JP2011046934A - ポリアミド組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度及び耐熱リフロー性に優れるポリアミド組成物を提供すること。
【解決手段】(A)(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミド及び(B)芳香族ポリアミドを含有するポリアミド組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド組成物及びその成形品に関する。
ポリアミド6及びポリアミド66(以下、それぞれ、「PA6」及び「PA66」と略称する場合がある。)などに代表されるポリアミドは、成形加工性、機械物性又は耐薬品性に優れていることから、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、並びに日用及び家庭品用などの各種部品材料として広く用いられている。
自動車産業において、環境に対する取り組みとして、排出ガス低減のために、金属代替による車体軽量化の要求がある。該要求に応えるために、外装材料や内装材料などにポリアミドが一段と用いられる様になり、ポリアミド材料に対する耐熱性、強度、及び外観などの要求特性のレベルは一層向上している。中でも、エンジンルーム内の温度も上昇傾向にあるため、ポリアミド材料に対する高耐熱化の要求が強まっている。
また、家電などの電気及び電子産業において、表面実装(SMT)ハンダの鉛フリー化に対応すべく、ハンダの融点上昇に耐えることができる、ポリアミド材料に対する高耐熱化が要求されている。
PA6及びPA66などのポリアミドでは、融点が低く、耐熱性の点でこれらの要求を満たすことができない。
PA6及びPA66などの従来のポリアミドの前記問題点を解決するために、高融点ポリアミドが提案されている。具体的には、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド(以下、「PA6T」と略称する場合がある。)などが提案されている。
しかしながら、PA6Tは、融点が370℃程度という高融点ポリアミドであるため、溶融成形により成形品を得ようとしても、ポリアミドの熱分解が激しく起こり、十分な特性を有する成形品を得ることが難しい。
PA6Tの前記問題点を解決するために、PA6TにPA6及びPA66などの脂肪族ポリアミドや、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンからなる非晶性芳香族ポリアミド(以下、「PA6I」と略称する場合がある。)などを共重合させ、融点を220〜340℃程度にまで低融点化したテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンを主成分とする高融点半芳香族ポリアミド(以下、「PA6T共重合ポリアミド」と略称する場合がある。)などが提案されている。
PA6T共重合ポリアミドとして、特許文献1には、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミン及び2−メチルペンタメチレンジアミンの混合物である芳香族ポリアミド(以下、「PA6T/2MPDT」と略称する場合がある。)が開示されている。
また、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなる芳香族ポリアミドに対して、アジピン酸とテトラメチレンジアミンからなる高融点脂肪族ポリアミド(以下、「PA46」と略称する場合がある。)や、脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなる脂環族ポリアミドなどが提案されている。
特許文献2及び3には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とヘキサメチレンジアミンからなる脂環族ポリアミド(以下、「PA6C」と略称する場合がある。)と他のポリアミドとの半脂環族ポリアミド(以下、「PA6C共重合ポリアミド」と略称する場合がある。)が開示されている。
特許文献2には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合した半脂環族ポリアミドの電気及び電子部材はハンダ耐熱性が向上することが開示され、特許文献3には、該半脂環族ポリアミドの自動車部品では、流動性及び靭性などに優れることが開示されている。
特許文献4には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミンを含むジアミン単位からなるポリアミドが耐光性、靭性、成形性、軽量性、及び耐熱性などに優れることが開示されている。
また、特許文献5には、トランス/シス比が50/50から97/3である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料として用いたポリアミドが、耐熱性、低吸水性、及び耐光性などに優れることが開示されている。
特表平6−503590号公報 特表平11−512476号公報 特表2001−514695号公報 特開平9−12868号公報 国際公開第2002/048239号パンフレット
しかしながら、特許文献1〜5に開示されたポリアミドは、電気及び電子部品用などの用途において、依然として特性が十分なものではなく、さらなる改善が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、電気及び電子部品などに好適な、機械的強度及び耐熱リフロー性に優れたポリアミド組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドと、芳香族ポリアミドと、を含有するポリアミド組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
(A)(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミド、及び
(B)芳香族ポリアミド、を含有するポリアミド組成物。
〔2〕
前記(A)ポリアミドが、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドである、前記〔1〕に記載のポリアミド組成物。
〔3〕
前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド組成物。
〔4〕
前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔5〕
前記(a)ジカルボン酸が炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸をさらに含む、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔6〕
前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたポリアミドである、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔7〕
前記(A)ポリアミドの融点が、270〜350℃である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔8〕
前記(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率が、50〜85%である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔9〕
前記(B)芳香族ポリアミドが、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、ジアミンと、を重合させたポリアミドである、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔10〕
前記(B)芳香族ポリアミドが、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6I、及びこれらの共重合ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族ポリアミドである、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔11〕
