JP2011057803A - 難燃性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性、曲げ物性(柔軟性)、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性および成形性が良好である樹脂組成物、および該樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、全100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂を25〜85質量部、難燃剤を10〜40質量部、ガラス繊維を5〜55質量部、加水分解抑制剤を0.1〜10質量部、有機スルホン酸バリウム塩を0.03〜5質量部およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を1〜15質量部含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂を含有する難燃性樹脂組成物に関するものである。
一般に、各種成形体の成形用の原料としては、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が使用されている。このような樹脂から製造された成形体は、成形性や機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないため、埋設処理しても半永久的に地中に残留するという問題点がある。
一方、近年、環境保全の見地から、ポリ乳酸樹脂をはじめとする生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。生分解性ポリエステル樹脂の中でもポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどは、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高いという利点がある。中でも、ポリ乳酸樹脂は既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、特に、地球環境への負荷の低い樹脂である。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂を単体で電気製品等の筐体などに利用する場合には、ポリ乳酸樹脂の難燃性が不十分であるため、安全上問題がある。さらに、電気製品等の筐体用途においては、多くの場合、少なくとも100℃を上回る高温環境にも耐えうる耐熱性が必要である。従って、難燃性及び耐熱性を両立するポリ乳酸樹脂が求められている。無論、従来通り、耐久性、耐衝撃性を有する必要があることは言うまでもない。
上記の特性のうち、難燃性は難燃剤を高比率で配合することにより向上することは当然である。また、耐熱性、特に大荷重(例えば、1.8MPa)での荷重たわみ温度は強化用充填剤を高比率で配合することにより向上することは従来公知の知見より容易に考察される。しかし、難燃剤や強化用充填剤を高比率で配合すると、樹脂組成物全体に占めるポリ乳酸の比率が小さくなり、環境への有用性を低減させるため好ましくない。よって、樹脂組成物中にポリ乳酸が高比率(例えば、樹脂組成物全体の過半以上)で配合されたうえで、前記耐久性や耐衝撃性などの各物性を満足することが要求される。
ポリ乳酸樹脂に有機充填剤および難燃剤を添加し、90℃の金型温度にて射出成形することにより、UL94試験におけるV−2からV−0までの難燃性および一定以上の耐熱性を有する成形体が得られることが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合は、古紙粉末などの天然由来の有機充填剤を高比率で添加することで耐熱性を向上させているため、混練や成形の際の溶融時に、熱による変色は免れず、色調の調整が困難であるという問題がある。さらに、V−0の難燃性を満たしたうえでの接炎後の残炎時間については、電気製品等の筐体として利用する場合に残炎時間が長いと引火が発生する恐れがあるなど安全上問題がある。さらにまた、特許文献1に記載されている難燃組成物(例えば、芳香族縮合リン酸エステル、メラミンシアヌレートなど)により付与された耐熱性は低いレベルのものであり、例えば、荷重たわみ温度が小荷重(0.45MPa)の場合でも110℃程度である。加えて、アイゾット衝撃値も25J/m未満と低いものであり、十分な耐衝撃性も得られてはいない。
また、ポリ乳酸樹脂に、表面処理を施した金属水酸化物を添加することで、難燃性およびある程度の耐熱性を付与することが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合においては、得られる難燃性はV−2レベルであり、前記電気製品等の筐体への使用に際してはまだ不十分なレベルである。
また、ポリ乳酸樹脂を含有したメッシュシートを難燃化するために、ホスフィン酸系化合物(例えば、ジメチルホスフィン酸等の遊離酸など)を用いることが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この場合においても高い難燃性レベルは未だ得られていない。
また、金属塩系結晶核剤としての有機カルボン酸金属塩などを用いた難燃性ポリ乳酸樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この場合でも前記電気製品等の筐体への使用に耐えうるレベルの優れた難燃性や成形性は得られていない。
また、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂系ドリップ防止剤を用いた難燃性ポリ乳酸樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、この場合は、難燃剤を多量に添加し、ポリ乳酸樹脂の割合を樹脂組成物全体に対して50質量%未満に抑えなければ、V−0(厚み1.6mm)の難燃性レベルを得ることができず、ポリ乳酸の環境へのメリットを活かすには不十分なレベルである。
