JP2011052170A - 硬化性塗布組成物および硬化被膜 - Google Patents

硬化性塗布組成物および硬化被膜 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な被膜を形成でき、組成物としての保存安定性に優れた硬化性塗布組成物を提供する。
【解決手段】ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンと、溶剤とからなる硬化性塗布組成物において、主溶剤として水酸基を含まず、かつ沸点が80〜130℃である溶剤を用いる。得られる硬化性塗布組成物は保存安定性に優れ、均一で平坦な、耐熱性にも優れた硬化被膜を形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンと溶剤とからなり、架橋して硬化させることのできる塗布組成物、および形成された硬化被膜に関するものである。本発明による塗布組成物は、液体状態での保存安定性に優れ、塗布硬化時に均一で平滑な膜を形成することができるものである。
半導体素子や液晶素子の分野においては、高集積化、高速化、多機能化等の要求に応えるために、基板上に形成されるパターンの微細化や多層化が急速に進んでおり、製造プロセスに伴って発生する素子平面の凹凸を平坦化する技術が不可欠となっている。そして、半導体素子や液晶素子の基板製造において使用される平坦化膜や層間絶縁膜として、SOG(スピンオングラス)と呼ばれる、硬化後にシリカ系の被膜を与える塗布液がよく用いられる。この手法は、アルコキシシランの加水分解物等を含む塗布液を、基材上にスピンコート法等により塗布した後、加熱処理することによって揮発成分を焼き飛ばし、Si−O−Si結合を残してシリカ系被膜を形成する方法である。
このような平坦化膜や層間絶縁膜では、後段に加熱プロセスが繰り返されることが多いため、より耐熱性の高い樹脂が必要とされており、例えばヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、当該ポリシロキサンに適用できる溶剤について、各種有機溶媒を用いることができることの記載があるが、好ましい組み合わせについては記載がなく、実施例として開示されたのはTHF(テトラヒドロフラン)のみであり、また各種有機溶剤による溶液の保存安定性についても記載がなかった。
一方、特許文献2には、SOG法に用いるシロキサンポリマーと溶剤を含むシリカ系硬化性塗布組成物について記載されており、用いることのできる溶剤として、ブタノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロトン性溶剤が多く例示されており、沸点が110〜170℃の溶剤を55%以上含むものであることが開示されている。しかし、特許文献2のシロキサンポリマーはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を含まないものであった。
したがって、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンと溶剤を含む塗布組成物において、良好な塗布性や、組成物としての保存安定性をもたらす溶剤との組み合わせについては、いずれの文献にも記載も示唆もなく、好ましい組み合わせは知られていなかった。
国際公開WO2005/010077号パンフレット 特開2006−160811号公報
ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンと溶剤とからなる硬化性塗布組成物について、組成物としての保存安定性に優れ、良好な硬化被膜を与える組み合わせについては知られていなかった。しかし、実際には、上記のポリシロキサンに従来多用されてきたプロトン性溶剤を用いると良好な被膜を形成できず、塗布組成物は製造後、時間経過に伴って分子量の増大やゲル物の発生が認められた。したがって、本発明が解決しようとする課題は、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基およびヒドロシリル基を有するポリシロキサンと、溶剤とからなる硬化性塗布組成物において、良好な被膜を形成でき、組成物としての保存安定性に優れた組み合わせを与えることである。
一般式(1)に表されるポリシロキサンと溶剤とからなる硬化性塗布組成物において、上記溶剤の主要成分組成(主溶剤)に水酸基を含まず、かつ沸点が80〜130℃である溶剤を用いるときに、硬化性塗布組成物は、保存安定性に優れ、均一で平坦な硬化被膜を形成することができることを見出して本発明を完成させた。
Figure 2011052170
〔式中、Aはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基、または炭素数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0または1であり、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)であり、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R4は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)であり、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、vおよびzは正の数であり、w、xおよびyは0または正の数であり、w、xおよびyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0.01≦z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3およびR4の少なくともいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基である。〕
