JP2011073344A - 樹脂成形品取出装置及び樹脂成形品取出方法 - Google Patents

樹脂成形品取出装置及び樹脂成形品取出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形型における冷却時間を短縮でき、意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せる樹脂成形品取出装置を提供する。
【解決手段】成形型210内で成形されて成形型210から露出した露出面211を有する樹脂成形品220を成形型210から取り出す樹脂成形品取出装置100に、成形型210に対して相対的に移動可能に設けられ成形品220に接触する成形品保持部110と、成形品保持部110に接触した成形品220を吸引する吸引部120とを備え、成形品保持部110は、露出面211に接触する接触部160と露出面211に接触しない非接触部としての空隙162とを備え、接触部160は露出面211に対して露出面211の30%以上の面積で接触する接触面161を有し吸引部120は空隙162を介して成形品220を吸引するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は樹脂成形品取出装置及び樹脂成形品取出方法に関し、特に光拡散板等の板状の光学部材を成形型から取り出すのに適した樹脂成形品取出装置及び樹脂成形品取出方法に関する。
樹脂成形品の製造方法の一つとして、従来、成形型を用いた製造方法が知られている。このような成形型を用いた製造方法としては、例えば、射出成形法が挙げられる。射出成形法では、所望の形状のキャビティを有する成形型を用意し、そのキャビティ内に溶融樹脂を射出充填し、その後キャビティ内で溶融樹脂を冷却固化させることにより成形型内でキャビティ形状を樹脂に転写して、樹脂成形品を得ている。前記の射出成形法は、製造コストが安く大量生産に適した方法として、例えば光学部材の製造などに適している。
前記のように成形型内で冷却固化した樹脂成形品は、適切な方法で成形型から取り出され、各樹脂成形品の用途へと供される。成形型から樹脂成形品を取り出す方法は、得られる樹脂成形品の品質に影響を及ぼすことがあるため、従来から検討がなされてきた。例えば特許文献1には、成形型から樹脂成形品を取り出す際の温度に着目した技術が記載されている。
特開2003−1689号公報
成形型から樹脂成形品を取り出す具体的な方法の例を、図面を用いて説明する。図7は、従来の樹脂成形品取出装置の概要を模式的に示す図である。なお図7において、樹脂成形品及び成形型は断面の様子を示す。
図7に示すように、成形型310にはキャビティを構成する凹部311と凹部311に連通する樹脂供給路312とが形成されている。このような成形型310では、図示しないスタンパによって凹部311に蓋をし、前記のスタンパと成形型310との間で凹部311により構成されるキャビティ内に樹脂供給路312を通じて溶融樹脂を射出充填し、キャビティ内で溶融樹脂を冷却固化させて樹脂成形品320を製造するようになっている。溶融樹脂の固化後、スタンパは取り除かれ、樹脂成形品取出装置400により成形型310から樹脂成形品320が取り出されることになる。
従来の樹脂成形品取出装置400は、成形型310に向けて進退可能に設けられたチャック410を備え、チャック410は樹脂成形品320に対向する吸盤411を備えていた。このような樹脂成形品取出装置400では、チャック410を成形型310に近づく方向に前進させ、前記の吸盤411により樹脂成形品320を吸着して、その後、チャック410を成形型310から離れる方向に後退させることにより、成形型310から樹脂成形品320を取り出していた。
しかしながら、前記の樹脂成形品取出装置400では吸盤411による吸着力によって樹脂成形品320をチャック410に保持させているため、樹脂成形品320の吸盤411によって吸着された部分に意図しない変形が生じることがあった。このような意図しない変形が生じると、例えば光学部材などの用途においては、製品の光学特性が変化し、品質が損なわれるおそれがある。そこで、従来は、樹脂成形品320が意図せず変形しないようにするため、樹脂を十分に冷却することで硬く固化させてから樹脂成形品320を成形型310から取り出すようにしていた。ところが、その場合には冷却に時間を要するため、製造効率の点から課題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、成形型における冷却時間を短縮でき、意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せる樹脂成形品取出装置及び樹脂成形品取出方法を提供することを目的とする。
本発明者は上述した課題を解決して目的を達成するために鋭意検討した結果、樹脂成形品取出装置におけるチャックの樹脂成形品と接触する面の面積を、前記樹脂成形品に合わせて所定の範囲に収めるようにすることにより、成形型における冷却時間を短縮でき、更に意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔7〕を要旨とする。
〔1〕 成形型内で成形されて、当該成形型から露出した露出面を有する樹脂成形品を、前記成形型から取り出す樹脂成形品取出装置であって、
前記成形型に対して相対的に移動可能に設けられるとともに、前記樹脂成形品に接触する成形品保持部と、
前記成形品保持部に接触した前記樹脂成形品を吸引する吸引部とを備え、
前記成形品保持部は、前記露出面に接触する接触部と、前記露出面に接触しない非接触部としての空隙とを備え、
前記接触部は、前記樹脂成形品の前記露出面に対して前記露出面の30%以上の面積で接触する接触面を有し
前記吸引部は、前記空隙を介して前記樹脂成形品を吸引する、樹脂成形品取出装置。
〔2〕 前記樹脂成形品が板状成形品である〔1〕記載の樹脂成形品取出装置。
〔3〕 前記樹脂成形品が光学部材である〔1〕又は〔2〕記載の樹脂成形品取出装置。
〔4〕 前記樹脂成形品が射出成形法により製造されたものである、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置。
