JP2011068643A - 乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤 - Google Patents

乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤 Download PDF

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Abstract

【課題】患者の負担が少なく、安全に行えるアレルギー疾患の発症予防および/または症状改善のための有用な薬剤および方法を提供すること。
【解決手段】乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤、乳酸菌および抗原物質を含む組成物を口腔内に投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法、並びに乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用を提供し、より詳しくは、乳酸菌として抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌、例えばLactobacillus paracasei KW3110を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤に関する。より詳しくは、本発明は、Lactobacillus paracasei KW3110および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤に関する。本発明はまた、乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法に関する。より詳しくは、本発明は、Lactobacillus paracasei KW3110および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法に関する。さらに本発明は、乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用に関する。より詳しくは、本発明は、Lactobacillus paracasei KW3110および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用に関する。
アレルギー疾患は、その発症機構によりI型からIV型の4種類に大別される。近年、アレルギー疾患の中でも、I型アレルギー疾患に分類されるアレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、食品アレルギー、花粉症などの患者数が増加している。I型アレルギーは、外界から侵入したアレルゲンに特異的なイムノグロブリンE抗体(以下、IgEと略称する)が関与することで引き起こされるアレルギーである。IgEの産生には、免疫応答調節機能を有するヘルパーT細胞であって液性免疫に関与するTh2細胞が産生するサイトカインであるIL-4、IL-5、IL-13が関与する。外界から侵入したアレルゲンは、まず樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に貪食されてその一部が主要組織適合性複合体(MHC)分子と結合して抗原提示細胞上に提示される。一方、抗原提示細胞から産生されるプロスタグランジンE2などによりナイーブT細胞から分化誘導されたTh2細胞が、抗原提示細胞上に提示されたアレルゲンを認識して活性化する。そして、活性化Th2細胞から産生されたサイトカインにより、B細胞がIgE産生細胞へと分化し、IgEが産生される。一度、アレルゲンにより刺激を受けて活性化したTh2細胞は、その寿命が長いために長期間生体内で維持され、再度同じアレルゲンが侵入すると迅速に応答し、IgE産生に寄与する。このような生体内で長期間維持される抗原特異的Th2細胞をメモリーTh2細胞と称する。産生されたIgEは、肥満細胞や好塩基球などのエフェクター細胞の細胞表面上に存在するIgE受容体(FcεR1)に結合する。さらに、エフェクター細胞表面上のFcεR1がアレルゲンの結合により架橋されると、ヒスタミン、ロイコトリエンC4、血小板活性化因子(PAF)、好酸球走化因子などの化学伝達物質が細胞から遊離され、アレルギー症状が発現する。
I型アレルギー疾患の患者数は年々増加傾向にあり、新たな予防法および根本的治療法の確立が望まれている。近年、唯一の根治療法として免疫療法(減感作療法)が注目されてきた。しかしながら、現在のアレルギーに対する免疫療法は抗原を皮下投与する方法(抗原特異的減感作療法)が多く用いられており、痛み、通院の必要性、重篤な副作用発症の可能性といった患者の負担の大きさや医療実施機関の問題から、患者の負担が少なく、安全に行える根治療法の開発に強く期待がよせられている。
免疫療法の一つとして、舌下免疫療法が検討されている。舌下部は頸部リンパ節に近く、該リンパ節にはアレルギー反応に関係のある免疫機能があるために、舌下免疫療法は鼻やのどなどの免疫細胞に集中的に作用し効果が高いとして注目されている。アレルギー分野においても、スギ花粉症患者に対しスギ花粉標準液を用いた舌下減感作療法が臨床開発段階にある。しかしながら、実用化に向けて高い抑制効果の誘導が不可欠であり、有効なアジュバントの開発も行われている。
一方、免疫療法の一環として、食品が有する免疫賦活化作用が期待されている。例えば、免疫調節機能食品である加熱処理乳酸菌を用いてアレルギー性鼻炎モデルマウスのアレルギー症状の緩和効果が検討され、加熱処理乳酸菌を経口摂取したマウスにおいて症状の緩和効果が得られたことが報告されている。そのため、現在、加熱処理乳酸菌を含む経口摂取用の錠剤などがサプリメントとして市販されている。また、加熱処理乳酸菌により、ヒトでダニ抗原により引き起こされるアレルギー性鼻炎が緩和されたことが報告されている(非特許文献1)。さらに、乳酸菌発酵により製造されたヨーグルトなどの機能食品により、ヒトのアレルギー性鼻炎が緩和されたことが報告されている(特許文献1、並びに非特許文献2および3)。しかしながら、このような免疫調節機能食品により免疫療法としての予防効果を得るためには、年単位での長期間多量連続摂取が必要である。また、気道アレルギー患者を対象にその改善効果の有無について検討はされているが、効果はきわめて限定されてものでありアレルギー治療に対して充分なコンセンサスは得られておらず、ヒトにおけるアレルギー疾患の予防および改善薬は未だ開発されていない。
再公表特許WO2004/096246号。
Peng G.C. et al., (2005) The efficacy and safety of heat-killed Lactobacilus paracasei for treatment of perennial allergic rhinitis induced by house-dust mite. Pediart Allergy Immunol. 16(5), 433-438. Kawase M. et al., (2009) Effect of fermented milk prepared with two probiotic strains on Japanese cedar pollinosis in a double-blind placebo-controlled clinical study. International Journal of Food Microbiology. 128, 429-434. Ishida Y. et al., (2005) Clinical Effects of Lactobacillus acidophilus Strain L-92 on Perennial Allergic Rhinitis: A Double-Blind, Placebo-Controlled Study. J. Daily Sci. 88, 527-533.