また、コアシェル型耐衝撃剤を用いてポリ乳酸樹脂組成物に耐衝撃性を付与することが知られており、一定の耐衝撃性が得られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、この場合は耐久性を検討するレベルが低く(60℃×95%RH×200時間)、強度保持率も低いものである。また、この場合は十分な耐熱性も得られてはいない。
また、ポリ乳酸樹脂に難燃性や機械特性などを付与するために、バリウム化合物などのアルカリ土類金属化合物、グリシジルエステル化合物およびコアシェル型耐衝撃剤を併用することが知られている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、この場合は優れた難燃性や成形性は得られていない。
また、有機スルホン酸塩などのスルホン酸化合物を添加した難燃性ポリ乳酸系組成物が知られている(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、この場合も、付与される難燃性はV−2レベルであり十分であるとは言えない。
また、三菱レイヨン社からは、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を用いることにより、ポリ乳酸樹脂に対する耐衝撃性向上効果および耐熱性向上効果を得られることが種々の販売促進用資料の形で示されているが、難燃性や耐久性については言及されておらず、組成としても示されていない。
特開2005−23260号公報 特開2005−139441号公報 特開2005−105472号公報 特開2006−193561号公報 再表2005/061626号公報 特開2006−016447号公報 特開2006−016446号公報 特開2008−303290号公報
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、植物由来比率が高くても、難燃性、曲げ物性(柔軟性)、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性および成形性が良好である難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂、難燃剤、ガラス繊維、加水分解抑制剤、有機スルホン酸バリウム塩およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤が、それぞれ特定の割合で含有された樹脂組成物は、前記課題が解決された樹脂組成物であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)全100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂を25〜85質量部、難燃剤を10〜40質量部、ガラス繊維を5〜55質量部、加水分解抑制剤を0.1〜10質量部、有機スルホン酸バリウム塩を0.03〜5質量部およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を1〜15質量部含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
(2)難燃剤が有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤であることを特徴とする(1)の難燃性樹脂組成物。
(3)フッ素樹脂系ドリップ防止剤を0.1〜1質量部含有することを特徴とする(1)又は(2)の難燃性樹脂組成物。
(4)ポリ乳酸樹脂を50質量部以上含有することを特徴とする(1)〜(3)何れかの難燃性樹脂組成物。
(5)(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜20質量部および過酸化物0.1〜20質量部とともに溶融混練されることを特徴とする(1)〜(4)何れかの難燃性樹脂組成物。
(6)ポリ乳酸樹脂中のD体成分の比率が0.6モル%以下であることを特徴とする(1)〜(5)何れかの難燃性樹脂組成物。
(7)難燃性樹脂組成物の製造方法であって、全100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂25〜85質量部、難燃剤を10〜40質量部、ガラス繊維を5〜55質量部、加水分解抑制剤を0.1〜10質量部、有機スルホン酸バリウム塩を0.03〜5質量部およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を1〜15質量部溶融混練することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、植物由来比率が高く、かつ植物由来比率が高くても、難燃性、成形性、曲げ物性(柔軟性)、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することができる。この樹脂組成物を電気製品の部品などに用いることで、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値はきわめて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の難燃性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、ポリ乳酸樹脂、難燃剤、ガラス繊維、加水分解抑制剤、有機スルホン酸バリウム塩およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を含有するものである。
以下に本発明で用いられる各種原料を説明する。
ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸を主成分とする樹脂である。ポリ乳酸としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの混合物、またはこれらの共重合体を用いることができるが、生分解性、および成形加工性の観点からは、ポリ(L−乳酸)を主体とすることが好ましい。
ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂は、光学純度によってその融点は異なるが、本発明においては、成形体の機械的特性や耐熱性を考慮すると、該融点を160℃以上とすることが好ましい。なお、一般的に使用されているポリ乳酸樹脂の融点の上限は190℃程度である。上記ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂において、融点を160℃以上にするためには、ポリ乳酸全体に対して、ポリ(D−乳酸)を約3モル%未満とすればよい。
さらに、樹脂組成物の成形性および耐熱性の観点から、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸樹脂において、ポリ(D−乳酸)の割合が0.6モル%以下であることが特に好ましい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち25〜85質量部であり、好ましくは30〜85質量部であり、特に好ましくは35〜75質量部である。上記含有量が25質量部未満では、環境に対する有用性が不十分であり、一方、85質量部を超える場合は、他の必須成分を所定量含有することができず、本発明の目的とする効果を得ることができない。さらに、環境への有用性、特に、大気中の二酸化炭素の固定・貯蔵効果の点から、ポリ乳酸樹脂の含有量を50質量部以上とすることが好ましい。
上記ポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸を公知の溶融重合法により重合させて、あるいは、溶融重合法に固相重合法を追加することにより製造される。
上記ポリ乳酸樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート(MFR)は通常0.1〜50g/10分であり、好ましくは0.2〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は、成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下する場合がある。なお、本発明においてMFRは、JIS K−7210(試験条件D)に準拠して測定された値である。
上記ポリ乳酸樹脂のメルトフローレートを所定の範囲に制御する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。鎖長延長剤としては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いることができる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合は、メルトフローレートのより大きなポリ乳酸樹脂や、低分子量化合物を添加する方法が挙げられる。
ポリ乳酸樹脂としては市販のものも好適に用いることができ、例えば、トヨタ社製、商品名「S−09」「S−12」「S−17」などが挙げられる。
難燃剤は、樹脂組成物の燃焼性を抑制し、一定の難燃性を付与することを目的として含有されるものである。難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、水酸化金属などを用いることができる。
ハロゲン系難燃剤は難燃性効果には優れるものの、環境に対する負荷が大きいため、本発明の趣旨に基づくと不適当である。
上記の中でも、本発明においては、難燃性能と環境への負荷に対するバランスの観点から、リン系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤の好ましい例としては、有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤あるいはポリリン酸アンモニウム系難燃剤などが挙げられる。本発明においては、難燃性向上効果、および耐熱性に優れる観点から、有機ホスフィン酸金属塩系の難燃剤が特に好ましい。
有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤は、公知のあらゆるものを用いることができる。有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤を含有することにより、燃焼性の高いポリ乳酸樹脂が多く含有されている場合でも、効果的に燃焼を抑制することが可能となる。さらに、耐熱性においても良好な効果を期待できる。有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤としては、市販品も好適に使用することができ、例えば、クラリアント社製、商品名「エクソリットOPシリーズ」などが挙げられる。
上記難燃剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
難燃剤の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち10〜40質量部であり、好ましくは15〜35質量部であり、特に好ましくは18〜35質量部である。上記含有量が10質量部未満では、十分な難燃性が得られず、一方、40質量部を超えて含有すると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性、破断歪等の物性を低下させるという問題があり、さらに、混練時の操業性を低下させるという問題がある。
本発明の樹脂組成物には、結晶化を促進し、耐熱性および良好な成形性を得ることを目的として、有機スルホン酸バリウム塩が添加される。有機スルホン酸バリウム塩を含有することにより、難燃剤の難燃効果を阻害することなく、効果的に結晶化を促進させることができる。有機スルホン酸バリウム塩は、他の結晶核剤と比較して難燃性への悪影響が小さく、かつ、結晶化促進効果に優れている。このような効果が得られる原因は定かではないが、おそらく、硫黄元素とバリウム元素の組み合わせにより、分子構造上の特殊な効果が発現していると推測される。