前記(A)ポリアミドと前記(B)芳香族ポリアミドとの合計100質量%に対し、前記(A)ポリアミドが40質量%以上であり、前記(B)芳香族ポリアミドが60質量%以下である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔12〕
(C)無機充填材をさらに含有する、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔13〕
(D)銅化合物及び金属ハロゲン化物をさらに含有する、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物。
〔14〕
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリアミド組成物を用いて成形した成形品。
本発明によれば、機械的強度及び耐熱リフロー性に優れたポリアミド組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、(A)(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミド、及び(B)芳香族ポリアミド、を含有するポリアミド組成物である。
本実施形態において、「ポリアミド」とは、主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味し、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド化合物、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド化合物、ジアミンとジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド化合物、及びこれらの共重合物が挙げられる。
(A)ポリアミド
本実施形態において用いられる(A)ポリアミドは、(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドである。
(a)ジカルボン酸として、脂環族ジカルボン酸を含むものを用いることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性などを同時に満足するポリアミドを得ることができ、(b)ジアミンとして、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むことにより、流動性、靭性、及び剛性などを同時に満足するポリアミドを得ることができる。
(a)ジカルボン酸
(a)ジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸を含む。
脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの、脂環構造の炭素数が3〜10である、好ましくは炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、及び剛性などの観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
脂環族ジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとして、トランス体/シス体比がモル比にして、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体比(モル比)は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求めることができる。
(a)ジカルボン酸として、脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を含んでいてもよい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
種々の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基などのハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩などのその塩である基などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性などの観点で、好ましくは脂肪族ジカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数が6以上である脂肪族ジカルボン酸である。
中でも、重合時の分解に対するジカルボン酸としての耐熱性及びポリアミドの低吸水性などの観点で、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸などが挙げられ、中でも、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸成分として、さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を含んでもよい。
多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸中の脂環族ジカルボン酸の割合(モル%)は、特に限定されるものではなく、少なくとも50モル%であること、すなわち、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましい。
(a)ジカルボン酸中の脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸の割合(モル%)は、特に限定されるものではく、0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましい。
(a)ジカルボン酸として、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む場合、脂環族ジカルボン酸が50〜99.9モル%及び炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が0.1〜50モル%であることが好ましく、脂環族ジカルボン酸が60〜90モル%及び炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が10〜40モル%であることがより好ましく、脂環族ジカルボン酸が70〜85モル%及び炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸が15〜30モル%であることがさらに好ましい。
(a)ジカルボン酸としては、上記ジカルボン酸として記載の化合物に限定されるものではなく、上記ジカルボン酸と等価な化合物であってもよい。
(a)ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
(b)ジアミン
(b)ジアミンは、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む。