すなわち本発明は、保存安定性に優れ、均一で平滑な硬化被膜を形成することができる硬化性塗布組成物およびその硬化被膜を提供するものである。
本発明の硬化性塗布組成物は、保存安定性に優れ、常温で1ヶ月以上ゲル化を起こす事なく保存できる。また、本発明による硬化性塗布組成物は、塗布性に優れ、均一で平滑な硬化被膜を与えることができる。スピンコート法による塗布性には特に適したものである。さらに、本発明の硬化性塗布組成物による硬化被膜は、耐熱性にも優れたものである。
以下、本発明の硬化性塗布組成物および硬化被膜について、好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
<硬化性塗布組成物>
本発明の硬化性塗布組成物は、ポリシロキサンと溶剤とからなるものである。
本発明におけるポリシロキサンは、一般式(1)で表される。
Figure 2011052170
〔式中、Aはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基、または炭素数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0または1であり、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)であり、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R4は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)であり、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、vおよびzは正の数であり、w、xおよびyは0または正の数であり、w、xおよびyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0.01≦z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3およびR4の少なくともいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基である。〕
上記一般式(1)において、v、w、x、yおよびzは、ポリシロキサン1分子が含有する各構成単位の個数の割合の平均値を意味する。vおよびzは正の数であり、w、xおよびyは0または正の数であり、w、xおよびyのうち少なくとも1つは正の数である。
上記一般式(1)において、vは、好ましくは5〜100、より好ましくは6〜80、更に好ましくは7〜60、特に好ましくは8〜40である。
上記一般式(1)において、Aは、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基である。この有機基Aは、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素の二重結合または三重結合を持つ官能基であれば特に限定されない。その具体例は、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。本発明のポリシロキサンが、上記有機基Aを2個以上含む場合、1分子中の有機基Aは、互いに同一であってよいし、異なってもよい。上記有機基Aとしては、原料が得やすく、炭素数が少ないビニル基および反応性の良好なパラスチリル基が好ましい。炭素数が少ないことは、ポリシロキサン硬化物を無機成分の割合が大きいものとし、耐熱性の優れたものにすることにつながる。
上記一般式(1)において、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基(2価の脂肪族基)、炭素数6〜20の2価の芳香族基または炭素数3〜20の2価の脂環族基である。炭素数1〜20のアルキレン基には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基等が例示される。炭素数6〜20の2価の芳香族基にはフェニレン基、ナフチレン基が例示される。また炭素数3〜20の2価の脂環族基には、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格あるいはアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基等が例示される。
また、上記一般式(1)において、nは0または1である。炭素数が少ないほうが硬化被膜の耐熱性が高くなるので、n=0が好ましい。
上記一般式(1)において、wは、好ましくは0〜40、より好ましくは0〜30、更に好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10である。