〔5〕 前記接触面と前記露出面とが接触した状態において前記樹脂成形品の温度を調整する温度制御部を備える、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置によって前記樹脂成形品を前記成形型から取り出す樹脂成形品取出方法であって、
前記成形品保持部と前記成形型とを接近させて前記接触面を前記樹脂成形品の前記露出面に接触させる工程と、
前記吸引部により前記空隙を介して前記樹脂成形品を前記成形品保持部に保持させる工程と、
前記成形品保持部と前記成形型とを離間させて前記成形型から前記樹脂成形品を取り出す工程と、
前記成形品保持部で前記樹脂成形品を保持した状態を維持して、前記樹脂成形品の形状を前記接触面の形状に合わせて変形させる工程とを有する、樹脂成形品取出方法。
〔7〕 樹脂成形品の製造方法であって、
成形型を用いて射出成形により樹脂成形品を成形するステップと、
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置によって前記樹脂成形品を前記成形型から取り出す樹脂成形品取出ステップと、を備え、
前記樹脂成形品取出ステップは、
前記成形品保持部と前記成形型とを接近させて前記接触面を前記樹脂成形品の前記露出面に接触させる工程と、
前記吸引部により前記空隙を介して前記樹脂成形品を前記成形品保持部に保持させる工程と、
前記成形品保持部と前記成形型とを離間させて前記成形型から前記樹脂成形品を取り出す工程と、
前記成形品保持部で前記樹脂成形品を保持した状態を維持して、前記樹脂成形品の形状を前記接触面の形状に合わせて変形させる工程とを有する、樹脂成形品の製造方法。
本発明の樹脂成形品取出装置によれば、成形型における冷却時間を短縮でき、意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せる。
本発明の樹脂成形品取出方法によれば、成形型における冷却時間を短縮でき、意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せる。さらに、樹脂成形品の形状を接触面の形状に合わせて所望の形状に変形させることも可能である。
図1は、本発明の一実施形態としての樹脂成形品取出装置及び成形型の概要を模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置の成形品保持部であるチャックを、その接触面側から見た様子を模式的に示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る成形型及び樹脂成形品を、その露出面側から見た様子を模式的に示す図である。 図4は、本発明の一実施形態としての樹脂成形品取出装置及び成形型の概要を模式的に示す図である。 図5は、本発明の一実施形態としての樹脂成形品取出装置及び成形型の概要を模式的に示す図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置の成形品保持部であるチャックを、その接触面側から見た様子を模式的に示す図である。 図7は、従来の樹脂成形品取出装置の概要を模式的に示す図である。
以下、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
図1は本発明の一実施形態としての樹脂成形品取出装置及び成形型の概要を模式的に示す図である。なお、図1において、樹脂成形品、成形型及び接触部は断面の様子を示す。また、図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置の成形品保持部であるチャックを、その接触面側から見た様子を模式的に示す図である。さらに、図3は、本発明の一実施形態に係る成形型及び樹脂成形品を、その露出面側から見た様子を模式的に示す図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置100は、樹脂成形品220に接触する成形品保持部としてのチャック110と、吸引部としての真空ポンプ120と、温度制御部としてのヒーター130と、チャック110を移動させる駆動部としてのアーム140とを備える。一方、樹脂成形品取出装置100によって成形型210から取り出される樹脂成形品220は、その表面の少なくとも一部が、成形型210から露出した露出面221となっている。本実施形態においては、矩形の平坦な露出面221が成形型210に覆われずに露出した板状の樹脂成形品220を例に挙げて説明する。
チャック110は、基部150と、基部150に設けられた接触部160とを備え、成形型210に対して相対的に移動可能に設けられている。
基部150は、接触部160を支持する支持部材である。基部150は、樹脂成形品220をチャック110で保持する際に樹脂成形品220の露出面221に向き合う設置面151を有していて、この設置面151に接触部160が設けられている。
設置面151は、後述する接触部160の接触面161よりも広い面積を有する面であり、通常は樹脂成形品220の露出面221以上に広い面積を有する面である。設置面151の面形状は、取り出し後に得たい理想的な樹脂成形品220の形状に合わせて設定することが好ましい。具体的には、設置面151の面形状は、理想的な形状の樹脂成形品220の露出面221を転写した形状とすることが好ましい。後述する矯正工程において設置面151の面形状にあわせて樹脂成形品220の形状を理想的な形状に変形させるためである。
本実施形態では、設置面151は接触部160の接触面161及び樹脂成形品220の露出面221よりも広い面積を有する平坦な単一の平面として形成されているものとする。
また、基部150には、真空ポンプ120に連結された真空吸引路152が形成されている。真空吸引路152は設置面151に形成された真空吸引口153において開口しており、真空ポンプ120によって真空吸引口153から空気を吸引できるようになっている。
基部150は、通常、剛性を有する材料により形成する。設置面151に設けられる接触部160を安定して保持するため、及び、矯正工程において樹脂成形品220の形状を設置面151の面形状にあわせて変形させるようにするためである。よって通常は、基部150は接触部160及び樹脂成形品220よりも体積弾性率が高い剛性材料により形成される。
また、基部150は、熱伝導率の高い材料により形成することが好ましい。ヒーター130からの熱を効率よく樹脂成形品220に使えられるようにするためである。
