JP2011073193A - 平版印刷用湿し水組成物及びヒートセットオフ輪印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブランケットパイリングを改良することのできる湿し水組成物であって、かつ経時でのpH低下が抑制されており、及び含まれている着色剤による着色が安定で消色せず、安定した性能を発揮することができる湿し水組成物を提供する。
【解決手段】2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物、並びに、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。
【選択図】なし
【解決手段】2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物、並びに、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、平版印刷用湿し水組成物に関し、さらに具体的にはオフセット印刷方法に、特にヒートセットオフ輪印刷方法に好ましく使用される、平版印刷用湿し水組成物に関する。
平版印刷は水と油が本質的に混じり合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反撥する領域と、水を反撥し油性インキを受容する領域から成り、前者が非画像領域であり、後者が画像領域である。湿し水によって、非画像領域を湿潤させて画像領域と非画像領域との界面化学的な差を拡大して、非画像領域のインキ反撥性と画像領域のインキ受容性とを増大させることがなされる。
平版印刷機は通常、オフセット印刷方式になっており、版上にインキと湿し水が供給され、画像部にインキが付着し、非画像部に湿し水が付着することによって画像が形成され、その版上の画像がブランケットに転移し、更にブランケットから紙に転移することによって印刷されている。このとき、長時間連続印刷を行うと、インキ成分と紙成分がブランケット上の非画像部分に次第に堆積するという所謂“ブランケットパイリング”の問題が発生する。特に、平版オフセット輪転(オフ輪)印刷は、長時間連続運転が可能であり生産性が高いことが特徴であるが、このブランケットパイリングが発生し易く大きな問題であった。
平版印刷機は通常、オフセット印刷方式になっており、版上にインキと湿し水が供給され、画像部にインキが付着し、非画像部に湿し水が付着することによって画像が形成され、その版上の画像がブランケットに転移し、更にブランケットから紙に転移することによって印刷されている。このとき、長時間連続印刷を行うと、インキ成分と紙成分がブランケット上の非画像部分に次第に堆積するという所謂“ブランケットパイリング”の問題が発生する。特に、平版オフセット輪転(オフ輪)印刷は、長時間連続運転が可能であり生産性が高いことが特徴であるが、このブランケットパイリングが発生し易く大きな問題であった。
ブランケットパイリングは、特に回転の後ろ側(くわえ尻側)に画像部のインキが押し出されるようにして堆積しやすく、その堆積物がブランケットから紙へのインキ転移を阻害しインキの着肉不良の原因となる。この堆積物を除去するには、印刷を停止してブランケットを清掃しなければならず、損紙の増大、生産性の低下が非常に大きく、改良が望まれていた。
ブランケットパイリングを改良する技術として、特定のジオール系非環状炭化水素化合物を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献1及び2に、特定のシクロアルカン誘導体を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献3に、特定のトリオール非環状炭化水素化合物を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献4にそれぞれ開示されている。これら技術は、それぞれブランケットパイリングを改良する効果は顕著に見られるものの、経時でpH低下が起こり、及び液を着色するために添加した着色剤の分解が起こることから、これらの問題点の改良が望まれていた。液を着色する目的は、湿し水容器中の湿し水原液の残液量を外から確認し易くすることであるため、消色すると残液量の確認がし難くなる。
ブランケットパイリングを改良する技術として、特定のジオール系非環状炭化水素化合物を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献1及び2に、特定のシクロアルカン誘導体を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献3に、特定のトリオール非環状炭化水素化合物を含有する平版印刷用湿し水組成物が特許文献4にそれぞれ開示されている。これら技術は、それぞれブランケットパイリングを改良する効果は顕著に見られるものの、経時でpH低下が起こり、及び液を着色するために添加した着色剤の分解が起こることから、これらの問題点の改良が望まれていた。液を着色する目的は、湿し水容器中の湿し水原液の残液量を外から確認し易くすることであるため、消色すると残液量の確認がし難くなる。
本発明の目的は、ブランケットパイリングを改良することのできる湿し水組成物であって、かつ経時でのpH低下が抑制されており、及び着色剤による着色が安定で消色せず、安定した性能を発揮することができる湿し水組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、湿し水組成物を調製するに当たり、酸化防止能を有する化合物である酸化防止剤を添加しておくことにより、該組成物の経時でのpH低下が抑制され、及び任意に添加する着色剤の分解反応が抑制されることを見出した。特に、上記酸化防止剤を、特定のジオール系化合物を用いる湿し水組成物に添加することによって、経時でのpH低下が顕著に抑制され、及び着色剤による着色が安定しており消色が抑えられるとともに、ブランケットパイリングの発生を抑制する作用も十分に発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って本発明は、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物、並びに、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物である。
本発明の実施態様として、下記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種をさらに含有する、上記の平版印刷用湿し水組成物がある。
R1−O−(CH2CHR2O)m−H (III)
(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
従って本発明は、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物、並びに、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物である。
本発明の実施態様として、下記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種をさらに含有する、上記の平版印刷用湿し水組成物がある。
R1−O−(CH2CHR2O)m−H (III)
(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
上記酸化防止剤の例として、メルカプト基含有化合物、チオエーテル基含有化合物、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール骨格を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが挙げられる。
該酸化防止剤の一具体例として、オルト位の少なくとも一つがtert−ブチル基で置換されているフェノール構造を有する化合物が挙げられ、更なる具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが挙げられる。
本発明はまた、湿し水濃縮組成物の形態である、上記の平版印刷用湿し水組成物に向けられている。
本発明はまた、上記の平版印刷用湿し水濃縮組成物を水で10〜200倍に希釈した湿し水組成物を使用して印刷することを特徴とするヒートセットオフ輪印刷方法に向けられている。
該酸化防止剤の一具体例として、オルト位の少なくとも一つがtert−ブチル基で置換されているフェノール構造を有する化合物が挙げられ、更なる具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが挙げられる。
本発明はまた、湿し水濃縮組成物の形態である、上記の平版印刷用湿し水組成物に向けられている。
本発明はまた、上記の平版印刷用湿し水濃縮組成物を水で10〜200倍に希釈した湿し水組成物を使用して印刷することを特徴とするヒートセットオフ輪印刷方法に向けられている。
本発明の湿し水組成物によれば、経時でのpH低下が抑制されていて、及び着色剤による着色が安定しており消色が抑制されているので、経時での性能変化が極めて少なく安定した印刷性能を発揮することができる。本発明の湿し水組成物はまた、着色剤による着色が安定していることから、経時にかかわらず湿し水容器中の湿し水の残液量を外から確認しやすく、たいへん使い易いものである。
経時によるpH低下や消色の問題は、先ず、湿し水組成物が湿し水濃縮組成物の状態で経時するときに問題となり、本発明によれば、湿し水濃縮組成物を保管するとき、或いは印刷システムに装備して時間が経過しても、pH低下、及び着色の劣化が抑制されているので、性能を維持することができる。
本発明の湿し水組成物によればまた、ブランケットパイリングの発生を抑制し、長時間連続印刷しても良好な印刷品質を安定して得られる。
