすれば、各電子部品の熱損失をより容易に算出することができるようになり、ひいては、温度の検出対象とする電子部品の温度をより容易に検出することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置において、前記熱損失比算出部は、前記電子部品の各々に供給される電流値と同電子部品の各々に印加される電圧値との乗算値からそれぞれ前記熱損失を求めてその熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、電子部品の各々に供給される電流値と同電子部品の各々に印加される電圧値との乗算値からそれぞれ上記熱損失を求めてその熱損失比を算出することとすれば、それら各電子部品間で実際に発生している熱損失に基づいた熱損失比を的確に求めることができるようになる。これにより、それら熱損失及び熱損失比に基づく電子部品の温度検出をより的確に行なうことができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置において、前記電子部品が、直流電力を電力変換して車両用原動機である交流モータを駆動するインバータ装置にあって電力変換のためのスイッチングを行うスイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続された整流素子を含む車載電力素子とからなり、これらスイッチング素子及び整流素子のうちの少なくとも一つについてその温度を検出することを要旨とする。
通常、上記インバータ装置を構成する車載電力素子としてのスイッチング素子及び整流素子は、それらスイッチング素子及び整流素子に供給される電流値が大きいことから、この電流値に比例してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失(発熱)も過大なものとなり、その高精度な温度検出が必要となる。この点、上記構成によれば、温度の検出対象がインバータ装置を構成するスイッチング素子であれ整流素子であれ、その温度を精度よく検出することができる。したがって、このような温度検出装置を通じて検出される温度をモニタしつつ、上記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の駆動を制御することとすれば、インバータ装置そのものの制御性も大きく向上されるようになる。ちなみに従来は、別途に設けられた一つの温度検出用のダイオードにより上記インバータ装置を構成する各スイッチング素子のうち一つのスイッチング素子の温度を代表値としてモニタし、この代表値の温度モニタに基づいてスイッチング素子及び整流素子の駆動を制御するものがあった。しかし、このようなインバータ装置を構成するスイッチング素子間には、各アーム間や各相間で熱損失のばらつきが存在するため、全てのスイッチング素子を過熱から保護する上ではこうしたばらつき分を考慮して各スイッチング素子の駆動を制御する必要がある。詳述すると、IGBT等のスイッチング素子の動作を保証する上
で許容される動作保証温度が「150℃」である場合には、上記代表値としてモニタされるスイッチング素子の温度が、動作保証温度に上記ばらつき分が考慮された温度(負荷率制限開始温度)である「110℃」に到達したことをもって各スイッチング素子に供給される電流の制限を制限する必要がある。このため、全てのスイッチング素子を過熱から保護する上では、実際にスイッチング素子の温度が動作保証温度に未だ到達していないにも拘わらずインバータ装置の駆動が制限されることとなり、インバータ装置としての制御性も自ずと低いものとなっていた。この点においても、上記構成によれば、インバータ装置を構成する各スイッチング素子及び各整流素子の全ての温度を高精度にモニタすることが可能なことから、こうした温度モニタに基づくインバータ装置としての制御性もより高められるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子部品の温度検出装置において、前記熱損失比算出部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量から前記スイッチング素子及び前記整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量からスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めることとすれば、こうした制御量の調整量に応じてスイッチング素子及び整流素子が動作する以前に各素子の熱損失、ひいては、その温度を予測することができるようになる。したがって、このような温度検出(予測)を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度をモニタしつつその制御量を調整することとすれば、上記インバータ装置を駆動制御する上でそれらスイッチング素子及び整流素子の温度を上記動作保証温度の範囲内に好適に維持することが可能となる。また、このようにインバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量からスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めることで、各スイッチング素子及び各整流素子の熱損失をより容易に算出することができるようになり、ひいては、それら各素子の温度を容易にモニタすることができるようにもなる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子部品の温度検出装置において、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量には、前記インバータ装置としてのシステム電圧、及び前記インバータ装置に流れる電流、及び前記インバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の少なくとも一つが含まれることを要旨とする。
上記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の熱損失は、インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量としての上記システム電圧、及びインバータ装置に流れる電流、及びインバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数に相関して変化する。このため、上記構成によるように、それら各要素に基づいてスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定することとすれば、こうした通電量に相関するスイッチング素子及び整流素子の熱損失をより簡易かつ的確に算出することができるようになる。なお、スイッチング素子及び整流素子の温度をより高精度に算出する上では、インバータ装置としてのシステム電圧、及びインバータ装置に流れる電流、及びインバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の全てに基づきスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定することが望ましい。これにより、スイッチング素子及び整流素子の温度をより高い精度のもとに検出することができるようにもなる。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の電子部品の温度検出装置において、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量には前記インバータ装置のパルス幅変調制御に伴って前記スイッチング素子をオン/オフ制御する際にそのオン/オフ時間の割合を可変として前記スイッチング素子及び前記整流素子の温度推移を可変とする制御
量の調整量が含まれ、前記熱損失比算出部は、この調整されるスイッチング素子のオン/オフ時間の割合から前記スイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出することを要旨とする。
通常、上記オン/オフ時間の割合の調整を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度推移を調整する際には、例えばスイッチング素子の温度が整流素子の温度よりも高い場合、スイッチング素子のオン時間よりも整流素子のオン時間を長くすることによってスイッチング素子側の熱損失を低減させる一方、整流素子側の熱損失を増加させることができる。このため、このようなオン/オフ時間の割合の調整を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度推移を調整する上では、それらスイッチング素子及び整流素子の温度を共にモニタしつつ、上記オン/オフ時間の割合を調整しなければならず、スイッチング素子及び整流素子の温度を温度検出用のダイオードやセンサ等を用いて実測する必要があった。また、こうした実測温度を一旦比較した上でその都度フィードバックすることにより上記オン/オフ時間の割合を調整する必要があることから、スイッチング素子及び整流素子の各温度が同時に上記負荷率制限開始温度等の制限温度に到達する温度推移の算出、すなわち制御量の調整量としての上記オン/オフ時間の最適な割合の算出に要する時間の拡大をも招いていた。
この点、上記構成によるように、こうした制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合に基づきスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めるとともにこの熱損失から上記熱損失比を算出することとすれば、こうした制御量の調整量に応じてスイッチング素子及び整流素子が動作する以前に各素子の熱損失、ひいては、それらの温度を予測することができるようになる。したがって、このような温度検出(予測)を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度をモニタしつつその制御量を調整することによって、スイッチング素子及び整流素子の各温度が同時に目標とする温度(動作保証温度)に到達するようにそれらの温度推移を設定することが可能となる。
なお、このような制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合は、それらスイッチング素子及び整流素子の熱損失の割合、すなわち熱損失比に相関するものである。そこで、制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合から上記熱損失比を直接求めることも可能であり、この求められた熱損失比と例えば上記請求項7に記載の制御量の調整量から推定される温度検出対象の熱損失とに基づいて温度の検出対象とする素子の温度を検出(予測)することも可能である。これにより、上記スイッチング素子及び整流素子の温度をより容易に検出することができるようにもなる。
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の電子部品の温度検出装置において、前記熱損失比算出部は、前記スイッチング素子に供給される電流値と同スイッチング素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求めるとともに、前記整流素子に供給される電流値と同整流素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求め、それら求めた熱損失から前記熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、スイッチング素子及び整流素子の各々に供給される電流値とそれらスイッチング素子及び整流素子の各々に印加される電圧値との乗算値からそれぞれ上記熱損失を求めてその熱損失比を算出することとすれば、それらスイッチング素子及び整流素子で実際に発生している熱損失に基づいた熱損失比を的確に求めることができるようになる。これにより、それら熱損失及び熱損失比に基づくスイッチング素子及び整流素子の温度検出をより的確に行なうことができるようになる。
請求項10に記載の発明は、前記電子部品が、直流電力を電力変換して車両用原動機で
ある交流モータを駆動するインバータ装置にあって電力変換のためのスイッチングを行うスイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続された整流素子を含む車載電力素子からなり、これらスイッチング素子及び整流素子のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する温度検出装置として請求項1または2に記載の温度検出装置を用い、この温度検出装置を通じて検出される温度をモニタしつつ前記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の駆動を制御するインバータ制御部を備えることを要旨とする。
上記構成によるように、上記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する温度検出装置として請求項1または2に記載の温度検出装置を用いることとすれば、それら温度検出対象としてのスイッチング素子あるいは整流素子の温度を精度よく検出することができるようになる。したがって、このような温度検出装置を通じて検出される温度をモニタしつつ、上記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の駆動を制御することによって、インバータ装置としての制御性が大きく向上されるようになる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の車載電力素子の駆動制御装置において、前記インバータ制御部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量を調整して前記スイッチング素子及び整流素子の通電量を制御するものであり、前記熱損失比算出部は、このインバータ制御部による前記制御量の調整量から前記スイッチング素子及び前記整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量からスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めることとすれば、こうした制御量の調整量に応じてスイッチング素子及び整流素子が動作する以前に各素子の熱損失、ひいては、その温度を予測することができるようになる。したがって、このような温度検出(予測)を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度をモニタしつつその制御量を調整することによって、上記インバータ装置を駆動制御する上でそれらスイッチング素子及び整流素子の温度を上記動作保証温度の範囲内に維持するようにスイッチング素子及び整流素子を駆動制御することが可能となる。また、このようにインバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量からスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めることで、各スイッチング素子及び各整流素子の熱損失をより容易に算出することができるようになり、ひいては、それら各素子の温度モニタを通じたスイッチング素子及び整流素子の駆動制御も容易なものとなる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の車載電力素子の駆動制御装置において、前記インバータ制御部による前記制御量の調整量には、前記インバータ装置としてのシステム電圧、及び前記インバータ装置に流れる電流、及び前記インバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の少なくとも一つが含まれることを要旨とする。
