JP2011084429A - 炭素材料及び、炭素材料、黒鉛材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱流動状態の溶融炭素前駆体を、ノズルより断続的に吐出させる吐出工程と、断続して吐出された溶融炭素前駆体を冷却賦形化する冷却工程と、前記冷却工程を経た賦形化炭素前駆体を加熱する不融化工程と、前記不融化工程を経た不融化炭素前駆体を炭化する炭化工程を順に実行して、概略球状の塊状部を有する炭素材料を製造する炭素材料の製造方法と得られた炭素材料を黒鉛化する黒鉛化工程を行う黒鉛材料の製造方法。
【選択図】図1
Description
ところが、意外にも、この製造方法によれば、溶融炭素前駆体は、概略球状の塊状部を備えた種々の形状の賦形化炭素前駆体となって、冷却賦形化する事を実験的に明らかにすることができた。
本発明は、この新知見に基づきなされたものであって、前記概略球状の塊状部を備えた種々の形状の炭素材料を提供する以下の構成を備える。
求電子的置換反応が可能な芳香族化合物は、特に限定されるものではないが、ナフタレン、アズレン、インダセン、フルオレン、フェネントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセンなどの2環以上の縮合多環炭化水素;インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサン、フタラジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェナントロジンなどの3員環以上の複素環基と芳香族炭化水素とが縮合した縮合複素環化合物;アントラセン油、脱晶アントラセン油、ナフタレン油、メチルナフタレン油、タール、クレオソート油、エチレンボトム油、カルボル油、ソルベントナフサなどの芳香族系油;石油系または石炭系のピッチなどが例示される。これらの芳香族成分は、架橋反応に悪影響を及ぼさない置換基、たとえばアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、などを有していてもよい。これらの芳香族化合物は、一種または二種以上使用することができる。さらに、ビフェニル、ビナフタレンなどの環集合化合物と併用することもできる。
本発明の特徴構成は、加熱流動状態の溶融炭素前駆体を、ノズルより断続的に吐出させる吐出工程と、断続して吐出された溶融炭素前駆体を冷却賦形化する冷却工程と、前記冷却工程を経た賦形化炭素前駆体を加熱する不融化工程と、前記不融化工程を経た不融化炭素前駆体を炭化する炭化工程を順に実行して、概略球状の塊状部を有する炭素材料を製造する点にある。
つまり、上述の新知見によれば、上記吐出工程によりノズルより吐出された溶融炭素前駆体は、概略球状の塊状部を有する形状となる。
これを冷却固化する冷却工程を行えば、前記溶融炭素前駆体は、条件によっては、概略球状の塊状部を有する種々の形状で固化した賦形化炭素前駆体となる。
これは、ノズルから吐出された溶融炭素前駆体が、線状に押し出され引き伸ばされて、紐状、棒状、線状等その他の形状となる力と、線状に押し出された溶融炭素前駆体を切断しつつ、表面張力により球状に集合して塊状部を生成する力とがバランスして、球状の塊状部とその他の部分がつながった特殊な形状に冷却固化することに由来すると考えられる。
そして、これらの中間の条件を採ることにより、上記オタマジャクシ状の炭素前駆体材料が得られたものと考えられる。
したがって、上記炭素材料の製造方法によると、炭素材料の製造コストを低減する事ができ、炭素材料を安価に提供することができた。
尚、前記ノズルはスプレーノズルであることが好ましく、具体的には、前記ノズルが口径0.1〜2mm、ノズル孔数1〜20個であり、背圧1〜10気圧の吐出条件で溶融炭素前駆体を吐出可能であることが好ましい。
前記ノズルが、スプレーノズルであれば、溶融炭素前駆体を断続的に吐出させながら冷却固化させた時に、炭素前駆体材料を綿状に形成することができる。
具体的には、前記ノズルが口径0.1〜2mm、ノズル孔数1〜20個であると、前記綿状の炭素前駆体材料が、細かく絡まったものとなるので好ましい。また、背圧1〜10気圧の吐出条件であれば、吐出される溶融炭素前駆体を断続的に綿状に製造することが出来るため、連続生産に適する。