主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミンなどの炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、剛性などの観点で、2−メチルペンタメチレンジアミンであることが好ましい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミンとして、主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンを含んでいてもよい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンなどが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミンなどの炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミンなどが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミンなどが挙げられる。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性などの観点で、好ましくは脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンであり、より好ましくは、炭素数4〜13の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、さらに好ましくは、炭素数6〜10の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、よりさらに好ましくはヘキサメチレンジアミンである。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン成分として、さらに、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミンなどの3価以上の多価アミンを含んでもよい。
多価アミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン中の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合(モル%)は、特に限定されるものではなく、少なくとも50モル%であること、すなわち、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることがより好ましい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合(モル%)が、少なくとも50モル%であることにより、流動性、靭性、及び剛性などに優れるポリアミドとすることができる。
(b)ジアミン中の主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンの割合は、0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましい。
(a)ジカルボン酸の添加量は、(b)ジアミンの添加量と同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の(b)ジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンのモル比は、(a)ジカルボン酸全体のモル量1に対して、(b)ジアミン全体のモル量は、好ましくは0.90〜1.20であり、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
(c)ラクタム及びアミノカルボン酸
本実施形態において用いられる(A)ポリアミドは、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させることが好ましい。
本実施形態において、「(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸」とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
(A)ポリアミドが、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を重合させたポリアミドである場合は、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸は、好ましくは、炭素数4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
中でも、靭性の観点で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタムなどが好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
アミノカルボン酸としては、例えば、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げられる。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の添加量は、(a)、(b)及び(c)の各モノマー全体のモル量に対して、0〜20モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンからポリアミドを重合する際に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、ポリアミドの熱安定性の観点で、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;などが挙げられる。
モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸及び(b)ジアミンの組み合わせは、下記に限定されるものではなく、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸及び(b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンの組み合わせが好ましく、脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることがより好ましく、また、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンであることがより好ましい。
(a)ジカルボン酸及び(b)ジアミンの組み合わせは、下記に限定されるものではないが、(a)少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸及び(b)少なくとも50モル%の2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンの組み合わせがさらに好ましい。
これらの組み合わせをポリアミドの成分として重合させることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れることを同時に満足する高融点ポリアミドとすることができる。
(A)ポリアミドにおいて、脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸構造全体中のトランス異性体構造である比率を表し、トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
脂環族ジカルボン酸としては、トランス体/シス体比(モル比)が50/50〜0/100である脂環族ジカルボン酸を用いることが好ましいが、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンの重合により得られる(A)ポリアミドとしては、トランス異性体比率が50〜85モル%であることが好ましい。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、(A)ポリアミドは、高融点、靭性及び剛性に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性及び低吸水性とを同時に満足するという性質を持つ。
(A)ポリアミドのこれらの特徴は、(a)少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、(b)少なくとも50モル%の2−メチルペンタメチレンジアミンの組み合わせからなり、かつトランス異性体比率が50〜85モル%であるポリアミドで特に顕著である。
本実施形態において、トランス異性体比率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)ポリアミドの製造方法としては、(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)主鎖から分岐した置換基を持つ脂肪族ジアミンを含むジアミンとを重合させる工程を含むポリアミドの製造方法であれば、特に限定されるものではない。