上記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の熱損失は、インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量としての上記システム電圧、及びインバータ装置に流れる電流、及びインバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数に相関して変化する。このため、上記構成によるように、それら各要素に基づいてスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定することとすれば、こうした通電量に相関するスイッチング素子及び整流素子の熱損失をより簡易かつ的確に算出することができるようになる。これにより、こうしたスイッチング素子及び整流素子の温度検出に基づくそれらスイッチング素子及び整流素子の駆動制御をより簡易かつ的確に行なうことができるようになる。なお、スイッチング素子及び整流素子の温度をより高精度に算出する上では、インバータ
装置としてのシステム電圧、及びインバータ装置に流れる電流、及びインバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の全てに基づきスイッチング素子及び整流素子の通電量を推定することが望ましい。これにより、スイッチング素子及び整流素子の温度のより高精度な検出及びそれらスイッチング素子及び整流素子の高精度な駆動制御が可能となる。
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の車載電力素子の駆動制御装置において、前記インバータ制御部による前記制御量の調整量には、前記インバータ装置のパルス幅変調制御に伴って前記スイッチング素子をオン/オフ制御する際にそのオン/オフ時間の割合を可変として前記スイッチング素子及び前記整流素子の温度推移を可変とする制御量の調整量が含まれ、前記熱損失比算出部は、この調整されるスイッチング素子のオン/オフ時間の割合から前記スイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、こうした制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合に基づきスイッチング素子及び整流素子の熱損失を求めるとともにこの熱損失から上記熱損失比を算出することとすれば、こうした制御量の調整量に応じてスイッチング素子及び整流素子が動作する以前に各素子の熱損失、ひいては、それらの温度を予測することができるようになる。したがって、このような温度検出(予測)を通じてスイッチング素子及び整流素子の温度をモニタしつつその制御量を調整することとすれば、スイッチング素子及び整流素子の各温度が同時に目標とする温度(動作保証温度)に到達するようにそれらの温度推移を制御することが可能となる。
なお、このような制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合は、それらスイッチング素子及び整流素子の熱損失の割合、すなわち熱損失比に相関するものである。そこで、制御量の調整量としてのスイッチング素子及び整流素子のオン/オフ時間の割合から上記熱損失比を直接求めることも可能であり、この求められた熱損失比と例えば上記請求項12に記載の制御量の調整量から推定される温度検出対象の熱損失とに基づいて温度の検出対象とする素子の温度を検出(予測)することも可能である。これにより、上記スイッチング素子及び整流素子の温度をより容易に検出することができるようにもなり、ひいては、それら検出された温度に基づくスイッチング素子及び整流素子の駆動制御をより容易に実行することができるようにもなる。
請求項14に記載の発明は、請求項10に記載の車載電力素子の駆動制御装置において、前記インバータ制御部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量を調整して前記スイッチング素子及び整流素子の通電量を制御するものであり、前記熱損失比算出部は、前記スイッチング素子に供給される電流値と同スイッチング素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求めるとともに、前記整流素子に供給される電流値と同整流素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求め、それら求めた熱損失から前記熱損失比を算出することを要旨とする。
上記構成によるように、スイッチング素子及び整流素子の各々に供給される電流値とそれらスイッチング素子及び整流素子の各々に印加される電圧値との乗算値からそれぞれ上記熱損失を求めてその熱損失比を算出することとすれば、それらスイッチング素子及び整流素子で実際に発生している熱損失に基づいた熱損失比を的確に求めることができるようになる。これにより、それら熱損失及び熱損失比に基づくスイッチング素子及び整流素子の温度検出をより的確に行なうことができるようになり、ひいては、それら検出された温度に基づくスイッチング素子及び整流素子の駆動制御をより的確に実行することができるようにもなる。
本発明の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の第1の実施の形態について、温度の検出対象とするIGBT及びダイオードの構成を模式的に示す平面図。 上記IGBT及びダイオードの各熱損失に対応するIGBT及びダイオードの温度推移の一例を示すグラフ。 上記IGBT及びダイオードの各熱損失に対応するIGBT及びダイオードの温度推移の一例を示すグラフ。 上記第1熱損失比とダイオードの熱抵抗との関係を示すグラフ。 上記第2熱損失比とIGBTの熱抵抗との関係を示すグラフ。 同実施の形態の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置について、その構成を示すブロック図。 同実施の形態の温度算出手順を示すフローチャート。 本発明の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の第2の実施の形態について、インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量に対するIGBTの温度推移の一例を示すグラフ。 同実施の形態におけるインバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量に対するダイオードの温度推移の一例を示すグラフ。 同実施の形態の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置について、その構成を示すブロック図。 同実施の形態の温度算出手順を示すフローチャート。 IGBTのオン/オフ時間の割合に対するIGBT及びダイオードの温度推移の一例を示すタイミングチャート。 本発明の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の第3の実施の形態について、IGBTのオン/オフ時間の割合とIGBT及びダイオードの熱損失との関係の一例を示すグラフ。 同実施の形態の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置について、その構成を示すブロック図。 同実施の形態の温度算出手順を示すフローチャート。 同実施の形態の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置により調整されるIGBTのオン/オフ時間の割合に対するIGBT及びダイオードの温度推移の一例を示すタイミングチャート。 本発明の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の他の実施の形態について、温度の検出対象とするIGBT及びダイオードの構成を模式的に示す平面図。 インバータ装置による一般的な三相交流モータの駆動制御装置について、その構成を示す回路図。 (a)〜(c)は、上記インバータ装置の一部について、そのスイッチング動作の一例を示す回路図。
(第1の実施の形態)
本発明にかかる電子部品の温度検出装置を用いてIGBT等のスイッチング素子やこれに逆並列接続されるダイオード等の整流素子の温度をモニタしつつその駆動を制御する装置、すなわち本発明にかかる車載電力素子の駆動制御装置に上記電子部品の温度検出装置の一例を適用した第1の実施の形態について図1〜図7を参照して説明する。
図1は、ハイブリッド車や電気自動車などにあって、車載バッテリから供給される直流電力を三相交流等に変換してモータ駆動用の電力変換を行う先の図18に示したインバータ装置を構成する車載電力素子について、その概略平面構成を示したものである。
この図1に示すように、上記インバータ装置を構成する車載電力素子は、絶縁基板等の
材料からなる基体10の上に互いに隣接して搭載されるスイッチング素子としてのIGBT20と、このIGBT20に逆並列接続される整流素子としてのダイオード30とを有して構成される。
ここで、上記インバータ装置を構成するこれらIGBT20及びダイオード30は、そのオン動作に伴って供給される電流が大きいことから、それらの動作に伴う電力損失、すなわち熱損失により発熱し、その温度が次第に上昇するようになる。そして通常、このようなIGBT20やダイオード30の温度は、それらIGBT20あるいはダイオード30そのものの熱損失のみならず、図1に矢印にて示すように、相互の熱干渉によっても変化する。このため、このように基体10の上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合うIGBT20及びダイオード30の温度を精度よく検出するためには、それらIGBT20及びダイオード30間の熱干渉をも考慮して温度算出を行なうことが望ましい。そこで、本実施の形態では、このような前提のもとに、温度検出対象とするIGBT20あるいはダイオード30に対する熱干渉分を考慮してそれらIGBT20及びダイオード30の温度を算出することとする。
以下、本実施の形態にかかる温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の温度検出原理について、図2〜図5を参照して説明する。なお、これら図2〜図5に示すグラフは、上記インバータ装置を構成するIGBT20及びダイオード30のそれぞれの大きさ、及びIGBT20とダイオード30との距離や実装位置といったIGBT20及びダイオード30の搭載態様、及びそれらIGBT20及びダイオード30に対する基体10の放熱構造や冷却性能に基づく放熱特性をコンピュータ・エイデッド・エンジニアリング(CAE)によってモデル化したときの数値演算に基づき求められたものである。
まず図2は、上記数値演算に基づき求められたダイオード30の熱損失に対応するIGBT20及びダイオード30の温度推移(熱伝達モデル)を示している。なお、この図2において実線で示す直線LIi0、LIi1、LIi2、LIi3、LIi4は、IGBT20の熱損失を「0W」、「Wi1」、「Wi2」、「Wi3」、「Wi4」と段階的に高めたときのIGBT20の温度推移を示している(0<Wi1<Wi2<Wi3<Wi4)。また、この図2において破線で示す直線LDi0、LDi1、LDi2、LDi3、LDi4は、IGBT20の熱損失を「0W」、「Wi1」、「Wi2」、「Wi3」、「Wi4」と段階的に高めたときのダイオード30の温度推移を示したものである(0<Wi1<Wi2<Wi3<Wi4)。
すなわち、この図2に示すように、例えばダイオード30の熱損失が「0W」である場合は、このダイオード30からのIGBT20に対する熱干渉の影響はなく、IGBT20は自身の熱損失のみよって発熱するようになる。このため、ダイオード30の熱損失が「0W」であるときのIGBT20の温度は、IGBT20の熱損失がそれぞれ「0W」、「Wi1」、「Wi2」、「Wi3」、「Wi4」である場合、直線LIi0〜LIi4から明らかなようにそれぞれ「0℃」、「Td1℃」、「Td2℃」、「Td3℃」、「Td4℃」となっている。
一方、ダイオード30の熱損失が例えば「Wd2a」である場合には、このダイオード30からのIGBT20に対する熱干渉が増大し、IGBT20の温度は自身の熱損失に併せてダイオード30から熱干渉を受けた分だけ上昇するようになる。このため、上述のようにIGBT20の熱損失がそれぞれ「0W」、「Wi1」、「Wi2」、「Wi3」、「Wi4」と同一の条件下であっても、ダイオード30の熱損失が「0W」から「Wd2a」に上昇したことによってIGBT20の温度がそれぞれ「Td5℃」、「Td6℃」、「Td7℃」、「Td8℃」、「Td9℃」と上昇するようになる(0°<Td5、Td1<6、Td2<Td7、Td3<Td8、Td4<Td9)。すなわち、ダイオー
ド30の熱損失が上昇するにつれてこのダイオード30によるIGBT20に対する熱干渉の度合いが増大し、このダイオード30に隣接して搭載されたIGBT20の温度がダイオード30からの熱干渉を受けた分だけ上昇するようになる。このように、たとえ温度検出対象とするIGBT20の熱損失が同一であったとしても、ダイオード30による熱干渉を受けた分だけ、IGBT20の温度が上昇するようになる。
図3は、同じく上述の数値演算に基づき求められたIGBT20の熱損失に対応するIGBT20及びダイオード30の温度推移(熱伝達モデル)を示したものである。なお、この図3は、先の図2における横軸をIGBT20の熱損失として表したものである。また、この図3において実線で示す直線LId0、LId1、LId2、LId3は、ダイオード30の熱損失を「0W」、「Wd1」、「Wd2」、「Wd3」と段階的に高めたときのIGBT20の温度推移を示している(0<Wd1<Wd2<Wd3)。また、この図3において破線で示す直線LDd0、LDd1、LDd2、LDd3は、ダイオード30の熱損失を「0W」、「Wd1」、「Wd2」、「Wd3」と段階的に高めたときのダイオード30の温度推移を示している(0<Wd1<Wd2<Wd3)。
すなわち、この図3に示すように、例えばIGBT20の熱損失が「0W」である場合は、このIGBT20からのダイオード30に対する熱干渉の影響はなく、ダイオード30は自身の熱損失のみよって発熱するようになる。このため、IGBT20の熱損失が「0W」であるときのダイオード30の温度は、ダイオード30の熱損失がそれぞれ「0W」、「Wd1」、「Wd2」、「Wd3」である場合、直線LDd0〜LDd3から明らかなようにそれぞれ「0℃」、「Ti1℃」、「Ti2℃」、「Ti3℃」となっている。
一方、IGBT20の熱損失が例えば「Wi2」である場合には、このIGBT20からのダイオード30に対する熱干渉が増大し、ダイオード30の温度は自身の熱損失に併せてIGBT20から熱干渉を受けた分だけ上昇するようになる。このため、上述のようにダイオード30の熱損失がそれぞれ「0W」、「Wd1」、「Wd2」、「Wd3」と同一の条件下であっても、IGBT20の熱損失が「0W」から「Wi2」に上昇したことによってダイオード30の温度がそれぞれ「Ti4℃」、「Ti5℃」、「Ti6℃」、「Ti7℃」、と上昇するようになる。すなわち、IGBT20の熱損失が上昇するにつれてこのIGBT20によるダイオード30に対する熱干渉の度合いが増大し、このIGBT20に隣接して搭載されたダイオード30の温度がIGBT20からの熱干渉を受けた分だけ上昇するようになる。このように、たとえ温度検出対象とするダイオード30の熱損失が同一であったとしても、IGBT20による熱干渉を受けた分だけ、ダイオード30の温度が上昇するようになる。
次に、このようなIGBT20の熱損失及びダイオード30の熱損失の比である熱損失比と、それらダイオード30及びIGBT20の熱干渉を含めた熱抵抗との関係を図4及び図5を参照して説明する。
ここで、IGBT20からの熱干渉を含めたダイオード30の熱抵抗、及びダイオード30の温度の算出原理について説明する。まず、IGBT20の熱損失をWi、ダイオード30の熱損失をWd、またここで求める熱損失比の前項をIGBT20の熱損失Wi、同じく後項をダイオード30の熱損失Wdとしたときのダイオード30の熱抵抗を求めるための第1熱損失比Cidは、

