以下、図面を参照しながら本発明の衛生洗浄装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は本発明の衛生洗浄装置の第1実施形態及びそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図(便器600に装着した状態)である。
図1に示すように、このトイレ装置1000はトイレットルーム内に設置されるものであり、主として、便器600と、この便器600上に載置される衛生洗浄装置100(本発明の衛生洗浄装置の第1実施形態)とから構成されている。
上記の衛生洗浄装置100は、主として、便器600の用便用の開口部の後方の縁部分上に配置される本体部200と、便座部400と、便蓋部500と、遠隔操作装置300と、入室検知センサ700とから構成されている。
ここで、便座部400は、本体部200に開閉可能に取り付けられている。また、便蓋部500も、本体部200に開閉可能に取り付けられている。
図1に示すように、本体部200は、主として、ノズル20を含む乾燥装置50(空気噴出手段50)と、洗浄水を噴出するための洗浄水噴出手段30と、加熱手段40と、制御部150(図3、図4参照)とから構成されている。
更に、本体部200には、その正面上部に着座センサ610が設けられている。
この着座センサ610は、使用者の着座を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する構成とされている。
入室検知センサ700は、トイレットルームの入口等の使用者の入室及び退室が検知しやすい場所を選んで取り付けられるものである。
この入室検知センサ700は、使用者のトイレットルームへの入室及びトイレットルームからの退室を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、入室検知センサ700は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する構成とされている。
本体部200の制御部150(図3、図4参照)は、遠隔操作装置300、入室検知センサ700及び着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の後述する動作を制御するものである。
図1に示すように、空気噴出手段50は、主として、加圧空気を供給するエアポンプ51と、この加圧空気を噴出する空気噴出口21を先端部に有する筒状のノズル20と、空気噴出口21から噴出される加圧空気の噴流を前後左右に移動するために、ノズル20をその軸方向に進退駆動させる動作とノズル20をその軸を回転中心として回動駆動させる動作を行うための駆動手段52とにより構成されている。駆動手段52は、ノズル20の進退駆動と回動駆動とを同時に実行できる構成を有するとともに、進退駆動と回動駆動とをそれぞれ独立に実行できる構成も有している。
この空気噴出手段50から噴出する加圧空気は使用者の局部の「被乾燥面」に到達する風速が秒速20〜50mの能力を備えており、「被乾燥面」における噴流の当接範囲は直径約1cm程度の大きさとなるように設定されている。
また、ノズル20には、洗浄水を噴出する洗浄水噴出口22を含む洗浄水噴出手段30の洗浄ノズル部33が一体的に構成されている。
この洗浄水噴出手段30は、主として、ノズル20に設けられた第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23以外に水道水の供給を開閉する開閉弁と、水道水を加熱する温水加熱手段31と、温水加熱手段31からの温水をノズル20の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁32と、上述の洗浄ノズル部33とで構成されている。
なお、第1の洗浄水噴出口22はおしり洗浄用洗浄水を噴出し、おしり(使用者の局部)の「被洗浄面」を洗浄するためのものであり、第2の洗浄水噴出口23はビデ用洗浄水を噴出し、ビデ(使用者の局部)の「被洗浄面」を洗浄するためのものである。
ここで、「被洗浄面」及び「被乾燥面」は、いずれも使用者の局部を中心とした体表面であるが、特に本実施形態においては、「被洗浄面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち使用者の***により汚れうる範囲であることが好ましい。この「被洗浄面」の範囲は、使用者の体型の分布、便器の大きさ、便器の形状、洗浄水の吐出量範囲、洗浄水の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被洗浄面」の範囲は、***により汚れうる範囲を検知可能なセンサなど(***物中の水分などを検知する赤外線センサなど)により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
また、本実施形態における「被乾燥面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち洗浄水により洗浄処理された際に洗浄水で濡れうる範囲であることが好ましい。さらに、「被乾燥面」の範囲(面積)が「被洗浄面」の範囲(面積)以上であり、かつ、「被乾燥面」に被洗浄面の全範囲が含まれるよう設定されていることが好ましい。なお、この「洗浄水で濡れうる範囲」には、通常、上述の「被洗浄面」の範囲、すなわち、「人体局部およびその周辺のうち使用者の***により汚れうる範囲」が含まれるが、「洗浄水で濡れうる範囲」に「被洗浄面」の範囲が含まれない場合には、「被乾燥面」の範囲は、「洗浄水で濡れうる範囲」と「被洗浄面」の範囲とを含む範囲であることが好ましい。
この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める場合と同様に、使用者の体系の分布、便器の大きさ、便器の形状、加圧空気の吐出量範囲、加圧空気の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める構成と同様に、洗浄水で濡れうる範囲を検知可能なセンサなど(水分を検知する赤外線センサなど)により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
加熱手段40は、内臓のヒータに送風して温風を供給する送風手段であるエアファン41と、この温風を温風噴出口42に導くダクト43により構成されており、温風噴出口42より噴出する温風は空気噴出手段50から噴出する加圧空気の流速より遅く、秒速10m以下であり、使用者の局部の被乾燥面に対する当接面積は広く、被乾燥面の略全面に拡散する構成となっている。
図2は、図1に示した衛生洗浄装置における遠隔操作装置300の一例を示す模式図(正面図)である。遠隔操作装置300は、使用者のスイッチ操作信号を本体部200に送信し、衛生洗浄装置を駆動制御する操作手段であり、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
図2(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥モード選択スイッチ320a、320b、320c、洗浄の強さ調整スイッチ322,323が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313が設けられている。
上記各スイッチは使用者により操作される。これにより、遠隔操作装置300から図1の本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部150(図3、図4参照)は、受信した信号に基づいて本体部200(図1参照)及び便座部400(図1参照)の各構成部の動作を制御する。
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、後述するノズル部20(図3参照)から使用者の局部の被洗浄面へ洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部の被洗浄面への洗浄水の噴出が停止される。
