JP2011042147A - 食品包装用積層材および食品包装用積層材の製造方法 - Google Patents

食品包装用積層材および食品包装用積層材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒臭のない食品包装用積層材を提供する。
【解決手段】紙印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層されたガスバリア性遮光膜と、前記ガスバリア性遮光膜に積層された熱融着性樹脂膜とからなり、
前記紙基材と前記ガスバリア性遮光膜との間、および/または前記ガスバリア性遮光膜と前記熱融着性樹脂膜との間に遮光印刷層を有することを特徴とする、食品包装用積層材である。溶媒臭がなく、ヒートシールによって容易に袋状に成形できる。本発明の食品包装用積層材を用いれば、一次包装材として使用することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品包装用積層材に関し、より詳細には、印刷層や接着剤層が発する印刷臭や溶剤臭を低減させた食品包装用積層材、該積層材からなる食品包装用袋に関する。
食品の中には、臭気とその製品の品質とが深いかかわりを有するものが多い。たとえばチョコレートは、カカオの種子をいって粉にしたものに牛乳・バター・砂糖・香料などを加えて練り固めた菓子であり、昨今ではカカオマス濃度の異なる種々のチョコレート製品が市販されるようになり、わずかな香りの相違が品質に影響を与える食品である。特に、チョコレート製品は、味覚と共にカカオマスの芳醇な香りや、製品に添加された果実などのフレーバーを愉しむ製品であり、保香性の維持が要求されると共に移り香が極度に嫌われる製品でもある。したがって、チョコレートを直接包装する一次包装材としては、耐油性、ガスバリア性などの観点から、従来から銀紙や合成樹脂性フィルムが多用されている。
このような合成樹脂性フィルムとして、少なくとも基材の両面に、基材と異なる樹脂からなるヒートシール層を有する包装用フィルムであって、非塩素系材料からなり、包装用フィルム同士をヒートシール温度110〜140℃の温度でヒートシールした際のヒートシール強度が、ヒートシール時に密着させる面がいずれの面であっても、70g/15mm幅以上である包装用フィルムがある(特許文献1)。該公報に記載されるフィルムは、菓子類は紙箱に収納した上で防湿性および保香性を目的としてその外側をポリプロピレン系樹脂フィルムをベースとした包装用フィルムにより上包みすることが多く、ポリプロピレン系樹脂フィルムは防湿性などでは優れるが保香性に問題があり、かつ包装時のヒートシール部の強度が弱いことに鑑みてなされたものであり、保香性を向上すべく、所定のヒートシール強度を確保しうる包装用フィルムを提案するものである。また、水蒸気透過度を5.5g/m2/day以下に限定し、被包装物中の収納物の保湿性を確保している。
また、チョコレート含有油性菓子包装体の製造方法であって、チョコレート含有油性菓子を65〜90℃の範囲内に加温し、包装容器内に押し出し、次いで密封包装するチョコレート含有油性菓子包装体の製造方法もある(特許文献2)。該公報では、包装容器として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の飽和ポリエステル、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6,6等のポリアミド、芳香族ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等、これらのガスバリヤー性樹脂フィルムとポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルム、アルミ箔、ガラス蒸着フィルムとの積層フィルムなどのガスバリヤー性樹脂フィルムからなるものを使用し、これによれば長期にわたる品質の保持を行うことができるという。
このようなチョコレート菓子は、成分に由来して表面や角部が損傷を受けやすく、合成樹脂性フィルムや銀紙で一次包装された後、紙包装されたり紙箱に収納されて陳列されることが一般的である。
これに対し、仕切られた合成樹脂性の可撓性パッケージにチョコレート菓子製品が収納されたパッケージ菓子であって、前記菓子製品が、可撓性パッケージに個別に収納されるパッケージ菓子もある(特許文献3)。個別包装よりも安価であり、追加の包装も不要である、という。
このように、チョコレートは成分に由来する特性や品質保持の観点から合成樹脂性フィルムや銀紙で一次包装されることが一般的であり、これらが二次包装材である紙箱に収納され、または一次包装材として合成樹脂性フィルムで個別包装されたものがより大きな合成樹脂性外装袋に収納されて陳列されている。
特開2002−210878号公報 特開2005−204593号公報 特開2004−529043号公報
しかしながら、チョコレートは、含まれるカカオ・ポリフェノールによってがんや動脈硬化などの原因とされる活性酸素の働きを抑制し、チョコレートの香りが精神活動を高め、心理的ストレスに対する抵抗力を増強させるともいわれ、このようなチョコレート製品の外装に対しても、より安らぎを感じさせるデザインが要求されるようになっており、紙基材で包装することへの要求が高まっている。このような紙基材を使用すれば、合成樹脂フィルムの使用量を低減することができ、環境保全にも優れる。
しかしながら、単に紙基材のみで包装したのでは、遮光性、ガスバリア性などが不足するため品質を維持することができない。一方、アルミは遮光性に優れることは周知であるが、使用後にゴミとして廃棄処理する場合、アルミニウムの金属が残り、焼却炉を損傷しかねず、その廃棄処理適性に欠けると共に、環境破壊などの問題を引き起こし、環境的性などにも欠けるという問題がある。したがって、品質保持性能に優れ、かつ環境保全に適する紙基材を含む食品包装用積層材の開発が望まれる。
また、紙基材は多量の溶剤を吸収するため、積層時や印刷時に使用する溶剤が残存しやすい。このような場合、予め全面染色した紙基材に必要な情報のみを印刷する方法もあるが、食品の中には、特有の成分含有量が異なる製品や、果汁や抹茶風味を添加したものなど、たとえ同じ形状でも異なる風味の種々の製品も存在し、製品ごとに異なる用紙を使用することは煩雑である。したがって、全面印刷を行った場合でも、溶媒臭の無い、紙基材を含む食品包装用積層材の開発が望まれる。
また、食品を紙基材を含む包装材で一次包装した場合に、二次包装せずに陳列できれば、紙包装を外部から認識することができ、消費者の購買意欲も向上する。したがって、食品の損傷を防止し、かつ簡便に陳列しうる食品包装用袋が望まれる。
更に、食品包装用材の外装には、一般消費者が商品を選択する際の目安となる表示事項として、種類別名称、原材料名、賞味期限、保存方法、事業者の氏名又は名称及び住所、事故品を取り替える旨などを容器又は包装の外部から見やすい場所に邦文で明りょうに表示する必要がある。一次包装のみで陳列する場合は、一次包装材にこのような印刷を行う必要があるが、紙基材は、本来、印刷が不鮮明となりやすい。そこで、明瞭な印刷を行いうる紙基材を含む食品包装用積層材が望まれる。
上記に鑑み、本発明は、印刷適性に優れ、遮光性、ガスバリア性を有する紙基材を含む食品包装用積層材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記食品包装用積層材の製造方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、内容物を保護しうる柔軟性、耐衝撃性、耐摩擦性、印刷適性、開口性、充填包装適性を有する食品包装用袋を提供することを目的とする。
食品包装材について詳細に検討した結果、合成樹脂性包装材は印刷時の溶媒の吸収率が低く溶媒臭が問題とならないが、紙基材を使用する場合には多量の溶媒を吸収するため溶媒臭が残存することが判明した。しかしながら、紙基材として秤量が特定範囲の薄いものを使用すると溶媒臭を抑制できること、および前記ガスバリア性遮光膜に特定の性能を有するガスバリア性、遮光性を有する層を積層すると、遮光性、ガスバリア性が確保でき、更に熱融着性樹脂膜を積層するとヒートシール性を確保することができ食品製品の包装材として好適であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の食品包装用積層材は、表面が紙基材からなるため、消費者の購買意欲を向上させ、ガスバリア性遮光膜を含むため、紙基材の補強力と共に食品の品質保持性能に優れる。
また、本発明の食品包装用積層材の紙基材に設けた印刷層は印字が明瞭であり、二次包装材を使用しなくても商品情報を適切に印字することができる。
本発明の食品包装用積層材は、紙基材を含むため適度なコシがあり、これを用いて製造した食品包装用袋は、食品を収納した後に食品を適度の空間を保持しつつ収納することができ、形状維持特性に優れる。
本発明の食品包装用袋は、一次包装材を外装として使用することができる。このため二次包装材が不要であり、環境保全に優れると共に、製品自体をコンパクトにでき、狭いスペースでも陳列することができる。
本発明の第一は、紙印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層されたガスバリア性遮光膜と、前記ガスバリア性遮光膜に積層された熱融着性樹脂膜とからなる食品包装用積層材であって、
前記ガスバリア性遮光膜は、基材フィルム層の一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設け、該無機酸化物の蒸着膜上に一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設け、前記ガスバリア性塗布膜上に遮光印刷層を有する積層フィルムであることを特徴とする、食品包装用積層材である。
