JP2011047357A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】過渡状態において、実際に燃焼室に供給される新気量が、都度の目標スロットル開度、目標EGR開度及び目標VCT位相に応じた定常状態における新気量からずれることによる排気特性悪化の改良。
【解決手段】電スロディレー処理により設定されるディレー時間内において、アクセル操作量に基づき、基本となる目標スロットル開度(ベース目標スロットル開度)や目標EGR開度、目標VCT位相等を算出する。そして、これら目標値に基づき、各アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量と、過渡状態における実際の新気量とのずれ量(過渡新気ずれ量)を予測する。そして、過渡新気ずれ量に基づき、目標スロットル開度補正量を算出する。
【選択図】図1
【解決手段】電スロディレー処理により設定されるディレー時間内において、アクセル操作量に基づき、基本となる目標スロットル開度(ベース目標スロットル開度)や目標EGR開度、目標VCT位相等を算出する。そして、これら目標値に基づき、各アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量と、過渡状態における実際の新気量とのずれ量(過渡新気ずれ量)を予測する。そして、過渡新気ずれ量に基づき、目標スロットル開度補正量を算出する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃焼室から排気通路へと排出される排気の一部を前記燃焼室に供給する手段を有する内燃機関の燃焼制御システムに適用される内燃機関の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、内燃機関の燃焼室から排気通路に排出される排気の一部を排気還流通路を介して外部EGRとして吸気通路に流入させる外部EGR制御や、機関バルブのバルブ特性(バルブタイミング)を可変とするバルブ特性可変装置により機関バルブのバルブ特性を調節することで上記排気の一部を内部EGRとして燃焼室に供給する内部EGR制御を行うものが知られている。外部EGR制御や内部EGR制御によれば、外部EGR量や内部EGR量を機関運転状態毎に規定される目標値に制御することができ、ひいては燃費低減効果や排気特性の向上を図ることが可能となる。
また、上記制御装置の中には、下記特許文献1〜3に見られるように、機関運転状態が変化する過渡状態において外部EGR制御及び内部EGR制御の協調制御を行うことで、過渡状態における燃焼状態を良好なものとすべく外部EGR量や内部EGR量を適切な量に制御するものもある。
しかしながら、上記協調制御によれば、過渡状態における外部EGRや内部EGRを適切な量に制御することはできるものの、外部EGR制御や内部EGR制御に伴い燃焼室に供給される新気量が変化し得る。この場合、過渡状態における新気量を精度良く把握することができず、過渡状態における内燃機関の燃焼制御精度が低下するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、過渡状態における内燃機関の燃焼制御精度の低下を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、内燃機関の燃焼室から排気通路へと排出される排気の一部を排気還流通路を介して吸気通路に流入させる外部EGR手段及び機関バルブのバルブ特性を調節することで前記排気の一部を前記燃焼室に供給する内部EGR手段のうち少なくとも1つを含む前記内燃機関の燃焼制御のための複数のアクチュエータを備えて構成される内燃機関の燃焼制御システムに適用され、前記アクチュエータの制御量をその目標値に制御する内燃機関の制御装置において、前記複数のアクチュエータの制御量の変化に基づき、該複数のアクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量と、過渡状態における実際の新気量とのずれ量を予測する新気変化予測手段と、前記予測されるずれ量に基づき、前記複数のアクチュエータのうち前記外部EGR手段及び前記内部EGR手段以外のアクチュエータの制御量の目標値を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
上記アクチュエータの制御量が変化することで、外部EGR手段によって吸気通路に流入する上記排気の一部(外部EGR)の量や、内部EGR手段によって燃焼室に供給される上記排気の一部(内部EGR)の量、更には燃焼室に供給される新気量が変化する。この際の上記各量は、上記アクチュエータの制御量を固定した定常状態におけるものとは相違し得る。このため、上記アクチュエータの制御量が、定常状態において新気量等の上記各量を燃焼制御にとって適切なものとするように適合されている場合、これら制御量は、過渡状態においては燃焼制御にとって適切なものとならないおそれがある。この点、上記発明では、上記アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量と過渡状態における実際の新気量とのずれ量を予測し、このずれ量に基づき上記アクチュエータのうち外部EGR手段及び内部EGR手段以外のアクチュエータの制御量の目標値を補正する。これにより、過渡状態における燃焼制御精度の低下を抑制することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数のアクチュエータは、前記吸気通路を流れる新気量を調節するスロットルバルブの開度をその目標値に調節するためのスロットルアクチュエータを含むものであり、前記補正手段は、前記予測されるずれ量に基づき、前記スロットルバルブの開度の目標値を補正することを特徴とする。
上記発明では、過渡状態における上記ずれ量に基づきスロットルバルブの開度(スロットル開度)の目標値を補正し、スロットル開度をこの補正された目標値とすべくスロットルアクチュエータを操作する。これにより、過渡状態における上記ずれを好適に抑制することができ、ひいては過渡状態における燃焼制御精度の低下を好適に抑制することができる。