使用者が乾燥スイッチ314を操作することにより、使用者の局部の被乾燥面に後述する空気噴出手段50(図4参照)から加圧空気が噴出されると同時に加熱手段40(図4参照)から温風が吹き出される。また、使用者が乾燥モードスイッチ320a,320b,320cを選択操作することにより、前述の使用者の局部の被乾燥面に噴出される乾燥空気の噴出条件が変更され、使用状況や使用者の好みにより任意に選択することが可能となっている。乾燥モードスイッチ320aは短時間で乾燥を終了したい場合の「急速乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320bは局部を確実に乾燥させてさらっと仕上げる「しっかり乾燥運転」、乾燥モードスイッチ320cは加圧空気を当てたくない場合に温風だけを吹き出す「温風乾燥運転」、をそれぞれ選択できるようになっている。
また、使用者が強さ調整スイッチ322,323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等が調整される。
図2(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。図2(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、上述の停止スイッチ311、乾燥スイッチ314、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313に加えて、自動開閉の入り切りスイッチ311、温風温度調整スイッチ340、水温調整スイッチ333、便座温度調整スイッチ334、除菌スイッチ335及び便器洗浄スイッチ336が設けられている。
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は
、受信した信号に基づいて本体部200及び便座部400の各構成部の動作を制御する。
自動開閉の入り切りスイッチ311はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉の入り切りスイッチ311のつまみを操作することにより、便蓋部500(図1参照)の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉の入り切りスイッチ311のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便蓋部500が開閉される。
使用者が温風温度調整スイッチ340を操作することにより、加熱手段40から使用者の局部に吹き出される温風の温度が調整される。この温風温度調整スイッチ340は、一回押す毎に温風温度の設定が、温風温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされている。この「切」の設定で運転した場合は、ヒータ43(図4参照)がオフとなり送風だけとなる。なお、本実施形態においては、図2(b)に示すように、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の4段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられている。
また、使用者が水温調整スイッチ333を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。この水温調整スイッチ333も上述の温風温度調整スイッチ340と同様に、水温調整スイッチ333は、一回押す毎に洗浄水の温度の設定が、洗浄水の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の4段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
更に、使用者が便座温度調整スイッチ334を操作することにより、便座部400の温度が調整される。この便座温度調整スイッチ334も上述の温風温度調整スイッチ340と同様に、便座温度調整スイッチ334は、一回押す毎に便座の温度の設定が、便座の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の4段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
次に、本体部200内に設けられた洗浄水噴出手段30について説明を行う。
図3は図1に示した衛生洗浄装置100における洗浄水噴出手段30及び制御部150の構成を示すブロック図である。
図3に示す洗浄水噴出手段30は、主として、開閉弁34と、温水加熱手段31と、切換弁32と、ノズル20と、ノズル洗浄手段35と、駆動手段52と、制御部150とを有している。また、駆動手段52には、後述する第1の電動モータ53 及び第2の電動モータ54が含まれている。
切換弁32は温水加熱手段31からの温水をノズル20の第1の洗浄水噴出口22方向
と第2の洗浄水噴出口23方向と、ノズル洗浄35方向に切換駆動するためのものである。
洗浄水噴出手段30において、制御部150は、開閉弁34、温水加熱手段31、切換弁32、第1の電動モータ53及び第2の電動モータ54の動作を制御する。
次に、本体部200内に設けられた乾燥機能について説明を行う。
図4は図1に示した衛生洗浄装置100における空気噴出手段50、加熱手段40及び制御部150の構成を示すブロック図である。
図4に示す空気噴出手段50は、ノズル20と、エアポンプ51と、駆動手段52と、制御部150と、室温検出手段151とを有している。すなわち、空気噴出手段50は上述の洗浄水噴出手段30に対し、ノズル20、駆動手段52及び制御部150を共有する構成とされている。先に述べたように、駆動手段52には、後述する第1の電動モータ53 及び第2の電動モータ54が含まれている。
更に、加熱手段40は、エアファン41、ヒータ43及び温風噴出口42を含んでいる。
空気噴出手段50において、制御部150は、室温検出手段151の検出信号を入力し、エアポンプ51、第1の電動モータ53 、第2の電動モータ54、エアファン41及びヒータ43の動作を制御する。
室温検出手段151は、衛生洗浄装置の雰囲気温度が検出できるように本体部200(図1参照)に内蔵されている。この室温検出手段151は、サーミスタにより室温を検出する構成を有している。
本実施形態においては、使用者の要求により、使用者の局部の被乾燥面を乾燥させる乾燥工程を実行する場合、制御部150は、加熱手段40と空気噴出手段50を同時に駆動させて、加熱手段40により送風される温風を、空気噴出手段50により噴出される加圧空気により誘引しながら両者を混合して被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転と、空気噴出手段50だけを駆動して加圧空気だけ被乾燥面に噴出する第2の乾燥運転と、加熱手段40だけを駆動して温風だけ被乾燥面に吹き出す第3の乾燥運転の3通りの運転パターン実行し、被乾燥面を乾燥させる。
図5は図1に示した衛生洗浄装置100における洗浄水噴出手段30及び空気噴出手段50に搭載される駆動手段52の構成を示す斜視図である。図5(a)はノズル20収納時の駆動手段52の構成を示す斜視図である。また、図5(b)はノズル20突出時の駆動手段52の構成を示す斜視図である。更に、図5(c)は(b)に示した駆動手段を(b)中に示す視線L1の方向(ノズル20の軸方向)から透視した場合における、支持部55、ノズルホルダ58、チューブ39、及び、シャフト66の位置関係を示す透視断面図である。
図5に示すように、駆動手段52は、主として、人体局部の方向に加圧空気を噴出する空気噴出口21を先端部に有する筒状のノズル20と、ノズル20の後端部に一体的に接続されており、ノズル20をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ58と、ノズル20及びノズルホルダ58を、ノズル20の軸の方向に進退可能に支持する支持部55と、支持部55に固定されており、ノズル20及びノズルホルダ58を、ノズル20の軸方向に進退駆動する進退駆動手段81と、支持部55に固定されて
おり、ノズル20を軸を回転中心として回動駆動する回動手段80とを含む構成を有している。
上述の構成を有する駆動手段52によれば、ノズル20から噴出する加圧空気の被乾燥面に対する当接範囲を使用者の局部の被乾燥面の全面に亘り任意に移動させることができる。
ノズル20の空気流入口、洗浄水流入口のそれぞれには、ノズル20への加圧空気及び洗浄水の供給を行うための4本のチューブ39(チューブ39a、チューブ39b、チューブ39c、及び、チューブ39d)が接続されている。
