JP2011068623A - ポリアリルエーテル溶液の製造方法 - Google Patents

ポリアリルエーテル溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン元素の製品への混入の可能性がなく、触媒との分離効率が高く、かつ、エポキシ製造工程を含む次工程でそのまま使用することができるポリアリルエーテル溶液の新規製造方法の提供。
【解決手段】以下の工程:担体に担持された遷移金属触媒、錯化剤、及びアルカリ金属の炭酸塩の存在下、特定のアルコールと水を反応溶媒として用いて、フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、カルボン酸アリルエステル化合物とを、反応させる反応工程、前記反応終了後に反応液中のアルコール溶媒を共沸により留去するアルコール溶媒留去工程、前記アルコール溶媒留去後に、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環族炭化水素からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を、反応液に添加する有機溶媒添加工程、及び前記反応液を濾過して触媒を分離する触媒分離工程、を含む、ポリアリルエーテル溶液の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリルエーテル溶液の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、触媒の存在下、カルボン酸アリルエステル化合物とフェノール性水酸基を複数個有する化合物とを反応させた後、該反応で使用した触媒を反応生成物から効率的に分離し、その後のエポキシ化反応等にそのまま使用することもできるポリアリルエーテル溶液の製造方法に関する。
フェノール性水酸基を複数個有するポリアリル化合物は、エポキシ樹脂を合成する際の重要な前駆体であるが、これまでは必ずしも効率的に合成することができなかった。
以下の特許文献1には、クレゾールノボラック樹脂とハロゲン化アリルとを反応させることにより、アリルエーテル化されたクレゾールノボラック樹脂が、得られることが開示されているが、このような方法では、ハロゲン元素の製品への混入が避けられず、特に電気絶縁特性用途に使用する場合に問題となっていた。
以下の特許文献2では、遷移金属触媒と大過剰の炭酸アルカリ金属塩を用いて、生成する酢酸を酢酸塩として反応系外に出すことにより高転化率を得ているが、この系では遷移金属触媒、及び副生する炭酸水素塩、酢酸塩からの反応生成物の分離性が悪く、生産性が低いという欠点があった。
特開昭59−036121号公報 特表平10−511721号公報
本発明が解決しようとする課題は、合成原料に由来にするハロゲン元素の製品への混入の可能性がなく、触媒との分離効率が高く、かつ、エポキシ製造工程を含む次工程でそのまま使用することもできるポリアリルエーテル溶液の新規製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねた結果、工業的にプロピレンとカルボン酸を反応させて容易に得ることができるカルボン酸アリルエステル化合物をアリル化剤に用いてフェノール性水酸基を複数個有する化合物と反応させることにより効率よくポリアリルエーテル溶液を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]以下の工程:
担体に担持された遷移金属触媒、錯化剤、及びアルカリ金属の炭酸塩の存在下、イソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールと水を反応溶媒として用いて、フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、カルボン酸アリルエステル化合物とを、反応させる反応工程、
前記反応終了後に反応液中のアルコール溶媒を共沸蒸留により留去するアルコール溶媒留去工程、
前記アルコール溶媒留去後に、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環族炭化水素からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を、反応液に添加する有機溶媒添加工程、及び
前記反応液を濾過して触媒を分離する触媒分離工程、
を含む、ポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[2]前記フェノール性水酸基を複数個有する化合物が、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA(p,p’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF(p,p’−メチレンジフェノール)、ビスフェノールK(p,p’−ジフェノールカルボニル)、ジヒドロキシメチルスチルベン、ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、メタン型トリスフェノール類、トリスフェノール類、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、及びポリビニルフェノールからなる群から選択される少なくとも一種である、前記[1]に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[3]前記カルボン酸アリルエステル化合物が、プロピレンとカルボン酸を反応させて得られたものである、前記[1]または[2]に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[4]前記カルボン酸アリルエステル化合物が、酢