つまり、溶融炭素前駆体として、軟化温度が250℃〜350℃のものは、容易に溶融させることができ、かつ、炭素前駆体材料とし容易に黒鉛化構造を形成して導電性を発揮することができるものを製造できる組成を有することが経験的に知られており、電極材料等としての炭素前駆体材料を形成するような場合に、特に、導電性を発揮させるための構成を容易に形成できるので好ましい。また、ノズルから溶融炭素前駆体を押し出す場合、前記溶融炭素前駆体の軟化温度よりも約50℃〜200℃程度高温で押し出せば、比較的容易に所望の形状の炭素前駆体材料を得るべく吐出条件を制御できるので好ましい。
また、前記炭素材料の製造方法により炭素材料を製造するに、
加圧された加熱流動状態にある所定量の前記溶融炭素前駆体を、前記ノズルより断続的に高速で吐出させ、繊維状炭素群中に前記塊状部が分散して存在する塊状部分散炭素材を製造することが好ましい。
つまり、加熱流動状態の溶融炭素前駆体をノズルから断続的に高速で吐出させると、繊維状炭素群が得られる。
この繊維状炭素群は、前記溶融炭素前駆体が断続的に高速で吐出され、球状部と繊維状部が連続的につながった構造に賦形化され、応力がかかることによって切断され、複雑に絡み合った状態で冷却固化されたものと考えられる。
また、本発明の黒鉛材料の製造方法は、前記炭素材料の製造方法により得られた炭素材料を黒鉛化する黒鉛化工程を行うことを特徴とする。また、前記黒鉛化工程は、2000℃〜3100℃に加熱することが好ましい。
つまり、前記炭素材料は、表面が酸化されて所定の形状を維持しているので、黒鉛化することによって、その形状を維持した状態の黒鉛材料とすることができる。
この際、2000℃以下の低温だと電池負極材料として充分な放電容量が得られず、3100℃以上の高温になると、昇華がおこり、収率が低下する。さらに好ましくは、前記黒鉛化工程は、2000℃〜3000℃で行う。
また、本発明の炭素材料の特徴構成は、上記製造方法により製造され、概略球状の塊状部を備えてなる点にある。
さらに、上記製造方法により製造され、概略球状の塊状部である頭部と前記頭部に繋がった紐状の尻尾部を備えてなる点にある。
さらに、本発明の炭素前駆体材料としては、球状の頭部と、紐状の尻尾部とを備えた炭素材料であって、前記頭部が0.001〜2mm径の球状であることが好適である。
つまり、上述の製造方法によれば、前記溶融炭素前駆体は、条件によっては、完全な球状にはならず、種々形状の賦形化炭素前駆体となるが、概略球状の塊状部を有する形状で固化してなる賦形化炭素前駆体が製造される。この賦形化炭素前駆体は、その塊状部により、高い充填構造を形成することができるものとなる。
本発明の炭素材料の製造方法により、電極材料として黒鉛化した炭素材料(黒鉛材料)を製造する例を図1に示す。
まず、溶融炭素前駆体としての溶融ピッチを加熱溶融状態に保持して、ノズルから吐出する溶融ピッチ供給装置1(図2参照)を用いて吐出工程を行う。吐出された溶融ピッチは空冷されつつ固化して、綿状の賦形化炭素前駆体としての賦形化ピッチとなる(冷却工程)。賦形化ピッチは、さらに冷水浴により水冷される(冷却工程)。
得られた賦形化ピッチは、不融化工程により不融化され、炭素前駆体材料としての不融化ピッチとなる。不融化工程は種々公知の方法で行えばよく、例えば、空気中、300℃にて60分間加熱することにより実現することができる。
次に、不融化工程を経た不融化ピッチを、さらに、炭化工程に供する。
炭化工程は種々公知の方法で行えばよく、例えば、不活性雰囲気中、1000℃にて60分加熱することにより実現することができる。これにより、不融化ピッチは炭化され、炭素材料となる。
炭化工程を経た炭素材料は、さらに黒鉛化工程に供される。黒鉛化工程についても、種々公知の方法で行えばよく、例えば、不活性雰囲気中、2800℃にて60分加熱することにより実現することができる。
〔溶融ピッチ供給装置〕
溶融ピッチ供給装置1は図2に示すように、原料ピッチを溶融流動状態の溶融ピッチとして保持可能なタンク2を設けるとともに、そのタンク2内にあらかじめ供給された原料ピッチを加熱溶融して溶融ピッチとして保持する加熱装置3を備える。
前記原料ピッチとしては、三菱ガス化学社製ピッチ(品種AR24Z、軟化点293.9℃)を用い、前記加熱装置3は、前記原料ピッチを400℃の溶融状態に維持するように加熱制御される。
前記ノズル4としては、例えば(株)いけうち社製ノズル(型番KBシリーズ)を用いる。このノズル4は、口径約0.1のノズル口を、1個設けた、いわゆるスプレーノズルとなっている。