これらの観点から、基部150は、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等の金属により形成することが好ましい。
本実施形態では基部150として金属製の平板形状の基部150を用いているものとする。
接触部160は、基部150の設置面151に設けられて、樹脂成形品220をチャック110で保持する際に樹脂成形品220に接触する部材である。このため接触部160は、その露出面221側(図1では右側)に接触面161を有する。接触面161は、樹脂成形品220をチャック110で保持する際に樹脂成形品220の露出面221と接触する面である。
また接触部160は、その露出面221側に開口する空隙として真空溝162を有して設けられている。したがって、接触部160が樹脂成形品220の露出面221と接触するときであっても、空隙である真空溝162は前記の露出面221に接触しない。また、樹脂成形品220をチャック110で保持する際には、真空ポンプ120により真空吸引口153を通じて真空溝162に存在する空気を吸引し、真空溝162内を減圧することによって生じる力(吸引力)で樹脂成形品220をチャック110で保持できるようになっている。
接触部160が真空溝162を有しているので、接触面161は樹脂成形品220の露出面221の全面と接するのではなく、その一部と接するようになっている。すなわち、少なくとも前記の真空溝162が露出面221側で開口する分だけ、接触部160と樹脂成形品220との接触面積は小さくなっている。しかし、接触面161が樹脂成形品220の露出面221の全面と接するのではないにしても、本実施形態の樹脂成形品取出装置100においては、広い面積で接触面161と露出面221とが接触するようになっている。具体的な範囲を挙げると、接触部160の接触面161は、樹脂成形品220の露出面221に対して、露出面221の通常30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、また、通常100%未満の面積で接触するようになっている。樹脂成形品220をチャック110で保持する際に接触部160の接触面161と樹脂成形品220の露出面221とがこのように大きな接触面積で接触するようにすることで、成形型210から樹脂成形品220を取り出す際に樹脂成形品220の意図しない変形を防止できる。
樹脂成形品220の露出面221に対する接触面161の接触は、通常、弾性接触となるようにする。接触面161と接触した露出面221が傷つくことを防止し、また、接触面161と露出面221とを密着させることにより真空溝162内の減圧状態を容易に維持できるようにするためである。前記の弾性接触を実現するため、通常、接触部160は弾性材料により形成する。ここで弾性材料とは、使用環境下において体積弾性率が通常10GPa以下、好ましくは1GPa以下のものを言う。なお下限は、通常10KPa以上、好ましくは100KPa以上である。
さらに、樹脂成形品を形成する材料は、耐熱性に優れるものが好ましい。取り出し時の樹脂成形品220は冷却が十分に進行していない高温状態であることが多いためである。具体的な範囲を示すと、通常100℃以上、好ましくは120℃以上の温度においても劣化しない材料により接触部160を形成することが好ましい。
上記の観点から、接触部160は、例えば、耐熱ウレタン、シリコンゴム、フッ素ゴム等により形成することが好ましい。また、連続気泡、独立気泡、半独立気泡を有する材料などにより形成することも好ましい。好ましい例を商品で挙げると、日東電工製「エプトシーラー」等が挙げられる。
本実施形態では、接触部160は弾性材料(例えば、独立気泡を有するシリコーン樹脂のスポンジ)で形成してあるものとする。
接触部160は、少なくとも樹脂成形品220の縁部222において、接触面161と露出面221とが接触するような位置に設けることが好ましい。以下適宜、樹脂成形品220の縁部222と接触する接触部160を「外枠接触部163」と呼び、その内側に位置する接触部160を「内側接触部164」と呼び、両者を区別しない場合に「接触部160」と呼ぶ。また図2に示すように、樹脂成形品220の縁部222と接触する外枠接触部163は、縁部222に沿って連続的に形成されていることが好ましい。いずれも、縁部222が樹脂成形品220の取り出しの際に意図しない変形を生じやすい部分であるので、この縁部222の変形を外枠接触部163で規制するためである。また、これにより外枠接触部163で囲まれた内側の真空溝162内の減圧状態を容易に維持することができるようになる。すなわち、吸引性の観点から、真空溝162は、接触部160が樹脂成形品220に当接した際に、閉じた空間となるように形成されることが好ましい。
また接触部160は、基部150の設置面151において、真空吸引口153が形成された部分は避けて形成するようにする。真空吸引口153を通じた吸引を確実に行なうようにするためである。
本実施形態においては、図2に示すように、基部150の設置面151には、接触面161側からみた平面形状が矩形である複数個の内側接触部164が所定の間隔の真空溝162を空けて行列状に並べて形成され、この行列状に並んだ内側接触部164を全て囲むように外枠接触部163が連続的に形成されているものとする。
図1に示すように、接触部160の厚さ(即ち、基部150の設置面151から接触部160の接触面161までの距離)Tは、通常10mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。このように接触部160の厚さTが薄いことにより、吸盤で樹脂成形品220を保持していた場合のように接触部分に変形が生じることがなく、成形型210からの取り外し時に樹脂成形品220に意図しない変形が生じることを防止できる。さらに、接触部160の厚さTが薄いと、後述するようにヒーター130により基部150を加熱した場合に、基部150の熱をチャック110で保持した樹脂成形品220に効率よく伝えることができる。なお、接触部160の厚さTがあまりに薄いと真空溝162の減圧の程度が均一にならず樹脂成形品220を安定して保持できなくなるおそれがあるため、接触部160の厚さTは通常0.1mm以上にする。