本発明の課題は、患者の負担が少なく、安全に行えるアレルギー疾患の発症予防および/または症状改善のための有用な薬剤および方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。本発明者らは、I型アレルギー疾患の中でも、近年患者数が著しく増加しているアレルギー性鼻炎や花粉症などの気道アレルギーに着目した。そして、気道アレルギーにおける炎症反応に特に頸部リンパ節が関与すると考え、代表的な気道アレルギー疾患モデルとしてアレルギー性鼻炎マウスを用いてその発症や症状を緩和する方法を検討した。その結果、アレルギー感作成立後のマウスにアレルギー性鼻炎を誘発すると同時に抗原と共に乳酸菌を舌下投与法にて摂取させると、口腔粘膜を介して乳酸菌および抗原が口腔粘膜下の樹状細胞に捕食され頸部リンパ節に移行すること、また、アレルギー性鼻炎の発症が緩和され、血清中の抗原特異的抗体の産生が減少することを見出した。さらに、in vitroにおいてヒト末梢血由来の樹状細胞におよびマウス骨髄由来の樹状細胞に乳酸菌を抗原刺激に加えて培養すると、抗原単独刺激よりもTh1型サイトカイン産生をより強く誘導し、局所リンパ節へ移行するのに必須であるケモカインレセプターCCR7および活性化Th2細胞の抑制刺激であるPD-1分子に対するリガンドであるPD-L2(B7-DC)分子の発現をより増強させることを見出した。さらに、ヒト花粉症患者において、スギ花粉抗原エキスと乳酸菌とを共に舌下に投与する舌下減感作療法を実施した結果、それらを投与していない症例と比較して、発症および臨床症状の緩和が観察された。これら知見から、抗原と乳酸菌との共刺激により抑制型樹状細胞を効率的に誘導し、炎症局所へ移行させることにより、アレルギー疾患の発症予防および/または症状改善の効果が得られることを実証し、本発明を達成した。
即ち、本発明は以下に関する:
1. 乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤、
2. 前記乳酸菌が、抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である前記1.の抗アレルギー剤、
3. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である前記1.または2.の抗アレルギー剤、
4. 前記抗原物質が花粉抗原である前記1.から3.のいずれかの抗アレルギー剤、
5. 花粉抗原がスギ花粉抗原である前記4.の抗アレルギー剤、
6. 舌下に投与されることを特徴とする前記1.から5.のいずれかの抗アレルギー剤、
7. 気道アレルギー疾患を対象に投与されることを特徴とする前記1.から6.のいずれかの抗アレルギー剤、
8. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である前記7.の抗アレルギー剤、
9. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤、
10. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に投与される抗アレルギー剤であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であることを特徴とする抗アレルギー剤、
11. 乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法、
12. 前記乳酸菌が抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である前記11.のアレルギー疾患治療方法、
13. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である前記11または12.のアレルギー疾患治療方法、
14. 前記抗原物質が花粉抗原である前記11.から13.のいずれかのアレルギー疾患治療方法、
15. 花粉抗原がスギ花粉抗原である前記14.のアレルギー疾患治療方法、
16. 乳酸菌および抗原物質を舌下に併用投与することを特徴とする前記11.から15.のいずれかのアレルギー疾患治療方法、
17. 乳酸菌および抗原物質を気道アレルギー疾患を対象に併用投与することを特徴とする前記11.から16.のいずれかのアレルギー疾患治療方法、
18. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である前記17.のアレルギー疾患治療方法、
19. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法、
20. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であるアレルギー疾患治療方法、
21. 乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用、
22. 前記乳酸菌が抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である前記21.の使用、
23. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である前記21または22.の使用、
24. 前記抗原物質が花粉抗原である前記21.から23.のいずれかの使用、
25. 花粉抗原がスギ花粉抗原である前記24.の使用、
26. 抗アレルギー剤が舌下に投与される抗アレルギー剤である前記21.から25.のいずれかの使用、
27. 抗アレルギー剤が気道アレルギー疾患を対象に投与される抗アレルギー剤である前記21.から26.のいずれかの使用、
28. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である前記27.の使用、
29. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原の、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に舌下に投与される抗アレルギー剤の製造における使用。
本発明により、乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤、乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法、並びに乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用を提供できる。
本発明によれば、アレルギー疾患において、乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することで、頸部リンパ節において抗原特異的なTh2型免疫炎症反応を効率よく抑制することができる。そのため、本発明により、例えば、アレルギー性鼻炎や花粉症などの気道アレルギー疾患の口腔粘膜免疫療法を実施することができ、該疾患の発症予防/または症状改善を可能にする。
また、本発明の薬剤は、従来の経口摂取薬剤よりも投与量が減少できており、その上緩和効果がより高く得られるため、対費用効果が高い。
このように、本発明により、アレルギー疾患の発症予防および/または症状改善を、患者に負担を掛けることなく、安全に行うことができる。
スギ花粉特異的メモリーTh2細胞の増加に対する加熱処理乳酸菌の抑制効果を示す図である。スギ花粉の飛散前から加熱処理乳酸菌50mgを含むカプセルを、スギ花粉感作発症患者に連日摂取させた。乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)を用いた。スギ花粉の飛散前および飛散後に、スギ花粉感作発症患者より末梢血単核細胞(PBMC)を採取し、スギ花粉ペプチドCS712で刺激して、IL-4、IL-5、およびIL-13の各サイトカイン分泌細胞数を測定した。一方、乳酸菌を摂取しないスギ花粉感作発症患者(図中、Placeboと表示する)についても同様に試験を実施した。メモリーTh2細胞の増加は、花粉飛散前の各サイトカイン分泌細胞数に対する花粉飛散後の該細胞数の割合として算出した。(実施例1) スギ花粉抗原Cry j 1および加熱処理乳酸菌で共刺激したヒト未熟樹状細胞からのIL-6産生は、乳酸菌の種類により差異が認められなかったことを示す図である。図中、KW、L92、およびBB536は、それぞれ加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110、Lactobacillus acidophilus L92およびBifidobacterium longum BB536を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「n.d」は、検出されなかったことを示す。(実施例2) スギ花粉抗原Cry j 1および加熱処理乳酸菌で共刺激したヒト未熟樹状細胞からのIL-12(p70)産生は、乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)を用いたときに強く認められたことを示す図である。図中、L92およびBB536は、それぞれ加熱処理したLactobacillus acidophilus L92およびBifidobacterium longum BB536を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例2) ヒト未熟樹状細胞をフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KW3110Fと表示する)で刺激すると、該細胞の52.5%がKWを取り込んだことを示す図である。左上パネルは、フローサイトメトリーにより前方散乱(FSC)と側方散乱(SSC)とを検出して樹状細胞の解析を行った結果を示す。