なお、上記内燃機関が火花点火式内燃機関であって、且つ内燃機関の制御装置が燃焼室に供給される混合気の空燃比(実空燃比)をその目標値(目標空燃比)に制御する手段を備える場合、過渡状態における実空燃比の制御性を向上させることができ、ひいては実空燃比が目標空燃比から大きくずれる事態を回避することができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記複数のアクチュエータは、前記内部EGR手段を含むものであり、前記内部EGR手段の制御量の目標値を変化させてから、該内部EGR手段が作動し前記燃焼室に供給される内部EGR量が変化し始めるまでの時間が、前記スロットルバルブの開度の目標値を変化させてから、前記スロットルバルブの開度の変化により前記燃焼室に供給される新気量が変化し始めるまでの時間よりも長いことを特徴とする。
スロットル開度が変更されてから燃焼室に供給される新気量が変化し始めるまでには一定の時間を要する。一方、吸気通路を介して燃焼室に供給される新気や外部EGRとは異なり、内部EGRは、排気通路から燃焼室へと直接供給されるため、内部EGR手段が作動してから燃焼室に供給される内部EGR量が変化し始めるまでの時間は通常、上記一定の時間よりも短いものとなる。このため、スロットル開度の変更が燃焼室に供給される新気量に影響を及ぼす以前において、内部EGRの供給量が変化すると、内部EGRの供給量の変化に基づく上記ずれ量の増大を適切に抑制することができなくなるおそれがある。この点、上記発明では、内部EGR量の変化に基づく上記ずれ量を反映して、スロットル開度の目標値を補正することができる。これにより、過渡状態における上記ずれ量をいっそう好適に抑制することができ、ひいては燃焼制御精度の低下をいっそう好適に抑制することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記内燃機関は、火花点火式内燃機関であり、前記複数のアクチュエータは、点火プラグを含むものであり、前記予測されるずれ量に基づき、EGR率を予測するEGR率予測手段を更に備え、前記補正手段は、前記予測されるEGR率に基づき、前記点火プラグによる点火タイミングの目標値を補正することを特徴とする。
燃焼室に供給される新気量と、外部EGR及び内部EGRの総量との割合(EGR率)が低いと、ノッキングが生じやすくなる。この点、上記発明では、上記新気変化予測手段により予測された上記ずれ量に基づき、過渡状態におけるEGR率を予測することができる。そして、予測されたEGR率に基づき、点火タイミングの目標値を補正する。これにより、過渡状態においてノッキングが生じる事態を好適に回避することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記複数のアクチュエータは、前記吸気通路を流れる新気量を調節するスロットルバルブの開度をその目標値に調節するためのスロットルアクチュエータを含むものであり、前記新気変化予測手段は、前記外部EGR手段の制御量の目標値及び前記内部EGR手段の制御量の目標値のうち少なくとも1つと、前記スロットルバルブの開度の目標値に基づき、前記ずれ量を予測することを特徴とする。
燃焼室に供給される内部EGR量は、スロットルバルブの開度(スロットル開度)及び内部EGR手段の制御量に基づき定まる。一方、吸気通路に流入する外部EGR量は、スロットル開度及び外部EGR手段の制御量に基づき定まる。ここで、スロットル開度、外部EGR手段の制御量及び内部EGR手段の制御量はその目標値に制御される。このため、スロットル開度、外部EGR手段の制御量及び内部EGR手段の制御量の各目標値は、その後吸気通路に流入する外部EGR量や燃焼室に供給される内部EGR量を予測するためのパラメータとなる。上記発明では、この点に鑑み、上記各目標値を用いることで、過渡状態における外部EGRの流入量や、内部EGRの供給量の変化に基づく上記ずれ量を適切に予測することができる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記複数のアクチュエータの制御量の目標値を変化させるタイミングを同期させて遅延させる遅延手段を更に備え、前記新気変化予測手段は、前記目標値を変化させる前に前記ずれ量を予測することを特徴とする。
上記発明では、上記目標値を変化させるタイミングを同期させて遅延させることで、過渡状態における上記ずれ量を予測するための時間を適切に確保することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の制御装置をガソリンエンジンシステムに適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下、本発明にかかる内燃機関の制御装置をガソリンエンジンシステムに適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示されるエンジン10は、火花点火式内燃機関である。エンジン10の吸気管12には、上流側から順に、吸入される新気量を検出するエアフローメータ14及びスロットルバルブ16が設けられている。スロットルバルブ16は、DCモータ等のアクチュエータ(スロットルアクチュエータ17)によってその開度(スロットル開度)が調節されることで吸気管12を流れる新気量を調節する電子制御式の弁体である。
スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18には、吸気管12の圧力(吸気管圧力)を検出する吸気圧センサ20が設けられている。サージタンク18の下流側は、吸気マニホールド22を介してエンジン10の各気筒の燃焼室24と接続されている。吸気マニホールド22において各気筒の吸気ポート近傍には、燃料(ガソリン)を噴射供給する電磁駆動式の燃料噴射弁26が設けられている。
エンジン10の各気筒の吸気ポート及び排気ポートのそれぞれは、吸気バルブ28及び排気バルブ30のそれぞれにより開閉される。ここでは、吸気バルブ28の開弁によって燃料噴射弁26により噴射供給される燃料と新気との混合気が燃焼室24に導入され、燃焼室24に突出して設けられる点火プラグ32の火花放電によって混合気が着火され燃焼に供される。燃焼によって発生したエネルギは、ピストン34を介して、エンジン10の出力軸(クランク軸36)の回転エネルギとして取り出される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁によって排気として排気管38へと排出される。