4本のチューブ39はその一端がノズル20の空気流入口に接続されているものとノズル20の洗浄水流入口に接続されているものがある。また、4本のチューブ39の他端は固定部(図示せず)に固定されている。この固定部はエアポンプ51に連通する構成を有しており、また、温水加熱手段31からの洗浄水(温水)をノズル20の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁32にも連通する構成を有している。
上述のように、本実施形態の場合、4本のチューブ39はその一端がノズル20の空気流入口又はノズル20の洗浄水流入口に接続されているので、ノズル20の回動にともなってチューブ39も回動(又は移動)する構成となっている。
ここで、ノズル20が回動して空気噴出口21から加圧空気を噴出する際のノズル20の回動範囲(回動角度範囲)は、使用者の局部の被乾燥面へ加圧空気が適切にあたる範囲となるように予め位置決めされている。そして、この位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、これら4本のチューブ39は空気流入口又は洗浄水流入口と、固定部とに接続されている。
より具体的には、4本のチューブ39は、空気流入口又は洗浄水流入口と、固定部とに接続される際にU字状に屈曲されているが、屈曲されることにより上述のノズル20の位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、4本のチューブ39の各々に加わる、いわゆるねじり作用が十分に小さくなるように接続されている。
また、4本のチューブ39がノズル20の回動にともなって回動(又は移動)する場合において、4本のチューブ39がシャフト66に接触しないように、チューブ39はシャフト66に対して最小限の間隔があくように配置されている。
このことについて、図5(c)を用い、4本のチューブ39のうちのチューブ39aを代表例として説明する。
図5(c)に示すように、チューブ39aの一端はノズルホルダ58の内部に位置する空気流入口45a(図7参照)に接続されており、チューブ39aの他端はノズル20の外側にある固定部(図示せず)に固定されている。そして、図5(c)に示す視線L1の方向から透視した場合、チューブ39aの両端を結ぶ軸心の線L2と、チューブ36aの空気流入口45aに接続されている一端の軸心から外にのばした仮想の線L3(後述の支持部55の設置面に略平行な線L4に平行な線L3)との角度θが以下のように調節されている。
すなわち、チューブ39aがノズル20の回動にともなって回動(又は移動)する場合において、チューブ39aがシャフト66に接近しても接触しないように(チューブ39はシャフト66に対して最小限の間隔があくように)上記角度θが調節されている。
次に、支持部55について説明する。本実施形態の場合、支持部55は、駆動手段52全体を支える構成とされている。
図5(a)、図5(b)及び後述の図8(a)に示すように、支持部55は、略三角柱状(底面が略直角三角形)の形状を有する構造体であり、当該三角柱をその側面が底になるように本体部200内に立設されている。
より詳しくは、支持部55は、本体部200内に立設される際に、上記略三角柱状の構造体の3つの側面のうち面積が最大の側面(直角三角形の長辺を含む略長方形の側面)が、上方を向きかつ奥の後方から前方に向けて前傾する状態(下がる状態)となるよう立設されている。なお、上記の前傾する状態とされている側面(以下、この側面を「支持部55の上面」という)の長手方向はノズル20の軸の方向と略平行となるように構成されている。
また、支持部55の上記略直角三角形の底面は、以下、本明細書においては、「支持部55の側面」という。更に、以下、本明細書において、「前方向」とは図5のA方向を示し、「後方向」とはB方向を示す。具体的には、前方向は便座400に着座した用便者の視線でみて前面の方向に略一致する方向であり、後方向は用便者の視線で見て背面の方向に略一致する方向である。
上記の支持部55の上面上には、ノズル20が、空気噴出口21の形成された先端部が下がるように前傾姿勢で配置されている。この際、ノズル20の軸の方向は、使用者の局部の被乾燥面を乾燥する乾燥作業を行う際に、空気噴出口21が形成された先端部が予め設定される乾燥作業に適した位置にまでのびることが可能な方向に設定されている。
より詳しく説明すると、支持部55の上面上において、ノズル20の後端部には当該ノズル20をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ58が配置されている。更に支持部55の上面にはノズルホルダ58をノズル20の軸の方向に進退可能に保持するレール部56が後方から前方にむけて延びるように設けられている。
また、支持部55のレール部56の前方の先端部には貫通孔を有する筒状のガイド部57が設けられている。そして、このガイド部57の貫通孔には、ノズル20が進退自在及び回動に挿入されている。このガイド部57は摺動性のよい構成材料で構成されており、更に、ノズル20がスムーズに貫通孔において回転及び摺動するように、ノズル20との間には適度なクリアランスが設けられている。
これにより、図5(a)及び図5(b)に示すようにノズルホルダ58はレール部56に沿ってノズル20の軸の方向にスライド(進退移動)することになる。そして、このノズルホルダ58の進退移動の動作に合わせてノズル20もレール部56に沿って進退移動することになる。
次に、支持部55に固定されており、ノズル20及びノズルホルダ58を、ノズル20の軸方向に進退駆動する進退駆動手段81について説明する。
進退駆動手段81は、支持部55に固定された第1の電動モータ53と、第1の電動モータ53及びノズルホルダ58に連接されており第1の電動モータ53の回転軸の回転運動をノズル20及びノズルホルダ58の進退駆動に変換する第1の連接手段82と有している。
第1の連接手段82は、主として、原動プーリ60、従動プーリ59a、従動プーリ59b、テンションプーリ59c、これらの4つのプーリに接続されており第1の電動モータ53の回転軸の回転運動を原動プーリ60を介して従動プーリ59a及び従動プーリ59bに伝達するタイミングベルト61により構成されている。
ここで、第1の電動モータ53は、支持部55の側面(略直角三角形状の形状を呈する側面)の略直角の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。さらに、原動プーリ60は、その回転中心となる貫通孔を有している。この原動プーリ60の貫通孔に第1の電動モータ53の回転軸が嵌合され、第1の電動モータ53に対して原動プーリ60が正逆回転可能に固定されている。
また、従動プーリ59aは原動プーリ60が配置されている支持部55の側面の角部のうちガイド部57に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。従動プーリ59bは原動プーリ60が配置されている支持部55の側面の角部のうちノズルホルダ58に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。
そして、タイミングベルト61は、原動プーリ60、従動プーリ59a及び従動プーリ59bを囲み、かつ、それぞれの回転面に接触されている。
これにより、タイミングベルト61は、第1の電動モータ53の回転軸の回転運動を原動プーリ60を介して従動プーリ59a及び従動プーリ59bに伝達することができるようになる。
更に、テンションプーリ59cは原動プーリ60が配置されている支持部55の側面において、原動プーリ60と従動プーリ59aとの間に位置するタイミングベルト61をその回転軸で押圧できるよう原動プーリ60と従動プーリ59aとの間に回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。これにより、タイミングベルト61のテンションを十分に保持することができるようになる。
また、従動プーリ59a及び従動プーリ59bの間に位置するタイミングベルト61の部分はその回転方向がレール部56の軸方向と略平行となるように配置されている。
この従動プーリ59a及び従動プーリ59bの間に位置するタイミングベルト61の部分には、ノズルホルダ58に設けられたアーム部58aが連結されている。これにより、ノズルホルダ58及びノズル20は、第1の電動モータ53の回転により動くタイミングベル61の動きに応じてレール部56に沿ってノズル20の軸方向に前後に進退駆動することになる。