ガス供給弁とガス排出弁は、手動で切り替えることによって、背圧を調整する構造となっており、前記タンク2内に1〜10気圧の圧力を負荷するよう、供給制御可能に構成してある。
上述の構成により、前記溶融ピッチ供給装置1に供給された原料ピッチは、前記タンク2内で加熱装置3により400℃にて溶融され、前記ノズル4より、背圧4気圧で吐出される。そして、前記ノズルのノズル口近傍で空冷を受け、賦形化ピッチとなる。この賦形化ピッチが所定量生成すると、排出弁を開いて背圧を下げ、一旦ノズル口からの溶融ピッチの吐出を遮断して賦形化ピッチを下方に落下させる。また、賦形化ピッチが下方に落下されると、再びノズル4のノズル口を開き、溶融ピッチの吐出を可能とする断続吐出制御が行われる。具体的には、一回の吐出時間は0.5秒程度で、約1秒間隔で吐出が行われる。
得られた賦形化炭素前駆体は、背圧が低いと線状に落下するが、背圧の上昇とともに全体として繊維状炭素が綿状に広がりを持ちながら、複雑に絡み合った状態で冷却固化される。
原料ピッチ:三菱ガス化学社製ピッチ(品種AR24Z、軟化点293.9℃)
ノズル:(株)いけうち社製ノズル(型番KBシリーズ)
加熱温度:温度:400℃
背圧:圧力:4気圧
:負荷間隔:0.5秒を1秒間隔
上記賦形化ピッチAを不融化条件1により不融化したところ、不融化ピッチA(図3参照)が得られた。
雰囲気:環境ガス:空気
到達温度:300℃
時間:1時間
上記不融化ピッチAを炭化条件1により炭化したところ、炭素材料A(図4,5参照)が得られた。
環境ガス:アルゴン
到達温度:1000℃
時間:1時間
〔炭素材料の構造〕
下記製造条件1で得られた炭素材料Aは、下記に示すように、その繊維状炭素を詳細に観察すると、図3〜5に示すように、前記繊維状炭素は、一端側に塊状部を備えた頭部を有し、他端側に繊維状炭素が紐状につながった尻尾部を有する構造の炭素前駆体材料が、綿状に集まった炭素前駆体材料であって、繊維状炭素を主体とする綿状の繊維状炭素群中に塊状部が分散配置されたような構造になっていることがわかった。
上記不融化ピッチAを黒鉛化条件1により黒鉛化したところ、黒鉛材料が得られた。
環境ガス:アルゴン
到達温度:2800℃
時間:1時間
黒鉛材料に、6wt%のポリフッ化ビニリデンを加え、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として混合することにより、スラリー状にした。その後、負極成型機を用いて、銅箔ロール上に、一定の速度でそのスラリーを塗布し、厚み100〜140μmの電極を作製した。こうして得られた電極を200℃で6時間の真空乾燥を行った。
(実施例1)
前記にて得られた負極体の他、正極体としてLiCoO2を、電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート1:1混合溶媒にLiPF6を1mol/lの割合で溶解したものを用い、セパレータとしてポリプロピレン不織布を用いてリチウム二次電池を作成した。その断面図を図7に示す。このリチウム二次電池は、正極活物質で構成された正極11と、前記負極体を含む負極13と、前記正極11と負極13との間に介在するセパレータ12を備えている。このセパレータ12には電解液が含浸されている。前記正極11、セパレータ12及び負極13は、ケース14内に収容され、ケース14の開口部は封口板15で封止されている。また、ケース14と負極11との間には、ニッケルメッシュ、金属金網などで構成された集電体16が配されている。符号17は絶縁パッキンである。
大阪ガスケミカル(株)製メソカーボンマイクロビーズ(平均粒径25ミクロン、2800℃焼成品)を負極材料として用いたこと以外は、すべて実施例1と同様に評価を行った。
本実験で得られたリチウム二次電池の放電特性を測定した。
実施例1および比較例1の電池の充放電を、25℃の環境温度下において、400mAの定電流、充電上限電圧4.2V、放電下限電圧2.5Vの条件下で、100サイクル繰り返した。初期容量は、いずれの電池も2.0Ahであった。
実施例1の電池は、100サイクル経過後においても容量劣化率は3%と少なく容量がほぼ維持されていた。一方、比較例1の電池では、サイクルに伴う容量劣化率が7%と顕著であり、出力低下が著しかった。両者ともに球状炭素であるが、繊維部の有無による接触点の数の違いによって、サイクル特性が異なることが実証された。