上記吸気バルブ28及び排気バルブ30の開閉タイミング(バルブタイミング)は、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング装置(吸気側及び排気側VCT装置40、42)により可変とされている。詳しくは、吸気側及び排気側VCT装置40,42は、クランク軸36に対する吸気側カム軸及び排気側カム軸の相対的な回転角度を調節するための吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構と、これら可変バルブタイミング機構の駆動力として油圧ポンプから可変バルブタイミング機構に供給される作動油の油圧を調節するための吸気側及び排気側の電磁駆動式の油圧制御弁とを備えて構成される。これら油圧制御弁が操作されることで上記油圧が調節され、吸気バルブ28及び排気バルブ30のバルブタイミングを調節することが可能となる。
吸気管12においてスロットルバルブ16とサージタンク18との間は、排気還流通路(EGR通路44)を介して排気管38と接続されている。EGR通路44には、同通路の流路面積を調節するEGRバルブ46が設けられている。EGRバルブ46は、DCモータ等のアクチュエータ(EGRアクチュエータ47)によってその開度(EGR開度)が調節される電子制御式の弁体である。EGRバルブ46の開度に応じて、排気管38に排出された排気の一部が、EGRクーラ48によって冷却された後に、外部EGRとして吸気管12に供給される。ちなみに、排気管38において、排気管38とEGR通路44との接続部よりも下流側には、上流側から順に、排気中の酸素濃度や未燃成分(CO,HC及びH2等)に基づき混合気の実際の空燃比(実空燃比)を検出する全領域空燃比センサ(A/Fセンサ49)や、排気浄化を行うための排気後処理システムとして排気中のNOx、HC及びCOを浄化する図示しない三元触媒が設けられている。
エンジン10には、クランク軸36近傍でクランク軸36の回転角度を検出するクランク角度センサ50や、吸気側カム軸の回転角度を検出する吸気側カム角センサ52、排気側カム軸の回転角度を検出する排気側カム角センサ54が設けられている。
アクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルセンサ56や、実際のスロットル開度(実スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ58、実際のEGR開度(実EGR開度)を検出するEGR開度センサ60、クランク角度センサ50、吸気側カム角センサ52、排気側カム角センサ54等の出力信号は、電子制御装置(以下、ECU62)に入力される。
ECU62は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。ECU62は、上記各センサからの入力信号に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、スロットルアクチュエータ17による新気量制御や、燃料噴射弁26による燃料噴射制御、点火プラグ32による点火制御、吸気バルブ28及び排気バルブ30の開閉タイミングの制御(バルブタイミング制御)等、エンジン10の燃焼制御を行う。ちなみに、燃料噴射制御は、A/Fセンサ49の出力値から算出される実空燃比を理論空燃比付近に設定される目標値(目標空燃比)に一致させるべく、エアフローメータ14の出力値から算出される新気量等に基づき燃料噴射弁26を操作することで燃料噴射量を調節するものである。
特に、ECU62は、排気還流制御(外部EGR制御、内部EGR制御)を行う。この制御は、エンジン10の燃費低減効果を向上させることを目的として行われるものである。詳しくは、外部EGR制御は、EGR開度センサ60の出力値に基づく実EGR開度を、機関運転状態毎に規定される目標値(目標EGR開度)に制御すべくEGRアクチュエータ47を操作するものである。また、内部EGR制御は、クランク角度センサ50、吸気側カム角センサ52及び排気側カム角センサ54の出力値に基づき、吸気バルブ28及び排気バルブ30の双方を開弁させる期間(バルブオーバーラップ量)を調節することで、排気管38に排出された排気の一部を内部EGRとして燃焼室24に再度供給すべく吸気側VCT装置40を操作するものである。詳しくは、吸気バルブ28の実際のバルブタイミング(実VCT位相)を機関運転状態毎に規定されるバルブオーバーラップ量を実現するためのVCT位相の目標値(目標VCT位相)に制御する。上記排気還流制御によれば、燃焼室24に新気とともに比熱の大きい不活性ガス(CO2等)を多く含む排気が供給される。これにより、燃焼室24の温度を低下させることでノッキングを抑制しつつ点火タイミングを進ませたり(進角させたり)、ポンピングロスを低減させたりすることができ、ひいては燃費低減効果を向上させることが可能となる。
上記スロットル開度の目標値(目標スロットル開度)、目標EGR開度及び目標VCT位相は、ECU62においてマップ演算されるものである。このマップ(定常マップ)は、定常状態(各種アクチュエータの制御量が固定されて十分な時間が経過した状態)において、燃焼状態を良好なものとするための新気量、外部EGR量及び内部EGR量を目標値として与えるものである。すなわち、予め実験等により、機関運転状態を示すパラメータの離散的な値のそれぞれに対して燃焼状態を良好なものとするスロットル開度、EGR開度及びVCT位相を目標値として適合することで作成されたものである。そして、このように作成された定常マップを用いて燃焼制御を行うことで、燃焼状態を良好なものとすることができ、ひいては燃費低減効果を向上させることが可能となる。なお、本実施形態では、上記機関運転状態を示すパラメータとして、アクセル操作量や、クランク角度センサ50の出力値に基づくエンジン回転速度を用いる。