上記一般式(1)において、R2は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらは、脂肪族基および脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状および分岐状のいずれでもよい。ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基としては、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素の二重結合または三重結合を持つ官能基であれば特に限定されず、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。1分子中のR2は同種であってよく、また2種以上の異種の組み合わせであってもよい。R2としては、炭素数が少なく、ポリシロキサン硬化物が耐熱性に優れることから、水素原子、メチル基およびビニル基が好ましい。
上記一般式(1)において、xは、好ましくは0〜40、より好ましくは0〜30、更に好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10である。
上記一般式(1)において、R3は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、直鎖状、分岐状または環状でも差し支えない。ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合基としては、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素の二重結合または三重結合を持つ官能基であれば特に限定されず、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。1分子中のR3は同種であってよく、また2種以上の異種の組み合わせであってもよい。R3としては、ポリシロキサンの硬化反応に参加でき、炭素数が少なく、ポリシロキサン硬化物が耐熱性に優れることから、水素原子およびビニル基が好ましい。
上記一般式(1)において、R4は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、直鎖状、分岐状または環状でも差し支えない。ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基としては、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素の二重結合または三重結合を持つ官能基であればいずれでもよく、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。1分子中のR4は同種であってよく、また2種以上の異種の組み合わせであってもよい。R4としては、良好な反応性や炭素数が少ないということから、水素原子、メチル基およびビニル基が好ましく、原料や中間製品の扱いやすさの面からメチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)において、yは、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.5〜30、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは2〜10である。
上記一般式(1)において、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。
上記一般式(1)において、zは、好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.2〜10、更に好ましくは0.3〜8、特に好ましくは0.5〜5である。
上記一般式(1)において、v、wおよびxの間の好ましい関係は、0≦x/(v+w)≦2であり、より好ましくは0≦x/(v+w)≦1、更に好ましくは0≦x/(v+w)≦0.7、特に好ましくは0≦x/(v+w)≦0.5である。x/(v+w)が大きすぎると、無触媒下での加熱硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
v、wおよびyの間の好ましい関係は、0≦y/(v+w)≦2であり、より好ましくは0≦y/(v+w)≦1、更に好ましくは0≦y/(v+w)≦0.7、特に好ましくは0≦y/(v+w)≦0.4である。y/(v+w)が大きすぎると、無触媒下での加熱硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、v、w、x、yおよびzの間の好ましい関係は、0.01≦z/(v+w+x+y)≦1であり、より好ましくは0.02≦z/(v+w+x+y)≦0.5、特に好ましくは0.03≦z/(v+w+x+y)≦0.3である。z/(v+w+x+y)が小さすぎると、無触媒下での加熱硬化性が低下する傾向にある。一方、z/(v+w+x+y)が大きすぎると、ポリシロキサンの保存安定性が低下したり、加熱硬化物の耐熱性が低下したりする傾向にある。
但し、w=0のとき、R2、R3およびR4の少なくとも1つは、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基である。
上記一般式(1)におけるv、w、x、yおよびzが上記条件を満たすポリシロキサンは、低粘度であって取り扱い作業性に優れ、均一で平滑で耐熱性に優れた硬化被膜を形成する。