右上パネルは、フローサイトメトリーによりKW3110Fと樹状細胞表面マーカーCD11cとを検出して樹状細胞の解析を行った結果を示す。左下パネルは、フローサイトメトリーによりKW3110Fを検出して樹状細胞の解析を行った結果を示す。右下パネルは、樹状細胞が多数のKW3110Fを取り込んだこと示す蛍光顕微鏡写真である。(実施例2) ヒト未熟樹状細胞をスギ花粉抗原Cry j 1および加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激すると、細胞上の抑制刺激分子PD-L2の発現が、Cry j 1およびLPSの共刺激、または、Cry j 1およびLactobacillus acidophilus L92の共刺激と比較して、増大したことを示す図である。これら共刺激の間で、細胞上のHLA-DR発現やCD11c発現に差異は認められなかった。(実施例2) 卵白アルブミン(OVA)および加熱処理乳酸菌で共刺激したマウス未熟樹状細胞からのIL-6産生は、乳酸菌の種類により差異が認められなかったことを示す図である。図中、KWおよびL92は、それぞれ加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110およびLactobacillus acidophilus L92を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「n.d」は、検出されなかったことを示す。(実施例3) 卵白アルブミン(OVA)および加熱処理乳酸菌で共刺激したマウス未熟樹状細胞からのIL-12(p70)産生は、乳酸菌としてLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)を用いたときに強く認められたことを示す図である。図中、L92は加熱処理したLactobacillus acidophilus L92を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例3) マウス未熟樹状細胞を卵白アルブミン(OVA)および加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激すると、細胞上の抑制刺激分子PD-L2およびホーミングケモカインレセプター分子CCR7の発現が、OVAおよびLPSの共刺激、または、OVAおよびLactobacillus acidophilus L92の共刺激と比較して、増大したことを示す図である。これら共刺激の間で、細胞上のHLA-DR発現やCD11c発現に差異は認められなかった。(実施例3) 卵白アルブミン(OVA)および加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激したマウス未熟樹状細胞が、Th2細胞からのIL-5産生を低減させたことを示す図である。図中、L92は加熱処理したLactobacillus acidophilus L92を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例4) 卵白アルブミン(OVA)および加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激したマウス未熟樹状細胞が、Th2細胞からのIL-13産生を低減させたことを示す図である。図中、L92は加熱処理したLactobacillus acidophilus L92を意味する。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例4) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、頸部リンパ節(CLN)の細胞中にIgG産生細胞が高頻度で認められたことを示す。図の縦軸は、106細胞当たりの抗原提示細胞の数(Number of APCs(per 106))を示す。図中、BMは骨髄、Spleenは脾臓を意味する。また、Boostとは、追加免疫を意味する。(実施例5) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、頸部リンパ節(CLN)の細胞中にIgE産生細胞が高頻度で認められたことを示す。図の縦軸は、106細胞当たりの抗原提示細胞の数(Number of APCs(per 106))を示す。図中、BMは骨髄、Spleenは脾臓を意味する。また、Boostとは、追加免疫を意味する。(実施例5) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、OVAと加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を、鼻炎誘導前に口腔粘膜下に移入することにより、鼻炎症状が抑制されたことを示す図である。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、くしゃみ(Sneezing)、鼻かき(Nasal Rubbing)、および血清IgE抗体価を示す。くしゃみ(Sneezing)および鼻かき(Nasal Rubbing)は5分間当たりの回数(Counts per 5min)で示す。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例5) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、OVAと加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を、鼻炎誘導前に口腔粘膜下に移入すると、頸部リンパ節中のCD4T細胞からのTh2サイトカイン産生が抑制されたことを示す図である。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、IL-4、IL-5、およびIL-13の産生を示す。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例5) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、OVAと加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を抗PD-L2抗体でキャップしてから、鼻炎誘導前に口腔粘膜下に移入することにより、樹状細胞による鼻炎症状抑制効果が消失したことを示す図である。抗体(図中、Abと表示する)として、抗PD-L2抗体の代わりにコントロール抗体(図中、Contと表示する)を用いたときは、このような消失は認められなかった。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、くしゃみ(Sneezing)、鼻かき(Nasal Rubbing)、および血清IgE抗体価を示す。くしゃみ(Sneezing)および鼻かき(Nasal Rubbing)は5分間当たりの回数(Counts per 5min)で示す。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例6) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、OVAと加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を抗PD-L2抗体でキャップしてから、鼻炎誘導前に口腔粘膜下に移入すると、頸部リンパ節中のCD4T細胞からのTh2サイトカイン産生に対する樹状細胞の抑制効果が消失したことを示す図である。抗体(図中、Abと表示する)として、抗PD-L2抗体の代わりにコントロール抗体(図中、Contと表示する)を用いたときは、このような消失は認められなかった。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、IL-4、IL-5、およびIL-13の産生を示す。LPSは、陽性コントロールとして用いたリポポリサッカライドを意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例6) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を、鼻炎誘導後に舌下投与(図中、Sub.と表示する)することにより、鼻炎症状が抑制されたことを示す図である。一方、KWを鼻炎誘導後に経胃管投与(図中、Intragulletと表示する)したときには、鼻炎症状の抑制は認められなかった。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、くしゃみ(Sneezing)、鼻かき(Nasal Rubbing)、および血清IgE抗体価を示す。くしゃみ(Sneezing)および鼻かき(Nasal Rubbing)は5分間当たりの回数(Counts per 5min)で示す。図中、PはKWを投与しなかったことを示す。また、Boostとは、追加免疫を意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例7) 卵白アルブミン(OVA)抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスにおいて、加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)で共刺激した樹状細胞を、鼻炎誘導後に舌下投与(図中、Sub.と表示する)することにより、頸部リンパ節中のCD4T細胞からのTh2サイトカイン産生が抑制されたことを示す図である。一方、KWを鼻炎誘導後に経胃管投与(図中、Intragulletと表示する)したときには、Th2サイトカイン産生の抑制は認められなかった。左、中央、および右のパネルはそれぞれ、IL-4、IL-5、およびIL-13の産生を示す。図中、PはKWを投与しなかったことを示す。また、Boostとは、追加免疫を意味する。また、「*」は有意差が認められたことを、「n.d」は検出されなかったことを示す。(実施例7) スギ花粉抗原エキスおよび加熱処理乳酸菌を用いてスギ花粉症患者に実施した舌下減感作療法の投与プロトコルの概略を示す図である。(実施例8) 加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(図中、KWと表示する)タブレットおよびスギ花粉抗原エキスの舌下投与により、スギ花粉症患者の症状薬物スコア(symptom-medication score;SMSと略称する。)がプラセボ(Placebo)投与群と比較して緩和されたことを示す図である。SMSによる評価は2月1日より開始して隔日に行った。縦軸はSMSを示し、横軸は評価開示日からの日数(days)を示す。図中、SLITはスギ花粉抗原エキスの投与による舌下減感作療法(SubLingual ImmunoTherapy)を意味する。また、seasonは、花粉の飛散している時期を示す。(実施例9)