次に、支持部55に固定されており、ノズル20をその軸を回転中心として回動駆動する回動手段80について説明する。
回動手段80は、主として、支持部55に固定された第2の電動モータ54と、第2の電動モータ54及びノズル20に連接されており第2の電動モータ54の軸の回転運動をノズル20の回転駆動に変換する第2の連接手段83と、を有している。
第2の電動モータ54は、支持部55の上面の後端に固定されている。
第2の連接手段83は、主として、断面が正方形のシャフト66と、第2の電動モータ54の回転をシャフト66に伝達する第1の伝達手段84と、シャフト66の回転をノズ
ル20に伝える回転体85とから構成されている。
第1の伝達手段84は、主として、歯車A62と、歯車B63とから構成されている。歯車A62は、第2の電動モータ54の軸に勘合されている。また、歯車B63は、シャフト66の後端部に一体に勘合されている。
シャフト66は、ノズル20の軸と略平行になるように、両端を支持部55に回転自在に支持されている。
回転体85は、お互いに噛合う歯車C64と歯車D65により成り、歯車C64は、ノズルホルダ58に対し、ノズル20の進退駆動に連動するように固定され、シャフト66の回転に連動して回転可能に、シャフト66に嵌合されている。すなわち、歯車C64は、中心に断面形状が正方形の穴を有し、この穴にシャフト66が摺動可能に嵌っている。また、歯車D65は、ノズル20の最後端に直結され、ノズルホルダ58に回転自在に保持されている。したがって歯車C64の回転動作が、ノズル20の回転動作となる。
このように回動手段80は、第2の電動モータ54の正逆回転に応じてノズル20が回転し、空気噴出口21から噴出する空気噴流は図5のC及びDの右左方向に揺動する。
なお、本実施形態では、第1の伝達手段84として歯車A62と歯車B63を用いたが、本発明においては第1の伝達手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1の伝達手段84としては、第2の電動モータ54とシャフト66を直結して、第2の電動モータ54の回転をシャフト66に直接伝達する構成を採用してもよい。この場合、歯車A62と歯車B63が不要となるので、第2の電動モータの動力の伝達ロスや動力の伝達不良を十分に低減できるようになる。また、製造コスト(部品コスト削減、組み立て作業の削減による不良品の発生低減など)もできるようになる。
次に、図6を用いてノズル洗浄手段35について詳細に説明する。
図6(a)は図1に示した衛生洗浄装置100におけるノズル洗浄手段35の横断面を示す模式図である。また、図6(b)は図1に示した衛生洗浄装置100におけるノズル洗浄手段35の縦断面を示す模式図である。
図6(a)、図6(b)に示すノズル洗浄手段35は、ガイド部57と一体に構成されている。
ノズル洗浄手段35は、入水口36、洗浄室37、洗浄水拡散部38を含み、洗浄水が入水口36より供給され洗浄水拡散部38の段差に衝突して洗浄室37に拡散する構成とされている。このようにして、洗浄水がノズル20の表面を洗い流すことのできる構成とされている。
次に図7を用いてノズル20を中心としたノズルユニットの構成について説明する。
図7(a)は図1に示した衛生洗浄装置100におけるノズル20をその空気噴出口21の側からみた場合の正面図である。図7(b)は(a)に示したA−A線に沿ってノズル20を切断した場合の断面図である。図7(c)は(a)に示したB−B線に沿ってノズル20(使用者が乾燥設定を選択した場合の状態)を切断した場合の断面図である。図7(d)は(a)に示したB−B線に沿ってノズル20(使用者がおしり洗浄設定を選択した場合の状態)を切断した場合の断面図である。図7(e)は(a)に示したB−B線に沿ってノズル20(使用者がビデ設定を選択した場合の状態)を切断した場合の断面図
である。
図7に示すノズル20は円柱形状(筒状形状)を有し、先端近傍の外周方向に空気噴出口21と第1の洗浄水噴出口22と第2の洗浄水噴出口23とが設けられ、内部に加圧空気を空気噴出口21に導くエア流路24と、おしり洗浄用の洗浄水を第1の洗浄水噴出口22に導く水用流路a25と水用流路b26と、ビデ用洗浄水を第2の洗浄水噴出口23に導く水用流路c27が設けられている。
ノズル20外周部には、ノズル20の外周面を覆い、回動自在に設けたノズルカバー28が配置され、ノズル20の洗浄水噴出口22,23と空気噴出口21とに対向する一つの開口部29が形成されている。
したがって、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を変えることで、開口部29に望む噴出口を切換えることができる。図7(c)は開口部29と空気噴出口21を一致させた場合を示し、図7(d)は開口部29と第1の洗浄水噴出口22を一致させた場合、図7(e)は開口部29と第2の洗浄水噴出口23を一致させた場合を示す。このように運転モードに応じて噴出口を簡単に切換えることができる。
第1の洗浄水噴出口22は、水用流路b26からの平行流に、水用流路a25からの旋回流を合成して噴出するので、平行流と旋回流の割合を調整することにより噴流の広がりと強さを変更することができる。
ノズルカバー28はパイプ状のステンレス金属により構成することにより、細菌の繁殖が抑制されより衛生性を向上できる。
エアポンプ51からの加圧空気は、チューブ39aに接続された空気流入口45aからエア流路24に供給される。また、切換弁32からの洗浄水は、チューブ39bに接続された洗浄水流入口45bから水用流路26に供給される。
同様に水用流路25と水用流路27にも洗浄水流入口(図示せず)及び洗浄水流入口(図示せず)が形成されており、それぞれにチューブ39c、チューブ39d(図5参照)が接続されている。
これら4本のチューブ39a、39b、39c、39dには、ノズル20が回転や前後駆動する際に、ねじれ又は屈曲されることに対する応力(復元力)が発生する。そのため、この力を低減する観点から、4本のチューブ39a、39b、39c、39dは、ゴムやエラストマなどの可撓性素材を構成材料として構成されている。
空気流入口45a、洗浄水流入口(図示せず)、洗浄水流入口45b、洗浄水流入口(図示せず)は、円筒状のノズルホルダ58の内側に配置されている。この構成により、チューブ39a、39b、39c、39dを空気流入口45a、洗浄水流入口、洗浄水流入口45b、洗浄水流入口に接続してU字状に屈曲して構成する際、ノズル20の後端部の寸法を小さくすることができる。そのため、ノズル20をコンパクトに構成することができるので、ノズル20を本体部200に収納する時に、ノズル20が本体部200内へ完全に収容される構成とすることが容易にできるようになる。
次にノズルカバー28とノズル20の角度設定の構成について図8を用いて説明する。図8(a)は図1に示した衛生洗浄装置100におけるノズル20収納時の駆動手段52の側面図である。図8(b)は(a)に示したA−A線に沿ってノズル20及び駆動手段52を切断した場合の部分断面図である。図8(c)は(a)に示したB−B線に沿って
ノズル20及び駆動手段52を切断した場合の部分断面図である。
図8(a)、(b)に示す支持部55とノズルホルダ58にはノズルカバー28の回転を抑制する回転抑制手段であるストッパ71、ストッパ72が設けられている。
ストッパ71は、支持部55の後部に配置されている。ノズルが進退駆動(前後駆動)の最終端に移動し収納状態になった場合に、ノズルカバー28のアーム73がこのストッパ71の内部に収容されることで、収納状態においてノズルカバー28の回動範囲が制限されることになる。この状態で、ノズル20を回動駆動すれば、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を変更することができる。
また、図8(b)に示すように、このストッパ71は、ノズル20の左右両側に設けられており、何れの方向からでも角度変更が可能とされている。
ストッパ71と同様に、ストッパ72もノズルホルダ58の左右両側に配置されている。このストッパ72は、ノズルカバー28の回動範囲を制限するだけでなく、ノズル20の回転角度も制限できるように構成されている。すなわち、ノズルカバー28のアーム73がストッパ72に当たる状態となるときに、ノズル20のアーム20aもストッパ72に当たる状態となるように構成されている。これにより、ノズル20とノズルカバー28とは、同じ回動範囲で規制されるように設定されることとなる。