経時によるpH低下や消色の問題は、先ず、湿し水組成物が湿し水濃縮組成物の状態で経時するときに問題となり、本発明によれば、湿し水濃縮組成物を保管するとき、或いは印刷システムに装備して時間が経過しても、pH低下、及び着色の劣化が抑制されているので、性能を維持することができる。
本発明の湿し水組成物によればまた、ブランケットパイリングの発生を抑制し、長時間連続印刷しても良好な印刷品質を安定して得られる。
以下に本発明を詳細に説明する。
〔酸化防止剤〕
本発明の平版印刷用湿し水組成物に含める酸化防止剤としては、例えばメルカプト基を含有する化合物、チオエーテル基を含有する化合物のような含硫黄化合物、ヒンダードアミン、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン構造を有する化合物、クロマン構造を有する化合物、クマラン構造を有する化合物、スピロインダン構造を有する化合物などがある。また、特開昭61−159644号公報記載の化合物、ヒドロキサム酸〔特開平8−76311号公報に記載されているA−I〜A−Vなど〕、及びエポキシ基を有する化合物なども有効である。
本発明の湿し水組成物に含める酸化防止剤として、特に、メルカプト基含有化合物、チオエーテル基含有化合物、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール骨格を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用できる。
〔酸化防止剤〕
本発明の平版印刷用湿し水組成物に含める酸化防止剤としては、例えばメルカプト基を含有する化合物、チオエーテル基を含有する化合物のような含硫黄化合物、ヒンダードアミン、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン構造を有する化合物、クロマン構造を有する化合物、クマラン構造を有する化合物、スピロインダン構造を有する化合物などがある。また、特開昭61−159644号公報記載の化合物、ヒドロキサム酸〔特開平8−76311号公報に記載されているA−I〜A−Vなど〕、及びエポキシ基を有する化合物なども有効である。
本発明の湿し水組成物に含める酸化防止剤として、特に、メルカプト基含有化合物、チオエーテル基含有化合物、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール骨格を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用できる。
メルカプト基含有化合物としては、メルカプトイミダゾール系化合物などを挙げることができ、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール等が挙げられる。
チオエーテル基含有化合物としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオ−ジプロピオン酸エステル、ジステアリル3,3’−チオ−ジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリチルテトラキス−〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、チオジプロピオン酸、フェニルチオ酢酸、等が挙げられる。
亜リン酸エステル構造を有する化合物とは、亜リン酸の水素が炭化水素基で置換された亜リン酸エステル化合物を意味する。このような亜リン酸エステル類としては、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜リン酸フェニルイソデシル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリ−n−プロピル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸ジステアリル、亜リン酸ジブチル等が挙げられる。
チオエーテル基含有化合物としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオ−ジプロピオン酸エステル、ジステアリル3,3’−チオ−ジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリチルテトラキス−〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、チオジプロピオン酸、フェニルチオ酢酸、等が挙げられる。
亜リン酸エステル構造を有する化合物とは、亜リン酸の水素が炭化水素基で置換された亜リン酸エステル化合物を意味する。このような亜リン酸エステル類としては、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜リン酸フェニルイソデシル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリ−n−プロピル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸ジステアリル、亜リン酸ジブチル等が挙げられる。
ヒンダードアミン化合物としては、2,6位をテトラアルキル置換したピペリジン構造を有する化合物が好ましく、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ](例えば商品名 CYASORB UV−3346 サンケミカル株式会社製)などが挙げられる。その他、ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等が挙げられる。
ヒンダードフェノール骨格を有する化合物として、特に、フェノールのオルト位の少なくとも一つが炭素原子数が3以上のアルキル基で置換されているヒンダードフェノール化合物が好ましく用いられる。その中でも、フェノールのオルト位の少なくとも一つがt-ブチル基で置換された化合物が好ましく、具体的にはフェノールの2位および6位がともにt-ブチル基で置換された化合物が好ましい。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メチレン−3−(3,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4'−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,6−ブチル−4−ノニルフェノール、2,6−ジブチル−4−フェニルフェノールなどが挙げられる。
本発明で使用する酸化防止剤として、酸化防止剤について記述のある、例えばシーエムシー社出版の「高分子添加剤の市場動向」(1993年8月31日)の102頁から119頁から、適当な化合物を選ぶこともできる。
本発明の平版印刷用湿し水組成物において、酸化防止剤の好ましい添加量は、湿し水とするために希釈する前の湿し水濃縮組成物の全量に対し、1〜5000ppmが好ましく、10〜3000ppmがより好ましい。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、本発明が目的とする効果が十分に発揮されず、一方多過ぎると析出などが発生し好ましくない。
本発明の平版印刷用湿し水組成物において、酸化防止剤の好ましい添加量は、湿し水とするために希釈する前の湿し水濃縮組成物の全量に対し、1〜5000ppmが好ましく、10〜3000ppmがより好ましい。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、本発明が目的とする効果が十分に発揮されず、一方多過ぎると析出などが発生し好ましくない。
本発明の湿し水組成物には、さらに特定のジオール系化合物を含める。
〔特定のジオール系化合物〕
本発明の湿し水組成物には、ブランケットパイリングを抑制する目的で特定のジオール系化合物、すなわち2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を添加する。特に、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールにより、本発明が目的とする効果が最も顕著に見られる。
〔特定のジオール系化合物〕
本発明の湿し水組成物には、ブランケットパイリングを抑制する目的で特定のジオール系化合物、すなわち2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を添加する。特に、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールにより、本発明が目的とする効果が最も顕著に見られる。
本発明においてジオール系化合物の添加量は、使用時の湿し水組成物の全量に対して、0.001〜2.0質量%が適当であり、好ましくは0.01〜1.0質量%であり、より好ましくは0.05〜0.7質量%、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。
ジオール系化合物の添加量が少なすぎると、本発明が目的とするブランケットパイリング抑制効果が十分に得られない。一方添加量が多すぎると溶解不良が起こり易くなり、濃縮液を作成し、それを希釈して使用液を作成する際に、難水溶性化合物の析出が発生し易くなり、均一で安定な使用液が得られ難くなる。
ジオール系化合物の添加量が少なすぎると、本発明が目的とするブランケットパイリング抑制効果が十分に得られない。一方添加量が多すぎると溶解不良が起こり易くなり、濃縮液を作成し、それを希釈して使用液を作成する際に、難水溶性化合物の析出が発生し易くなり、均一で安定な使用液が得られ難くなる。