図1に、本発明の食品包装用積層材の好適な実施態様の一例を示す。本発明の食品包装用積層材は、紙基材(10)、ガスバリア性遮光膜(20)、熱融着性樹脂膜(30)とからなり、紙基材層(10)には紙印刷層(50(1))が施され、ガスバリア性遮光膜(20)は、基材フィルム層(21)、コロナ処理層(80)、無機酸化物の蒸着膜(23)、ガスバリア性塗布膜(25)、プラズマ処理層(90)および遮光印刷層(50(2))とが積層されたものであり、熱融着性樹脂膜(30)にはコロナ処理層(80)が設けられ、紙基材(10)、ガスバリア性遮光膜(20)および熱融着性樹脂膜(30)は、それぞれラミネート接着剤層(70)を介して接着されている。したがって、最外層から最内層に向かって、紙印刷層(50(1))、紙基材(10)、ラミネート接着剤層(70)、遮光印刷層(50(2))、プラズマ処理層(90)、ガスバリア性塗布膜(25)、無機酸化物の蒸着膜(23)、コロナ処理層(80)、基材フィルム層(21)、ラミネート接着剤層(70)、コロナ処理層(80)、熱融着性樹脂膜(30)となっている。
最外層が紙基材であるため、消費者に対して癒し効果があり、かつ紙基材上に設けた印刷層によって、的確な商品情報を明記することができる。また、層間にガスバリア性遮光膜を含むため品質保持性能に優れ、かつ最内層に熱融着性樹脂膜を有するため、ヒートシールによって容易に袋状物を形成しうる。
本発明の食品包装用積層材は、紙基材を使用しても溶媒臭がなく、デリケートな味覚を味わう食品の一次包装材として好適である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)紙基材
本発明の食品包装用積層材で使用しうる紙基材としては、これが食品包装用積層材を構成する基本素材となることから、印刷適性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができ、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の各種の紙を使用することができる。
本発明で使用する紙基材の秤量には制限はないが、好ましくは坪量10〜120g/m2の範囲のもの、より好ましくは坪量20〜100g/m2のものである。10g/m2を下回ると、紙基材が薄いために明瞭な印字ができる印刷層を形成しづらい場合があり、かつ食品包装用積層材に占める紙基材の質量比が小さくなりすぎ、好ましくない。一方、120g/m2を超えると、紙基材が厚くなるため、印刷時の溶媒が残存する場合があり、溶媒臭が残存する一因となる。また、コシが強いため、成形後に内容物の収納が困難となる場合がある。
また、上記紙基材の印刷面は、3次元表面粗さ60μm以下、より好ましくは1〜60μm、特に好ましくは2〜35μmである。この範囲であれば、過剰の印刷用溶媒が紙基材に残存することがなく、かつ印刷層の印字を明瞭にすることができる。なお、3次元表面粗さは、後記する実施例で記載する方法で測定したものとする。
(2)紙印刷層
本発明では、紙基材上に設けた印刷層(以下、紙印刷層と称する。)を有することを特徴とする。紙印刷層を設けた場合にも、溶媒臭気を低減することができる。この際、紙印刷層は部分印刷であっても全面印刷であってもよい。
紙基材上に印刷する際の印刷方法に限定はなく、従前の紙基材への印刷方法を採用することができる。したがって、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
紙印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
(3)ガスバリア性遮光膜
本発明で使用するガスバリア性遮光膜は、基材フィルム層の一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設け、該無機酸化物の蒸着膜上に一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設け、前記ガスバリア性塗布膜上に遮光印刷層を有する積層フィルムである。
(3−1)基材フィルム層
ガスバリア性遮光膜を構成する基材フィルム層としては、無機酸化物の蒸着膜やガスバリア性塗布膜を設けるに足る機械的、物理的、化学的強度を有し、特に無機酸化物の蒸着膜を形成する条件に耐え、無機酸化物の蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得る樹脂フィルムを使用することが好ましい。
このような基材フィルム層としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂からなるフィルムを使用することができる。特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムが好ましい。
上記樹脂は、上記樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜し、テンター方式やチューブラー方式等で1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂フィルムを使用することができる。
本発明において、基材フィルムの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が好ましい。
なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
(3−2)表面処理
本発明において、無機酸化物の蒸着膜を形成する際に基材フィルム層に予め表面処理を行うことができ、層間の密着性を向上させることができる。また、ガスバリア性塗布膜に遮光印刷層を形成する場合にも、予めガスバリア性塗布膜に表面処理を行うと、遮光印刷層とガスバリア性塗布膜との密着性を向上させることができる。本発明では、その他、ラミネート接着剤による接着に先立ち、予め接着面に表面処理を行ってもよい。
このような表面処理としては、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理などがある。なお、コロナ放電処理は、対象物表面にコロナ放電を行うことにより、処理表面の物理的な凹凸化や、表面付近の化学構造の酸化といった現象を起こすことで、接着や熱溶着の強度を増すことを目的に行うものである。コロナ放電処理の加工条件は、放電ギャップが1〜15mm、基材送り速度が100〜1000cm/min、処理強さが300〜1000W/m2/minである。
また、本発明で使用する各種膜の表面に、予め、プライマー、アンダコート、アンカーコート等を任意に塗布し、表面処理することもできる。
なお、本発明においては、前記基材フィルム層やガスバリア性塗布膜以外の他の層の表面にも、他の層との密着性を向上させるために、前記いずれかの表面処理をおこなってもよい。
(3−3)無機酸化物の蒸着膜
無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、物理気相成長法またはこれらを複合して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。
化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、低温プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等がある。具体的には、基材フィルム層の一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができる。高活性の安定したプラズマが得られる点で、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。
上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法の一例を低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である図2を用いて説明する。
本発明では、プラズマ化学気相成長装置221の真空チャンバー222内に配置された巻き出しロール223から基材フィルム層201を繰り出し、更に、該基材フィルム層201を、補助ロール224を介して所定の速度で冷却・電極ドラム225周面上に搬送する。一方、ガス供給装置226、227および、原料揮発供給装置228等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスその他等を供給して蒸着用混合ガス組成物を調製し、これを原料供給ノズル229を通して真空チャンバー222内に導入する。該蒸着用混合ガス組成物を上記冷却・電極ドラム225周面上に搬送された基材フィルム層201の上に供給し、グロー放電プラズマ230によってプラズマを発生させ照射し、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を製膜化する。次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム層201を補助ロール233を介して巻き取りロール234に巻き取れば、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。なお、冷却・電極ドラム225は、真空チャンバー222の外に配置されている電源231から所定の電力が印加され、冷却・電極ドラム225の近傍には、マグネット232を配置してプラズマの発生が促進されている。このように冷却・電極ドラムに電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成される。このグロー放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態で基材フィルム層を一定速度で搬送させると、グロー放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルム層の上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。なお、図2中、符号235は真空ポンプを表す。
本発明では、真空チャンバー内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調整することが好ましい。