また、ノズルカバー28のアーム73がストッパ72に当たっている状態で更にノズル20を回転させることによってもノズル20とノズルカバー28の相対角度を変更することができる。
図8(c)に示すように、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を所定角度に保持する角度保持手段74は、ノズルカバー28に構成したバネ性のある凸部75と、ノズル20外周面に設けた3箇所の凹部76a、76b、76cによって成り、凸部75と凹部の一箇所が嵌合される構成となっている。これにより、ノズル20とノズルカバー28との相対角度を所定角度に保持することができる。
以下に制御部150における制御動作について図9〜図13を用いて説明する。
図9は、制御部150による「おしり洗浄」運転、「ビデ洗浄」運転、及び、「乾燥」運転におけるノズル20の噴出口(空気噴出口、第1の洗浄水噴出口、第2の洗浄水噴出口)とノズルカバーの開口部との相対角度設定の制御動作を示すタイムチャートを示す。
図10は制御部150による「おしり洗浄」運転、及び、「乾燥」運転における制御動作を示すタイムチャートを示す。
図11(a)は図1に示した衛生洗浄装置100が「おしり洗浄」運転状態にある場合の模式的断面図、図11(b)は図1に示した衛生洗浄装置100が「乾燥」の第1ステップの運転状態にある場合の模式的断面図、図11(c)は図1に示した衛生洗浄装置100が「乾燥」の第2ステップの運転状態にある場合の模式的断面図、をそれぞれ示す。
図12は図1に示した衛生洗浄装置100における「乾燥」の第1ステップの運転状態及び第2ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
図13は図1に示した衛生洗浄装置100における「乾燥」の第3ステップの運転状態
及び第4ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
図9に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間T0の時点(経過時間ゼロの時点)では、ノズル20の前後方向(進退方向)は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の回動方向は、回動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。この角度は中心角度となりノズル20の空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致して上方に設定されている。すなわち、ノズル20は「乾燥」に設定されている。
使用者が遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作する経過時間T1において、第1の電動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動する。
次に、経過時間T2において、第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる左端角度(−90°)まで角度変更する。
次に、経過時間T3では第1の電動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動する。この動作によりノズルカバー28はストッパa71により角度が保持される。
次に、経過時間T4で第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。ここではノズル20を回転させると、角度が保持されたノズルカバー28との相対角度が変わり、ノズルカバー28に対してノズル20の回転角度を変えることができる。
次に、経過時間T5では再び第1の電動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動させる。そして、経過時間T6で第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20の第1の洗浄水噴出口22及びノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を右方向に回転させる(約+90°)。
T7で第1の電動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そして経過時間T8で動作を完了する。
以上の経過時間T1から経過時間T8までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
次に使用者が遠隔操作装置300のビデスイッチ313を押下操作する場合の動作について説明する。
なお、この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、回動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。
まず、経過時間T11において、第1の電動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動させる。次に、経過時間T12において、第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。
次に、経過時間T13では第1の電動モータ53を収納位置(約10mm後方)まで運転させて、アーム73をストッパa71に嵌め込むように移動し、ノズルカバー28をストッパa71により保持する。
次に、経過時間T14で第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23とノズルカバー28の開口部29が一致するように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
次に、経過時間T15では再び第1の電動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動させる。次に、経過時間T16で第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20の第2の洗浄水噴出口23及びノズルカバー28の開口部29が上方を向くように、ノズル20を左方向に回転させる(約−90°)。
次に、経過時間T17で第1の電動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動する。そしてT18で動作を完了する。
以上の経過時間T11から経過時間T18までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29にビデ用の第2の洗浄水噴出口23の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
次に、使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作する場合の動作について説明する。
この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル20の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル20の左右方向は、回動手段70に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。ただしノズルカバー28の開口部29の方向は未定とする。
まず、経過時間T21において、第1の電動モータ53を運転させてアーム73とストッパa71が干渉しない位置(約10mm前方)まで移動させる。次に、経過時間T22において、第2の電動モータ54を回転させて、ノズル20がストッパb72に当たる右端角度(+90°)まで角度変更する。もし経過時間T22時点でノズルカバー28の開口部29と第1の洗浄水噴出口22が一致していた場合は、アーム73がストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