有機スルホン酸バリウム塩の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち0.03〜5質量部であり、好ましくは0.05〜5質量部であり、特に好ましくは0.1〜4質量部である。上記含有量が0.03質量部未満の場合は、得られる樹脂組成物の結晶化を促進し、十分な耐熱性と成形性を付与することができない。一方、5質量部を超える場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性、破断歪等の物性を低下させるという問題があり、さらに、混練時の操業性を低下させるという問題がある。
有機スルホン酸バリウム塩としては、市販品も好適に使用することができ、たとえば、竹本油脂社製、商品名「TLA114」などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の堅牢性を増加させ、耐熱性を改善することを目的として、ガラス繊維が含有される。ガラス繊維としては、あらゆる形状のものを用いることができる。
ガラス繊維の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち5〜55質量部であり、好ましくは8〜52質量部であり、特に好ましくは10〜50質量部である。5質量部未満であると、必要な燃焼粒滴下抑制効果(すなわち、ドロップ防止効果)や荷重たわみ抑制効果を得ることができない。一方、55質量部を超えると、混練が困難となるうえ、他の必要成分の含有量が大きく制約されることとなり、本発明の効果を満足させることができない。
ガラス繊維としては通常のガラス繊維を用いることができ、市販品としては、例えば、
オーエンスコーニング社、商品名「FT592」などが好適に用いられる。また、ガラス繊維には、他の樹脂との密着性を高めるための公知慣例の表面処理が施されていてもよい。
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の耐久性を向上させ、その難燃性および耐熱性を長期間安定的に維持することを目的として、加水分解抑制剤が含有される。加水分解抑制剤としては、特に限定されず、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などを用いることができるが、中でも、加水分解抑制効果の観点から、カルボジイミド化合物を好適に用いることができる。
カルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するものであれば特に限定されず、例えば、脂肪族モノカルボジイミド、脂肪族ポリカルボジイミド、脂環族モノカルボジイミド、脂環族ポリカルボジイミド、芳香族モノカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。さらに、カルボジイミド化合物としては、分子内に各種複素環、各種官能基を有するものであってもよい。
カルボジイミド化合物を製造する方法としては、特に限定されず、イソシアネート化合物を原料として製造する方法など、多くの方法が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、イソシアネート基を分子内に有するカルボジイミド化合物、イソシアネート基を分子内に有していないカルボジイミド化合物の何れも好適に用いられる。
カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格としては、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミド、4,4´−ジシクロへキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N´−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのカルボジイミド骨格が挙げられる。
カルボジイミド化合物の具体例としては、多くのものが挙げられる。脂肪族モノカルボジイミドとしては、ジエチルカルボジイミドなどが挙げられる。脂肪族ポリカルボジイミドとしては、エチレンジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドなどが挙げられる。脂環族モノカルボジイミドとしては、ジシクロへキシルカルボジイミドなどが挙げられる。脂環族ポリカルボジイミドとしては、4,4´−ジシクロへキシルメタンジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドなどが挙げられる。芳香族モノカルボジイミドとしては、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが挙げられる。芳香族ポリカルボジイミドとしては、フェニレン−p−ジイソシアネートに由来するポリカルボジイミド、1,3,5−トリイソプロピル−フェニレン−2,4−ジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドなどが挙げられる。
なお、ポリカルボジイミドにおいては、その分子の両端あるいは分子中の任意の部位が、イソシアネート基等の官能基を有したり、あるいは、分子鎖が分岐したりなど他の部位と異なる分子構造となっていたりしてもよい。上記の加水分解抑制剤は、単独でまたは2以上組み合わせて用いられる。
上記加水分解抑制剤の含有量は、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部であり、特に好ましくは0.3〜3質量部である。0.1質量部未満であると、目的とする耐久性が得られず、一方、10質量部を超えると、色調が大きく損なわれ、またコスト的にも不利となる。
本発明の樹脂組成物には、耐衝撃性や耐久性の付与を目的として、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤が含有される。グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を含有させることにより、グリシジル基が、混練・成形などの溶融時にポリ乳酸樹脂の末端のカルボキシル基と反応、結合し、末端のカルボキシル基によりポリ乳酸の劣化促進が封止され、耐久性に良好な効果を及ぼす。それに加えてコア成分によりポリ乳酸樹脂に対する耐衝撃改善効果の強化も期待できるため、含有量に対して効率的に両方の効果を発揮できる。