本発明の湿し水組成物において、該ジオール系化合物を1種単独又は2種以上含めてもよい。本発明の湿し水組成物の例として、該ジオール系化合物を2種以上含み、該ジオール系化合物の総質量において、2-ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが1質量%以上を占める湿し水組成物がある。好ましくは2-ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの占める割合が該ジオール系化合物の総質量の3質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。該ジオール系化合物を2種以上含む湿し水組成物において、2-ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールと併用するジオール系化合物として、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが特に挙げられる。
本発明の湿し水組成物にはさらに、以下の化合物を含めてもよい。
〔ベンゼンスルホン酸骨格を有する化合物及びベンゼンカルボン酸骨格を有する化合物〕
上記ジオール系化合物を使用するにあたり、該ジオール系化合物に由来する析出を抑制することを目的として、さらに以下の一般式(I)で示されるベンゼンスルホン酸骨格を有する化合物、及び一般式(II)で表されるベンゼンカルボン酸骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含めることができる。それら化合物について以下に詳細に説明する。
(式中、R3〜R5は各々独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、メルカプト基、−SO3M1または−COOM1を示す。M1は水素原子、アルカリ金属、又はNH4を示す。)
R3〜R5は好ましくは、水素原子、メチル基またはエチル基である。一般式(I)で示される化合物及び一般式(II)で示される化合物うち、一般式(I)で示される化合物がより好ましく使用される。
〔ベンゼンスルホン酸骨格を有する化合物及びベンゼンカルボン酸骨格を有する化合物〕
上記ジオール系化合物を使用するにあたり、該ジオール系化合物に由来する析出を抑制することを目的として、さらに以下の一般式(I)で示されるベンゼンスルホン酸骨格を有する化合物、及び一般式(II)で表されるベンゼンカルボン酸骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含めることができる。それら化合物について以下に詳細に説明する。
R3〜R5は好ましくは、水素原子、メチル基またはエチル基である。一般式(I)で示される化合物及び一般式(II)で示される化合物うち、一般式(I)で示される化合物がより好ましく使用される。
本発明に用いられる一般式(I)又は(II)で示される化合物の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−キシレンスルホン酸、2,4,6-トリメチルスルホン酸、4−エチル−ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、o−クレゾールスルホン酸、m−クレゾールスルホン酸、1,4‐ベンゼンジスルホン酸、2,5‐ジメチル‐1,3‐ベンゼンジスルホン酸、2,5‐ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4‐(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、p−トルエンカルボン酸、m−キシレンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、イソフタリルスルホン酸、没食子酸、チオサリチル酸、スルホサリチル酸、4−クロロ安息香酸、2,4,5‐トリクロロ安息香酸、2,3,6‐トリクロロ安息香酸、4‐メチルサリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,4,6‐トリメチル安息香酸、2,4,6‐トリヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。又、これらのアルカリ金属塩(Na、K、Li塩)、アンモニウム塩、等が挙げられる。中でも、より好ましくはp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、m−キシレンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸ナトリウム、m−キシレンスルホン酸カリウムであり、特に好ましくはm−キシレンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸ナトリウム、m−キシレンスルホン酸カリウムである。
一般式(I)又は(II)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の量は、使用時の湿し水組成物において上記ジオール系化合物の量に対し、0.01〜10質量倍が適当であり、好ましくは0.1〜5質量倍、より好ましくは0.3〜2質量倍である。
湿し水濃縮組成物を作成するときにおいても、一般式(I)又は(II)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の添加量は、上記ジオール系化合物の含有量に対して、0.01〜10質量倍が適当であり、好ましくは0.1〜5質量倍、より好ましくは0.3〜2質量倍である。湿し水濃縮組成物において、この比率にあることで、該湿し水濃縮組成物を希釈して使用液を作成する際に懸念される該ジオール系化合物に由来する析出を抑制して、均一で組成が安定した希釈液、すなわち湿し水を得ることが容易となる。
湿し水濃縮組成物を作成するときにおいても、一般式(I)又は(II)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の添加量は、上記ジオール系化合物の含有量に対して、0.01〜10質量倍が適当であり、好ましくは0.1〜5質量倍、より好ましくは0.3〜2質量倍である。湿し水濃縮組成物において、この比率にあることで、該湿し水濃縮組成物を希釈して使用液を作成する際に懸念される該ジオール系化合物に由来する析出を抑制して、均一で組成が安定した希釈液、すなわち湿し水を得ることが容易となる。
〔アルキレングリコールモノエーテル系化合物〕
本発明の湿し水組成物にはまた、以下の一般式(III)で示される化合物を含ませることができる。
R1-O−(CH2CHR2O)m−H (III)
(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
一般式(III)の化合物において具体的には、式中、R1は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などがある。ジオール系化合物の溶解性を高め、かつブランケットパイリングを抑制する観点から、R1はn−ブチル基、イソブチル基あるいはt−ブチル基が特に好ましく、イソブチル基が最も好ましい。また、mは1〜3の整数を表し、1、2がより好ましく、1が最も好ましい。
本発明の湿し水組成物にはまた、以下の一般式(III)で示される化合物を含ませることができる。
R1-O−(CH2CHR2O)m−H (III)
(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
一般式(III)の化合物において具体的には、式中、R1は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などがある。ジオール系化合物の溶解性を高め、かつブランケットパイリングを抑制する観点から、R1はn−ブチル基、イソブチル基あるいはt−ブチル基が特に好ましく、イソブチル基が最も好ましい。また、mは1〜3の整数を表し、1、2がより好ましく、1が最も好ましい。
一般式(III)で示される化合物の具体例は、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
これらの化合物を1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
これらの化合物を1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
中でも、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルがより好ましく、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルが特に好ましく、エチレングリコールモノイソブチルエーテルが最も好ましく使用できる。一般式(III)で示される化合物の添加量は、使用時の湿し水組成物の全質量に対して0.05〜5.0質量%が適当であり、この範囲にあると、ブランケットパイリングを抑制する効果が十分であるとともにローラストリップ又は印刷版の耐刷不良等の問題が起こらず適当である。該添加量は、より好ましくは0.1〜3.0質量%である。
[エチレンジアミンまたはジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明の湿し水組成物にはさらに、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物、及びジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることができる。これらの化合物は、一般に湿し水に使用されるイソプロパノールの代替化合物として使用することができる。
以下にこれらの化合物を説明する。
[エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜20000のものであり、好ましくは500〜5000、より好ましくは800〜1500であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。
本発明の湿し水組成物にはさらに、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物、及びジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることができる。これらの化合物は、一般に湿し水に使用されるイソプロパノールの代替化合物として使用することができる。
以下にこれらの化合物を説明する。
[エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜20000のものであり、好ましくは500〜5000、より好ましくは800〜1500であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。
該化合物においてエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができ、例えばエチレンジアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させる。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができ、例えばエチレンジアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させる。
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、具体的に下記の式(IV)にて示される。
(式中、A及びBはそれぞれ独立に−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、A及びBは互いに異なる基であって、a〜hは各々0〜50の整数を表し、但しa、c、e及びgのうち少なくとも一つは1以上であり、及びb、d、f及びhのうち少なくとも一つは1以上である。a〜hは化合物全体の分子量が500〜20000となるような値である。なお、各共重合鎖はブロック構造でも、ランダム構造でもよい。)
該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
式(IV)の内、より好ましくは下記の式(IV′)にて示される。
(式中、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ、0〜50の整数を表し、但しa、c、e及びgのうち少なくとも一つは1以上であり、及びb、d、f及びhのうち少なくとも一つは1以上である。)
上記式(IV′)で表される化合物は、その重量平均分子量が500〜20000の範囲が適当であり、好ましくは重量平均分子量が500〜5000のものであり、さらに好ましくは800〜1500である。a〜hは化合物全体の分子量が500〜20000となるような値であるが、1〜10が好ましく、2〜4が特に好ましい。
このような化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能であるが、ブランケットパイリングや水棒汚れを悪化させる傾向にある。本発明で使用するジオール系化合物と併用することにより、ブランケットパイリング及び水棒汚れを悪化させること無くイソプロピルアルコールを代替することが可能となる。
該化合物においてエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
このような化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能であるが、ブランケットパイリングや水棒汚れを悪化させる傾向にある。本発明で使用するジオール系化合物と併用することにより、ブランケットパイリング及び水棒汚れを悪化させること無くイソプロピルアルコールを代替することが可能となる。
該化合物においてエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
[ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜3000の範囲が適当であり、好ましくは800〜2000であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。このような分子量を有する上記化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能である。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜3000の範囲が適当であり、好ましくは800〜2000であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。このような分子量を有する上記化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能である。
該化合物においてエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができる。例えばジエチレントリアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドを反応させて、製造することができる。また、具体的にジエチレントリアミンをアセトニトリルとともに、氷水浴で冷却しながら、プロピレンオキサイドをそこへ滴下し反応させ、その後、更にエチレンオキサイドを滴下し反応させ、この混合物からろ過して析出物を取り出し、そこからジエチレントリアミンのプロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物を得ることができる。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができる。例えばジエチレントリアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドを反応させて、製造することができる。また、具体的にジエチレントリアミンをアセトニトリルとともに、氷水浴で冷却しながら、プロピレンオキサイドをそこへ滴下し反応させ、その後、更にエチレンオキサイドを滴下し反応させ、この混合物からろ過して析出物を取り出し、そこからジエチレントリアミンのプロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物を得ることができる。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加した化合物は、具体的に下記の式(V)にて示される。
(式中、A及びBはそれぞれ独立に−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、A及びBは互いに異なる基であって、a〜jは各々1以上の整数を表す。各共重合鎖はブロック構造でも、ランダム構造でもよい。)
式中、a〜jは化合物全体の分子量が500〜3000となるような値であることが適当であり、1〜6が好ましく、2〜3が特に好ましい。
なお、該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
式中、a〜jは化合物全体の分子量が500〜3000となるような値であることが適当であり、1〜6が好ましく、2〜3が特に好ましい。
なお、該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
上記化合物を使用時の湿し水組成物において0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%含有させることによって、イソプロピルアルコールを代替しても、良好な印刷適性を発揮する。また、該湿し水を適用した後、印刷停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮された状態になっても、版の画像領域を侵すことがない。しかしながら、上記化合物はブランケットパイリングや水棒汚れを悪化させる傾向にあり、本発明で使用するジオール系化合物と併用することにより、ブランケットパイリング及び水棒汚れを悪化させること無くイソプロピルアルコールを代替することが可能となる。
〔その他の添加物〕
本発明の湿し水組成物のその他の成分としては、以下のものを含ませることができる。
(a)濡れ性向上の助剤
(b)水溶性高分子化合物
(c)pH調整剤
(d)キレート化剤
(e)臭気マスキング剤
(f)((f-i)防腐剤、(f-ii)着色剤、(f-iii)防錆剤、(f-iv)消泡剤など)
本発明の湿し水組成物のその他の成分としては、以下のものを含ませることができる。
(a)濡れ性向上の助剤
(b)水溶性高分子化合物
(c)pH調整剤
(d)キレート化剤
(e)臭気マスキング剤
(f)((f-i)防腐剤、(f-ii)着色剤、(f-iii)防錆剤、(f-iv)消泡剤など)
〔(a)濡れ性向上の助剤〕
(a)濡れ性向上の助剤として、界面活性剤や他の溶剤を使用することができる。界面活性剤のうち、例えばアニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
(a)濡れ性向上の助剤として、界面活性剤や他の溶剤を使用することができる。界面活性剤のうち、例えばアニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
非イオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又はフッ素誘導体等の界面活性剤も挙げられる。界面活性剤を使用する場合、その含有量は発泡の点を考慮すると、使用時の湿し水組成物において1.0質量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%が適当である。また、2種以上併用することもできる。
また、その他の助剤あるいは湿潤溶剤として、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン等を用いることができる。これらの溶剤は単独でもよいが、2種以上併用してもよい。一般にこれらの溶剤は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.1〜3質量%の範囲で使用するのが適当で、好ましくは0.3〜2質量%である。
別の助剤として、下記一般式(VI)で示されるピロリドン誘導体を使用することができる。
(式中、R4は炭素原子数2〜12のアルキル基を表す。)
上記ピロリドン誘導体の具体例として、エチルピロリドン、ブチルピロリドン、ペンタピロリドン、ヘキサピロリドン、オクチルピロリドン、ラウリルピロリドンなどが挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。これらの化合物の中で、式中R4が炭素原子数6以上のアルキル基であるものが好ましく、オクチルピロリドンが特に好ましい。上記一般式(VI)で示される化合物は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.0001〜1.0質量%で用いられるのが適当であり、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。
上記ピロリドン誘導体の具体例として、エチルピロリドン、ブチルピロリドン、ペンタピロリドン、ヘキサピロリドン、オクチルピロリドン、ラウリルピロリドンなどが挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。これらの化合物の中で、式中R4が炭素原子数6以上のアルキル基であるものが好ましく、オクチルピロリドンが特に好ましい。上記一般式(VI)で示される化合物は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.0001〜1.0質量%で用いられるのが適当であり、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。
本発明の湿し水組成物にはまた、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、及びそれらの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含めてもよい。これらの具体的な化合物として、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、及びそれらの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物などが挙げられる。中でも3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールの酸化エチレンが4〜10個付加した化合物が好ましく挙げられる。これらの化合物の添加量は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.0001〜1.0質量%が適当であり、好ましくは0.001〜0.1質量%である。
本発明の湿し水組成物にはまた、動的表面張力の調節、可溶化、又は印刷インキの混入率(乳化率)を適度な範囲に抑えるなどのために、必要に応じて下記の化合物を添加することができる:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物、グリセリンの酸化プロピレン付加物、ソルビトールの酸化プロピレン付加物、テトラヒドロフルフリルアルコールなど。
これらの中で、動的表面張力補助剤として好ましいのが2−エチル−1,3−ヘキサンジオールであり、また可溶化剤としてテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。インキ乳化制御剤としては2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン付加物、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物などを好適に使用することができる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。これらの化合物は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.01〜7質量%で用いられるのが適当であり、より好ましくは0.05〜5質量%である。
これらの中で、動的表面張力補助剤として好ましいのが2−エチル−1,3−ヘキサンジオールであり、また可溶化剤としてテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。インキ乳化制御剤としては2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン付加物、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物などを好適に使用することができる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。これらの化合物は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.01〜7質量%で用いられるのが適当であり、より好ましくは0.05〜5質量%である。
〔(b)水溶性高分子化合物〕
本発明の湿し水組成物に使用する(b)水溶性高分子化合物としては、例えばアラビアガム、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)等の天然物及びその変性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成物が挙げられる。水溶性高分子化合物の含有量は、使用時の湿し水組成物に対して0.0001〜0.1質量%が適しており、より好ましくは、0.0005〜0.05質量%である。
本発明の湿し水組成物に使用する(b)水溶性高分子化合物としては、例えばアラビアガム、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)等の天然物及びその変性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成物が挙げられる。水溶性高分子化合物の含有量は、使用時の湿し水組成物に対して0.0001〜0.1質量%が適しており、より好ましくは、0.0005〜0.05質量%である。
本発明では、上記水溶性高分子化合物の中でも、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましく使用できる。湿し水組成物に含有させるポリビニルピロリドンは、ビニルピロリドンのホモポリマーを意味する。ポリビニルピロリドンは分子量200〜3,000,000のものが適当であり、好ましくは300〜500,000、より好ましくは300〜100,000のものである。特に好ましくは300〜30,000のものである。
これらポリビニルピロリドンは1種単独でも、又は分子量の異なるものを2種以上組み合わせて使用することもできる。また、低分子量のポリビニルピロリドン、例えば重合度3〜5のビニルピロリドンオリゴマーと組み合わせることができる。
このようなポリビニルピロリドンとしては、市販品を使用することができる。例えば、ISP社製のK−15、K−30、K−60、K−90、K−120などの各種グレートのものを使用することができる。
使用時の湿し水組成物におけるポリビニルピロリドンの含有量は、0.001〜0.3質量%が適当であり、好ましくは0.005〜0.2質量%である。
これらポリビニルピロリドンは1種単独でも、又は分子量の異なるものを2種以上組み合わせて使用することもできる。また、低分子量のポリビニルピロリドン、例えば重合度3〜5のビニルピロリドンオリゴマーと組み合わせることができる。
このようなポリビニルピロリドンとしては、市販品を使用することができる。例えば、ISP社製のK−15、K−30、K−60、K−90、K−120などの各種グレートのものを使用することができる。
使用時の湿し水組成物におけるポリビニルピロリドンの含有量は、0.001〜0.3質量%が適当であり、好ましくは0.005〜0.2質量%である。
本発明の湿し水組成物にはまた、糖類から選ばれる少なくとも1種を含ませることが好ましい。使用する糖類としては、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類などから選択することができ、水素添加によって得られる糖アルコールもこれに含まれる。具体例としてD−エリトロース、D−スレオース、D−アラビノース、D−リボース、D−キシロース、D−エリスロ−ペンテュロース、D−アルロース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−マンノース、D−タロース、β−D−フラクトース、α−L−ソルボース、6−デオキシ−D−グルコース、D−グリセロ−D−ガラクトース、α−D−アルロ−ヘプチュロース、β−D−アルトロ−3−ヘプチュロース、サッカロース、ラクトース、D−マルトース、イソマルトース、イヌロビオース、ヒアルビオウロン、マルトトリオース、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシット、マルチトール、還元水あめなどが挙げられる。これらの糖類は1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