原料揮発供給装置は、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバー内に導入させる。この際、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%、酸素ガスの含有量は10〜70%、不活性ガスの含有量は10〜60%の範囲とすることが好ましく、例えば、有機珪素化合物:酸素ガス:不活性ガスの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。なお、上記有機珪素化合物、不活性ガス、酸素ガスなどを供給する際の真空チャンバー内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは真空度1×10-1〜1×10-2Torrであることが好ましく、また、基材フィルム層の搬送速度は、10〜300m/分、好ましくは50〜150m/分である。このようにして得られる酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、基材フィルム層の上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOXの形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で隙間の少ない、可撓性に富む連続層となり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高く、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができる。また、SiOXプラズマにより基材フィルム層の表面が清浄化され、基材フィルム層の表面に、極性基やフリーラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と基材フィルム層との密接着性が高いものとなる。更に、酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torrであって、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torrに比較して低真空度であるから、基材フィルム層の原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度が安定しやすく製膜プロセスも安定化する。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマーガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルム層の一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX(ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。上記酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX(ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましい。なお、Xの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
本発明において、酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH3部位を持つハイドロカーボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。なお、上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。この際、上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%、好ましくは5〜20%である。含有率が0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になる場合があり、一方、50%を越えるとバリア性が低下する場合がある。
更に、本発明では、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、基材フィルム層との界面では、上記化合物の含有量が少ないために基材フィルム層と酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。
本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜は、例えばX線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析し、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことで、上記の物性を確認することができる。
本発明において、上記酸化珪素の蒸着膜の膜厚は、50Å〜4000Å位であることが好ましく、より好ましくは100〜1000Åである。4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生する場合があり、一方、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になる場合がある。なお、膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくする方法、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
本発明では、無機酸化物の蒸着膜として、無機酸化物の蒸着膜の1層だけでなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
本発明において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。これらの中でも、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に好ましい。なお、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
一方、本発明では、物理気相成長法によっても無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。このような物理気相成長法として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)などにより無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材フィルム層の一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルム層の一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。なお、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。物理気相成長法による無機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図を示す図3を参照して説明する。
まず、巻き取り式真空蒸着装置241の真空チャンバー242の中で、巻き出しロール243から繰り出す基材フィルム層201は、ガイドロール244、245を介して、冷却したコーティングドラム246に案内される。上記の冷却したコーティングドラム246上に案内された基材フィルム層201の上に、るつぼ247で熱せられた蒸着源248、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口249より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク250、250を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム層201を、ガイドロール251、252を介して送り出し、巻き取りロール253に巻き取ると物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。なお、上記巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、その上に無機酸化物の蒸着膜を更に形成し、または、上記巻き取り式真空蒸着装置を2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成して、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成してもよい。
無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であればよく、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。よって、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物と称することができ、その表記は、例えば、SiOX、AlOX、MgOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は0を超え2以下、アルミニウム(Al)は0を超え1.5以下、マグネシウム(Mg)は0を超え1以下、カルシウム(Ca)は0を超え1以下、カリウム(K)は0を超え0.5以下、スズ(Sn)は0を超え2以下、ナトリウム(Na)は0を超え0.5以下、ホウ素(B)は0を超え1、5以下、チタン(Ti)は0を超え2以下、鉛(Pb)は0を超え1以下、ジルコニウム(Zr)は0を超え2以下、イットリウム(Y)は0を超え1.5以下の範囲である。上記においてX=0の場合は完全な金属であり、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しい。このため、本発明において、Mとしてケイ素やアルミニウムが好ましく、その際これらのXの値は、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲である。なお、無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、使用する金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å、好ましくは、100〜1000Åの範囲内で任意に選択することができる。また、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
更に、本発明では、例えば物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。