Cid=Wi/Wd …(1)

として求まる。このため、先の図2あるいは図3において例えばダイオード30の熱損失
Wdが「Wd3」、IGBT20の熱損失Wiが「0W」であるとき、この際のダイオード30の温度Tdは、図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように、すなわち図2においては直線LDi0とダイオード熱損失「Wd3」との交点、また図3においては直線LDd3とIGBT熱損失「0W」との交点として示されるように「Ti3℃」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdは、

Rthd=Td/Wd …(2)
=Ti3/Wd3=Rthda[℃/W]

として求まる。そしてこのときの第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が上記式(1)より「0」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdを図4に点aとして記すことができる。
また、このようなダイオード30に対してIGBT20の熱損失Wiのみが「0W」から「Wi1」に増加したとすると、このときのダイオード30の温度Tdは、図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから先の説明に準じて明らかなように「Ti8℃」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdは上記式(2)より「Ti8/Wi1℃/W」となる。そしてこのときの第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が上記式(1)より「Cid1」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdを点bとして図4に記すことができる。
また一方、このようなダイオード30に対してIGBT20の熱損失Wiのみが「Wi1」から「Wi2」に増加したとすると、このときのダイオード30の温度Tdは、同じく図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように「Ti7℃」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdは上記式(2)より「Ti7/Wi2℃/W」となる。そしてこのときの第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が上記式(1)より「Cid2」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdを点cとして図4に記すことができる。
そして、このようなダイオード30に対してIGBT20の熱損失Wiのみが「Wi2」から「Wi3」に増加したとすると、このときのダイオード30の温度Tdは、これも図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように「Ti9℃」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdは上記式(2)より「Ti9/Wi3℃/W」となる。そしてこのときの第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が上記式(1)より「Cid3」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdを点dとして図4に記すことができる。
そしてまた、このようなダイオード30に対してIGBT20の熱損失Wiのみが「Wi3」から「Wi4」に増加したとすると、このときのダイオード30の温度Tdは、同様に図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように「Ti10℃」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdは上記式(2)より「Ti10/Wi4℃/W」となる。そしてこのときの第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が上記式(1)より「Cid4」であることから、このダイオード30の熱抵抗Rthdを点eとして図4に記すことができる。
このように、IGBT20及びダイオード30の各第1熱損失比Cid(Wi/Wd)と先の図2あるいは図3に示した熱伝達モデルとに基づいてIGBT20からの熱干渉を含めたダイオード30の各熱抵抗Rthdを算出すると、図4に示すように、

y=a1x+b1

なる関係を満たす直線Lrdを導くことができる。なお、この図4において、曲線Cldは、上記熱抵抗Rthdに対するIGBT20及びダイオード30の損失割合の依存性を示している。すなわち、この曲線Cldがy軸と交わる点は上記第1熱損失比Cid(Wi/Wd)が「0」であることから、ダイオード30の熱抵抗Rthdが自身の熱損失Wdのみに依存することとなり、その値も最大となる。一方、同第1熱損失比Cid(Wi/Wd)の値が大きくなるにつれて熱抵抗Rthdのダイオード30の熱損失Wdに対する依存性が低下し、その値も次第に低下するようになる。
そこで、本実施の形態では、この図4に示すマップ(熱伝達モデル)を参照してIGBT20及びダイオード30の上記第1熱損失比Cid(Wi/Wd)に対応するダイオード30の熱抵抗Rthdを求めることとする。そして、この求められた熱抵抗Rthdとそのときのダイオード30の熱損失Wdとに基づき、温度の検出対象とするダイオード30の温度Tdを、

Td=Rthd×Wd …(3)

として算出する。これにより、温度の検出対象とするダイオード30に隣接搭載されてこのダイオード30に熱干渉するIGBT20の影響を含めた温度算出が可能となる。
次にダイオード30からの熱干渉を含めたIGBT20の熱抵抗及び、IGBT20の温度の算出原理について説明する。すなわち、ここで求める熱損失比の前項をダイオード30の熱損失Wd、同じく後項をIGBT20の熱損失WiとしたときのIGBT20の熱抵抗を求めるための第2熱損失比Cdiは、

Cdi=Wd/Wi …(4)

として求まる。このため、先の図2あるいは図3において例えばIGBT20の熱損失Wiが「Wi1」、ダイオード30の熱損失Wdが「0W」であるとき、この際のIGBT20の温度Tiは図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように、すなわち図2においては直線LIi1とダイオード熱損失「0W」との交点、また図3においては直線LId0とIGBT発熱量「Wi1」との交点として示されるように「Td1℃」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiは、

Rthi=Ti/Wi …(5)
=Td1/Wi1=Rthia[℃/W]