本発明は、乳酸菌および抗原物質を含む抗アレルギー剤に関する。本発明に係る抗アレルギー剤は、口腔内に投与されることを特徴とする。また、本発明は、乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用を提供する。
本発明は、I型アレルギー疾患、好ましくは気道アレルギー疾患の治療に有効である。I型アレルギー疾患とは、外界から侵入した抗原物質に特異的なIgE抗体が関与することで引き起こされるアレルギー疾患であり、該抗原物質に特異的に引き起こされることを特徴とする。用語「抗原物質に特異的なIgE抗体」とは、特定の抗原物質に対して結合するが別の抗原物質に対しては結合しないIgE抗体をいう。用語「抗原物質に特異的に引き起こされる」とは、特定の抗原物質により引き起こされるが、他の抗原物質では引き起こされないことをいう。I型アレルギー疾患の臨床症状は、全身アナフィラキシーおよび局所アナフィラキシーに分けられ、局所アナフィラキシーには、アレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などの皮膚炎、アレルギー性胃腸炎などが含まれる。用語「気道アレルギー疾患」とは、外来抗原によるI型アレルギー反応により、該外来抗原特異的に、鼻、咽頭、口頭などの上気道や、気管および気管支で炎症反応が生じる疾患をいう。気道アレルギー疾患として、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性気管支喘息などを例示できる。用語「アレルギー性鼻炎」は、ホコリ、ダニ、花粉などの吸入性抗原の吸入により、鼻部位における炎症症状、すなわちくしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの臨床症状が生じる疾患をいう。
用語「抗アレルギー剤」は、抗アレルギー効果を有し、アレルギー疾患の治療に使用される薬剤を意味する。用語「抗アレルギー効果」は、アレルギー疾患の発症を抑制する作用、および/または、アレルギー疾患における臨床症状を低減または消失させる作用を意味する。用語「アレルギー疾患の治療」は、アレルギー疾患の発症を予防すること、および、アレルギー疾患における臨床症状を改善することを含む。すなわち、抗アレルギー剤は、アレルギー疾患の治療剤、アレルギー疾患の予防剤、アレルギー疾患の改善剤のいずれでもあり得る。また、抗アレルギー剤は、免疫療法、例えば抗原特異的減感作療法に使用し得る免疫療法剤であることができる。抗原特異的減感作療法に使用し得る免疫療法剤を、ワクチンと称することがある。
「乳酸菌」は、代謝により乳酸を生成する細菌と定義される。乳酸菌はその形態や発酵産物などの特性から、ラクトバシラス(Lactobacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属などに分類される。また、それぞれの属には、casei種、brevis種、johnsonii種など様々な種が存在する。さらに、一つの種の中には無数の株が存在し、多種多様な集団を形成している。
本発明において使用される乳酸菌としては、Lactobacillus属、Bifidobacterium属、Enterococcus属、Lactococcus属、Pediococcus属、Leuconostoc属に属する乳酸菌を例示できるが、これらに限定されない。好ましくはLactobacillus属に属する乳酸菌、より好ましくはLactobacillus paracasei、より具体的には Lactobacillus paracase KW3110を例示できる。その他、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus brevis、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus casei、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefiri、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salibarius、Lactococcus lactis、Lactococcus plantarum、Lactococcus raffinolactis、Leuconostoc lactis、Leuconostoc mesenteroides、Enterococcus faecalis、Enterococcus faeciumなどを例示できる。
本発明において使用される乳酸菌は、抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現、および局所リンパ節へのホーミングケモカインCCR7発現を増強する機能を有する。したがって、本機能を指標にして本発明に用いる乳酸菌を選択することが可能である。PD-L2発現およびCCR7発現の測定は、ヒト、あるいは非ヒト動物、例えばマウスから採取した細胞から調製した樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞を用い、乳酸菌のみとまたは乳酸菌と適当な抗原物質と共にインキュベーションすることにより刺激した後、細胞表面上のPD-L2発現およびCCR7発現をそれぞれ抗PD-L2抗体および抗CCR7抗体を用いて検出することにより実施できる(実施例2および3を参照)。PD-L2分子はPD-1の第2のリガンドであり、PD-1はT細胞活性化を阻害する役割を果たす共刺激分子である。CCR7分子は、リンパ球や樹状細胞の細胞表面上に発現し、CCR7リガンドの結合により、これら細胞のリンパ節へのホーミングに関与する。また、CCR7リガンドの作用により、樹状細胞は、リンパ節への移動に先立って、炎症局所における抗原物質の取り込みが誘導される(Yanagawa Y. et al., (2003) CCR7 ligands induce rapid endocytosis in mature dendritic cells with concomitant up-regulation of Cdc42 and Rac activities. Blood, 101(12), 4923-4929.)。したがって、抗原物質と共に乳酸菌で刺激することにより、PD-L2分子とCCR7分子とを発現する発現抑制型樹状細胞を誘導して効率的に炎症局所へ移行させることができ、その結果、Th2細胞活性化を抑制することができるため、Th2細胞が関与するアレルギー疾患を改善することができる。例えば、気道アレルギー疾患などのTh2型気道疾患において、抗原物質と共に加熱処理乳酸菌を口腔内投与すると、気道で誘導された抗原特異的なTh2型免疫炎症反応を局所リンパ節で効率よく抑制することができる。そのため、本アレルギー剤は、患者が自ら手軽にアレルギーの発症を予防できる口腔粘膜ワクチンとして提供することが可能である。
乳酸菌は、乳酸菌培養の常法に従い任意の条件で培養し、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって分離することにより製造できる。本発明において使用される乳酸菌は、生菌体であってもよく、死菌体であってもよい。好ましくは乳酸菌の死菌体を使用する。乳酸菌の死菌体は、加熱処理により容易に製造できる。加熱処理は、100℃で30分間から60分間程度処理することにより実施できる。本明細書において、加熱処理した乳酸菌を「加熱処理乳酸菌」と称することがある。乳酸菌、例えばLactobacillus paracase KW3110の培養方法および加熱処理の具体例を次に示す。乳酸菌の培養には、培養用培地(グルコース1%、酵母エキスS(キリンフードテック株式会社製)1%、MgSO4・7H2O 50ppm、MnSO4・5H2O 50ppm)を使用する。前培養は、Lactobacillus paracase KW3110を培養用培地10mlに接種し、37℃で20〜24時間静置して行う。本培養は、前培養液0.6mlを120mlの培養用培地に接種し、200ml容ファーメンター(モデルBMJ-25、エイブル社製)を用いて、28℃にて培養する。通気量は0.12L/分、攪拌速度は500rpmとする。pHは25% NaOH溶液を用いてpH4.5以下にならないように制御する。培養は48時間行う。培養終了後、8500g、10分間の遠心分離により、菌体を集菌する。30mlの滅菌蒸留水に懸濁し、8500g、10分間の遠心分離により、菌体を集菌する。この洗浄操作を3回繰り返し、培地由来成分を除去する。洗浄菌体を、10mlの滅菌水に懸濁し、オートクレーブにて100℃、30分間処理した後、凍結乾燥する。以上の方法により、最終的に乳酸菌乾燥菌体50〜70mgが得られる。