使用時の湿し水組成物において、糖類から選ばれる少なくとも1種の含有量は0.01〜1質量%が適当であり、好ましくは0.1〜0.8質量%である。
使用時の湿し水組成物において、糖類から選ばれる少なくとも1種の含有量は0.01〜1質量%が適当であり、好ましくは0.1〜0.8質量%である。
〔(c)pH調整剤〕
本発明の湿し水組成物に用いられる(c)pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整あるいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。これらpH調整剤の本発明の湿し水組成物への添加量は0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、湿し水組成物のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜11のアルカリ性領域で用いることもできる。
本発明の湿し水組成物に用いられる(c)pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整あるいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。これらpH調整剤の本発明の湿し水組成物への添加量は0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、湿し水組成物のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜11のアルカリ性領域で用いることもできる。
〔(d)キレート化剤〕
本発明の湿し水組成物には、さらに、(d)キレート化剤を添加することができる。湿し水組成物は、使用時に通常濃縮液を水道水、井戸水などを加えて希釈して調製されるが、この際、希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもある。このような場合、キレート化剤を添加することにより、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化剤としては例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記のキレート化剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代わりに、有機アミンの塩も有効である。これらのキレート化剤は使用時の湿し水組成物中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。使用時の湿し水組成物中のキレート化合物の含有量としては、0.001〜0.5質量%が適当で、好ましくは0.002〜0.25質量%である。
本発明の湿し水組成物には、さらに、(d)キレート化剤を添加することができる。湿し水組成物は、使用時に通常濃縮液を水道水、井戸水などを加えて希釈して調製されるが、この際、希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもある。このような場合、キレート化剤を添加することにより、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化剤としては例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記のキレート化剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代わりに、有機アミンの塩も有効である。これらのキレート化剤は使用時の湿し水組成物中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。使用時の湿し水組成物中のキレート化合物の含有量としては、0.001〜0.5質量%が適当で、好ましくは0.002〜0.25質量%である。
〔(e)臭気マスキング剤〕
(e)臭気マスキング剤としては、従来香料としての用途が知られているエステルを含む。例えば下記一般式(VII)で示されるものがある。
R2−COOR3 (VII)
一般式(VII)の化合物において、式中R2は炭素原子数1〜15のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基である。アルキル基又はアルケニル基の場合、その炭素原子数は好ましくは4〜8である。R2がアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す場合、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルケニル基は特に二重結合を1個有するものが適当である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。なお、R2で示されるアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基の1以上の水素原子が、水酸基又はアセチル基で置換されていてもよい。R3は炭素原子数3〜10のアルキル基、アラルキル基又はフェニル基であって、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の場合、その炭素原子数は好ましくは3個から9個である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。
(e)臭気マスキング剤としては、従来香料としての用途が知られているエステルを含む。例えば下記一般式(VII)で示されるものがある。
R2−COOR3 (VII)
一般式(VII)の化合物において、式中R2は炭素原子数1〜15のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基である。アルキル基又はアルケニル基の場合、その炭素原子数は好ましくは4〜8である。R2がアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す場合、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルケニル基は特に二重結合を1個有するものが適当である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。なお、R2で示されるアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基の1以上の水素原子が、水酸基又はアセチル基で置換されていてもよい。R3は炭素原子数3〜10のアルキル基、アラルキル基又はフェニル基であって、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の場合、その炭素原子数は好ましくは3個から9個である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。
使用できる(e)臭気マスキング剤として具体的に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル吉草酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、4−メチルペンタン酸(イソヘキサン酸)、2−ヘキセン酸、4−ペンテン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、2−デセン酸、ラウリン酸又はミリスチン酸のエステルが挙げられる。その他、フェニル酢酸ベンジル、アセト酢酸エチルやアセト酢酸2−ヘキシルといったアセト酢酸エステル等もある。中でも好ましいものとして、酢酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、酪酸n−ブチル、酪酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチルが挙げられ、特に酪酸n−ブチル、酪酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチルが好適である。これらの酸エステル類の湿し水組成物における含有量は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.0001〜10質量%が適当で、より好ましくは0.001〜1質量%である。これらを使用することにより、作業環境をより改善することができる。また。バニリン、エチルバニリン等とを併用してもよい。
本発明の湿し水組成物に使用する(f-i)防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグアニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロアルコール系のブロモニトロプロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン−2,4−ジオール等が挙げられる。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の湿し水組成物に対し、0.001〜1.0質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