酸アリルである、前記[1]〜[3]に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[5]前記担体に担持された遷移金属触媒が、白金族の金属触媒である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[6]前記担体に担持された遷移金属触媒の担体が、活性炭である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[7]前記遷移金属触媒が、担体に対して0.1〜20質量%のパラジウムを担持した触媒である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[8]前記錯化剤が、有機モノホスフィン、有機ジホスフィン、及び有機亜リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[9]前記錯化剤が、トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトからなる群から選択される少なくとも1種である、前記[8]に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[10]前記アルカリ金属の炭酸塩が、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[11]前記有機溶媒添加工程において添加する有機溶媒がトルエン、ヘキサン又はシクロヘキサンである、前記[1]〜[10]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[12]前記反応工程において、前記アルカリ金属の炭酸塩100質量部を水10〜300質量部に溶解又は懸濁させて使用する、前記[1]〜[11]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[13]前記フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、アルカリ金属の炭酸塩と、イソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールよりなる群から選択されるいずれか一種のアルコールと水からなる反応溶媒との混合物を、予め50℃〜200℃の温度範囲で熱処理し、その後、カルボン酸アリルエステル化合物を該混合物に添加する、前記[1]〜[12]のいずれかに記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
[14]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の方法により得られたポリアリルエーテルを含む反応液を、そのままエポキシ化反応に使用することを特徴とする、エポキシ化合物の製造方法。
[15]前記エポキシ化反応に酸化剤として過酸化水素を用いる、前記[14]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
本発明のアリルエーテル溶液の製造方法によれば、工業的に入手容易なカルボン酸アリルエステル化合物を用い、フェノール性水酸基を複数個有する化合物と反応させることにより効率よくハロゲン元素を含まないポリアリルエーテル溶液を得ることができるので、特に電気絶縁特性用途に使用するエポキシ化合物の製造に有用である。
本発明の実施例2により得られたクレゾールノボラック樹脂のポリアリルエーテル粗生成液のH−NMRチャートである。
以下、本発明のアリルエーテル溶液の製造方法について詳細に説明する。
本発明のアリルエーテル溶液の製造方法は、担体に担持された遷移金属触媒、錯化剤、及びアルカリ金属の炭酸塩の存在下、イソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールと水を反応溶媒として用いて、フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、カルボン酸アリルエステル化合物とを、反応させる工程(第一の工程、反応工程)と、前記反応終了後に反応液中のアルコール溶媒を共沸蒸留により留去する工程(第二の工程、アルコール溶媒留去工程)と、前記アルコール溶媒留去後に、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環族炭化水素からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を反応液に添加する工程(第三の工程、有機溶媒添加工程)と、前記反応液を濾過して触媒を分離する工程(第四の工程、触媒分離工程)と、を含むことを特徴とする。
第一の工程(反応工程)で用いられるアルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが例示でき、これらの中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムが好ましく、特に炭酸カリウムが好ましい。アルカリ金属の炭酸塩の使用量としては、前記フェノール性水酸基を複数個有する化合物に対して、フェノール性水酸基を基準として、0.3〜3モル当量が好ましい。これらのアルカリ金属炭酸塩は、アルカリ金属炭酸塩の使用量に対して、10質量%から、25℃においてアルカリ金属炭酸塩が飽和水溶液となる量までの範囲で、水に溶解して、反応系内に投入することが好ましい。