(A)ポリアミドの製造方法としては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
ポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物(以下、本段落において、「その混合物」と略称する。)の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)。
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)。
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と略称する場合がある)。
6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法「溶液法」。
ポリアミドの製造方法において、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を50〜85%に維持して重合することが好ましく、ポリアミドの流動性の観点から、50〜80%に維持して重合することがより好ましい。
ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を上記範囲内に、特に、80%以下に維持することにより、色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミドを得ることができる。
ポリアミドの製造方法において、重合度を上昇させてポリアミドの融点を上昇させるために、加熱の温度を上昇させたり、及び/又は加熱の時間を長くしたりする必要が生ずるが、その場合、加熱によるポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下が起こる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。
ポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下を防止することができるため、ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好適である。
ポリアミドの製造方法としては、ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を80%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミドが色調に優れるため、1)熱溶融重合法及び2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミドを製造することが好ましい。
ポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよい。
重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び、必要に応じて、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮層/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。その後、ポリアミド溶融物はストランドとして押し出されて、冷却、カッティングされペレットとなる。
(A)ポリアミドの分子量としては、25℃の相対粘度ηrを指標とした。
(A)ポリアミドの分子量は、靭性及び剛性などの機械物性並びに成形性などの観点で、JIS−K6810に準じて測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の相対粘度ηrにおいて、好ましくは1.5〜7.0であり、より好ましくは1.7〜6.0であり、さらに好ましくは1.9〜5.5である。
25℃の相対粘度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K6810に準じて行うことができる。
(A)ポリアミドの融点は、Tm2として、耐熱性の観点から、270〜350℃であることが好ましい。
融点Tm2は、好ましくは270℃以上であり、より好ましくは275℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。また、融点Tm2は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
(A)ポリアミドの融点Tm2を270℃以上とすることにより、耐熱性に優れるポリアミドとすることができる。また、(A)ポリアミドの融点Tm2を350℃以下とすることにより、押出、成形などの溶融加工でのポリアミドの熱分解などを抑制することができる。
(A)ポリアミドの融解熱量ΔHは、耐熱性の観点から、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは14J/g以上であり、さらに好ましくは18J/g以上であり、よりさらに好ましくは20J/g以上である。
本実施形態において、Tm1又はTm2及び融解熱量ΔHの測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
融点及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCなどが挙げられる。
(A)ポリアミドのガラス転移温度Tgは、90〜170℃であることが好ましい。
ガラス転移温度は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上である。ガラス転移温度は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
(A)ポリアミドのガラス転移温度を90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミドとすることができる。また、(A)ポリアミドのガラス転移温度を170℃以下とすることにより、外観のよい成形品を得ることができる。
本実施形態において、ガラス転移温度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCなどが挙げられる。
(B)芳香族ポリアミド
本実施形態において用いられる(B)芳香族ポリアミドは、繰り返し単位として芳香族構造を有するポリアミドであり、上述した(A)ポリアミドに該当するポリアミドを除く。
(B)芳香族ポリアミドとしては、上記(a)ジカルボン酸として記載のジカルボン酸及び上記(b)ジアミンとして記載のジアミンを重合させたポリアミドのうち、ジカルボン酸及びジアミンのうち少なくとも一方が芳香族構造を有する化合物を用いて重合させたポリアミドであって、(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた(A)ポリアミドを除いたポリアミドである。
(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンとしては、それぞれ、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)芳香族ポリアミドとしては、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させた共重合ポリアミドであってもよい。
(B)芳香族ポリアミドとしては、ジカルボン酸として、本実施形態のポリアミド組成物の低吸水性の観点で、上記芳香族ジカルボン酸を重合させたポリアミドであることが好ましく、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸が好ましい。
(B)芳香族ポリアミドとしては、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むジカルボン酸と、ジアミンと、を重合させたポリアミドであることが好ましく、好適なジアミンとして、(b)ジアミンのうち脂肪族ジアミンなどが挙げられ、例えば、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)などが挙げられる。