上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルム層の上に、化学気相成長法により、緻密で柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが好ましいものである。上記とは逆くに、基材フィルム層の上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
(3−4)ガスバリア性塗布膜
本発明で使用するガスバリア性塗布膜としては、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜であり、該組成物を上記基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を設け、20℃〜180℃、かつ上記の基材フィルム層の融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して形成することができる。
また、前記ガスバリア性組成物を上記基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を2層以上重層し、20℃〜180℃、かつ、上記基材フィルム層の融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理し、ガスバリア性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2m中、R1としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などを挙げることができる。
上記一般式R1 nM(OR2m中、R2としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR2)が存在する場合には、(OR2)は同一であっても、異なってもよい。
上記一般式R1 nM(OR2m中、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができる。
本発明においてケイ素であることが好ましい。この場合、本発明で好ましく使用できるアルコキシドとしては、上記一般式R1 nM(OR2mにおいてn=0の場合には、一般式Si(ORa)4(ただし、式中、Raは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。このようなアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシランSi(OCH34、テトラエトキシシランSi(OC254、テトラプロポキシシランSi(OC374、テトラブトキシシランSi(OC494等を例示することができる。
また、nが1以上の場合には、一般式RbnSi(ORc)4-m(ただし、式中、mは、1、2、3の整数を表し、Rb、Rcは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他を表わす。)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。このようなアルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシランCH3Si(OCH33、メチルトリエトキシシランCH3Si(OC253、ジメチルジメトキシシラン(CH32Si(OCH32、ジメチルジエトキシシラン(CH32Si(OC252、その他等を使用することができる。本発明では、上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
本発明では、上記一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとして、MがZrであるジルコニウムアルコキシドも好適に使用することができる。例えば、テトラメトキシジルコニウムZr(OCH34、テトラエトキシジルコニウムZr(OC254、テトラiプロポキシジルコニウムZr(iso−OC374、テトラnブトキシジルコニウムZr(OC494、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとして、MがTiであるチタニウムアルコキシドを好適に使用することができ、例えば、テトラメトキシチタニウムTi(OCH34、テトラエトキシチタニウムTi(OC254、テトライソプロポキシチタニウムTi(iso−OC374、テトラnブトキシチタニウムTi(OC494、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとして、MがAlであるアルミニウムアルコキシドを使用することができ、例えば、テトラメトキシアルミニウムAl(OCH34、テトラエトキシアルミニウムAl(OC254、テトライソプロポキシアルミニウムAl(is0−OC374、テトラnブトキシアルミニウムAl(OC494、その他等を使用することができる。
本発明では、上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい。例えばアルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性遮光膜の靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避される。この際、ジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して10質量部以下の範囲である。10質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、基材フィルム層を被覆した際にガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
また、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性塗布膜の熱伝導率が低くなり、耐熱性が著しく向上する。この際、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して5質量部以下の範囲である。5質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、基材フィルム層を被覆した際に、ガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる場合がある。
本発明で使用するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、質量比で、ポリビニルアルコ一ル系樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体=10:0.05〜10:6位であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であり、好ましくは20〜200質量部の配合割合である。500質量部を越えると、ガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、得られるバリア性フィルムの耐水性および耐候性等が低下する場合がある。一方、5質量部を下回るとガスバリア性が低下する場合がある。
前記ポリビニルアルコ一ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体において、ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーである「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を例示することができる。
また、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものことが好ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
本発明で使用するガスバリア性組成物は、前記一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して得たガスバリア性組成物である。上記ガスバリア性組成物を調製するに際し、シランカップリング剤等を添加してもよい。
本発明で好適に使用できるシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを広く使用することができる。例えば、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。このようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。なお、シランカップリング剤の使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して1〜20質量部の範囲内である。20質量部以上を使用すると、形成されるガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、ガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する場合がある。
また、ゾル−ゲル法触媒とは、主として、重縮合触媒として使用される触媒であり、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンなどの塩基性物質が用いられる。例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。本発明においては、特に、N、N−ジメチルべンジルアミンが好適である。その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100質量部当り、0.01〜1.0質量部である。
また、上記ガスバリア性組成物において用いられる「酸」としては、上記ゾル−ゲル法において、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他等を使用することができる。上記酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モルを使用することが好ましい。