第一の工程(反応工程)で用いられるカルボン酸アリルエステル化合物としては、酢酸アリルやプロピオン酸アリル、安息香酸アリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリルのようなカルボン酸のアリルエステル化合物が好ましい。これらの中でも酢酸アリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリルがより好ましい。工業的には酢酸アリルが、安価に得られるため、最も好ましい。カルボン酸アリルエステル化合物は、プロピレンとカルボン酸を反応させて容易に得ることができる。
これらのカルボン酸アリルエステル化合物のエステル基の濃度は、フェノール性水酸基を複数個有する化合物の中に含まれるフェノール性水酸基を基準として、好ましくは0.8〜4モル当量、より好ましくは1〜2モル当量である。1モル当量より大きい比率では、溶媒と兼用とすることもできる。4モル当量を超えると、残存するカルボン酸エステルが多くなり余剰のカルボン酸エステルを回収、循環使用するためのエネルギーコストがかかり、好ましくなく、一方、0.8モル当量未満であると、所望の生成物への転化率が非常に低く、当然ながら未反応のフェノール性水酸基が増えるために、意図的にフェノール性水酸基を残す必要がない限り、好ましくない。
残存するカルボン酸アリルエステル化合物の影響を避けるためには、カルボン酸アリルエステル化合物のアリル基対アルカリ金属の炭酸塩の比率を、1:0.4〜1:1.2の範囲から選ぶことも有効な方法である。1:0.4よりも低い比率では、カルボン酸アリルエステル化合物の残存割合が増えるし、1:1.2よりも大きい比率では、カルボン酸アリルエステル化合物は消費されるものの、反応終了後の炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩等の副生物を溶解するのに必要な水分量が徒に多くなり、好ましくない。
第一の工程(反応工程)で用いられるフェノール性水酸基を複数個有する化合物は、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する。また、この後に種々の誘導体への展開を考えれば、1分子当たり平均として3個以上のフェノール性水酸基を含有する化合物が好ましい。このようなフェノール性水酸基を複数個有する化合物の例としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA(p,p’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF(p,p’−メチレンジフェノール)、ビスフェノールK(p,p’−ジフェノールカルボニル)、ジヒドロキシメチルスチルベン、ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、メタン型トリスフェノール類、トリスフェノール類、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノールが挙げられる。これらの中でも特にメタン型トリスフェノール類、トリスフェノール類、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等のポリフェノールが好ましい。
メタン型トリスフェノール類、トリスフェノール類、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂は、例えば以下のようにフェノール性水酸基を持つ芳香族炭化水素とアルデヒド化合物を縮合させて合成することができ、工業的に広く製造されている。
(メタン型)トリスフェノール類の合成反応式
Figure 2011068623
(アルキル置換)フェノール−アルデヒドノボラック樹脂の合成反応式
Figure 2011068623
また、ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノールは、以下の反応式に従って合成することができ、工業的に製造されている。
ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の合成反応式
Figure 2011068623
ポリビニルフェノールの合成反応式
Figure 2011068623
本発明のポリアリルエーテル溶液の製造方法における第一の工程(反応工程)は、担体に担持された遷移金属触媒の存在下で実行する。好適な遷移金属としては、例えばロジウム、ルテニウム、レニウム、パラジウム、イリジウム、タングステン、モリブデン、クロム、コバルト、白金、ニッケル、銅、オスミウム、鉄等が挙げられ、それらの遊離金属又は錯体として非酸化状態で、あるいはそれらの塩、例えばカルボン酸塩、ハロゲン化物、酸化物、硝酸塩又は硫酸塩として酸化状態で含有する。より好ましい触媒は、白金族のもので、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、又はオスニウムを含有する。最も好ましい触媒は、パラジウム触媒である。
これらの遷移金属触媒を担持するのに用いる担体としては、炭素、木炭、活性炭、シリカ、アルミナ、オルガノゾルゲル、ゼオライト、クレー等が挙げられる。好ましくは、活性炭100質量部に対して0.1〜20質量部のパラジウムが担持された触媒である。
触媒の使用量としては、フェノール性水酸基を複数個有する化合物中に含まれるフェノール性水酸基1当量当たり、金属原子として1/1,000,000〜1/10、好ましくは1/10,000〜1/50、さらに好ましくは1/5,000〜1/100の比率である。
触媒を担持して、不均一触媒として用いる場合、反応は、必要に応じて、固定床で又は液体反応混合物中に懸濁させて、実施させることができる。
錯化剤は、好ましくは金属触媒の活性を安定化し、かつ、増強するための配位子として作用させるために用いる。反応混合物に添加する前に錯化剤で触媒を錯化するか、又は触媒及び錯化剤を別々に反応混合物に添加することにより触媒錯体をその場(in situ)で生成し得る。