本発明に使用する(f-ii)着色剤としては、食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCINo. 19140、15985、赤色色素としてはCINo. 16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo. 42640、青色色素としてはCINo. 42090、73015、緑色色素としてはCINo. 42095、等が挙げられる。
(f-iii)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本発明に使用できる。
(f-iv)消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。
(f-iii)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本発明に使用できる。
(f-iv)消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。
本発明の湿し水組成物の成分として残余は、水である。湿し水組成物は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。このような濃縮液(濃縮組成物)を適宜希釈して、使用時の湿し水組成物を作成することが、輸送コスト、保管スペース、包材も含めた製造コストなどの観点から好ましい。従って、水、好ましくは脱塩水、即ち、純水を使用して、上記の各種成分を溶解した水溶液として濃縮組成物を得ることができる。希釈率は10〜200倍が好ましく、20〜150倍がより好ましく、30〜100倍が特に好ましく、希釈して上記使用時の湿し水組成物の濃度になるように濃縮液中の濃度を設定する。濃縮率は高いほどコストの観点から好ましいが、高すぎると濃縮液中での析出、液分離などの問題が発生し好ましくない。
本発明は、上記に説明してきた各種成分を含む湿し水濃縮組成物の形態である、平版印刷用湿し水組成物にも向けられている。
平版印刷用湿し水濃縮組成物の実施態様の一つとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、及び一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
平版印刷用湿し水濃縮組成物の別の実施態様として、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、上記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%、及び着色剤を0.00001〜0.001質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
平版印刷用湿し水濃縮組成物のさらに別の実施態様として、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の少なくとも1種を該ジオール系化合物に対し0.3〜2質量倍、上記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%、及び着色剤を0.00001〜0.001質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
平版印刷用湿し水濃縮組成物の実施態様の一つとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、及び一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
平版印刷用湿し水濃縮組成物の別の実施態様として、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、上記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%、及び着色剤を0.00001〜0.001質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
平版印刷用湿し水濃縮組成物のさらに別の実施態様として、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物を5〜25質量%、酸化防止剤を1〜5000ppm、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物の少なくとも1種を該ジオール系化合物に対し0.3〜2質量倍、上記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種を5〜70質量%、及び着色剤を0.00001〜0.001質量%の範囲で含有する湿し水濃縮組成物が挙げられる。
本発明の湿し水組成物は、種々の平版印刷版に対して使用することができるが、特にアルミニウム板を支持体とし、その上に感光層を有する感光性平版印刷版(予め感光性を付与した印刷板で、PS版と呼ばれる。)を画像露光及び現像して得られた平版印刷版に対して好適に使用できる。かかるPS版の好ましいものは、例えば、英国特許第 1,350,521号明細書に記されているようなジアゾ樹脂(p−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物の塩)とシエラックとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたもの、英国特許第 1,460,978号及び同第 1,505,739号の各明細書に記されているようなジアゾ樹脂とヒドロキシエチルメタクリレート単位またはヒドロキシエチルアクリレート単位を主なる繰り返し単位として有するポリマーとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたもの、また特開平2−236552号、特開平4−274429号に記載のジメチルマレイミド基を含有する感光性ポリマー系をアルミニウム板上に設けたもののようなネガ型PS版、および特開昭50−125806号公報に記載されているようなO−キノンジアジド感光物とノボラック型フェノール樹脂との混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたポジ型PS版が含まれる。またバーニング処理されたポジ型PS版にも用いることができる。
上記感光層を形成する組成物には、上記のアルカリ可溶性ノボラック樹脂以外の、アルカリ可溶性樹脂を必要に応じて配合することができる。例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、メチルメタアクリレート−メタクリル酸共重合体、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、特公昭52−28401号公報記載のアルカリ可溶性ビニル系樹脂、アルカリ可溶性ポリブチラール樹脂等を挙げることができる。更に米国特許第 4,072,528号及び同第 4,072,527号の各明細書に記されているような光重合型フォトポリマー組成物の感光層をアルミニウム板上に設けたPS版、英国特許第 1,235,281号及び同第 1,495,861号の各明細書に記されているようなアジドと水溶性ポリマーとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたPS版も好ましい。
さらに、本発明の湿し水組成物は、可視や赤外線のレーザーで直接露光するCTPプレートにも好適に使用することができる。具体例としてはフォトポリマータイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LP−NX)や、サーマルポジタイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LH−PI)、湿し水及びインキにより現像する印刷機上現像型プレート(例えば富士フイルム(株)製 ET−S)並びにサーマルネガタイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LH−NI)などが挙げられる。
さらに、本発明の湿し水組成物は、可視や赤外線のレーザーで直接露光するCTPプレートにも好適に使用することができる。具体例としてはフォトポリマータイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LP−NX)や、サーマルポジタイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LH−PI)、湿し水及びインキにより現像する印刷機上現像型プレート(例えば富士フイルム(株)製 ET−S)並びにサーマルネガタイプデジタルプレート(例えば富士フイルム(株)製LH−NI)などが挙げられる。
[実施例1〜8及び比較例1〜11]
下記の湿し水組成物の処方に従って、ジオール系化合物、及び酸化防止剤を下記表1のように種類を変更した以外は、全く同様にして、表1に示す各種湿し水濃縮液を作成した。
下記の湿し水組成物の処方に従って、ジオール系化合物、及び酸化防止剤を下記表1のように種類を変更した以外は、全く同様にして、表1に示す各種湿し水濃縮液を作成した。
湿し水組成物(濃縮液)の処方
成分 添加量
エチレングリコールモノイソブチルエーテル 200g
エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル 200g
表1のジオール系化合物 120g
m−キシレンスルホン酸ナトリウム 70g
酸化防止剤 1g
硝酸アンモニウム 30g
クエン酸 8g
ヒロドキシプロピルセルロース 5g
N−オクチルピロリドン 10g
タートラジン 0.0004g
水を加えて 1000gとする