用語「抗原物質」とは、体内に入って免疫応答を発生させるもととなる原因物質を意味する。抗原物質のうち、生体内においてアレルギー反応を誘発する物質をアレルゲンと称することがある。アレルゲンはアレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する。
本発明において使用される抗原物質は、生体内においてアレルギー反応を誘発する原因物質であれば特に制限されないが、スギ花粉、イネ科花粉、およびキク科花粉などの植物花粉、ダニの虫体や糞などを主体とするハウスダスト、イヌやネコなどの動物のフケを主体とする皮屑、真菌、小麦粉や木材加工の際の粉塵などの植物性微細物質、卵、大豆、牛乳などの食物が例示される。好ましくは、花粉やハウスダストなど、吸入によりアレルギー性鼻炎、気管支喘息、および花粉症などの気道アレルギーを引き起こす抗原物質が使用される。抗原物質は、花粉やハウスダストなどの抗原物質自体であってもよく、当該抗原物質から抽出された物質、例えば抽出エキス、タンパク質、またはペプチドなどであってもよい。例えば、花粉抽出エキス、スギ花粉ペプチドであるCry j 1、Cry j 1およびCS712など、ブタクサ花粉ペプチドであるAmb a 1、ダニ抗原ペプチドであるDer p 1およびDer f 1などを挙げることができる。本発明において使用される抗原物質として、好ましくはスギ花粉抗原、より具体的にはスギ花粉抗原エキスを例示できる。スギ花粉抗原エキスは、スギ花粉から自体公知の調製方法により取得できるが、市販されているもの(例えば、鳥居薬品株式会社製)を使用することもできる。本明細書において、花粉自体、花粉抽出エキス、花粉から抽出されたタンパク質またはペプチドなど、抗原物質として作用する花粉由来の物質を「花粉抗原」と総称する。
本発明に係る抗アレルギー剤は、一種類の抗原物質および一種類の乳酸菌を含む薬剤であってもよく、また、複数種類の抗原物質および複数種類の乳酸菌を組み合わせて含む薬剤であってもよい。
本発明に係る抗アレルギー剤は、乳酸菌および抗原物質を含んでなる薬剤として提供できる。また、乳酸菌を含む薬剤および抗原物質を含む薬剤を組み合わせてなるアレルギー治療用キットとして提供することもできる。
用語「口腔」は、口から喉までの間の空間をいう。口腔内への薬剤の投与とは、口から喉までの間の空間に薬剤を投与することであり、薬剤は嚥下せずに口腔内で作用させる。口腔内へ投与された薬剤は、口腔粘膜から吸収され、口腔粘膜組織や口腔周辺リンパ節に存在する細胞に作用する。また、口腔粘膜は吸収に好都合の薄い上皮と豊富な血管分布を有するため、薬剤は豊富な血管を介して全身性に作用する。
口腔内への投与は、舌下剤、バッカル剤、トローチ、口内スプレー剤、付着剤などを用いて実施できる。剤形としては、錠剤、顆粒剤、粉末剤、液剤、シロップ剤、乳剤、けん濁剤、軟膏などを例示できる。これらの製剤は、通常行われている手法により、薬学的に許容される担体とともに製剤化することができる。なお、製剤化にあたっては、本発明に係る抗アレルギー剤がその機能を生体内において適時的且つ効果的に発揮できるよう、持続性または徐放性剤形、溶出開始時間が制御された剤形、湿度に対する安定性を高めた剤形、例えば、コーティング剤や積層剤などとして製造できる。薬学的に許容される担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤および賦形剤を例示できる。より具体的には、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトースを例示できる。これらは、本薬剤の剤形に応じて適宜1種類または2種類以上を組み合わせて使用される。その他、安定化剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、界面活性剤、およびpH調整剤等を適宜使用することもできる。安定化剤は、例えばヒト血清アルブミンや通常のL−アミノ酸、糖類、セルロース誘導体を例示できる。L−アミノ酸は、特に限定はなく、例えばグリシン、システイン、グルタミン酸等のいずれでもよい。糖類も特に限定はなく、例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、果糖等の単糖類、マンニトール、イノシトール、キシリトール等の糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖等の二糖類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等の多糖類等およびそれらの誘導体等のいずれでもよい。セルロース誘導体も特に限定はなく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のいずれでもよい。界面活性剤も特に限定はなく、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤のいずれも使用できる。界面活性剤には、例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリド系等が包含される。緩衝剤は、ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミン酸および/またはそれらに対応する塩(例えばそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)を例示できる。等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリンを例示できる。キレート剤は、例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸を例示できる。また、適宜、嬌味剤や香料などの助剤を添加することもできる。
本発明に係る薬剤中に含まれる抗原物質および乳酸菌の量は、広範囲から適宜選択される。通常約0.00001〜70重量%、好ましくは0.0001〜5重量%程度の範囲とするのが適当である。
本発明に係る薬剤の用量範囲は特に限定されず、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、対象の性質(体重、年齢、病状および他の医薬の使用の有無等)、および担当医師の判断等に応じて適宜選択される。乳酸菌の用量は一般的には、例えば約0.1mg/日〜1000mg/日、好ましくは約1mg/日〜300mg/日、より好ましくは10mg/日〜100mg/日の範囲であり、さらに好ましくは50mg/日である。抗原物質の用量は、抗原の種類や投与対象の状態によって適宜決定して使用する。例えば、アレルギー治療を目的とする抗原特異的減感作療法で使用する用量に順じて用量を決定することができる。スギ花粉抗原、例えばスギ花粉抗原エキス(鳥居薬品株式会社製)を使用する場合、その用量は4〜2000JAU/日程度の範囲であることが好ましい。ここでJAU(Japanese Allergy Units)とは、日本アレルギー学会により設定されたアレルゲン活性単位を意味する(安枝浩ほか、「アレルギー」、1996年、第45巻、第4号、p.416)。本発明に係る抗アレルギー剤の投与は、1日〜6ヶ月間、より好ましくは1ヶ月〜5ヶ月間、さらに好ましくは3ヶ月間〜5ヶ月間、さらにより好ましくは5ヶ月間程度実施することにより、高い抗アレルギー効果を得ることができる。投与期間中、連日投与することができ、また、休薬日を設けることもできる。長期間にわたって本発明に係る抗アレルギー剤を使用する場合、抗原特異的減感作療法と同様に、初回投与時は強いアレルギー反応が起きないように低用量の抗原物質を使用し、その後、徐々に増量することが好ましい。具体的には、スギ花粉抗原エキス(鳥居薬品株式会社製)およびLactobacillus paracasei KW3110を使用して製造された抗アレルギー剤を5ヶ月間にわたって投与する場合、投与の1週目から3週目までは5日間連続投与して2日間休薬し、4週目以降は連日投与するプロトコルによりスギ花粉に対する抗アレルギー効果を得ることができる。このとき、スギ花粉抗原エキスの1週目の用量は、4JAU/日、8JAU/日、12JAU/日、16JAU/日、20JAU/日と、経日的に増量し、2週目の用量は40JAU/日、80JAU/日、120JAU/日、160JAU/日、200JAU/日、3週目の用量は400JAU/日、800JAU/日、1200JAU/日、1600JAU/日、2000JAU/日、そして4週目以降の用量は連日2000JAU/日とする。スギ花粉抗原エキスと同日に投与するLactobacillus paracasei KW3110の用量は、例えば50mg/日が適当である。本発明においては、このようなプロトコルを実施するためのアレルギー治療用キットを提供できる。このようなアレルギー治療用キットとして、例えばスギ花粉抗原エキスの1日用量を含む薬剤と乳酸菌の1日用量を含む薬剤とを組み合わせてなるキットを例示できる。
本発明に係る抗アレルギー剤は、抗原暴露前に投与することがより好ましく、それによりアレルギーの発症予防および/または症状改善を効果的に達成できる。また、本抗アレルギー剤は、好ましくは連日投与することにより、アレルギーの発症予防および/または症状改善を長期間にわたって維持できる。さらに、本抗アレルギー剤を抗原暴露前から連日投与することにより、免疫療法、例えば抗原特異的減感作療法を達成できる。例えば、花粉抗原に対するアレルギー性鼻炎を対象に投与するときは、花粉の飛散前から花粉の飛散が観察されなくなる時期まで投与することが好ましい。また、抗原物質および乳酸菌を花粉の飛散前から連日投与することにより、花粉抗原特異的減感作療法を達成できる。