更に、上記のガスバリア性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは、0.8から2モルの割合の水をもちいることができる。水の量が2モルを越えると、上記アルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、そのような多孔性のポリマーは、ガスバリア性遮光膜のガスバリア性を改善することができなくなる。また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる場合がある。
更に、上記のガスバリア性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、その他等を用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記アルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態で取り扱われることが好ましく、上記有機溶媒の中から適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。なお、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することもでき、例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名「ソアノール」などを好適に使用することができる。上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾル−ゲル法触媒の合計量100質量に対して30〜500質量部である。
本発明において、ガスバリア性遮光膜は、以下の方法で製造することができる。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合し、ガスバリア性組成物を調製する。混合により、ガスバリア性組成物(塗工液)は、重縮合反応が開始および進行する。
次いで、基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物を塗布し、および乾燥する。この乾燥工程によって、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が更に進行し、塗布膜が形成される。第一の塗布膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗布膜を形成してもよい。
次いで、上記ガスバリア性組成物を塗布した基材フィルム層を20℃〜180℃、かつ基材フィルム層の融点以下の温度、好ましくは、50℃〜160℃の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理する。これによって、前記無機酸化物の蒸着膜の上に、上記ガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を1層ないし2層以上形成したバリア性フィルムを製造することができる。
なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体単独、またはポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体との両者を用いて得られたバリア性フィルムは、熱水処理後のガスバリア性に優れる。一方、ポリビニルアルコール系樹脂のみを使用してバリア性フィルムを製造した場合には、予め、ポリビニルアルコール系樹脂を使用したガスバリア性組成物を塗工して第1の塗布膜を形成し、次いで、その塗布膜の上に、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物を塗工して第2の塗布膜を形成し、それらの複合層を形成すると、熱水処理後のガスバリア性が向上したバリア性フィルムを製造することができる。
更に、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物により塗布膜を形成し、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて含有するガスバリア性組成物により塗布膜を形成し、これらを複数積層しても、本発明に係るバリア性フィルムのガスバリア性の向上に有効な手段となる。
本発明で使用するガスバリア性遮光膜の製造法について、アルコキシドとしてアルコキシシランを使用し、より詳細に説明する。
ガスバリア性組成物として配合されたアルコキシシランや金属アルコキシドは、添加された水によって加水分解される。加水分解の際には、酸が加水分解の触媒として作用する。次いで、ゾル−ゲル法触媒の働きによって、加水分解によって生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きによりエポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。また、加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体が存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。なお、生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーである。
上記反応において、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
Figure 2011042147
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)が、直鎖状のポリマーから分岐した形で有する。このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾル−ゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、まず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。すなわち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、あるいは、下記の式(V)及び(VI)に示される共重合した複合ポリマーを生じると考えられる。
Figure 2011042147
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上記の反応は常温で進行し、ガスバリア性組成物は、調製中に粘度が増加する。このガスバリア性組成物を、基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを除去すると重縮合反応が完結し、基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の上に透明な塗布膜が形成される。なお、上記の塗布膜を複数層積層する場合には、層間の塗布膜中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層との間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が、基材フィルム層、または、基材フィルム層上の無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基等と結合するため、基材フィルム層、または前記無機酸化物の蒸着膜表面と、塗布膜との接着性も良好なものとなる。このように、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成するため、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得る。
なお、本発明では、添加される水の量をアルコキシド類1モルに対して0.8〜2モル、好ましくは1.0〜1.7モルに調節した場合には、上記直鎖状のポリマーが形成される。このような直鎖状ポリマーは結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため、特にガスバリア性(O2、N2、H2O、CO2、その他等の透過を遮断、阻止する)に優れる。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗布膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
(3−5)プライマー層
本発明では、上記ガスバリア性塗布膜の面にプライマー層を形成し、その上に遮光印刷層を形成することができる。また、上記遮光印刷層にプライマー層を形成し、ついで、該プライマー層の面にラミネート用接着剤層を形成し、その後プライマー層およびラミネート用接着剤層を介して熱融着性樹脂膜などの基材をドライラミネート積層法を用いて積層することができる。プライマー層を設けることで、各層間の密着性を高めたり、積層強度を向上させることができる。
プライマー層を構成するプライマーとしては、ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂などをビヒクルの主成分とし、該ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂1〜30質量%に対して、シランカップリング剤0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、充填剤0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の割合で配合し、その他、溶媒や希釈剤を含むプライマー組成物を使用することができる。このプライマー組成物には、必要に応じて、更に安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他の添加剤を配合してもよい。本発明において、プライマー層の厚さは、0.1〜10.0g/m2(乾燥状態)である。上記プライマー組成物は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法などによりコーティングし、該コーティング膜を乾燥させて溶媒や希釈剤を除去し、更に必要に応じてエージング処理などを行ってプライマー層とすることができる。