として求まる。そしてこのときの第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)が上記式(4)より「0」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiを点aとして図5に記すことができる。
また、このようなIGBT20に対してダイオード30の熱損失Wdのみが「0W」から「Wd1」に増加したとすると、このときのIGBT20の温度Tiは、図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから先の説明に準じて明らかなように「Td10」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiは上記式(5)より「Td10/Wd1℃/W」となる。そしてこのときの第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)が上記式(4)より「Cdi1」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiを点bとして図5に記すことができる。
また一方、このようなIGBT20に対してダイオード30の熱損失Wdのみが「Wd
1」から「Wd2」に増加したとすると、このときのIGBT20の温度Tiは、同じく図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように「Td11℃」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiは上記式(5)より「Td11/Wd2℃/W」となる。そしてこのときの第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)が上記式(4)より「Cdi2」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiを点cとして図5に記すことができる。
そして、このようなIGBT20に対してダイオード30の熱損失Wdのみが「Wd2」から「Wd3」に増加したとすると、このときのIGBT20の温度Tiは、これも図2あるいは図3に示す熱伝達モデルから明らかなように「Td12℃」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiは上記式(5)より「Td12/Wd3℃/W」となる。そしてこのときの熱損失比Cdi(Wd/Wi)が上記式(4)より「Cdi3」であることから、このIGBT20の熱抵抗Rthiを点dとして図5に記すことができる。
このように、ダイオード30及びIGBT20の各熱損失比Cdi(Wd/Wi)と先の図2あるいは図3に示した熱伝達モデルとに基づいてダイオード30からの熱干渉を含めたIGBT20の各熱抵抗Rthiを算出すると、図5に示すように、

y=a2x+b2

なる関係を満たす直線Lriを導くことができる。なお、この図5において、曲線Cliは、上記熱抵抗Rthiに対するダイオード30及びIGBT20の損失割合の依存性を示している。すなわち、この曲線Cliがy軸と交わる点は上記第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)が「0」であることから、IGBT20の熱抵抗Rthiが自身の熱損失Wiのみに依存することとなり、その値も最大となる。一方、同第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)の値が大きくなるにつれて熱抵抗RthiのIGBT20の熱損失Wiに対する依存性が低下し、その値も次第に低下するようになる。
そこで、本実施の形態では、この図5に示すマップ(熱伝達モデル)を参照してダイオード30及びIGBT20の上記第2熱損失比Cdi(Wd/Wi)に対応するIGBT20の熱抵抗Rthiを求めることとする。そして、この求められた熱抵抗RthiとそのときのIGBT20の熱損失Wiとに基づき、温度の検出対象とするIGBT20の温度Tiを、

Ti=Rthi×Wi …(6)