また、(B)芳香族ポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンアジパミドとヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合ポリアミド、ヘキサメチレンアジパミドとヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合ポリアミド、ヘキサメチレンテレフタルアミドと2−メチルペンタンテレフタルアミドの共重合ポリアミド、ノナンメチレンテレフタルアミドと2−メチルオクタンテレフタルアミドの共重合ポリアミドなどが挙げられる。
(B)芳香族ポリアミドは、本実施形態のポリアミド組成物の耐熱リフロー性の観点から、結晶性又は半結晶性ポリアミドと呼ばれる、融点を有するポリアミドであることが好ましい。
芳香族ポリアミドの融点は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)芳香族ポリアミドの融点は、Tm2として、200〜350℃であることが好ましい。
融点Tm2は、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは250℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。また、融点Tm2は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
(B)芳香族ポリアミドの中でも、耐熱エージング性の観点から、ガラス転移温度が、(A)ポリアミドのガラス転移温度より低い芳香族ポリアミドが好ましく、より好ましくは、ガラス転移温度が100℃以下の芳香族ポリアミドである。
芳香族ポリアミドのガラス転移温度は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)芳香族ポリアミドの末端基としては、一般に、アミノ基又はカルボキシル基を有しており、これら末端基の濃度は、特に限定されるものではない。
(B)芳香族ポリアミドの末端アミノ基濃度は、好ましくは10〜100μmol/gであり、より好ましくは15〜80μmol/gである。
(B)芳香族ポリアミドの機械的強度の観点で、末端アミノ基濃度が上記範囲内であることが好適である。
(B)芳香族ポリアミドの末端カルボキシル基濃度は、好ましくは10〜200μmol/gであり、より好ましくは50〜150μmol/gである。
末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度の測定方法としては、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値に求めることができる。
(B)芳香族ポリアミドの末端基の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができ、ジカルボン酸とジアミンから芳香族ポリアミドを重合する際に、分子量調節のために公知の上記末端封止剤をさらに添加する方法が挙げられる。
(B)芳香族ポリアミドは、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により製造することができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、前記(A)ポリアミドと、前記(B)芳香族ポリアミドと、を含有する。
(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドの含有比は、特に限定されるものではなく、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドの合計100質量%に対し、耐熱性の観点から、(A)ポリアミドが40質量%以上であり、(B)芳香族ポリアミドが60質量%以下であることが好ましい。
該含有比は、(A)ポリアミドが45〜99質量%であり、(B)芳香族ポリアミドが1〜55質量%であることがより好ましく、(A)ポリアミドが55〜95質量%であり、(B)芳香族ポリアミドが5〜45質量%であることがさらに好ましい。
(C)無機充填材
本実施形態のポリアミド組成物は、機械的強度、剛性及び靭性などの機械物性の観点から、(C)無機充填材をさらに含有していてもよい。
(C)無機充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイトなどが挙げられる。
無機充填材としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)無機充填材としては、機械的強度及び剛性などの観点で、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、及びアパタイトなどが好ましい。
(C)無機充填材としては、ガラス繊維や炭素繊維がより好ましく、ガラス繊維や炭素繊維の中でも、ポリアミド組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100であるものが、高い特性を発現するという観点からさらに好ましく用いられる。
また、(C)無機充填材としては、ウォラストナイトがより好ましく、ウォラストナイトの中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100であるものがさらに好ましく用いられる。
さらに、(C)無機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素などがより好ましく、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素などの中でも、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがさらに好ましく用いられる。
(C)無機充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維長の測定は、ポリアミド組成物の成形品をギ酸などの、ポリアミドが可溶な溶媒で溶解し、得られた不溶成分の中から、例えば100本以上の無機充填材を任意に選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡などで観察し、求めることができる。
ポリアミド組成物中の(C)無機充填材の含有量は、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドの合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部であり、より好ましくは1〜180質量部であり、さらに好ましくは5〜150質量部である。
含有量を0.1質量部以上とすることにより、ポリアミド組成物の靭性、機械的強度、及び剛性などの機械物性が良好に向上し、また、含有量を200質量部以下とすることにより、成形性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
(D)銅化合物及び金属ハロゲン化物
本実施形態のポリアミド組成物は、(D)銅化合物及び金属ハロゲン化物をさらに含有していてもよい。
銅化合物としては、例えば、ハロゲン化銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅、及びステアリン酸銅などや、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤に配位した銅錯塩などを挙げることができる。
銅化合物としては、耐熱エージング性に優れ、押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」と記載する場合がある。)を抑制することができるので、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、及び酢酸銅であることが好ましく、ヨウ化銅及び/又は酢酸銅であることがより好ましい。