また接触部160の厚さTは接触面161のいずれの位置においても、後述する矯正工程において樹脂成形品220の形状を理想的な形状に変形させることができる程度に均一であることが好ましい。通常、基部150の設置面151の面形状は、取り出し後に得たい理想的な樹脂成形品220の形状に合わせて設定されるため、接触部160の厚さTを上述した程度に均一にすれば、接触面161の面形状も取り出し後に得たい理想的な樹脂成形品220の形状に合わせた形状となり、後述する矯正工程において樹脂成形品220の形状を理想的な形状に変形させることができるようになるためである。
さらに、樹脂成形品220の縁部222と接触する外枠接触部163の厚さは、その内側の内側接触部164の厚さよりも厚くすることが好ましい。樹脂成形品220の縁部222における露出面221と接触面161との密着度を高めることにより、外枠接触部163で囲まれた内側の真空溝162内の減圧状態を容易に維持できるようにするためである。ただし、外枠接触部163の厚さを内側接触部164の厚さよりも厚くする程度は、前記の厚さの差によって各外枠接触部163及び内側接触部164の接触面161と接触する露出面221に、樹脂成形品220が意図しない変形を生じるほど大きい圧力の差が生じない程度にする。前記の厚さの差の具体的な程度は、外枠接触部163及び内側接触部164の厚さ及び弾性率などに応じて設定すればよい。
本実施形態においては、外枠接触部163は内側接触部164よりも厚さが厚く形成されているものの、前記の厚さの差は樹脂成形品220が意図しない変形を生じない程度になっているものとする。
図2に示すように、真空溝162の幅Wは、通常0.1mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上であり、通常50mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。真空溝162の幅Wが小さすぎると樹脂成形品220を吸引する力が弱くなりすぎるおそれがあり、大きすぎると真空溝162内の減圧時に真空溝162に樹脂成形品220が入り込んで樹脂成形品220に意図しない変形が生じるおそれがある。
図1に示すように、真空ポンプ120は、チャック110に接触した樹脂成形品220を吸引する吸引部である。真空ポンプ120は、真空吸引口153において真空溝162に開口する真空吸引路152に接続されて、所定の吸引力で真空溝162を介して樹脂成形品220を吸引するようになっている。本実施形態の樹脂成形品取出装置100では、接触部160の接触面161を樹脂成形品220の露出面221に接触させた状態で真空ポンプ120を稼動させることにより、真空ポンプ120が真空溝162を吸引することで真空溝162内が減圧され、樹脂成形品220をチャック110で保持できるようになっているものとする。
ヒーター130は、接触部160の接触面161と樹脂成形品220の露出面221とが接触した状態において樹脂成形品220を加熱して樹脂成形品220の温度を調整する装置である。ヒーター130は、通常、基部150を加熱できるように設置し、加熱した基部150の熱が樹脂成形品220に伝えられることで樹脂成形品220を加熱できるように構成する。このようにヒーター130が基部150を介して熱を伝えることにより樹脂成形品220の温度を調節するようにすれば、樹脂成形品220の露出面221の全面を覆うことができる程度に大きい設置面151から放射される熱で樹脂成形品220の温度を偏り無く均一に調整できるので、温度の偏りによって樹脂成形品220が意図しない変形を生じることを防止できる。また、前記の温度の偏りをより安定して防止する観点から、ヒーター130は基部150の温度を偏り無く調整できるものを用いることが好ましい。このようなヒーター130としては、例えば、電熱器、熱媒又は冷媒として水を用いた温度調節機などが挙げられる。
本実施形態では、基部150の設置面151とは反対側の裏面154にヒーター130を設けてあるものとする。
アーム140は、チャック110を移動させる駆動装置である。アーム140はバネ141を備えた取付具142を先端に備え、この取付具142によってチャック110の基部150の裏面154に接続されている。したがって、アーム140はチャック110を、バネ141を介して弾性的に支持するようになっている。
またアーム140は伸縮可能となっており、このアーム140の伸縮によって、チャック110を成形型210に接近させる方向へ移動させる前進動作と、チャック110を成形型210から離れさせる方向へ移動させる後退動作とが可能になっている。
一方、本実施形態の樹脂成形品取出装置100により成形型210から取り出される樹脂成形品220は、成形型210に形成された凹部211中に存在する。凹部211は成形型210においてキャビティを構成する部分である。成形型210には、凹部211に連通する樹脂供給路212が形成されている。例えば射出成形法により製造される樹脂成形品220の場合、図示しないスタンパによって凹部211に蓋をし、前記のスタンパと成形型210との間で凹部211により構成されるキャビティ内に樹脂供給路212を通じて溶融樹脂(通常は熱可塑性樹脂)を射出充填し、キャビティ内で溶融樹脂を冷却固化させて樹脂成形品220を製造するようになっている。溶融樹脂の固化後、スタンパが取り除かれることにより樹脂成形品220の露出面221が露出し、図1に示す状態となる。
前記のような要領によって成形型210内で成形されるため、成形型210から取り出す以前の樹脂成形品220は凹部211内において成形型210表面に密着している。このため、何らかの手段を講じない場合には、樹脂成形品220と成形型210との間に空気が侵入することは難しい。そこで本実施形態では、樹脂成形品220と成形型210との間に空気(以下、適宜「離型エア」という。)を供給して樹脂成形品220の取り外しを容易にする観点から、成形型210に、凹部211内に開口する空気供給路213が形成されている。
図3に示すように、空気供給路213が開口する空気供給口214の位置は、樹脂成形品220の縁部222よりも内側であることが好ましい。樹脂成形品220の縁部222は接触部160のうちで最も外側に位置する外枠接触部163と接触する部分であるので、そのような外枠接触部163と接触する部分よりも外側に空気供給口214が位置すると、空気供給口214から供給される離型エアから加わる力によって樹脂成形品220の端が意図しない変形を生じるおそれがあるからである。