として算出する。これにより、温度の検出対象とするIGBT20に隣接搭載されてこのIGBT20に熱干渉するダイオード30の影響を含めた温度算出が可能となる。
次に、このような前提のもとに、上述の温度検出原理を適用した温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
図6は、先の図1に示したようにインバータ装置にあって基体10の上に隣接搭載された温度の検出対象としてのIGBT20及びダイオード30の温度をモニタしつつその駆動を制御する駆動制御装置についてその概略構成を示したものである。
ここで、この図6において、上記インバータ装置を駆動すべくインバータ制御部160からインバータ装置100に対して駆動指令として制御量の調整量が入力されたとすると、このインバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30はその調整量に応じて通電されてオン/オフ動作が開始する。このとき、それらIGBT20及びダイオ
ード30では、その通電量に相関する熱損失Wi及びWdが発生し、それらの温度Ti及びTdが次第に上昇するようになる。そして、このようなIGBT20及びダイオード30に対する各通電量、すなわち、IGBT20及びダイオード30の各々に供給される電流Ii及びIdとそれらIGBT20及びダイオード30の各々に印加される電圧Vi及びVdが、第1電流・電圧検出部110及び第2電流・電圧検出部120によってそれぞれ検出される。
こうして、まず第1電流・電圧検出部110によって上記電流Ii及び電圧Viが検出されると、それら電流Ii及び電圧Viは、IGBT20及びダイオード30の熱損失比Wid、Wdiを算出する熱損失比算出部130に入力される。これにより熱損失比算出部130では、IGBT20の通電量としての電流Iiと電圧Viとの乗算を実行し、それらの乗算値をIGBT20の熱損失Wiとして第1熱損失メモリ131に格納する。また、第2電流・電圧検出部120によって上記電流Id及び電圧Vdが検出されると、それら電流Id及び電圧Vdも上記熱損失比算出部130に入力される。これにより熱損失比算出部130では、ダイオード30の通電量としての電流Idと電圧Vdとの乗算を実行し、それらの乗算値をダイオード30の熱損失Wdとして第2熱損失メモリ132に格納する。そして熱損失比算出部130では、これら第1熱損失メモリ131及び第2熱損失メモリ132に格納した各熱損失Wi及びWdに基づき、上記式(1)及び(4)の態様でそれらの比である各熱損失比Cid及びCdiを算出する。
こうして各熱損失比Cid及びCdiが算出されると、それら熱損失比Cid及びCdiは、IGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた各熱抵抗Rthi及びRthdを算出する熱抵抗算出部140に取り込まれる。この熱抵抗算出部140は、先の図4及び図5に示した熱伝達モデルが記憶されている熱伝達モデルメモリ141を有しており、この熱伝達モデルを通じて各々読み込まれた各熱損失比Cid及びCdiに対応するダイオード30及びIGBT20の相互の熱干渉を含めた熱抵抗Rthd及びRthiを算出(マップ演算)する。
こうして熱抵抗Rthd及びRthiが求められると、それら熱抵抗Rthd及びRthiは、温度の検出対象であるIGBT20及びダイオード30の温度を算出する温度算出部150に取り込まれる。この温度算出部150ではまず、熱損失比算出部130内の上記第1熱損失メモリ131及び第2熱損失メモリ132へのアクセスを通じてIGBT20の熱損失Wiとダイオード30の熱損失Wdを読み込む。そして、IGBT20からの熱干渉を含めたダイオード30の温度Tdが、上記式(3)によるように、ダイオード30の熱抵抗Rthdと熱損失Wdとの乗算値として算出される。また、ダイオード30からの熱干渉を含めたIGBT20の温度Tiが、上記式(6)によるように、IGBT20の熱抵抗Rthiと熱損失Wiとの乗算値として算出される。
こうして算出されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdは、インバータ制御部160に入力される。これによりインバータ制御部160では、各々検出(算出)されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをモニタしつつ、上記インバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30に対する制御量の調整を通じてそれらIGBT20及びダイオード30の駆動を制御する。
次に、本実施の形態によるこうしたIGBT20及びダイオード30の温度算出手順について、図7を参照して総括する。
この図7に示すように、この温度算出に際してはまず、ステップS101において、IGBT20及びダイオード30に対する通電量としての各電流値Ii、Id及び各電圧値Vi、Vdが算出される。次いで、それら各電流値Ii、Id及び各電圧値Vi、Vdの各々の乗算値としてIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdが算出され
る(ステップS102)。
そして、それら各熱損失Wi及びWdに基づいて第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdiが算出され(ステップS103)、先の図4及び図5に示した熱伝達モデルによるマップ演算を通じて各熱損失比Cid及びCdiに対応するダイオード30の熱抵抗RthdとIGBT20の熱抵抗Rthiとが算出される(ステップS104)。こうした手順を経てIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi、Wd及び各熱抵抗Rthi、Rthdが算出されると、ステップS105において、それら各熱損失Wi、Wdと各熱抵抗Rthi、Rthdとの乗算値としてIGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた温度Ti及びTdが算出される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)基体10の上に隣接搭載されて相互に熱干渉し合うIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを、基体10の熱伝達モデルに基づくIGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた各熱抵抗Rthi及びRthdとIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdとの乗算値として求めることとした。これにより、IGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉に起因する熱抵抗の影響を含めた各熱抵抗Rthi及びRthdの算出、ひいては、温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを高い精度のもとに検出することができるようになる。
(2)また、上記構成によれば、温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdは、温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の熱損失比Cid及びCdiとそれらIGBT20及びダイオード30が搭載される基体10の熱伝達モデルとに基づいて算出される。このため、先の図18に示したように、インバータ装置100を構成する車載電力素子が複数存在する場合であれ、それら各車載電力素子の熱損失比と各車載電力素子が搭載される基体の熱伝達モデルに基づけば、インバータ装置100を構成する全ての車載電力素子の温度を容易に検出することができるようになる。
(3)上記IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを、IGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた各熱抵抗Rthi及びRthdと各熱損失Wi及びWdとの乗算値として求めることとした。これにより、IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを検出する上で、別途の温度検出用のダイオード等を設ける必要がなく、温度検出装置としての構造上の簡略化が図られるようになる。
(4)上記基体10の熱伝達モデルを、上記IGBT20及びダイオード30のそれぞれの大きさ、及びIGBT20とダイオード30との距離や実装位置といったIGBT20及びダイオード30の搭載態様、及びそれらIGBT20及びダイオード30に対する基体10の放熱構造や冷却性能に基づく放熱特性に基づき求めることとした。これにより、IGBT20及びダイオード30間の熱干渉の影響をより高精度にモデル化することが可能となり、こうした熱干渉を含めたIGBT20及びダイオード30の各熱抵抗Rthi及びRthdをより高い精度のもとに算出することができるようになる。
(5)IGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを、第1電流・電圧検出部110及び第2電流・電圧検出部120によって検出されるIGBT20及びダイオード30の各々に供給される電流値Ii及びIdとそれらIGBT20及びダイオード30の各々に印加される電圧Vi及びVdとの乗算値として求めることとした。これによりIGBT20及びダイオード30で実際に発生している熱損失Wi及びWdに基づいた各熱損失比Cid、Cdiをより的確に求めることができるようになり、ひいては、それら熱
損失Wi、Wd及び熱損失比Cid、Cdiに基づく温度検出にかかる信頼性も高められるようになる。
(6)上記インバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30の駆動制御を、上記温度検出装置によって算出されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdに基づいて行なうこととした。これにより、上記インバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30の温度モニタを通じたそれらIGBT20及びダイオード30の駆動制御を高い信頼性のもとに実行することができるようになり、ひいては、インバータ装置100としての制御性が大きく向上されるようになる。
(7)また、上記温度検出装置によれば、温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdは、温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の熱損失比Cid及びCdiとそれらIGBT20及びダイオード30が搭載される基体10の熱伝達モデルとに基づいて算出される。このため、先の図18に示したように、インバータ装置100を構成する車載電力素子としてのIGBT20及びダイオード30が複数存在する場合であれ、こうしたインバータ装置100を構成する全てのIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを検出することができるようになる。これにより、インバータ装置100を構成する複数のIGBT20及びダイオード30のうちいずれの素子がその動作保証温度に到達したか否かを確実に検知することができるようになり、この素子に対する上記制御量の調整を通じた温度制御(駆動制御)を高い信頼性のもとに実行することができるようになる。また、このようにインバータ装置100を構成する全てのIGBT20及びダイオード30の温度を正確に検出することが可能であることから、上述のように動作保証温度に対する余裕分としての負荷率制限開始温度を設定する必要もなく、IGBT20及びダイオード30の動作可能な温度領域の拡大が図られるようにもなる。
(8)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、上記IGBT20及びダイオード30の各々に供給される電流値Ii及びIdとそれらIGBT20及びダイオード30の各々に印加される電圧Vi及びVdとの乗算値としての各熱損失Wi及びWdに基づき求まるIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdのモニタに基づいて実行することとした。これにより、IGBT20及びダイオード30で実際に発生している熱損失Wi及びWdに基づくそれらIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより的確に求めることができるようになり、ひいては、こうしたIGBT20及びダイオード30の温度モニタに基づく上記インバータ装置100の駆動制御をより的確に実行することができるようになる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる電子部品の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の第2の実施の形態について図8〜図11を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態は、上記インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量に基づき上記IGBT20及びダイオード30の通電量を推定するものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
すなわち、上記インバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdは、それらIGBT20及びダイオード30の通電量に相関する。そして、こうしたIGBT20及びダイオード30の通電量はインバータ装置100に対する制御量の調整量、特にインバータ装置100としてのシステム電圧、及びインバータ装置100に流れる電流、及びインバータ装置100のパルス幅変調制御に際してパルス幅を調整するキャリア周波数によって決定される。そこで本実施の形態では、こうしたインバータ装置100に対する制御量の調整量に基づきIGBT20及びダイオード30の各
熱損失Wi及びWdを推定し、それら推定された熱損失Wi及びWdに基づき温度の検出対象とするIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを算出することとする。
図8及び図9に、こうしたインバータ装置100の制御量の調整量とIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdとの関係を示す。なお、図8は、インバータ装置100のシステム電圧を「E1V」とし、インバータ装置100に供給する電流をそれぞれ「a1A」、「a2A」、「a3A」、「a4A」、「a5A」としたときの、上記キャリア周波数に対応するIGBT20の温度推移を示したものである(a1<a2<a3<a4<a5)。また、図9は、インバータ装置100のシステム電圧を「E1V」とし、インバータ装置100に供給する電流をそれぞれ「a1A」、「a2A」、「a3A」、「a4A」、「a5A」としたときの、上記キャリア周波数に対応するダイオード30の温度推移を示したものである(a1<a2<a3<a4<a5)。
まず図8に示すように、IGBT20の温度Ti、換言すればIGBT20の熱損失Wiは、インバータ装置100に供給される電流値が大きくなるほど、あるいは、上記キャリア周波数が高くなるほど、IGBT20の通電量の増加とともに上昇する。このため、例えばインバータ装置100に供給される電流が「a1A」、上記キャリア周波数が「f2kHz」に設定された条件下においては、こうした制御量に応じて動作するIGBT20の温度Tiが「Ti1℃」に推移するものと推定することができる。このため、例えばIGBT20の温度制限値として「Tmax℃」を設定した場合には、上記システム電圧が「E1V」、インバータ装置100に供給される電流が「a5A」の条件下においては、キャリア周波数が「f1kHz」以上になった場合にIGBT20の温度Tiが温度制限値を超えて上昇するものと推定することができる。
一方、図9に示すように、ダイオード30の温度Td、すなわちダイオード30の熱損失Wdについても、インバータ装置100に供給される電流値が大きくなるほど、あるいは、上記キャリア周波数が高くなるほど、ダイオード30の通電量の増加とともに上昇する。このため、例えば、インバータ装置100に供給される電流が「a2A」、上記キャリア周波数が「f2kHz」に設定された条件下においては、こうした制御量に応じて動作するダイオード30の温度Tdが「Td1℃」に推移するものと推定することができる。このため、例えばダイオード30のIGBT20の温度制限値として「Tmax℃」を設定した場合には、上記システム電圧が「E1V」、インバータ装置100に供給される電流が「a5A」の条件下においては、キャリア周波数が「f5kHz」以上になった場合にダイオード30の温度Tdが温度制限値を超えて上昇するものと推定することができる。
そこで、本実施の形態では、このような温度推定に基づいてIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdが上述の動作保証温度の範囲内となるようにインバータ装置100の制御量を調整する。
次に、このような前提のもとに上述の温度検出原理を適用した温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置について、図10及び図11を参照しつつ説明する。
図10は、先の図6に対応する図として、本実施の形態における温度検出装置及びこの温度検出装置によって検出されるIGBT20及びIGBT20の温度Ti及びTdをモニタしつつその駆動を制御する駆動制御装置についてその概略構成を示したものである。なお、この図10において、先の図6に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
ここで、この図10において、上記インバータ装置100を駆動すべくインバータ制御部160から上記システム電圧、インバータ装置100に供給する電流、上記キャリア周
波数といった駆動指令としての制御量の調整量がインバータ装置100に対して入力されたとすると、このインバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30はその調整量に応じて通電されてオン/オフ動作が開始する。こうして、それらIGBT20及びダイオード30では、その通電量に相関する熱損失Wi及びWdが発生し、それらの温度Ti及びTdが次第に上昇するようになる。