さらに、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を含有させることにより、上記含有される加水分解抑制剤との相乗効果を奏し、より良好な耐久性を得ることができる。
グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤のコアを構成する重合体としては、ゴム弾性を有する重合体であればよい。ゴム弾性を有する重合体としては、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン−プロピレン成分などの成分を重合させて得られるゴムが挙げられる。
上記コアを構成するゴム弾性を有する共重合体としては、難燃性への悪影響が小さいことから、アクリル成分とシリコーン成分を複合したゴムをコア成分に用いたものが特に好ましい。なお、ここで、複合とは、コンポジット又はポリマーアロイであることを示す。
アクリル成分とシリコーン成分を複合したゴムを製造する方法は、公知慣用の方法であれば特に限定されないが、品質の安定性の観点からは、乳化重合法が最適である。
グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤のシェルは、グリシジル基と(メタ)アクリル基を有する重合体から構成されたものである。シェルを構成する重合体としては、樹脂マトリックスとの親和性および反応性の観点から、グリシジルメタクリレート(MMA)系重合体であることが必要である。ここでメタクリル基は主に樹脂マトリックスとの親和性に寄与し、グリシジル基は主にポリ乳酸の末端カルボキシル基との反応に寄与する。
シェルを構成する重合体のガラス転移温度は、コアを構成する重合体のガラス転移温度より高いことが好ましい。
グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち、1〜15質量部であり、好ましくは3〜12質量部ある。含有量が1質量部満であるとその効果が十分に得られず、15質量部を超えて含有した場合には、コスト的に不利であり、植物由来成分であるポリ乳酸の含有比率を不必要に相対的に低下させるため、好ましくない。また、得られる樹脂組成物の曲げ強度が低下する。
グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤としては、市販品も好適に使用でき、例えば、三菱レイヨン社製、商品名「メタブレン」シリーズ「S2200」などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、フッ素樹脂系ドリップ防止剤を含有することが好ましい。フッ素樹脂系ドリップ防止剤には、燃焼時の滴下を抑制する他、残炎時間を短縮する効果があり、UL94規格におけるV−1以上、特にV−0レベルの高い難燃性を求める際に、ガラス繊維と併せて用いることでより効果が向上する。
フッ素樹脂系ドリップ防止剤の含有量は、樹脂組成物100質量部のうち、0.1〜1質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5質量部である。0.1質量部未満であると必要な燃焼粒滴下抑制効果を得ることができない場合がある。一方、1質量部を超えるとコスト面で不利であるだけでなく、環境負荷の点でも好ましくない。
フッ素樹脂系ドリップ防止剤としては、公知慣用のあらゆるものを用いることができ、市販品も好適に用いることができる。例えば、ダイキン社製 商品名「FA500C」、スリーエム社製 商品名「MM5935EF」、三菱レイヨン社製 商品名「メタブレンA3700」などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、(メタ)アクリル酸エステル化合物が配合されていてもよい。(メタ)アクリル酸エステル化合物は、樹脂組成物の結晶化を促進し、耐熱性をより改善することを目的として配合されるものである。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリ乳酸樹脂との反応性が高く、モノマーが残りにくく、毒性が少なく、かつ樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体的な例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシ(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジアクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジメタクリレート、これらのアルキレングリコール部が様々な長さであるアルキレンの共重合体、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。上記の中でも、結晶化促進効果の観点からエチレングリコールジメタクリレート等が好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、ポリ乳酸樹脂と溶融混練するなどの方法により、樹脂組成物に配合できる。(メタ)アクリル酸エステル化合物の配合量は、樹脂組成物100質量部のうち0.01〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。上記配合量が0.01質量部未満であると、十分な耐熱性が得られない場合があり、また、20質量部を超えると、混練時の操業性が低下する場合がある。
(メタ)アクリル酸エステル化合物を樹脂組成物中に配合する場合には、(メタ)アクリル酸エステル化合物とともに、過酸化物が配合されていることが好ましい。過酸化物はポリ乳酸樹脂と(メタ)アクリル酸エステル化合物との反応を促進し、耐熱性を改善することを目的として配合されるものである。
上記過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。上記の中でも、耐熱性改善効果の観点から、ジブチルパーオキサイド等が好ましい。これらの過酸化物は単独で2種以上組み合わせて用いることができる。