本実施形態では、空気供給口214は縁部222の直ぐ内側の位置に並んで形成されているものとする。なお、図3においては、樹脂成形品取出装置100のチャック110の外枠接触部163が樹脂成形品220に接触した場合に外枠接触部163と接触する部分の内縁223を一点鎖線で示す。
本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置100は上述したように構成されている。以下、樹脂成形品の製造方法について説明するとともに、この樹脂成形品取出装置100によって成形型210から樹脂成形品220を取り出す樹脂成形品取出方法を、図面を用いて説明する。なお、図4及び図5は、いずれも、本発明の一実施形態としての樹脂成形品取出装置及び成形型の概要を模式的に示す図である。
樹脂成形品を製造する際には、成形型210を用いて樹脂成形品220を成形するステップと、樹脂成形品取出装置100によって樹脂成形品220を成形型210から取り出す樹脂成形品取出ステップとを行なう。樹脂成形品220を成形するステップは、例えば、上述したように射出成形により行えばよい。
樹脂成形品取出ステップ(樹脂成形品取出方法)では、まず、図1に示すように、成形型210からスタンパ(図示せず)を取り外して樹脂成形品220の露出面221を露出させる。この時点では、例えば300℃以上の温度で溶融状態であった樹脂が冷却固化されて樹脂成形品220が成形されているものの、樹脂成形品220の温度は比較的高温である。そのため、この時点では樹脂成形品220は変形を生じやすく、条件によっては例えばスタンパの取り外し時にスタンパの剥離によって樹脂成形品220に意図しない変形が生じることがある。
一方、樹脂成形品取出装置100においては、予めヒーター130により基部150を加熱して、チャック110の温度を昇温させておくことが好ましい。この際の基部150の温度は、常温よりも高温で、且つ、樹脂成形品220の温度よりも低温にすることが好ましい。例えば、70℃〜120℃にしておけばよい。
次に、アーム140を伸ばしてチャック110に前進動作を行なわせる。これにより、チャック110と成形型210とが接近し、図4に示すように、接触部160の接触面161が樹脂成形品220の露出面221に接触する。この際、前記のように予めヒーター130によりチャック110を昇温させておけば、樹脂成形品220の急冷を防止して、急冷によって反り等の意図しない変形が樹脂成形品220に生じることを防止できる。また、本実施形態ではアーム140はバネ141を備えた取付具142によりチャック110に対して弾性的に接続されているため、接触面161から露出面221に過剰な圧力が加えられることが無いようになっている。
次に、真空ポンプ120を稼動させ、真空ポンプ120により真空溝162を吸引する。これにより真空溝162内は減圧され、真空溝162を介して真空ポンプ120が樹脂成形品220を吸引し、その吸引力で樹脂成形品220がチャック110に保持される。この際、接触部160は樹脂成形品220の露出面221に対して大面積の接触面161で接触するため、未だ樹脂成形品220が常温程度にまで十分に冷却されず変形を生じやすい状態であっても、接触面161により変形が規制されるので樹脂成形品220が意図せず変形することは無い。
取り出し時の樹脂成形品220の具体的な温度は、一般的には熱変形温度±50℃で、好ましくは熱変形温度±20℃といった樹脂成形品220の形成樹脂の熱変形温度付近の温度である。この温度範囲とすることにより、形状の矯正と冷却時間のバランスを好適に取ることができる。この際、取り出し時の樹脂成形品220の温度が樹脂成形品220の形成樹脂のガラス転移温度以上であると、樹脂成形品220の表裏で廃熱に差が無くなり、変形を生じにくいため好ましい。
次に、図5に示すように、チャック110により樹脂成形品220を保持したまま、アーム140を縮めてチャック110に後退動作を行なわせる。この際、必要に応じて空気供給路213から離型エアを供給して、成形型210からの離型が円滑に行なわれるようにする。これにより、チャック110と成形型210とが離間し、成形型210から樹脂成形品220を取り出すことができる。
また、樹脂成形品220の取り出しの際には樹脂成形品220が冷却される。この際、前記のように予めヒーター130によりチャック110を昇温させておけば、樹脂成形品220の冷却は緩やかな速度で進行するため、急冷による樹脂成形品220の意図しない変形を抑制できる。
樹脂成形品220を成形型210から取り出した後で、以下の矯正工程を行なうようにしてもよい。矯正工程では、チャック110で樹脂成形品220を保持した状態を維持するようにする。取り出し時の樹脂成形品220は高温(通常は、樹脂成形品220の形成樹脂のガラス転移温度以上)で変形をしやすい状態にあるため、チャック110による保持を続けると、樹脂成形品220の形状は接触面161の形状に合わせて変形する。この際、必要に応じてヒーター130による加熱を行い、取り出し後に樹脂成形品220の温度を昇温させてもよい。
本実施形態の場合、接触部160の厚さTが上述した程度に均一に設定されているので、接触面161の面形状は基部150の設置面151の面形状と同様に取り出し後に得たい理想的な樹脂成形品220の形状に合わせた形状となっている。このため、矯正工程により、樹脂成形品220の形状を設置面151及び接触面161の形状に合わせて理想的な形状に変形させることができる。したがって、取り出し前に例えばスタンパの剥離による意図しない変形が樹脂成形品220に生じていたとしても、矯正工程を行なうことにより、平坦な平面である設置面151の形状に合わせて樹脂成形品220を積極的に変形させて、樹脂成形品220の形状を平面度に優れる平板形状にすることが可能である。
本発明の一実施形態に係る樹脂成形品取出装置100及び樹脂成形品取出方法並びに樹脂成形品の製造方法は以上のようになっている。