本発明に係る抗アレルギー剤として、より具体的には、加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下投与されることを特徴とする抗アレルギー剤を例示できる。さらにより具体的には、加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に投与される抗アレルギー剤であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であることを特徴とする抗アレルギー剤を例示できる。
本発明はまた、乳酸菌および抗原物質を併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法に関する。本発明において、乳酸菌および抗原物質は口腔内に併用投与することを特徴とする。
抗原物質と乳酸菌を併用投与するとは、抗原物質と乳酸菌とを実質的に同時に投与することを意味する。実質的に同時に投与するとは、抗原物質と乳酸菌とを混合した形態で投与すること、別個に調製された抗原物質と乳酸菌とを同時に投与すること、または抗原物質と乳酸菌とを別個に投与するが、ほぼ同時に投与することを意味する。抗原物質と乳酸菌とを別個にほぼ同時に投与するとは、一方を投与した直後に他方を投与することを意味する。抗原物質と乳酸菌とを別個にほぼ同時に投与する場合、好ましくはまず抗原物質を投与し、その直後に乳酸菌を投与する。
本発明に係るアレルギー疾患治療方法に使用する抗原物質と乳酸菌とは、それらを含む薬剤として調製してもよく、それぞれを別個に含む薬剤として調製してもよい。
抗原物質は、一種類の抗原物質であってもよく、また、複数種類の抗原物質を組み合わせて用いてもよい。また、乳酸菌は、一種類の乳酸菌であってもよく、また、複数種類の乳酸菌を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るアレルギー疾患治療方法として、より具体的には、加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法を例示できる。さらにより具体的には、加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であるアレルギー疾患治療方法を例示できる。
抗原物質および乳酸菌は、抗原暴露前に投与することがより好ましく、それによりアレルギーの発症予防および/または症状改善を効果的に達成できる。また、抗原物質および乳酸菌は、好ましくは連日投与することにより、アレルギーの発症予防および/または症状改善を長期間にわたって維持できる。さらに、抗原物質および乳酸菌を抗原暴露前から連日投与することにより、免疫療法、例えば抗原特異的減感作療法を達成できる。例えば、花粉抗原に対するアレルギー性鼻炎を対象に投与するときは、花粉の飛散前から花粉の飛散が観察されなくなる時期まで投与することが好ましい。また、抗原物質および乳酸菌を花粉の飛散前から連日投与することにより、花粉抗原特異的減感作療法を達成できる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。下記実施例において、スギ花粉症患者および該患者由来の試料を使用した検討は全て、インフォームドコンセントを行って患者の意思を確認した後に実施したものである。
スギ花粉症における乳酸菌摂取効果を検討した。
スギ花粉症患者のうちスギ花粉感作発症例75人を2群に分け、一方の群には、乳酸菌50mgを含むカプセルを、もう一方の群には乳酸菌を含まないカプセル(プラセボ)を経口投与した。投与は、花粉の飛散前から飛散が観察されなくなるまでの期間に相当する12月1日から翌年4月30日まで実施し、投与開始3週目までは1週間のうち5日間連日、4週目以降は7日間連日投与した。以下、花粉の飛散が観察されなくなる時期を花粉の飛散後という。
乳酸菌として加熱処理したLactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)を用いた。スギ花粉の飛散前および飛散後に、スギ花粉感作発症患者より末梢血単核細胞(PBMC)を採取し、スギ花粉ペプチドCS712で刺激して48時間後に、IL-4、IL-5、およびIL-13の各サイトカイン分泌細胞数を測定した。これらサイトカインはいずれもTh2サイトカインである。各サイトカイン分泌細胞数について、花粉飛散前から花粉飛散後の増加の割合を算出し、スギ花粉特異的メモリーTh2細胞の増加率を評価した。
その結果、IL-13分泌細胞数の増加が、KW投与群で抑制された(図1)。IL-13は、Th2サイトカインであり、アレルギー炎症局所において重要な役割を果たす。一方、IL-4分泌細胞数およびIL-5分泌細胞数の増加率は、KW投与群とプラセボ投与群で差異は認められなかった。
上記結果から、加熱処理したKWによる刺激は、スギ花粉特異的メモリーTh2細胞の増加を抑制すると考えることができる。
ヒト樹状細胞を、アレルゲンによる刺激に加えて加熱処理乳酸菌共刺激したときの、細胞表面抗原の発現およびサイトカイン産生について検討した。
まず、未熟樹状細胞を、ヒト末梢血から調製したCD14+細胞を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)とIL-4の存在下で培養することにより作製した。未熟樹状細胞を用いてスギ花粉抗原Cry j 1(林原研究所製)および加熱処理乳酸菌で共刺激し、24時間後に、培養上清中のサイトカインおよび細胞表面上の補助刺激分子の発現を測定した。乳酸菌として、Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)、Lactobacillus acidophilus L92(以下、L92と略称することがある)およびBifidobacterium longum BB536(以下、BB536と略称することがある)を用いた。また、陽性コントロールとしてリポポリサッカライド(以下、LPSと略称することがある)をCry j 1との共刺激に用いて同様の検討を行った。サイトカインの測定は、IL-6およびIL-12(p70)について実施した。
また、未熟樹状細胞をフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識したKWで共刺激した後に、未熟樹状細胞へのKWの取り込みを、フローサイトメトリーで測定し、また、蛍光顕微鏡下で観察した。
Cry j 1と加熱処理乳酸菌との共刺激により、樹状細胞からIL-6が産生され、その産生量は刺激に用いた乳酸菌の種類により差異はなかった(図2-A)。
IL-12(p70)は、Cry j 1とKWとの共刺激で著しく強い産生が認められた(図2-B)。しかし、その他の加熱処理乳酸菌やLPSによる共刺激では、IL-12(p70)は産生されないか、または産生量が低かった。
抑制刺激分子であるPD-L2分子の発現は、Cry j 1とKWとで共刺激された細胞において、Cry j 1およびLPSとで共刺激された細胞、または、Cry j 1およびL92とで共刺激された細胞と比較して、より高いことが判明した(図2-D)。一方、HLA-DRやCD11cの発現も、Cry j 1と加熱処理乳酸菌との共刺激により誘導されたが、その発現量は刺激に用いた乳酸菌の種類により差異はなかった。
また、未熟樹状細胞をFITC標識したKWで刺激すると、細胞の52.5%がKWを取り込んだ。(図2-C)。樹状細胞内には多数のKWが取り込まれていることが判明した(図2-C)。
上記結果から、ヒト樹状細胞をアレルゲンで刺激するときに、KWを共刺激に用いると該細胞からのIL-12産生が強く誘導され、そして、抑制刺激分子であるPD-L2分子の発現が上昇することが明らかになった。一方、LPSを共刺激に用いたときには、樹状細胞からIL-12が産生されるものの産生量は低く、また、樹状細胞のPD-L2分子の発現もKWによる共刺激と比較して少なかった。このことから、ヒト樹状細胞をアレルゲンとKWとで共刺激したときのIL-12産生増強およびPD-L2分子の発現は、KW刺激が寄与していると考えることができる。
IL-12は、ナイーブTh細胞をTh1細胞に分化させる機能を有するため、IL-12産生が強く誘導されると、Th1細胞による免疫応答が優位になり、アレルギーの発症に関与するTh2細胞による免疫応答が抑制されると考えることができる。また、PD-L2分子は、活性化Th2細胞の抑制刺激であるPD-1分子に対するリガンドとして作用する。そのため、樹状細胞上のPD-L2分子の発現増加は、活性化Th2細胞を抑制し、ひいてはTh2細胞が関与するアレルギー反応を抑制すると考えることができる。
マウス樹状細胞を、アレルゲンによる刺激に加えて加熱処理乳酸菌共刺激したときの、細胞表面抗原の発現およびサイトカイン産生について検討した。
まず、未熟樹状細胞を、Balb/cマウスの骨髄細胞をGM-CSFで培養することにより作製した。未熟樹状細胞を用いてOVAおよび加熱処理乳酸菌で共刺激し、24時間後に、培養上清中のサイトカインおよび細胞表面上の補助刺激分子の発現を測定した。乳酸菌として、Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)およびLactobacillus acidophilus L92(以下、L92と略称することがある)を用いた。また、陽性コントロールとしてリポポリサッカライド(以下、LPSと略称することがある)をOVAとの共刺激に用いて同様の検討を行った。サイトカインの測定は、IL-6およびIL-12(p70)について実施した。
OVAと加熱処理乳酸菌との共刺激により、樹状細胞からIL-6が産生され、その産生量は刺激に用いた乳酸菌の種類により差異はなかった(図3-A)。
IL-12(p70)は、OVAとKWとの共刺激で著しく強い産生が認められた(図3-B)。しかし、L92やLPSによる共刺激では、IL-12(p70)の産生量は低かった。