また、上記インバータ制御部160からの駆動指令は、制御調整量/熱損失変換部210にも入力される。この制御調整量/熱損失変換部210では、インバータ制御部160からの駆動指令、すなわち、インバータ装置100のシステム電圧、インバータ装置100に供給する電流、上記キャリア周波数に基づき、こうした駆動指令に相関するIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdがマップ演算され、その駆動指令に応じて発生すると推定されるIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdが算出される。
こうして、IGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdがマップ演算されると、それら各熱損失Wi及びWdは、熱損失比算出部130内の第1熱損失メモリ131及び第2熱損失メモリ132に格納され、以降は先の第1の実施の形態と同様、(イ)第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdiの算出、(ロ)第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdi並びに熱伝達モデルに基づくIGBT20及びダイオード30の各熱抵抗Rthi及びRthdの算出、(ハ)IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの算出、を通じてIGBT20及びダイオード30の熱干渉を含めた温度Ti及びTdが求められる。そして、こうして算出されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdがインバータ制御部160に入力される。
本実施の形態ではこのように、インバータ制御部160からインバータ装置100に対する制御量の調整量に基づいてIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdを推定し、それら推定される熱損失Wi及びWdに相関するIGBT20及びダイオード30の温度上昇量を予測する。そして、インバータ制御部160では、この予測されたIGBT20及びダイオード30の各温度上昇量をモニタしつつ、それら各温度上昇量がIGBT20及びダイオード30の動作保証温度の範囲内となるようにインバータ装置100に対する制御量を調整する。これにより、IGBT20及びダイオード30をそれらの動作保証温度の範囲内で駆動制御することができるようになるとともに、この動作保証温度を上限値としたIGBT20及びダイオード30の駆動を担保することができるようになる。
次に、本実施の形態によるこうしたIGBT20及びダイオード30の温度算出手順について、図11を参照して総括する。
この図11に示すように、この温度算出に際してはまず、ステップS201において、インバータ装置100に対する制御量の調整量が読み込まれる。次いで、この制御量の調整量に基づいて、IGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdがマップ演算を通じて求められる(ステップS202)。
こうして、それらマップ演算を通じて求められた各熱損失Wi及びWdに基づいて第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdiが算出され(ステップS203)、先の図4及び図5に示した熱伝達モデルによるマップ演算を通じて各熱損失比Cid及びCdiに対応するダイオード30の熱抵抗RthdとIGBT20の熱抵抗Rthiとが算出される(ステップS204)。こうした手順を経てIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi、Wd及び各熱抵抗Rthi、Rthdが算出されると、ステップS205において、それら各熱損失Wi、Wdと各熱抵抗Rthi、Rthdとの乗算値としてIGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた温度Ti及びTdが算出される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置によれば、第1の実施の形態による前記(1)〜(4)、(6)、(7)の効果に準じた効果が得られるとともに、前記(5)、(8)の効果に代えて以下のような効果が得られるようになる。
(9)IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを、インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量に基づきIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを求めることとした。このため、インバータ装置100に対する制御量の調整量に応じてIGBT20及びダイオード30が動作、温度上昇する以前にそれらの各熱損失Wi及びWdの算出が可能となる。これにより、それら各熱損失Wi及びWdから求まる各熱損失比Cid及びCdiの予測、ひいては、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの予測が迅速に可能となる。
(10)また、このようにインバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdを求めることとすれば、それら各熱損失Wi及びWdをより容易に算出することができるようになる。これにより、相互の熱干渉の影響を含めたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易に算出することができるようになる。
(11)IGBT20及びダイオード30の通電量に相関する熱損失Wi及びWdを、インバータ装置100のシステム電圧、及びインバータ装置100に供給される電流値、及びインバータ装置100のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数に基づいて推定することとした。これにより、IGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWd、ひいては、IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易かつ的確に求めることができるようになる。
(12)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、インバータ装置100に対する制御量の調整量から求められるIGBT20及びダイオード30の推定される温度上昇量に基づいて行なうこととした。これにより、IGBT20及びダイオード30の温度上昇量がIGBT20及びダイオード30の各動作保証温度の範囲内となる態様でインバータ装置100に対する制御量の調整、ひいては、IGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行することが可能となり、インバータ装置100の駆動をより望ましいかたちで制御することができるようになる。また、このようにインバータ装置100に対する制御量に応じたIGBT20及びダイオード30の温度変化を予測可能なことから、IGBT20及びダイオード30の各動作保証温度を上限値としたIGBT20及びダイオード30の駆動を最大限担保することができるようになる。
(13)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、インバータ装置100のシステム電圧、及びインバータ装置100に供給される電流値、及び上記キャリア周波数に基づき推定されるIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdから求められるIGBT20及びダイオード30の温度上昇量に基づいて行なうこととした。これにより、IGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWd、ひいては、IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易かつ的確に求めることができるようになり、ひいては、それら各温度Ti及びTdの温度モニタを通じたIGBT20及びダイオード30の駆動制御をよりより容易かつ的確に実行することができるようになる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明にかかる電子部品の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置の第3の実施の形態について図12〜図16を参照して説明する。なお、この第3の実施の形態は、上記インバータ装置100のパルス幅変調制御に伴うIGBT20のオン/オフ時間の割合に基づき上記IGBT20及びダイオード30の通電量を推定するものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
通常、IGBT20及びダイオード30のオン/オフ時間の割合の調整は、温度検出用のダイオード等によって図12に直線Li1として示されるIGBT20の温度Tiのみを検出し、この検出されるIGBT20の温度モニタに基づいて行なわれる。そして、例えば上記インバータ装置100によって駆動されるモータのロック等に起因してIGBT20の温度Tiが上昇したような場合には(t0−t1)、IGBT20のオン/オフ時間の割合を「r0:r0」から「r1:r2」(r1<r2)へと変更することによってIGBT20の動作時間を短縮し、IGBT20の熱損失Wiを低減させる(タイミングt1)。こうして、IGBT20側の熱損失Wiを低減させてこのIGBT20側の熱損失をダイオード30側に移動させることによってIGBT20の温度上昇を抑制し、IGBT20の温度Tiが上述の負荷率制限開始温度等の制限温度T1以下となるようにIGBT20の駆動を制御している。ただし、こうしたIGBT20のオン/オフ時間の割合の調整を通じてその温度Tiを抑制したとしても、この抑制されたIGBT20の温度Tiに反比例する態様で図12に直線Td1として示すダイオード30の温度上昇率が高まることとなる。このため、図12にタイミングt3として示すようにIGBT20の温度Tiがその制限温度T1に到達する以前に、ダイオード30の温度Tdがその制限温度T1に到達することがある(タイミングt2)。こうしたことから、IGBT20及びダイオード30の温度をそれらの制限温度T1の範囲内に維持しつつIGBT20及びダイオード30のオン/オフ時間の割合の調整を通じてそれらの駆動制御を実行するためには、結局のところIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを共にモニタする必要があり、このようなIGBT20及びダイオード30の駆動制御はその実用性に欠けるものとなっている。また、たとえIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを温度検出用のダイオードやセンサ等を用いて実測したとしても、その都度実測されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdを一旦比較した上でこの比較された値をフィードバックすることにより上記オン/オフ時間の割合を調整する必要がある。このため、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdが同時に各制限温度T1に到達する温度推移の算出に要する時間の拡大を招き、こうしたオン/オフ時間の割合の調整を通じた駆動制御の制御性も自ずと低下することともなっていた。
そこで、本実施の形態では、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づき推定されるIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及び熱損失Wdに基づいてIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを予測し、各々予測されるIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdに応じてIGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行することとする。すなわち、上記インバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdは、それらIGBT20及びダイオード30の通電量に相関するものであり、こうしたIGBT20及びダイオード30の通電量はそれらIGBT20及びダイオード30のオン/オフ時間の割合、すなわちIGBT20及びダイオード30の動作時間の割合に相関して変化する。すなわち、図13に示すように、IGBT20の熱損失WiとIGBT20のオン/オフ時間の割合とが比例する一方、ダイオード30の熱損失WdとIGBT20のオン/オフ時間の割合とは反比例する。このため、IGBT20のオン時間が増加するにつれてIGBT20の通電量の増加に伴ってその熱損失Wiが増大する一方、ダイオード30の通電量の低下に伴ってダイオード30の熱損失Wdは減少するようになる。そして、例えばIGBT20のオン/オフ時間の割合が「r1:r2」であるときには、この図13に示す温度マップに基づきIGBT20の熱損失Wiを「Wi1」、ダイオード30の熱損失Wdを「Wd1」として求めることが
できる(Wi1<Wd1)。このように、IGBT20のオン/オフ時間の割合とIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdとは相関するものであり、インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量としてのIGBT20のオン/オフ時間の割合に基づいて、このオン/オフ時間の割合に応じて駆動するIGBT20及びダイオード30の温度推移を予測することができる。
図14は、先の図6に対応する図として、本実施の形態における温度検出装置及びこの温度検出装置によって検出されるIGBT20及びIGBT20の温度Ti及びTdをモニタしつつその駆動を制御する駆動制御装置についてその概略構成を示したものである。なお、この図14において、先の図6に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
この図14おいて、インバータ制御部160を構成するスイッチング制御部161は、インバータ装置100の制御量の調整量としてのIGBT20のオン/オフ時間を可変とすることによって、IGBT20のオン/オフ制御を行なうものである。そして、このようなスイッチング制御部161によって設定されたIGBT20のオン/オフ時間の割合としての制御量の調整量が上記インバータ装置100に入力されたとすると、このインバータ装置100を構成するIGBT20及びダイオード30はその調整量に応じて通電されてオン/オフ動作する。こうして、それらIGBT20及びダイオード30では、その通電量に相関する熱損失Wi及びWdが発生し、それらの温度Ti及びTdが次第に上昇するようになる。
また、上記スイッチング制御部161からの駆動指令は、この駆動指令に基づきIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを推定するオンオフ時間/熱損失変換部310に入力される。このオンオフ時間/熱損失変換部310では、スイッチング制御部161からの駆動指令、すなわち、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づき先の図13に示したマップ演算を通じてIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdが算出され、駆動指令に応じて発生すると推定されるIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdが算出される。
こうして、IGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdがマップ演算されると、それら各熱損失Wi及びWdは、熱損失比算出部130内の第1熱損失メモリ131及び第2熱損失メモリ132に格納され、以降は先の第1あるいは第2の実施の形態と同様、(イ)第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdiの算出、(ロ)第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdi並びに熱伝達モデルに基づくIGBT20及びダイオード30の各熱抵抗Rthi及びRthdの算出、(ハ)IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの算出、を通じてIGBT20及びダイオード30の熱干渉を含めた温度Ti及びTdが求められる。そして、こうして算出されたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdがインバータ制御部160に入力される。なお、本実施の形態においても、先の第2の実施の形態と同様、このインバータ制御部160からインバータ装置100に対する制御量の調整量に基づいてIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdを推定し、それら推定される熱損失Wi及びWdに相関するIGBT20及びダイオード30の温度上昇量を予測する。
次に、本実施の形態によるこうしたIGBT20及びダイオード30の温度算出手順について、図15を参照して総括する。
この図15に示すように、この温度算出に際してはまず、ステップS301において、上記スイッチング制御部161にて設定されたIGBT20のオン/オフ時間の割合が読み込まれる。次いで、このオン/オフ時間の割合に基づいて、IGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdがマップ演算を通じて求められる(ステップS302)。
こうして、それらマップ演算を通じて求められた各熱損失Wi及びWdに基づいて第1熱損失比Cid及び第2熱損失比Cdiが算出され(ステップS303)、先の図4及び図5に示した熱伝達モデルによるマップ演算を通じて各熱損失比Cid及びCdiに対応するダイオード30の熱抵抗RthdとIGBT20の熱抵抗Rthiとが算出される(ステップS304)。こうした手順を経てIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi、Wd及び各熱抵抗Rthi、Rthdが算出されると、ステップS305において、それら各熱損失Wi、Wdと各熱抵抗Rthi、Rthdとの乗算値としてIGBT20及びダイオード30の相互の熱干渉を含めた温度Ti及びTdが算出される。