好適な錯化剤としては、例えば有機モノホスフィン、有機ジホスフィン、有機亜リン酸エステル、有機スチビン、オキシム、有機アルシン、ジアミン、ジカルボニル化合物が挙げられる。特に適切な錯化剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ-(o,m,p-)トリルホスフィン、トリス-p-メトキシフェニルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィノスチレン、及びその重合体、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタンが挙げられる。より好ましい錯化剤としては、トリ-(o,m,p-)トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン及びジフェニルホスフィノエタンが挙げられ、その中でもトリフェニルホスフィン及び/又はトリエチルホスファイトが最も好ましい。
錯化剤は、遷移金属触媒1モルに対して、好ましくは0.1〜10000モル、より好ましくは2〜100モル、さらに好ましくは4〜50モルを用いる。
反応温度としては、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは25℃〜150℃の温度で、さらに好ましくは50℃〜120℃の範囲で実施する。反応温度が高いと特にフェノール性水酸基を複数個有する化合物のフェノール性水酸基のオルソ位、パラ位が無置換の場合には、クライゼン転移等の副反応が起こり易くなるし、反応温度が低いと反応速度が遅くなる。反応系の沸点以上で反応を行う場合には、オートクレーブのような密閉容器で反応を行うこともできる。
反応雰囲気としては、大気雰囲気でも反応を実施することができるが、遷移金属触媒を使用するために発火の恐れもあるため、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。
本発明のポリアリルエーテル溶液の製造方法における第一の工程(反応工程)は、反応系にイソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールよりなる群から選択される少なくとも一種と水との混合溶媒を用いる。無溶媒やアルコール溶媒のみで反応を行うと、特に反応初期の段階で炭酸塩の溶解性が悪く、反応の進行が非常に遅く、析出した塩により攪拌がうまく行かず、特に工業的に大きなスケールで実施しようとした場合には、非常に問題となる。また、反応が終了しても塊状の無機塩が析出しており、濾過での除去が非常に困難であるし、溶解するのにも時間がかかる。一方、水溶媒のみで反応を行った場合には、フェノール性水酸基を複数個有する化合物自体の水溶性が低いものが多い上に、更にフェノール性水酸基が一部アリルエーテル化された時点で、油溶性が増し水層のアルカリ金属と接触することができ難いために、反応速度が遅くなってしまう。
また、第一の工程(反応工程)において水と併用するアルコール溶媒として1級アルコールを用いると、アルコール自体がアリルエーテル化される副反応が起こり、カルボン酸アリルエステル化合物が無駄に使用されてしまうので好ましくない。また、炭素数が5以上のアルコール溶媒の場合には、水との溶解性が低くなるとともに沸点が高くなり、精製工程でのより高い温度で処理する必要が生じるため好ましくない。従って、イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールが好ましい溶媒である。イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールの使用量は、あまりに少ないと反応速度を高める効果を発揮できず、あまりに多い場合には生産性や反応速度が遅くなるので、反応系全体の5〜50質量%、より好ましくは10質量%〜40質量%の範囲で使用することが望ましい。
水は、あまりに多く使用すると、カルボン酸アリルエステル化合物の加水分解の原因となってしまうので、アルカリ金属の炭酸塩の使用量100質量部に対して10質量部〜300質量部の間で使用することが好ましい。水の使用量、炭酸塩の種類によってはすべての炭酸塩を溶解することができないので、その場合には水と炭酸塩を懸濁状態で反応釜に仕込むようにする。
これらの原料の仕込み方法としては、すべての原料を反応釜に仕込み加熱することもできるが、カルボン酸アリルエステル化合物の加水分解を防ぐ上では、まず、フェノール性水酸基を複数個有する化合物、イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールのようなアルコール溶媒、アルカリ金属炭酸塩の水溶液又は水懸濁液を仕込み、加熱処理してからカルボン酸アリルエステル化合物を徐々に添加していったほうが良い。このようにすることで、カルボン酸アリルエステル化合物の無駄な加水分解を最少に留めることができる。
加熱処理する温度としては、あまりに低いと効果が少ないし、あまりに高すぎるとフェノール性水酸基を複数個有する化合物が分解する可能性があるので、50℃〜200℃の範囲で処理することが好ましい。
第一の工程(反応工程)による反応後には、粘稠な有機層が得られ、場合によってはアルカリ金属塩の析出が見られる。第一の工程(反応工程)で用いた担体に担持した遷移金属触媒を効率よく回収するため、本発明のポリアリルエーテルの製造方法においては、イソプロパノール、sec-ブタノール、及び/又はtert-ブタノールを水との共沸蒸留により留去する第二の工程(アルコール溶媒留去工程)と、必要に応じて水をこの共沸蒸留の前後で加えた後、芳香族又はまたは脂肪族又は脂環族炭化水素を添加することで希釈する第三の工程(有機溶媒添加工程)後、触媒を濾過する(第四の工程、触媒濾過工程)を経る必要がある。水を加えることによりアルカリ金属塩を溶解し、イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールのようなアルコール溶媒を水との共沸蒸留により除去することで有機層−水層の分離性を良くした後、芳香族又はまたは脂肪族又は脂環族炭化水素に希釈することで、有機層の粘度を下げることができる。