したがって、本実施形態の樹脂成形品取出装置100及び樹脂成形品取出方法並びに樹脂成形品の製造方法によれば、意図しない変形を生じることなく成形型から樹脂成形品を取り出せる。すなわち、樹脂成形品取出装置100では大面積の接触面161が露出面221に接した状態でチャック110で樹脂成形品220を保持するため、接触面161により樹脂成形品220の意図しない変形を規制できる。また、平坦な平面である設置面151に上述した程度に均一な厚さTの接触部160を設け、更に接触部160の接触面161が樹脂成形品220の露出面221に弾性接触するようにしたため、取り出しの際にかかる圧力を露出面221の広い範囲で均一にできる。これらによって、従来よりも安定して、取り出し時における樹脂成形品220の意図しない変形を防止できる。したがって、取り出し時に変形が生じやすい大面積の樹脂成形品や薄型の樹脂成形品などであっても、意図しない変形を生じることなく樹脂成形型から取り出すことが可能である。
また、樹脂成形品取出装置100によれば、前記のように意図しない変形を従来よりも安定して防止できるため、従来よりも高温の樹脂成形品220であっても成形型210から取り出すことができる。このため、取り出し時の操作に耐えられる程度に固化する温度まで冷却した後であれば、速やかに成形型210から樹脂成形品220を取り出せる。また、樹脂成形品220の温度が位置により不均一であっても本実施形態の樹脂成形品取出装置100によれば意図しない変形を防止できるため、成形型210において樹脂成形品220の温度を安定させて位置による温度の不均一を無くす手間が不要である。したがって、樹脂成形品取出装置100によれば、成形型210における冷却時間を短縮できる。
また、樹脂成形品取出装置100によれば、チャック110で保持した状態において樹脂成形品220の冷却を行なうことができる。このため、樹脂成形品220の取出工程と冷却工程とを同時に進めることが可能となるので、成形型210内で樹脂成形品220を冷却してから取り出していた従来技術に比べて、製造サイクルを短縮させて製造効率を向上させることができる。
さらに、成形型210内で樹脂成形品220を冷却することに比べ、成形型210の外で冷却する方が冷却速度を速くできる。このため、樹脂成形品取出装置100によれば、樹脂成形品220の冷却に要する時間を短縮することもできる。
また、樹脂成形品取出装置100によれば、矯正工程を行なうことにより、樹脂成形品220の形状を所望の形状に変形させることができる。これにより、意図せずに生じた変形を矯正したり、成形型210による成形形状とは別の形状に樹脂成形品220の形状を意図的に加工したりすることができる。
さらに、樹脂成形品取出装置100はヒーター130を備えているため、ヒーター130による樹脂成形品220の温度調整が可能であり、冷却時間を短縮しても急冷による反り等の発生を抑制できる。また、本実施形態ではヒーター130がチャック110の基部150の温度を調整し、樹脂成形品220の露出面221の全面を覆うことができる程度に大きい基部150の設置面151を介して樹脂成形品220の温度調整を行なうようにしたため、大面積の樹脂成形品220であっても温度分布を均一に制御できる。
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、温度制御部としては加熱装置であるヒーター130に代えて冷却装置を設けてもよく、加熱及び冷却の両方が可能な装置を設けてもよい。ただしその場合でも、基部150を介して熱を伝えることにより樹脂成形品220の温度調整をするようにすることが好ましい。
また、例えば、基部150の設置面151を平坦な平面以外の形状にしてもよい。具体例を挙げると、設置面151の形状を凹型又は凸型の滑らかな曲面にし、矯正工程において樹脂成形品220を意図的に反るように変形させてもよい。さらに、例えば、設置面151の一部に接着部160に嵌合できる寸法の凹部を形成し、当該凹部に接着部160を形成するようにして、前記凹部に接着部160を嵌合させるようにしてもよい。
また、例えば、接触部160の厚さTを位置により異なるようにすることで接触面161の形状を平面以外の形状にして、矯正工程においてその接触面161の形状に合わせて樹脂成形品220を意図的に変形させてもよい。
また、例えば、基部150として形状変更可能な可変部材を用い、矯正工程において基部150の形状を変形させて、変形する基部150の形状に追従するようにして樹脂成形品220の形状を変形させるようにしてもよい。
また、例えば、チャック110を成形型210に対して相対移動させるのに際して、チャック110を移動させる代わりに成形型210を移動させて、樹脂成形品220の取り出しを行うようにしてもよい。
また、例えば、外枠接触部163と内側接触部164とを異なる材料で形成してもよい。
また、例えば、連続気泡を有する材料で接触部160を形成する場合、見かけ上は真空溝162を形成しなくてもよい。この場合でも、接触面161に開口した連続気泡が空隙として機能するため、真空ポンプ120による吸引によって樹脂成形品220を保持できる。
また、例えば、図6に示すように、基部150を複数毎に分割し、これらの複数の基部150及びそれに設けられた接触部160が一体となってチャック110として機能するようにしてもよい。
上述した樹脂成形品取出装置100及び樹脂成形品取出方法並びに樹脂成形品の製造方法は、任意の形状の樹脂成形品に適用できる。中でも平板状の基部150を用いた場合に有用であることから、樹脂成形品220が板状成形品である場合に適しており、特に大面積の板状成形品に好適である。
また、上述した樹脂成形品取出装置100及び樹脂成形品取出方法並びに樹脂成形品の製造方法は、任意の用途に用いる樹脂成形品に適用できる。中でも取り出し時における意図しない変形を安定して防止できるという利点を有効に活用する観点から、樹脂成形品220が光学部材である場合に適している。光学部材の例を挙げると、導光板、光拡散板等が挙げられる。
なお、樹脂成形品220が光拡散板等である場合、露出面221に微小な凹凸が形成され、接触面161と露出面221とが接触したときに両面の間に小さい隙間が形成されることがある。このような場合でも、真空ポンプ120が十分な力で吸引すれば、チャック110によって樹脂成形品220を保持することができる。なお、前記の樹脂成形品の表面の凹凸に接触部160が正確に追随しないときも、接触部160はすべて接触したものとして、接触面161の面積を計算することとする。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
〔実施例1〕