本発明で用いるポリシロキサンは数平均分子量が300〜30000の範囲にあるものが溶剤に溶け易く、組成物の粘度も扱い易い程度であり、保存安定性がよいので好ましい。数平均分子量は500〜15000がより好ましく、700〜10000がさらに好ましく、1000〜5000が特に好ましい。数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により、例えば、カラムとして日立化成工業株式会社製GL−A130−S(多孔性微小球状ポリマーゲル)を使用し、溶離液としてトルエンを使用し、標準物質としてポリスチレンを使用して求めることができる。
本発明で用いるポリシロキサンは25℃において液体状であるものが好ましい。25℃においてE型粘度計で測定した粘度が30000mPa・s以下であることが好ましく、10000mPa・s以下であることがより好ましく、5000mPa・s以下であることが更に好ましく、3000mPa・s以下であることが特に好ましい。但し、上記粘度の下限は、通常、1mPa・sである。
本発明における主溶剤は、水酸基を含まず、かつ沸点が80〜130℃であることを特徴とする。主溶剤とは全ての溶剤の重量に対して51wt%以上の割合を占める溶剤のことを言う。元来、シロキサンポリマーは無極性溶媒には溶け難いことが知られており、特許文献2に開示されているように、ブタノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロトン性溶剤を用いることが常識となっていたが、本発明で用いるポリシロキサンにおいては、主溶剤が水酸基を含んでいると、保存中にポリシロキサンの分子量が増大したり、塗布組成物全体がゲル化したり、塗膜にブツを生じたりしてしまうという思いがけない現象が起きた。
これに対して、本願発明の組成物では、分子量の増大やゲル化が起きにくく、保存安定性に優れるだけでなく、硬化被膜の均一性も優れている。この理由として考えられるのは、本願発明の組成物に用いるポリシロキサンが炭素―炭素不飽和結合を有する構造を持っていることであり、水酸基を含まない主溶剤を用いるほうが溶解性や均一性がよい。さらに、主溶剤が特定の沸点を有するものである結果、組成物の塗布乾燥性に優れ、平滑性の高い硬化被膜が得られるという、特殊な効果を奏する原因となっていると考えられる。
主溶剤は、また、含水率が低く、および/または比誘電率が低いものが好ましい。含水率が低いことや、比誘電率が低いということは、従来技術である、「水酸基を有して極性の高い溶剤」とは、正反対の物性であることを意味するから、含水率が低く、および/または比誘電率が低い主溶剤を選択するとき、その作用は水酸基を持たない主溶剤と同様である。ここで言う含水率とは、重量基準含水率u(%)のことであり、uは式(2)で定義される。
u=WW/(WS+WW)×100 (2)

式(2)においてWSは水分を含まない溶剤の重量、WWは溶剤中に含まれる水分の重量である。含水率は低い方が硬化性塗布組成物の保存安定性が向上するので、好ましい含水率uは10%未満であり、さらに好ましくは5%未満であり、より好ましくは1%未満であり、特に好ましくは0.1%未満である。含水率が0%である溶剤は大気中で存在しないか、または入手困難であるため、好ましい下限値は1ppm以上である。なお、溶剤の含水率はカールフィッシャー滴定法などの公知の方法で容易に測定することができる。
比誘電率εrは、JIS C 2101:1999に基づき、式(3)で定義される。

εr=(試料を充填した時の電極間の静電容量F)/(試料を入れない状態の電極間の静電容量F) (3)

比誘電率は低い方が、硬化性塗布組成物の保存安定性が向上するが、比誘電率=1の溶剤は存在しないため、好ましい比誘電率は1より大きく15以下である。
主溶剤として、水酸基を含むプロトン系溶剤を用いると保存安定性が著しく低下するため、好ましいのは、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系の溶剤であり、具体的には、ノルマルオクタン(n−オクタン)、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸ノルマルプロピル、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、酢酸イソプロピル、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等が例示できる。これらの中でさらに好ましいのはノルマルオクタン、メチルイソブチルケトン、トルエンであり、中でもノルマルオクタンが好ましい。
本発明で用いる溶剤は主溶剤と少なくとも1種類の副溶剤との混合溶剤としても良い。混合溶剤とすれば、溶剤の蒸発速度を調整することができ、結果的に膜厚を調整することができる。副溶剤としては主溶剤と混合できるものならば何でも使用できるが、本発明で用いるポリシロキサンを溶解する溶剤が好ましく、その例としては、脂肪族系炭化水素溶剤、芳香族系炭化水素溶剤、塩素化炭化水素溶剤、アルコール溶剤、エーテル溶剤、アミド溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、セロソルブ溶剤等の各種有機溶剤を挙げることができる。また、硬化性塗布組成物の乾燥時間を制御するために、副溶剤としては、主溶剤の沸点よりも10℃以上低いかもしくは高い沸点を持つものを用いることが好ましい。