しかしながら、アクセル操作量の変化に伴って、目標スロットル開度とともに目標EGR開度や目標VCT位相が変更される状況下、外部EGR制御や内部EGR制御によって新気量の調節精度が低下することがある。つまり、外部EGR制御により吸気管12に流入する外部EGR量や内部EGR制御により燃焼室24に供給される内部EGR量が変化する状態(過渡状態)においては、実際に燃焼室24に供給される新気量が、アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量からずれることで、排気特性が悪化するおそれがある。例えば、上記過渡状態において実際に燃焼室24に供給される新気量が、定常状態における新気量よりも多くなる場合、過渡状態において燃焼室24に供給される混合気の実空燃比が目標空燃比からリーン側に大きくずれることに起因して、排気特性が悪化したり、ノッキングが生じたりするおそれがある。
こうした問題の対処法としては、過渡状態においてEGRアクチュエータ47や吸気側VCT装置40の駆動速度を低下させることで、外部EGRや内部EGRが燃焼室24に供給される新気量に及ぼす影響を小さくしたり、実空燃比と目標空燃比とのずれに応じて燃料噴射量を補正したりすることも考えられる。しかしながら、前者の対策では、実EGR開度や実VCT位相が各目標値に到達するまでの時間が長期化することに起因して、外部EGR制御や内部EGR制御によって得られる燃費低減効果が低下するおそれがある。また、後者の対策では、燃料噴射量の補正量を機関運転状態毎に予め実験により適合することが要求されるため、適合作業に要求される工数が膨大なものとなるおそれがある。
そこで本実施形態では、燃焼室24に供給される新気量についての定常状態と過渡状態とのずれ量を補償するように、目標スロットル開度を補正することで、過渡状態における実空燃比の制御性の低下を抑制する。ここで、上記ずれ量は、数値解析等によって算出可能なものであるため、上記ずれ量を補償する処理手段を構築する際の工数は、燃料噴射量の補正量を適合する際の工数と比較して格段に低減される。以下、これについて詳述する。
まず、過渡状態における新気量、外部EGR量及び内部EGR量の推移を、以下の(A)〜(C)の場合について説明する。
<(A)スロットルアクチュエータ17及びEGRアクチュエータ47の双方を同時に駆動させる場合>
図2に、スロットルアクチュエータ17及びEGRアクチュエータ47の双方を同時に駆動させる場合における吸気管圧力(図中「●」にて表記)の推移と、燃焼室24に供給される新気量及び外部EGR量の総量(以下、吸入空気量、図中「■」にて表記)との推移を示す。詳しくは、図2は、エンジン回転速度が一定の場合において、スロットル開度及びEGR開度が所定量増大される場合における吸気管圧力及び吸入空気量の計算結果である。
図2に、スロットルアクチュエータ17及びEGRアクチュエータ47の双方を同時に駆動させる場合における吸気管圧力(図中「●」にて表記)の推移と、燃焼室24に供給される新気量及び外部EGR量の総量(以下、吸入空気量、図中「■」にて表記)との推移を示す。詳しくは、図2は、エンジン回転速度が一定の場合において、スロットル開度及びEGR開度が所定量増大される場合における吸気管圧力及び吸入空気量の計算結果である。
図示されるように、スロットル開度及びEGR開度の増大によって吸入空気量が吸気管圧力に比例して増大する。これは、スロットル開度及びEGR開度が増大する状況下における吸入空気量の推移は、吸気管圧力をパラメータに含む下記の数式(1)で表すことができるためである。ここでは、吸入空気量me、充填効率η、吸気管体積Vin、吸気温度Tin、吸気管圧力Pin、ガス定数Rを用いている。
me=(η×Vin×Pin)/(2×R×Tin)…(1)
一方、図3に、図2に示した吸入空気量の推移のうち、燃焼室24に供給される新気量及び外部EGR量のそれぞれの推移を示す。図示されるように、時刻t1から時刻t2までの期間において、過渡状態における新気量(図中「●」にて表記)は、定常状態における新気量(図中「×」にて表記)よりも多くなる。これに対し、過渡状態における外部EGR量(図中「◆」にて表記)は、定常状態における外部EGR量(図中「*」にて表記)よりも少なくなる。これは、図4(b)に示すように、EGR開度の増大によって吸気管12内に流入する外部EGR量が増大することで、吸気管12において外部EGRの濃度が高くなることで圧力が上昇し、それよりも下流側に存在する新気が押されて燃焼室24に供給されるためである。これにより、図4(a)に示すように吸気管12のうちの外部EGRの流入箇所よりも下流側において新気と外部EGRとが一様に分布している定常状態と比較して、過渡状態では、燃焼室24に供給される新気量は多くなるのに対し、燃焼室24に供給される外部EGR量は少なくなる。そしてその後、燃焼室24に供給される外部EGR量が遅れて増大することで、新気量及び外部EGR量は定常状態における量へと収束する。
me=(η×Vin×Pin)/(2×R×Tin)…(1)
一方、図3に、図2に示した吸入空気量の推移のうち、燃焼室24に供給される新気量及び外部EGR量のそれぞれの推移を示す。図示されるように、時刻t1から時刻t2までの期間において、過渡状態における新気量(図中「●」にて表記)は、定常状態における新気量(図中「×」にて表記)よりも多くなる。これに対し、過渡状態における外部EGR量(図中「◆」にて表記)は、定常状態における外部EGR量(図中「*」にて表記)よりも少なくなる。これは、図4(b)に示すように、EGR開度の増大によって吸気管12内に流入する外部EGR量が増大することで、吸気管12において外部EGRの濃度が高くなることで圧力が上昇し、それよりも下流側に存在する新気が押されて燃焼室24に供給されるためである。これにより、図4(a)に示すように吸気管12のうちの外部EGRの流入箇所よりも下流側において新気と外部EGRとが一様に分布している定常状態と比較して、過渡状態では、燃焼室24に供給される新気量は多くなるのに対し、燃焼室24に供給される外部EGR量は少なくなる。そしてその後、燃焼室24に供給される外部EGR量が遅れて増大することで、新気量及び外部EGR量は定常状態における量へと収束する。
<(B)スロットルアクチュエータ17及び吸気側VCT装置40の双方を同時に駆動させる場合>