上記ポリウレタン系樹脂としては、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られる1液ないし2液硬化型のポリウレタン系樹脂などを例示できる。
一方、ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸などのベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸の一種または2種以上と、飽和二価アルコールの一種またはそれ以上との重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を例示できる。ベンゼン核を有する芳香族飽和ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエーテル、4,4−ジカルボン酸などがある。また、飽和二価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプリピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪酸グリコール、シクロヘキササンジメタノールなどの脂環族グリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオールその他の芳香族ジオールが例示できる。
上記ポリエステル系樹脂としては、より具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とテトラメチレングリコールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、その他等がある。
なお、ベンゼン核を有する飽和芳香族ジカルボン酸に、更にマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸の一種以上を添加して共重縮合してもよく、その際の使用量としては、芳香族ジカルボン酸の1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂によれば、無機酸化物、特には前記有機含有酸化珪素層と印刷層、熱融着性樹脂膜などとの密着性を向上させることができ、プライマー層の伸長度を向上させて、ラミネート加工などの後加工適性を向上させ、後加工時における前記有機含有酸化珪素層のクラックなどの発生を防止することができる。
プライマー組成物を構成するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能基シランモノマー類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコーンの水溶液などの1種を単独で、または2種以上を併用することができる。
本発明では、シランカップリング剤の無機性官能基および/または有機性官能基を利用し、ガスバリア性塗布膜と、遮光印刷層、プライマー層などとの接着強度を高めることができる。具体的には、上記シランカップリング剤の分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、またはアセトキシ基などが加水分解し、シラノール基(SiOH)を形成し、これがガスバリア性塗布膜の膜表面上の活性な基、例えば水酸基などの官能基と作用し、脱水縮合反応などの反応を起こし、ガスバリア性塗布膜の膜表面にシランカップリング剤が共有結合などで修飾され、更にシラノール基自体のガスバリア性塗布膜の膜表面に吸着や水素結合などにより強固な結合を形成する。また、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、またはメルカプトなどの有機官能基がそのシランカップリング剤の薄膜の上に形成される、例えば遮光印刷層、プライマー層、ラミネート用接着剤層、アンカーコート層、溶融押出樹脂層、その他の層を構成する物質と反応して強固な結合を形成し、そのラミネート強度を高めることができる。
上記プライマー組成物を構成する充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末などがある。充填剤を配合すると、上記ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂を含む溶液の粘度を調整し、コーティング適性を向上させることができ、かつバインダー樹脂としてポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂とシランカップリング剤を介してコーティング膜の凝集力を向上させることができる。
(3−6)プラズマ処理
本発明では、上記ガスバリア性塗布膜に対してプラズマ処理を行い、その後に遮光印刷層を形成し、これにより安定な遮光印刷層を形成してもよい。
ガスバリア性塗布膜に対するプラズマ処理としては、プラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスのように、酸素ガスを含む無機ガスをプラズマガスとして使用してプラズマ処理を行なうことが好ましい。また、より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これにより、そのガスバリア性塗布膜の表面に、例えば、化学反応等によりOH基等を導入することができ、更に、ガスバリア性塗布膜中に存在するSi−C結合等をSiO2化することを可能とする。更に、上記プラズマ処理により、ガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜の架橋密度等を高め、その湿度依存性等を改良し、酸素ガスに対するガスバリア性は勿論のこと、水蒸気に対するバリア性も向上し、相対的に、酸素ガス、水蒸気等に対する高いガスバリア性を安定して維持することを可能とし、更にまた、ガスバリア性塗布膜の面に、真空中で、酸素ガスを含む無機ガスからなるプラズマガスを使用してプラズマ処理を施してプラズマ処理層を形成することにより、該プラズマ処理層に、例えば、遮光印刷層、接着剤層、アンカーコート層、熱融着性樹脂膜、その他等の基材を積層する場合、その密接着性等を向上させ、その積層強度等を著しく高めることを可能とするものである。
具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましく、そして、その酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスのガス圧としては、1×10-1〜10−10Torr位、より好ましくは、1×10-2〜1×10-8Torr位が望ましく、また、酸素ガスとアルゴンガスとの比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が望ましく、更に、そのプラズマ出力としては、100〜2500W位、より好ましくは、500〜1500W位が望ましく、更にまた、その処理速度としては、100〜600m/min位、より好ましくは、200〜500m/min位が望ましい。上記の酸素ガスとアルゴンガスとの分圧比において、アルゴンガス分圧が高くなると、プラズマで活性化される酸素分子が少なくなり、アルゴンガスが還元性ガスとして働き、水酸基の導入が阻害されることから好ましくないものである。また、上記のプラズマ出力が、100W未満、更には、500W未満の場合には、酸素ガスの活性化が低下し、高活性の酸素原子が生成しにくいことから好ましくなく、また、1500Wを越えると、更には、2500Wを越えると、プラズマ出力が高すぎるので、ガスバリア性塗布膜等の劣化により、そのものの物性が低下するという問題を引き起こすことから好ましくないものである。
更に、上記の処理速度が、100m/min未満、更には、250m/min未満であると、酸素プラズマ量が少なく、また、600m/minを越えると、更には、500m/minを越えると、ガスバリア性塗布膜の酸化が急速に進み、透明性は高くなるが、バリア性が低下して好ましくないものである。
本発明において、プラズマ処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequency:AF、Radio Frequency:RF)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して行うことができる。本発明においては、3.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用して行うことができる。
(3−7)遮光印刷層
本発明において「遮光印刷層」とは、ガスバリア性遮光膜のガスバリア性塗布膜に設けられ、ガスバリア性遮光膜に遮光性を付与しうる印刷層である。遮光印刷による全光線透過率は、70%以下であることが好ましく、特に好ましくは70〜5%、より好ましくは60〜5%以下である。この範囲であれば、遮光性が確保され、高い品質保持性が確保できる。なお、前記全光線透過率は、全光線透過率測定機(スガ試験機製 110M−2K)を使用して測定した値とする。
遮光印刷にかかる印刷方法に限定はないが、グラビア印刷によることが好ましい。グラビア印刷は、原版のインクの付く部分が凹状に彫り込まれているタイプの印刷方式であり、近年は、この凹部が、ダイヤモンドヤレーザーをつけたエッチング機でデジタルに形成されている。インクはこの凹部からでてくるので、その深さと大きさ、印刷層への凹部の圧力などによって色の濃度を調整することがきる。グラビア印刷機は、色ごとに1つの印刷ユニットを有し、写真など階調を持つ画像の再現性に優れる。このようなグラビア印刷機によってプラスチックフィルムへ印刷するには、一般には印刷層の剥がれ落ちを防止するため文字を見る面の反対側に裏面印刷が行われ、濃色インクから淡色インクの順、例えば墨、藍、紅、黄の順に刷り始め、最後に全面に白色インクなどの淡色インクによる印刷がなされるが、本発明では、裏面印刷でも表面印刷であってもよい。本発明では、食品包装用積層材の最表面は紙基材上に設けた紙印刷層であり、遮光印刷層は遮光性を確保するために設けられたものであるから、当該目的を達成できればよい。したがって、前記遮光印刷層は、いずれかの顔料による単色の全面印刷であっても、複数の着色料を使用した柄模様であってもよい。特に、遮光印刷層の着色は熱融着性樹脂膜から目視できるため、多色刷りを行うことで、食品包装用積層材の最内層に絵柄を形成することができ、または商品の説明などの文章を記載することもできる。一方、熱融着性樹脂膜から目視できる色彩が、紙基材と同色のインクによる全面印刷であれば、遮光印刷層の存在を認識させることなく、遮光性を確保することができる。なお、本発明における上記透過度は、後記する実施例で記載する方法で測定するものとする。