次に、経過時間T23で第2の電動モータ54を反転させて、ノズル20が反対側のストッパb72に当たる左端角度(−180°)まで角度変更する。もし、経過時間T23時点でノズルカバー28の開口部29と第2の洗浄水噴出口23が一致していた場合は、アーム73が反対側のストッパb72に当たり、ノズルカバー28はノズル20との相対角度が変わり、空気噴出口21とノズルカバー28の開口部29が一致するまで角度が変わる。
このように、ノズルカバー28の開口部29に対してノズルがどの方向を向いていても上記動作によって開口部29と空気噴出口21とが一致する。
そして経過時間T24で第2の電動モータ54を再び反転させて、空気噴出口21及びノズルカバー28の開口部29が上方を向くように回転させる(約+90°)。
次に、経過時間T25で第1の電動モータ53を運転してノズルを収納位置(約10mm後方)まで移動させる。そして経過時間T26で動作を完了する。
以上の経過時間T21から経過時間T26までの動作によって、ノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
次に、おしり洗浄から乾燥運転の制御動作について説明する。
図10に示す「乾燥」運転の運転モードは図2に示した乾燥モードスイッチ320aが選択された状態の「急速乾燥運転」であり、温風温度調整スイッチ340は「中」設定とした状態のタイムチャートである。この「急速乾燥運転」は、乾燥機能における温風を加圧空気により誘引しながら被乾燥面に噴出する第1の乾燥運転で行う。
図10に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間T0の時点(経過時間ゼロの時点)では、ノズル20前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル20の左右方向は、回動手段70に設けた中心部位置を検出する位置センサ(図示せず)の検出位置に角度設定されている。
使用者が遠隔操作装置300のおしりスイッチ312を押下操作する経過時間T1において、図9で説明したようにノズルカバー28の開口部29におしり洗浄用の第1の洗浄水噴出口22の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして同時に、開閉弁34が開き、水道水が温水加熱手段31に流れ込む、内臓の流量センサ(図示せず)が水流を検出すると、温水加熱手段31への通電が開始され、加熱された温水が供給し始める。この時ノズル20は収納位置にあるので、第1の洗浄水噴出口21から噴出される充分に温まっていない温水はガイド部57の内面に当たり便器600内に排出される。
温水加熱手段31からの出湯温度が所定の温度(例えば36℃)に達した時点T2(経過時間T2)において、温水加熱手段31及び開閉弁34を停止し、第1の電動モータ53を運転させてノズル20を中心部位置(例えば前方100mm)まで前進させる。
そして経過時間T3において温水加熱手段31及び開閉弁34の運転を再開して、使用者の被洗浄面に洗浄水を噴出する。温水加熱手段31への電力制御は、出湯温度を検出する温度センサ(図示せず)の検出温度が設定温度(例えば40℃)になるように公知PIDやFF制御を用いて行う。また、洗浄水の流量は切換弁32の弁開度を調整することにより使用者の好みの量に設定されている。このおしり洗浄における被洗浄面の濡れ状態は図11(a)に示すように洗浄水が直接当たる中心部だけでなく、水滴が流れて周辺部を濡らしてしまう。
おしり洗浄が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作する経過時間T4において、温水加熱手段31及び開閉弁34を停止し、切換弁32を第1の洗浄水噴出口21方向からノズル洗浄手段35方向へ切換え、ノズル20からの洗浄水噴出を停止すると同時に、第1の電動モータ53を逆転させてノズル20を収納位置まで後退させて、洗浄動作を終了する。
なお、本実施形態では、おしり洗浄における動作を説明したが、遠隔操作装置300のビデスイッチ313押下操作するビデ洗浄を押下操作する場合においても、基本となるシーケースは同様である。ただ、ビデ洗浄の場合は、ビデに対応するノズル位置と流量設定に変更される。
次に経過時間T4から所定時間経過後の経過時間T5aにおいて、開閉弁34を開き図6のノズル洗浄手段35における、入水口36より洗浄水を供給して洗浄水拡散部38を介してノズル20に洗浄水を噴き付けノズル洗浄を行なう。
そして、図10に示す経過時間T5bで開閉弁34を停止してノズル洗浄を終了する。この動作は「乾燥」運転が選択されると仮定して、事前にノズルを洗浄する。
次に、経過時間T6において使用者が遠隔操作装置300の乾燥スイッチ314を押下操作すると、図9を用いて説明したようにノズルカバー28の開口部29に空気噴出口21の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作の説明について省略する。そしてヒータ43が通電されヒータ自身の温度上昇が開始される。このようにエアファン41運転する前にヒータ43に通電することにより、放熱が少ない状態でヒータが加熱されるので高速にヒータ温度を上昇させることができる。
この時同時にエアポンプ51が短時間(たとえば1秒間)だけ運転され、加圧空気がノズル20の空気噴出口21より一瞬噴出される。この動作は、洗浄室37内にノズル20先端が収納状態で、空気噴射口21より加圧空気を噴出させることにより、洗浄室37内を加圧空気がノズル20に沿って高速に流れるので、ノズル20表面に付着した水滴が吹き飛ばされる。したがって、使用者に対して水滴の再付着を防止する。
次に、経過時間T7でエアファン41の運転を開始して、温風噴出口42から温風を吹出す。吹出される温風温度は加熱されたヒータ43を通過するため、始めから高温の温風温度となる。そして、前述のヒータ加熱量に制御されて高温(例えば60℃)の温風が吹き出されるように設定される。そして温風噴出口42から使用者の洗浄面である被乾燥面の略全面に対して送風される。
その後、第1の電動モータ53を運転させてノズル20を最前進位置(例えば前方150mm)まで前進させながら、第2の電動モータ54を運転させてノズル20の左右角度を右端角度(例えば+50°)まで角度変更する。
次に、経過時間T8において、エアポンプ51の運転を開始して、被乾燥面に対して空気噴出口21から加圧空気の噴出を開始する。
そして経過時間T8から経過時間T9の第1ステップにおいて、駆動手段52の第2の電動モータ54と第1の電動モータ53の運転方向及び運転速度を制御して、ノズル20の前後駆動を所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を右端角度から右側所定角度(例えば+50°から+20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
この第1ステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の右側所定位置から前後方向に高速に移動しながら徐々に中心部に接近してくる。したがて、図12の動作パターンP1に示すように、空気噴流当接範囲Eは被乾燥面Fの右端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。
この結果、図11(b)に示すように、洗浄水の噴出範囲よりも充分い外側から加圧空気の噴出を開始するので、被乾燥面の右側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
図10の経過時間T9では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の左右角度を左端角度(例えば−50°)まで角度変更する。そして経過時間T10において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
そして経過時間T10から経過時間T11の第2ステップにおいて、ノズル20の前後駆動を第1ステップと同様に所定範囲(例えば前方50mmから150mm)で高速に往復運転し、同時にノズル20の左右角度を左端角度から左側所定角度(例えば−50°から−20°)まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