このような芳香族又はまたは脂肪族又は脂環族炭化水素としては、具体的には芳香族炭化水素としてはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、トリメチルベンゼン、t-ブチルベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン等が挙げられる。また脂環族炭化水素としてはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。トルエンのような芳香族炭化水素は用いた場合には、特に次のエポキシ化反応を行う際に、反応成績がよく好ましい。また、ヘキサンやシクロヘキサンのような脂肪族又は脂環族炭化水素は、錯化剤として用いるホスフィン配位子をあまり溶解しないので、錯化剤が系外に析出し、錯化剤をある程度分離することができ、精製を行うことができるため、好ましい。ただし、脂肪族又は脂環族炭化水素溶媒のままではポリアリルエーテルによっては、このままエポキシ化反応を行うと生成したエポキシ化合物が析出することもあるので、このような場合には、添加した有機溶媒を留去し、トルエンのような芳香族炭化水素で更に置換することもできる。エポキシ化反応において酸化剤として過酸化水素を使用することでハロゲン元素の混入がほとんどなく、特に電子材料(特に封止材やソルダ−レジスト材料)の原料として、また農薬・医薬の中間体や可塑剤、接着剤、塗料樹脂といった各種ポリマーの原料として化学工業をはじめ、各種の産業分野で幅広く用いられる有用な物質であるエポキシ樹脂を、簡便な操作で安全に、収率良く、かつ低コストで製造できる。
これらの炭化水素の使用量としては、あまりに少ないと粘度を下げる効果が少なく、あまりに多すぎると生産性が低くなるので、原料のフェノール性水酸基を複数個有する化合物100質量部に対して、20質量部から300質量部が好ましい。濾過した後は、必要に応じて酸洗浄や水洗浄を実施することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
(実施例1)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム136.2g (0.986mol)を純水123.8gに溶解した溶液、ビスフェノール−A(BA)150.0g (0.657mol、水酸基として1.31mol)、及びイソプロピルアルコール61.7gを、仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.723g (6.57mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.40g(0.329mmol)を、仕込み、バス温を105℃にして、酢酸アリル(AAc)144.7g ( 1.45 mol)を、1時間かけて滴下した。更に窒素気流下、バス温105℃で、更に5時間反応を続けた後、酢酸アリル14.5g(0.145mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。
反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温ではほぼ沈殿は見られなかった。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、トルエン150g、及び水75gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。
濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、トルエンを留去回収し、ビスフェノール−Aのアリルエーテル粗生成液198gを得た。
以下の条件でのガスクロ分析により、ビスフェノール−Aのジアリルエーテル対モノアリルエーテルの比が99.3:0.7であったことを確認した。
ガススクロ装置:Agilent Technologies 社製 6850GC
カラム:HP-1(膜厚0.25μm×内径320μm×30m)
検出器:水素炎イオン化検出器
注入口温度:300℃
カラム温度:60℃(3min保持)→昇温速度20℃/min→300℃(2min保持)
検出器温度:300℃
サンプル注入量:1.0μL
スプリット比:30.0:1
(実施例2)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム176g (1.27mol)を純水165gに溶解した溶液、クレゾールノボラック樹脂CRG-951(昭和高分子(株)製、水酸基当量118)150.0g(水酸基として、1.27mol)、及びイソプロピルアルコール69.5gを、仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.67g (6.36mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.35g(0.318mmol)を仕込み、バス温を105℃にして、酢酸アリル(AAc)140g ( 1.40mol)を1時間かけて滴下した。更に窒素気流下、バス温105℃で、更に2時間反応した後、酢酸アリル14.0g(0.140mol)を追添し、更に2時間反応を続け、再度酢酸アリル14.0g(0.140mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。