印刷層としては、上記紙印刷層と同様のインキ組成物を使用することができる。また、上記は、グラビア印刷で説明したが、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
(4)熱融着性樹脂膜
本発明で使用しうる熱融着性樹脂膜とは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、未延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。食品包装用積層材として使用するには、未延伸ポリプロピレン系樹脂であれば機械的、化学的強度に優れ、かつこのようなコシを付与することができる。
このような熱融着性樹脂膜の層厚は、10〜60μm、より好ましくは、15〜30μmが好ましい。なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
熱融着性樹脂膜は、上記樹脂の1種からなる単層でも多層でもよく、熱融着性樹脂膜の厚さとしては、10〜60μm、より好ましくは15〜30μmである。10μmを下回ると、密封不良となり不利であり、一方、60μmを超えると熱伝導が悪く熱融着不良の点で不利である。
(5)ラミネート用接着剤
本発明では、上記紙基材とガスバリア性遮光膜との接着やガスバリア性遮光膜と熱融着性樹脂膜との積層にはドライラミネート積層法により積層することができる。
ドライラミネート積層法で使用しうるラミネート用接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルへキシルエステルなどのホモポリマーもしくはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンなどとの共重合体などからなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂などからなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどからなる無機系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラスなどからなる無機系接着剤、その他の接着剤を使用することができる。
より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。これらによれば、柔軟性と屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、熱融着性樹脂膜やガスバリア性遮光膜に対し、柔軟性、屈曲性などを有する被膜として作用し、ラミネート加工、印刷加工などの加工適性を向上させることができる。上記ラミネート用接着剤からなるラミネート接着剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の引っ張り伸長度を有することが好ましい。
これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型などのいずれの組成物形態でもよく、その性状はフィルム、シート状、粉末状、固形状などのいずれでもよい。更に、反応機構として、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶着型、熱圧型などのいずれでもよい。
ラミネート用接着剤の使用量には特に限定はないが、一般には、0.1〜10g/m2(乾燥状態)である。上記ラミネート用接着剤は、ロールコート、グラビアコート、キスコートその他のコート法や印刷法によって行うことができる。
(6)アンカーコート
本発明では、例えば熱融着性樹脂膜を押出し形成する際に、前記プライマー層上にアンカーコートを介して熱融着性樹脂膜を形成してもよい。使用するアンカーコートとしては、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系、その他のアンカーコーティング剤が例示できる。より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、またはヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。これらによれば、柔軟性と屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、無機酸化物からなるガスバリア性塗布膜に対し、柔軟性、屈曲性などを有する被膜として作用し、ラミネート加工、印刷加工などの加工適性を向上させ、無機酸化物からなるガスバリア性塗布膜へのクラックなどの発生を回避することができ、バリア性フィルムと熱融着性樹脂膜との密接着性を向上させ、無機酸化物からなるガスバリア性塗布膜へのクラックの発生を防止し、ラミネート強度を向上させることができる。上記アンカーコートからなるアンカーコート層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の引っ張り伸長度を有することが好ましい。
(6)食品包装用積層材の製造方法
本発明の食品包装用積層材の製造方法に限定はないが、紙基材とガスバリア性遮光膜とを積層し、次いで前記紙基材に紙印刷層を形成し、次いで前記ガスアリア性遮光膜に熱融着性樹脂膜を積層して、製造することができる。この方法によれば、紙基材が薄い場合でもガスバリア性遮光膜の支持力によって薄い紙基材にも紙印刷層を設けることができるため、紙基材に残存する溶媒臭を低減することができ、かつ前記ガスバリア性遮光膜が積層されるため、遮光性、ガスバリア性などの品質保持特性を確保でき、かつ熱融着性樹脂膜によってヒートシールを可能とすることができる。なお、紙基材、ガスバリア性遮光膜および熱融着性樹脂膜として、前記したいずれか1種以上を好適に使用することができる。
使用する紙基材は、前記したように好ましくは秤量10〜120g/cm2である。このような薄い紙基材は、そのままでは紙印刷層を形成することが困難な場合があるが、秤量を大きくすると溶媒吸収量および残存溶媒量が増大する。そこで、ガスバリア性遮光膜にラミネート用接着剤を塗布して紙基材と積層し、予め裏打ち層としてガスバリア性遮光膜をドライラミネート積層法で積層する。ついで、紙基材とガスバリア性遮光膜とを接着して印刷用複合基材を形成した後に、前記印刷用複合基材の紙基材表面に紙印刷層を形成する。前記したように印刷方法に限定はなく、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他のいずれであってもよい。本発明では、紙基材の秤量が上記範囲にあるため、たとえ全面印刷を行った場合であっても、紙基材が吸収する溶媒量が少なく、溶媒臭を低減することができる。次いで、印刷後に印刷用複合基材を乾燥する。一般に、印刷後には溶媒を除去し、印刷層を安定化するため乾燥工程を設けるが、本発明においてもこの乾燥工程を行い、残存する溶媒を低減させる。前記したように、印刷用複合基材は、紙基材とガスバリア性遮光膜とをラミネート用接着剤で積層してものであり、使用するラミネート用接着剤としては溶媒含有量が少ないことが好ましいが、溶媒含有量が少ないとラミネート用接着剤に含まれる接着剤成分量が増大し、最終的に得られる食品包装用積層材の全質量が増大する。しかしながら、本発明では、乾燥工程を設けることで、このような接着剤に含まれる溶媒を低減することができ、その結果、食品包装用積層材の全質量を低減することができる。
一方、使用する紙基材の秤量に係わらず、予め紙基材に紙印刷層を形成し、この紙印刷層を有する紙基材と遮光印刷層を有するガスバリア性遮光膜とを、最外層が紙印刷層であり、最内層がガスバリア性遮光膜の基材フィルム層となるように向き合わせ、両者をドライラミネート積層法で接着し、ついで、前記ガスバリア性遮光層を構成する基材フィルム層と、熱融着性樹脂膜とをドライラミネート積層法で接着する方法であってもよい。紙基材が紙印刷層の形成にたる強度を有する場合には、予め紙基材に印刷層を設けることができ、ついで、ガスバリア性遮光層のガスバリア性塗布膜と接着すれば、ガスバリア性塗布膜の保護が容易であり、ガスバリア性を高く維持することができる。ついで、上記と同様に乾燥工程を行い、更に熱融着性樹脂膜を積層すれば、ヒートシールが容易となる。なお、各層の接着に際しては、前記ガスバリア性遮光膜の表面にラミネート用接着剤と塗布し、紙基材や前記熱融着性樹脂膜を接着する。
本発明において、上記いずれの食品包装用積層材の製造方法においても、前記ガスバリア性遮光膜に紙基材と前記熱融着性樹脂膜とをラミネート用接着剤を介して接着することができるため、物性を低下させることなく残留溶剤を減らすことができる。この点を詳記すれば、機能的には印刷層を形成した紙基材と熱融着性樹脂膜を貼り合せるだけで食品包装用積層材を製造することができるが、紙基材にラミネート用接着剤を塗布して上記2層をラミネート用接着剤で接着すると、紙基材の深くまで接着剤に含まれる溶剤が浸透するため多量に残留溶剤が残る。また、熱融着性樹脂膜に接着剤を塗布する方法は、熱融着性樹脂膜が未延伸フィルムである場合にはテンションを強く掛けると伸びてしまい、加工が困難であり、ガスバリア性が低下する。しかしながら、ガスバリア性遮光膜を使用し、紙基材との第一ラミネーション工程、および熱融着性樹脂膜との第2ラミネーション工程とも、このガスバリア性遮光膜の表面に接着剤を塗布して行うことができるため、ガスバリア性や遮光性などの物性を低下させることなく残留溶剤を減らすことができる。
また本発明では、紙基材と、ガスバリア性遮光膜のガスバリア性塗布膜側とが接着されることを特徴とする。一般には、紙基材側にガスバリア性遮光膜の基材フィルム側が接着されるが、上記方法によれば、紙基材にガスバリア性塗布膜を積層することでガスバリア性塗布膜が保護され、この結果、品質保持特性の劣化を防止することができる。
(7)食品包装用袋