上記過酸化物の配合量は、樹脂組成物100質量部のうち0.1〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。上記配合量が0.1質量部未満であると、十分な耐熱性が得られない場合があり、一方20質量部を超えると、混練時の操業性が低下する場合がある。なお、過酸化物は樹脂との混合の際に分解して消費されるため、得られた樹脂組成物中には残存しない場合がある。
本発明の樹脂組成物には樹脂組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を添加することができる。なお、本発明の樹脂組成物にこれらの添加剤を添加する方法は特に限定されない。
上記のうち、熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが挙げられる。
ポリ乳酸樹脂と難燃剤、ガラス繊維、加水分解抑制剤、有機スルホン酸バリウム塩およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤、必要に応じてフッ素樹脂系ドリップ防止剤、(メタ)アクリル酸エステル化合物、過酸化物、その他の添加剤を混合する手段は、特に限定されないが、一軸あるいは二軸の押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態を向上させる観点からは、二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は、(ポリ乳酸樹脂の融点+5)℃〜(ポリ乳酸樹脂の融点+100)℃の範囲が好ましい。混練温度が上記範囲より低温であると、混練や反応が不十分となる場合がある。一方、上記範囲より高温であると、樹脂の分解や着色が起きる場合がある。
また、混練時間は20〜1800秒が好ましい。混練時間が上記範囲より短時間であると、混練や反応が不十分となる場合がある。一方、上記範囲より長時間であると、樹脂の分解や着色が起きる場合がある。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形などの成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ生産性の観点からは、射出形成法により成形体とすることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。
本発明において、好適な射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度は樹脂組成物の融点または流動開始温度以上が好ましく、より好ましくは190〜270℃の範囲である。また、金型温度は(樹脂組成物の融点−20)℃以下とすることが好ましく、より好ましくは80〜120℃の範囲である。シリンダ温度および金型温度が上記の範囲より低いと、成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になる場合や、過負荷に陥りやすい場合がある。逆に、シリンダ温度および金型温度が上記の範囲より高いと、成形加工中に樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色されたりするなどの問題が発生する場合がある。
本発明の樹脂組成物を用いた成形体の具体例としては、パソコン周辺の各種部品および筐体、携帯電話部品および筐体、その他OA機器部品等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、中空成形品などとすることもできる。
そのうち、難燃性、成形性、曲げ物性(柔軟性)、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性を必要とされる部品において、本発明の樹脂組成物は、特に有用である。
なお、本発明の樹脂組成物の難燃性としてはUL94の難燃性試験においてV-0以上のレベルを達成するものであることが好ましい。また、耐熱性としては、ISO75−1に準拠して荷重1.8MPaにて測定された熱変形温度が120℃以上のものであることが好ましい。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定方法は次の通りである。
(1)成形性
成形時において、射出時間と射出後に圧力をかけた時間の合計を30秒とし、その後、成形体が金型に固着、または、抵抗なく取り出すことができ、突き出しピンによる変形がなく、良好に離型できるまでの所要時間(秒)を測定し、以下の基準で評価した。
◎◎:所要時間が20秒以下である。
◎:所要時間が20秒より長く25秒以下である。
○:所要時間が25秒より長く40秒以下である。
×:所要時間が40秒より長いものである。
本発明においては、○以上であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(2)難燃性
UL94規格に準拠して測定した。試験片は厚み1.6mmのものを用いた。燃焼試験時にドリップ(すなわち、炎の滴下)の見られなかったものについて、燃焼テストの際の各試験片における残炎時間(接炎1回目の時間と接炎2回目の時間の合計)の平均を算出し、以下の基準で評価した。
◎:残炎時間の平均が1秒以下である。
○:残炎時間の平均が1秒より長く4秒未満である。
×:残炎時間の平均が4秒以上である。
本発明においては、V−0レベル以上の難燃性を達成するためには、○以上であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(3)曲げ強度
ISO 178に準拠して、曲げ強度を測定した。以下の基準で評価した。
◎:曲げ強度が125MPa以上である。
○:曲げ強度が115MPaより大きく125MPa未満である。
×:曲げ強度が115MPa以下である。
本発明においては、◎であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(4)曲げ破断歪