反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温でも水層に白色結晶が見られた。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、トルエン150g、及び水75gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、トルエンを留去回収し、クレゾールノボラック樹脂ポリアリルエーテルの粗生成液181gを得た。
図1に、得られた粗生成液のH−NMRのチャートを示す。クレゾールノボラック樹脂のクレゾールのメチル基対アリル基の比率から、以下のようにして97%以上の水酸基がアリルエーテル化されていたことを確認した。クレゾールノボラック基のメチル基をCHa3と、そしてフェノールのアリルエーテル基 −CHb2CHc=CHd2とする。図1中、Ha ピーク位置 2.1157ppm 積分比 300.00;Hb ピーク位置 4.0954,4.4951ppm 積分比 131.84+65.99=197.83;Hc ピーク位置 5.9884ppm 積分比 95.83;Hd ピーク位置 5.2067,5.2128,5.2421ppm 積分比 200.11である。ここで、転化率が100%の場合には、プロトン比はa:b:c:d=3:2:1:2となる。一方、積分比はa:b:c:d=300:197.93:95.33:200.11であるので、ここから転化率を計算すると、b基準で98.9%;c基準で95.8%;d基準で100%;
となり、3者を平均して98.3%となる。そこで、97%以上の水酸基が転化されていると推定した。
(実施例3)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム136.2g (0.986mol)を純水123.8gに溶解した溶液、ビスフェノール−A(BA)150.0g (0.657mol、水酸基として1.31mol)、及びイソプロピルアルコール61.7gを仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.723g (6.57mmol)、50%含水した5%Pd/C 1.40g(0.329mmol)、及び酢酸アリル(AAc)197.4g (1.97 mol)を仕込み、窒素気流下バス温105℃に昇温した後、この温度で更に8時間反応させた。
反応後、反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温では沈殿はほとんど見られなかった。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、トルエン150g、及び水75gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、トルエンを留去回収し、ビスフェノール−Aのアリルエーテル粗生成液188gを得た。
分離回収自体は非常に良好であったことを確認したが、ガスクロ分析でビスフェノール−Aのジアリルエーテル対モノアリルエーテルの比率を分析したところ、94.6:5.4であり、実施例1よりも酢酸アリルを多く使用し、反応時間を長くしたにも拘らず、モノアリルエーテルの比率が高かった。
(実施例4)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム136.2g (0.986mol)を純水123.8gに溶解した溶液、ビスフェノール−A(BA)150.0g (0.657mol水酸基として1.31mol)、及びイソプロピルアルコール61.7gを仕込み、窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.723g (6.57mmol)、50%含水した5%Pd/C 1.40g(0.329mmol)、及び酢酸アリル(AAc)197.4g (1.97 mol)を仕込んだ後、窒素気流下バス温105℃に昇温した後、この温度で更に8時間反応を続けた。
反応後、反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温では沈殿はほとんど見られなかった。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、トルエン150g、及び水75gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄し、Pd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、トルエンを留去回収し、ビスフェノール−Aのアリルエーテル粗生成液179gを得た。
分離回収自体は非常に良好であったことを確認したが、ガスクロ分析でビスフェノール−Aのジアリルエーテル対モノアリルエーテルの比率を分析したところ、80.4:19.6であり、微量の原料がピークとして観察された。実施例1よりも酢酸アリルを多く使用し、反応時間を長くしたが、モノアリルエーテルの比率が高く反応性がやや劣っていた。
(実施例5)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム171.1g (1.24mol)を純水156gに溶解した溶液、テトラメチルビフェニル-4,4'-ジオール150.0g (0.691mol、水酸基として1.38mol)、及びイソプロピルアルコール68.1gを仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.624g (6.19mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.32g(0.619mmol)を仕込み、バス温を105℃にして、酢酸アリル(AAc)136.4g (1.36 mol)を1時間かけて滴下した。更に窒素気流下、バス温105℃で更に5時間反応を続けた後、酢酸アリル13.6g(0.136mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。