本発明の硬化性塗布組成物におけるポリシロキサンの濃度DP(%)は特に限定されないが、1〜95%であることが好ましい。さらに好ましくは、3〜50%である。
ポリシロキサン濃度DP(%)は式(4)で定義される。
P=WP/(WP+WS)×100 (4)

なお、式(4)におけるWPはポリシロキサンの重量(g)、WSは溶剤の重量(g)である。
本発明の硬化性塗布組成物は、一般式(1)で表されるポリシロキサンと溶剤とからなるものであるが、本発明の効果を妨げない限り、他の成分を併用することができる。
例えば、塗布用途に用いられる組成物に添加してもよいものとして一般的に知られている、レベリング剤、湿潤剤、防カビ剤、分散剤、抗菌剤、粘度調整剤、つや消し剤、顔料などの各種添加剤を併用しても良く、その配合量も任意であるが、好ましくは本発明の塗布組成物に対して1〜100質量%程度である。
添加剤の1例としては、表面張力調整剤をあげることができ、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等のものを使用することができる。これら表面張力調整剤を添加することにより、基材に対する濡れ性が向上し、基材上に形成される液状被膜のレベリング性を改善して、ぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を防止することができる。
また、ヒドロシリル化を促進するような触媒を添加することができる。ヒドロシリル化触媒としては、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等の第8属から第10属金属の単体、有機金属錯体、金属塩、金属酸化物等が挙げられる。通常、白金系触媒が使用される。白金系触媒としては、cis−PtCl2(PhCN)2、白金カーボン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、塩化白金酸、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金等が例示される。
これらのうち、特に好ましくは1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体である。なお、Phはフェニル基を表す。触媒の使用量は、多くするほど硬化が早くなるが、一方で少ない方が硬化性塗布組成物の保存安定性は向上するので、ポリシロキサンの量に対して、0.1質量ppm〜1000質量ppmであることが好ましく、0.5〜100質量ppmであることがより好ましく、1〜10質量ppmであることが更に好ましい。
ヒドロシリル化反応用の触媒を使用する場合、触媒が添加されたポリシロキサンのゲル化抑制および保存安定性向上のため、ヒドロシリル化反応抑制剤が添加されてもよい。ヒドロシリル化反応抑制剤の例としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール類、ハイドロパーオキサイド、窒素原子、イオウ原子またはリン原子を含有するヒドロシリル化反応抑制剤などが挙げられる。
本発明の硬化性塗布組成物は、25℃においてE型粘度計で測定した粘度が10000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましい。但し、上記粘度の下限は、通常、0.1mPa・sである。
次に、基材上に塗布膜を形成する行程について説明する。
ポリシロキサン硬化物皮膜を形成させることのできる基材としては、塗工により塗膜を形成できる材質及び形状を有する構造体であれば使用可能である。但し、耐熱性の低い基材を使用する場合、ポリシロキサン硬化温度の上限は、基材が耐えうる温度となる。
基材の構成材料は、通常、無機材料、有機材料、あるいは、これらの組み合わせによる材料である。好ましい材料としては、金属、合金、セラミックス、木材、プラスチック等が挙げられる。また、その形状としては、シート、板、立方体、直方体、角錐、円錐、線状体(直線、曲線等)、環状体(円形、多角形等)、管、球等の定形体、凹凸、溝、貫通孔、角部等を有する不定形体が挙げられる。具体的には、板状ガラス、シリコンウエハ、各種の形状に加工したプラスチック、建材、各種の形状に加工した金属等が挙げられる。また、これら材料の大きさにも限定はない。
塗工方法としては、公知のものが適用でき、風乾、加熱、減圧等の公知の揮散方法によって溶剤を留去することにより、基材表面に塗布膜が形成される。公知の塗工方法として、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等があげられるが、ウエハ等の小面積の平面上に均一な薄膜を作製する上では、スピンコートが特に好ましい。
塗布膜の硬化は、触媒の有無に関わらず、空気中で行われてもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。但し、ポリシロキサン中にアルコキシシリル基が存在している間は、アルコキシシリル基が加水分解反応できる程度に水分を含む雰囲気であることが好ましい。空気中であれば、アルコキシシリル基が加水分解反応できる程度に水分を含んでいるので、十分な硬化を進めることができる。本発明においては、前段の硬化は空気中で行い、後段の硬化を空気中または不活性ガス雰囲気中で行うのは好ましい方法である。