本発明の食品包装用袋は、食品の一次包装材に使用することができ、上記食品包装用積層材を用いて製造することができる。例えば、本発明の食品包装用積層材の熱融着性樹脂膜が対向するように2枚を重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒートシールしてヒートシール部を形成すると共にその上部に開口部を形成して、三方シール型の食品包装用袋を製造することができる。これらの食品包装用袋を使用し、その上部の開口部から、各種の食品を充填し、次いで、その開口部をヒートシールすれば、本発明の食品包装用袋を使用した包装製品を製造することができる。また、一枚の食品包装用積層材を折り返し、側部をヒートシールし、その上部に開口部を形成して、二方シール型の食品包装用袋を製造することができる。内容物を収納した後に開口部をヒートシールすればよい。
本発明の食品包装用袋は、食品を直接包装する、いわゆる一次包装材として使用することができる。上記食品包装用積層材は、ガスバリア性遮光膜によってガスバリア性および遮光性が確保され、品質保持性能に優れる。このため、二次包装材を使用せずに品質を保持できる。
一方、最外層は紙基材であって手触りが天然繊維からなるものであるから肌に優しく、癒し効果を発揮する。しかも、全面印刷が可能であって広い印刷面に食品製品に必要な情報を印字することができ、しかも風味が重要な食品製品を直接包装するものであるが、溶媒臭がない。
本発明の食品包装用袋の形状としては、上記の他、ピロー包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、その他等の内容物に合った種々の形態からなる食品包装用袋を製造し得る。なお、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の食品包装用袋は、各種の食品の包装用袋として好適に使用することができ、このような食品としては、チョコレート、キャンディー、せんべい、ポテトチップス、和菓子などの各種菓子類、干ししいたけ、乾燥ワカメなどの保存食品などに好適に使用することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1
(1) ガスバリア性遮光膜の基材フィルム層として、少なくとも一面にコロナ処理を行った厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着して繰り出し、そのフィルムのコロナ処理層にアルミニウムを蒸着源に用いて酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件で膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム
蒸着チャンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kw
フィルムの搬送速度:240m/min
蒸着面:コロナ処理層上
(2) 酸化アルミニウムの蒸着膜の面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mba、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理層を形成した。
(3) 表1に示す組成に従って、組成a.エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に、予め調製した組成c.のポリビニルアルコール系、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のガスバリア性組成物を得た。
(4) 上記の(2)で形成したプラズマ処理層の上に、上記(3)のガスバリア性組成物をグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成し、ガスバリア性遮光膜を製造した。
Figure 2011042147
(5) 上記ガスバリア性遮光膜のガスバリア性塗布膜上に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mba、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行い、プラズマ処理層を形成した。ついで、このプラズマ処理層上に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により印刷を行った。印刷は、上記プラズマ処理層に、濃色から淡色に、墨、藍、紅、黄、白となるように刷り、遮光印刷層を形成した。なお、前記遮光印刷層の全光線透過率は、スガ試験機製の測定機[ヘーズHGM−2K]にて測定し、54%であった。

(6) 上記ガスバリア性遮光膜のガスバリア性塗布膜上に、2液硬化型ドライラミネート接着剤(三井武田ケミカル株式会社製「主剤A969/硬化剤A5」)を塗布して厚さ3.0g/m2(乾操状態)のラミネート用接着剤層を形成し、坪量31g/m2の純白紙(天間特殊製紙株式会社製「ハクヨウAFT」)に予め紙印刷を行った紙基材を積層した。このハクヨウAFTの3次元表面粗さは、25.19μmである。
なお、3次元粗さの測定方法は、東精エンジニアリング株式会社製の測定機[機種名:SURF COM 1400D−3DF]にて測定した。

(7) 上記(6)で形成した積層物に2液硬化型のポリウレタン系ラミネート用接着剤をグラビアロールコート法によりコーティングして、厚さ3.0g/m2(乾操状態)のラミネート用接着剤層を形成し、これに厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ処理層を積層して積層体を得た。
得られた食品包装用積層材の層構成は、紙印刷層/紙基材(31g/m2)/ドライラミネート接着剤層3μm/遮光印刷層/プラズマ処理層/ガスバリア性塗布膜/酸化アルミ蒸着膜/コロナ処理面/ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/ドライラミネート接着剤層3μm/未延伸ポリプロピレンフィルム20μmである。

(i)得られた食品包装用積層材の印刷面仕上がりとして、印刷性を観察した。その評価方法は目視により観察した。結果を表2に示す。
(ii)得られた食品包装用積層材の残留溶剤臭気を測定した。測定は、ガスクロマトグラフィー測定によった。測定方法は、日立株式会社製の測定機[機種名:G−3000]にて測定した。結果を表2に示す。
(iii)得られた食品包装用積層材の品質保持特性として、ガスバリア性を評価した。
酸素透過度は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN2/20)〕にて測定した。
また水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN3/31)〕にて測定した。
(iv)得られた食品包装用積層材の機械的強度として、突刺し強度を測定した。測定方法は、A&D社製の測定機[RTC−1310]にて測定した。
Figure 2011042147
本発明に係る食品包装用積層材は、溶媒臭がないため食品などの風味が重視される食品の包装材として好適であり、一次包装材のみで陳列できるため、二次包装材を不要とすることができ、有用である。
本発明の食品包装用積層材の層構成を説明する横断面図である。 低温プラズマ化学蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。 巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
10・・・紙基材、
20・・・ガスバリア性遮光膜、
21・・・基材フィルム層、
23・・・無機酸化物蒸着層、
25・・・ガスバリア性塗布膜、
30・・・熱融着性樹脂膜、
50・・・印刷層、
70・・・ラミネート用接着剤層、
80・・・コロナ処理層、
90・・・プラズマ処理層。

Claims (9)

  1. 紙印刷層を有する紙基材と、前記紙基材に積層されたガスバリア性遮光膜と、前記ガスバリア性遮光膜に積層された熱融着性樹脂膜とからなる食品包装用積層材であって、
    前記ガスバリア性遮光膜は、基材フィルム層の一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設け、該無機酸化物の蒸着膜上に一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設け、前記ガスバリア性塗布膜上に遮光印刷層を有する積層フィルムであることを特徴とする、食品包装用積層材。
  2. 前記食品包装用積層材は、最外層に紙印刷層を有し、かつ前記紙基材と前記ガスバリア性遮光膜の前記遮光印刷層とが対向して積層され、前記ガスバリア性遮光膜の基材フィルムと前記熱融着性樹脂膜とが対向して積層されることを特徴とする、請求項1記載の食品包装用積層材。
  3. 前記紙基材は、坪量10〜120g/cm2、3次元表面粗さ60μm以下である、請求項1または2記載の食品包装用積層材。
  4. 前記遮光印刷層は、前記ガスバリア性塗布膜に直接、またはこの表面処理層上に形成されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の食品包装用積層材。
  5. 前記表面処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理またはグロー放電処理のいずれかである、請求項4記載の食品包装用積層材。
  6. 前記表面処理が、プライマー、アンカーコートおよび/またはアンダコートの塗布によるものである、請求項4または5記載の食品包装用積層材。
  7. 前記紙基材と前記ガスバリア性遮光膜、ならびに前記ガスバリア性遮光膜と前記熱融着性樹脂膜とは、それぞれドライラミネート積層法で積層されたものである、請求項1〜6のいずれかに記載の食品包装用積層材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の食品包装用積層材からなる食品包装用袋であって、2つの前記熱融着性樹脂膜を対向させて熱融着により張り合わせて袋状に仕立てたものである、食品包装用袋。
  9. 紙基材とガスバリア性遮光膜とを積層し、次いで前記紙基材に紙印刷層を形成し、次いで前記ガスアリア性遮光膜に熱融着性樹脂膜を積層することを特徴とする、食品包装用積層材の製造方法。
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