この第2ステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の左側所定距離から前後方向に高速に移動する周期移動しながら徐々に中心部に漸進移動して接近してくる。したがて、図12の動作パターンP2に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの左端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図11(C)に示すように、被乾燥面の左側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
以上の第1ステップと第2ステップによって被洗浄面に付着して残る水滴は中心部を中心に前後残るのみとなる。
人体の臀部は肛門や陰茎の洗浄中心部に対して左右両サイドに凸部が形成されているため、便座に座った場合に洗浄中心部より左右両サイドが低くなる。したがって、洗浄水が左右に濡れ広がりやすく、乾燥時に最初に中心部に空気噴流を当ててしまうと、付着した水滴が左右に大きく広がり、濡れ面積が拡大してしまう。上述のように第1ステップと第2ステップによって被洗浄面の水滴が左右に広がるのを防止しながら吹き飛ばすので、効率の良い乾燥ができる。
第2ステップの終了時点T11(経過時間T11)では、ノズル20を最前進位置まで前進させる。そして、経過時間T11から経過時間T12の第3ステップにおいて、ノズル20の前後駆動を最先進位置から中心部方向にゆっくり後退させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
この第3ステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に中心部に接近してくる。したがて、図13の動作パターンP3に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの先端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Gに向けて徐々に斬新移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより前方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
次に、経過時間T12では一旦エアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を後部所定位置(例えば前方50mm)まで移動させる。そして経過時間T13において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
そして経過時間T13から経過時間T14の第4ステップにおいて、ノズル20の前後駆動を後部所定位置から中心部方向にゆっくり前進させながら、同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第4ステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら後方の所定距離から前方に向かって徐々に中心部に接近してくる。したがて、図13の動作パターンP4に示すように、空気噴流の当接範囲Eは被乾燥面Fの後端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Gに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグ
ザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Gより後方に残る水滴を、中心部G方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
以上の第1から第4ステップによって被乾燥面に付着して残る水滴は中心部のみとなる。
次に、上述の第1ステップから第4ステップでの被乾燥面に付着する水滴への作用を説明する。各ステップの動作中の被乾燥面への空気噴流の駆動方向が、中心部に向けて移動する速度より、中心部に対して略接線方向の移動速度の方を充分に速くしているので、被乾燥面に衝突して広がる空気流れ方向が、前記の略接線方向に対して垂直方向の流れ成分が多くなる。
したがって、この略接線方向に駆動する空気噴流と中心部の間に付着する水滴は、略接線方向に対して垂直方向の空気流に押されて中心部方向に移動するように作用する。そして徐々に空気噴流を中心部に接近させるので、中心部方向に集まってくる。この動きを第1から第4ステップにおいて右、左、前、後の4方向から行うことによって、水滴は中心部に集まる。このように第1ステップから第4ステップが被乾燥面に付着する水滴を被乾燥面の中心部に集める工程となる。
経過時間T14では再びエアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向位置を前方の所定位置(例えば前方130mm)まで移動させる。そして経過時間T15において、エアポンプ51の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
そして、経過時間T15から経過時間T16の第5のステップにおいて、ノズル20の前後駆動を前方の所定位置から後退を開始し、中心部を通過して、中心部より後方の所定距離(例えば前方50mm)までをゆっくりと後退する。同時にノズル20の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
この第5のステップの動作は、ノズル20からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動する周期移動をしながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に漸進移動をして中心部に接近し、さらに中心部を通過して後方の所定位置まで漸進移動する。したがって被乾燥面に対して空気噴流の当たる位置が前方から中心部を通って後方に徐々に移動するので、被乾燥面の中央部に残る水滴を、完全に吹き飛ばすことができる。すなわち、この第5のステップが集めた水滴を吹き飛ばす工程となる。
経過時間T16でエアポンプ51を停止して、ノズル20の前後方向は最前進位置(例えば前方150mm)まで移動させる。ノズル20の左右方向は、中心角度に戻す。
経過時間T17aから経過時間T17bでノズル20の前後方向を収納位置に向けて移動させながら、開閉弁34を開きノズル洗浄を行なう。この間でノズル20全体に洗浄水が噴き付けられノズル全体の洗浄ができる。そして経過時間T17bでは開閉弁34を停止して、ノズル洗浄を終了する。
乾燥が終了し、使用者が遠隔操作装置300の停止スイッチ311を押下操作する経過時間T18でヒータ43の運転を停止する。
そして経過時間T19でエアファン41を停止することによって、ヒータ43の余熱を減少させて乾燥運転が終了する。
以上のように、本実施形態は、回動手段80の第2の電動モータ54を支持部55に固
定したものである。
そのため、本実施形態では、ノズル20の進退駆動手段81の動作によりノズル20が進退駆動しても、第2の電動モータ54は支持部55に固定されている構成とされている。そのため、先に述べた特許文献1の衛生洗浄装置における、モータなどの回動駆動手段が移動するための移動スペースや、回動駆動手段に接続される配線の移動スペースを確保する必要はなくなる。
故に、本実施形態は、トイレの便器上といった限られた設置スペースに設置する際に重要となる装置全体のコンパクト化を容易に図ることができる。
また、本実施形態は、回動手段80に接続される配線もノズル20の進退駆動とともに移動しないため、長期の使用を想定した場合の装置の十分な信頼性を容易に得ることができる。
そのため、本実施形態によれば、ノズル20の進退駆動手段81と回動手段80とを併有する場合であっても、コンパクト化と装置の十分な信頼性を容易かつ確実に得ることができるようになる。
また、本実施形態は、回動手段80の動作によりノズル20が回動駆動する場合、回動手段80において、第2の電動モータ54の回転は、第2の連接手段83のうちの第1の伝達手段84へ伝達され、第1の伝達手段84から第2の連接手段83のうちのシャフト66へ伝達され、シャフト66から第2の連接手段83のうちの回転体85へ伝達され、回転体85からノズル20に伝達されノズル20が回転することになる。