図5に、スロットルアクチュエータ17のみを駆動させる場合における吸気管圧力(図中「▲」にて表記)の推移と、スロットルアクチュエータ17及び吸気側VCT装置40の双方を同時に駆動させる場合における吸気管圧力(図中「●」にて表記)の推移とを示す。詳しくは、図5は、エンジン回転速度が一定の場合において、スロットル開度を所定量増大させて且つVCT位相を所定角度進角させる場合における吸気管圧力の計算結果である。
図5に、スロットルアクチュエータ17のみを駆動させる場合における吸気管圧力(図中「▲」にて表記)の推移と、スロットルアクチュエータ17及び吸気側VCT装置40の双方を同時に駆動させる場合における吸気管圧力(図中「●」にて表記)の推移とを示す。詳しくは、図5は、エンジン回転速度が一定の場合において、スロットル開度を所定量増大させて且つVCT位相を所定角度進角させる場合における吸気管圧力の計算結果である。
図示されるように、スロットル開度を増大させて且つVCT位相を進角させる場合、スロットル開度のみを増大させる場合と比較して、吸気管圧力が所定圧力に収束するまでの時間が長くなる。これは、図6(a)に示すようにVCT位相の進角による内部EGR量(図中「○」にて表記)の増大に起因して、燃焼室24の圧力が上昇することで、吸気管圧力と燃焼室24との差圧が小さくなるためである。これにより、図6(b)に示すように吸入空気量(図中「■」にて表記)が減少することで、吸気管圧力の収束時間が長くなる。なお、図6に、VCT位相が変化する期間を時刻t1〜t2の期間として示した。
一方、吸気側VCT装置40の駆動が停止され、VCT位相が一定となる時刻t2以降における吸入空気量の推移は、同図6(b)に示すように、サージタンク18の容量に応じた応答遅れ(吸気遅れ)を伴うものとなり、先に示した式(1)で表現できるものとなる。以上より、VCT位相が変化する期間においては、内部EGR量が定常状態における量に追従するのに対し、この内部EGR量の変化に起因して吸入空気量は一旦減少することがわかる。図6(c)に、外部EGR量がゼロである場合について、VCT位相の変化に起因した新気量の推移を示す。
<(C)スロットルアクチュエータ17、EGRアクチュエータ47及び吸気側VCT装置40の3つを同時に駆動させる場合>
上記3つのアクチュエータを同時に駆動させる場合の過渡状態における新気量は、上記(A)及び(B)の場合の過渡状態における新気量の推移に基づき説明することが可能である。すなわち、図7(a)に示すように、スロットル開度を増大させて且つVCT位相を進角させる場合、内部EGR量の増大によって、図7(b)に示すように、定常状態における吸入空気量(図中「*」にて表記)の推移と、過渡状態における吸入空気量(図中「■」にて表記)の推移とにずれが生じる。なお、ここで、図7(c)に示すように、図7(b)に示した過渡状態における吸入空気量の推移は、過渡状態における新気量(図中「◆」にて表記)の推移と外部EGR量の推移とに分解可能である。この新気量は、上記(A)の場合で説明した理由から、定常状態における量よりも一旦多くなった後、少なくなることで定常状態における量に収束する。
上記3つのアクチュエータを同時に駆動させる場合の過渡状態における新気量は、上記(A)及び(B)の場合の過渡状態における新気量の推移に基づき説明することが可能である。すなわち、図7(a)に示すように、スロットル開度を増大させて且つVCT位相を進角させる場合、内部EGR量の増大によって、図7(b)に示すように、定常状態における吸入空気量(図中「*」にて表記)の推移と、過渡状態における吸入空気量(図中「■」にて表記)の推移とにずれが生じる。なお、ここで、図7(c)に示すように、図7(b)に示した過渡状態における吸入空気量の推移は、過渡状態における新気量(図中「◆」にて表記)の推移と外部EGR量の推移とに分解可能である。この新気量は、上記(A)の場合で説明した理由から、定常状態における量よりも一旦多くなった後、少なくなることで定常状態における量に収束する。
以上、上記(A)〜(C)の考察から、スロットルアクチュエータ17や、EGRアクチュエータ47、吸気側VCT装置40をアクセル操作量の変化に応じて駆動させることに伴う過渡状態における新気量が、これらアクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量とならない理由が判明した。そして、この過渡的な新気の挙動は、これらアクチュエータの変化前の制御量とその変化量とに基づき予測可能である。したがって、各アクチュエータの都度の制御量毎に定まる定常状態における新気量(以下、定常点推移新気量)と、各アクチュエータの都度の制御量に応じた過渡状態における新気量(以下、過渡時推移新気量)とのずれ量(過渡新気ずれ量)についても予測可能である。そして、予測される過渡新気ずれ量を補償するように目標スロットル開度を補正することで、過渡状態における実空燃比の制御性の低下を抑制することができると考えられる。
ここで、図8を用いて、上記過渡新気ずれ量を補償するための目標スロットル開度の補正処理(目標スロットル開度補正処理)について説明する。
ここでは、過渡新気ずれ量を予測するための時間を確保するために、電スロディレー処理を行う。電スロディレー処理は、アクセル操作量の変化開始時(時刻t1)から所定時間(t2−t1)をディレー時間として設定し、ディレー時間の経過後に、目標スロットル開度、目標EGR開度及び目標VCT位相を同期させて変化させる処理である。このディレー時間内に上記過渡新気ずれ量を予測し、目標スロットル開度の補正量(目標スロットル開度補正量)を算出する処理を行う。
上記過渡新気ずれ量の予測では、まず、図8(a)に示すアクセル操作量に基づき、図8(b)、図8(c)及び図8(e)に一点鎖線にて示すように、基本となる目標スロットル開度(ベース目標スロットル開度)、目標EGR開度及び目標VCT位相を算出する。
次に、上記各アクチュエータの目標値と、ディレー時間経過後に想定される各アクチュエータの制御量(実スロットル開度、実EGR開度、実VCT位相)とに基づき、図8(d)に示すように、EGR開度変化時新気ずれ量を予測する。EGR開度変化時新気ずれ量は、VCT位相を固定して且つスロットル開度及びEGR開度を変化させる場合において、定常点の新気量と、過渡状態の実際の新気量とのずれ量として予測される。本実施形態では、EGR開度変化時新気ずれ量が正の値となる場合、上記過渡状態の実際の新気量が上記定常点の新気量よりも多くなるものとする。なお、上記想定される各アクチュエータの制御量は、上記スロットルアクチュエータ17及びEGRアクチュエータ47の応答特性(時刻t2〜時刻t3までのむだ時間、応答時間)や、吸気側VCT装置40の応答特性(時刻t2〜時刻t4までのむだ時間、応答時間)を加味して予測されるものである。また、上記EGR開度変化時新気ずれ量の予測において、実スロットル開度、実EGR開度及び実VCT位相を用いるのは、燃焼室24に供給される新気量、外部EGR量及び内部EGR量の現在値が相違すると、その後の新気量の推移が相違するためである。