抑制刺激分子であるPD-L2分子の発現は、OVAとKWとで共刺激された細胞において、OVAとLPSとで共刺激された細胞、または、OVAおよびL92で共刺激された細胞と比較して、より高いことが判明した(図3-C)。また、リンパ節へのホーミングケモカインレセプターであるCCR7分子も、OVAとKWとで共刺激された細胞において、高い発現が認められた(図3-C)。一方、HLA-DRやCD11cの発現も、OVAと加熱処理乳酸菌との共刺激により誘導されたが、その発現量は刺激に用いた乳酸菌の種類により差異はなかった。
上記結果から、マウス樹状細胞をアレルゲンで刺激するときに、KWを共刺激に用いると該細胞からのIL-12産生が強く誘導され、そして、抑制刺激分子であるPD-L2分子、およびリンパ節へのホーミングケモカインレセプターであるCCR7分子の発現が上昇することが明らかになった。IL-12は、ナイーブTh細胞をTh1細胞に分化させる機能を有するため、IL-12産生が強く誘導されると、Th1細胞による免疫応答が優位になり、アレルギーの発症に関与するTh2細胞による免疫応答が抑制されると考えることができる。また、PD-L2分子は、活性化Th2細胞の抑制刺激であるPD-1分子に対するリガンドとして作用する。そのため、樹状細胞上のPD-L2分子の発現増加は、活性化Th2細胞を抑制し、ひいてはTh2細胞が関与するアレルギー反応を抑制すると考えることができる。
アレルゲンによる刺激に加えて加熱処理乳酸菌共刺激したマウス樹状細胞の、マウスメモリーTh2細胞からのサイトカイン産生に対する影響を検討した。
まず、未熟樹状細胞を、Balb/cマウスの骨髄細胞をGM-CSFで培養することにより作製した。メモリーTh2細胞として、Th2培養条件下で分化誘導したDO11.10マウス由来CD4+T細胞を用いた。Th2培養条件は、インターロイキン4(IL-4)、抗インターフェロンγ抗体(anti-IFNγab)および抗インターロイキン12抗体(anti-IL-12ab)の存在下での培養を意味する。DO11.10マウスは、OVA特異的T細胞抗原受容体(TCR)を発現するトランスジェニックマウスであり、CD4+T細胞はOVA特異的TCRを発現している。
未熟樹状細胞を用いてOVAおよび加熱処理乳酸菌で共刺激し、24時間後に、培養上清中のサイトカインを測定した。乳酸菌として、Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)およびLactobacillus acidophilus L92(以下、L92と略称することがある)を用いた。また、陽性コントロールとしてリポポリサッカライド(以下、LPSと略称することがある)をOVAとの共刺激に用いて同様の検討を行った。サイトカインの測定は、IL-4、IL-5およびIL-13について実施した。
メモリーTh2細胞からのOVA刺激によるIL-5およびIL-13の産生は、KWの共刺激により強く抑制された(それぞれ図4-Aおよび4-B)。一方、IL-4の産生は、OVAと加熱処理乳酸菌との共刺激により誘導されたが、その産生量は刺激に用いた乳酸菌の種類により差異はなかった。
上記結果から、アレルゲンと共にKWにより共刺激した樹状細胞が、メモリーTh2細胞からのサイトカイン産生を抑制することが明らかになった。
OVA抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスを用い、OVAとLactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)とで共刺激した樹状細胞を口腔粘膜下層に投与することでアレルギー性鼻炎の症状および炎症を緩和できるか検討した。
まず、OVA誘発アレルギー性鼻炎モデルを次のように作製した。そして、このモデルマウスを用い、アレルギー性鼻炎誘導時のIgE抗体の産生部位を検討した。
具体的には、Balb/cマウスにOVA抗原をアラム(Alum)と共に腹腔内に週1回の割合で3回投与することにより感作した。その後、感作マウスをOVAで7日間連続して鼻腔内刺激した。最終鼻腔刺激の後、マウスの臨床症状、および血清IgEレベルを測定した。また、骨髄(BM)、頸部リンパ節(CLN)、および脾臓(Spleen)を摘出し、IgE産生細胞の局在をELISPOT法を用いて解析した。
その結果、感作マウスの鼻腔内OVA刺激は鼻炎の発症を誘導し、くしゃみの回数とIgEレベルが著しく増加した。IgE産生細胞は頸部リンパ節の細胞中に高頻度で認められた(図5-B)。また、IgG1産生細胞も同様に頸部リンパ節の細胞中に高頻度で認められた(図5-A)。
次に、アレルギー性鼻炎モデルマウスに、OVAとKWとで共刺激した樹状細胞を口腔粘膜下層に投与し、鼻炎症状、血清中IgE抗体価、および、Th2サイトカイン産生の変化を測定した。
具体的には、Balb/cマウスにOVA抗原をAlumと共に腹腔内に週1回の割合で3回投与することにより感作した後、OVAとKWまたはLPSとで共刺激した樹状細胞(以下、DCsと略称することがある)を、マウスの口腔粘膜下層に移入した。樹状細胞移入24時間後に、OVAを7日間連続して経鼻投与してアレルギー性鼻炎を発症させた。そして、マウスの鼻炎症状の観察、並びに血清IgE抗体価および頸部リンパ節中CD4+T細胞からのTh2サイトカイン産生を測定した。サイトカイン産生の測定は、頸部リンパ節から常法により分離したCD4+T細胞を抗原提示細胞と混合して48時間培養し、その培養上清中のサイトカインを測定することにより行った。
その結果、OVAとKWとで共刺激した樹状細胞を移入したマウスでは、くしゃみおよび鼻かきの著しい緩和、並びに、血清IgE抗体価の著しい低下が観察された(図6-A)。
また、OVAとKWとで共刺激した樹状細胞を移入したマウスの頸部リンパ節中CD4+T細胞からのTh2サイトカイン、すなわちIL-4、IL-5、およびIL-13の産生の著しい抑制が認められた(図6-B)。
上記結果から、アレルゲンと共にKWにより共刺激した樹状細胞が、アレルギー性鼻炎抑制作用を有することが判明した。より具体的には、口腔内移入された該樹状細胞がアレルギー性鼻炎の症状を緩和すること、および、頸部リンパ節内メモリーTh2細胞からのサイトカイン産生を抑制することが明らかになった。
OVA抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスを用い、OVAとLactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)とで共刺激した樹状細胞に強く発現した抑制刺激分子PD-L2が、該樹状細胞のアレルギー性鼻炎抑制作用に関与しているかを検討した。
アレルギー性鼻炎モデルマウスに、OVAとKWとで共刺激した樹状細胞を抗PD-L2抗体で処理した後に口腔粘膜下層に投与し、鼻炎症状、血清中IgE抗体価、および、Th2サイトカイン産生の変化を測定した。
具体的には、Balb/cマウスにOVA抗原をAlumと共に腹腔内に週1回の割合で3回投与することにより感作した後、OVAとKWまたはLPSとで共刺激した樹状細胞を抗PD-L2抗体またはコントロール抗体で処理した後に、マウスの口腔粘膜下層に移入した。樹状細胞の移入24時間後に、OVAを7日間連続して経鼻投与してアレルギー性鼻炎を発症させた。そして、マウスの鼻炎症状の観察、並びに血清IgE抗体価および頸部リンパ節中CD4+T細胞からのTh2サイトカイン産生を測定した。サイトカイン産生の測定は、頸部リンパ節から常法により分離したCD4+T細胞を抗原提示細胞と混合して48時間培養し、その培養上清中のサイトカインを測定することにより行った。
その結果、OVAとKWとで共刺激した後にコントロール抗体処理した樹状細胞を移入したマウスでは、くしゃみおよび鼻かきなどの鼻炎症状の著しい緩和、および、血清IgE抗体価の著しい低下が認められた。しかし、OVAとKWとで共刺激した後に抗PD-L2抗体処理した樹状細胞を移入したマウスでは、くしゃみおよび鼻かきの緩和、および、血清IgE抗体価の低下が認められなかった(図7-A)
また、OVAとKWとで共刺激した後にコントロール抗体処理した樹状細胞を移入したマウスでは、頸部リンパ節中CD4+T細胞からのTh2サイトカイン、すなわちIL-4、IL-5、およびIL-13の産生の著しい抑制が認められた。しかし、OVAとKWとで共刺激した後に抗PD-L2抗体処理した樹状細胞を移入したマウスでは、これらサイトカインの産生の抑制は認められなかった(図7-B)。
一方、OVAとLPSとで共刺激した樹状細胞を移入したマウスでは、抗PD-L2抗体およびコントロール抗体の別なく、鼻炎症状の緩和、血清IgE抗体価の低下、および頸部リンパ節中CD4+T細胞からのIL-4、IL-5、およびIL-13の産生の抑制は認められなかった。
上記結果から、アレルゲンとKWとで共刺激した樹状細胞に強く発現した抑制刺激分子PD-L2が、該樹状細胞のアレルギー性鼻炎抑制作用に関与していることが明らかになった。すなわち、KWに加えて抗原刺激することにより樹状細胞上のPD-L2分子発現が増強調節され、そしてアレルギー性炎症部位でのメモリーTh2細胞反応が低減され、ひいてはアレルギー性炎症の症状が緩和されることが示唆された。
OVA抗原誘導型アレルギー性鼻炎モデルマウスを用い、Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KWと略称することがある)の舌下投与により、アレルギー性鼻炎の症状および炎症が緩和されるか検討した。
具体的には、Balb/cマウスにOVA抗原をAlumと共に腹腔内に週1回の割合で3回投与することにより感作した後、OVAを7日間連続して経鼻投与し、そのとき同時に、KWを舌下に0.5mg/day、または、経胃管で5mg/day投与した。そして、マウスの鼻炎症状の観察、並びに血清IgE抗体価および頸部リンパ節中CD4+T細胞からのTh2サイトカイン産生を測定した。サイトカイン産生の測定は、頸部リンパ節から常法により分離したCD4+T細胞を抗原提示細胞と混合して48時間培養し、その培養上清中のサイトカインを測定することにより行った。