銅化合物としては、1種類で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
(A)ポリアミド組成物中の銅化合物の含有量は、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドの合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部であり、より好ましくは0.02〜0.15質量部である。
銅化合物の含有量を、上記範囲内にすることにより、十分な耐熱エージング性が向上し、銅析出、金属腐食を抑制することができる。
ポリアミド組成物100質量%に対して、銅元素として20〜1000ppmとなるように銅化合物を含有することが耐熱エージング性の観点から好ましく、より好ましくは100〜500ppm、さらに好ましくは150〜300ppmである。
金属ハロゲン化物は、銅ハロゲン化物を除く、金属のハロゲン化物である、
金属ハロゲン化物として、好ましくは、元素周期律表の1族又は2族金属元素とハロゲンとの塩であり、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化ナトリウム及びこれらの混合物などが挙げられ、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、及びそれらの混合物であることが好ましい。中でも耐熱エージング性と金属腐食の抑制の観点から、ヨウ化カリウムが好ましい。
金属ハロゲン化物としては、1種類で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド組成物中の金属ハロゲン化物の含有量は、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドの合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜2質量部である。
金属ハロゲン化物の含有量を、上記範囲内にすることにより、ポリアミド組成物として、耐熱エージング性が向上し、銅析出、金属腐食を抑制することができる。
ポリアミド組成物には、銅化合物と金属ハロゲン化物の混合物を含有することが好適である。
銅化合物と金属ハロゲン化物の含有比は、ハロゲンと銅のモル比(ハロゲン/銅)が2/1〜40/1であるように、ポリアミド組成物中に銅化合物及び金属ハロゲン化物を含有することが好ましい。ハロゲンと銅のモル比(ハロゲン/銅)は、より好ましくは5/1〜30/1である。
ハロゲンと銅のモル比が2/1以上である場合には銅析出、金属腐食の抑制をすることができるため好ましい。また、ハロゲンと銅のモル比が40/1以下であれば靭性などの機械物性を損なうことなく、成形機のスクリューなどを腐食するという問題を抑制することができる。
ポリアミド組成物に、本実施の形態の目的を損なわない範囲で必要に応じて、上記した成分の他に、付加的成分を添加してもよい。
付加的成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色染・顔料などを添加してもよく、他の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
ポリアミド組成物を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸又は多軸押出機によって、(A)ポリアミド及び(B)芳香族ポリアミドを溶融させた状態で混練する方法などが挙げられる。
ポリアミド組成物の製造方法として、(C)無機充填材及び(D)銅化合物及び金属ハロゲン化物を含有する場合を例に説明すると、上流側供給口と下流側供給口を供えた二軸押出機を使用し、上流側供給口から(A)ポリアミド、(B)芳香族ポリアミド、並びに(D)銅化合物及び金属ハロゲン化合物を供給して溶融させた後、下流側供給口から(C)無機充填材を供給して溶融混練する方法を好ましく使用できる。また、ガラス繊維などのロービングを用いる場合も、公知の方法でポリアミド組成物に複合することができる。
ポリアミド組成物は、公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品の成形品として成形できる。
ポリアミド組成物を含む成形品は、各種部品として、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、並びに日用及び家庭品用として好適に使用することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明するが、本実施形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
なお、本実施例において、1kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
(使用した原材料)
(A)ポリアミドの構成材料
(a)ジカルボン酸
(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)
商品名:1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体=25/75)(イーストマンケミカル社製)
(a−2)テレフタル酸(TPA)(和光純薬工業製)
(a−3)アジピン酸(ADA)(和光純薬工業製)
(a−4)セバシン酸(C10DA)(和光純薬工業製)
(a−5)ドデカン二酸(C12DA)(和光純薬工業製)
(b)ジアミン
(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPD)(東京化成工業製)
(b−2)ヘキサメチレンジアミン(HMD)(和光純薬工業製)
(b−3)1,9−ノナメチレンジアミン(NMD)(アルドリッチ社製)
(b−4)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD) 特開平5−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸
(c−1)ε−カプロラクタム(CPL)(和光純薬工業製)
(B)芳香族ポリアミド
(B−1)ポリアミド66/6T(PA66/6T)
商品名:GRIVORY(登録商標)FE5011(EMS社製)
(B−2)ポリアミド9T(PA9T)
特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って製造した。このときテレフタル酸をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=80:20]としPA9Tを得た。ηrは2.61であった。末端カルボキシ基濃度は20μmol/g、末端アミノ基濃度は82μmol/gであり、融点は303℃、ガラス転移温度は125℃であった。
(B−3)ポリアミド66/6I(PA66/6I)
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.00kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.73kg、アジピン酸18g及び純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分に窒素置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は1.8MPaになったが、1.8MPa以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドは、ヘキサメチレンイソフタラミド単位を27質量%、ヘキサメチレンアジパミド単位を73質量%含有し、末端カルボキシル基濃度が102μmol/gであり、末端アミノ基濃度は44μmol/gであった。融点は245℃、ガラス転移温度は60℃であった。
(C)無機充填材
ガラス繊維(GF)、商品名:ECS03T275H(日本電気硝子社製) 平均繊維径10μmφ、カット長3mm
(D)銅化合物及び金属ハロゲン化物
(D−1)ヨウ化銅(CuI)(和光純薬工業社製)
(D−2)ヨウ化カリウム(KI)(和光純薬工業社製)
(測定方法)
<ポリアミド成分量の計算>