硬化温度は特に限定されないが、塗布膜が厚い場合、例えば3μmより厚い膜のとき、硬化温度を100℃より高くするとクラックが生じやすく、逆に塗布膜が薄い場合、例えば500nmより薄い膜のとき、800℃以上に加熱してもクラックが生じない。熱硬化により、溶剤や揮発成分が揮発するほか、ヒドロシリル基とヒドロシリル化可能な炭素−炭素不飽和基との間でヒドロシリル化反応が起こり、Si−C−C−Si間の架橋結合が生成するため、硬化被膜は非常に耐熱性の高いものとなる。
得られた塗布膜の厚さは、エリプソメータやプリズムカプラ、水晶振動子型膜厚計などにより算出することができる。特に膜厚の範囲は限定されないが、1μm未満であればスピンコートによる塗布で、1μm以上であれば、他の塗工方法を用いることが一般的である。
また、硬化被膜の平滑性の評価としての表面粗さの数値化はJIS B 0601(1994)に定義のある算術平均面粗さRaで表すことができる。Raは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値のことであり、走査プローブ顕微鏡などにより測定、算出することができる。本発明の硬化性塗布組成物により得ることのできる硬化被膜として、好ましくは、算術平均面粗さRaが50nm未満。より好ましくは10nm未満。特に好ましくは5nm未満である。
<合成例1>
1000ml四つ口フラスコに磁気回転子、滴下ロート、還流冷却器、温度計を装着し、系内を窒素気流した。ここにトリエトキシシラン147.84g(900mmol)、トリメトキシビニルシラン44.47g(300mmol)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン40.30g(300mmol)、2−プロパノール144.24g、キシレン216.36gを秤取し、反応系を窒素雰囲気にした。1.59%塩酸65.92gと2−プロパノール72.12gの混合液を滴下ロートから室温で徐々に加えながらかき混ぜた。滴下終了後、反応液を室温で18時間静置した。
次いで、反応液から、水を含む揮発性成分を減圧留去(温度:23℃〜60℃、圧力:52〜1mmHg)し、わずかに淡黄色の液体(以下、「ポリシロキサン(P1)」という。)93.7gを得た。このポリシロキサン(P1)について、GPCにより、数平均分子量(Mn)を測定したところ、1800であった。また、E型粘度計により、25℃における粘度を測定したところ、700mPa・sであった。
表1に、ケイ素化合物の組成概算値(モル比)及び得られたポリシロキサンの物性値を示した。
Figure 2011052170
なお、Mnは数平均分子量を示し、Viはビニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基を示す。
組成概算値の求めかたは、例えばポリシロキサン(P1)をC66(重ベンゼン)溶媒中1H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)の測定を行う。そして得られた測定値を以下のように解析する。すなわち、ケミカルシフトδ(ppm)が−0.2〜0.6のシグナルはSi−CH3の構造に基づき、δ(ppm)が0.9〜1.5は(OCH(CH32、およびOCH2CH3)、δ(ppm)が3.5〜4.1はOCH2CH3、δ(ppm)が4.1〜5.5はOCH(CH32,Si−H、5.7〜6.4はCH=CH2に基づくと考えられるので、各々のシグナル強度積分値から、側鎖に関する連立方程式を立てることができる。また、構造単位DおよびTについては、仕込んだモノマーがほぼそのままポリシロキサンに組み込まれることが分かっているので、各モノマーの仕込み値とNMR測定値とから、ポリシロキサンに含まれる各構成単位のモル比を決定した。
ポリシロキサンに含まれる各構成単位のモル比と、ポリシロキサンの数平均分子量Mnの値があれば、ポリシロキサン1分子あたりの各構成単位を平均個数単位で算出することができるので、1分子当たりに含まれる平均個数として表2に示した。
合成例2〜5については、合成例1に記載の原料モノマーを一部変更もしくは他のモノマーを追加して合成した。合成例1と同様にして、合成例2〜5のケイ素化合物の仕込み量とNMR測定に基づく構成単位のモル比及び上記物性を表1に示し、表1に記載したMnおよび各構成単位のモル比から、ポリシロキサン1分子あたりに含まれる各構成単位の平均個数を求めて表2に示した。
Figure 2011052170
なお、Viはビニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基を示す。
得られた塗布膜の均一性と平滑性の評価は、最も塗布膜の反射がよく見えるように基材の角度を変えて行い、ストライエーションと言われる放射状のスジやゆず肌と呼ばれる塗布膜のへこみなどの有無を調べ、均一で平滑なものは○、スジや凹みなどの不均一部分が見つかったら×の評価として結果を表3にまとめた。
また、表面粗さの数値化は上記の不均一部分を避けて、目視では平滑で均一に見える部分を選び、走査プローブ顕微鏡を用いて、10μm×10μmの領域でJIS B 0601(1994)に定義のある算術平均面粗さRaを測定して結果を表3にまとめた。