反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温では沈殿はほとんど見られなかった。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、トルエン150g、及び水100gを加え、80℃以上の温度に保持して、白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。テトラメチルビフェニル-4,4'-ジオール−Aのアリルエーテル粗生成トルエン溶液348gを得た。
(実施例6)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム155.3g (1.12mol)を純水156gに溶解した溶液、ビスフェノール−F ST(三井化学(株)製)150.0g (0.749mol、水酸基として1.50mol)、及びイソプロピルアルコール67.9gを仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.965g (7.49mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.59g(0.749mmol)を仕込み、バス温を105℃にして、酢酸アリル(AAc)165.0g ( 1.65 mol)を1時間かけて滴下した。更に窒素気流下、バス温105℃で更に5時間反応を続けた後、酢酸アリル16.5g(0.165mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。
反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温では沈殿はほとんど見られなかった。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、シクロヘキサン120g、及び水100gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をトルエンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、シクロヘキサンを留去回収し、ビスフェノール−Fのアリルエーテル粗生成液205gを得た。
(実施例7)
ジムロート冷却管、圧力平衡管付き滴下ロートの付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム176g (1.27mol)を純水165gに溶解した溶液、クレゾールノボラック樹脂CRG-951(昭和高分子(株)製、水酸基当量118)150.0g(水酸基として、1.27mol)、及びイソプロピルアルコール69.5gを仕込み、反応器を窒素置換し、85℃で1時間加熱した。窒素気流下、トリフェニルホスフィン1.67g (6.36mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.35g(0.318mmol)を仕込み、バス温を105℃にして、酢酸アリル(AAc)140g ( 1.40mol)を1時間かけて滴下した。更に窒素気流下、バス温105℃で更に2時間反応を続けた後、酢酸アリル14.0g(0.140mol)を追添し、更に2時間反応を続け、再度酢酸アリル14.0g(0.140mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。反応液は有機層と水層の二層に別れ、有機層に5%Pd/Cが懸濁しており、高温でも水層に白色結晶が見られた。この状態で、イソプロピルアルコールを水との共沸により回収し、シクロヘキサン100g、及び水75gを加え、80℃以上の温度に保持して白色沈殿が析出していなかったことを確認した後、Pd/Cを濾過により回収した。濾滓をシクロヘキサンで洗浄後、熱水でよく洗浄しPd/Cを水で湿らせてから取り出した。濾液の水層と有機層を分離し、有機層を10%リン酸水溶液で水洗した後、更に純水を用いて水層側が中性(pHでほぼ7)になるまで洗浄した。その後、シクロヘキサンを留去回収し、更にトルエンを150g加えて、更にシクロヘキサンをトルエンと共沸させて留去した後に、クレゾールノボラック樹脂ポリアリルエーテルの粗生成トルエン溶液286gを得た。
(比較例1)
ジムロート冷却管の付いた1.0リットル三口丸底フラスコに、炭酸カリウム136.2g (0.986mol)、ビスフェノール−A(BA)150.0g (0.657mol)、酢酸アリル(AAc)144.7g ( 1.45 mol)、イソプロピルアルコール61.7g、トリフェニルホスフィン1.723g (6.57mmol)、及び50%含水した5%Pd/C 1.40g(0.329mmol)を仕込み、反応器を窒素置換した後にバス温を昇温し、バス温105℃で6時間反応した後、酢酸アリル14.5g(0.145mol)を追添し、更に2時間反応を続けた。
反応開始直後は、未溶解の炭酸塩が非常に多く攪拌が安定しなかった。また、反応の進行とともに無機塩の沈殿物が塊状に固まり、更に高速で攪拌することができなくなった。
反応終了後、反応液には塊状の無機塩の析出が多く見られ、純水300gを加えても、なかなか溶解しなかった。未溶解の無機塩が一部残ったまま濾過を試みたが、ろ過性が非常に悪かったために最終的には遠心分離機により反応液と無機塩を分離した。
分離した反応液の有機層を前記ガスクロ条件で分析したところ、ビスフェノール−Aのジアリルエーテル対モノアリルエーテルの比率が99.4:0.6であったことは確認できた。