脂環族ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた脂環族ジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全てのジカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えた、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた、全てのジアミンのモル数)×100として、計算により求めた。
また、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた、全てのジカルボン酸のモル数+全てのジアミンのモル数+ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
なお、上記式により計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた下記表1中の(b)−3:主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数は含まれない。
<融点Tm2>
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点は325℃とした。
<ガラス転移温度Tg>
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
<トランス異性体比率>
(A)ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。(A)ポリアミドを構成する脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率から(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を求めた。
<25℃の相対粘度ηr>
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、25℃の温度条件下で測定した。
<流動性>
下記条件に設定した成形機で2mm厚×15mm幅を成形してその流動長(充填された長さ)から流動性を評価した。
射出成形機(日精樹脂(株)製FN3000)に、流動性評価(2mm厚×15mm幅のスパイラル流路)の金型(金型温度:100℃)を取り付けて、シリンダー温度を(A)ポリアミドのTm2が300℃以上の場合はTm2+20℃に設定し、Tm2が300℃未満の場合は320℃に設定し、射出速度は20%設定、射出圧力は34%設定で成形を行った。
<引張強度>
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間25秒、冷却時間15秒、金型温度を100℃、溶融樹脂温度を(A)ポリアミドのTm2が300℃以上の場合はTm2+20℃に設定し、Tm2が300℃未満の場合は320℃に設定し、ISO 3167、多目的試験片A型の成形片を成形した。
得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
<熱老化後の引張強度>
上記多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブンにて、230℃の条件下で500時間熱老化させた。23℃にて24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠し、引張速度5mm/minで引張試験を行い、熱老化後の引張強度を測定した。
<吸水率>
上記多目的試験片(A型)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に24時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合(%)を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
<吸湿リフロー試験>
耐熱リフロー性の指標として、吸湿リフロー試験を行った。
射出成形機(東芝機械(株)製:IS−80EPN)を用いて、127mm×12.7mm×0.8mmの試験片を成形した。シリンダー温度を(A)ポリアミドのTm2が300℃以上の場合はTm2+20℃に設定し、Tm2が300℃未満の場合は320℃に設定し、金型温度100℃で実施した。
40℃、50%相対湿度で所定時間吸湿させた後、最高温度265℃、260℃以上で10秒間加熱されるよう設定したリフロー炉を通し、リフロー環境下での試験片変化を観察した。試験片表面に膨れ、溶融痕があるものは、表面実装技術(SMT)対応部品用途には適さないため、その有無を目視にて観察した。吸湿時間を10時間毎に変化させてリフロー試験を行い、試験片表面に変化のない最大吸湿時間を評価した。
[製造例1]
「熱溶融重合法」でのポリアミド重合を実施した。
(a)CHDA896g(5.20モル)、及び(b)2MPD604g(5.20モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作った。さらに等モルの均一水溶液中に2MPD15g(0.13モル)を追添した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧(株)製)に仕込み、液温(内温)50℃に保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。液温約50℃から、槽内の圧力がゲージ圧(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧を表記)にして約2.5kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約145℃だった)。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続け、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃だった)。その後、水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃だった)。槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら加熱を続けた。その後、液温が300℃まで上昇したら、加熱は続けながら最後に120分ほどかけながら圧力を大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)までゆっくり降圧した。
液温(樹脂温度)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。液温(樹脂温度)はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドを得た。得られたポリアミドの評価結果を下記表1に示す。
[比較製造例1]
特表平6−503590号公報の実施例1に開示された方法に準じて、(a)原料のジカルボン酸としてTPAを、及び(b)原料ジアミンとして2MPD、HMDを、下記表1に記載の量を用いてポリアミドの重合を行った。得られたポリアミドの評価結果を下記表1に示す。
[製造例2〜11、比較製造例2]
(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、並びに(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を、表1に記載の化合物と量を用いたことと、液温の最終温度を表1に記載の温度にしたこと以外は、製造例1と同様の方法(「熱溶融重合法」)によりポリアミドの重合を行った。得られたポリアミドの評価結果を下記表1に示す。
[実施例1〜12、比較例1〜8]
製造例又は比較製造例のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。