次に、本実施の形態にかかるIGBT20及びダイオード30の駆動制御の一例を先の図12との対比のもとに図16を参照して説明する。なお、この図16において、直線Li2はIGBT20の温度推移を、直線Ld2はIGBT20の温度推移をそれぞれ示している。
ここで、図16に示すように、上記スイッチング制御部161にて設定されたIGBT20のオン/オフ時間の割合が例えば「r0:r0」とされた状態においてIGBT20の温度Tiがダイオード30の温度上昇率よりも高い温度上昇率のもとに推移していたとする(タイミングt0−t1)。このような温度推移により、IGBT20の温度Tiは、図16に破線の直線Li3として示すようにタイミングt3の時点で動作保証温度T2に到達する一方、ダイオード30の温度Tdは、同図16に実線の直線Ld3として示すようにタイミングt3よりも遅いタイミングt5の時点で動作保証温度T2に到達する。すなわち、IGBT20の温度Tiが動作保証温度T2に到達した時点では、ダイオード30には動作保証温度T2に到達するまでの余裕温度Tαが存在していることとなる。
そこで本実施の形態では、こうした余裕分をIGBT20及びダイオード30の間で分配制御することにより、まず、上記IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づきIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの推移を予測する。そして、それら予測されるIGBT20及びダイオード30の温度推移に基づきIGBT20の温度Tiあるいはダイオード30の温度Tdのいずれかが先に動作保証温度T2に到達することが予想される場合には、IGBT20のオン/オフ時間の割合を調整することによってIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdが同時に動作保証温度T2に到達するようにIGBT20及びダイオード30の駆動制御を行なう。
すなわち、図16に示すように、例えばタイミングt1の時点において、IGBT20のオン/オフ時間の割合(「r0:r0」)に基づいてIGBT20の温度Tiがダイオード30の温度Tdよりも先に動作保証温度T2に到達することが予想された場合、上記予測されるIGBT20及びダイオード30の温度推移に基づいてそれらの温度Ti及びTdを動作保証温度T2に同時に到達させることの可能なIGBT20のオン/オフ時間の割合が算出される。こうして、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを動作保証温度T2に同時に到達させることの可能なIGBT20のオン/オフ時間の割合として例えば「r3:r4」(r1<r3、r2>r4)が設定されたとすると、IGBT20及びダイオード30がこの駆動指令に応じて動作する。これにより、IGBT20及びダイオード30の各温度推移は、IGBT20の温度上昇率がダイオード30の温度上昇率よりも小さく、かつ、IGBT20及びダイオード30の動作保証温度T2を目標温度として同時に動作保証温度T2に到達する態様で推移するようになる。こうして、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdは、タイミングt4において動作保証温度T2に同時に到達するようになる。そして、このようなIGBT20及びダイオード30の予測された温度Ti及びTdに応じてIGBT20のオン/オフ時間の割合の調整を通じた駆動制御が実行されることによって、図16に期間T34として示すように
、動作保証温度T2の範囲内でIGBT20及びダイオード30を駆動可能な期間が延長されるようになる。
このように、本実施の形態によれば、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づきIGBT20及びダイオード30の温度推移を予測するとともに、この予測されるIGBT20及びダイオード30の温度推移に基づいてIGBT20のオン/オフ時間の割合を調整することによって、上記動作保証温度T2の範囲内でのIGBT20及びダイオード30の駆動制御を的確に実行することができるようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置によれば、第1の実施の形態による前記(1)〜(4)、(6)、(7)の効果に準じた効果が得られるとともに、前記(5)、(8)の効果に代えて以下のような効果が得られるようになる。
(14)IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを、インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量に基づきIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを求めることとした。このため、インバータ装置100に対する制御量の調整量に応じてIGBT20及びダイオード30が動作、温度上昇する以前にそれらの各熱損失Wi及びWdの算出が可能となる。これにより、それら各熱損失Wi及びWdから求まる各熱損失比Cid及びCdiの予測、ひいては、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの予測が可能となる。
(15)また、このようにインバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdを求めることとすれば、それら各熱損失Wi及びWdをより容易に算出することができるようになる。これにより、相互の熱干渉の影響を含めたIGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易に算出することができるようになる。
(16)IGBT20及びダイオード30の通電量に相関する熱損失Wi及びWdを、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づいて推定することとした。これにより、IGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWd、ひいては、IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易かつ的確に求めることができるようになる。
(17)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、インバータ装置100に対する制御量の調整量から求められるIGBT20及びダイオード30の推定される温度上昇量に基づいて行なうこととした。これにより、IGBT20及びダイオード30の温度上昇量がIGBT20及びダイオード30の各動作保証温度の範囲内となる態様でインバータ装置100に対する制御量の調整、ひいては、IGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行することが可能となり、インバータ装置100の駆動をより望ましいかたちで制御することができるようになる。また、このようにインバータ装置100に対する制御量に応じたIGBT20及びダイオード30の温度変化を予測可能なことから、IGBT20及びダイオード30の各動作保証温度を上限値としたIGBT20及びダイオード30の駆動を最大限担保することができるようになる。
(18)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づき推定されるIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdから求められるIGBT20及びダイオード30の温度上昇量に基づいて行なうこととした。これにより、IGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWd、ひいては、
IGBT20及びダイオード30の温度Ti及びTdをより容易かつ的確に求めることができるようになり、ひいては、それら各温度Ti及びTdの温度モニタを通じたIGBT20及びダイオード30の駆動制御をよりより容易かつ的確に実行することができるようになる。
(19)上記IGBT20及びダイオード30の駆動制御を、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づきIGBT20及びダイオード30の温度推移を予測しつつ、それら予測されたIGBT20及びダイオード30の温度推移に応じてIGBT20のオン/オフ時間の割合を調整することとした。これにより、IGBT20のオン/オフ時間の割合の調整を通じてIGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行する上で、インバータ装置100のより望ましい制御量の調整量の設定が可能となり、IGBT20及びダイオード30をそれらの動作保証温度の範囲内での好適な駆動制御を実行することができるようになる。
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の通電量を推定する制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdをそれぞれ求め、この求められた各熱損失Wi及びWdに基づき上記熱損失比Cid及びCdi、上記熱抵抗Rthi及びRthd、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを順次算出することとした。これに限らず、このような演算結果に基づき先の図8あるいは図9に示したマップを予めメモリ等に記憶し、このマップによるマップ演算を通じて上記制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを直接求めるようにしてもよい。これにより、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdをより容易に算出することができるようになる。
・上記第3の実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdの算出に際し、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づきIGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdを一旦算出し、それら算出された熱損失Wi及びWdから上記熱損失比Cid及びCdiを求めることとした。これに限らず、IGBT20のオン/オフ時間の割合とは、先の図13に示したように、IGBT20及びダイオード30の各熱損失Wi及びWdのみならず、それら各熱損失Wi及びWdの比である熱損失比Cid及びCdiにも相関するものでもある。すなわち、先の図13からも明らかなように、IGBT20のオン時間が増加するにつれてIGBT20の通電量の増加に伴ってその熱損失Wiが増大する一方、IGBT20のオン時間が増加するにつれてダイオード30の通電量の低下に伴ってダイオード30の熱損失Wdが減少する。この結果、上記第1熱損失比Cidは、上記式(1)よりIGBT20のオン時間が増加するにつれて大きくなる一方、上記第2熱損失比Cdiは、上記式(4)よりIGBT20のオン時間が増加するにつれて小さくなる。このように、IGBT20のオン/オフ時間の割合から上記各熱損失比Cid及びCdiを算出可能な場合には、上記式(1)あるいは(4)による演算を割愛し、IGBT20のオン/オフ時間の割合に基づき上記各熱損失比Cid及びCdiを直接求めるようにしてもよい。これにより、IGBT20及びダイオード30の温度検出をより容易に行なうことができるようになる。
・上記第2の実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の通電量を推定する制御量の調整量として、上記システム電圧、及びインバータ装置100に流れる電流、及び上記キャリア周波数を用いることとした。また、上記第3の実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の通電量を推定する制御量の調整量として、IGBT20のオン/オフ時間の割合を用いることとした。これに限らず、IGBT20及びダイオード30の通電量を推定する制御量の調整量として、上記システム電圧、及びインバータ装置100
に流れる電流、及び上記キャリア周波数、並びにIGBT20のオン/オフ時間の割合を用いるようにしてもよい。これにより、IGBT20及びダイオード30の通電量に相関する各熱損失Wi及びWdをより高精度に推定することができるようになり、ひいては、それら各熱損失Wi及びWdに基づくIGBT20及びダイオード30の温度検出をより高精度に行なうことができるようになる。
・上記第2及び第3の実施の形態では、インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の通電量を推定してそれらIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdをそれぞれ求め、この求められた各熱損失Wi及びWdに基づいてIGBT20及びダイオード30の温度推移を予測することとした。これに限らず、図6に示した第1電流・電圧検出部110、第2電流・電圧検出部120を併せて設ける構成としてもよい。すなわち、インバータ装置100の駆動を制御する制御量の調整量からIGBT20及びダイオード30の温度推移を予測するとともに、併せてIGBT20及びダイオード30の各々に供給される電流値とIGBT20及びダイオード30に印加される電圧値との乗算値からその熱損失Wi及びWdをそれぞれ求め、この求められた各熱損失Wi及びWdに基づいてIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを算出するようにしてもよい。これにより、IGBT20及びダイオード30の現状の温度と駆動指令に応じて推移する予測温度とを共にモニタすることができるようになり、IGBT20及びダイオード30の現状の温度と駆動指令に応じて推移する予測温度とを踏まえたより信頼性の高いIGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行することができるようにもなる。
・上記第1〜第3の各実施の形態では、上記温度検出装置によってIGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdをモニタするとともに、それら温度モニタに基づいてIGBT20及びダイオード30の駆動制御を実行する構成とした。これに限らず、IGBT20及びダイオード30の駆動制御を割愛し、上記温度検出装置によるIGBT20及びダイオード30の温度検出のみを行なう構成とすることも勿論可能である。
・上記第2の実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の通電量を推定する制御量の調整量として、インバータ装置100のシステム電圧、及びインバータ装置100に流れる電流、及び上記キャリア周波数を用いることとした。インバータ装置100のシステム電圧、及びインバータ装置100に流れる電流、及び上記キャリア周波数のうちのいずれかに基づいてIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを算出可能な場合には、これら各要素のうちの少なくとも一つに基づきIGBT20及びダイオード30の熱損失Wi及びWdを算出するようにしてもよい。
・上記第1〜第3の各実施の形態では、基体10の熱伝達モデルを、基体10に搭載されて相互に熱干渉し合うIGBT20及びダイオード30の大きさ、及び搭載態様、及びそれらIGBT20及びダイオード30に対する基体10の放熱特性に基づき求めることとした。これに限らず、上記熱伝達モデルとしては、IGBT20及びダイオード30の大きさ、及び搭載態様、及びそれらIGBT20及びダイオード30に対する基体10の放熱特性のうち少なくとも一つに基づき求められたものであってもよい。
・上記第1〜第3の各実施の形態では、IGBT20及びダイオード30の各温度Ti及びTdを算出することとしたが、IGBT20あるいはダイオード30のいずれか一方の温度のみを算出することは勿論可能である。
・上記第1〜第3の各実施の形態では、上記温度検出対象による温度検出対象を、インバータ装置100を構成して基体10に搭載された一組のIGBT20及びダイオード30とした。上記温度検出対象による温度検出対象としては、先の図1に対応する図として
図17に示すように、基体10に搭載された三組のIGBT20A〜20C及びダイオード30A〜30Cであってもよい。すなわち、この図17において例えばダイオード30Cの温度は、このダイオード30Cによる熱損失のみならず、このダイオード30Cに隣接搭載されたIGBT20B、IGBT20C、ダイオード30Bからの熱干渉による影響を受けた温度となる。このような構成であれ、上記各実施の形態によれば、このような三組のIGBT20A〜20C及びダイオード30A〜30Cが隣接搭載された基体10の熱伝達モデルに基づいて温度検出対象とするダイオード30Cの熱干渉を含めた熱抵抗を求めることが可能であり、この熱抵抗とダイオード30Cの熱損失との乗算値としてダイオード30Cの温度を算出することが可能である。
・上記第1〜第3の各実施の形態では、上記温度検出対象による温度検出対象を、インバータ装置100を構成する車載電力素子としてのIGBT20及びダイオード30とすることとした。インバータ装置100を構成する車載電力素子としては、例えばCMOS素子等であってもよい。また、上記温度検出対象による温度検出対象としては、インバータ装置100を構成する車載電力素子に限らず、パワーモジュールやメモリモジュール、リレー等の電子部品であってもよく、基体上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合う複数の電子部品であれば本発明の適用は可能である。
10…基体、20、20A〜20C…IGBT、30、30A〜30C…ダイオード、100…インバータ装置、110…第1電流・電圧検出部、120…第2電流・電圧検出部、130…熱損失比算出部、131…第1熱損失メモリ、132…第2熱損失メモリ、140…熱抵抗算出部、141…熱伝達モデルメモリ、150…温度算出部、160…インバータ制御部、161…スイッチング制御部、210…制御調整量/熱損失変換部、310…オンオフ時間/熱損失変換部。