KOH(48%)にて pH4.0
成分 添加量
エチレングリコールモノイソブチルエーテル 200g
エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル 200g
表1のジオール系化合物 120g
m−キシレンスルホン酸ナトリウム 70g
酸化防止剤 1g
硝酸アンモニウム 30g
クエン酸 8g
ヒロドキシプロピルセルロース 5g
N−オクチルピロリドン 10g
タートラジン 0.0004g
水を加えて 1000gとする
KOH(48%)にて pH4.0
各種湿し水濃縮液に対して、45℃で2週間経時させた後、以下のようにpH変動の測定、色味変化の目視評価を行った後、湿し水タンクにて2%になるように水で希釈して印刷を実施し、以下の評価を行った。印刷機は(株)小森コーポレーション製のLithron26を用いて、東洋インキ(株)のインキ:レオエックス 墨L、王子製紙(株)の微塗工紙:OKトップコート+、富士フイルム(株)の版:PN-Vにて、各20000枚印刷を行った後、以下のようにブランケットパイリングの評価を行った。
(1)pH変動
調液直後のpHと45℃で4週間経時させた後のpHを測定し、その差を求めpH変動とした。値が大きいものほどpH変動が大きく好ましくない。
pH変動=(調液直後のpH値)−(45℃で4週間経時させた後のpH値)
(2)色味変化
冷蔵庫保管サンプルと45℃で4週間経時させたサンプルを目視で比較し、以下のようにして官能評価を行った。
○ :ほとんど差が無い
△ :僅かに色が薄くなっているが問題ない
× :明らかに色が薄くなっている
××:経時でほとんど色が無くなってしまっている
(3)ブランケットパイリング評価
印刷終了後、ブランケットを取り外し、非画像部上の堆積物の高さを触針式表面粗さ計測器(サーフコーダー)にて測定し、ジオール系化合物無添加の湿し水での実験(表1の比較例1)を100としたときの相対値で評価した。値が小さいほどパイリングの高さが低く好ましいことを示す。
調液直後のpHと45℃で4週間経時させた後のpHを測定し、その差を求めpH変動とした。値が大きいものほどpH変動が大きく好ましくない。
pH変動=(調液直後のpH値)−(45℃で4週間経時させた後のpH値)
(2)色味変化
冷蔵庫保管サンプルと45℃で4週間経時させたサンプルを目視で比較し、以下のようにして官能評価を行った。
○ :ほとんど差が無い
△ :僅かに色が薄くなっているが問題ない
× :明らかに色が薄くなっている
××:経時でほとんど色が無くなってしまっている
(3)ブランケットパイリング評価
印刷終了後、ブランケットを取り外し、非画像部上の堆積物の高さを触針式表面粗さ計測器(サーフコーダー)にて測定し、ジオール系化合物無添加の湿し水での実験(表1の比較例1)を100としたときの相対値で評価した。値が小さいほどパイリングの高さが低く好ましいことを示す。
なお、表1中、記載される符号は以下の化合物を表す。
・ジオール系化合物
(1)2,4−ジエチル−1、5−ペンタンジオール
(2)2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール
(3)1、2−オクタンジオール
比較化合物(4)2−エチル−1、3−ヘキサンジオール
比較化合物(5)1,8−オクタンジオール
比較化合物(6)1、9−ノナンジオール
・酸化防止剤
(A)2,6−ジ-t-ブチル−4−メチルフェノール(BHT)
(B)2,6−ジブチル−4−フェニルフェノール
(C)トミノックスTT((株)トーメンケミカル製、テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)
(D)チオジプロピオン酸ジラウリル
(E)2-メルカプトメチルベンズイミダゾール
(F)サノールLS−770(三共ライフテック(株)製)
・ジオール系化合物
(1)2,4−ジエチル−1、5−ペンタンジオール
(2)2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール
(3)1、2−オクタンジオール
比較化合物(4)2−エチル−1、3−ヘキサンジオール
比較化合物(5)1,8−オクタンジオール
比較化合物(6)1、9−ノナンジオール
・酸化防止剤
(A)2,6−ジ-t-ブチル−4−メチルフェノール(BHT)
(B)2,6−ジブチル−4−フェニルフェノール
(C)トミノックスTT((株)トーメンケミカル製、テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)
(D)チオジプロピオン酸ジラウリル
(E)2-メルカプトメチルベンズイミダゾール
(F)サノールLS−770(三共ライフテック(株)製)
表1の結果から、本発明に従って酸化防止剤を添加することにより、経時でのpH変動、及び色味変化が著しく抑制されることが判った。また、実施例1〜3と比較例1〜4とを比べてわかるように、本発明に従ってジオール系化合物を用いることにより、ブランケットパイリングが抑制できるのみならず、経時でのpH変動もいっそう抑えられ、及び色味の変動も抑えられる。
[実施例9〜12]
実施例2の湿し水組成物の処方において、エチレングリコールモノイソブチルエーテルを下記表2のように他の有機溶剤に等質量変更した以外は、全く同様にして、表2に示す各種湿し水濃縮液を作成した。その後、上記と同様にして実験を行い、得られた結果を表2に示す。
実施例2の湿し水組成物の処方において、エチレングリコールモノイソブチルエーテルを下記表2のように他の有機溶剤に等質量変更した以外は、全く同様にして、表2に示す各種湿し水濃縮液を作成した。その後、上記と同様にして実験を行い、得られた結果を表2に示す。
表2の結果から、エチレングリコールモノイソブチルエーテルを使用することで、本発明が目的とする効果がいっそう大きくなり、好ましいことが判った。
実施例6において、印刷実験に使用したインキを以下のように変更した以外は全く同様にして印刷実験を実施し、本発明の湿し水組成物の効果を確認した。
東洋インキ(株)製 レオエックス 藍、紅、黄
東京インキ(株)製 ウエブアクタスSOY メジャー 墨、藍、紅、黄
DIC(株)製 ニューアドバン 墨、藍、紅、黄
ザ・インクテック(株)製 SOYBI VISTA 墨、藍、紅、黄
上記全てのヒートセットタイプのオフ輪用インキに対しても、実施例6と同様の結果が観察された。
本発明の湿し水組成物が使用される印刷におけるインキは、これらに限定されるものではない。本発明の湿し水組成物は、蛍光インキ、マットインキ、各種中間色のインキなどを用いた印刷にも有用である。
東洋インキ(株)製 レオエックス 藍、紅、黄
東京インキ(株)製 ウエブアクタスSOY メジャー 墨、藍、紅、黄
DIC(株)製 ニューアドバン 墨、藍、紅、黄
ザ・インクテック(株)製 SOYBI VISTA 墨、藍、紅、黄
上記全てのヒートセットタイプのオフ輪用インキに対しても、実施例6と同様の結果が観察された。
本発明の湿し水組成物が使用される印刷におけるインキは、これらに限定されるものではない。本発明の湿し水組成物は、蛍光インキ、マットインキ、各種中間色のインキなどを用いた印刷にも有用である。
Claims (7)
- 2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及び1,2−オクタンジオールから選ばれる少なくとも1種のジオール系化合物、並びに、少なくとも1種の酸化防止剤を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。
- 下記一般式(III)で表される化合物の少なくとも1種をさらに含有する、請求項1に記載の平版印刷用湿し水組成物。
R1−O−(CH2CHR2O)m−H (III)
(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。) - 該酸化防止剤がメルカプト基含有化合物、チオエーテル基含有化合物、亜リン酸エステル構造を有する化合物、ヒンダードアミン化合物及びヒンダードフェノール骨格を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 該酸化防止剤が、オルト位の少なくとも一つがtert−ブチル基で置換されているヒンダードフェノール構造を有する化合物である、請求項3に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 該酸化防止剤が2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである、請求項4に記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 湿し水濃縮組成物の形態である、請求項1〜5のいずれか1項記載の平版印刷用湿し水組成物。
- 請求項6に記載の平版印刷用湿し水濃縮組成物を水で10〜200倍に希釈した湿し水組成物を使用して印刷することを特徴とするヒートセットオフ輪印刷方法。
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JP2016169242A (ja) * | 2015-03-11 | 2016-09-23 | サカタインクス株式会社 | 活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物 |
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-
2009
- 2009-09-29 JP JP2009225101A patent/JP2011073193A/ja active Pending
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