本発明により、工業的にプロピレンとカルボン酸を反応させて容易に得ることができるカルボン酸アリルエステル化合物をアリル化剤に用いてフェノール性水酸基を複数個有する化合物と反応させることにより効率よくポリアリルエーテル溶液を得ることができ、得られる反応生成物は触媒との分離効率が高く、かつ、得られるポリアリルエーテル溶液は、エポキシ製造工程を含む次工程でそのまま使用することもできるので、本発明は、特に電気絶縁特性用途に使用するエポキシ樹脂の製造に好適に利用可能である。

Claims (15)

  1. 以下の工程:
    担体に担持された遷移金属触媒、錯化剤、及びアルカリ金属の炭酸塩の存在下、イソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールと水を反応溶媒として用いて、フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、カルボン酸アリルエステル化合物とを、反応させる反応工程、
    前記反応終了後に反応液中のアルコール溶媒を共沸蒸留により留去するアルコール溶媒留去工程、
    前記アルコール溶媒留去後に、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環族炭化水素からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を、反応液に添加する有機溶媒添加工程、及び
    前記反応液を濾過して触媒を分離する触媒分離工程、
    を含む、ポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  2. 前記フェノール性水酸基を複数個有する化合物が、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA(p,p’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF(p,p’−メチレンジフェノール)、ビスフェノールK(p,p’−ジフェノールカルボニル)、ジヒドロキシメチルスチルベン、ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、メタン型トリスフェノール類、トリスフェノール類、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、ポリシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、及びポリビニルフェノールからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  3. 前記カルボン酸アリルエステル化合物が、プロピレンとカルボン酸を反応させて得られたものである請求項1または2に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  4. 前記カルボン酸アリルエステル化合物が、酢酸アリルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  5. 前記担体に担持された遷移金属触媒が、白金族の金属触媒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  6. 前記担体に担持された遷移金属触媒の担体が、活性炭である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  7. 前記遷移金属触媒が、担体に対して0.1〜20質量%のパラジウムを担持した触媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  8. 前記錯化剤が、有機モノホスフィン、有機ジホスフィン、及び有機亜リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  9. 前記錯化剤が、トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  10. 前記アルカリ金属の炭酸塩が、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  11. 前記有機溶媒添加工程において添加する有機溶媒がトルエン、ヘキサン又はシクロヘキサンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  12. 前記反応工程において、前記アルカリ金属の炭酸塩100質量部を水10〜300質量部に溶解又は懸濁させて使用する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  13. 前記フェノール性水酸基を複数個有する化合物と、アルカリ金属の炭酸塩と、イソプロパノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールよりなる群から選択されるいずれか一種のアルコールと水からなる反応溶媒との混合物を、予め50℃〜200℃の温度範囲で熱処理し、その後、カルボン酸アリルエステル化合物を該混合物に添加する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリアリルエーテル溶液の製造方法。
  14. 前記請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により得られたポリアリルエーテルを含む反応液を、そのままエポキシ化反応に使用することを特徴とする、エポキシ化合物の製造方法。
  15. 前記エポキシ化反応に酸化剤として過酸化水素を用いる、請求項14に記載のエポキシ化合物の製造方法。
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