また、回動手段80の第2の電動モータ54は支持部55に固定されており、回動手段80の第2の連接手段83のうち、第1の伝達手段84及びシャフト66も支持部55に固定されている。一方、回動手段80の第2の連接手段83のうち、回転体85のみがノズル20の進退駆動に連動して移動する構成とされている。
そのため、進退駆動手段81の動作によりノズル20が進退駆動する場合、回転体85のみがノズル20の進退駆動に連動して移動することになる。そのため、回動手段80のうち大きな体積を占める第2の電動モータ54のための移動スペースや、第2の電動モータ54に接続される配線の移動スペースを確保する必要がなくなる。
なお、この構成の場合、回動手段80のうち回転体85がノズル20の進退動作に連動して移動することになるが、その移動スペースは第2の電動モータ54自体がノズル20の進退動作に連動して移動する場合に比較して極めて小さくすることが容易にできる。
その理由は、以下の3点である。すなわち、第1に、第2の電動モータ54の回動軸に接続される歯車A62と、シャフト66に接続される歯車B63とで構成される第1の伝達手段84は第2の電動モータ54の回動軸の先端の比較的小さなスペースに配置できるようにその体積を比較的容易に小さく構成できるからである。第2に、この第1の伝達手段84に接続されるシャフト66もその直径は第2の電動モータ54の回動軸の直径と略同等の水準にすることが容易にできるからである。第3に、このシャフト66(直径が比較的細い)に嵌合される回転体85は、互いに噛合う歯車C64と歯車D65のようにその体積を容易に小さく構成できるからである。
さらに、本実施形態には、ノズル20の先端部にある空気噴出口21に加圧空気を供給するためのチューブ39aを設ける不可避のスペースが必要となる。更に、ノズル20の
先端部に人体局部の洗浄のための洗浄水を噴出する洗浄水噴出口22,23を設ける場合には当該洗浄水噴出口22,23に洗浄水を供給するためのチューブ39b、39c、39dを設ける不可避のスペースも必要となる。
これに対し、シャフト66がノズル20に対して当該ノズル20の軸と略平行に配置されている。そのため、ノズル20とシャフト66(回動手段)との間に上述のチューブ39a、39b、39c、39dを整然と配置できる十分に小さな設置スペースを確保することが容易にできる。しかも、上述のチューブ39a、39b、39c、39dを設置する際に、チューブ39a、39b、39c、39dのうちのノズル20及びシャフト66に沿う部分について、チューブ39a、39b、39c、39dの軸を、ノズル20の軸及びシャフト66の軸に対して略平行となるように配置することができる。このようにすれば、ノズル20の進退駆動に連動して上述のチューブ39a、39b、39c、39dが進退駆動する場合にも、チューブ39a、39b、39c、39dのうちのノズル20及びシャフト66に沿う部分は上述のノズル20とシャフト66との間に形成されたスペースに整然と収容されることになるので、配管の進退駆動のための移動スペースを十分に低減することが容易にできる。
更にこの構成の場合、ノズル20の進退駆動に連動して上述のチューブ39a、39b、39c、39dが進退駆動する場合にチューブ39a、39b、39c、39dにかかる無理な機械的ストレス(負荷)を十分に低減することもできる。そのため、この構成の場合、チューブ39a、39b、39c、39dの寿命を十分に確保することが容易となるので、配管の信頼性を容易かつ確実に得ることができるようになる。
また、本実施形態においては、第1の連接手段82は、第1の電動モータ53とノズルホルダ58との間をタイミングベルト61により連接する構成としているので、比較的簡単な構成で、第1の電動モータ53の回転運動をノズル20の進退駆動に変換することが容易にできるようになる。
さらに、乾燥のための加圧空気を単一の空気噴出口21から噴出するように構成しているので、低流量でも空気噴流の流速が大きくでき、小容量のエアポンプ51でも高い乾燥性能が得られる。すなわち、噴流の流速が大きいので被乾燥面に付着した水滴に噴流が当たる際の水滴を引き剥がすエネルギーが大きくなるため、水滴を効率よく吹き飛ばすことができる。
なお、本実施形態では、一本の円筒(ノズル20)で洗浄と乾燥を行う構成として、駆動手段を共用する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、例えば、洗浄を行う構成を有するノズルと乾燥を行う構成を有するノズルをそれぞれ独立して備える構成とし、2本のノズルに対応する駆動手段を備える構成としてもよい。
また、本実施形態においては、加圧空気の流速を秒速20〜50mとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。水滴を吹き飛ばす効果を得るためには秒速10m以上が最低必要であり、噴流の当接範囲の大きさの設定要素であるノズル孔の大きさやノズル孔の数はエアポンプの能力と加圧空気の流速を考慮して選択する必要がある。そのため、本発明においては、これらの点を考慮して、水滴を吹き飛ばす効果を得ることのできる加圧空気の流速を設定すればよい。
さらに、本実施形態では第1ステップから第5のステップを順次実行したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、例えば、各ステップは繰り返し実行してもよいし、各ステップの順番を入れ替えてもよい。また、第1と第2ステップを省略
しても良いし、第3と第4ステップを省略しても良い。
また、本実施形態では乾燥運転開始時にエアファンを運転する前にヒータを通電してヒータ温度上昇を高速化したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、例えば、エアファンとヒータを同時に起動して、そのときエアファンの起動時に送風量を徐々に上げるソフトスタート機能を持たせることによりヒータ温度上昇の高速化してもよい。
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2の実施の形態の衛生洗浄装置の回動手段の模式図を示すものである。図14の(a)は、ノズルを収納した状態を示し、(b)はノズルを進出させた状態を示す。
第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置が、第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置と異なるのは、以下の点である。
図14におけるか回動手段90の第2の連接手段91は、ノズル92に対し第2の電動モータ93の回転を伝達可能に挿入されているシャフト94と、支持部95に固定されており、第2の電動モータ93の回転をシャフト94に伝達する伝達手段96とを有している。
ノズル92はシャフト94が摺動可能に挿入される断面が正方形の穴を有している。また、シャフト94は、断面が正方形であり、ノズル92に挿入されていない後端部を支持部95に回転自在に固定している。そして、シャフト94の断面とノズル92の穴の断面が噛合うことでシャフト94の回転がノズル92に伝達される。
第2の電動モータ93及び伝達手段96は、第1の実施の形態と同様であり説明を省略する。
以上のように、第2の実施の形態の衛生洗浄装置は、シャフト94はノズル92に挿入されているので、シャフト94をノズル92の外に設ける場合に比較して第2の連接手段91の設置スペースを低減することができる。また、シャフト94からノズル92に直接に回転動力を伝達できる構成となるため、第2の電動モータ93の動力の伝達ロスや動力の伝達不良を十分に低減できるようになる。また、製造コスト(部品コスト削減、組み立て作業の削減による不良品の発生低減など)もできるようになる。
以上、本発明の衛生洗浄装置における第1実施形態〜第2実施形態の衛生洗浄装置について説明したが、本発明の衛生洗浄装置は上述した第1実施形態〜第2実施形態の衛生洗浄装置に限定されるものではない。
例えば、本発明の衛生洗浄装置においては、シャフトの断面は図5に示した断面のように正方形に限定されるものではない。本発明の衛生洗浄装置においては、シャフトの断面の形状はシャフトの回転が歯車Cに伝達可能な形状であれば特に限定されない。例えば、シャフトの断面の形状はDカットされた円柱や、溝を有する円柱でもよい。