一方、上記各アクチュエータの目標値と、ディレー時間経過後に想定される上記想定される各アクチュエータの制御量とに基づき、図8(g)に示すように、VCT位相変化時新気ずれ量を予測する。VCT位相変化時新気ずれ量は、EGR開度を固定して且つスロットル開度及びVCT位相を変化させる場合において、定常点の新気量と、過渡状態の実際の新気量とのずれ量として予測される。本実施形態では、VCT位相変化時新気ずれ量が正の値となる場合、上記過渡状態の実際の新気量が上記定常点の新気量よりも多くなるものとする。
その後、図8(h)に示すように、上記EGR開度変化時新気ずれ量及び上記VCT位相変化時新気ずれ量の加算値として、過渡新気ずれ量(図中破線)を算出する。そして、過渡新気ずれ量の絶対値を反転させた値として、過渡時推移新気量を定常点推移新気量(図8(f))とするために要求される新気の補正量(目標新気補正量、図中実線)を算出し、目標新気補正量に基づき、目標スロットル開度補正量を算出する。具体的には、過渡新気ずれ量が正の値として多いほど、過渡時推移新気量が定常点推移新気量を上回る量が多くなるため、目標スロットル開度が小さくなるように目標スロットル開度補正量が算出される。そして、目標スロットル開度補正量と上記ベース目標スロットル開度との加算値を最終的な目標スロットル開度として算出する。その後、図8(b)、図8(c)及び図8(e)に示すように、ディレー時間が経過する時刻t2から、上記目標スロットル開度、目標EGR開度及び目標VCT位相を同期させて変化させる。これにより、過渡新気ずれ量を抑制することが可能となる。
なお、実スロットル開度が変更されてから燃焼室24に供給される新気量が変化し始めるまでには、サージタンク18の容量に起因する新気及び外部EGRの吸気遅れに起因して一定の時間(吸気遅れ時間)を要する。これに対し、吸気管12を介して燃焼室24に供給される新気や外部EGRとは異なり、内部EGRは、排気管38から燃焼室24へと直接供給されるため、実VCT位相が変更されてから燃焼室24に供給される内部EGR量が変化し始めるまでの時間は、上記吸気遅れ時間よりも短いものとなる。一方、本実施形態における吸気側VCT装置40は油圧駆動式であるのに対し、スロットルアクチュエータ17やEGRアクチュエータ47は電動駆動式である。このため、目標VCT位相を変化させてから吸気側VCT装置40が実際に駆動するまでの応答遅れ時間は、目標スロットル開度及び目標EGR開度を変化させてからスロットルアクチュエータ17及びEGRアクチュエータ47が実際に駆動するまでの応答遅れ時間と比較して長いものとなる。このような理由から、本実施形態においては、これら各アクチュエータの制御量の目標値を同期させて変化させてから実VCT位相が変化し始めるまでの時間は、上記目標値を同期させて変化させてから実スロットル開度が変化し始めるまでの時間と上記吸気遅れ時間とを加算した時間よりも長いものとなる。このため、上記VCT位相変化時新気ずれ量を目標スロットル開度補正処理によって補償することが可能となる。
図9に、本実施形態にかかる目標スロットル開度補正処理の手順を示す。この処理は、ECU62によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、アクセルセンサ56の出力値から算出されるアクセル操作量の変化量ΔACCPが所定の閾値αよりも大きいか否かを判断する。この処理は、上記過渡新気ずれ量を予測すべく上記電スロディレー処理を開始するか否かを判断するためのものである。
ステップS10においてアクセル操作量の変化量ΔACCPが所定の閾値αよりも大きいと判断された場合には、ステップS12に進み、上記アクセル操作量に基づき、上記ベース目標スロットル開度を算出する。続くステップS14では、上記アクセル操作量に基づき、目標EGR開度及び目標VCT位相を算出する。更にステップS16では、上記アクセル操作量に基づき、定常点推移新気量を算出する。実際には、ここでの定常点推移新気量は、VCT位相を固定して且つスロットル開度及びEGR開度を変化させる場合における定常点の新気量と、EGR開度を固定して且つスロットル開度及びVCT位相を変化させる場合における定常点の新気量との2つの量である。
ステップS16の処理の完了後、ステップS18において、上記EGR開度変化時新気ずれ量の予測を行う。そして、ステップS20では、上記VCT位相変化時新気ずれ量の予測を行う。
続くステップS22では、上記EGR開度変化時新気ずれ量及び上記VCT位相変化時新気ずれ量の加算値として、上記過渡新気ずれ量を算出する。そして、過渡新気ずれ量に基づき、上記目標新気補正量を算出する。
続くステップS24では、目標新気補正量に基づき、上記目標スロットル開度補正量を算出する。そして、ステップS26において、上記ベース目標スロットル開度と目標スロットル開度補正量との加算値として最終的な目標スロットル開度を算出する。
ちなみに、上記ディレー時間経過後にこれら目標値を同期させて変化させる手法としては、具体的には、上記ディレー時間経過前の各演算タイミングにおいて算出された上記目標値をECU62のメモリ(揮発性メモリ)内に都度記憶しておき、上記ディレー時間経過後に、都度算出される目標値を上記メモリに記憶された目標値に変更すればよい。
なお、上記ステップS10において否定判断された場合や、ステップS26の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
次に、図10に、本実施形態にかかる目標スロットル開度補正処理による効果の計算結果を示す。詳しくは、図10(a)に、実EGR開度及び実VCT位相の推移を示し、図10(b)に、実スロットル開度の推移を示し、図10(c)に、実空燃比の推移を示す。