ISO 178に準拠して、曲げ破断歪を測定した。以下の基準で評価した。
◎:曲げ破断歪が3以上である。
○:曲げ破断歪が2より大きく3未満である。
×:曲げ破断歪が2以下である。
本発明においては、◎であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(5)耐衝撃性
ASTM D256に準拠して、アイゾット衝撃強度を測定した。以下の基準で評価した。
◎:アイゾット衝撃強度が60J/m以上である。
○:アイゾット衝撃強度が40J/mより大きく60J/m未満である。
×:アイゾット衝撃強度が40J/m以下である。
本発明においては、◎であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(6)耐熱性
ISO 75に準拠し、荷重1.8MPa(すなわち、大荷重)で熱変形温度を測定した。以下の基準で評価した。
◎:熱変形温度が140℃以上である。
○:熱変形温度が120℃以上であり140℃未満である。
△:熱変形温度が100℃より高く120℃未満である。
×:熱変形温度が100℃以下である。
本発明においては、○以上であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(7)耐湿熱性(曲げ強度保持率)
試験片を2本用意し、1本は上記(3)と同様の方法で曲げ強度を測定した。もう1本は温度60℃、湿度95%RHの環境下で700時間放置して湿熱処理を施し、上記(3)と同様の測定方法で曲げ強度(湿熱処理後の曲げ強度)を測定した。以下の式により、曲げ強度保持率を算出した。
(曲げ強度保持率)(単位:%)=(湿熱処理後の曲げ強度)/(湿熱処理前の曲げ強度)×100
以下の基準で評価した。
◎:曲げ強度保持率が70%以上である。
○:曲げ強度保持率が50%以上70%未満である。
×:曲げ強度保持率が50%未満である。
本発明においては、○以上であるものを実用に耐えうるものであるとした。
(8)耐湿熱性(曲げ破断歪保持率)
試験片を2本用意し、1本は上記(4)と同様の方法で曲げ破断歪を測定した。もう1本は温度60℃、湿度95%RHの環境下で700時間放置して湿熱処理を施し、上記(4)と同様の測定方法で曲げ破断歪(湿熱処理後の曲げ破断歪)を測定した。以下の式により、曲げ破断歪保持率を算出した。
(曲げ破断歪保持率)(単位:%)=(湿熱処理後の曲げ破断歪)/(湿熱処理前の曲げ破断歪)×100
以下の基準で評価した。
◎:曲げ強度保持率が70%以上である。
○:曲げ強度保持率が50%以上70%未満である。
×:曲げ強度保持率が50%未満である。
本発明においては、○以上であるものを実用に耐えうるものであるとした。
実施例および比較例で用いた各種原料は次の通りである。
(1)ポリ乳酸樹脂
・カーギルダウ社製 商品名「3001D」(D体含有率:1.4モル%、MFR:10g/10分、融点160〜180℃)
・トヨタ社製 商品名「S−12」(D体含有率:0.1モル%、MFR:8g/10分、融点160〜180℃)
(2)難燃剤
・クラリアント社製 有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤(商品名「OP1312」)
・クラリアント社製 ポリリン酸アンモニウム系難燃剤(商品名「AP422」)
(3)ガラス繊維
・オーエンスコーニング社製 商品名「FT592」
(4)フッ素樹脂系ドリップ防止剤
・ダイキン社製 商品名「FA500C」
・スリーエム社製 商品名「MM5935EF」
・三菱レイヨン社製 商品名「A3700」
(5)有機スルホン酸バリウム塩
・竹本油脂社製 商品名「TLA114」
(6)有機スルホン酸バリウム塩以外の結晶核剤
・竹本油脂社製 有機スルホン酸カリウム系結晶核剤(商品名「TLA140」)
・新日本理化社製 トリメシン酸アミド系結晶核剤(商品名「TF−1」)
(7)(メタ)アクリル酸エステル化合物
・日本油脂社製 エチレングリコールジメタクリレート(商品名「ブレンマーPDE−50」)(以下、「EGDM」と称する)
(8)過酸化物
・日本油脂社製 ジ−t−ブチルパーオキサイド(商品名「パーブチルD」)
(9)加水分解抑制剤
・日清紡ケミカル社製 イソシアネート変性カルボジイミド(商品名「LA−1」)(イソシアネート基含有率1〜3%)
・松本油脂社製 カルボジイミド(商品名「EN160」)
(10)グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤
・三菱レイヨン社製 グリシジルメタクリレート変性コアシェル型シリコーン・アクリルゴム系耐衝撃剤(商品名「メタブレンS2200」)
(11)グリシジルメタクリレート含有ポリマー
・日本油脂製 エチレングリシジルメタクリレート・アクリロニトリルスチレングラフト共重合体(商品名「モディパーA4400」)
(実施例1)
樹脂組成物100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂として3001Dを49.6質量部、難燃剤としてOP1312を28質量部、有機スルホン酸バリウム塩としてTLA144を1.0質量部、フッ素樹脂系ドリップ防止剤としてFA500Cを0.5質量部、加水分解抑制剤としてLA−1を1.3質量部とEN160を1.3質量部、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤としてS2200を5質量部ドライブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製 商品名「TEM26SS」)の根元供給口から供給した。バレル温度180℃、スクリュー回転数150rpm、吐出速度20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出を実施した。この際、ガラス繊維としてFT592を13質量部シリンダ内にサイドから供給した。同時に、樹脂組成物全量に対して(メタ)アクリル酸エステル化合物としてEGDMを0.1質量部および過酸化物としてパーブチルDを0.2質量部とを、シリンダ内にサイドから注入した。