その結果、経胃管投与群と比較して、舌下投与群はくしゃみ、鼻かき、および血清IgE抗体価が顕著に抑制され(図8-A)、そして、頸部リンパ節中のCD4+T細胞からのTh2サイトカイン、すなわちIL-4、IL-5、およびIL-13産生も同様に抑制された(図8-B)。
上記結果から、KWの舌下投与がアレルギー性鼻炎に対する新規な口腔粘膜免疫療法として臨床的に重要であることが実証された。
スギ花粉症患者に対し、抗原エキスと共に加熱処理乳酸菌を舌下投与する減感作療法を実施した。
抗原エキスとして、鳥居薬品株式会社製のスギ花粉標準化エキス「トリイ」を用いた。プラセボエキスとして、50% グリセリン食塩水を用いた。また、乳酸菌は、キリンビール株式会社製のKW乳酸菌タブレット(50mg)を用いた。プラセボタブレットとして、乳酸菌タブレットと見た目も風味も同様の錠剤を用いた。
スギ花粉症患者は4群に分け、第1群にはスギ花粉エキスと乳酸菌タブレットを、第2群にはスギ花粉エキスとプラセボタブレットを、第3群にはプラセボエキスと乳酸菌タブレットを、第4群にはプラセボエキスとプラセボタブレットを投与した。
投与は、規定量のスギ花粉エキスを舌下に滴下し、2分間保持後に吐き出した直後に、乳酸菌タブレットを舌下に投与し、噛まずになめて溶解させることにより実施した。投与は花粉の飛散前の12月1日から花粉の飛散が観察されなくなる翌年4月30日まで実施した。最初の3週間は、5日間連続投与した後に2日間休薬する投薬プロトコルを適用し、その後、連日投与を行った。投与したスギ花粉エキス濃度と、投薬プロトコルの概略を図9に示す。
その結果、スギ花粉エキスと乳酸菌タブレットを投与したスギ花粉症患者の臨床症状が、スギ花粉エキスのみまたは乳酸菌タブレットのみを投与したスギ花粉症患者の臨床症状と比較して、著しく改善されることが明らかである。
スギ花粉症患者に対し、抗原エキスと共に加熱処理乳酸菌を舌下投与する減感作療法を実施し、そのアレルギー性鼻炎症状に対する加熱処理乳酸菌の効果を検討した。
抗原エキスとして、鳥居薬品株式会社製のスギ花粉標準化エキス「トリイ」を用いた。プラセボエキスとして、50% グリセリン食塩水を用いた。また、乳酸菌は、キリンビール株式会社製のKW乳酸菌タブレット(50mg)を用いた。プラセボタブレットとして、乳酸菌タブレットと見た目も風味も同様の錠剤を用いた。
スギ花粉症患者は4群に分け、第1群にはスギ花粉エキスと乳酸菌タブレットを、第2群にはスギ花粉エキスとプラセボタブレットを、第3群にはプラセボエキスと乳酸菌タブレットを、第4群にはプラセボエキスとプラセボタブレットを投与した。
投与は、規定量のスギ花粉エキスを舌下に滴下し、2分間保持後に吐き出した直後に、乳酸菌タブレットを舌下に投与し、噛まずになめて溶解させることにより実施した。投与は花粉の飛散前の12月8日から花粉の飛散が観察されなくなる翌年4月30日まで実施した。最初の4週間(12月8日から1月4日まで)は、5日間連続投与した後に2日間休薬する投薬プロトコルを適用し、その後、連日投与を行った。
アレルギー性鼻炎症状の評価は、鼻アレルギー診療ガイドライン(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会、ライフサイエンス社出版)に基づき、症状の程度を5段階評価して算出した症状薬物スコア(SMS;symptom-medication score)により行った。評価は、2月1日から4月30日まで行った。
その結果、乳酸菌タブレットとスギ花粉エキスとを投与した群は、プラセボ投与群、乳酸菌タブレット単独投与群、およびスギ花粉エキス単独投与群と比べてSMSが低下することが明らかになった(図10)。すなわち、乳酸菌タブレットおよびスギ花粉エキスの舌下投与により、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎症状が緩和されることが判明した。
本発明は、乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤、乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法、並びに乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用を提供する。
本発明は、例えば口腔粘膜免疫療法に使用でき、年々増加しているアレルギー性鼻炎や花粉症などの気道アレルギー疾患の発症予防および/または症状改善を実施することができる。このように、本発明は医薬開発分野において極めて有用な発明である。

Claims (29)

  1. 乳酸菌および抗原物質を含み、口腔内に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤。
  2. 前記乳酸菌が、抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である請求項1に記載の抗アレルギー剤。
  3. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である請求項1または2に記載の抗アレルギー剤。
  4. 前記抗原物質が花粉抗原である請求項1から3のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
  5. 花粉抗原がスギ花粉抗原である請求項4に記載の抗アレルギー剤。
  6. 舌下に投与されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
  7. 気道アレルギー疾患を対象に投与されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
  8. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である請求項7に記載の抗アレルギー剤。
  9. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に投与されることを特徴とする抗アレルギー剤。
  10. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を含み、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に投与される抗アレルギー剤であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であることを特徴とする抗アレルギー剤。
  11. 乳酸菌および抗原物質を口腔内に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法。
  12. 前記乳酸菌が抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である請求項11に記載のアレルギー疾患治療方法。
  13. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である請求項11または12に記載のアレルギー疾患治療方法。
  14. 前記抗原物質が花粉抗原である請求項11から13のいずれか1項に記載のアレルギー疾患治療方法。
  15. 花粉抗原がスギ花粉抗原である請求項14に記載のアレルギー疾患治療方法。
  16. 乳酸菌および抗原物質を舌下に併用投与することを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載のアレルギー疾患治療方法。
  17. 乳酸菌および抗原物質を気道アレルギー疾患を対象に併用投与することを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載のアレルギー疾患治療方法。
  18. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である請求項17に記載のアレルギー疾患治療方法。
  19. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法。
  20. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原を、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に、舌下に併用投与することを特徴とするアレルギー疾患治療方法であって、該Lactobacillus paracasei KW3110の用量が50mg/日であり、該スギ花粉抗原の用量が4〜2000JAU/日であるアレルギー疾患治療方法。
  21. 乳酸菌および抗原物質の、抗アレルギー剤の製造における使用。
  22. 前記乳酸菌が抗原提示細胞上の抑制刺激分子PD-L2発現を増強する機能を有する乳酸菌である請求項21に記載の使用。
  23. 前記乳酸菌がLactobacillus paracasei KW3110である請求項21または22に記載の使用。
  24. 前記抗原物質が花粉抗原である請求項21から23のいずれか1項に記載の使用。
  25. 花粉抗原がスギ花粉抗原である請求項24に記載の使用。
  26. 抗アレルギー剤が舌下に投与される抗アレルギー剤である請求項21から25のいずれか1項に記載の使用。
  27. 抗アレルギー剤が気道アレルギー疾患を対象に投与される抗アレルギー剤である請求項21から26のいずれか1項に記載の使用。
  28. 気道アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である請求項27に記載の使用。
  29. 加熱処理されたLactobacillus paracasei KW3110およびスギ花粉抗原の、スギ花粉抗原によるアレルギー性鼻炎を対象に舌下に投与される抗アレルギー剤の製造における使用。
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