硬化性塗布組成物の保存安定性の評価は以下の方法で行った。評価する硬化性組成物を蓋のできるガラス製サンプル瓶に入れることにより溶剤をできるだけ蒸発させない状態で、温度23℃プラスマイナス2℃、相対湿度50%プラスマイナス5%の範囲内で保たれた恒温恒湿室で1ヶ月間保存し、開始時および1ヵ月後の重量平均分子量(Mw)をGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフ)により測定することにより評価した。評価の基準として、1ヵ月保存後のMwを開始時のMwで割った数字を「重量平均分子量の変化率DM」として、その値が5未満であるものを保存安定性が良好であると判断し、逆に重量平均分子量変化率が5以上のもの、または1ヶ月以内にゲル化していたもの、つまり液状を保てなくなったものを保存安定性が不良と判断した。評価結果を表3に示す。
以下の実施例に用いる溶剤は市販の溶剤を用い、使用前にカールフィッシャー滴定法により、含水率を測定した。各溶剤の含水率(質量ppm)を表3にまとめた。
<実施例1>
合成例1で得られたポリシロキサン(P1)を用い、溶剤としてn−オクタンを用いて、ポリシロキサン濃度DP=50%となるように溶剤1gに樹脂1gを溶解して本発明の硬化性塗布組成物を得た。0.2μmのフィルタに通した後の塗布組成物の粘度は25℃において5mPa・sだった。シリコンウエハにスピンコーターを用いて塗工して、被膜を得た。スピンコートの詳細な手順として、2秒間200rpmで回転した後、8秒間1500回転した。塗工被膜を乾燥器で150℃で2時間加熱することにより、硬化被膜を得た。製膜の前後の精密重量測定から、平均膜厚は3μmと算出された。
得られた硬化被膜は、目視では完全に均一で平滑であったので任意の面を選んでRaの測定を行った。
硬化被膜の耐熱性を評価するために、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、150℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
硬化性塗布組成物の保存安定性の評価は、硬化性塗布組成物を9ml容量の蓋つきガラス製サンプル瓶に5g入れて、温度23℃プラスマイナス2℃、相対湿度50%プラスマイナス5%の範囲内で保たれた恒温恒湿室で1ヶ月保存し、重量平均分子量変化率DMを算出した。
<実施例2>
合成例1で得られたポリシロキサン(P1)を用い、溶剤としてをn−オクタンを用いて、ポリシロキサン濃度DP=10%となるように溶剤9gに樹脂1gを溶解して塗布液を得た。スピンコートの詳細な手順として、20秒間500rpmで回転した後、30秒間2500回転した。それ以外は実施例1と同様な方法で、硬化被膜を得た。硬化被膜の膜厚はエリプソメーターで測定して250nmであった。実施例と同様に各種評価を行った結果を表3に示す。また、耐熱試験として、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、800℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
<実施例3>
合成例2で得られたポリシロキサン(P2)を用いること以外は、実施例2と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。硬化被膜の膜厚はエリプソメーターで測定して190nmであった。また、耐熱試験として、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、800℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
<実施例4>
合成例3で得られたポリシロキサン(P3)を用いること以外は、実施例2と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。硬化被膜の膜厚はエリプソメーターで測定して190nmであった。また、耐熱試験として、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、800℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
<実施例5>
合成例4で得られたポリシロキサン(P4)を用いること以外は、実施例2と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。硬化被膜の膜厚はエリプソメーターで測定して210nmであった。また、耐熱試験として、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、800℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
<実施例6>
合成例5で得られたポリシロキサン(P5)を用いること以外は、実施例2と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。硬化被膜の膜厚はエリプソメーターで測定して240nmであった。また、耐熱試験として、上記の被膜をシリコンウエハとともに電気炉に入れ、800℃で6時間加熱し、冷却後に取り出してみたが、外見上に全く変化なく、光学顕微鏡で観察してもクラックは認められなかった。
<実施例7>
溶剤をn−オクタンからメチルイソブチルケトン(MIBK)に変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<実施例8>
溶剤をn−オクタンからトルエンに変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例1>