Claims (14)

  1. 基体上に隣接して搭載されて相互に熱干渉し合う複数の電子部品のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する電子部品の温度検出装置において、
    前記温度の検出対象とする電子部品の通電量に相関する熱損失とこの電子部品に熱干渉する電子部品の通電量に相関する熱損失とに基づきそれら電子部品の熱損失比を算出する熱損失比算出部と、この算出された熱損失比と予め求められた前記基体の熱伝達モデルとに基づき前記温度の検出対象とする電子部品の前記熱干渉を含めた熱抵抗を求める熱抵抗算出部と、この求められた熱抵抗と前記温度の検出対象とする電子部品の熱損失との乗算値として当該温度の検出対象とする電子部品の温度を算出する温度算出部とを備える
    ことを特徴とする電子部品の温度検出装置。
  2. 前記基体の熱伝達モデルが前記基体に搭載されて相互に熱干渉し合う電子部品それぞれの大きさ、及び搭載態様、及びそれら電子部品に対する前記基体の放熱特性に基づき求められたものである
    請求項1に記載の電子部品の温度検出装置。
  3. 前記電子部品の各々は外部から付与される駆動指令に基づいてその通電量が調整されるものであり、前記熱損失比算出部は、それら電子部品に対する駆動指令から各々その通電量を推定して前記熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出する
    請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置。
  4. 前記熱損失比算出部は、前記電子部品の各々に供給される電流値と同電子部品の各々に印加される電圧値との乗算値からそれぞれ前記熱損失を求めてその熱損失比を算出する
    請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置。
  5. 前記電子部品が、直流電力を電力変換して車両用原動機である交流モータを駆動するインバータ装置にあって電力変換のためのスイッチングを行うスイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続された整流素子を含む車載電力素子とからなり、これらスイッチング素子及び整流素子のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する
    請求項1または2に記載の電子部品の温度検出装置。
  6. 前記熱損失比算出部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量から前記スイッチング素子及び前記整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出する
    請求項5に記載の電子部品の温度検出装置。
  7. 前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量には、前記インバータ装置としてのシステム電圧、及び前記インバータ装置に流れる電流、及び前記インバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の少なくとも一つが含まれる
    請求項6に記載の電子部品の温度検出装置。
  8. 前記インバータ装置の駆動を制御する制御量の調整量には前記インバータ装置のパルス幅変調制御に伴って前記スイッチング素子をオン/オフ制御する際にそのオン/オフ時間の割合を可変として前記スイッチング素子及び前記整流素子の温度推移を可変とする制御量の調整量が含まれ、前記熱損失比算出部は、この調整されるスイッチング素子のオン/オフ時間の割合から前記スイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出する
    請求項6または7に記載の電子部品の温度検出装置。
  9. 前記熱損失比算出部は、前記スイッチング素子に供給される電流値と同スイッチング素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求めるとともに、前記整流素子に供給される電流値と同整流素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求め、それら求めた熱損失から前記熱損失比を算出する
    請求項5に記載の電子部品の温度検出装置。
  10. 前記電子部品が、直流電力を電力変換して車両用原動機である交流モータを駆動するインバータ装置にあって電力変換のためのスイッチングを行うスイッチング素子と該スイッチング素子に逆並列接続された整流素子を含む車載電力素子からなり、これらスイッチング素子及び整流素子のうちの少なくとも一つについてその温度を検出する温度検出装置として請求項1または2に記載の温度検出装置を用い、この温度検出装置を通じて検出される温度をモニタしつつ前記インバータ装置を構成するスイッチング素子及び整流素子の駆動を制御するインバータ制御部を備える
    ことを特徴とする車載電力素子の駆動制御装置。
  11. 前記インバータ制御部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量を調整して前記スイッチング素子及び整流素子の通電量を制御するものであり、前記熱損失比算出部は、このインバータ制御部による前記制御量の調整量から前記スイッチング素子及び前記整流素子の通電量を推定してそれらスイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出する
    請求項10に記載の車載電力素子の駆動制御装置。
  12. 前記インバータ制御部による前記制御量の調整量には、前記インバータ装置としてのシステム電圧、及び前記インバータ装置に流れる電流、及び前記インバータ装置のパルス幅変調制御に利用されるキャリア周波数の少なくとも一つが含まれる
    請求項11に記載の車載電力素子の駆動制御装置。
  13. 前記インバータ制御部による前記制御量の調整量には、前記インバータ装置のパルス幅変調制御に伴って前記スイッチング素子をオン/オフ制御する際にそのオン/オフ時間の割合を可変として前記スイッチング素子及び前記整流素子の温度推移を可変とする制御量の調整量が含まれ、前記熱損失比算出部は、この調整されるスイッチング素子のオン/オフ時間の割合から前記スイッチング素子及び整流素子の熱損失をそれぞれ求め、該求めた熱損失からその熱損失比を算出する
    請求項11または12に記載の車載電力素子の駆動制御装置。
  14. 前記インバータ制御部は、前記インバータ装置の駆動を制御する制御量を調整して前記スイッチング素子及び整流素子の通電量を制御するものであり、前記熱損失比算出部は、前記スイッチング素子に供給される電流値と同スイッチング素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求めるとともに、前記整流素子に供給される電流値と同整流素子に印加される電圧値との乗算値からその熱損失を求め、それら求めた熱損失から前記熱損失比を算出する
    請求項10に記載の車載電力素子の駆動制御装置。
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