図示されるように、目標スロットル開度補正処理を行うことで、過渡状態における実空燃比と目標空燃比とのずれ量ΔA/Fが0.7となった。これに対し、目標スロットル開度補正処理を行わない従来技術によれば、上記ずれ量ΔA/Fが3.8となった。
このように、本実施形態では、目標スロットル開度補正処理を行うことで、過渡状態における実空燃比と目標空燃比とのずれ量ΔA/Fを好適に抑制(3.8→0.7)することができ、ひいては過渡状態における排気特性の悪化を好適に回避することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)EGR開度変化時新気ずれ量及びVCT位相変化時新気ずれ量の加算値として過渡新気ずれ量を予測した。そして、過渡新気ずれ量に基づき算出される目標スロットル開度補正量と、ベース目標スロットル開度との加算値として最終的な目標スロットル開度を算出した。これにより、外部EGR制御及び内部EGR制御に起因する過渡新気ずれ量を抑制することで、実空燃比が目標空燃比から大きくずれる事態を回避することができ、ひいては排気特性の悪化を好適に回避するとともに、外部EGR制御及び内部EGR制御による燃費低減効果の向上を図ることができる。
(2)電スロディレー処理によってディレー時間を設定し、このディレー時間内に過渡新気ずれ量を予測した。これにより、過渡新気ずれ量を予測するための時間を適切に確保することができる。
(3)吸気側VCT装置40を油圧駆動式のものとした。これにより、VCT位相変化時新気ずれ量を目標スロットル開度補正処理によって十分に補償することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、各アクチュエータの制御量が変化する際の各アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態におけるEGR率(定常点推移EGR率)と、過渡状態における実際のEGR率(過渡時推移EGR率)とのずれ量を予測し、予測されたずれ量に基づき、点火プラグ32による点火タイミングの目標値(目標点火タイミング)を遅らせる(遅角させる)処理(目標点火タイミング補正処理)を行う。この処理は、過渡状態においてノッキングが生じる事態を回避するためのものである。つまり、通常、点火タイミングを進角させると、燃費低減効果が向上する一方、ノッキングが生じやすくなる。ここで、EGR率が高くなると、燃焼が緩慢になるため、ノッキングが生じにくくなる。このため、目標点火タイミングを、機関運転状態毎の燃焼室24に供給される新気量、外部EGR量及び内部EGR量と関連付けて設定することで、ノッキングの発生を抑制しつつも燃費低減効果を向上させることが可能となる。しかしながら、過渡状態においては、外部EGR制御や内部EGR制御により燃焼室24に供給される吸入空気量の実際のEGR率が、定常状態におけるEGR率からずれるおそれがある。この場合、目標点火タイミングで点火プラグ32によって放電火花を生じさせても、ノッキングが生じるおそれがある。
図11に、本実施形態にかかる目標点火タイミング補正処理の手順を示す。この処理は、ECU62によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図11において、先の図9に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS22の処理が完了する場合、ステップS28において、EGR率予測処理を行う。この処理は、過渡状態におけるEGR率を予測するためのものである。具体的には、まず、先の図9に示したステップS18、S20において予測されたEGR開度変化時新気ずれ量及びVCT位相変化時新気ずれ量の加算値として上記過渡新気ずれ量を予測する。そして、各アクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量、外部EGR量及び内部EGR量から算出される上記定常点推移EGR率と、上記過渡新気ずれ量とに基づき、上記過渡時推移EGR率を予測することが可能となる。
続くステップS30では、目標点火タイミング補正処理を行う。具体的には、上記定常点推移EGR率に対して過渡時推移EGR率が低いほど、目標点火タイミングを遅角させる。
なお、上記ステップS10において否定判断された場合や、ステップS30の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、過渡時推移EGR率を予測し、定常点推移EGR率に対して過渡時推移EGR率が低いほど点火プラグ32による点火タイミングを遅角させることで、過渡状態においてノッキングが生じる事態を好適に回避することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・内部EGR制御においてバルブオーバーラップ量を調節する手法としては、吸気バルブ28のバルブタイミングのみを調節するものに限らない。例えば、吸気バルブ28及び排気バルブ30の双方のバルブタイミングを調節することで、バルブオーバーラップ量を調節するものとしてもよい。また、内部EGR制御としては、バルブオーバーラップ量を設定するものに限らず、排気行程において燃焼室24の排気が全て排出される前に排気バルブ30を閉弁させることで、燃焼室24に排気を残留させるものとしてもよい。
更に、バルブ特性可変装置としては、機関バルブのバルブタイミングを可変とするものに限らない。例えば、機関バルブのリフト量を可変とするものとしてもよい。この場合、機関バルブのリフト量を調節することで、内部EGR制御を行ってもよい。
・上記各実施形態では、VCT装置を油圧駆動式のものとしたがこれに限らず、電動駆動式のものとしてもよい。この場合、目標VCT位相を変化させてからVCT装置が実際に駆動するまでの応答遅れ時間が、目標スロットル開度を変化させてから実スロットル開度が変化し始めるまでの時間と、上記吸気遅れ時間とを加算した時間よりも短くなり得る。この場合、目標VCT位相の変化開始タイミングを目標スロットル開度の変化開始タイミングよりも遅延させる処理を行えばよい。
・過渡新気ずれ量の予測手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、上記EGR開度変化時新気ずれ量及び上記VCT位相変化時新気ずれ量のそれぞれを個別に予測することなく過渡新気ずれ量を一括して予測してもよい。