溶剤をn−オクタンから2−プロパノール(IPA)に変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例2>
溶剤をn−オクタンから酢酸エチルに変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例3>
溶剤をn−オクタンから2−イソプロポキシプロパン(DIPE)に変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例4>
溶剤をn−オクタンからヘキサンに変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例5>
溶剤をn−オクタンからキシレンに変更する以外は実施例1と同様な方法で得られた硬化被膜の評価、および残った塗布液の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例6>
溶剤をn−オクタンからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例7>
溶剤をn−オクタンから乳酸エチルに変更する以外は実施例1と同様な方法で、得られた硬化被膜の評価、および硬化性塗布組成物の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2011052170
なお、MIBKはメチルイソブチルケトン、IPAは2−プロパノール、DIPEは2−イソプロポキシプロパン、PGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略称である。
主溶剤の沸点が80℃よりも低い、比較例1〜4ではストライエーションが多く認められ、主溶剤の沸点が130℃よりも高い比較例5〜7ではゆず肌が多く認められた。
また、主溶剤の分子内に水酸基が含まれない比較例2〜6ではDMの値は実施例と同程度であったが、分子内に水酸基を持つ2−プロパノールを主溶剤とした比較例1では、保存試験1ヵ月後の重量平均分子量の変化率DMの値が特に大きく、また、分子内に水酸基を持つ乳酸エチルを溶剤とする比較例7では、硬化性塗布組成物にゲル化が起きて1ヵ月後には全体が瓶の中で固化していたため、1ヵ月後の分子量が測定できなかった。
本発明であるポリシロキサンの硬化性塗布組成物は耐熱性の硬化被膜の形成に有用である。本発明によって得られる硬化被膜は、耐熱性の他、耐水性、耐薬品性、安定性、電気絶縁性および耐擦傷性等の機械的強度等においても良好な諸特性を有することから、エレクトロニクス分野、光機能材料分野、航空宇宙分野をはじめとする広範な分野における物品あるいは部品等の被膜や層として用いることができる。半導体等におけるパッシベーション膜、レジスト膜、層間絶縁膜等にも用いることができ、各種の保護膜としても使用できるものである。

Claims (5)

  1. 一般式(1)に表されるポリシロキサンと溶剤とからなり、分子内に水酸基を含まず、かつ沸点が80〜130℃である有機溶剤を全溶剤量の51質量%以上含む、硬化性塗布組成物。
    Figure 2011052170

    〔式中、Aはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R1は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20の2価の芳香族基、または炭素数3〜20の2価の脂環族基であり、nは0または1であり、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)であり、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基であり、R4は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)であり、R5は炭素数1〜6のアルキル基であり、vおよびzは正の数であり、w、xおよびyは0または正の数であり、w、xおよびyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0.01≦z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3およびR4の少なくともいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基を有する炭素数2〜10の有機基である。〕
  2. 比誘電率が1より大きく15未満である有機溶剤を全溶剤量の51質量%以上含む、請求項1に記載の硬化性塗布組成物。
  3. n−オクタン、メチルイソブチルケトン、トルエンのうちの1種類以上から選択される有機溶剤を全溶剤量の51質量%以上含む、請求項1または2に記載の硬化性塗布組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性塗布組成物を熱硬化させて形成される、硬化被膜。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性塗布組成物を用い、スピンコート法を用いて物品に形成される、算術平均面粗さが10nm未満の硬化被膜。
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