前記原料炭素前駆体として、大阪ガスケミカル社製等方性ピッチ(キノリン不溶分1%、軟化点287.2℃)を用い、前記原料ピッチを420℃の溶融状態に維持するように加熱制御し、背圧を5気圧にした以外は、炭素材料Aと同様に炭素材料Bを製造した。溶融炭素前駆体の溶融状態で粘度は10Poise以下に制御される。その結果、賦形化炭素前駆体として真球状の炭素粒子が生成することを確認した(図6参照)。
得られた賦形化炭素前駆体を実施例1と同様の方法で、不融化した後、1100℃で炭化を行い(この場合、黒鉛化処理はしない。)、実施例1と同様の方法で電極評価を行った。
その結果、25℃の環境温度下において、400mAの定電流、充電上限電圧4.1V、放電下限電圧2.5Vの条件下で、100サイクル繰り返した。初期容量は、2.0Ahであった。
100サイクル経過後においても容量劣化率は4%と少なく容量がほぼ維持され、比較例よりも改善された性能を示した。
Claims (14)
- 加熱流動状態の溶融炭素前駆体を、ノズルより断続的に吐出させる吐出工程と、断続して吐出された溶融炭素前駆体を冷却賦形化する冷却工程と、前記冷却工程を経た賦形化炭素前駆体を加熱する不融化工程と、前記不融化工程を経た不融化炭素前駆体を炭化する炭化工程を順に実行して、概略球状の塊状部を有する炭素材料を製造する炭素材料の製造方法。
- 前記ノズルがスプレーノズルである請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記ノズルが口径0.1〜10mm、ノズル孔数1〜20個であり、背圧1〜10気圧の吐出条件で溶融炭素前駆体を吐出可能である請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記吐出工程で、加熱流動状態の溶融炭素前駆体を吐出量を不均一に乱した状態で断続的に吐出させるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記吐出工程が、軟化温度が250〜350℃の溶融炭素前駆体を、300〜500℃の溶融状態で前記ノズルから吐出させるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記冷却工程が、前記ノズルから吐出される溶融炭素前駆体を空気流下で冷却するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記不融化工程が、賦形化炭素前駆体を270℃〜500℃に加熱するものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 前記炭化工程が不融化炭素前駆体を700℃〜1500℃に加熱するものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法により炭素材料を製造するに、
加圧された加熱流動状態にある所定量の前記溶融炭素前駆体を、前記ノズルより断続的に高速で吐出させ、繊維状炭素群中に前記塊状部が分散して存在する塊状部分散炭素材を製造する炭素材料の製造方法。 - 前記炭化工程を経た請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法により得られた炭素材料を黒鉛化する黒鉛化工程を行う黒鉛材料の製造方法。
- 前記黒鉛化工程が炭素材料を2000℃〜3100℃に加熱するものである請求項10に記載の黒鉛材料の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法により製造され、概略球状の塊状部を備えてなる炭素材料。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素材料の製造方法により製造され、概略球状の塊状部である頭部と前記頭部に繋がった紐状の紐状尻尾部とを備えてなる炭素材料。
- 球状の頭部と、紐状の尻尾部とを備えた炭素材料であって、前記頭部が0.001〜2mm径の球状である炭素材料。
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JP5411652B2 (ja) | 2014-02-12 |
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