・上記各実施形態において、電スロディレー処理を行うようにしたがこれに限らず、上記処理を行わないようにしてもよい。この場合、過渡新気ずれ量を予測する処理及び目標スロットル開度補正量の算出処理に要する時間の経過時点以降における過渡新気ずれ量を予測し、これに応じた目標スロットル開度補正量を算出すればよい。
・排気還流制御としては、外部EGR制御及び内部EGR制御の双方を行うものに限らず、これらのうちいずれか1つの制御を行うものであってもよい。
・上記第2の実施形態において、定常点推移EGR率に対して過渡時推移EGR率が低いほど、目標点火タイミングを遅角させる処理を行ったがこれに限らない。例えば、定常点推移EGR率に対して過渡時推移EGR率が高い場合、目標点火タイミングを進角させる処理を行ってもよい。この場合、点火タイミングを進角させることで、内燃機関の燃費低減効果の向上が期待できる。更に、上記目標点火タイミング補正処理を、上記第1の実施形態において行ってもよい。目標スロットル開度補正処理によれば、過渡状態において燃焼室24に供給される新気量の調節精度が優先されるため、過渡時推移EGR率が、定常点推移EGR率からずれることがある。このため、目標点火タイミング補正処理を行うことで、排気特性の悪化を回避するとともに、ノッキングの発生を抑制することができる。
・上記第1の実施形態において、上記(A)〜(C)の場合に分けて、外部EGR量や内部EGR量が増大する側にアクチュエータの目標値を変化させた場合における新気量の推移を例に説明したが、外部EGR量や内部EGR量が減少する側に変化させた場合の過渡状態における新気量の推移も、数値解析等によって把握することが可能である。このため、外部EGR制御や内部EGR制御によって外部EGR量や内部EGR量が減少する状態において、実際に燃焼室24に供給される新気量と、定常状態における新気量とにずれが生じることで、実空燃比が目標空燃比からずれるおそれがあるならば、目標スロットル開度補正処理を行うことで、排気特性の悪化を回避することができる。
・内燃機関としては、ガソリンエンジンのような火花点火式内燃機関に限らない。例えばディーゼルエンジン等の圧縮着火式内燃機関であってもよい。圧縮着火式内燃機関では通常、NOx排出量の低減を目的として排気還流制御が行われている。ここで、上記EGR率予測処理によって予測されたEGR率に基づきスロットル開度を調節することで、過渡状態におけるEGR率の調節精度を向上させることができ、ひいては排気特性の悪化を回避することができる。
10…エンジン、12…吸気管、16…スロットルバルブ、17…スロットルアクチュエータ、28…吸気バルブ、30…排気バルブ、32…点火プラグ、40…吸気側VCT装置、42…排気側VCT装置、44…EGR通路、46…EGRバルブ、47…EGRアクチュエータ、62…ECU62(内燃機関の制御装置の一実施形態)。
Claims (6)
- 内燃機関の燃焼室から排気通路へと排出される排気の一部を排気還流通路を介して吸気通路に流入させる外部EGR手段及び機関バルブのバルブ特性を調節することで前記排気の一部を前記燃焼室に供給する内部EGR手段のうち少なくとも1つを含む前記内燃機関の燃焼制御のための複数のアクチュエータを備えて構成される内燃機関の燃焼制御システムに適用され、前記アクチュエータの制御量をその目標値に制御する内燃機関の制御装置において、
前記複数のアクチュエータの制御量の変化に基づき、該複数のアクチュエータの都度の制御量に応じて定まる定常状態における新気量と、過渡状態における実際の新気量とのずれ量を予測する新気変化予測手段と、
前記予測されるずれ量に基づき、前記複数のアクチュエータのうち前記外部EGR手段及び前記内部EGR手段以外のアクチュエータの制御量の目標値を補正する補正手段とを備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記複数のアクチュエータは、前記吸気通路を流れる新気量を調節するスロットルバルブの開度をその目標値に調節するためのスロットルアクチュエータを含むものであり、
前記補正手段は、前記予測されるずれ量に基づき、前記スロットルバルブの開度の目標値を補正することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記複数のアクチュエータは、前記内部EGR手段を含むものであり、
前記内部EGR手段の制御量の目標値を変化させてから、該内部EGR手段が作動し前記燃焼室に供給される内部EGR量が変化し始めるまでの時間が、前記スロットルバルブの開度の目標値を変化させてから、前記スロットルバルブの開度の変化により前記燃焼室に供給される新気量が変化し始めるまでの時間よりも長いことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、火花点火式内燃機関であり、
前記複数のアクチュエータは、点火プラグを含むものであり、
前記予測されるずれ量に基づき、EGR率を予測するEGR率予測手段を更に備え、
前記補正手段は、前記予測されるEGR率に基づき、前記点火プラグによる点火タイミングの目標値を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記複数のアクチュエータは、前記吸気通路を流れる新気量を調節するスロットルバルブの開度をその目標値に調節するためのスロットルアクチュエータを含むものであり、
前記新気変化予測手段は、前記外部EGR手段の制御量の目標値及び前記内部EGR手段の制御量の目標値のうち少なくとも1つと、前記スロットルバルブの開度の目標値に基づき、前記ずれ量を予測することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記複数のアクチュエータの制御量の目標値を変化させるタイミングを同期させて遅延させる遅延手段を更に備え、
前記新気変化予測手段は、前記目標値を変化させる前に前記ずれ量を予測することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の制御装置。
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