押出機上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、9番目のバレルに下流側供給口を有した、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、上流側供給口からダイまでを製造例にて製造したポリアミドのTm2+20℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hで、下記表2記載の割合となるように、上流側供給口より(A)ポリアミド、(B)芳香族ポリアミド、CuI、及びKIを供給し、下流側供給口よりGFを供給して、(A)ポリアミドのTm2が300℃以上の場合はTm2+20℃に設定し、Tm2が300℃未満の場合は320℃に設定して、溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を成形し、引張強度、吸湿リフロー試験を評価した。
物性値を組成と共に下記表2に併記した。
表2より、実施例1と比較例1、2とを対比すると、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドを混合する場合と、脂環族ジカルボン酸を含まないジカルボン酸と主鎖から分岐した置換基をもつジアミンを含むジアミンとからなるポリアミドと(B)芳香族ポリアミドを混合する場合とを比較して、引張強度と吸湿リフロー性が向上することを確認した。なお、吸湿リフロー試験の解釈として、吸湿時間が長くなるということは、例えば、半田付けを必要とする部品等への樹脂組成物を使用するにあたり、成形後、半田付けの工程へ進む間における水分管理等が簡素化できるということをも意味する。
また、実施例1、2と比較例3とを対比すると、製造例1の(A)ポリアミド単独の場合と、製造例1の(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドを混合した場合とを比較して、引張強度と吸湿リフロー性がさらに向上することを確認した。
実施例3と比較例4との対比、実施例8と比較例5との対比、実施例11と比較例6との対比の場合も同様であることを確認した。
さらに、比較例1と比較例7とを対比し、比較製造例1で作製したポリアミド単独を用いた場合と、比較製造例1で作製したポリアミドと(B)芳香族ポリアミドとを組み合わせた場合とを比較すると、引張強度と吸湿リフロー性に関し、上述した実施例1、2と比較例3とを対比した場合の特性の向上効果が見られないことを確認した。比較例2と比較例8の対比の場合も同様であった。このことから、製造例1の(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドとを組み合わせることによって、引張強度と吸湿リフロー性に関する向上効果が顕著に得られることが確認された。
[実施例13〜17]
実施例1と同様にして、下記表3記載の割合となるように、溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を成形し、引張強度、吸湿リフロー試験を評価した。
物性値を組成と共に下記表3に併記した。
表2及び表3より、実施例13〜17と実施例1、3、及び8〜10を対比すると、芳香族ポリアミドがPA9Tの場合とPA66/6Tの場合との比較において、引張強度と吸湿リフロー性に同様の効果が発現することを確認した。
[実施例18〜30、比較例9〜10]
実施例1と同様にして、下記表4記載の割合となるように、溶融混練しポリアミド組成物ペレットを作製した。
得られたポリアミド組成物を成形し、流動性、引張強度、熱老化後の引張強度、吸湿リフロー試験を評価した。
物性値を組成と共に下記表4に併記した。
表4より、実施例18と比較例9、10とを対比すると、(A)ポリアミドと(B)芳香族ポリアミドを混合する場合と、脂環族ジカルボン酸を含まないジカルボン酸と主鎖から分岐した置換基をもつジアミンを含むジアミンとからなるポリアミドと(B)芳香族ポリアミドを混合する場合とを比較して、引張強度と吸湿リフロー性が向上することを確認した。さらに耐熱エージング性と流動性も向上することを確認した。
以上のことから、本実施形態のポリアミド組成物は、機械的強度及び耐熱リフロー性を顕著に向上させることができ、各種電子部品などにも十分なレベルで安定的に本実施形態のポリアミド組成物を適用できることが見出された。
本発明のポリアミド組成物は、機械的強度及び耐熱リフロー性に優れるため、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、並びに日用及び家庭品用などの各種部品材料として産業上の利用可能性を有する。
中でも、本発明のポリアミド組成物は機械的強度に優れるため、自動車部品など、軽量性と高度な機械物性が要求される成形品として好適に利用することができる。
また、本発明のポリアミド組成物は、耐熱リフロー性に優れるため、電気電子部品などに好適に利用することができる。

Claims (14)

  1. (A)(a)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミド、及び
    (B)芳香族ポリアミド、を含有するポリアミド組成物。
  2. 前記(A)ポリアミドが、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドである、請求項1に記載のポリアミド組成物。
  3. 前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
  4. 前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  5. 前記(a)ジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  6. 前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたポリアミドである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  7. 前記(A)ポリアミドの融点が、270〜350℃である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  8. 前記(A)ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率が、50〜85%である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  9. 前記(B)芳香族ポリアミドが、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、ジアミンと、を重合させたポリアミドである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  10. 前記(B)芳香族ポリアミドが、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6I、及びこれらの共重合ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族ポリアミドである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  11. 前記(A)ポリアミドと前記(B)芳香族ポリアミドとの合計100質量%に対し、前記(A)ポリアミドが40質量%以上であり、前記(B)芳香族ポリアミドが60質量%以下である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  12. (C)無機充填材をさらに含有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  13. (D)銅化合物及び金属ハロゲン化物をさらに含有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のポリアミド組成物。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のポリアミド組成物を用いて成形した成形品。
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