アルミニウムで形成された、寸法440mm×740mmより広い設置面を有し、3mmの厚さを有する平板状のプレートを基部として用意した。なお、プレートには真空吸引路とする孔を形成しておいた。
このプレートの設置面に、その外縁に沿って幅30mmで深さ1mmの溝を形成し、当該溝に2mmの厚みを有する耐熱ウレタン(ミスミ社製、製品名:超低硬度ウレタンシート)を貼り付けて、外枠接触部を形成した。また、プレートの外枠接触部を形成した側の面(設置面)の前記外縁接触部よりも内側の位置に、シリコンゴム(ミスミ社製、製品名:シリコンゴムシート)を貼り付けて、1mmの厚みを有する内側接触部を形成した。さらに、前記のプレートの設置面とは反対側の面に、温度制御部として電気ヒーター(八光社製、製品名:スペースヒーター)を装着した。こうして、接触面積80%で樹脂成形品に接触する接触面を有するチャックを用意した。
用意したチャックは、取出し機(ユーシン精機YAII−1300S)のアームの先端に取り付けた。
440mm×740mm×2mmの寸法の直方体状のキャビティを有する金型(ホットランナー式、複数ゲート)を用意し、これを樹脂成形機(日本製鋼所製電動成形機「JSW850ELIII」)に取り付けた。また、樹脂成形品用の樹脂としては、日本ゼオン製シクロオレフィンポリマー「ZEONOR1430R」(ガラス転移温度140℃、熱変形温度115℃)を用意した。
また、スタンパとして、前記金型のキャビティに蓋をできるSUS430製の板状部材を用意した。このスタンパには、金型のキャビティに蓋をした際にキャビティ側となる面に、算術平均粗さ30μmの微細な凹凸が形成されている。
前記の金型のキャビティに前記スタンパで蓋をし、300℃の溶融樹脂をキャビティに射出充填し、140℃まで冷却し、スタンパを剥がした。これにより光拡散板として使用される板状の樹脂成形品が形成された。その後、樹脂成形品を120℃まで冷却した。
次いで、電気ヒーターによりチャックのプレートの温度を120℃にし、取出し機のアームを伸ばし、スタンパを剥がしたことにより露出した面にチャックの外縁接触部を当てた。この状態で真空吸引路から空気を100Torr(13.3kPa)で吸引し、その後アームを縮めることにより、金型から樹脂成形品を取り出した。
取り出した樹脂成形品を30秒間チャックで保持し、その後、チャックから取り外した。
取り外した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
内側接触部の設置面積を変更することにより接触面の面積(接触面積)を50%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
基部であるプレートをステンレス鋼(SUS430)に変更したこと、内側接触部の材質を耐熱ウレタンに変更したこと、及び、接触面積を70%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
外枠接触部の材質をシリコンゴムに変更したこと、外枠接触部の厚みを1mmに変更したこと、内側接触部の材質をアルミニウムに変更したこと、内側接触部の厚みを0.1mmに変更したこと、及び、樹脂成形品取り出し時のプレート温度を130℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
基部であるプレートの厚みを5mmに変更したこと、外枠接触部の材質をエプトシーラー(半独立半連続気泡を有し、圧縮率70%以上で内部の気泡が独立気泡化して水及び空気を通さなくなる材料。圧縮50%で圧縮硬さ0.05kg/cm2。日東電工製)に変更したこと、外枠接触部の厚みを5mmに変更したこと、内側接触部の材質をフッ素ゴム(ミスミ社製、製品名:フッ素ゴムシート耐油性粘着テープ付)に変更したこと、温度制御部をプレート内に温度を調整した水を通水する機構により構成するようにしたこと、樹脂成形品取り出し時のプレート温度を130℃に変更したこと、及び、内側接触部の設置面積を変更することにより接触面積を30%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
基部を図6に示すように4分割し、それら4枚のプレートを用いて同様のチャックを4個用意し、これら4個のチャックを1組に組み合わせて取出し機のアームの先端に取り付けるようにしたこと、外枠接触部の材質をシリコンゴムに変更したこと、外枠接触部の厚みを1mmに変更したこと、内側接触部の材質をアルミニウムに変更したこと、内側接触部の厚さを0.1mmに変更したこと、及び、樹脂成形品取り出し時のプレート温度を130℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
基部であるプレートをステンレス鋼(SUS430)に変更したこと、基部であるプレートの厚みを20mmに変更したこと、外枠接触部の厚みを6mmに変更したこと、内側接触部の材質を耐熱ウレタンに変更したこと、内側接触部の厚さを5mmに変更したこと、及び、温度制御部をプレート内に温度を調整した水を通水する機構により構成するようにしたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例8〕
外枠接触部の材質をシリコンゴムに変更したこと、内側接触部の材質を連続気泡を有するスポンジ(ミスミ社製、製品名:シリコンゴムスポンジ)に変更したこと、及び、内側接触部の設置面積を変更することにより接触面積を100%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例9〕
プレートをアルミフレームに変更し、外枠接触部と内側接触部の部材を吸盤(ミスミ社製、製品名:吸着パッド)に変更したこと、及び、温度制御部を吸着パッド裏に設置し、接触面積を50%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例10〕
温度制御部を外し、内側接触部の設置面積を変更することにより接触面積を60%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
内側接触部の材質を耐熱ウレタンに変更したこと、及び、内側接触部の設置面積を変更することにより接触面積を20%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