押出機先端から吐出された樹脂をペレット状にカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、(松井製作所製 熱風乾燥機P0−80)を用いて70℃で24時間熱風乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製 IS−80G型射出成形機)を用いて、金型表面温度を105℃として、一般物性測定用試験片(ASTM型)を作製し、各種測定に供した。
(実施例2〜11、および比較例1〜8)
ポリ乳酸樹脂、難燃剤、ガラス繊維、結晶核剤、ドリップ防止剤、加水分解抑制剤、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤、(メタ)アクリル酸エステル化合物、過酸化物の有無、配合量又は種類を表1および表2の通りに変えて、実施例1と同様の操作を行って樹脂組成物を得た。ついで、実施例1と同様にしてそれぞれの樹脂組成物のペレットを得た。該ペレットを実施例1と同様にして射出成形した後、試験片を作製し、各種測定に供した。
実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に示す。
Figure 2011057803
Figure 2011057803
表1から明らかなように、実施例1〜11においては、難燃性、耐衝撃性、柔軟性、耐熱性、耐久性、成形性が何れも優れた結果が得られた。実施例のうち、実施例2はフッ素樹脂系ドリップ防止剤が含有されていなかったため、実施例1と比較して、難燃性(残炎時間)に改善の余地を残す結果となった。
実施例3においては、難燃剤として有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤を用いず、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤を用いたため、実施例1と比較して、難燃性(残炎時間)に改善の余地を残す結果となった。
実施例5においては、(メタ)アクリル酸エステル化合物および過酸化物を用いなかったため、実施例1と比較して、成形性に改善の余地を残す結果となった。
実施例11においては、ポリ乳酸樹脂として、分子鎖中のD体成分の比率が、0.6モル%以下のポリ乳酸樹脂を用いたため成形性に顕著に優れた結果が得られた。
一方、比較例1および2においては、有機スルホン酸バリウム塩以外の結晶核剤を用いたため成形性には優れていたが、難燃性に劣る結果となった。
比較例3においては、有機スルホン酸バリウム塩を用いなかったため、耐熱性と成形性に劣る結果となった。
比較例4においては、難燃剤の配合量が少なかったため、難燃性に劣る結果となった。
比較例5においては、ガラス繊維の含有量が少なかったため、難燃性に劣り、燃焼試験の際にドリップが見られた。
比較例6においては、有機スルホン酸バリウム塩の含有量が少なかったため、耐熱性と成形性に劣る結果となった。
比較例7においては、加水分解抑制剤の含有量が少なかったため、耐湿熱性に劣る結果となった。
比較例8においては、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を用いなかったため、耐衝撃性に劣る結果となった。
比較例9においては、難燃剤の配合量が多すぎたため、強度、破断歪、耐衝撃性に劣る結果となった。
比較例10においては、有機スルホン酸バリウム塩の配合量が多すぎたため、破断歪、耐衝撃性に劣る結果となった。
比較例11においては、グリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤の配合量が多すぎたため、曲げ強度に劣る結果となった。
比較例12においては、グリシジルメタクリレート含有ポリマーを配合したが、コアシェル型耐衝撃剤でなかったため、耐衝撃性に劣る結果となった。

Claims (7)

  1. 全100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂を25〜85質量部、難燃剤を10〜40質量部、ガラス繊維を5〜55質量部、加水分解抑制剤を0.1〜10質量部、有機スルホン酸バリウム塩を0.03〜5質量部およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を1〜15質量部含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 難燃剤が有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. フッ素樹脂系ドリップ防止剤を0.1〜1質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. ポリ乳酸樹脂を50質量部以上含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. (メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜20質量部および過酸化物0.1〜20質量部とともに溶融混練されることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. ポリ乳酸樹脂中のD体成分の比率が0.6モル%以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れかの項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 難燃性樹脂組成物の製造方法であって、全100質量部のうち、ポリ乳酸樹脂25〜85質量部、難燃剤を10〜40質量部、ガラス繊維を5〜55質量部、加水分解抑制剤を0.1〜10質量部、有機スルホン酸バリウム塩を0.03〜5質量部およびグリシジルメタクリレート変性コアシェル型耐衝撃剤を1〜15質量部溶融混練することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
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