内側接触部の材質を耐熱ウレタンに変更したこと、樹脂成形品取り出し時のプレート温度を70℃に変更したこと、及び、内側接触部の設置面積を変更することにより接触面の接触面積を20%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂成形品を製造した。
製造した樹脂成形品を目視により評価した。結果を表2に示す。
Figure 2011073344
Figure 2011073344
〔まとめ〕
表1及び表2から分かるように、本発明の実施例1〜10では良好な結果が得られた。
特に、実施例1,2と実施例3とを対比すると、多様な材質のプレートで本発明は実施できることが確認できる。
また、実施例1,2と実施例4とを対比すると、接触部が弾性材料でなくても本発明は効果が奏されることがあることが確認できる。
また、実施例5によれば、半連続半独立気泡のやわらかい素材で形成された接触部は、接触部の厚みを高くすると、樹脂成形品の取り出し時にプレートと樹脂成形品との間で(実施例5では1mm程度に)圧縮されて、真空リークをしないようにできることが確認できる。また、フッ素ゴム等の耐熱性の材料で接触部を形成すれば、プレート温度を高くすることができることも確認できる。
また、実施例6によれば、チャックを複数個に分割しても、本発明は効果が奏されることがあることが確認できる。
また、実施例7によれば、接触部の厚みが厚いと、温度安定化及び形状の矯正に時間が掛かることが確認できる。
さらに、実施例8によれば、内部に連続気泡を有する材質で接触部を形成すれば、空隙(真空溝)を意図的に設けなくても接触部内に空隙が形成され、樹脂成形品を取り出せることが確認できる。
また、実施例9によれば、接触部を吸着パッドにしても、温度制御と接触面積を確保することで本発明は効果が奏されることがあることが確認できる。
さらに、実施例10によれば、温度制御装置による温度制御ではなく、樹脂成形品を取り出すことによって熱がチャックに移動して昇温し、温度が安定化すると本発明の効果が奏されることがあることが確認できる。
一方、比較例1では樹脂成形品が変形し、接触部と樹脂成形品とが接触した部分と接触しない部分との間に段差が形成された。これは、接触面積が小さいために接触部と樹脂成形品とが接触した部分と接触しない部分との間で大きな圧力差が生じたためと推察される。また、比較例2では樹脂成形品のチャック側の面とその反対側の面との間で温度差が大きくなり、樹脂成形品に反りが生じた。これは、チャックの温度が低かったので樹脂成形品のチャック側の面とその反対側の面との間の除熱能力に大きな差があったためと推察される。
本発明は任意の用途における樹脂成形品を成形型から取り出す場合に適用でき、特に、光学部材として使用される樹脂成形品の取り出しに用いて好適である。
100 樹脂成形品取出装置
110 チャック(成形品保持部)
120 真空ポンプ(吸引部)
130 ヒーター(温度制御部)
140 アーム
141 バネ
142 取付具
150 基部
151 設置面
152 真空吸引路
153 真空吸引口
154 裏面
160 接触部
161 接触面
162 真空溝(空隙)
163 外枠接触部
164 内側接触部
210 成形型
211 凹部
212 樹脂供給路
213 空気供給路
214 空気供給口
220 樹脂成形品
221 露出面
222 縁部
T 接触部の厚さ
W 真空溝の幅

Claims (7)

  1. 成形型内で成形されて、当該成形型から露出した露出面を有する樹脂成形品を、前記成形型から取り出す樹脂成形品取出装置であって、
    前記成形型に対して相対的に移動可能に設けられるとともに、前記樹脂成形品に接触する成形品保持部と、
    前記成形品保持部に接触した前記樹脂成形品を吸引する吸引部とを備え、
    前記成形品保持部は、前記露出面に接触する接触部と、前記露出面に接触しない非接触部としての空隙とを備え、
    前記接触部は、前記樹脂成形品の前記露出面に対して前記露出面の30%以上の面積で接触する接触面を有し
    前記吸引部は、前記空隙を介して前記樹脂成形品を吸引する、樹脂成形品取出装置。
  2. 前記樹脂成形品が板状成形品である請求項1記載の樹脂成形品取出装置。
  3. 前記樹脂成形品が光学部材である請求項1又は2記載の樹脂成形品取出装置。
  4. 前記樹脂成形品が射出成形法により製造されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置。
  5. 前記接触面と前記露出面とが接触した状態において前記樹脂成形品の温度を調整する温度制御部を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置によって前記樹脂成形品を前記成形型から取り出す樹脂成形品取出方法であって、
    前記成形品保持部と前記成形型とを接近させて前記接触面を前記樹脂成形品の前記露出面に接触させる工程と、
    前記吸引部により前記空隙を介して前記樹脂成形品を前記成形品保持部に保持させる工程と、
    前記成形品保持部と前記成形型とを離間させて前記成形型から前記樹脂成形品を取り出す工程と、
    前記成形品保持部で前記樹脂成形品を保持した状態を維持して、前記樹脂成形品の形状を前記接触面の形状に合わせて変形させる工程とを有する、樹脂成形品取出方法。
  7. 樹脂成形品の製造方法であって、
    成形型を用いて射出成形により樹脂成形品を成形するステップと、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂成形品取出装置によって前記樹脂成形品を前記成形型から取り出す樹脂成形品取出ステップと、を備え、
    前記樹脂成形品取出ステップは、
    前記成形品保持部と前記成形型とを接近させて前記接触面を前記樹脂成形品の前記露出面に接触させる工程と、
    前記吸引部により前記空隙を介して前記樹脂成形品を前記成形品保持部に保持させる工程と、
    前記成形品保持部と前記成形型とを離間させて前記成形型から前記樹脂成形品を取り出す工程と、
    前記成形品保持部で前記樹脂成形品を保持した状態を維持して、前記樹脂成形品の形状を前記接触面の形状に合わせて変形させる工程とを有する、樹脂成形品の製造方法。
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